JP3192498B2 - インバータ装置 - Google Patents

インバータ装置

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JP3192498B2
JP3192498B2 JP29203492A JP29203492A JP3192498B2 JP 3192498 B2 JP3192498 B2 JP 3192498B2 JP 29203492 A JP29203492 A JP 29203492A JP 29203492 A JP29203492 A JP 29203492A JP 3192498 B2 JP3192498 B2 JP 3192498B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインバータ装置に関し、
特に携帯用の交流電源装置等に使用される、パルス幅変
調方式のインバータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯用の交流電源装置には、出力
周波数を安定化させるためにインバータ装置を使用する
ことが多くなってきており、例えばエンジンで駆動され
る交流発電機によって商用周波数の交流電力を出力する
携帯用電源装置においては、エンジンを回転数の高い領
域にて運転させて発電機から高出力の交流電流を得、こ
の交流電流を一旦直流に変換した後、インバータ装置に
より商用周波数の交流に変換して出力するようにした装
置が、実開昭59−132398号公報等によって知ら
れている。
【0003】ところで、このような交流電源装置におい
て、その使用用途によっては出力波形をできるだけ正弦
波に近似したものにしたいという要請があり、この要請
に応えるべく上記インバータ装置にパルス幅変調(PW
M)方式を採用した交流電源装置も検討され始めている
(特開昭60−82098号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の交
流電源装置においては、負荷の力率(cosφ;φは電
圧と電流の位相差)によって、同一の大きさの出力電流
であっても出力電圧が大きく変動する。
【0005】この出力電圧の変動の程度を無負荷時の出
力電圧と比較した一例を本出願人がパルス変調方式の交
流電源装置について測定したデータ例で示すと、負荷電
流15Aの状態において、抵抗負荷で−6.6%、遅相
負荷(cosφ=0.4)で−11.0%、進相負荷
(cosφ=2.5)で+9.7%という具合に負荷の
力率により±10%も変動してしまう。
【0006】このことは、次のように説明できる。
【0007】すなわち、交流電源装置の内部出力電圧を
V0[V]、負荷電圧をV[V]、交流電源装置の出力
段のチョークインダクタンスをL[H]、負荷電流をI
[A]、負荷インピーダンスをZ[Ω]、出力電圧の角
速度をωとすると、出力電圧V0は、 V0=|ωL+Z|・I となり、負荷電流Iは、I=V/|Z|であるから、上
式は、 V0=|ωL+Z|・V/|Z| と表せ、したがって負荷電圧Vは、 V=V0・|Z/(ωL+Z)| と表せる。
【0008】ここで、|Z/(ωL+Z)|=Aとおく
と、抵抗負荷及び遅相負荷では、A<1となり、V<V
0となるが、進相負荷では、|ωL+Z|が減少して、
A>1となり、V>V0となる。このことにより、進相
負荷では出力電圧が上昇するのが分かる。
【0009】このような出力電圧の変動は好ましくな
く、極力変動幅を小さく抑えるのが望ましい。また、出
力電圧が上昇する方向の変動は、負荷に対しても電源装
置側自体に対しても、故障原因となり易いため、特に小
さくするのが好ましい。
【0010】本発明は、このような事情によりなされた
もので、負荷の力率の違いによる出力電圧の変動を低減
でき、特に出力電圧が上昇する方向に変化する進相負荷
による出力電圧変動を大幅に低減できるインバータ装置
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、直流電源回路と、該直流電源回路の出力を
スイッチング制御するインバータ回路と、所定周波数の
正弦波基準信号を出力する正弦波出力回路と、該正弦波
出力回路から出力される前記正弦波基準信号をパルス幅
変調してPWM信号を出力するパルス幅変調回路と、該
パルス幅変調回路から出力される前記PWM信号に基づ
いて前記インバータ回路をスイッチング動作させること
により前記所定周波数の交流電力を形成するスイッチン
グ制御回路とを有するインバータ装置において、前記交
流電力の出力電流を検出する電流検出回路と、該電流検
出回路により検出された検出電流の位相を略90゜進相
させて前記正弦波基準信号にフィードバックすることに
よりこの正弦波基準信号の振幅を補正する力率補正回路
とを設けたことを特徴とするものである。
【0012】また、好ましくは、前記交流電力の出力周
波数を切り換える切り換え回路と、該切り換え回路によ
り前記出力周波数がより高い周波数に切り換えられるほ
ど前記力率補正回路のフィードバックゲインを増加させ
ることにより、前記力率補正回路が前記検出電流の位相
を略90°進相し得るようにするフィードバックゲイン
変更回路とを設けたことを特徴とする。
【0013】さらに、前記切り換え回路は、出力周波数
を50ヘルツと60ヘルツとに切り換え可能であり、前
記フィードバックゲイン変更回路は、前記力率補正回路
のフィードバックゲインを、前記出力周波数が50ヘル
ツの場合よりも60ヘルツの場合の方が高くなるように
制御することを特徴とする。
【0014】
【作用】本発明によるインバータ装置においては、スイ
ッチング制御回路により形成される交流電力の出力電流
を電流検出回路により検出し、力率補正回路により、該
