JP3193436B2 - フラックス組成物 - Google Patents

フラックス組成物

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JP3193436B2 JP5917492A JP5917492A JP3193436B2 JP 3193436 B2 JP3193436 B2 JP 3193436B2 JP 5917492 A JP5917492 A JP 5917492A JP 5917492 A JP5917492 A JP 5917492A JP 3193436 B2 JP3193436 B2 JP 3193436B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子工業のプリント配
線板の製造に使用される液状フラックス組成物に関す
る。さらに詳述すれば、電子部品の実装に用いられるポ
ストフラックスで、はんだ付け後、殆ど残渣を残さない
フラックス組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント配線板(以下PCBと略す)に
電子部品をはんだ付けするときに、一般にはんだ付け性
を確保するために液状フラックスを塗布する方法が用い
られた。電子工業において用いられるポストフラックス
は一般にイソプロピルアルコール(IPAと略す)のよ
うな低級アルコール系有機溶剤に、ベース樹脂としてロ
ジンまたはそれらの誘導体を、また活性剤としてアミン
のハロゲン化水素酸塩あるいは有機酸などを配合して溶
解したものを主成分としていたものが用いられた。そし
てこれらは通常固形分濃度として10数%から30%程
度のものが用いられたため、多くのはんだ付け残渣を生
じた。これを除去するため洗浄が行われ、洗浄液として
フロン113等が用いられた。
【0003】また、従来、無洗浄の低固形分フラックス
として、例えばアジピン酸を主成分としてIPAに数%
の濃度で溶解させた市販品(インターフラックス200
5)や特許願平成3年第42223号明細書記載のアジ
ピン酸のような有機酸と多価アルコールの部分エステル
化物または高級アルコールの混合物が用いられた。これ
らの液状フラックスの塗布は浸漬、刷毛塗り、スプレ
ー、発泡などの方法で行われた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ロジン
系樹脂と活性剤を使用したものは多くの残渣を生じ、該
残渣は、それらが非腐食性、非電導性であっても、、チ
ェッカーピン検査時にピンプローブの接触不良による検
査エラーを生じたり、搬送コンベヤの機器に基板の残渣
が累積して搬送ミスを生じたり、精密を要するコンピュ
ターおよび電気通信装置の製造に、MILーPー288
09清浄度試験に合格させることができないという難点
がある。そしてフラックス残渣の除去には、洗浄工程が
必要となり、工程が増加することによるコストアップに
繋がり、また、洗浄液としてフロン113をベースとす
る有機溶剤を使用するため、地球のオゾン層の破壊に繋
がり、地球環境保全上難点がある。
【0005】また、無洗浄の低固形フラックスは、はん
だ付け後に実質的に全く残渣が残らないか、または最小
限の残渣しか残らないので、電子部品の実装に用いて
も、何等洗浄工程を必要とせず、はんだ付け性も良好で
ある。またJIS Zー3197に基ずく2型櫛型電極
基板を用いた電圧印加耐湿性試験(40℃、90〜95
%RH、直流100V印加、96時間)でも1012Ω以
上の高い絶縁性を示し腐食やマイグレーションの発生も
認められなかった。しかしがらこれらのフラックスはよ
り厳しい環境条件(例えば、65℃、95%RH、直流
100V印加)で電圧印加耐湿性試験を行うと、電気絶
縁性は保持されるものの、マイグレーションが発生する
という難点がある。
【0006】本発明の目的は、はんだ付け後に実質的に
全く残渣が残らないか、または最小限の残渣しか残らな
いので、電子部品の実装に用いても何等洗浄工程を必要
とせず、はんだ付け性が良好で、しかもはんだ付けされ
たPCBに特に高い信頼性を与える液状フラックス組成
物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明はカルボン酸化
合物を活性剤として含むフラックス組成物において、特
定の組成をもつメタアクリル酸エステルおよび/または
クリル酸エステルを主成分とした共重合体を含有させ
ることによって前述の目的を達成されることを見出し本
発明を完成するに至った。
【0008】本発明に用いられるカルボン酸化合物とし
ては、例えばプロピオン酸、吉草酸、nーヘキサン酸、
nーヘプタン酸、nーオクタン酸、nーノナン酸、パル
ミチン酸などのモノカルボン酸、また例えば蓚酸、コハ
ク酸、アジピン酸、セバシン酸またはリンゴ酸などのジ
カルボン酸である場合よい結果が得られる。必要に応じ
これらの酸の混合物を使用することもできる。
【0009】また、有機溶剤としては、一般にエタノー
ル、IPAのような低級アルコールや酢酸エチル、酢酸
ブチルのような揮発性溶剤が単独または混合して用いら
れる。また、低揮発性の溶剤、例えばエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレング
リコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジ
ブチルエーテルなどを揮発性溶剤に添加して用いること
も可能である。これはメタアクリル酸エステルおよび/
またはアクリル酸エステルを主成分とした共重合体の重
合溶剤として用いられた場合には必然的に混入してくる
し、フラックスの揮発速度を制御したりするために後か
らさらに添加することも可能である。
【0010】また、本発明に用いられるメタアクリル酸
エステルおよび/またはアクリル酸エステルを主成分と
した共重合体としては、酸価3〜30mgKOH/g、
水酸基価3〜35mgKOH/g、ガラス転移温度が1
0〜80℃好ましくは25〜70℃のメタアクリル酸エ
ステルおよび/またはアクリル酸エステルを主成分とし
た共重合体が用いられる。
【0011】ここで共重合体の主成分を構成する単量体
としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸nープロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリ
ル酸nーブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t
ーブチル、アクリル酸2ーエチルヘキシル、シクロヘキ
シルアクリレート、メタアクリル酸メチル、メタアクリ
ル酸エチル、メタアクリル酸nープロピル、メタアクリ
ル酸イソプロピル、メタアクリル酸nーブチル、メタア
クリル酸イソブチル、メタアクリル酸tーブチル、メタ
アクリル酸nーヘキシル、メタアクリル酸nーオクチ
ル、メタアクリル酸nーデシル、メタアクリル酸nード
デシル、メタアクリル酸ラウリル、シクロヘキシルメタ
アクリレート、グリシジルメタアクリレートなど主とし
て用いられる。また、これらの成分に加えてスチレンや
酢酸ビニルを共重合させることも可能である。
【0012】またカルボキシル基を付与する単量体とし
てはアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸、クロトン酸などが用いられる。さらに水酸基を付与
する単量体としては、メタアクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、メタアクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタア
クリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸2ヒ
ドロキシブチル、メタアクリル酸3−ヒドロキシブチ
、メタアクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸
2−ヒドロキシエチル アクリル酸ヒドロキシプロピル
などが用いられる。
【0013】メタクリル酸エステルおよび/またはア
クリル酸エステルを主成分とした共重合体中のアクリル
酸、メタアクリル酸などカルボキシル基(酸基)含有単
量体の含有量によって酸価(1)式によって規定され、 AV(mgKOH/g)=56.1×1000×酸基含有単量体の質量分率/ 酸基含有単量体の分子量 (1)
【0014】アクリル酸2ーヒドロキシエチル、アクリ
ル酸ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸2ーヒドロキ
シエチル、メタアクリル酸ヒドロキシプロピルなどの水
酸基含有単量体の含有量によって水酸基価が(2)式に
よって規定される。
【0015】また、メタアクリル酸エステルおよび/ま
たはアクリル酸エステルを主成分とした共重合体のガラ
ス転移温度は使用する単量体の種類と比率によって、近
似的に(3)式から算出できる。 1/TG =(W1/T1)+(W2/T2)+… (3) ここで、 TG :共重合体のガラス転移温度(絶対温度) W1 、W2 … 各単量体の重量比率 T1 、T2 各単独重合体のTG (3)式に用いる各単独重合体のTG としては、ポ
リアクリル酸nーブチルー45℃(絶対温度で228
度)、ポリメタアクリル酸メチル105℃、ポリメタア
クリル酸nーブチル20℃、メタアクリル酸イソブチル
48℃、メタアクリル酸t−ブチル108℃、ポリアク
リル酸106℃、ポリメタクリル酸185℃、ポリアク
リル酸2−ヒドロキシエチルー20℃、ポリメタアクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル55℃などの値を用いた。
【0016】また、本発明に用いられるメタアクリル酸
エステルおよび/またはアクリル酸エステルを主成分と
した共重合体の分子量は、特に制限されないが、本発明の
性能を長期にわたって安定的に保証するには重量数平均
分子量5000以上が好ましい。また、有機溶剤への溶
解性の点で20万以下が好ましい。本発明の好ましい実
施態様において、活性剤として0.5〜3.5重量%の
カルボン酸化合物、酸価3〜30mgKOH/g、水酸
基価3〜35mgKOH/g、ガラス転移温度10〜8
0℃好ましくは25〜70℃のメタアクリル酸エステル
および/またはアクリル酸エステルを主成分とした共
合体として0.5〜5.0重量%、残りが有機溶剤であ
る液状フラックス組成物を提供する。
【0017】活性剤としてのカルボン酸化合物が0.5
重量%未満だとはんだ付け性に問題が生じ不濡れ、ツラ
ラ、ブリッジ等のはんだ付け不良が発生しやすく、3.
