一般的に、人は食べ物を摂取する際に、フォーク、ナイフ、スプーン、箸などの道具を使う。
洋風の食事の場合は、食べ物を簡単にフォークで刺したり、スプーンで掬って口に運ぶ方式が多く使われており、アジア風の食事の場合は、一手に握られるような細くて長い一対の棒からなる箸を使って食べ物を口に運ぶ方式が多く使われている。
通常、箸の正しい使用方法は、親指で一対の棒の中の1つを支持し、人差し指と中指で他の1つの棒を支持し、一対の棒が三角形の形態を有するようにし、棒の末端が互いに接触するように指を動かすことで、食べ物を摘む方式である。しかし、このような箸の使用方法は他の食べ物の摘みの道具に比べて習い難く、習う過程においても使用方法が多様に変形してしまうこともある。
ここで、幼い頃から箸の正しい使用方法が簡単に習えるよう、多様な形態の子供向けのトレーニング箸が販売されている。しかし、これらのトレーニング箸は、多くの場合、4〜6歳までの一定の時期だけ使うことができ、その時期以後の子供は、その小さくなった箸が使えなくなるため、大部の子供は大人が使っているものと同形態の、サイズのみ小さな箸を使うしかない。
よって、このようにトレーニング箸から一般の箸への急激な変化は、子供が箸の正しい使用方法を習得する過程を難しくすると共に、適応過程中に再び使用方法が不正確に変形してしまうことが多く発生していた。
本考案は、前述の従来技術に鑑みて案出されたものであり、本考案の目的は、初心者や子供が箸の正しい使い方を段階的に習うことができるようにしたトレーニング箸を提供することにある。
上記の目的を達成するための本考案に係るトレーニング箸は、親指により支持される親指用支持口を有する第1の棒と、人差し指及び中指により支持される人差し指用支持口と中指用支持口を有する第2の棒と、第1の棒と第2の棒とを両端にそれぞれ結合するヒンジ部材と、を含み、中指用支持口と前記ヒンジ部材との中の少なくとも1つは、第1の棒及び第2の棒から着脱自在に設けられる。
また、本考案に係るトレーニング箸の親指用支持口と人差し指用支持口との中の少なくとも1つは、一側が開放されたラウンド状を有する。
尚、本考案に係るトレーニング箸の第1の棒は、支え突起を有する。
さらに、本考案に係るトレーニング箸の前記中指用支持口は、リング状に設けられる。
また、本考案に係るトレーニング箸の前記ヒンジ部材は、第1の棒と結合するための第1のヒンジ部と、第2の棒と結合するための第2のヒンジ部と、を含み、第1のヒンジ部は第1の棒に固定して結合し、第2のヒンジ部は第2の棒に回転可能に結合する。
本考案の他の側面によると、親指により支持される親指用支持口を有する第1の棒と、人差し指により支持される人差し指用支持口と、中指により支持される中指用支持口と、を有する第2の棒と、前記第1の棒は固定して結合し、第2の棒は回転可能になるように結合するヒンジ部材と、を含む第1の形態と;前記親指により支持される親指用支持口を有する第1の棒と、人差し指により支持される人差し指用支持口と、を有する第2の棒と、前記第1の棒は固定して結合し、第2の棒は回転可能になるように結合するヒンジ部材を含む第2の形態と;前記親指により支持される親指用支持口を有する第1の棒と、人差し指により支持される人差し指用支持口を有する第2の棒と、を含む第3の形態;を選択的に有するよう、前記中指用支持口と前記ヒンジ部材は、第1の棒及び第2の棒に着脱自在に設けられるトレーニング箸が提供される。
本考案に係るトレーニング箸は、箸の正しい使用方法を習得しようとする初心者や子供が、最初は箸に使われる親指と人差し指と中指を何れも指支持口に挿入した後、ヒンジ部材を用いて食べ物を摘むようにし、これが上手になれば中指の支持口を無くして食べ物を摘むようにし、更にこれが上手になればヒンジ部材を無くして食べ物を摘むようにすることで、使用者が正しい方式で一般の箸を容易に使うことができるよう、段階的に訓練させることができる。