電流検出回路により検出された検出電流の位相を略90
゜進相させて前記正弦波基準信号にフィードバックする
ことによりこの正弦波基準信号の振幅を補正する。
【0015】このことにより、負荷の力率の違いによる
出力電圧の変動を低減でき、特に出力電圧が上昇する方
向に変化する進相負荷による出力電圧変動を大幅に低減
できる。
【0016】また、フィードバックゲイン変更回路は、
切り換え回路によって出力される交流電力の出力周波数
がより高い周波数に切り換えられるほど力率補正回路の
フィードバックゲインを増加させる。これにより力率補
正回路は、交流電力の出力周波数の切り換えに拘らず検
出電流の位相を略90°進相する。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面を参照して
説明する。
【0018】図1〜図6は、本発明に係るインバータ装
置を含むエンジン発電機の全体構成図である。図1にお
いて、1,2はそれぞれ交流発電機の固定子に独立して
巻装された出力巻線であり、1は三相出力巻線、2は単
相補助巻線である。また回転子(図示せず)には多極の
永久磁石の磁極が形成されており、回転子はエンジン
(図示せず)によって回転駆動されるように構成されて
いる。三相出力巻線1の出力端は、3つのサイリスタと
3つのダイオードとで構成されるブリッジ整流回路3に
接続され、ブリッジ整流回路3の出力端は平滑回路4に
接続される。
【0019】単相補助巻線2の出力端は、正極、負極出
力端子E,Fを有する定電圧供給装置5に接続される。
定電圧供給装置5は2組の整流回路、平滑回路、定電圧
回路5aから成り、単相補助巻線2からの一の方向の電
流に対しては一方の組の各回路が働き、一の方向と反対
の方向の電流に対しては他方の組の各回路が働き、これ
によって出力端子E,Fに夫々正負の定電圧が出力され
る。
【0020】6はサイリスタ制御回路であり、電源入力
側の一端が定電圧供給装置5の正極出力端子Eに接続さ
れ、他端が平滑回路4の正極側端子とともに接地され
る。サイリスタ制御回路6の信号入力端はコンデンサC
1,抵抗R1〜R3の直列回路で構成され、信号入力端
のコンデンサC1側の一端は定電圧供給装置5の正極出
力端子Eに接続され、信号入力端の抵抗R3側の他端は
平滑回路4の負極側端子に接続される。抵抗R1と抵抗
R2との接続点はトランジスタQ1のベースに、このト
ランジスタQ1のコレクタはトランジスタQ2のベース
に、このトランジスタQ2のコレクタはブリッジ整流回
路3の各サイリスタのゲート入力回路に接続され、抵抗
R1と抵抗R2との接続点の電位に応じて上記ゲート入
力回路の入力信号を制御するように構成されている(サ
イリスタ制御回路6に関する詳細な説明は、本願出願人
による特願平1−230908号に開示されるので、こ
こでは省略する)。
【0021】コンデンサC1と抵抗R1との接続点Kに
は過渡抑制回路7の出力側が接続される。過渡抑制回路
7によれば、定電圧供給装置5の正極出力端子E側に設
けられた定電圧回路5aの入力側(G)にツェナーダイ
オードD1のカソード側が接続され、ツェナーダイオー
ドD1のアノード側が抵抗を介して定電圧供給装置5の
負極出力端子Fに接続されるとともに、オペアンプから
成る反転比較器701の反転端子(−)に接続され、反
転比較器701の非反転端子(+)は抵抗を介して接地
される。反転比較器701の出力側はNOR回路702
の入力側の一方の端子に接続され、NOR回路702の
入力側の他方の端子にはエンジン発電機の過電流状態等
の、保護が必要な状態になっていることを検出するため
の保護装置8が接続され、保護が必要な状態を検出した
時に高レベル信号がNOR回路702に供給される。N
OR回路702の出力側はインバータ703、抵抗を介
してトランジスタQ3のベースに接続される。トランジ
スタQ3のエミッタは定電圧供給装置5の負極出力端子
Fに接続され、トランジスタQ3のコレクタは、抵抗R
4を介して定電圧供給装置5の正極出力端子Eに接続さ
れるとともにコンデンサC2を介して定電圧供給装置5
の負極出力端子Fに接続される。コンデンサC2の正極
端子にはトランジスタQ4のベースが接続され、トラン
ジスタQ4のコレクタは定電圧供給装置5の正極出力端
子Eに接続され、トランジスタQ4のエミッタは、ダイ
オードD2のアノードに接続されるととももにサイリス
タ制御回路6のコンデンサC1と抵抗R1との接続点K
に接続される。ダイオードD2のカソードはコンデンサ
C2の正極端子に接続される。
【0022】平滑回路4の出力側は図2のブリッジ型イ
ンバータ回路9に接続される。ブリッジ型インバータ回
路9は4つのFET(電界効果トランジスタ)Q5〜Q
8から成るブリッジ回路で構成され、FETQ5,Q6
のドレインと接地されている共通ラインとの間には負荷
電流を検出するための電流検出用抵抗R5,R6が接続
されている。FETQ5〜Q8の各ゲート端子に接続さ
れる駆動信号用回路に関しては後述する。
【0023】ブリッジ型インバータ回路9の出力側は出
力ライン10a,10bとローパスフィルタから成る出
力回路10とを介して負荷(図示せず)が接続される出
力端子11,12に接続される。出力回路10は、負荷
に対し直列接続されるコイルL1,L1と負荷に対し並
列接続されるコンデンサC3とで構成されるローパスフ
ィルタから成る。
【0024】出力ライン10a,10bは、分割抵抗や
差動アンプから成る図4の検出回路13に接続される。
検出回路13は、出力ライン10a,10bに現れる出
力電圧どうしを直接比較することによって出力の波形歪
みあるいはオフセット成分を検出し、検出信号を出力す
るものである。
【0025】14は商用周波数、例えば50Hzまたは6