5重量%以上でははんだ付け効果が飽和するばかりでな
く、はんだ付け後にPCB上に残留した過剰な酸により
PCBの電気的信頼性を悪くするので好ましくない。
【0018】また、特定の酸価、水酸基価、ガラス転移
温度のメタアクリル酸エステルおよび/またはアクリル
酸エステルを主成分とした共重合体が0.5重量未満で
は保護被膜としての効果が得られず、5.0重量%以上
ではその効果がほ飽和してしまうばかりでなく、フラッ
クス残渣が増加してしまうので好ましくない。
【0019】なお、メタアクリル酸エステルおよび/ま
たはアクリル酸エステルを主成分とした共重合体の酸価
と水酸基価が上記の範囲から外れた場合には、フラック
スの信頼性試験の1つである、比較的厳しい電圧印加耐
湿性試験(65℃、95%RH、直流100V印加、3
00時間以上)で銅のマイグレーションが発生するので
好ましくない。また、ガラス転移温度が10〜80℃好
ましくは25〜70℃としたのは、これらの湿度より低
いTG のものでは残渣が軟らかくて傷が付き易く、ま
た若干のタック性があるため残渣がほこりやチリを吸着
し易いので好ましくない。またこれらの湿度より高すぎ
ると残渣が割れ易い傾向があり好ましくない。なお、本
発明の液状フラックス組成物には、少量の任意の成分、
例えばPCBに黴の発生を防止するための防黴剤、つや
消し剤、あるいはまた、皮膜性を向上させるための皮膜
助剤などを配合しても良い。
【0020】
【作用】 本発明のフラックス組成物は、カルボン酸化
合物を活性剤として、これを有機溶剤に溶解したもの
に、特定の範囲の酸価と水酸基とを共に含有し、特定の
ガラス転移温度をもつメタアクリル酸エステルおよび/
またはアクリル酸エステルを主成分とした共重合体を含
有させることによって、はんだ付け後のフラックス残渣
を化学的、電気的に安定で均一な被膜として少量残留さ
せて、はんだ付け後のPCBに高い信頼性を付与すると
いう原理に基づいている。特定の範囲の酸価と水酸基価
とを共に含有し、特定のガラス転移温度をもつメタアク
リル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルを主
成分とした共重合体をフラックス成分として用いた時、
なぜ高信頼性のフラックスができるのか理論的解明は十
分されているとは言えないが、適度の極性をもつ重合体
であるので、活性剤のカルボン酸化合物との親和性が良
く、また銅とも適度な親和性をもつためではないかと考
えている。
【0021】(実施例)以下に本発明を実施例により具
体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定される
ものではない。なお、「部」および「%」とあるのは、
特に断りのない限り重量基準である。 (合成例)メタアクリル酸エステルおよび/またはア
リル酸エステルを主成分とした共重合体の合成方法は、
以下の通りである。冷却器、温度計、滴下ロートおよび
攪拌器を備えた四つ口フラスコにエチルセロソルブ80
部を仕込み、攪拌しながら95℃に昇温した。ついで、
滴下ロートより表1、表2に示す単量体及び重合開始剤
の混合物を4時間で等速滴下した。滴下終了後ターシャ
リブチルパーオキシオクトエート1部とエチルセロソル
ブ10部を2時間で滴下し、さらに2時間攪拌した後、エ
チルセロソルブ10部を添加して表1、表2に示す特性
を有するメタアクリル酸エステルおよび/またはアクリ
ル酸エステルを主成分として共重合体P−1〜15およ
びR1〜6を得た。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表に示す記号は 1)メチルメタアクリレート 2)nーブチルメタアクリレート 3)イソブチルメタアクリレート 4)ターシャリブチルメタアクリレート 5)nーブチルアクリレート 6)2ーヒドロキシエチルメタアクリレート 7)2ーヒドロキシエチルアクリレート 8)アクリル酸 9)メタアクリル酸 10)ターシャリブチルパーオキシオクトエート 11)酸価(mgKOH/g):式1による計算値 12)水酸基(mgKOH/g):式2による計算値 13)ガラス転移温度(℃):DSC(示差熱量計)に
よる実測値 14)ガ−ドナ−粘度計による実測値 15)重量平均分子量で単位は万
【0025】(実施例1)フラックス組成物を下記の諸