また、本考案に係るトレーニング箸は、親指用支持口と人差し指用支持口とを、一側が開口したラウンド状に設けることで、子供が成長するにつれ、指が厚くなっても、使っていたトレーニング箸を持続的に使用することができるようにした。
以下では、本発明の実施の形態を、添付した図面を参照して詳しく説明する。ここで、以下で紹介する実施の形態は、本発明が属する技術分野において通常の知識を持った者に本発明の思想が充分に伝われるようにするために例として提供されるものである。従って、本発明は、以下で説明する実施の形態に限定されず、他の形態に具体化されることもでき、さらに、本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は図面から省略しており、図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは、便宜のために誇張して表現されていることもある。明細書の全体に亘って同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
図1及び図2は、本考案の一実試の形態に係るトレーニング箸を示す図である。図面を参照すると、本実試の形態のトレーニング箸は、親指により支持される第1の棒10と、人差し指及び中指により支持される第2の棒20と、第1及び第2の棒10、20を連結するヒンジ部材30と、を備える。
第1の棒10は、バー状に設けられ、把持部10Aが設けられる一端から、食べ物を摘む摘み部10Bの他端に行くほど、次第に厚さが細くなる。摘み部10Bには、摘んだ食べ物が滑らないよう、長さ方向に沿って複数のしわが形成され得る。また、本実試の形態においては、棒の断面が四角形である形態を例示したが、円形や五角形、六角形などの多角形も可能である。
親指が第1の棒10を支持することができるように、把持部10Aは親指用支持口12を含む。親指用支持口12は、閉鎖型の円形、または一側が開放された半円以上のラウンド状を有する。一側が開放された半円形状の親指用支持口12は、使用者が指を容易に挿脱可能であり、内径が伸縮的に拡張されるため、閉鎖リング状の支持口が有する絞り性や、指の太さによる使用者の制限を無くすことができる。また、親指用支持口12は、第1の棒10と一体に射出成形されたり、または第1の棒10に挟むことができるよう、支持口12に結合孔を備えることもできる。親指用支持口12は、鉛直(12時)方向の第1の棒10に対して約11時程度の傾斜角を有する。
また、第1の棒10の把持部10A側には、ヒンジ部材30を結合するための第1のヒンジ結合孔14が設けられる。第1のヒンジ結合孔14は、第1の棒10が四角形の場合、親指用支持口12と隣接した他面の一側のみ開口して設けられる。第1のヒンジ結合孔14については後述する。
第2の棒20は、第1の棒10と同様にバー状に設けられ、把持部20Aが設けられる一端から、食べ物を摘む摘み部20Bの他端に行くほど、次第に厚さが細くなる。摘み部20Bは、摘んだ食べ物が滑らないよう、長さ方向に沿って複数のしわを備えることができる。本実試の形態においては、棒の断面が四角形である形態を例示したが、円形や五角形、六角形などの多角形も可能である。
人差し指と中指が第2の棒20を支持することができるように、把持部20Aは人差し指用支持口22と中指用支持口24とを含む。人差し指用支持口22は中指用支持口24より相対的に上側に位置する。人差し指用支持口22は四角形の第2の棒の一面から両方向に延長して突き出された突起形態を有する。中指用支持口24は、シリコーンのような軟質の合成樹脂材、またはABSなどの素材で設けられ、閉鎖型のリング状、または一側が開放された形状を有することができる。中指用支持口24は、箸の熟練度に応じて使用者が選択的に使用できるよう、第2の棒20に脱着自在に設けられる。このために第2の棒20は把持部20Aの一面に結合突起26を備え、かつ中指用支持口24は挿入結合孔25の内部に結合溝27を備え、中指用支持口24を使う場合、挿入結合孔25を摘み部20Bから第2の棒20に挟んだ後、結合溝27と結合突起26とを結合させる。ABS素材はシリコーンより硬質であるため、これを中指用支持口24で形成する場合は挿入結合孔25の一側を開口した方が良い。
