JP3195669B2 - 合成皮革用基材の表面に絵柄層を形成するための転写用フィルム - Google Patents

合成皮革用基材の表面に絵柄層を形成するための転写用フィルム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも表面層がウ
レタン系樹脂または塩化ビニル系樹脂層によって形成さ
れている合成皮革用基材に絵柄層を転写して合成皮革を
得る際に利用される転写用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ウレタン系樹脂または塩化ビニル系樹脂
を利用した合成皮革用基材に絵柄層を形成することによ
って合成皮革を得る際の転写用シートとしては、シリコ
ーンによる離型処理が付されている基材紙にウレタン系
樹脂あるいはアクリル系樹脂をビヒクルとする絵柄層を
形成した積層シートが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の転写用シー
トは、該転写用シートにおける絵柄層と基材紙のシリコ
ーンによる離型処理面との間の密着性と、転写工程での
絵柄層と基材紙におけるシリコーンの離型処理面との間
の離型性とが、基材紙に対するシリコーンの塗布量によ
って影響される。このため、基材紙と転写層との間の密
着性及び離型性のコントロールが困難であり、転写工程
前に基材紙と転写層とが分離してしまうという不手際が
発生したり、あるいは、転写工程で転写層の離型がスム
ーズにいかないために基材紙にインキ残りが発生する等
の問題を有している。
【0004】また、絵柄層が転写された後の合成皮革を
折り曲げると、絵柄層に割れや剥がれが発生し、これが
商品価値を低下させるという問題もある。
【0005】これに対して本発明は、合成皮革用基材に
絵柄層を形成するための転写用フィルムからなり、転写
用フィルムにおける基材フィルムと転写層との間の密着
性及び離型性のコントロールが容易で、しかも、転写用
フィルムや転写層が転写された後の合成皮革を折り曲げ
ても、転写層に割れや剥がれが発生するようなことの無
い転写用フィルムを提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の合成皮革用基材
の表面に絵柄層を形成するための転写用フィルムは、2
軸延伸ポリエステルフィルムによる基材フィルムと該基
材フィルムの表面に形成されている転写層とを有してお
り、前記転写層が、基材フィルムの表面に積層されてい
るガラス転移点95〜115℃のアクリル系樹脂5〜3
0重量%とガラス転移点65〜80℃の塩化ビニル・酢
酸ビニル共重合樹脂95〜70重量%との混合樹脂によ
る剥離層と、該剥離層の上に積層されているガラス転移
点−30〜−50℃のウレタン樹脂による絵柄層とで形
成されている。
【0007】前記構成による本発明の合成皮革用基材の
表面に絵柄層を形成するための転写用フィルムにおい
て、剥離層は合成皮革用基材の表面すなわち少なくとも
表面層がウレタン樹脂層または塩化ビニル樹脂層からな
る合成皮革用基材の表面に形成される転写絵柄層の表面
保護層となるものであり、ガラス転移点95〜115℃
のアクリル系樹脂5〜30重量%とガラス転移点65〜
80℃の塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂95〜70
重量%との混合樹脂によって形成される。
【0008】ここで、この剥離層を形成している混合樹
脂層におけるアクリル系樹脂が5重量%未満になると、
転写用フィルムを利用する転写工程での転写温度が低い
場合等に転写層の離型性が悪くなり、基材フィルムにイ
ンキ残りが発生するようになる。
【0009】また、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂
が70重量%未満になると、転写用フィルムの転写層を
転写させた合成皮革を折り曲げた際に、転写層に割れが
発生するようになる。
【0010】そして、本発明の転写用フィルムにおける
基材フィルムと転写層との間の密着性及び離型性は、ガ
ラス転移点95〜115℃のアクリル系樹脂5〜30重
量%とガラス転移点65〜80℃の塩化ビニル・酢酸ビ
ニル共重合樹脂95〜70重量%との混合樹脂による剥
離層中のアクリル系樹脂と塩化ビニル・酢酸ビニル共重
