JP3195334B2 - 機械混和性ポリウレタン/ポリオレフィン熱可塑性ポリマーブレンド - Google Patents

機械混和性ポリウレタン/ポリオレフィン熱可塑性ポリマーブレンド

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱可塑性製品を成形するのに有用な熱可塑
性ポリマーブレンドに関し、具体的には多量のポリウレ
タンポリマーおよび少量の結晶ポリオレフィンポリマー
を含んでなる機械的に安定で機械混和性の熱可塑性ポリ
マーブレンドに関する。
〔発明の背景〕
熱可塑性ポリウレタンポリマーは、ヒドロキシル基末
端を有するポリエステルもしくはポリエーテルおよびグ
リコール類ならびにジイソシアネート類からなる二官能
性反応体の共反応により製造される線状非架橋性ポリマ
ーである。熱可塑性ポリウレタンの硬度は、グリコール
(硬質)対ポリエステルもしくはポリエーテル(軟質)
の比に応じて変化し、エラストマーとして知られる軟質
熱可塑性物かまたはプラスチックとして知られる硬質熱
可塑性物が製造される。高い硬度と剛性は、成形プラス
チック製品にとっては好ましい性質であるが、このよう
な製品は弱いレジリエンス、脆性、低い耐衝撃性および
靭性のような弱い低温特性を、特に屋外適用のための約
−30℃から室温までの温度で示す傾向がある。
ポリウレタンポリマーは極性ポリマーであるが、ポリ
エチレンおよびポリプロピレンポリマーは非極性であ
る。本発明以前には、熱可塑性ポリオレフィンポリマー
は熱可塑性ポリウレタンポリマーとの混和性がないもの
と事実上受け取られていたのが普通であった。このポリ
マーブレンドの3重量%未満からなるポリオレフィンの
添加量だけが利用できたにすぎない。
例えば、米国特許第3,929,928号明細書は、ポリエチ
レンと熱可塑性ポリウレタンのミルブレンドが両ポリマ
ーの非混和性のために極端なプレートアウトをもたらす
ことを指摘している。何人かの研究者は、Organic Coat
ings Plastics Chemistry,第40巻、664ページ(1979)
において、どのようなポリウレタン/ポリエチレンブレ
ンド比でも有用な試験検体を練りロール機で調製するこ
とが不可能であると報告している。同様に、Walkerは、
Handbook of Thermoplastic Elastomers、セクション5.
4.17でポリウレタンポリマーの低密度ポリオレフィン変
性剤は、両ポリマーの非混和性のために逆効果を避るに
は3%より低く維持しなければならないと報告する。米
国特許第3,272,890号明細書は、ポリオレフィンと軟質
ポリウレタンの利用可能なブレンドを主張しているが、
このようなブレンドは、ポリオレフィンを基材とし25重
量%未満のポリウレタンポリマーを含有しており、ポリ
ウレタンポリマー含有が25%を越える場合には非混和性
で有用なプラスチック容器に成形できない。結晶性高密
度ポリエチレンまたはポリプロピレンのブレンドは、結
晶性ポリオレフィンとポリウレタンの非混和性のために
調製することがいずれにしても一層困難である。米国特
許第4,238,574号明細書には、中和エチレン/カルボン
酸コポリマーを15重量%未満含有する熱可塑性ポリウレ
タンエラストマーが利用できるブレンド法を記載してお
り、吹込成形法で利用できるエラストマーブレンドを提
供する。
結晶性ポリオレフィンポリマーの20重量%までを、高
い硬度の熱可塑性ポリウレタンエラストマーと連続的に
ブレンドし、それぞれのポリマーの溶融物を高剪断混合
により2種のポリマーの均一で機械的に安定な混和性ポ
リマーブレンドを生成することがここに見い出された。
本発明によれば、約3.5〜20重量部の結晶性ポリオレフ
ィンホモポリマーまたはコポリマーを、100重量部の熱
可塑性ポリウレタンポリマーとブレンドし、機械的に安
定な混和性ポリマー混合物が調製され得る。ポリマーブ
レンドの高剪断ブレンディングは、高剪断ミキサー、例
えば一軸もしくは二軸スクリュー押出機またはブッシュ
(Buss)混練機を用い、それぞれのポリマーの溶融温度
以上に昇温し機械混和性ポリマー混合物が生成するのに
十分な時間をかけて実施することができる。一般的な低
剪断ミキサー、例えば二軸ロール練り機またはバンバリ