0Hzの正弦波基準信号を発生する正弦波発振器(正弦波
形成回路)である。この正弦波発振器14の出力側は差
動増幅器15の反転入力端子(−)に接続される。該差
動増幅器15の反転入力端子(−)には、後述する力率
補正回路26(図5)の出力側が接続される。差動増幅
器15のオペアンプの非反転入力端子(+)には、差動
増幅器15と共に補正回路を構成するピーク検出回路1
6(図3)の出力側が接続される。ピーク検出回路16
は高速タイプのオペアンプ3段にて構成され、各オペア
ンプでのゲインを10倍程度にして高スルーレートを得
るようにするとともにそれらを差動増幅器15を含めて
計4段重ねることによって高ゲインを確保するようにし
ている。
【0026】図3のピーク検出回路16は次のように構
成される。電流検出用抵抗R5,R6とFETQ5,Q
6との接続点M,Nは2段増幅器161の入力側増幅器
1611の非反転入力端子(+)、反転入力端子(−)
に接続され、増幅器1611の出力側は2段増幅器16
1の出力側増幅器1612に出力ライン161aを介し
て接続される。そして、増幅器1612の出力側はオフ
セット増幅器162及びオフセット増幅器163の各非
反転入力端子(+)並びに力率補正回路26の入力側に
接続される。
【0027】力率補正回路26においては、増幅器16
12の出力側が抵抗R13を介してオペアンプ261の
反転入力端子(−)に接続され、かつコンデンサC8と
抵抗R14の移相回路を介してオペアンプ261の非反
転入力端子(+)に接続される。オペアンプ261の出
力端子は、抵抗R15を介して差動増幅器15の反転入
力端子(−)に接続される。この力率補正回路に入力し
た信号は、コンデンサC8と抵抗R14からなる移相回
路により位相が90゜進相して出力される。
【0028】164は上下限値設定回路であり、4つの
直列抵抗R7〜R10から成り、一端が定電圧供給回路
5の正極出力端子Eに接続され、他端が定電圧供給回路
5の負極出力端子Fに接続されるとともに、抵抗R8と
R9との接続点が接地される。この上下限値設定回路1
64により得られた所定の上限電圧値がオフセット増幅
器162のオペアンプの反転入力端子(−)に供給さ
れ、また所定の下限電圧値がオフセット増幅器163の
オペアンプの反転入力端子(−)に供給される。
【0029】オフセット増幅器162の出力側はダイオ
ードD3のアノードに接続され、オフセット増幅器16
3の出力側はダイオードD4のカソードに接続される。
ダイオードD3のカソードとダイオードD4のアノード
とは抵抗を介して接地されるとともに、図4の差動増幅
器15のオペアンプの非反転入力端子(+)に接続され
る。差動増幅器15は、後に詳述するように、出力ライ
ン10a,10bの出力電流(負荷電流)に応じたフィ
ードバック信号及び力率補正回路26から出力されるフ
ィードバック信号によって、正弦波発振器14から出力
される正弦波基準信号を補正するものである。
【0030】差動増幅器15の出力側は差動増幅器17
のオペアンプの反転入力端子(−)に接続され、差動増
幅器17のオペアンプの非反転入力端子(+)には検出
回路13の出力側が接続される。差動増幅器17は、正
弦波発振器14から出力される正弦波基準信号レベルを
検出回路13から出力される検出信号で補正し、補正さ
れた正弦波信号を出力するものである。
【0031】18は矩形波発振器であり、この矩形波発
振器18で発振出力される矩形波信号の周波数は正弦波
発振器14から出力される正弦波基準信号の周波数より
も格段に高い値に設定される。矩形波発振器18の出力
側は積分回路19に接続され、積分回路19は上記矩形
波信号を積分して三角波信号に変換する。
【0032】差動増幅器17から出力される補正された
正弦波信号と積分回路19から出力される三角波信号と
は重畳されてインバータバッファ(パルス幅変調回路)
20に供給される。インバータバッファ20は所定のし
きい値(スレッシュホールドレベル)を有し、このしき
い値を超えたレベルの信号が入力したときは低レベルの
信号を出力し、一方しきい値以下のレベルの信号が入力
したときは高レベルの信号を出力し、いわゆるパルス幅
変調(PWM)信号を形成するものであり、例えばゲー
ト端子への入力信号に対し固定されたしきい値を有する
CMOSゲートICで構成される。
【0033】インバータバッファ20の出力側は、図6
のインバータ21を経てNAND回路22の一方の入力
端に入力するとともにそのまま直接NAND回路23の
一方の入力端にも入力する。NAND回路22の他方の
入力端とNAND回路23の他方の入力端には過渡抑制
回路7のNOR回路702の出力端Jが接続される。図
6のNAND回路22、23の各出力側はFETゲート
駆動信号用回路24、25に夫々接続される。FETゲ
ート駆動信号用回路24はプッシュプル増幅器、サージ
吸収用ダイオード、低周波成分カット用のコンデンサC
4、パルストランスA,Cの一次側コイルから構成さ
れ、同様にFETゲート駆動信号用回路25はプッシュ
プル増幅器、サージ吸収用ダイオード、低周波成分カッ
ト用のコンデンサC5、パルストランスB,Dの一次側
コイルから構成される。
【0034】パルストランスAの二次側コイル(図2の
ブリッジ型インバータ回路9内に表示)は減衰抵抗、復
調用のコンデンサC6、双方向電圧規制ダイオードD
5,D6を介してFETQ5のゲートに接続される。パ
ルストランスB,C,Dの各二次側コイルも、パルスト
ランスAの二次側回路と全く同様な回路を介してFET
Q6,A7,Q8の各ゲートに夫々接続される(FET
ゲート駆動信号用回路24、25及び各パルストラン
ス、減衰抵抗、復調用コンデンサ、双方向電圧規制ダイ
オード等によりスイッチング制御回路が構成される)。
