JP3195426B2 - Dirカプラー含有写真要素 - Google Patents

Dirカプラー含有写真要素

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、処理中にカプラー含有
写真材料から洗い流すことができる色素を、酸化カプリ
ングの際生成できる写真DIR(現像抑制剤−放出)ア
セトアニリドカプラー又はナフトール系カプラー、並び
にかかるDIRカプラーを含んでなる写真材料及び処理
に関する。
【0002】
【従来の技術】各種カプラーが写真材料及び処理におい
て知られている。各種写真カプラーとしては、写真材料
及び処理における酸化カプリングにより典型的に色素を
生成するアセトアニリドカプラー及びナフトール系カプ
ラーが挙げられる。カラー現像剤と酸化カプリングする
と、アセトアニリドカプラーは典型的にイエロー色素を
生成し、ナフトール系カプラーは典型的にシアン色素を
生成する。処理中に写真材料から洗い流すことができる
色素を酸化カプリングにより生成できるようなカプラー
も知られている。これらのカプラーは、例えば、米国特
許第4,482,629号明細書に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】写真処理中に写真材料
から洗い流すことができる色素を生成できるカプラーは
水可溶化基、例えば、カルボキシ基又はスルホン酸基を
含有する。文献記載カプラーのように製造費が高くない
カプラーを提供することそして写真材料から洗い流すこ
とができその上写真要素中のカプラーの使用濃度を低く
できる利点を有する有用な色素を提供することが望まれ
ていた。
【0004】カラー写真ハロゲン化銀材料及び写真処理
において低濃度のカプラーを用いて所望のアキュータン
ス及び所望のインターイメジ効果を可能にするカプリン
グ離脱基を含有するようなカプラーを提供することも望
まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、カプラーをし
て、処理中に要素から洗い流せる色素を酸化カプリング
の際生成することを可能にする可溶化基を含有し、か
つ、放出可能な可動性現像抑制剤部分を少なくとも1個
含むカプリング離脱基をカプリング位に含有する、現像
抑制剤放出カプラーの少なくとも1と、組み合わさっ
た写真ハロゲン化銀乳剤層を少なくとも1層有する支持
体を含んでなるカラー写真要素であって、前記現像抑制
剤放出カプラーが、−CONH 2 を2位に含有するナフ
トール系カプラーであり;そして順に、(1)バラスト
化連結基、及び(2)pH10の緩衝液中のLogPを
−0.8未満にすることができるメルカプトテトラゾー
ル基である放出可能な現像抑制剤基少なくとも1個、
らなるカプリング離脱基を、カプリング位に含有するカ
ラー写真要素を提供することにより、前記課題を解決す
る。本発明の好ましい態様において、本発明は、前記バ
ラスト化連結基が、
【化4】 (前記式中、R 5 は写真技術分野において知られている
バラスト基であり;R 6 はメルカプトテトラゾール現像
抑制剤の硫黄原子に結合した非置換もしくは置換のメチ
レン基であり;TはO又はSであり;そしてZはフェニ
ルもしくはナフチル基又は複素環基を完成する原子であ
る) により示される基からなる群より選ばれるカラー写
真要素である
【0006】前記DIRカプラーは式:
【化4】
【0007】前記式中、
【化5】
【0008】はアセトアニリド色素形成性カプラー成分
であり;SOLは色素形成性カプラー部分のアセトアニ
リド基上のカルボキシ基であり;
【0009】
【化6】
【0010】はカプラー成分の2位に−CONH2 又は
CONHCH3 を含むナフトール系色素形成性カプラー
成分であり;
【0011】
【化7】
【化8】 のカプリング位に結合した、離脱性バラスト化連結基で
あり;
【0012】BALL はカプラーの残部と共に、写真要素の露光及び処理前に
DIRカプラーを不動化することができるバラスト基で
あり;
【0013】INH はpH10の緩衝液中のLogPを−0.8未満にするこ
とができるメルカプトテトラゾール基である、により示
すことができる。
【0014】可溶化基(SOL)を含有するアセトアニ
リド色素形成性カプラー成分は、写真技術分野で知られ
ている任意のアセトアニリド色素形成性カプラー成分で
あってよい。アセトアニリド色素形成性カプラー成分は
典型的にベンゾイルアセトアニリド又はピバリルアセト
アニリドカプラー成分である。かかるアセトアニリドカ
プラーの例は式:
【0015】
【化9】
【0016】前記式中、R7 は、水素、1種又はそれ以
上のハロゲン、例えば、塩素又は臭素;炭素原子数1〜
4個のアルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピ
ル、i−プロピル、n−ブチルもしくはt−ブチル;又
は炭素原子数1〜4個のアルコキシ、例えば、メトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシもしくはt−
ブトキシであり;R8 及びR10は個々に水素;1種又は
それ以上のハロゲン、例えば、塩素もしくは臭素;炭素
原子数1〜4個のアルキル、例えば、メチル、エチル、
i−プロピル、n−プロピル、i−ブチル、n−ブチル
もしくはt−ブチル;又は炭素原子数1〜4個のアルコ
キシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピル、n
−ブチル、i−ブチルもしくはt−ブチルであり;
【0017】R9 及びR11は個々に水素又はカプリング
反応に悪影響を与えずしかも処理中に写真要素から洗い
流すことができる色素の生成を妨害しない置換基、例え
ば、炭素原子数1〜4個のアルキル、例えば、メチルも
しくはエチル、炭素原子数1〜4個のアルコキシ、例え
ば、メトキシもしくはエトキシ、又はハロゲン、例え
ば、塩素もしくは臭素であり;SOLは、処理中に写真
要素から洗い流せる色素を、カプラーの酸化カプリング
により生成することを可能にする水−可溶化基、特にカ
ルボキシ基であり;
【0018】
【化10】 は酸化カプリングによりカプラーから離脱可能な任意の
バラスト化連結基であり;BALLは、露光及び処理前
に、写真要素中にDIRカプラーを不動化することがで
きるバラスト基である、により示される。
【0019】前記ナフトール系カプラーの例は、式:
【化11】 前記式中、R12は水素又はカプリング反応もしくは処理
中に写真要素から洗い流すことができる色素の生成に悪
影響を与えない少くとも1種の置換基、例えば、炭素原
子数1〜4個のアルキル、例えば、メチル、エチル、n
−プロピル、n−ブチルもしくはt−ブチル;炭素原子