ーミキサーは、十分な剪断力を与えず、巨視的に相分離
非混和性ポリマーブレンドをもたらすことが見い出され
た。
驚くべきことに、本発明の改良ポリオレフィン変性ポ
リウレタンポリマーブレンドは、相当改良された物理的
性質、具体的には低温衝撃性ならびに改良された硬度、
レジリエンス、剛性および靭性を示す成形プラスチック
製品に利用可能な非常に好ましい組成物を提供する。ま
たさらに、加工中に減少した溶融粘度および減少した圧
によるゆらぎが本発明のポリオレフィン変性ポリウレタ
ンブレンドの高剪断加工によって得られるので、加工性
が改良される高剪断加工工程で本発明の利点が得られ
る。前記のポリマーブレンドは、しばしば低温、例えば
約−30℃に曝される特にフィルム、シート、ホース、自
動車外部装備品および類似のプラスチック製品の成形用
として有用である。本発明のこれらの利点および他の利
点は、以下の本発明の詳細な記載および具体例を参照す
ればより明瞭になるであろう。
〔発明の概要〕
手短かに言えば、本発明は、重量基準でポリウレタン
ポリマー100重量部当たりポリオレフィン変性剤約3.5〜
20重量部を含む熱可塑性ポリウレタンおよび結晶または
主として結晶ポリオレフィンポリマーの機械的に安定な
混和性ポリマーブレンドから成る。このポリウレタンお
よびポリオレフィンポリマーは、溶融混和性混合物を生
成するのに十分な時間高い温度で高剪断混合することに
より安定な混和性ポリマー混和物へと加工される。プラ
スチック製品は、ポリマーの機械混和性混合物から成形
することができる。
〔発明の詳細な説明〕
本発明の機械的に安定な混和性ポリマープレンドは、
線状熱可塑性ポリウレタンおよび結晶性ポリオレフィン
ポリマーから成る。「機械混和性」の語は、著しい巨視
的な相分離が加工後にヒトの肉眼により全く認められな
いことを意味する。
まず最初に、熱可塑性ポリウレタンポリマーとは、ヒ
ドロキシル基を末端に有するポリエステルおよび/また
はポリエーテルとグリコールならびに得られるポリウレ
タンポリマーにおけるフリーの未反応イソシアネート基
を避けるためにより少ないモル当量のジイソシアネート
の共反応生成物からなる線状非架橋ポリマーをいう。モ
ル基準で本発明の熱可塑性ポリウレタンポリマーは、広
く、ヒドロキシル官能性ポリエステルおよび/またはポ
リエーテルジオール約0.04〜約1モル、グリコール約0
〜約0.96モルならびにジイソシアネート約0.95〜約1.0
モルを含むことができる。本発明のポリウレタンは、ポ
リウレタン全体が一般に熱可塑性であるように硬質およ
び軟質セグメントまたは中間部を有する。ショアーD硬
度が40、好ましくは50を越えるいずれかの一般的な型の
熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、当該技術分野お
よび文献公知のものも含めて使用することができる。好
ましくは、ポリウレタンは低分子ポリエステル中間体か
ら製造される。
本発明の好ましいポリウレタンは、場合により架橋剤
が除去されるので、連鎖生長または架橋せずしかも一般
にそれらの中にフリーのイソシアネート基を全く含まな
い。ポリウレタンの好ましい型は、炭素原子2個(すな
わち、エチレングリコール)から約10個を有するグリコ
ールのようなポリオールと炭素原子2〜約10個を有する
ジカルボン酸との縮合反応により製造される中間体から
得られる。ジカルボン酸の具体例としては、マロン酸、
コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、セ
バチン酸、スベリン酸、アゼライン酸およびマレイン酸
などが挙げられる。ポリエステル中間体の分子量は、一
般に約500もしくは600〜約1,200もしくは1,500のごとく
低い。使用されるポリイソシアネートとしては、一般に
トリフェニルメタン−p,p′−ジイソシアネートなどの
芳香族ジイソシアネートならびに各種ジフェニルジイソ
シアネーオ、例えばジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ジクロロフェニルメタンジイソシアネート、ジフェ
ニルジメチルメタンジイソシアネート、パラフェニレン
ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、
ナフタレン−1,5−ジイソシアネートおよびメタトリレ
ンジイソシアネートなどが挙げられる。各種成分相互間
の割合は、実質的に架橋などを含まないポリエステルウ
レタンエラストマーを生成するについて重要である。こ
のようなポリエステル中間体の例は、Schollenbergerに
対する米国特許第2,770,612号および同2,871,218号に示
されており、ここにこれらを引用することにより全体が
本明細書の内容となる。
熱可塑性エラストマーポリエステルウレタンのもう一
つの型は、分子量約250〜約2,500を有するポリエステル
中間体を生成する炭素原子3〜約10個を含有する飽和グ
リコールと反応させるフタル酸から製造される。このポ
リエステル中間体は、一般に代表例としてパラフェニレ
ンジイソシアネート、4,4′−ビベンジルジイソシアネ
ート、ジアニシデンイソシアネート、メタフェニレンジ
イソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびビト
リレンジイソシアネートなどを含む当該技術分野で既知
の芳香族ジイソシアネートのいずれの型のものとも反応
する。このようなポリウレタンは架橋を含まず、実質的
にフリーのイソシアネート基をその中に全く含まない。
このような型のポリエステルウレタンのより詳細は、Sc
hollenbergerに対する米国特許第3,015,650号明細書に
示されており、ここに引用することによりその全ては本
明細書の内容となる。
使用することができるさらに別の型の適当な熱可塑性
エラストマーポリエステルウレタンは、分子量約400〜
約10,000、好ましくは約800〜約6,000を有する長鎖ポリ
エステル中間体とポリイソシアネート、好ましくはジイ
ソシアネートならびに分子量約400未満を有する連鎖延
長剤との反応による得られるものである。好ましい連鎖
延長剤には、分子量約380未満を有する短鎖ジオールを
含む。イソシアネート基とヒドロキシル基の当量比は、
約0.9〜約1.1、好ましくは約0.98〜約1.04である。従っ
て、この型のポリエステルは、一般に前述の型のものよ
り高分子量を有する。このようなエラストマーポリエス
テルウレタンは、Tg0℃以下、好ましくは約−10℃〜約
−55℃を有し、引用することにより全てが本明細書の内
容となる米国特許第4,397,974号および同4,542,170号明
細書に示されている。
本発明で使用することができそして実質的に架橋を含
まないさらに別の型の熱可塑性エラストマーポリエステ
ルウレタンは、炭素原子3〜6個を含有するアルキレン
基を伴うポリ(オキシアルキレン)ジオールから製造さ
れる。このものは、炭素原子4〜12個、好ましくは炭素
原子4〜6個を含有する脂肪族グリコールと反応され
る。このポリエステル中間体は、一般に分子量約800〜
約4,000の低分子量を有する。このようなポリエステル
中間体は、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェ
ニルメタン−p,p′−ジイソシアネート、ジクロロジフ
ェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメ
タンジイソシアネート、ビベンジルジイソシアネートお
よびビトリレンジイソシアネートなどのジフェニルジイ
ソシアネートと反応される。この好ましい型のエラスト
マーポリウレタンのより詳細な記載は、引用することに
より全体が本明細書の内容となるSchollenbergerに対す
る米国特許第2,899,411号明細書に示されている。この
ようなポリマーは当該技術分野で既知であり、かつ市販
されている。これらは、Bruins,“Polyurethane Techno
logy,"Interscience Publishers,198〜200ページ、1969
ならびにModern Plastics Encyclopedia、第52巻、No.1
0A、1975、84ページにも記載されている。
ポリオレフィンは、炭素−炭素不飽和二重結合を含有
するオレフィンエチレン系不飽和モノマーのホモポリマ
ーまたはコポリマーから成る線状結晶または主に結晶性