【0035】次に、以上のように構成されたインバータ
装置を含むエンジン発電機の動作について説明する。
【0036】エンジンの駆動に伴い三相出力巻線1から
出力された三相交流電力はブリッジ整流回路3で整流さ
れ、続く平滑回路4で平滑されて直流電力に変換される
とともに、平滑回路4での直流電圧の変動が抵抗R2,
R3を介してサイリスタ制御回路6で検出され、その検
出信号に基いてブリッジ整流回路3の各サイリスタの導
通を制御することにより平滑回路4の出力電圧が所定の
直流電圧に安定に維持されるようなフィードバック制御
が行われる。なおサイリスタ制御回路6には過渡抑制回
路7からの出力信号も入力するが、この信号に基づくサ
イリスタ制御回路6及びブリッジ整流回路3の動作につ
いては後述する。
【0037】インバータ回路9のFETQ5,Q7及び
FETQ6,Q8のゲートには後述するパルス幅変調
(PWM)信号が入力され、このPWM信号に応じてF
ETQ5,Q7及びFETQ6,Q8を交互に導通させ
ることにより平滑回路4の直流出力をスイッチング制御
して出力回路10へ出力させる。出力回路10は高周波
成分をカットして商用周波数の交流電力を出力端子1
1,12から負荷に供給する。
【0038】出力ライン10aに現れる出力電圧と出力
ライン10bに現れる出力電圧とは、抵抗R11,R1
2とコンデンサC7とから成るフィルタ回路でその高周
波成分が除去され、検出回路13でその商用周波数成分
が比較され、その差、即ち出力電圧の波形の歪みあるい
はオフセット成分が検出され、その検出信号が差動増幅
器17に出力される。
【0039】正弦波発振器14から出力された商用周波
数の正弦波基準信号は後に詳述する差動増幅器15の動
作により交流出力電流に応じて力率補正及びピーク値補
正が行われた後、差動増幅器17に入力される。
【0040】差動増幅器17は、差動増幅器15から出
力された補正正弦波信号と検出回路13から出力された
出力電圧の波形の歪あるいは直流オフセット分等を含ん
だフィードバック信号とを比較し、このフィードバック
信号に依って補正正弦波信号のレベルを補正し、この再
度補正された正弦波信号を出力する。
【0041】矩形波発振器18から出力された矩形波信
号は積分回路19で積分されて三角波信号に変換され
る。この三角波信号と差動増幅器17からの補正正弦波
信号とが重畳されて重畳信号が形成され、インバータバ
ッファ20に入力される。インバータバッファ20で
は、重畳信号がしきい値を超えるときには低レベルの信
号を出力し、一方しきい値以下のときには高レベルの信
号を出力して、結果的に三角波信号を搬送波とし、補正
正弦波によりパルス幅変調されたPWM信号を出力する
こととなる。このPWM信号は、補正された正弦波信号
に基づき形成されるため、交流出力電流の力率補正及び
ピーク値補正が行われることはもとより(これについて
は後述する)前記出力電圧の歪み及びオフセット成分を
減少させることが可能となるとともに、応答時間がコン
パレータ(約1μsec)に比べ格段に速いインバータバ
ッファ(約50nsec)をPWM信号の形成に使用する
ため搬送波の周波数をより高くすることが可能となり、
これにより出力波形をより正弦波に近似させた、より高
品質の交流電力を供給することを可能ならしめる。
【0042】インバータバッファ20から出力されたP
WM信号の一方はインバータ21で反転されてNAND
回路22へ、他方はそのままNAND回路23へ入力さ
れる。NAND回路22,23には過渡抑制回路7か
ら、過電流状態等の保護が必要な状態が検出された時ま
たはエンジン始動時等の低回転状態が検出された時に低
レベル信号が供給され、この時にはNAND回路22,
23の出力はPWM信号のいかんに拘らず高レベル信号
となり、この状態が継続されるためPWM信号は伝送さ
れない。一方、保護を必要とする状態が検出されず、か
つエンジン回転数も所定回転数以上になっているときに
は過渡抑制回路7から高レベル信号が供給され、この時
にはNAND回路22,23は夫々入力した反転または
非反転PWM信号に応じて夫々反転または非反転PWM
信号を反転した信号を出力し、FETゲート駆動信号用
回路24にはPWM信号が、またFETゲート駆動信号
用回路25には反転したPWM信号が供給される。
【0043】FETゲート駆動信号用回路24では、P
WM信号は、プッシュプル増幅された後、コンデンサC
4で低周波成分、即ち商用周波数成分がカットされる。
コンデンサC4を通過する直前の信号は基準レベルに対
し振幅一定のPWM信号であるが、この信号の平均電圧
(積分値)は、正弦波発振器14からの正弦波と同一の
周期で変化しており、従ってこのPWM信号はこの正弦
波と同一の周波数(商用周波数)成分を含んでいる。こ
のPWM信号がコンデンサC4を通過した後は商用周波
数成分とは逆相にパルス列全体が上下して平均電圧が常
時零であるパルス信号列に変換される。
【0044】この平均電圧が常時零であるパルス信号列
がパルストランスA,Cの各一次側コイルに供給される
ので、パルストランスA,Cを構成するトランスコアに
は、商用周波数成分による磁気飽和の悪影響がほとんど
なくなり、従ってトランスA,Cは、PWM搬送周波数
で磁気飽和しない程度の小型サイズのもので構成するこ
とが可能となる。
【0045】FETゲート駆動信号用回路25の動作も
上記FETゲート駆動信号用回路24の動作と全く同様
である。
【0046】パルストランスAの二次側コイルから出力
したパルス信号はツェナーダイオードD5,D6の各降
伏電圧と比較され、各降伏電圧を超えた分によりコンデ
ンサC6が充放電され、コンデンサC6の両端には各降
伏電圧を超えた分による平均電圧(これは商用周波数を