数1〜4個のアルコキシ、例えば、メトキシ及びエトキ
シ;アミド基、例えば、NHCOCH3 ;スルホンアミ
ド、例えば、NHSO2 CH3 ;スルファミル基、例え
ば、SO2 NHCH3 ;カルバミル基、例えば、CON
HCH3 であり;
【0020】そして
【化12】 は前記したとおりである、により示される。
【0021】バラスト化カプリング離脱基は、露光及び
処理前に、カプラーを写真材料中で不動化する。前記要
素の露光及び処理の際に、カプラーは酸化されたカラー
現像主薬と反応して色素を生成し、この色素は処理中に
要素から洗い流される。また、カプリング離脱基は処理
中に離脱する。バラスト基を含むカプリング離脱基の部
分は、被覆された位置に残留する。抑制剤基(INH)
もまた写真処理の際に放出される。抑制剤基は移動可能
なので、放出後は、その所期の機能を発揮できる要素中
の位置に移動することが可能になる。
【0022】前記の利点を有する画像形成法は、前記の
露光写真要素を、前記DIRカプラーの存在下でカラー
現像主薬を用いて現像し次いでDIRカプラーから生成
された色素を洗い流すことからなる。
【0023】特定の現像剤及び特定タイプの処理によっ
て、カプラー成分と酸化現像主薬との反応生成物を着色
もしくは無色にすることができることが理解されるであ
ろう。
【0024】バラスト化連結基は、バラスト基を含有す
ることができる、写真技術分野において知られている任
意の連結基であってよい。
【0025】INHとカプリング離脱基の残留部間の結
合の解裂は、かかる基の開裂についての写真技術分野で
知られる任意の反応、例えば、分子内求核置換反応又は
他の脱離反応を含むことができる。
【0026】写真技術分野で知られるいずれのバラスト
基もカプリング離脱基において有用でありうる。本明細
書においてバラスト基(BALL)とは、露光及び処理
前には、写真要素中のカプラーが被覆されている層から
カプラーが実質的に拡散しないようにするのに充分な嵩
をカプラー分子に与えるような大きさ及び立体配置を有
する有機基を意味する。代表的なバラスト基としては、
例えば、炭素原子数8〜40個の置換もしくは非置換の
アルキル又はアリール基が挙げられる。他の有用なバラ
スト基としては、炭素原子数8〜40個のスルホンアミ
ド基、カルボンアミド基、カルバモイル基、スルファモ
イル基、エステル基、スルホン基、エーテル基、チオエ
ーテル基及びアミノ基が挙げられる。
【0027】バラスト基の例としては以下のものがあ
る:
【化13】
【0028】バラスト化連結基は、例えば、好ましくは
式:
【化14】
【0029】前記式中、R5 は写真技術分野において知
られるバラスト基、好ましくは前記バラスト基の1種で
あり、R6 はメルカプトテトラゾール現像抑制剤の硫黄
原子に結合した非置換もしくは置換のメチレン基であ
り;
【0030】TはO又はSであり;そしてZはフェニル
もしくはナフチル基又は複素環式基、例えば、5−もし
くは6−員複素環式基、例えば、ジアゾール基もしくは
イミダゾール基を完成させる原子を表す、により示され
る。前記フェニル又はナフチル基はバラスト基を含有す
る上に、非置換であってもよく、又は他の基、例えば、
−NO2 ,−NHCOR7 ,−CONHR7 ,−NHS
2 7 ,−SO2 NHR7 ,−OR7 ,Cl,Br,
SO 2 7 又はCO2 7 (これらは写真要素又はDI
Rカプラーに悪影響を与えず、式中、R7 は置換もしく
は非置換のアルキル又はアリールである)で置換されて
いてもよい。
【0031】有用なバラスト化連結基の例は以下のとお
りである:
【化15】
【0032】前記式中、R8 及びR9 は個々に非置換も
しくは置換のアルキル又はアリールであり;そしてIN
Hはメルカプトテトラゾール現像抑制剤である。
【0033】本明細書において用語メルカプトテトラゾ
ール基は、放出されると現像を抑制することができ、そ
して前記性質、特に前記のLogPを実現できる性質を
有する、写真技術分野において知られる任意のメルカプ
トテトラゾール基を意味する。好ましいメルカプトテト
ラゾール基は米国特許第4,782,012号明細書に
記載されている。他の例示メルカプトテトラゾール基と
しては1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール(P
MT)及び1−エチル−5−メルカプトテトラゾール
(EMT)基が挙げられる。
【0034】本明細書において用語“緩衝液”とは、弱
酸とそのコンジュゲート弱塩基の両者を含有し、そのpH
が酸もしくはアルカリを添加しても僅かしか変動しない
水溶液を意味する。本明細書中の緩衝液の定義は、化学
技術文献、例えば、Hawley’s Condens
ed Chemical Dictionary,11
版、N.Irving Sax及びRichard L
ewis.Sr.:Van Nostrand Rei
nhold Co.,N.Y.,N.Y.,U.S.
A.176頁に記載されている。
【0035】本明細書においてLogPとは、標準有機
相、通常オクタノール、及び水相、通常水の間の、種の
分配係数の対数を意味する。カラー写真要素は多相系で
あり、したがってかかる系において放出された抑制剤は
これらの多相間で分配することがある。LogPはこの
分配の目安として役立つことがあり、抑制力及びインタ
ーイメジ効果のような望ましい抑制剤特性と相関させる
ことができる。−0.8〜−2.2のLogP値を有す
る前記抑制剤成分(INH)が本発明において有用であ
ることが判明している。LogP値が−2.5の抑制剤
成分では弱すぎ、一方LogP値が−0.7より高いも
のでは有用なインターイメジ効果が得られない。写真現
像液に存在する条件を再現させるために、水相は炭酸塩
緩衝液(pH=10.0、1リットル当り30.0gのK
2 CO3 )から選択されるのが好ましい。
【0036】本明細書において、LogP値は写真技術
分野において知られているように、例えば、米国特許第
4,782,012号明細書に記載されているように算
出される。
【0037】前記DIRカプラーは写真技術分野におい
てDIRカプラーが用いられてきた目的及び方法で用い
ることができる。前記DIRカプラーは他のカプラー、
例えば、画像色素形成性カプラー、他のDIR及びDI
ARカプラー、競争カプラー、漂白促進剤−放出カプラ
ー、並びに写真技術分野において有用であることが知ら
れている他のカプラー及び添加物と組み合せると有用で
ある。前記DIRカプラーは、例えば、カラーネガティ
ブ画像形成用に作成されたハロゲン化銀写真要素、例え
ば、ハロゲン化銀写真フィルム(例えば、各種カメラフ
ィルム及び映画フィルムを含む)、又は反転フィルム、
例えば、Eastman KodakCo.U.S.