成分から製造した。 アジピン酸 1.5%メタアクリル酸エステルおよび/またはア クリル酸エス
テルを主成分とした 重合体P−1 3.0% メチルセロソルブ 15.0% IPA 80.5% 上記フラックスを通常の発泡フラクサーによってPCB
に塗布し、プリヒートしてから250℃の2槽(ダブル
ウェーブ式)はんだ浴ではんだ付けを行った。はんだ付
け基板には、はんだ不濡れ、ツララ、ブリッジなどのは
んだ付け欠陥が全くなく、目視でほとんど残渣が認めら
れなかった。オメガメータによる残留イオン濃度は10
μgNaCl/in2 であり、MIL−P−28809
洗浄度試験の規格(14μgNaCl/in2
下)に合格した。またJIS Z−3197で規定され
ている2型の櫛形電極をもつガラス/エポキシ基板を用
いて65℃、96%RH、直流100V印加の電圧印加
耐湿性試験を行ったところ300時経過後でも、表面
絶縁抵抗(SIR)は1012 Ω以上の高い絶縁性を
示し銅の腐食やマイグレーションの発生が認められなか
った。
【0026】(比較例1)フラックス組成物を下記の諸
成分から製造した。 アジピン酸 2.5% IPA 97.5% これを刷毛塗りにより電子部品を搭載したPCBに塗布
し、実施例1と同様に自動はんだ付け装置によりはんだ
付けを行った。その結果、実施例1と同様、優れたはん
だ付け性を有していたが、基板にアジピン酸と考えられ
る白い結晶物が偏析し、オメガメータによる残留イオン
濃度は、17.3μgNaCl/in2であり、MIL
ーPー28809清浄度試験の規格に合格しなかった。
また実施例1と同様に電圧印加耐湿性試験を行ったとこ
ろ96時間経過後で表面絶縁抵抗(SIR)は1012Ω
以上でありながら銅石鹸と銅マイグレーションが多発し
た。
【0027】(比較例2)フラックス組成物を下記の諸
成分から製造した。 アジピン酸 1.3% nーノナン酸 0.2% ジグリセリンテトラベンゾエート 0.02% 酢酸ブチル 8.0% IPA 90.48% からなる液状フラックス組成物を調合し、これを刷毛塗
りにより電子部品を搭載したPCBに塗布し、実施例1
と同様に自動はんだ付け装置によりはんだ付けを行っ
た。
【0028】その結果、実施例1と同様、優れたはんだ
付け性を有しており、基板にほとんどフラックス残渣が
認められなかった。オメガメータによる残留イオン濃度
は、7.1μgNaCl/in2であり、MILーPー
28809清浄度試験の規格に合格した。また実施例1
と同様に電圧印加耐湿性試験を行ったところ96時間経
過後で表面絶縁抵抗(SIR)は1012Ω以上であり銅
の腐食やマイグレーションが発生していなかったが、2
40時間経過後ではSIRが1011Ωオーダになりマイ
グレーションが発生した。
【0029】
【表3】
【0030】実施例2〜4、比較例3〜5 表3に示すようなフラックス組成物を製造した。これら
のフラックスをJIS Z3197に準拠してはんだ広
がり率を求めたところ、Aが56%、Bが72%、Cが
80%、Dが86%、Eが88%、Fが90%であっ
て、フラックス中の固形成分が少なすぎてははんだ広が
りが悪く、また固形成分が多くなるとはんだ広がり率が
飽和することがわかった。また、はんだ広がり率を測定
したテスト片の残留フラックス量は固形成分が多くなる
ほど多くなることが観察された。これらの結果からフラ
ックス中の固形成分が少なすぎてははんだ付け性が悪
く、多すぎるとはんだ付け効果が飽和してしまうと同時
にフラックス残渣量が多くなりすぎるので好ましくな
い。
【0031】実施例5〜19、比較例6〜11 合成例で得られたメタアクリル酸エステルおよび/また
はアクリル酸エステルを主成分とした共重合体P−1〜
15および、R1〜6をそれぞれ3%、活性剤としてア
ジピン酸1.4%およびnーノナン酸0.2%とを、I
PAに溶解し表4に示す20種のフラックス組成物を作
製した。これらのフラックスを用いて実施例1と同様に
自動はんだ付け装置によりはんだ付けを行いフラックス
残渣量の目視判定と不濡れ、ツララ、ブリッジなどのは
んだ付け欠陥の有無を判定した。その結果、実施例5〜
19、比較例6〜11いずれもフラックス残渣量は少な
く、はんだ付け欠陥もなかった。但し、比較例10のみ
フラックス残渣にややべた付きがあった。また、フラッ
クスを用いて実施例2と同様にJIS Z−3197に
準拠してはんだ広がり率を求めた。はんだ広がり率70