ポリマーである。有用なオレフィンモノマーは炭素原子
2〜6個を含み、エチレン、プロピレン、α−もしくは
β−ブチレン、イソブチレン1−および2−ペンテン、
2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテンおよ
び1−ヘキセンを含むことができる。特に有用なオレフ
ィンモノマーとしては、α−オレフィンが挙げられ、そ
して特に好ましいオレフィンモノマーとしてはエチレン
およびプロピレンが挙げられる。最も好ましいポリオレ
フィンは、エチレンもしくはプロピレンのホモポリマー
またはエチレンとプロピレンのコポリマーから成る。好
ましいエチレンホモポリマーには、高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレンおよび線状低密度ポリエチレン
が含まれる。好ましいコポリマーは、重量基準で1%〜
50%、好ましくは3%〜25%、最も好ましくは4%〜15
%のエチレンモノマーと残余がプロピレンモノマーから
成る。ポリオレフィンのメルトインデックスは、約1〜
50g/10分、好ましくは約1〜20g/10分、より好ましくは
約1〜15g/10分であってよい。密度またはポリオレフィ
ンポリマーの単位容量当たりの重量はポリオレフィンの
種類に応じる。前記高密度ポリエチレンは、一般に約0.
93〜約0.97g/cm3の密度を有する。中密度ポリエチレン
は、約0.93〜約0.94g/cm3の密度を有する。線状低密度
ポリエチレンは約0.91〜約0.94g/cm3を有し、溶融ピー
ク範囲は100℃〜約135℃を有する。好ましい線状低密度
ポリエチレンは、約0.91〜約0.93g/cm3の密度を有し、
メルトインデックスが約0.5〜5.0g/10分を有する。低密
度ポリエチレンは約0.91〜約0.94g/cm3の密度を有し、
メルトインデックスが0.1〜50g/10分を有する。好まし
いポリプロピレンホモポリマーは、約0.90〜約0.95の密
度を有し、メルトインデックスが約0.1〜約40g/10分を
有する。ポリプロピレン−エチレンコポリマーは、一般
に約0.90〜約0.94の密度を有し、約0.1〜約40g/10分の
メルトインデックスを有する。前記メルトインデックス
は、ASTM D1238により測定された。
本発明によれば、熱可塑剤ポリウレタンエラストマー
および結晶性ポリオレフィン変性剤のポリマーブレンド
は、重量基準でポリウレタンポリマー100部に対してポ
リオレフィン約3.5部〜20部、好ましくは約3.5部〜15部
を含んでなる。このポリマーブレンドは、両ポリマーの
溶融物を高剪断混合により調製されポリマーの機械的に
安定な混和性混合物を提供する。
得られるポリマーブレンドは、成形組成物として使用
することができるが、通常、強化剤、繊維、充填材なら
びにモールド剥離剤、光および酸素分解安定剤のような
他の添加剤ならびに典型的には無機物質がポリマーブレ
ンドに組み入れられる。これに関して、強化剤をポリウ
レタン/ポリオレフィンブレンドに添加して寸法安定性
を改良することができる。強化剤は、ポリウレタン100
重量部当たり約0〜約50重量部、好ましくは約10〜約40
重量部、より好ましくは約15〜約35重量部添加される。
本発明のポリウレタンブレンドに使用される強化剤に
は、当該技術分野で既知の強化剤を含むが、特に繊維を
含む。適当な繊維としては、ガラス、炭素、グラファイ
ト、ポリエステルおよびナイロンなどが挙げられる。し
かしながら、高溶融繊維、すなわち、240℃より大き
い、好ましくは約260℃より大きい融点を有するもので
あればすべて使用することができることを理解しなけれ
ばならない。長さ対直径の比が少なくとも1,000を有す
る繊維の使用が好ましい。特により適切な強化剤は、長
さ約2.54〜約25.4mm(約0.10〜約1.0インチ)、好まし
くは約5.08〜15.24mm(約0.20〜約0.60インチ)を有
し、そして直径が10〜20ミクロンであるガラス繊維、例
えばOwens−Corning Fibersで製造され商品名Fiberglas
sの下に販売されそしてオルガノアミノシランのような
寸法安定剤を一般的に有するものである。
本発明で使用することができる充填剤には、カーボン