A.のE−6処理で処理可能な反転フィルム用に作成さ
れたハロゲン化銀写真要素中に用いることができる。
【0038】写真技術分野において有用なことが知られ
ている任意の画像色素形成性又は他のカプラーは、写真
要素中の写真技術分野において知られている各種位置に
前記のDIRカプラーと共に用いることができる。前記
DIRカプラーと組み合せて有効な代表的カプラーにつ
いて記載している特許及び刊行物を以下に列挙する。
【0039】A.酸化発色現像剤と反応してシアン色素
を生成するカプラーについては、米国特許第2,77
2,162号;第2,895,826号;第3,00
2,836号;第3,034,892号;第2,47
4,293号;第2,423,730号;第2,36
7,531号;第3,041,236号;及び第4,3
33,999号;並びにAgfa Mitteilun
genのFarbkuppler−eine Lite
raturuebersicht、第III 巻、156〜
175頁(1961年)のような代表的特許及び刊行物
に記載されている。
【0040】好ましくは、かかるカプラーは、酸化発色
現像主薬との反応でシアン色素を生成するフェノール類
及びナフトール類である。
【0041】B.酸化発色現像主薬と反応するとマゼン
タ色素を生成するカプラーについては、米国特許第2,
600,788号;第2,369,489号;第2,3
43,703号;第2,311,082号;第3,15
2,896号;第3,519,429号;第3,06
2,653号;及び第2,908,573号;並びにA
gfa MitteilungenのFarbkupp
ler−eine Literaturuebersi
cht、第III 巻、126〜156頁(1961年)の
ような代表的特許及び刊行物に記載されている。
【0042】好ましくは、かかるカプラーは酸化発色現
像主薬と反応するとマゼンタ色素を生成するピラゾロン
類及びピラゾロトリアゾール類である。
【0043】C.酸化発色現像主薬と反応するとイエロ
ー色素を生成するカプラーは、米国特許第2,875,
057号;第2,407,210号;第3,265,5
06号;第2,298,443号;第3,048,19
4号;及び第3,447,928号;並びにAgfa
MitteilungenのFarbkuppler−
eine Literaturuebersicht
第III 巻、112〜126頁(1961年)のような代
表的特許及び刊行物に記載されている。
【0044】好ましくは、かかるカプラーは、酸化発色
現像主薬と反応するとイエロー色素を生成するベンゾイ
ルアセトアニリド類及びピバロイルアセトアニリド類の
ようなアシルアミド類である。
【0045】D.酸化発色現像剤と反応すると無色生成
物を生成するカプラーは、英国特許第861,138
号;米国特許第3,632,345号;第3,928,
041号;第3,958,993号;及び第3,96
1,959号のような代表的特許に記載されている。
【0046】好ましくは、かかるカプラーは、酸化発色
現像主薬と反応すると無色生成物を生成する環状カルボ
ニル含有化合物である。
【0047】画像色素形成カプラーは、写真要素に及び
/又は写真処理液、例えば、現像液に包含せしめて、露
光写真要素の現像の際、酸化発色現像主薬と反応可能に
組み合せた状態にすることができる。写真処理液中に包
含されたカプラー化合物は、処理液と共に写真層中を拡
散するようなサイズ及び形状のものでなければならな
い。一般的規則としては、写真要素に包含された際に
は、画像色素形成性カプラーは非拡散性でなければなら
ない;すなわち、それらカプラー化合物が被覆された層
から有意に拡散も流出もしないような分子サイズ及び分
子形状のものであるべきである。
【0048】本発明の写真要素は、発色カプラー及び発
色現像主薬が別々の処理液もしくは組成物に包含されて
いるか又は要素に包含されている慣用技法により処理す
ることができる。
【0049】本発明カプラーが包含される写真要素は、
支持体及び単一のハロゲン化銀乳剤層からなる単純な要
素であってよく、それらは多層又は多色要素であっても
よい。本発明化合物は少くとも1層のハロゲン化銀乳剤
層及び/又は少くとも一層の他層、例えば隣接層中に包
含せしめることができ、この層では、要素層中のハロゲ
ン化銀を現像した酸化発色現像主薬と反応可能に組み合
されるようになる。ハロゲン化銀乳剤層は、このカプラ
ーを含有するか又はこのカプラーを他の写真カプラー化
合物、例えば、色素形成性カプラー、カラーマスキング
カプラー及び/又は競争カプラーと組み合せる。これら
の他の写真カプラーは、画像色素形成写真カプラーとし
て、同一の又は異なる色及び色相の色素を生成すること
ができる。さらに、写真要素のハロゲン化銀乳剤層及び
他の層はかかる層に通常含まれる添加物を含有すること
ができる。
【0050】典型的多層、多色写真要素は、その表面
に、シアン色素画像形成性材料が組み合わさった赤感性
ハロゲン化銀乳剤単位、マゼンタ色素画像形成性材料が
組み合わさった緑感性ハロゲン化銀乳剤単位及びイエロ
ー色素画像形成性材料が組み合さった青感性ハロゲン化
銀乳剤単位、露光及び処理の際に要素から洗い流すこと
ができる色素を生成できる前記の写真カプラーが組み合
さったハロゲン化銀乳剤単位を少なくとも1つ有する支
持体を含んでなることができる。各ハロゲン化銀乳剤単
位は1層又はそれ以上の層か構成されることがあり、各
種単位及び層は互いに異なる位置に配置することができ
る。
【0051】前記カプラーは、写真要素の1種又はそれ
以上の層又は単位中に包含せしめるか又は組み合せるこ
とができる。例えば、INHに影響される層又は単位
は、要素の適当な位置に、INHの作用を所望層又は単
位に限定するスキャベンジャー層を包含せしめることに
より制御することができる。写真要素層の少なくとも一
層は、例えば、媒染剤層又はバリヤ層であってよい。
【0052】感光性ハロゲン化銀乳剤は、粗ハロゲン化
銀結晶、レギュラーハロゲン化銀結晶もしくは微小ハロ
ゲン化銀結晶又はそれらの混合物を含むことができ、塩
化銀、臭化銀、臭ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ化銀、塩
臭ヨウ化銀及びそれらの混合物からなってよい。これら
乳剤はネガティブ作動性乳剤又は直接ポジティブ乳剤で
あってよい。これらは、主にハロゲン化銀粒子表面上に
又は主にハロゲン化銀粒子の内部に潜像を形成すること
ができる。これらは化学増感及び分光増感することがで