合樹脂との間の混合組成によってコントロールされる。
【0011】剥離層の上にはウレタン樹脂による絵柄層
が形成されている。この絵柄層は該層を形成しているウ
レタン樹脂のガラス転移点が−30〜−50℃であるこ
とから、ウレタン系樹脂または塩化ビニル系樹脂による
合成皮革用基材の表面すなわちウレタン系樹脂層または
塩化ビニル系樹脂層に対する良好な熱転写性能を果た
す。
【0012】またこのときに、絵柄層を形成しているウ
レタン樹脂のガラス転移点と剥離層を形成している混合
樹脂層のガラス転移点との差が大きくとられていること
によって、本発明の転写用フィルムまたは転写層が転写
された後の合成皮革を折り曲げても、転写層に割れや剥
がれが発生することの無い柔軟性が具備される。
【0013】
【作用】本発明の合成皮革用基材の表面に絵柄層を形成
するための転写用フィルムは、2軸延伸ポリエステルフ
ィルムによる基材フィルムと該基材フィルムの表面に形
成されている転写層とを有しており、前記転写層が、基
材フィルムの表面に積層されているガラス転移点95〜
115℃のアクリル系樹脂5〜30重量%とガラス転移
点65〜80℃の塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂9
5〜70重量%との混合樹脂による剥離層と、該剥離層
の上に積層されているガラス転移点−30〜−50℃の
ウレタン樹脂による絵柄層とで形成されている積層フィ
ルムからなる。
【0014】前記合成皮革用基材の表面に絵柄層を形成
するための転写用フィルムを利用して、ウレタン系樹脂
または塩化ビニル系樹脂による合成皮革用基材の表面
に、すなわち、ウレタン系樹脂または塩化ビニル系樹脂
の単体シートあるいは例えば布帛等による裏打ち材にウ
レタン系樹脂層または塩化ビニル系樹脂層が積層されて
なる合成皮革用基材の表面に、動物や天然植物等の絵柄
を転写した後、さらにその上からエンボスによる凹凸の
賦形を行なう等により、より天然皮革に近似する合成皮
革が得られる。
【0015】本発明の合成皮革用基材の表面に絵柄層を
形成するための転写用フィルムは、転写用フィルムにお
ける基材フィルムと転写層との間の密着性及び離型性が
均一で安定しているため、該転写用フィルムを利用する
転写層の形成の際には、転写工程前に基材フィルムと転
写層とが分離してしまうような不手際がなく、また、転
写工程の際に基材フィルムから離型しないインキ残りが
無い。
【0016】さらにまた、転写層における剥離層と該剥
離層に積層されている絵柄層との間のガラス転移点の差
が大きく、転写層に柔軟性が具備されているために、転
写用フィルムや転写層が転写された後に得られる合成皮
革を折り曲げても、あるいは、合成皮革用基材の表面に
転写層を転写した後に該転写層面にエンボスによる凹凸
の賦形を行なっても、転写層に割れや剥がれが発生する
ようなことが無い。
【0017】
【実施例】以下、本発明の合成皮革用基材の表面に絵柄
層を形成するための転写用フィルムの具体的な構成を、
実施例に基づいて説明する。
【0018】実施例1〜実施例2,比較例1 厚さ25μの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムからなる基材フィルムの上に、下記の[表1]の所
定欄に示されている組成からなるガラス転移点105℃
のメタクリル酸メチル樹脂とガラス転移点72℃の塩化
ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂との混合樹脂によるコー
ティング剤を、版深30μのグラビア版を利用して塗
工,乾燥することによって剥離層を形成し、剥離層の種
類が相違する積層フィルム(A),(B),(C)を得
た。
【0019】続いて、前記剥離層の上にガラス転移点−
40℃のウレタン樹脂をビヒクルとするグラビアインキ
(ウレタン樹脂:10重量部,顔料:10重量部,メチ
ルエチルケトン,トルエン,イソプロピルアルコールの
混合溶剤:80重量部)によるグラビア印刷にて絵柄層
を形成し、該絵柄層と前記剥離層とによる転写層を有す
る本発明の実施例品である転写用フィルム(1),
(2)と比較のための転写用フィルム(3)とを得た。
【0020】
【表1】
【0021】[実験1]布帛の上にウレタン樹脂のコー
ティング層が形成されている合成皮革用基材の該ウレタ