ブラックのような顔料、二酸化チタン、赤色酸化鉄、炭
酸カルシウムのような着色顔料、シリカのような鉱物質
充填剤などの当該技術分野で既知のものが含まれる。充
填剤は、ポリウレタン100重量部当たり、約0〜約20重
量部、好ましくは約0〜約15重量部の量で使用すること
ができる。
前記に加え、他の常用されている添加剤、例えば抗酸
化剤、抗オゾン剤および凝集剤として知られているタル
クを添加してもよい。
前記に加え、他の常用されているポリマー添加剤、例
えばアクリル酸、ブタジエンおよびスチレンから製造さ
れるポリマー、スチレンおよびアクリロニトリルのコポ
リマーならびにアクリルポリマーなどを添加することも
できる。
本発明の方法では、ポリウレタンポリマーおよびポリ
オレフィンポリマーの溶融ブレンド物を高剪断条件下で
親密に混合する高剪断ブレンディングが機械的に安定な
混和性ポリマー混合物を調製するために特に重要であ
る。本発明の高剪断条件は、約750/秒を越え、好ましく
は少なくとも約1,000/秒の剪断速度を有する。高剪断ミ
キサー中でのポリマー溶融の残存または滞在時間は、ポ
リマーの溶融特性ならびに高剪断混合装置に応じて少な
くとも1分、好ましくは少なくとも1.5分、典型的には
2〜10分、好ましくは2〜3分であるが、ポリマーの均
一安定性および機械混和性混合を達成するのに十分な時
間であらねばならない。高剪断混合条件は、加熱一軸ス
クリュー押出機もしくは二軸スクリュー押出機またはブ
ッシュ(Buss)混練機もしくは類似の加熱高剪断ミキサ
ーを使用することにより達成することができる。ポリウ
レタンおよびポリオレフィンポリマーを溶融し、次いで
いずれかの他の添加剤と共にブレンドしてもよい。例え
ば、最初にポリウレタンを溶融するかもしくは最初にポ
リオレフィンを溶融し、または両ポリマーを一緒に溶融
した後、すぐさま溶融した組成物を高剪断混合工程を通
過させる。ポリウレタンおよびポリオレフィンポリマー
は、215℃より高い温度、好ましくは215℃〜245℃、よ
り好ましくは約215℃〜約235℃の温度にポリマーを加熱
することにより個別または一緒に溶融することができ
る。
典型的な高剪断押出し成形機は、それぞれのポリマー
を一緒に溶融するための適当な加熱手段を装備した取り
入れ口を含む。二軸スクリュー押出機では、例えば、取
り入れ口または供給域はポリマー溶融物を形成するため
に215℃を越える温度に加熱することができ、次にこの
溶融物を約220℃〜240℃に加熱した高剪断混合域を通過
させて均一な混和性ポリマー混合物を形成することがで
きる。押出し成形機の出口または排出域は、約210℃〜2
20℃の温度に加熱することができるダイ装置を備えてい
てもよい。押し出された材料は冷却して凝固すること
で、この凝固した材料は成形加工、例えば射出成形、押
し出し成形または圧延成形で利用可能な小粒状体に調製
する。典型的な高剪断混合装置は、ポリウレタンおよび
ポリオレフィンポリマーが別個の箇所から添加すること
ができ、同時に繊維、充填剤および他の添加剤を高剪断
工程後に溶融混合物に添加することができる複数の供給
域または取り入れ口を含む。
典型的には、化学的な相溶性または熱力学的な混和性
は、好ましいブレンドに本質的に必要とされるので、本
発明のブレンド物は、本発明のパラメーター内にあるも
のを除き、それらが化学的に相溶性でなくまたは熱力学
的に混和性でないものを無視した。好運なことに、前記
の機械混和性は、良好な低温耐衝撃強度、相当に剛性し
かも優れた加工特性を有するブレンドを提供するのに十
分であった。
以下の例で本発明の長所をさらに示し、そしてポリウ
レタンおよびポリオレフィンポリマーを混合するための
高剪断処理で均一な安定性を有し、かつ混和性ポリマー
混合物の調製を説明する。別に記載しない限り表示され
る量は重量により、温度は℃によった。使用した高剪断
混合装置は、詳細について米国特許第3,963,679号明細
書に記載されるような二軸スクリュー押し出し機、Mode
l ZSK−30(Werner & Pfleidener製)であった。
物理的特性および性質を測定するための試験方法は、
以下のとおりである: a)耐衝撃性:アイゾッド衝撃、−30℃でASTM D256に