きる。これらの乳剤は典型的にゼラチン乳剤であり、他
の親水性コロイドも有用である。Research D
isclosure、1983年1月、Item 22
534及び米国特許第4,434,226号に記載され
ているような平板状粒子感光性ハロゲン化銀は特に有用
である。
【0053】本発明の乳剤及び要素において使用するの
に適する材料の以下の検討は、Research Di
sclosure、1989年12月、Item 30
8119(Kenneth Mason Public
ations Ltd.発行、Dudley Anne
x,12a North Street,Emswor
th,Hampshire P010 7DQ,Eng
land)を引用して行うだろう。これらの開示は引用
することにより本明細書中に含める。この刊行物は、以
「Research Disclosure」と略記
する。
【0054】本発明要素中に用いられるハロゲン化銀乳
剤はネガティブ作動性又はポジティブ作動性であってよ
い。適切な乳剤及びそれらの製造についてはResea
rch Disclosure、第I節及び第II節、並
びにそこで引用される文献に記載されている。本発明要
素の乳剤層及び他層用に適するビヒクルはResear
ch Disclosure、第IX節及びそこに引用さ
れる文献に記載されている。
【0055】前記に概説されるカプラーの他に、本発明
要素は、Research Disclosure、第
VII 節及びそこに引用される文献に記載されているよう
な追加のカプラーを含んでもよい。それらカプラーは、
Research Disclosure、第VII 節及
びそこで引用される文献に記載されている要素及び乳剤
に包含せしめることができる。
【0056】本発明の写真要素又はその個々の層は、蛍
光増白剤(Research Disclosure
第V節)、カブリ防止剤および安定剤(Researc
Disclosure、第VI節)、汚染防止剤およ
び画像色素安定剤(Research Disclos
ure、第VII 節)、光吸収剤および散乱材料(Res
earch Disclosure、第VIII節)、硬膜
剤(ResearchDisclosure、第X
節)、塗布助剤(Research Disclosu
re、第XI節)、可塑剤および滑剤(Researc
Disclosure、第XII節)、静電防止剤
Research Disclosure、第XIII
節)、マット剤(Research Disclosu
re、第XVI節)ならびに現像改質剤(Researc
Disclosure、第XXI 節)を含むことがで
きる。
【0057】これらの写真要素はResearch
isclosure、第XVII 節およびそこで引用され
る文献に記載されているような各種支持体上に塗布する
ことができる。
【0058】これらの写真要素は、典型的には可視領域
のスペクトルの化学輻射線に露光でき、Researc
Disclosure、第XVIII節に記載されてい
るような潜像を形成し、ついで処理してResearc
Disclosure、第XIX節に記載されている
ような可視色素画像を形成することができる。可視色素
画像を形成する工程には、要素を発色現像主薬と接触さ
せ、現像可能なハロゲン化銀を還元し、発色現像主薬を
酸化する工程が含まれる。酸化された発色現像主薬は、
カプラーと次々に反応して色素を生じる。
【0059】本発明において有用な好ましい発色現像主
薬としては、p−フェニレンジアミン類が挙げられる。
特に好ましいものは、4−アミノ−N,N−ジエチルア
ニリン塩酸塩、4−アミノ−3−メチル−N,N−ジエ
チルアニリン塩酸塩、4−アミノ−3−メチル−N−エ
チル−N−β−(メタンスルホンアミド)エチルアニリ
ン硫酸塩水和物、4−アミノ−3−メチル−N−エチル
−N−β−ヒドロキシエチルアニリン硫酸塩、4−アミ
ノ−3−β−(メタンスルホンアミド)エチル−N,N
−ジエチルアニリン塩酸塩および4−アミノ−N−エチ
ル−N−(2−メトキシエチル)−m−トルイジンジ−
ジ−p−トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0060】ネガティブ作動性ハロゲン化銀は、上記の
処理工程によりネガ画像をもたらす。ポジ(または反
転)画像をうるには、この工程を非カラー現像主薬でま
ず現像処理して露光されたハロゲン銀を現像(色素は生
じない)し、次いでその要素を均一にカブらせて未露光
ハロゲン化銀を現像可能なものとすることができる。あ
るいはまた、直接陽画乳剤は、ポジ画像を得るのに使用
することができる。
【0061】現像は、引き続き、通常の漂白、定着また
は漂白定着工程が施されて銀およびハロゲン化銀が除去
され、洗浄そして乾燥される。
【0062】反転画像を形成するには、典型的に現像に
引続き、順次当該技術分野で知られる反転浴処理、次に
発色現像、コンディショナー浴処理、漂白−定着処理が
行われ、次に洗浄、乾燥される。かかる反転工程は、例
えば、British Journal of Pho
tography、1988年、192〜196頁に記
載されている、Eastman Kodak Co.,
U.S.AのE−6処理である。
【0063】前記DIRアセトアニリドカプラーは以下
の一般工程により製造することができる:
【0064】
【化16】
【0065】
【化17】
【0066】前記式中、R13は典型的に、非置換もしく
は置換フェニル、例えば、p−メトキシフェニル;メチ
ル又はピバリルであり;Bはブロッキング基、例えば、
CH2 CCl3 であり;R14は炭素原子数1〜4個のア
ルキル、例えば、メチル又はエチルであり;X1 は水素
又はカプラーに悪影響を与えない置換基、例えば、メチ
ル、エチル、メトキシ、塩素又は臭素であり;
【0067】BALLASTは本明細書において述べ
た、当該技術分野で知られるバラスト基であり;R15
びR16は個々に水素又はアルキル基、例えば、炭素原子
数1〜4個のアルキル、例えば、メチル又はエチルであ
り;Z1 は、バラスト基の他に、要素もしくはDIRカ
プラーに悪影響を与えない基、例えば、NO2 で場合に
より置換されている、前記のような、フェニルもしくは
ナフチル基又は複素環基を完成する原子を表し;INH
は、前記したような、放出可能なメルカプトテトラゾー
ル現像抑制剤基である。
【0068】以下の合成例Aは、前記したようなDIR
アセトアニリドカプラーの製造方法の具体例である:
【0069】
【化18】
【0070】
【化19】
【0071】