有する)が現れる。従って、FETQ5のゲート・ソー
ス間には、商用周波数を有するコンデンサC6の両端電
圧と、パルストランスAの二次側コイルから出力したパ
ルス信号とが重畳した信号、即ちコンデンサC4を通過
前のPWM信号が復調される。FETQ5は、PWM信
号の正パルスがゲートに入力されている間だけ導通す
る。
【0047】パルストランスCの二次側コイルから出力
したパルス信号も上述のパルストランスAの二次側コイ
ルから出力したパルス信号と全く同様に処理され、FE
TQ7の導通はFETQ5の導通と同じタイミングで行
われる。
【0048】パルストランスB,Dの二次側コイルから
出力したパルス信号も上述のパルストランスA,Cの二
次側コイルから出力したパルス信号と全く同様に処理さ
れる。但しパルストランスB,Dに入力するPWM信号
とパルストランスA,Cに入力するPWM信号とは位相
が逆であるから、FETQ5,Q7が導通するときはF
ETQ6,Q8が非導通となり、反対にFETQ5,Q
7が非導通となるときはFETQ6,Q8が導通するよ
うに動作する。
【0049】以上のように、出力波形に基づきフィード
バック補正された商用周波数の正弦波信号を高周波の三
角波信号でパルス幅変調し、このパルス幅変調信号に基
づきインバータ回路9でスイッチング制御が行われ、そ
の後出力回路10で搬送周波数成分がカットされ、ほぼ
正弦波に近似した商用周波数の交流電力が出力端子1
1,12から負荷に供給される。
【0050】以上のブリッジ型インバータ回路9及び検
出回路13ないしFETゲート駆動信号用回路24,2
5(但し、差動増幅幅器15及びピーク検出回路16,
力率補正回路26を除く)の構成及び動作に関する、よ
り詳細な説明は、既に本願出願人による特願平2−30
7823号に記載されている。
【0051】次に過渡抑制回路7の動作を説明する。
【0052】エンジン始動直後は交流発電機の出力電圧
が低いため、定電圧供給装置5を構成する定電圧回路5
aの入力端の電圧は低く、従って始動当初、ツェナーダ
イオードD1の降伏電圧(定格運転時の回転数よりも低
い値に設定したエンジン回転数の設定値に相当する電
圧)を超えることはなく、ツェナーダイオードD1は非
導通である。そのため反転比較器701の反転端子
(−)は低いレベルであり、反転比較器701の出力は
高レベルとなる。
【0053】NOR回路702は入力側の少なくとも一
方に高レベル信号が入力すれば低レベル信号を出力する
ので、NOR回路702の出力は、反転比較器701の
高レベル出力または保護装置8の高レベル出力で低レベ
ルとなる。
【0054】この低レベル信号がインバータ703で反
転されて高レベル信号となり、トランジスタQ3を導通
してコンデンサC2を放電させる。従ってトランジスタ
Q4は非導通となり、コンデンサC1と抵抗R1との接
続点Kの電位は低レベルとなる。
【0055】従ってサイリスタ制御回路6のトランジス
タQ1は非導通となり、トランジスタQ2は導通とな
り、ブリッジ整流回路3の各サイリスタのゲートには低
レベル信号が供給される。これにより、各サイリスタは
導通せず、ブリッジ整流回路3は整流出力を供給しな
い。即ち、エンジン回転数が設定値以下であるか、また
は保護が必要な状態が検出されたときにはブリッジ整流
回路3は整流出力を供給しないようにされ、これにより
エンジン始動時におけるインバータ装置の不安定動作が
抑制されるとともに、過負荷による過電流状態等の保護
が必要とされる状態が検出された時の出力供給も停止さ
れる。
【0056】次に、エンジン始動後、交流発電機の出力
電圧が徐々に上昇し、定電圧回路5aの入力端の電圧が
高くなり、ツェナーダイオードD1の降伏電圧を超える
と、即ちエンジン回転数が設定値を超えるとツェナーダ
イオードD1は導通し、反転比較器701の反転端子
(−)は高レベルに転じ、反転比較器701の出力は低
レベルとなる。
【0057】このとき保護が必要な状態が検出されてい
なければ、NOR回路702の出力は高レベルに転じ、
インバータ703の出力は低レベルとなる。従ってトラ
ンジスタQ3は非導通となり、コンデンサC2は抵抗R
4を介して充電される。この充電によりコンデンサC2
の正極側電位は、コンデンサC2の容量及び抵抗R4の
抵抗値で決まる時定数に基づき徐々に上昇する。コンデ
ンサC2の正極側電位の上昇によりトランジスタQ4が
導通するが、このトランジスタQ4の導通によりトラン
ジスタQ4のエミッタ電位が上昇してトランジスタQ4
のベース電位より高くなるようなことがあればトランジ
スタQ4は非導通に転じるので、K点の電位はコンデン
サC2の正極側電位より僅かに低い値に常時維持される
ことになる。従ってK点の電位は、エンジン回転数が設
定値を超えた時点以降、コンデンサC2の容量及び抵抗
R4の抵抗値で決まる時定数に基づき徐々に上昇するこ
ととなる。
【0058】従って、サイリスタ制御電圧(XY間)は
K点電位に比例するため、徐々に上昇し、最終的にK点
電位が略定電圧供給装置5の正極出力電位に至り、各サ
イリスタのゲート電圧は抵抗R1と抵抗R2との接続点
の電位を所定値に維持するための所定フィードバック制
御入力値に至る。
【0059】斯くして、たとえエンジン始動のとき出力
端子11,12に負荷が接続されたままの状態であって
も交流発電機の出力電圧が十分上昇していない不安定な
状態でブリッジ整流回路3の各サイリスタに急激に電流
が突入することを防止できるものである。これによりブ
リッジ型インバータ回路9の各FETに対して不安定な
状態で急激な電圧変化が加わることも防止される。こう
した防止効果は、エンジン始動時に出力端子11,12
に接続されている負荷が大きい程大きく、特に負荷が短
絡状態にある場合にはサイリスタやFETに対する悪影
