JP3193420B2 - エア・フィルタおよびその製造方法 - Google Patents
エア・フィルタおよびその製造方法Info
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Description
と、熱可塑性合成樹脂フィルムを割裂加工・解繊して得
た繊維とからなるエア・フィルタに関する。
平1−53382号公報は、発泡したポリオレフィン系
樹脂からなるフィルムをフィブリル化およびスプリット
処理し、さらにこれをコーミングロール処理して得た繊
維からなる擬似綿を開示している。さらに、特公平1ー
35093号公報がこの擬似綿を製造するのに適した製
造装置を開示しているから、これらの技術を利用する
と、良質で安価なエア・フィルタを得ることができる。
また、特開昭60−168511号公報は、ポリオレフ
ィン系合成樹脂のメルトブロー繊維を高圧電場でエレク
トレット化してエア・フィルタに供する技術を開示して
いる。
ィルタに前記の擬似綿を使用すると、粉塵捕集効率が比
較的高く、しかも通気抵抗が低いマスクを簡単に製造す
ることができる。しかし、このマスクには、唯一の欠点
として粉塵堆積量の少ない使用初期の段階で捕集効率が
やや低く、労働安全衛生法に基づく防塵マスクの性能試
験に照らしてみると、規格値である95%以上を常に満
たすことは難しいという問題がある。一方、エレクトレ
ット化したメルトブロー繊維を使用したエア・フィルタ
は、捕集効率が高くて通気抵抗が低く、性能は優れてい
るが、一般にこの種繊維の生産性はあまりよくないか
ら、コストが高くつき、加えて前記公知技術によるエレ
クトレット化では、そのための設備費等が嵩むという問
題がある。
引きちぎりエレクトレット化する工程、および割裂加工
した熱可塑性合成樹脂フィルムを解繊する工程で針刃ロ
ールを使用し、これら両工程で得られた繊維を集積して
エア・フィルタを構成することにより、従来技術の問題
を解決することを課題にしている。
決するために手段とするところは、メルトブロー繊維
と、熱可塑性合成樹脂フィルムを割裂加工および解繊し
て得られる繊維とからなるエア・フィルタ、およびその
製造方法にある。
脂が添加剤として下記に化合物の少なくとも1つを0.
5〜8重量%含んでエレクトレット化しているメルトブ
ロー法で得られた繊維径0.1〜10μm、繊維長1〜
30mmの第1の繊維30〜80重量%と、熱可塑性合
成樹脂フィルムを割裂加工および解繊して得た繊維径
0.1〜30μm、繊維長5〜80mmの第2の繊維7
0〜20重量%とによって構成する。この発明の好まし
い実施態様において、第1の繊維と第2の繊維とが積
層、または混合されている。化合物:ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビ
ニル、p−ter−(ブチル、オクチル、ノニル、アミ
ル、またはビス)フェノール、(ガムロジン、パラスト
リン酸、デヒドロアビエチレン酸、イソビマ ール酸、ネ
オアビエチレン酸、ビマール酸、バラストリン酸等の)
ロジン類、無水マレイン酸とアクリル酸との共重合物、
パーフルオロアクリレート、ジメチルアミノエチルメタ
クリレート、ビニルピリジン、ソルビット。
は、エレクトレット材料を添加剤として含有する熱可塑
性合成樹脂のメルトブロー法で得た繊維径0.1〜10
μmのメルトブロー繊維を針刃ロールにより機械的に引
きちぎり、擦過して繊維長1〜30mmのエレクトレッ
ト化した第1の繊維にする工程、熱可塑性合成樹脂フィ
ルムを割裂加工して得たスプリットヤーンを針刃ロール
により解繊し繊維径0.1〜30μm、繊維長5〜80
mmの第2の繊維にする工程、およびこれら第1と第2
の繊維を針刃ロール処理後に(30〜80):(70〜
20)の重量比で積層または混合して集積する工程を含
む。この発明の好ましい実施態様において、メルトブロ
ー繊維は、エレクトレット材料を0.5〜8重量%含有
している。
が長く、従って繊維充填密度が低く、粗い粉塵の捕集に
適する第2の繊維に対して、繊維径が小さく、繊維長の
短いエレクトレット化した第1の繊維を加えることによ
り、繊維充填密度が高いエレクトレットフィルタが得ら
れる。このフィルタは、第1の繊維の存在によって粉塵
堆積量が少ない使用初期段階でも細かい粉塵を捕集する
ことが可能であり、粉塵堆積量が多くなると第2の繊維
によっても粉塵を捕集することが可能になるから、この