【化20】
【0072】
【化21】
【0073】化合物(2):メチル−4,4−ジメチル
−3−オキソバレレート(1)(30.0g、0.19
モル)をキシレン(400mL)中に添加し、それに3−
アミノ−4−クロロ安息香酸(29.6g、0.17モ
ル)を添加し、Dean−Stark装置を用いて還流
加熱した。数分で完全に溶解した。約20mLずつキシレ
ンを30分毎に収集し、新しい溶媒と取り換えた。この
操作を4時間続け、その後、反応混合物を室温まで冷却
した。結晶化生成物をろ別し、ヘプタンで洗浄し次いで
風乾した。粗生成物をアセトニトリルから再結晶して、
31.7g(62%)の化合物(2)を得た。
【0074】化合物(3):化合物(2)(92.0
g、0.309モル)をテトラヒドロフラン(800m
L)及びアセトニトリル(800mL)の混合物に溶解し
た。この溶液に2,2,2−トリクロロメタノール(5
6.2g、0.376モル)及びN,N−ジメチル−4
−アミノピリジン(2.0g)を添加した。テトラヒド
ロフラン(100mL)及びアセトニトリル(100mL)
中のジシクロヘキシルカルボジイミド(63.8g、
0.309モル)を反応溶液に滴加した。添加終了時
に、反応物を室温で数時間攪拌し、次にろ過してジシク
ロヘキシル尿素を除去した。このジクロロメタン溶液を
2N−HCl(X1)で洗浄、乾燥(MgSO4 )、ろ
過次いで減圧濃縮した。濃縮ジクロロメタン溶液を次
に、ジクロロメタン、エチルアセテート及びヘプタン
(2:1:7の比)の混合物で溶離するシリカゲルの短
パッドを通過させた。第1の主バンドを収集すると、溶
媒除去後、生成物、化合物(3)が103g(78%)
得られた。
【0075】化合物(4):化合物(3)(22.0
g、52.27mmol)をジクロロメタン(100mL)に
溶解し、次いでジクロロメタン(20mL)中のスルフリ
ルクロライド(4.32mL、53.83mmol)を室温で
1時間かけて滴加した。t.l.c(ヘプタン中20%
エチルアセテート)によると、なお幾分かの出発材料が
残存するが、新規な主生成物が示された。スルフリルク
ロライド(0.21mL、2.56mmol)の追加バッチを
すべて一度に添加し次いで攪拌を継続した。用いたスル
フリルクロライドの全量は4.53mL、56.39mmol
であった。反応物を室温でさらに30分間攪拌して反応
を完了させる。この最終点でジクロロメタンを減圧除去
し、残留固体をエチルアセテート中に加熱しながら添加
し、冷却し、ヘプタンを幾分添加すると結晶化がおこっ
た。生成物、化合物(4)の収量は21.4g(90
%)。
【0076】化合物(6):化合物(4)(21.0
g、45.30mmol)を2−ヒドロキシ−5−ヒドロキ
シメチルベンゼンヘキサデシルスルホンアミド(16.
14g、37.75mmol)、化合物(5)と共にジメチ
ルホルムアミド(100mL)に溶解し、次いでトリエチ
ルアミン(25.2mL、181.2mmol)を添加した。
得られた黄橙色溶液を次に室温で約3時間攪拌した。最
後に、反応混合物をエチルアセテートで希釈し、2N−
HCl(X3)で洗浄し、乾燥(MgSO4 )し、ろ過
し、次いで減圧濃縮して油状物質とした。残留油状物質
をヘプタン中35%のエチルアセテートに添加し、同一
の溶媒混合物で溶離するフラッシュクロマトグラフィに
かけた。最終の主バンドを収集して生成物、化合物
(6)14.0gを(43%)得た。
【0077】化合物(7):化合物(6)(15.5
g、18.13mmol)を乾燥ジエチルエーテル(100
mL)に溶解し、ジエチルエーテル(10mL)中の三臭化
リン(1.9mL、19.95mmol)を攪拌しながら滴加
した。添加終了後、反応物を室温で15分間攪拌し、次
に2N−HCl(X2)で洗浄し、乾燥(MgSO4
し、ろ過し、次いで溶媒を減圧除去して油状物質を得
た。この油状物質は、次の反応工程に用いるのに十分な
純度を有すると思われるのでさらに精製しなかった。化
合物(7)の収率は100%。
【0078】化合物(8):化合物(7)(15.0
g、16.34mmol)をジメチルホルムアミド(100
mL)に溶解し、2,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1H
−テトラゾール−1−酢酸、n−プロピルエステル、シ
クロヘキシルアミン塩(5.2g、17.16mmol)を
添加した。得られた溶液を室温で1時間攪拌した。最後
に、反応溶液をエチルアセテートで希釈し、2N−HC
l(X3)で洗浄し、乾燥(MgSO4 )し、ろ過し、
次いで溶媒を減圧除去して生成物を油状物質として得
た。この油状物質をエチルアセテート、ジクロロメタン
及びヘプタン(2:1:7の比)の混合物に溶解し、同
一の溶媒混合物で溶離するフラッシュクロマトグラフィ
にかけた。第1主バンドを収集して純粋な化合物
(8)、15.0g(88%)を得た。
【0079】化合物(9):化合物(8)(15.0
g、14.44mmol)を氷酢酸(100mL)中に溶解
し、これに亜鉛粉末(10.0g)を添加した。得られ
た懸濁液を室温で20分間攪拌した。最後に、過剰の亜
鉛粉末及び亜鉛塩をセライトでろ別し、ろ液を減圧濃縮
した。残留油状物質をエチルアセテートに添加し、2.
5%炭酸ナトリウム(X4)及び2N−HCl(X1)
で洗浄し、乾燥(MgSO4 )し、ろ過し、次いで減圧
濃縮して油状物質とした。この油状物質を、1%酢酸を
含有するヘプタン中の40%エチルアセテートに溶解
し、同一溶媒混合物を用いて溶離するフラッシュクロマ
トグラフィにかけた。第1主バンドを収集し、生成物1
0.0g(76%)を得た。
【0080】C4363CIN6 9 2 として: 計算値:%C,56.91;%H,7.00;%N,
9.26;%Cl,3.91;%S,7.07 実験値:%C,56.82;%H,6.92;%N,
9.05;%Cl,4.06;%S,7.65
【0081】前記のDIRナフトール系カプラーは以下
の一般的操作により製造することができる:
【0082】
【化22】 * BALLASTはこの反応の前又は後に付加すること
ができる。
【0083】
【化23】
【0084】以下の合成例Bは、前記のDIRナフトー
ル系カプラーの製造法の具体例である:
【0085】
【化24】
【0086】
【化25】
【0087】
【化26】
【0088】
【化27】
【0089】
【化28】
【0090】化合物(2):フェニル−1,4−ジヒド
ロキシ−2−ナフトエート(1)(100g、356.
