JP3194264B2 - 消音器用外筒およびその製造方法 - Google Patents

消音器用外筒およびその製造方法

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順一郎 広橋
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カルソニックカンセイ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の消音器の構
成部材である消音器用外筒に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の消音器として、例えば、
実開昭63−125127号公報,実開平4−7991
3号公報等に開示されるものが知られている。図4は、
この種の消音器の構成部材である消音器用外筒を示すも
ので、この消音器用外筒は、板材11を2重に巻回して
構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の消音器用外筒では、板材11を単に2重に巻
回しているため、板材11の肉厚を小さくすると必要な
剛性を得ることができなくなるという問題があった。一
方、近時、消音器は大容量化される傾向にあり、消音器
用外筒の低コスト化を図るためには、板材11を薄肉化
する必要がある。
【0004】本発明は、かかる従来の問題を解決するた
めになされたもので、薄肉の板材を用いた剛性の高い消
音器用外筒およびその製造方法を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の消音器用外筒
は、多数のエンボス突部が形成される第1の板材と第2
の板材とを、前記第1の板材と第2の板材とのエンボス
突部が相互に当接するように重ね合わせてなることを特
徴とする。
【0006】請求項2の消音器用外筒の製造方法は、多
数のエンボス突部が形成される第1の板材と第2の板材
とを、前記第1の板材と第2の板材とのエンボス突部が
相互に当接するように重ね合わせ両端部を固定した後、
前記第1の板材と第2の板材とを曲げ加工して半割り筒
状体を形成し、この後、一対の前記半割り筒状体の両端
部を相互に当接させ、この状態で前記両端部を接合する
ことを特徴とする。
【0007】
【作用】請求項1の消音器用外筒では、第1の板材と第
2の板材とにエンボス突部を形成したので第1の板材と
第2の板材そのものの剛性が増大する。そしてさらに、
第1の板材と第2の板材とのエンボス突部が相互に当接
するように重ね合わせたので、第1の板材と第2の板材
との間に間隙が形成され、消音器用外筒の断面二次モー
メントが大きくなり消音器用外筒の剛性が大きくなる。
【0008】請求項2の消音器用外筒の製造方法では、
第1の板材と第2の板材とを曲げ加工して半割り筒状体
を形成するようにしたので、第1の板材と第2の板材と
にエンボス突部が形成されていても容易に曲げ加工する
ことができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の詳細を図面に示す実施例につ
いて説明する。
【0010】図1は、本発明の消音器用外筒の一実施例
を示しており、図において符号21は、一対の半割り筒
状体を示している。この半割り筒状体21は、第1の板
材23と第2の板材25とからなり、第1の板材23お
よび第2の板材25には、多数のエンボス突部27が形
成されている。
【0011】そして、第1の板材23と第2の板材25
とのエンボス突部27が相互に当接するように重ね合わ
せられている。一対の半割り筒状体21の両端部は相互
に当接され、溶接Wにより両端部が接合されている。上
述した消音器用外筒は、以下述べるようにして製造され
る。
【0012】先ず、図の(a)に示すように、多数のエ
ンボス突部27が形成される第1の板材23と第2の板
材25とが用意される。第1の板材23と第2の板材2
5とは、同一形状をしており、例えば、ステンレス鋼か
らなる。この実施例では、エンボス突部27は、長円状
をしており、第1の板材23および第2の板材25に4
5度傾斜して形成されている。
【0013】この後、図の(b)に示すように、第1の
板材23と第2の板材25とが、エンボス突部27が相
互に当接するように重ね合わせられる。この重ね合わせ
により、第1の板材23のエンボス突部27と第2の板
材25のエンボス突部27とが直交して重なる。この
後、図の(c)に示すように、第1の板材23と第2の
板材25の両端部が、治具29により固定され、この状
態で、第1の板材23と第2の板材25とが、例えば、
プレス加工により曲げ加工され、半割り筒状体21が形
成される。
【0014】次に、図の(d)に示すように、一対の半