発明によれば、堆積量の多少にかかわらず高い粉塵捕集
効率が得られる。
て、メルトブロー繊維を針刃ロールで処理することによ
り効率よく引きちぎり、エレクトレット化し、この処理
と併行してスプリットヤーンの針刃ロールによる解繊を
行うことができる。針刃ロール処理して得た第1の繊維
と第2の繊維とを集積すると、それぞれの繊維が三次元
的に配向し、多孔性のエア・フィルタとなる。
造方法の詳細を添付の図に基づいて説明すると、以下の
とおりである。
の模式的断面図である。図1の(A)は、比較的短いメ
ルトブロー繊維からなる第1の繊維2と熱可塑性合成樹
脂フィルムを割裂加工および解繊して得た第2の繊維3
とが一様に混合されている場合を示し、(B)は、第1
の繊維2と第2の繊維3とが積層されている場合を示
す。(A)、(B)いずれの場合にも、第1の繊維2に
は繊維径0.1〜10μm、繊維長1〜30mmのエレ
クトレット化した短いメルトブロー繊維を30〜80重
量%、第2の繊維3には繊維径0.1〜30μm、繊維
長5〜80mmの前記解繊した繊維を70〜20重量%
の範囲で使用する。このように比較的繊維径が大きく、
繊維長の長い第2の繊維3は、繊維間の目が粗く、繊維
充填密度が低くなる傾向を有する。一方、繊維径が小さ
く、繊維長の短い第1の繊維2は、繊維充填密度が高
く、第2の繊維3と混合した時に、第2の繊維3の粗い
目を埋めることができる((A)参照)。
(A)は集積した第1の繊維2を示し、(B)は集積し
た第2の繊維3を示す。これらの写真により、第1、第
2の繊維2,3の形状の特徴が明らかである。なお、こ
こで使用した第2の繊維3は、前記特公平1−5338
2号公報の開示技術によるものである。
す模式図である。この工程の基本的構成は、前記特公平
1−53382号公報、および同1−35093号公報
の開示技術に基づいている。図3では、高速回転する2
個の針刃ロール5,6が、それらロール5,6の繊維放
出側を垂直なダクト7に臨ませてあり、ダクト7の下端
には針刃ロール処理後の繊維を集積し、水平方向に移送
するためのエンドレスメッシュベルト8が設けてある。
一方の針刃ロール5の材料供給側には、処理前のメルト
ブロー繊維9の移送ベルト10と送り込みロール11と
が設けてある。他方の針刃ロール6の材料供給側には、
熱可塑性合成樹脂フィルムをフィブリル化し、さらに割
裂加工して得たスプリットヤーン31の移送ベルト32
と送り込みロール33とが設けてある。エンドレスメッ
シュベルト8は、裏側に設置したバキューム装置15に
よる吸気流がダクト7を通って流れるように構成してあ
る。ダクト7の一側上端には邪魔板12を設け、放出さ
れた繊維がダクト上方へ逃げないようにしてある。ダク
ト7の一側下端には送り出しロール16を配置し、ベル
ト8には下流域で加圧ロール17を上方から臨ませ、終
端域では一対のホットメルトロール18がベルト8を介
して対向配置してある。ベルト8内側には駆動ロール1
9、アイドルロール20が設けてある。ベルト8の終端
域から離れた位置に、案内ロール21、捲取ロール22
が配置してある。
供給するメルトブロー繊維9は、繊維径0.1〜10μ
mであって、添加剤としてポリスチレン、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、p−
ter−(ブチル、オクチル、ノニル、アミル、または
ビス)フェノール、(ガムロジン、パラストリン酸、デ
ヒドロアビエチレン酸、イソビマール酸、ネオアビエチ
レン酸、ビマール酸、パラストリン酸等の)ロジン類、
無水マレイン酸とアクリル酸の共重合物、パーフルオロ
アクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、
ビニルピリジン、ソルビットの中の少なくとも1つを、
0.5〜8重量%含有している。このメルトブロー繊維
9は、押出しノズルから吐出した後に、繊維がなるべく
個々に解繊している状態で、一例として3,000〜1
0,000rpmで回転する外径約100Фの針刃ロー
ル5に供給すると、絡み合ったり、融着したりした繊維
が解きほぐされ、引きちぎられ、あるいは擦過されて、
繊維長1〜30mmの比較的短い第1の繊維2となると
同時に帯電して、エレクトレットになる。第1の繊維2
は、ダクト7に放出され、吸気流とともに、または、バ
キューム装置15を使用しないときには自重で、ベルト
8上に落下する。
には、例えば前記特公平1−53382号公報に開示の