より測定されるフィート−ポンド/インチによりノッチ
なし。
b)Tg:℃におけるガラス転移温度(Tg)であり、流動
度測定用動的機械的スペクトロメーター(捩りモード、
度数=1ラジアン/秒)を使用して測定した場合に低下
する弾性率が最大である温度。
例 1 例で使用したポリウレタンおよびポリオレフィンの原
料は次のとおりである: ポリウレタン: a)熱可塑性ポリウレタンエラストマーA:芳香族ポリエ
ステル型熱可塑性ポリウレタン。ショアーD硬度=45;
破断までの引張伸び=550%;曲げ弾性率=5,700psi;−
30℃におけるノッチなしのアイゾッド衝撃強さ=36ft−
lb/in;およびTg=−48℃。
b)熱可塑性ポリウレタンエラストマーB:芳香族ポリエ
ステル型熱可塑性ポリウレタン。ショアーD硬度=55;
破断までの引張伸び=450%;曲げ弾性率=16,800psi;
−30℃におけるノッチなしのアイゾッド衝撃強さ=18ft
−lb/in;およびTg=−39℃。
c)熱可塑性ポリウレタンエラストマーC:芳香族ポリウ
レタン型熱可塑性ポリウレタン。ショアーD硬度=70;
破断までの引張伸び=240%;曲げ弾性率=30,000psi;
−30℃におけるノッチなしのアイゾッド衝撃強さ=5ft
−lb/in;およびTg=−17℃。
前記の熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、米国特
許第2,871,218号明細書に準じて製造した。
前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーA〜Cの製造
に用いられるポリエステルポリオール中間体は、この米
国特許第2,871,218号明細書の第2欄37〜53行に記載さ
れ、また、連鎖延長剤については同明細書の第2欄54〜
68行に記載されている。また、その際に一般に使用され
るジイソシアネート成分については、同明細書第2欄69
〜72行および第3欄1〜10行に開示されている。これら
各成分は、一般に同明細書の第3欄11〜75行および第4
欄1〜27行に開示される記載にしたがって調製され、上
記ポリウレタンエラストマーA〜Cが製造された。
ポリオレフィン d)Profax 6523:汎用ポリプロピレン樹脂(Himount U.
S.A.,Inc.)。溶融流量=4g/10分。
e)Profax SB222:約4%の共重合ポリエチレンを有す
る変性ポリプロピレン。溶融流量=5g/10分。
f)Dowlex 2032:低密度ポリエチレン樹脂。溶融流量=
2.0g/10分。
g)USI NA 213:低密度ポリエチレン、密度=0.924g/cm
3、溶融流量=8.0g/10分。
繊 維 h)OCF497−DB:ガラス繊維、Owens Corning Fiberglas
s製の1/4インチ品。
前記の原料の各種組み合わせ物を、高剪断二軸スクリ
ュー加熱押出機Model ZSK−30を用いて高剪断混合によ
り加工した。押出機の混合域は、約215〜240℃の温度に
維持した。滞在時間は、2〜3分間で変動させた。得ら
れたポリマーブレンドは各ポリマーの均一混和性ブレン
ドであった。このものに繊維を含ませたものおよび繊維
を含ませないものを、固体熱可塑性試験試料に射出成形
した。結果をそれぞれ第I表(繊維を含まず)および第
II表(繊維を含む)に示した。比率は重量部である。
例 2 同様に、例1における高剪断混合法に準じてポリマー
ブレンド組成物を調製し、次いでガラス繊維を添加する
ことにより繊維強化ポリマーブレンドを調製した。結果
を第II表に示す。
〔発明の効果〕 前述の例は、本発明による高剪断混合により調製され
たポリウレタン及びポリオレフィンポリマーの機械混和
性ポリマー混合物によって得られる改良を示す。成形製
品の改良された物性は、特に、改良された低温(すなわ
ち−30℃)耐衝撃硬度および靭性が得られると同時に、
ポリウレタンポリマーの硬度に応じて伸び率および曲げ
弾性率が保持されるかまたは改良される。驚くべきこと
に、ポリマー溶融物の高剪断ブレンディングは、通常は
非混和性ポリマーのポリマー安定化ブレンドを安定な機
械的混和性ポリマーブレンドに形成することを可能にし
た。剪断粘度の減少は、多量の射出成形にとって非常に