%未満不合格、70%以上を合格として結果を表4にま
とめた。
【0032】さらにまた、実施例1と同様にしてJIS
Zー3197で規定されている2型の櫛形電極をもつ
ガラス/エポキシ基板を用いて65℃、95%RH、直
流100V印加の電圧印加耐湿性試験を行い、96時
間、240時間、360時間経過後の表面絶縁抵抗(S
IR)の測定と銅マイグレーションの有無をチェックし
た。SIRについては比較例4が96時間後1012Ω、
240時間で1011Ω、360時間で1010Ωと経時的
に悪くなったほかは、いずれも360時間後でも1012
Ω以上と高い絶縁性を示した。但し、フラックスの種類
(合成樹脂の種類)によっては、SIRが高くても銅の
マイグレーションが発生した。結果を表4に示した。
【0033】
【表4】
【0034】表4の1)はんだ付け残渣にタックがある
ものは× 2)はんだ広がり率(JIS Zー3197に準拠)で
評価 ×:70%未満 〇:70%以上 3)信頼性は65℃、95%RH、直流100V印加の
電圧印加耐湿性試験の結果から以下のように評価 ×:96時間でマイグレーション発生 △:240時間でマイグレーション発生 ○:360時間までマイグレーションなし
【0035】
【発明の効果】 本発明の液状フラックス組成物は、特
定の範囲の酸価と水酸基およびガラス転移温度をもつメ
タアクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステ
を主成分とした共重合体を、活性剤としてのカルボン
酸化合物と組み合わせることによって、はんだ付け性が
良好で、しかもはんだ付け後のフラックス残渣が均一に
化学的、電気的に安定な被膜として残留させることによ
ってはんだ付け後のPCBに高い信頼性を付与するの
で、電子部品の実装に用いても何等洗浄工程を必要とせ
ず、一方ではんだ付けされたPCBに要求される各種の
規格に合致しうる液状フラックス組成物を提供すること
ができる。従って、民生用や産業用プリント配線板など
の製造に適したフラックスとして用いることができる。
フロントページの続き (72)発明者 鴨志田 英明 東京都八王子市諏訪町251番地 株式会 社アサヒ化学研究所内 (72)発明者 岩佐 山大 東京都八王子市諏訪町251番地 株式会 社アサヒ化学研究所内 (72)発明者 木戸 厚一路 愛知県名古屋市東区砂田橋4丁目1番6 号三菱レイヨン株式会社商品開発研究所 内 (72)発明者 西本 哲也 愛知県名古屋市東区砂田橋4丁目1番6 号三菱レイヨン株式会社商品開発研究所 内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/363

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボン酸化合物を活性剤として含むフラ
    ックス組成物において、分子内にカルボキシル基と水酸
    基とを有するメタアクリル酸エステルおよび/またはア
    クリル酸エステルを主成分とした共重合体を含有するこ
    とを特徴とするフラックス組成物。
  2. 【請求項2】分子内にカルボキシル基と水酸基とを有す
    るメタアクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エ
    ステルを主成分とした共重合体において、カルボキシル
    基の含有量が酸価で3〜30mgKOH/g、水酸基の
    含有量が水酸基価で3〜35mgKOH/gのメタアク
    リル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルを主
    成分とした共重合体を用いる請求項1記載のフラックス
    組成物。
  3. 【請求項3】分子内にカルボキシル基と水酸基とを有す
    るメタアクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エ
    ステルを主成分とした共重合体のガラス転移温度が10
    〜80℃であるメタアクリル酸エステルおよび/または
    クリル酸エステルを主成分とした共重合体を用いる請
    求項1および2の記載のフラックス組成物。
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