響の抑制効果がきわめて大きい。
【0060】次に、力率補正回路26の動作について説
明する。
【0061】ブリッジ型インバータ回路9の一対の電流
検出用抵抗R5,R6にはブリッジ型インバータ回路9
の出力電流(負荷電流)に応じた電圧が生じる。図7
(a)に接続点Mの検出電流波形を示す。接続点Nの検
出電流波形は図7(b)に示すように図7(a)と逆相
の関係になる。接続点M,Nの検出電流波形信号(出力
電流信号)はピーク検出回路16のオペアンプ1611
の非反転入力端子(+)、反転入力端子(−)に入力さ
れる。オペアンプ1611は積分回路を構成しており、
入力された接続点M,Nの電位信号は高周波成分が除去
され、接続点Mの電位信号のみに着目した場合には直流
成分および商用周波数成分を含む信号がオペアンプ16
11の出力側に現われる。この信号は積分回路を構成す
るオペアンプ1612で反転増幅されることにより図7
(c)に示すような高周波成分が除去された商用周波数
の信号となり、図5の力率補正回路26に入力される。
【0062】力率補正回路26では、入力された電流波
形は移相回路により位相が90゜進相されて出力され
る。
【0063】ここで、正弦波発振器14から出力される
正弦波基準信号が入力される差動増幅器15の入力端点
をa、力率補正回路26の入力端点をb、力率補正回路
26のオペアンプ261の出力端点をc、差動増幅器1
5のオペアンプの反転入力端点をdとすると、d点にお
いては、力率補正回路26の出力段の抵抗R15と差動
増幅器15のオペアンプの反転入力端に接続された抵抗
とにより、抵抗ミキシングがなされるので、d点の電圧
値X(φ)はa点の正弦波基準信号の電圧値sinθと
c点の力率補正回路26の出力電圧値sin(θ+φ+
π/2)との和となり、 X(φ)=sinθ+Bsin(θ+φ+π/2) と表せる。ここで、Bは、力率補正回路26の出力段の
抵抗R15と差動増幅器15のオペアンプの反転入力端
に接続された抵抗とにより決まる混合比である。
【0064】上式に基づいて、抵抗負荷の場合(cos
φ=1)、進相負荷の場合(cosφ=0)及び遅相負
荷の場合(cosφ=0)の各場合の信号波形を図示す
ると図8のようになる。すなわち、a点での正弦波基準
信号の振幅VMを1とし、混合比Bを1と仮定すると、
抵抗負荷の場合は、b点の出力電流の信号波形はa点で
の正弦波基準信号波形と同位相同振幅であり、力率補正
回路26の出力端点であるc点の信号波形はこのb点の
信号波形を90゜進相した波形となる。したがって、a
点の信号波形とc点の信号波形とを混合比Bを1として
抵抗ミキシングしたd点の信号波形の振幅X(φ)は√
2となる。
【0065】また、進相負荷の場合は、b点の出力電流
の信号波形はa点での正弦波基準信号波形より90゜進
相しており、このb点の信号波形をさらに90゜進相さ
せたc点の信号波形はa点の信号波形より180゜進相
する事となる。これにより、この場合のd点の信号波形
の振幅X(φ)は0となる。
【0066】さらに、遅相負荷の場合は、b点の出力電
流の信号波形はa点での正弦波基準信号波形より90゜
遅相しており、このb点の信号波形を90゜進相させた
c点の信号波形はa点の信号波形と同相になる。したが
って、この場合のd点の信号波形の振幅X(φ)は2と
なる。
【0067】図8に典型的場合を示したd点の信号振幅
X(φ)をさらに|sinθ|で割った絶対増幅率Y
(φ)=|X(φ)|/|sinθ|を各種の混合比に
ついて位相角φの関数として示したグラフを図9に示
す。なお、実施化するには混合比Bは0.17程度が適
当である。
【0068】このようにして検出電流の位相を90゜進
相させて力率補正された正弦波基準信号を新たな正弦波
基準信号として用いることにより、出力電圧の変動を最
小限に抑えることができる。例えば、本実施例の実測デ
ータによれば、抵抗負荷時の電圧変動率−6.2%(−
6.6%)、遅相負荷時の電圧変動率−1.4%(−1
1.0%)、進相負荷時の電圧変動率−1.7%(+
9.7%);(括弧内は本発明による力率補正を施さな
い場合の電圧変動率)のごとく、抵抗負荷時を除いて、
電圧変動率を著しく減少することができ、特に、電圧増
大方向の変動をほぼ完璧に無くすことができる。このこ
とにより、出力電圧変動に起因する負荷あるいは交流電
源装置自体の故障を回避することができる。
【0069】次に、補正回路の一つであるピーク検出回
路16及び差動増幅器15の動作について説明する。
【0070】ピーク検出回路16の2段増幅器161に
入力された検出電流信号は、2段増幅器161で積分増
幅され、高周波成分が除去された商用周波数の信号とな
り、オフセット増幅器162,163に出力される。オ
フセット増幅器162では、オペアンプ1612からの
商用周波数信号の振幅を、上下限値設定回路164から
オペアンプの反転端子(−)に入力した所定の上限電圧
値と比較し、このピーク電流判別のしきい値となる所定
の上限電圧値を超えた分のみを増幅する(オフセット増
幅)。オフセット増幅器163では、オペアンプ161
2からの商用周波数信号の振幅を、上下限値設定回路1
64からオペアンプの反転端子(−)に入力したピーク
電流判別のしきい値となる所定の下限電圧値と比較し、
この所定の下限電圧値を下回った分のみを増幅する(オ
フセット増幅)。オフセット増幅器162,163の出
力はダイオードD3,D4を夫々通過して重畳される。
従ってこの重畳後の信号は、増幅された商用周波数信号
のレベルが所定の上限電圧値を超えた部分のみまたは下
限電圧値を下回った部分のみが合成された信号であり、
増幅された商用周波数信号のレベルが所定の上下限電圧
値を超えないときにはこの合成信号は零レベルを維持す
ることとなる。