ン樹脂層面に、前記実施例1〜2及び比較例1で得られ
た転写用フィルム(1)〜(3)の転写層を接当した
後、転写用フィルムの基材フィルム面を150℃,10
kg/cm2 ,ローラー速度:20mmにて押圧し、さ
らに、転写用フィルムにおける基材フィルムを剥離,除
去することにより、目的とする合成皮革を得た。
【0022】かかる合成皮革の製造の際の転写用フィル
ムの各物性を[表2]に示す。
【0023】なお、[表2]においては、転写層の割れ
を、得られた合成皮革を折り曲げた後に該折り曲げ部分
を100倍の光学顕微鏡で観察した結果で表示した。
【0024】また、転写層の転写性を、転写層と基材フ
ィルムとの間の離型性の不良によって発生するインキ残
りの程度を観察することによって判定した。
【0025】さらに、転写工程前の転写用フィルムの基
材フィルムと転写層との間の密着性を箔持ち性によって
表示した。
【0026】
【表2】
【0027】[実験2]布帛の上に塩化ビニル樹脂のコ
ーティング層が形成されている合成皮革用基材の塩化ビ
ニル樹脂層面に、前記実施例1〜2及び比較例1で得ら
れた各転写用フィルム(1)〜(3)の転写層を接当し
た後、転写用フィルムの基材フィルム面を150℃,1
0kg/cm2 ,ローラー速度:20mmにて押圧し、
さらに、転写用フィルムにおける基材フィルムを剥離,
除去することによって、目的とする合成皮革を得た。
【0028】かかる合成皮革の製造の際の転写用フィル
ムの各物性を[表3]に示す。
【0029】なお、[表3]には、転写層の割れを、得
られた合成皮革を折り曲げた後に該折り曲げ部分を10
0倍の光学顕微鏡で観察した結果で表示した。
【0030】また、転写層の転写性を、転写層と基材フ
ィルムとの間の離型性の不良によって発生するインキ残
りの程度を観察することによって判定した。
【0031】
【表3】
【0032】比較例2〜4 実施例1〜2及び比較例1で得られた積層フィルム
(A),(B),(C)の剥離層の上に、ガラス転移点
105℃のメタクリル酸メチル樹脂とガラス転移点72
℃の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂との混合樹脂
をビヒクルとするグラビアインキ(メタクリル酸メチル
樹脂:7重量部,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹
脂:28重量部,顔料:25重量部,トルエン:20重
量部,メチルエチルケトン:20重量部,酢酸エチル:
9重量部)によるグラビア印刷にて絵柄層を形成し、該
絵柄層と前記剥離層とによる転写層を有する比較のため
の転写用フィルムを(4),(5),(6)得た。
【0033】[実験3]布帛の上にウレタン樹脂のコー
ティング層が形成されている合成皮革用基材の該ウレタ
ン樹脂層面に、前記比較例2〜4で得られた転写用フィ
ルム(4)〜(6)の転写層を接当した後、転写用フィ
ルムの基材フィルム面を150℃,10kg/cm2
ローラー速度:20mmにて押圧し、さらに、転写用フ
ィルムにおける基材フィルムを剥離,除去することによ
り、目的とする合成皮革を得た。
【0034】かかる合成皮革の製造の際の転写用フィル
ムの各物性を[表4]に示す。
【0035】なお、[表4]には、転写層の割れを、得
られた合成皮革を折り曲げた後に該折り曲げ部分を10
0倍の光学顕微鏡で観察した結果で表示した。
【0036】また、転写層の転写性を、転写層と基材フ
ィルムとの間の離型性の不良によって発生するインキ残
りの程度を観察することによって判定した。
【0037】さらに、転写工程前の転写用フィルムの基
材フィルムと転写層との間の密着性を箔持ち性によって
表示した。
【0038】
【表4】
【0039】[実験4]布帛の上に塩化ビニル樹脂のコ
ーティング層が形成されている合成皮革用基材の塩化ビ
ニル樹脂層面に、前記比較例2〜4で得られた転写用フ
ィルム(4)〜(6)の転写層を接当した後、転写用フ
ィルムの基材フィルム面を150℃,10kg/cm
2 ,ローラー速度:20mmにて押圧し、さらに、転写
用フィルムにおける基材フィルムを剥離,除去すること
によって目的とする合成皮革を得た。
【0040】かかる合成皮革の製造の際の転写用フィル
ムの各物性を[表5]に示す。
【0041】なお、[表5]には、転写層の割れを、得