割り筒状体21の両端部が相互に当接され、この状態で
両端部が溶接Wにより接合され、図1に示した消音器用
外筒が製造される。上述した消音器用外筒では、第1の
板材23と第2の板材25とにエンボス突部27を形成
したので第1の板材23と第2の板材25そのものの剛
性が増大する。
【0015】そしてさらに、第1の板材23と第2の板
材25とのエンボス突部27を相互に当接するように重
ね合わせたので、第1の板材23と第2の板材25との
間に間隙が形成され、消音器用外筒の断面二次モーメン
トが大きくなる。従って、薄肉の板材を用いた場合に
も、剛性の高い消音器用外筒を提供することが可能にな
り、消音器が大容量化した場合にも、消音器用外筒のコ
スト上昇を抑制することができる。
【0016】なお、本発明者の断面二次モーメントの計
算結果によると、平板状の板材を単に巻回する場合に比
較して、板厚を2/3程度にしても、ほぼ同一の剛性を
得ることが可能になる。また、上述した消音器用外筒で
は、平板状の板材を単に巻回する場合に比較して、ビビ
リ音を低減することができる。
【0017】そして、上述した消音器用外筒の製造方法
では、第1の板材23と第2の板材25とを曲げ加工し
て半割り筒状体21を形成するようにしたので、第1の
板材23と第2の板材25とにエンボス突部27が形成
されていても容易に曲げ加工することができる。なお、
以上述べた実施例では、エンボス突部27を長円状に形
成した例について述べたが、本発明は、かかる実施例に
限定されるものではなく、例えば、円形,矩形形状等で
も良い。
【0018】また、以上述べた実施例では、一対の半割
り筒状体21を接合して消音器用外筒を得た例について
述べたが、本発明は、かかる実施例に限定されるもので
はなく、例えば、第1の板材23と第2の板材25とを
巻回して消音器用外筒を製造しても良い。
【0019】さらに、以上述べた実施例では、エンボス
突部27の長手方向を直線状に配置した例について述べ
たが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではな
く、例えば、図3に示すように、エンボス突部27を千
鳥状に配置し、エンボス突部27の長さLを、エンボス
突部27の間隔Wより長くすることにより、エンボス突
部27を常に確実に交差させることができる。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1の消音器用
外筒では、第1の板材と第2の板材とにエンボス突部を
形成したので第1の板材と第2の板材そのものの剛性が
増大し、さらに、第1の板材と第2の板材とのエンボス
突部が相互に当接するように重ね合わせたので、第1の
板材と第2の板材との間に間隙が形成され、消音器用外
筒の断面二次モーメントが大きくなるため、薄肉の板材
を用いた剛性の高い消音器用外筒を提供することができ
る。
【0021】請求項2の消音器用外筒の製造方法では、
第1の板材と第2の板材とを曲げ加工して半割り筒状体
を形成するようにしたので、第1の板材と第2の板材と
にエンボス突部が形成されていても容易に曲げ加工する
ことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消音器用外筒の一実施例を示す正面図
である。
【図2】本発明の消音器用外筒の製造方法の一実施例を
示す工程図である。
【図3】エンボス突部を千鳥状に配置した例を示す説明
図である。
【図4】従来の消音器用外筒を示す正面図である。
【符号の説明】
21 半割り筒状体 23 第1の板材 25 第2の板材 27 エンボス突部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数のエンボス突部(27)が形成され
    る第1の板材(23)と第2の板材(25)とを、前記
    第1の板材(23)と第2の板材(25)とのエンボス
    突部(27)が相互に当接するように重ね合わせてなる
    ことを特徴とする消音器用外筒。
  2. 【請求項2】 多数のエンボス突部(27)が形成され
    る第1の板材(23)と第2の板材(25)とを、前記
    第1の板材(23)と第2の板材(25)とのエンボス
    突部(27)が相互に当接するように重ね合わせ両端部
    を固定した後、前記第1の板材(23)と第2の板材
    (25)とを曲げ加工して半割り筒状体(21)を形成
    し、この後、一対の前記半割り筒状体(21)の両端部
    を相互に当接させ、この状態で前記両端部を接合するこ
    とを特徴とする消音器用外筒の製造方法。
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