【0071】この合成信号は、差動増幅器15のオペア
ンプの非反転端子(+)に入力される。差動増幅器15
では、この合成信号が、前述した力率補正のなされた正
弦波基準信号と比較され、差動増幅される。即ち、交流
出力電流が大きくなってこれに対応する商用周波数信号
のレベルが所定の上下限電圧値を超えた場合、その超え
た量に応じてフィートバック補正が行われて対応する正
弦波のピーク部が潰され、このピーク部が補正された正
弦波が次の差動増幅器17に出力される。
【0072】その結果、このように補正された正弦波信
号に基づいて行われるパルス幅変調制御によって得られ
る交流出力電流は対応するピーク部が潰され、これによ
り、交流出力電流のピーク電流値が制限されたことにな
る。なお、過電流が流れたときにピーク電流値を制限す
るだけで、電流供給を遮断してしまうことはせず、従っ
て一時的に出力のピーク電流値が大きくなる負荷にも何
等支障なく通電状態を継続させることができる。
【0073】さらに、半波整流負荷のような特殊の負荷
の場合においても、図6(b),(c)に示すように直
流成分が失われることはないので、ピーク値を正確に検
出でき、従って過電流を適正に抑制することができる。
【0074】図10は、図5の力率補正回路の他の実施
例を示す回路図である。
【0075】この実施例は、上述した実施例に対して、
交流電力の出力周波数の変更に応じて力率補正回路のフ
ィードバックゲインを変更できるようにした点が異な
る。
【0076】即ち、本実施例は、上述した図5の力率補
正回路26において回路定数を出力周波数が50ヘルツ
(Hz)のとき、略90°進相させるような値に設定し
た場合、U点に入力する入力電流に対してW点から出力
する出力電流の位相は、例えば、該入力電流周波数が5
0ヘルツのとき、90°進相するが、60ヘルツのとき
には、90°まで進相しないと云う不具合を解消するも
のである。以下、実際に回路定数を設定して説明する。
【0077】図11は、図5の力率補正回路の内、説明
に必要な要素のみ取り出したものである。同図におい
て、オペアンプ261の反転入力端子(−)と出力端子
との間に接続されている抵抗をR17とし、入力電流に
対して出力電流を90°進相させる周波数をf90とする
と、f90は下記の数式(1)により求められる。
【0078】 f90=[1/(2πR14・C8)]・[(R13+R17)/(2R1 3)]‥‥(1) また、このときのゲインAは、
【0079】
【数1】 となる。
【0080】ここで、回路定数として、R13=10K
Ω,R14=33KΩ,C8=0.1μFと設定する
と、50ヘルツの周波数を有する入力電流は、ゲインA
=1で、90°進相する。
【0081】図12は、この回路定数を用いてシミュレ
ーションした結果を示すグラフである。同図において、
縦軸はゲイン、位相差および遅延時間を示し、横軸は、
周波数を示し、3つのグラフの特性曲線は、上から順に
遅延時間、ゲイン、位相差を示す。位相差のグラフから
示されるように、50ヘルツの周波数を有する入力電流
は90°進相されるが、60ヘルツの周波数を有する入
力電流は、77°のみ進相されるに留まっている。本実
施例は、この点を解決するものである。
【0082】図10に示すように、本実施例の力率補正
回路26′は、図5に示す力率補正回路26に対して、
出力周波数の切り換え回路およびフィードバックゲイン
変更回路を構成する抵抗18、アナログスイッチ26
2、オペアンプ263およびスイッチ264が付加され
ている。図10において、図5に対応する要素には同一
符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0083】図10において、抵抗R18とアナログス
イッチ262は直列に接続され、この直列回路は抵抗R
17と並列に接続されている。さらに、アナログスイッ
チ262のオン/オフを制御する制御入力端子CONT
には、オペアンプ263の出力側が接続され、オペアン
プ263の反転入力端子(−)は、出力周波数が50ヘ
ルツのとき−5V電圧を、60ヘルツのとき0V電圧を
夫々切換選択するスイッチ264が接続され、非反転入
力端子(+)には、−5V電圧が各々抵抗値10KΩを
有する2つの抵抗R19,R20により分圧され、−
2.5V電圧が印加されている。上記スイッチ264
は、例えば、インバータ装置のパネルに取り付けられ、
出力周波数(50ヘルツまたは60ヘルツ)を切り換え
るためのスイッチ(図示せず)に連動して、その出力周
波数に応じて切り換えられる。
【0084】以上のように構成された力率補正回路2
6′において、50ヘルツの周波数を有する電流が入力
されると、スイッチ264の切換動作により、オペアン
プ263の反転入力端子(−)には、−5V電圧が印加
され、非反転入力端子(+)の印加電圧−2.5Vと比
較されて、オペアンプ263は高レベルの電圧(オペア
ンプ263の供給電圧)を出力する。この出力電圧によ
りアナログスイッチ262はオンされ、抵抗R18は抵
抗R17に並列に接続されて、合成抵抗R17・R18
/(R17+R18)がオペアンプ261の反転入力端
子(−)および出力側に接続されることとなる。この合
成抵抗の値を数式(1)のR17の値に代入することに
より、f90は60ヘルツとなる。このとき、R18=3
6KΩであり、他の回路定数は、図11で説明した値と
同一である。また、60ヘルツの周波数を有する電流が
入力されたときのゲインをA60とし、50ヘルツのとき
のゲインをA50とすると、数式(2)によりA60>A50
となる。
【0085】図13、図14は、それぞれ本実施例の出
力周波数切り換え回路およびフィードバックゲイン変更
回路を有しない場合の力率負荷特性と有する場合の力率