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−31863(JP,A) 特開 昭62−295954(JP,A) 特開 昭63−130403(JP,A) 特開 昭61−149178(JP,A) 特開 昭60−217264(JP,A) 特開 昭54−8652(JP,A) 特開 昭50−76165(JP,A) 特開 昭61−271351(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 75/04 - 75/16

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ショアーD硬度少なくとも40を有する熱可
    塑性ポリウレタンエラストマーおよびポリオレフィンの
    機械的に安定で均一な混和性ポリマーブレンド組成物で
    あって、前記ポリオレフィンが炭素原子2〜6個および
    二重結合1個を有する1または複数のオレフィンモノマ
    ーから製造されるホモポリマーまたはコポリマーであ
    り、このポリオレフィン量が前記熱可塑性ポリウレタン
    エラストマーの100重量部当たり3.5重量部〜20重量部で
    あり、かつ前記ポリオレフィンが1〜50g/10分のメルト
    インデックスを有し、そして前記熱可塑性ポリウレタン
    エラストマーおよび前記ポリオレフィンは少なくとも75
    0/秒の剪断速度で少なくとも215℃〜245℃の混合温度に
    て一緒にブレンドされて、当該ブレンドが相分離のない
    均質な構造を有しているポリマーブレンド組成物。
  2. 【請求項2】前記ポリオレフィンが1〜20g/10分のメル
    トインデックスを有し、前記オレフィンモノマーが炭素
    原子2または3個を有し、かつ前記熱可塑性ポリウレタ
    ンエラストマーがショアーD硬度少なくとも50を有する
    請求項1記載のポリマーブレンド組成物。
  3. 【請求項3】前記ポリオレフィンのメルトインデックス
    が1〜15g/10分であり、かつ前記オレフィンコポリマー
    がそれらの中にエチレン反復単位を3〜25重量%含む請
    求項2記載のポリマーブレンド組成物。
  4. 【請求項4】前記ポリオレフィン量が該熱可塑性ポリウ
    レタンエラストマー100重量部当たり3.5重量部〜15重量
    部である請求項3記載のポリマーブレンド組成物。
  5. 【請求項5】強化剤を1〜50重量部含む請求項1記載の
    ポリマーブレンド組成物。
  6. 【請求項6】前記熱可塑性ポリウレタンエラストマー10
    0重量部当たり強化用繊維10〜40重量部を含み、前記繊
    維の長さが2.54〜25.4mm(0.1〜1.0インチ)であり、該
    繊維が少なくとも240℃の融点を有し、かつ前記繊維が
    ガラス繊維であり、そして該繊維の長さ対直径の比が少
    なくとも1000である請求項2記載のポリマーブレンド組
    成物。
  7. 【請求項7】前記熱可塑性ポリウレタンエラストマー10
    0重量部当たり強化用繊維15〜35重量部を含み、前記繊
    維が2.54〜25.4mm(0.1〜1.0インチ)の長さを有し、該
    繊維の長さ対直径の比が少なくとも1,000であり、そし
    て前記繊維が少なくとも260℃を融点を有する請求項3
    記載のポリマーブレンド組成物。
  8. 【請求項8】ショアーD硬度少なくとも40を有する熱可
    塑性ポリウレタンエラストマー100重量部および前記熱
    可塑性ポリウレタンエラストマー100重量部当たりポリ
    オレフィン3.5重量部〜20重量部の機械的に安定で均
    質、均一な混和性ブレンドを含んでなり、前記ポリオレ
    フィンが炭素原子2〜6個および二重結合1個を有する
    1または複数のオレフィンモノマーから製造されるホモ
    ポリマーまたはコポリマーであり、前記熱可塑性ポリウ
    レタンエラストマーおよび前記ポリオレフィンが少なく
    とも750/秒の剪断速度で215℃〜245℃の混合温度にて一
    緒にブレンドされている熱可塑性ポリウレタンエラスト