技術を使用して熱可塑性合成樹脂フィルム、より好まし
くは発泡した同フィルムをフィブリル化し、さらに針刃
ロールで割裂処理することにより得たスプリットヤーン
31を供給すると、このヤーン31が解繊されて繊維径
0.1〜30μm、繊維長5〜80mmの第2の繊維3
が得られる。第2の繊維3はダクト7に放出され、針刃
ロール5から放出されたメルトブロー繊維2と混合され
てベルト8上に落下、堆積し、綿状の繊維集積物23と
なる。第1の繊維2と第2の繊維3とは(30〜8
0):(70〜20)の重量比で混合するが、各針刃ロ
ール5,6への供給量の調節により、その重量比を自在
に設定することができる。
出しロール16の高さ調整などにより、所要目付を有す
るウエブ24となってダクト7外へ送り出され、加圧ロ
ール17で軽度に加圧されて地合が安定し、所要厚みと
なる。その後、必要ならホットメルトロール18によっ
て、またはそれに代えて熱風を吹きつけること等によっ
てウエブ24を融着処理し、さらに地合を安定させるこ
ともできる。ベルト8を出たウエブ24は、フィルタ1
となって捲取ロール22に捲き取られ、適宜裁断して使
用される。
を得る過程で繊維をダクト上方から落下させる方式を採
用したから、繊維が三次元的に、即ち平面的に見ても厚
み方向断面で見ても、ほぼ均等に配向している。エア・
フィルタ1は、三次元的に多孔性で、通気に対して極め
て大きな接触面積を有し、粉塵捕集効率の向上に効果的
である。また、メルトブロー繊維9は、針刃ロール5に
より短く引きちぎられると同時にエレクトレット化して
いるから、エア・フィルタ1は静電気的に集塵すること
も可能である。しかも、このようなエレクトレット繊維
の製造方式は、生産効率がよいうえに、繊維を引きちぎ
り、解きほぐすための針刃ロール以外には特別の設備が
不要で、生産コストを低く抑えるうえで有効である。第
1の繊維2がエレクトレット化する機構については詳ら
かではないが、針刃ロール5による処理で、電荷が添加
剤の部分にトラップされるからと考えられる。また、図
3の構成に代えて、ベルト8の流れに沿って二基のダク
ト7を直列に配置し、各ダクト7でメルトブロー繊維9
とスプリットヤーン31とを別々に処理すれば、図1の
(B)に示した積層構造のエア・フィルタ1を得ること
ができる。使用する針刃ロール5,6としては、繊維の
引きちぎりやスプリットヤーンの解繊に適しているなら
ば、ロールに針を植え込んだものの他に、針に代えてガ
ーネットワイヤをロールに捲きつけたもの等を使用する
ことができる。
て、比較例と実施例との性能を、粉塵捕集効率と粉塵堆
積量および通気抵抗と粉塵堆積量との関係で示すグラフ
である。捕集効率および通気抵抗の測定は、労働安全衛
生法に基づく防塵マスクの性能試験に準拠した。各比較
例と実施例とに使用したエア・フィルタは、次のとおり
である。 比較例1 発泡ポリプロピレンフィルムをフィブリル化し、さらに
スプリットヤーンとした後に針刃ロール処理して得た繊
維長5〜60mm、繊維径1〜20μmの繊維(前記第
2の繊維)からなる目付200g/m2のエア・フィル
タ。 比較例2 比較例1と同様にして得たポリプロピレンの繊維からな
る目付300g/m2のエア・フィルタ。 実施例1 比較例1と同様にして得たポリプロピレンの繊維50g
と、ポリブチレンテレフタレート(PBT)にポリフッ
化ビニリデン(PVDF)を7重量%添加した繊維径約
5μmのメルトブロー繊維を針刃ロールにより引きちぎ
り、解きほぐすと同時にエレクトレット化して得た繊維
長3〜20mmの繊維(前記第1の繊維)150gとを
均一に混合した目付200g/m2のエア・フィルタ。 実施例2 実施例1と同様であるが、ポリプロピレンの繊維100
gとメルトブロー繊維をエレクトレット化した繊維10
0gとを均一に混合した目付200g/m2のエア・フ
ィルタ。
示す。これらから明らかなように、ポリプロピレンフィ
ルムから得た繊維だけで構成した比較例1、2のエア・
フィルタは、堆積量0〜20mgの間において粉塵捕集
効率が低く、前記性能試験の規格値下限である95%に
近い値を示している。目付を200g/m2から300
g/m2に増やしてもこの傾向は大して改善されていな
い。
示す。これらから明らかなように、ポリプロピレンフィ
ルムから得た繊維と、メルトブロー繊維をエレクトレッ
ト化して得た繊維とからなる実施例1,2のエア・フィ
ルタは、堆積量0〜100mgの範囲にわたり99〜1