78mmol)を脱酸素テトラヒドロフラン(500mL)に
溶解し、次いで脱酸素メタノール(500mL)を添加し
た。この溶液に、室温で窒素雰囲気下に攪拌し、アンモ
ニウムアセテート(50.0g、648.63mmol)を
添加し、濃縮水酸化アンモニウム(1.0L)を続けて
添加した。3時間攪拌後、反応溶液を次に氷冷2N−H
Cl(4.0L)中に注ぎ、十分な濃HClを加えてpH
を1とした。得られた生成物、化合物(2)をろ別し、
水で十分に洗浄して風乾した。粗生成物をジクロロメタ
ンで洗浄し再び風乾した。収量:62.0g(72
%)。
【0091】化合物(3):化合物(2)(50.0
g、0.246mol )を乾燥ピリジン(150mL)に溶
解し次いでアセトニトリル(75mL)を添加した。この
溶液を攪拌し次いで−5℃〜0℃まで冷却した。エチル
クロロホルメイト(50mL、0.523mmol)を次に攪
拌しながら添加し、その間温度を0℃に保持した。添加
後、冷却浴を取りはずし次いで温度を室温まで上げた。
反応混合物を次に徐々に還流加熱し、溶媒を留去した。
温度が約120℃まで上昇し、溶媒150mLが収集され
るまでこの操作を続けた。還流加熱を更に1時間続け
た。次に反応混合物を約50℃まで冷却し、室温に保持
された2N−HCl(3.0L)中に注ぎ入れた。この
懸濁液を次に約15分間攪拌し、ろ過し次いで残渣を
水、アセトニトリル、最後にエーテルで十分に洗浄し
て、生成物、化合物(3)を得た。この化合物は、次工
程に用いるのに十分に純粋であった。収量:43.5g
(77%)。
【0092】化合物(4):化合物(3)(23.0
g、100.35mmol)を脱酸素ジメチルスルホキシド
(250mL)に添加し次いで脱酸素水(25mL)を添加
した。室温で窒素下に攪拌したこの溶液に、85%水酸
化カリウム(9.9g、150.53mmol)を添加し、
溶解するまで約15分間攪拌を続けた。次に、4−クロ
ロ−3−ニトロベンゾアルデヒド(18.62g、10
0.35mmol)を一度に添加し、得られた溶液を60℃
で1時間攪拌した。反応混合物を次に氷冷2N−HCl
(2.0L)中に注ぎ入れ次いでろ別した。生成物、化
合物(4)を水洗し、まだ湿気のあるうちにメタノール
中にスラリー化し、ろ過し次いでエーテルで洗浄した。
この生成物は次工程で用いるのに十分なほど純粋であっ
た。収量:28.0g(74%)。
【0093】化合物(5):粉末状の化合物(4)(2
8.0g、74.01mmol)をテトラヒドロフラン(1
50mL)及びメタノール(100mL)中に懸濁した。水
(100mL)を添加し、続いて、硼水素化ナトリウム
(2.8g、74.01mmol)を少しずつ添加した。さ
らに、テトラヒドロフラン(50mL)を添加して攪拌を
助成した。硼水素化ナトリウムの添加の終了時には完全
に溶解した。反応をさらに15分間進行させ、次に氷冷
2N−HCl(2.0L)中に注ぎ入れ次いで生成物を
ろ別した。生成物、化合物(5)をメタノールで洗浄
し、まだ溶媒で湿っている間にエタノールに懸濁し、還
流加熱した。この溶液を冷却し、ろ過し、メタノール及
びエーテルで洗浄し、最後に風乾した。母液を濃縮して
第2収量を得た。総収量:19.5g(67%)。
【0094】化合物(6):化合物(5)(19.0
g、50mmol)を、85%水酸化カリウム(26.34
g、400mmol)を含有する水(200mL)に懸濁させ
た。この混合物にメタノール(50mL)を添加し、これ
を80℃まで1時間加熱した。得られた暗黄褐色溶液を
冷却し、氷冷2N−HCl(2.0L)中に注ぎ入れ
た。黄色生成物をろ別し、水で十分に洗浄して風乾し
た。収量:17.7g(100%)。
【0095】化合物(7):化合物(6)(17.7
g、50mmol)をテトラヒドロフラン(80mL)中に溶
解し、次いでメタノール(300mL)を添加した。数回
水で次にメタノールで洗浄したラネーニッケルを添加し
て、溶液を55psi で2時間水素化し、その後水素摂取
を停止した。結晶をろ別し、メタノールで洗浄し、次い
で母液を減圧濃縮して生成物、化合物(7)を得た。こ
の生成物は次工程を実施するのに十分な程純粋であるよ
うであった。収量:100%。
【0096】化合物(8):化合物(7)(50.0mm
ol)を乾燥ピリジン(150mL)中に溶解し、ヘキサデ
シルスルホニルクロライド(16.2g、50.0mmo
l)を添加した。この溶液を室温で窒素雰囲気下で30
分間攪拌した。ピリジンを減圧濃縮し、残渣をエチルア
セテートに加えた。このエチルアセテート溶液を次に2
N−HCl(X3)で洗浄し、乾燥(MgSO4 )し、
ろ過し次いで濃縮した。得られた残渣をアセトニトリル
から結晶化した。ろ過、アセトニトリルでの洗浄及び乾
燥後、生成物、化合物(8)の収量は16.3gに達し
た(化合物(6)から算出して53%)。
【0097】化合物(9):化合物(8)(4.0g、
6.53mmol)を乾燥エーテル(30mL)に懸濁し、次
いでエーテル(20mL)中の三臭化リン(0.68mL、
7.18mmol)を15分間かけて滴加した。添加後、反
応物をエーテルで希釈し、このエーテル溶液を2N−H
Cl(X1)で洗浄し、乾燥(MgSO4 )し、ろ過
し、次いで濃縮して化合物(9)を得た。収量は100
%であった。
【0098】化合物(10):化合物(9)(6.53
mmol)をジメチルホルムアミド(40mL)に溶解し、こ
れに2,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1H−テトラゾ
ール−1−酢酸、n−プロピルエステル及びトリエチレ
ンジアミン塩(2.26g、7.18mmol)を添加し、
得られた溶液を室温で15分間攪拌した。反応物をエチ
ルアセテートで希釈し2N−HCl(X1)で洗浄し、
生成した乳剤をブライン(X3)で洗浄することにより
微細化した。エチルアセテート層を乾燥(MgSO4
し、ろ過しそして減圧濃縮して油状物質を得た。この油
状物質をエチルアセテート、ヘプタン及びジクロロメタ
ン(それぞれ3:10:1の比)の混合物に加え、同一
溶媒で溶離するフラッシュクロマトグラフィにかけた。
第1主バンドを収集して生成物、化合物(10)を得