られた合成皮革を折り曲げた後に該折り曲げ部分を10
0倍の光学顕微鏡で観察した結果で表示した。
【0042】また、転写層の転写性を、転写層と基材フ
ィルムとの間の離型性の不良によって発生するインキ残
りの程度を観察することによって判定した。
【0043】
【表5】
【0044】比較例5〜7 実施例1〜2及び比較例1で得られた積層フィルム
(A),(B),(C)の剥離層の上に、ガラス転移点
105℃のメタクリル酸メチル樹脂とガラス転移点72
℃の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂との混合樹脂
をビヒクルとするグラビアインキ(メタクリル酸メチル
樹脂:7重量部,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹
脂:63重量部,トルエン:11重量部,メチルエチル
ケトン:45重量部,酢酸エチル:45重量部)でのグ
ラビア印刷によって絵柄層を形成し、該絵柄層と前記剥
離層とによる転写層を有する比較のための転写用フィル
ム(7),(8),(9)を得た。
【0045】[実験5]布帛の上にウレタン樹脂のコー
ティング層が形成されている合成皮革用基材の該ウレタ
ン樹脂層面に、前記比較例5〜7で得られた転写用フィ
ルム(7)〜(9)の転写層を接当した後、転写用フィ
ルムの基材フィルム面を150℃,10kg/cm2
ローラー速度:20mmにて押圧し、さらに、転写用フ
ィルムにおける基材フィルムを剥離,除去することによ
って目的とする合成皮革を得た。
【0046】かかる合成皮革の製造の際の転写用フィル
ムの各物性を[表6]に示す。
【0047】なお、[表6]には、転写層の割れを、得
られた合成皮革を折り曲げた後に該折り曲げ部分を10
0倍の光学顕微鏡で観察した結果で表示した。
【0048】また、転写層の転写性を、転写層と基材フ
ィルムとの間の離型性の不良によって発生するインキ残
りの程度を観察することによって判定した。
【0049】さらに、転写工程前の転写用フィルムの基
材フィルムと転写層との間の密着性を箔持ち性によって
表示した。
【0050】
【表6】
【0051】[実験6]布帛の上に塩化ビニル樹脂のコ
ーティング層が形成されている合成皮革用基材の塩化ビ
ニル樹脂層面に、前記比較例5〜7で得られた転写用フ
ィルム(7)〜(9)の転写層を接当した後、転写用フ
ィルムの基材フィルム面を150℃,10kg/cm
2 ,ローラー速度:20mmにて押圧し、さらに、転写
用フィルムにおける基材フィルムを剥離,除去すること
によって目的とする合成皮革を得た。
【0052】かかる合成皮革の製造の際の転写用フィル
ムの各物性を[表7]に示す。
【0053】なお、[表7]には、転写層の割れを、得
られた合成皮革を折り曲げた後に該折り曲げ部分を10
0倍の光学顕微鏡で観察した結果で表示した。
【0054】また、転写層の転写性を、転写層と基材フ
ィルムとの間の離型性の不良によって発生するインキ残
りの程度を観察することによって判定した。
【0055】
【表7】
【0056】比較例8 厚さ25μの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムからなる基材フィルム上に、ガラス転移点72℃の
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂をビヒクルとする
グラビアインキ(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹
脂:60重量部,トルエン:11重量部,メチルエチル
ケトン:50重量部,酢酸エチル:50重量部)を版深
30μのグラビア版を利用して塗工,乾燥することによ
って剥離層を形成した。
【0057】続いて、前記剥離層の上にガラス転移点−
40℃のウレタン樹脂をビヒクルとするグラビアインキ
(ウレタン樹脂:10重量部,顔料:10重量部,メチ
ルエチルケトン,トルエン,イソプロピルアルコールの
混合溶剤:80重量部)によるグラビア印刷にて絵柄層
を形成し、該絵柄層と前記剥離層とによる転写層を有す
る比較のための転写用フィルム(10)を得た。
【0058】[実験7]布帛の上にポリウレタン樹脂の
コーティング層が形成されている合成皮革用基材のポリ
ウレタン樹脂層面に、前記比較例8で得られた転写用フ