負荷特性とを比較して示す図であり、縦軸、横軸はそれ
ぞれ出力電圧、出力電流を示す。図13においては、進
相負荷時では出力電圧の対出力電流の勾配特性は、出力
周波数が50ヘルツの場合は平坦であるが、60ヘルツ
の場合は出力電圧が出力電流の増大に応じて上昇する上
り勾配特性を示し、また遅相負荷時では50ヘルツの場
合、勾配特性は出力電圧が出力電流の増大に対してさほ
ど落ち込まないが、60ヘルツの場合では、かかる落ち
込み量がかなり大きい。一方、本実施例により得られる
図14の特性においては、進相負荷時および遅相負荷時
共に50ヘルツと60ヘルツ間での特性の差はほとんど
無く、60ヘルツでは進相負荷時の上り勾配も抑えら
れ、遅相負荷時の落ち込みも改善されている。
【0086】以上のように、本実施例では、交流電力の
出力周波数の変更に拘らず、出力周波数の位相は入力周
波数に対して90°進相することができ、負荷の力率の
変動による出力電圧変動を最小限に抑えることができ
る。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のインバー
タ装置においては、電流検出回路により検出された検出
電流の位相を略90゜進相させて正弦波基準信号にフィ
ードバックすることによりこの正弦波基準信号の振幅を
補正するようにしたので、交流電源装置の負荷の力率の
変動による出力電圧変動を最小限に抑え、特に出力電圧
が上昇する方向に変化する進相負荷による出力電圧変動
を大幅に低減できる。
【0088】また、請求項2記載の発明によれば、交流
電力の出力周波数に拘らず電流検出回路により検出され
た検出電流の位相を略90°進相させて正弦波基準信号
にフィードバックすることができるので、交流電力の出
力周波数に変更があった場合でも、上述の効果を確実に
奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインバータ装置を含むエンジン発
電機を構成するブリッジ型整流回路等を示す回路図であ
る。
【図2】本発明に係るインバータ装置を含むエンジン発
電機を構成するブリッジ型インバータ回路等を示す回路
図である。
【図3】本発明に係るインバータ装置を含むエンジン発
電機を構成するピーク検出回路を示す回路図である。
【図4】本発明に係るインバータ装置を含むエンジン発
電機を構成するパルス幅変調回路等を示す回路図であ
る。
【図5】本発明に係るインバータ装置を含むエンジン発
電機を構成する力率補正回路を示す回路図である。
【図6】本発明に係るインバータ装置を含むエンジン発
電機を構成するFETゲート駆動信号用回路等を示す回
路図である。
【図7】図3のピーク検出回路の各部信号を示すタイム
チャートである。
【図8】図5の力率補正回路の各部信号波形の代表的例
を示す波形図である。
【図9】図5の力率補正回路の絶対増幅率を示すグラフ
である。
【図10】力率補正回路の他の実施例を示す回路図であ
る。
【図11】図5の力率補正回路の主要要素を取り出した
回路図である。
【図12】図11の回路に回路定数を設定してシミュレ
ーションを行った結果を示すグラフである。
【図13】図5の力率補正回路を有するインバータ装置
の力率負荷特性を示す図である。
【図14】図10の力率補正回路を有するインバータ装
置の力率負荷特性を示す図である。
【符号の説明】
9 ブリッジ型インバータ回路 14 正弦波発振器(正弦波形成回路) 15,16 差動増幅器,ピーク検出器(補正回路) 20 インバータバッファ(パルス幅変調回路) 26 力率補正回路 R5,R6 電流検出用抵抗 R14 移相用抵抗 C8 移相用コンデンサ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流電源回路と、該直流電源回路の出力
    をスイッチング制御するインバータ回路と、所定周波数
    の正弦波基準信号を出力する正弦波出力回路と、該正弦
    波出力回路から出力される前記正弦波基準信号をパルス
    幅変調してPWM信号を出力するパルス幅変調回路と、
    該パルス幅変調回路から出力される前記PWM信号に基
    づいて前記インバータ回路をスイッチング動作させるこ
    とにより前記所定周波数の交流電力を形成するスイッチ
    ング制御回路とを有するインバータ装置において、前記
    交流電力の出力電流を検出する電流検出回路と、該電流
    検出回路により検出された検出電流の位相を略90゜進
    相させて前記正弦波基準信号にフィードバックすること
    によりこの正弦波基準信号の振幅を補正する力率補正回
    路とを設けたことを特徴とするインバータ装置。
  2. 【請求項2】 前記交流電力の出力周波数を切り換える
    切り換え回路と、該切り換え回路により前記出力周波数
    がより高い周波数に切り換えられるほど前記力率補正回
    路のフィードバックゲインを増加させることにより、前
    記力率補正回路が前記検出電流の位相を略90°進相し
    得るようにするフィードバックゲイン変更回路とを設け
    たことを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
  3. 【請求項3】 前記切り換え回路は、出力周波数を50
    ヘルツと60ヘルツとに切り換え可能であり、前記フィ
    ードバックゲイン変更回路は、前記力率補正回路のフィ
    ードバックゲインを、前記出力周波数が50ヘルツの場
    合よりも60ヘルツの場合の方が高くなるように制御す
    ることを特徴とする請求項2記載のインバータ装置。
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