た;収量4.2g(化合物(8)から算出して81
%)。
【0099】C40566 7 2 として: 計算値:%C,60.28;%H,7.08;%N,1
0.54;%S,8.05 実験値:%C,60.23;%H,7.11;%N,1
0.50;%S,7.44
【0100】同様のDIRカプラー類は前記方法で製造
することができる。
【0101】本発明のDIR化合物を包含せしめた写真
要素は好ましくは多層、多色要素である。本発明のDI
R化合物は現像抑制剤を放出して層内アキュータンス効
果を高めることができ、同時に他のカラー記録体のアキ
ュータンス及び色補正用の他層に対しインターイメジ効
果をひき起こすことができる。前記した効果に加えて、
それらのDIR化合物は、それら自身のカラー記録体
を、層間インターイメジ効果(IIE)の極めて良好な
受容体とするのに極めて有効である。IIEを受容する
性能が増加した結果、アキュータンス及び色純度が有意
に改良される。
【0102】以下の例により本発明をさらに説明する。 例1〜7:例1(比較) A−比較写真要素:セルローストリアセテートフィルム
製支持体を以下の層で被覆した:(被覆量は平方メート
ル当りのgで表わす)。
【0103】層1(ハレーション防止層) 0.323g/m2 の銀及び2.691g/m2 のゼラ
チンを含有する黒色コロイド状銀ゾル。
【0104】層2(低感度シアン層) 1.3g/m2 の2種類の赤色増感ヨウ臭化銀粒子のブ
レンドの、中位サイズ平板状乳剤(3.0モル%ヨウ化
物)及び1.1g/m2 の小立方状乳剤(3.5モル%
ヨウ化物)、3.0g/m2 のゼラチン、0.87g/
2 のシアン画像形成性カプラーC−1、0.065g
/m2 のDIRカプラーD−1、0.01g/m2 の漂
白促進剤放出カプラーD−2並びに0.036g/m2
のかぶり防止剤4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,
3a,7−テトラアザインデン。
【0105】層3(高感度シアン層) 0.81g/m2 の赤色増感平板状ヨウ臭化銀乳剤
(6.0モル%ヨウ化物)、0.151g/m2 のシア
ン色素形成性画像カプラーC−1、0.065g/m2
のDIR化合物D−1、0.032g/m2 のD−3、
1.68g/m2 のゼラチン、及び0.036g/m2
のかぶり防止剤、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,
3,3a,7−テトラアザインデン。
【0106】層4(中間層) 0.054g/m2 の酸化現像主薬スキャベンジャー及
び1.3g/m2 のゼラチン。
【0107】層5(低感度マゼンタ層) 0.54g/m2 の緑色増感平板状ヨウ臭化銀乳剤
(6.0モル%ヨウ化物)、0.26g/m2 の緑色増
感平板状乳剤(1.5モル%ヨウ化物)、0.344g
/m2 のマゼンタ色素形成性画像カプラーM−1、0.
075g/m2 のDIR化合物D−4、0.108g/
2 のマスキングカプラーM−2、1.64g/m2
ゼラチン及び0.036g/m2 のかぶり防止剤、4−
ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラア
ザインデン。
【0108】層6(高感度マゼンタ層) 0.754g/m2 の、2種類の緑色増感平板状ヨウ臭
化銀粒子の、高感度乳剤(3.0モル%ヨウ化物)、
0.538g/m2 の中感度乳剤(3.0モル%ヨウ化
物)、0.151g/m2 のマゼンタ色素形成性画像カ
プラーM−1、0.065g/m2 のマスキングカプラ
ーM−2、1.40g/m2 のゼラチン、0.043g
/m2 のDIRカプラーD−4、及び0.036g/m
2 のかぶり防止剤、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,
3,3a,7−テトラアザインデン。
【0109】層7(イエローフィルター層) 0.86g/m2 のゼラチン、0.043g/m2 のC
arey Lea銀、及び0.054g/m2 の酸化現
像主薬スキャベンジャー。
【0110】層8(低感度イエロー層) 0.36g/m2 の青色増感平板状ヨウ臭化銀乳剤
(3.0モル%ヨウ化物)、0.10g/m2 の青色増
感平板状臭ヨウ化銀乳剤(3.0モル%ヨウ化物)、
1.73g/m2 のゼラチン、0.883g/m2 のイ
エロー色素形成性画像カプラー、0.097g/m2
DIRカプラーD−5。
【0111】層9(高感度イエロー層) 0.43g/m2 の青色増感平板状ヨウ臭化銀乳剤
(3.0モル%ヨウ化物)、0.807g/m2 のゼラ
チン、0.513g/m2 のイエロー色素形成性画像カ
プラーY−1、0.032g/m2 のDIRカプラーD
−5。
【0112】層10(保護オーバーコート及びUVフィ
ルター層) 1.24g/m2 のゼラチン、0.23g/m2 の臭化
銀リップマン乳剤、0.23g/m2 のUV吸収剤及び
総ゼラチン重量の1.8%で添加したビス(ビニルスル
ホニル)メタン。
【0113】例2(本発明) 第2の写真記録材料(例2と称す)を例1と同様にして
製造した。以下の修正を層5(高感度マゼンタ層)につ
いて行った:
【0114】マゼンタDIR D−4を、0.034g
/m2 の、処理後フィルム中に永存色素を形成しない新
規なDIRカプラーD−Aと置き換えた。
【0115】例3(参考例参考の 写真記録材料(例3と称す)を例1と同様にして
製造した。以下の修正を層5(高感度マゼンタ層)につ
いて行った:
【0116】マゼンタDIR D−4を、0.039g
/m2 の処理後フィルム中に永存色素を形成しない新規
なDIRカプラーD−Bと置き換えた。
【0117】例4(本発明) 第4の本発明写真記録材料(例4と称す)を例1と同様
にして製造した。以下の修正を、層5(高感度マゼンタ
層)について行った:
【0118】マゼンタDIRカプラーD−4を、0.0
17g/m2 の、処理後フィルム中に永存色素を形成し
ない新規なDIRカプラーD−Cと置き換えた。
【0119】例5(本発明) 第5の本発明写真記録材料(例5と称す)を例1と同様
にして製造した。以下の修正を層5(高感度マゼンタ
層)について行った:
【0120】マゼンタDIR D−4を、0.040g
/m2 の、処理後フィルム中に永存色素を形成しない新
規なDIRカプラーD−Dと置き換えた。
【0121】例6(比較例)比較の 写真記録材料(例6と称す)を例1と同様にして
製造した。本例は、例7とのサイド−バイ−サイド比較
をするために調製した。以下の修正をマゼンタ記録層に
ついて行った:
【0122】層4(低感度マゼンタ層)−マゼンタ色素
形成性カプラーM−1を、0.678g/m2 のポリマ
ー性マゼンタカプラーM−3と置き換えた。
【0123】層5(高感度マゼンタ層)−マゼンタ色素
形成性カプラーM−1を、0.297g/m2 のポリマ
ー性マゼンタカプラーM−3と置き換えた。
【0124】例7(本発明) 第7の本発明写真記録材料(例7と称す)を例2と同様
にして製造した。以下の修正をマゼンタ記録層について
行った:
【0125】層4(低感度マゼンタ層)−マゼンタ色素
形成性カプラーM−1を、0.678g/m2 のポリマ
ー性マゼンタカプラーM−3と置き換えた。
【0126】層5(高感度マゼンタ層)−マゼンタ色素
形成性カプラーM−1を、0.297g/m2 のポリマ
ー性マゼンタカプラーM−3と置き換えた。
【0127】例1〜7において述べた多層コーティング
をステップタブレットを用いて化学放射線に露光した。
すべての層を現像する場合にはコーティングが一様露光
するように、又緑色層のみを現像可能にする場合は緑色
分離露光ができるように適切なフィルターを用いた。こ
れらの露光したフィルム細片を、Eastman Ko
dak Co.,U.S.A.のC−41処理(Bri
tish Journal of Photograp
hy Annual、1988年、196〜198頁に
記載)を用いて処理し、フィルム細片のコントラスト
(ガンマ)を測定した。緑色(分離露光)の緑色の、一
様露光の緑色に対するガンマ比を、緑色記録受容中間層
インターイメジ効果(IIE)の効率の目安として用い
た。この比が高ければ高い程、緑色記録に対するIIE
が高い。フリンジカメラを用い、一様露光又は緑色分離
露光のいずれかで露光し、続いて前記のC−41処理で
処理することにより、アキュータンスも測定した。35
mm−システムインテグレーションのAMT数を、アキュ
ータンスの目安として用いた。写真データを表I及び表
IIに要約した。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】本発明のDIRカプラーは、従来のDIR
カプラーと比較してアキュータンスを改良しかつインタ
ーイメジ効果を改良することが、データーから読み取れ
る。
【0131】前記例中に示したカプラーの構造は以下の
とおりである:
【化29】
【0132】
【化30】
【0133】
【化31】
【0134】
【化32】
【0135】
【化33】
【0136】
【化34】
【0137】特に有用な現像抑制剤放出カプラーは以下
のものである:
【0138】
【化35】
【0139】
【化36】
【0140】
【化37】
【0141】本発明を、その好ましい実施態様を特に参
照することにより詳細に説明してきたが、変更及び修正
を本発明の精神及び範囲内で行うことができることは理
解されるところである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−219747(JP,A) 米国特許5026628(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 7/305

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カプラーをして、処理中に要素から洗い
    流せる色素を酸化カプリングの際生成することを可能に
    する可溶化基を含有し、かつ、放出可能な可動性現像抑
    制剤部分を少なくとも1個含むカプリング離脱基をカプ
    リング位に含有する、現像抑制剤放出カプラーの少なく
    とも1と、組み合わさった写真ハロゲン化銀乳剤層を
    少なくとも1層有する支持体を含んでなるカラー写真要
    素であって、 前記現像抑制剤放出カプラーが、−CONH 2 を2位に
    含有するナフトール系カプラーであり;そして順に、
    (1)バラスト化連結基、及び(2)pH10の緩衝液
    中のLogPを−0.8未満にすることができるメルカ
    プトテトラゾール基である放出可能な現像抑制剤基少な
    くとも1個、からなる カプリング離脱基を、カプリング位に含有する
    カラー写真要素。
  2. 【請求項2】 前記バラスト化連結基が、 【化1】 (前記式中、 5 は写真技術分野において知られているバラスト基で
    あり; 6 はメルカプトテトラゾール現像抑制剤の硫黄原子に
    結合した非置換もしくは置換のメチレン基であり; TはO又はSであり;そしてZはフェニルもしくはナフ
    チル基又は複素環基を完成する原子である)により示さ
    れる基からなる群より選ばれる、請求項1記載のカラー
    写真要素
  3. 【請求項3】 −CONH 2 を2位に含有するナフトー
    ル系カプラーであり;そして順に、(1)バラスト化連
    結基、及び(2)pH10の緩衝液中のLogPを−
    0.8未満にすることができるメルカプトテトラゾール
    基である放出可能な現像抑制剤基少なくとも1個、 からなるカプリング離脱基を、カプリング位に含有す
    る、現像抑制剤放出カプラーであって、前記バラスト化
    連結基が、 【化2】 (前記式中、 5 は写真技術分野において知られているバラスト基で
    あり; 6 はメルカプトテトラゾール現像抑制剤の硫黄原子に
    結合した非置換もしくは置換のメチレン基であり; TはO又はSであり;そしてZはフェニルもしくはナフ
    チル基又は複素環基を完成する原子である)により示さ
    れる基からなる群より選ばれる、現像抑制剤放出カプラ
  4. 【請求項4】 【化3】 からなる群より選ばれる、現像抑制剤放出カプラー。
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