    マー組成物。
  9. 【請求項9】前記ポリオレフィンが炭素原子2または3
    個を有するアルファーオレフィンモノマーから製造さ
    れ、かつ該ポリオレフィンコポリマーがその中にエチレ
    ン反復単位を5〜25重量%有し、そして該ポリオレフィ
    ンが1〜50g/10分のメルトインデックスを有する請求項
    8記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
  10. 【請求項10】前記ポリオレフィンの量が前記熱可塑性
    ポリウレタンエラストマー100重量部当たり3.5重量部〜
    15重量部であって、前記ポリオレフィンが1〜20g/10分
    のメルトインデックスを有し、そして前記熱可塑性ポリ
    ウレタンエラストマーが少なくとも50のショアーD硬度
    を有する請求項9記載の熱可塑性ポリウレタンエラスト
    マー組成物。
  11. 【請求項11】前記ポリオレフィンが1〜15g/10分のメ
    ルトインデックスを有する請求項10記載の熱可塑性ポリ
    ウレタンエラストマー組成物。
  12. 【請求項12】前記熱可塑性ポリウレタンエラストマー
    100重量部当たり強化用繊維1〜50重量部を含んでお
    り、前記繊維の長さが2.54〜25.4mm(0.1〜1.0インチ)
    でかつ前記繊維が少なくとも240℃の融点を有する請求
    項8記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
  13. 【請求項13】前記熱可塑性ポリウレタンエラストマー
    100重量部当たり強化用繊維10〜40重量部を含んでお
    り、前記繊維の長さが2.54〜25.4mm(0.1〜1.0インチ)
    でかつ前記繊維がガラス繊維である請求項10記載の熱可
    塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
  14. 【請求項14】前記熱可塑性ポリウレタンエラストマー
    100重量部当たり強化用繊維10〜35重量部を含んでお
    り、前記繊維が2.54〜25.4mm(0.1〜1.00インチ)の長
    さを有し、かつ前記繊維の長さ対直径の比が少なくとも
    1,000であり、そして前記繊維が少なくとも260℃の融点
    を有する請求項11記載の熱可塑性ポリウレタンエラスト
    マー組成物。
  15. 【請求項15】ショアーD硬度少なくとも40を有する熱
    可塑性ポリウレタンエラストマーおよびポリオレフィン
    を、剪断速度少なくとも750/秒、該熱可塑性ポリウレタ
    ンエラストマーと前記ポリオレフィンの機械混和性ブレ
    ンドを調製するのに有効な時間、前記ポリウレタン100
    重量部当たり炭素原子2〜6個および二重結合1個を有
    する1または複数のオレフィンモノマーから製造される
    ホモポリマーまたはコポリマーである前記ポリオレフィ
    ンが3.5〜20重量部となるように混合する工程、ならび
    に少なくとも215℃の温度で前記剪断混合を行う工程を
    含んでなる機械的に安定で均一な混和性熱可塑性ポリウ
    レタンエラストマーおよびポリオレフィンのブレンドの
    調製方法。
  16. 【請求項16】前記混合温度が215℃〜245℃であり、そ
    して前記ポリオレフィンが1〜50g/10分のメルトインデ
    ックスを有する請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】前記ポリオレフィンが炭素原子2または
    3個を有するアルファーオレフィンから製造され、前記
    ポリオレフィンが1〜20g/10分のメルトインデックスを
    有し、そして前記剪断速度が少なくとも1,000/秒である
    請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】前記混合温度が215℃〜235℃である請求
    項17記載の方法。
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