ィルム(10)の転写層を接当した後、転写用フィルム
の基材フィルム面を150℃,10kg/cm2 ,ロー
ラー速度:20mmにて押圧し、さらに、転写用フィル
ムにおける基材フィルムを剥離,除去することによって
目的とする合成皮革を得た。
【0059】かかる合成皮革の製造の際の転写用フィル
ム(10)の各物性を[表8]に示す。
【0060】なお、[表8]には、転写層の割れの状態
を、得られた合成皮革を折り曲げた後に該折り曲げ部分
を100倍の光学顕微鏡で観察した結果で表示した。
【0061】また、転写層の転写性を、転写層と基材フ
ィルムとの間の離型性の不良によって発生するインキ残
りの程度を観察することによって判定した。
【0062】さらに、転写工程前の転写用フィルムの基
材フィルムと転写層との間の密着性を箔持ち性によって
表示した。
【0063】
【表8】
【0064】[実験8]布帛の上に塩化ビニル樹脂のコ
ーティング層が形成されている合成皮革用基材の塩化ビ
ニル樹脂層面に、前記比較例8で得られた転写用フィル
ム(10)の転写層を接当した後、転写用フィルムの基
材フィルム面を150℃,10kg/cm2 ,ローラー
速度:20mmにて押圧し、さらに、転写用フィルムに
おける基材フィルムを剥離,除去することによって目的
とする合成皮革を得た。
【0065】かかる合成皮革の製造における転写用フィ
ルムの各物性を[表9]に示す。
【0066】なお、[表9]には、転写層の割れの状態
を、得られた合成皮革を折り曲げた後に該折り曲げ部分
を100倍の光学顕微鏡で観察した結果で表示した。
【0067】また、転写層の転写性を、転写層と基材フ
ィルムとの間の離型性の不良によって発生するインキ残
りの程度を観察することによって判定した。
【0068】
【表9】
【0069】
【効果】本発明の合成皮革用基材の表面に絵柄層を形成
するための転写用フィルムによれば、少なくとも表面層
がウレタン樹脂層または塩化ビニル樹脂層で形成されて
いるいずれの合成皮革用基材の表面に対しても、熱圧転
写法によって、割れの無い転写層を、また、転写層の剥
離性能不足によるインキ残り等のない品質の良好な転写
層を形成することができる。
【0070】このため、本発明の転写用フィルムによっ
て合成皮革用基材の表面に形成されている転写層に対し
ては、さらに凹凸によるエンボス賦形を行ない得るた
め、より天然皮革に近似する高品質の合成皮革が得られ
る。
【0071】さらに本発明の合成皮革用基材の表面に絵
柄層を形成するための転写用フィルムは、基材フィルム
と転写層との間の密着性に優れた性質を有しており、所
謂箔持ち性が良好であるため、転写作業を容易に行なえ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D06N 3/00 D06N 3/00 (56)参考文献 特開 平4−73183(JP,A) 特開 平5−177992(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B44C 1/17 B32B 1/00 - 35/00 B41M 3/00 - 3/18 D06N 3/00 - 3/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面層がウレタン樹脂層ま
    たは塩化ビニル樹脂層で形成されている合成皮革用基材
    の表面に絵柄層を形成するための転写用フィルムが、2
    軸延伸ポリエステルフィルムによる基材フィルムと該基
    材フィルムの表面に形成されている転写層とからなって
    おり、しかも、前記転写層が、基材フィルムの表面に積
    層されているガラス転移点95〜115℃のアクリル系
    樹脂5〜30重量%とガラス転移点65〜80℃の塩化
    ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂95〜70重量%との混
    合樹脂による剥離層と、該剥離層の上に積層されている
    ガラス転移点−30〜−50℃のウレタン樹脂による絵
    柄層とで形成されていることを特徴とする合成皮革用基
    材の表面に絵柄層を形成するための転写用フィルム。
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