また、第2の棒20の把持部20A側には、ヒンジ部材30を結合するための第2のヒンジ結合孔28が設けられる。第2のヒンジ結合孔28は、第2の棒20が四角形の場合、人差し指用支持口12と同一の面に貫通して設けられる。第2のヒンジ結合孔28については後述する。
ヒンジ部材30は、第1及び第2の棒10、20の把持部側を摘み部より相対的に所定距離離れて結合する。本実試の形態においては、結合部材30がある程度のサイズを有するようにすることで、第1及び第2の棒10、20の間隔が離れるようにすると共に、第1及び第2の棒10、20をヒンジ部材30を中心に対称して配置することで、外見を美しくする。
ヒンジ部材30は、中央に円形の中心部32を有し、中心部32の左右側面にそれぞれ第1の棒10と結合する第1のヒンジ部34と、第2の棒20と結合する第2のヒンジ部36と、を備える。中心部32は、外面が偏平に設けられ、多様なキャラクターを印刷することができ、さらに、必要に応じて震動LEDセンサーなどを内部に設け、箸を使う時に発光するようにすることもできる。
第1のヒンジ部34は第1の棒10と固定して結合し、第2のヒンジ部36は第2の棒20と回転可能に結合する。これは、第1の棒10と第2の棒20がヒンジ部材30に何れも相対的に回転する場合、棒の末端の摘み部の位置がずれてしまう可能性があるためである。
第1のヒンジ部34は、第1の棒の第1のヒンジ結合溝14に設けられる固定突起14aと結合する固定溝34aと、サポート溝14bに結合するサポート突起34bと、を含む。サポート突起34bは、外面が直線形状に設けられ、第1の棒10のサポート溝14bと結合した後、動かせない。本実試の形態においては、第1のヒンジ部34と第1の棒10との間に、固定突起14aと固定溝34aがあるように例示したが、これは省略可能である。
第2のヒンジ部36は、第2の棒の第2のヒンジ結合溝28に設けられる回転突起28aに結合する回転溝36aと、サポート溝28bに結合するサポート突起36bと、を含む。回転溝36aは、開口された末端が内部の直径より小さく設けられており、回転突起28aと抑止結合された回転突起28aが自由に回転(自転)できるようにし、サポート突起36bは、外面が弧状に設けられ、第2の棒20のサポート溝28bと相対的に間隔を有し、第2の棒20がヒンジ部材30に対して回転できるようにする。
それでは、上記のような構成を有する本考案の一実試の形態に係るトレーニング箸の使用方法について後述する。
先ず、箸を初めて使う初心者や子供は、中指用支持口24とヒンジ部材30が何れも装着された形態の箸を使う。例えば、親指は第1の棒10の親指用支持口12に挟み、人差し指は第2の棒20の人差し指用支持口22に挟み、中指は第2の棒20の中指用支持口24に挿入して、ヒンジ部材30に従って第2の棒20を第1の棒10に対して相対的に回転させながら食べ物を摘む訓練をする(第1の形態)。これは指に力が入らない乳児に適合である。
次に、第1の形態の箸の使用がある程度上手くなれば、中指用支持口24のみを無くして使う(第2の形態)。これは、指に力がある程度入っている状態で、中指を使わずに人差し指だけで第2の棒を動かせる子供に適合である。
次に、第2の形態の箸の使用がある程度上手くなれば、ヒンジ部材30を無くして使う(第3の形態)。これは、実質的に大人向けの箸と同様の形態であり、親指と人差し指と中指の位置を習った使用者に適合である。
以上説明したように、本考案に係るトレーニング箸を用いれば、使用者は箸の正しい使用方法を段階的かつ効果的に学習することができる。
一方、図6及び図7は、本考案のトレーニング箸を床に置いた場合を示す図である。図に示すように、箸を床に置くと、第1の棒10の支え突起18と、第2の棒20の人差し指用支持口22、または中指用支持口24が摘み部10B、20Bを地面から離隔させるため、箸を衛生的に使うことができる。