00%の高い捕集効率を示している。
ら得た繊維と、繊維充填密度が高くエレクトレット化し
たメルトブロー繊維から得た繊維とによってエア・フィ
ルタを構成したから、このエア・フィルタでは、粉塵堆
積量の多少にかかわらず高い粉塵捕集効率と低い通気抵
抗とが得られる。
クトに臨ませた針刃ロールを使用してメルトブロー繊維
の引きちぎりやエレクトレット化、スプリットヤーンの
解繊等の処理、およびこれら処理によって得られた繊維
の集積を一挙に行うことができるから、エア・フィルタ
の生産性がよく、またエレクトレット化のための特別な
設備も不要で、生産コストを低く抑えることができる。
フィルタの模式的断面図。
ー繊維の顕微鏡写真であり、(B)はスプリットヤーン
を針刃ロールで処理した後の繊維の顕微鏡写真(それぞ
れ100倍)。
フ。
フ。
フ。
フ。
Claims (5)
- 【請求項1】熱可塑性合成樹脂が添加剤として下記化合
物の少なくとも1つを0.5〜8重量%含んでエレクト
レット化しているメルトブロー法で得られた繊維径0.
1〜10μm、繊維長1〜30mmの第1の繊維30〜
80重量%と、熱可塑性合成樹脂フィルムを割裂加工お
よび解繊して得た繊維径0.1〜30μm、繊維長5〜
80mmの第2の繊維70〜20重量%とからなること
を特徴とするエア・フィルタ。化合物:ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ
化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、p−ter−(ブチ
ル、オクチル、ノニル、アミル、またはビス)フェノー
ル、(ガムロジン、パラストリン酸、デヒドロアビエチ
レン酸、イソビマール酸、ネオアビエチレン酸、ビマー
ル酸、バラストリン酸等の)ロジン類、無水マレイン酸
とアクリル酸との共重合物、パーフルオロアクリレー
ト、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリ
ジン、ソルビット。 - 【請求項2】前記第1の繊維と第2の繊維とが積層され
ている請求項1記載のエア・フィルタ。 - 【請求項3】前記第1の繊維と第2の繊維とが混合され
ている請求項1記載のエア・フィルタ。 - 【請求項4】添加剤としてエレクトレット材料を含有す
る熱可塑性合成樹脂のメルトブロー法で得た繊維径0.
1〜10μmのメルトブロー繊維を針刃ロールにより機
械的に引きちぎり、擦過して、繊維長1〜30mmのエ
レクトレット化した第1の繊維にする工程、熱可塑性合
成樹脂フィルムを割裂加工して得たスプリットヤーンを
針刃ロールにより解繊し繊維径0.1〜30μm、繊維
長5〜80mmの第2の繊維にする工程、および前記第
1と第2の繊維を(30〜80):(70〜20)の重
量比で積層または混合して集積する工程を含むことを特
徴とするエア・フィルタの製造方法。 - 【請求項5】前記メルトブロー繊維が、前記エレクトレ
ット材料として次の化合物の中の少なくとも1つを0.
5〜8重量%含む請求項4記載のエア・フィルタの製造
方法。ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化
ビニリデン、ポリ塩化ビニル、p−ter−(ブチル、
オクチル、ノニル、アミル、またはビス)フェノール、
(ガムロジン、パラストリン酸、デヒドロアビエチレン
酸、イソビマール酸、ネオアビエチレン酸、ビマール
酸、バラストリン酸等の)ロジン類、無水マレイン酸と
アクリル酸との共重合物、パーフルオロアクリレート、
ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジ
ン、ソルビット。
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JP26287491A JP3193420B2 (ja) | 1991-09-13 | 1991-09-13 | エア・フィルタおよびその製造方法 |
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- 1991-09-13 JP JP26287491A patent/JP3193420B2/ja not_active Expired - Fee Related
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