JP3191179U - 培養容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の培養容器よりも被培養物の接着性が高く、且つ、底部にガラス板材を設けなくとも各種顕微鏡にて良好な顕微鏡観察が行える樹脂製の培養容器を提供する。【解決手段】本考案の培養容器は、細胞、組織片、細菌や微生物などの被培養物を培養するのに使用される培養容器1である。培養容器1は、樹脂で一体成形された有底の容器本体11を備えており、当該樹脂には、環状オレフィンコポリマーが用いられている。容器本体の底部15は、その上面に形成された窪み17に対応した薄肉部分を有している。窪み17の側壁は、上方に向けて広がるようにテーパー状に形成されている。環状オレフィンコポリマーは、ノルボルネンとエチレンを、メタロセン触媒にて共重合したものであるのが好ましい。【選択図】図1

Description

本考案は、細胞等の培養に使用されると共に、培養された細胞等を収容した状態で顕微鏡観察を行うことができる培養容器に関する。
細胞や組織片など(以下、被培養物)の培養に使用される培養容器の中には、顕微鏡観察に適したように構成されているものが存在している。このような培養容器は、培地又は培養液と培養された被培養物とを収容したままの状態で顕微鏡に設置されて、培養容器に収容されている被培養物に対して顕微鏡による観察がなされる。観察対象となる被培養物が透明であることから、位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡が観察に用いられることが多い。また、被培養物に蛍光性を与えて、蛍光顕微鏡を用いて被培養物を観察することも広く行われている。
現在、一般的に使用されている、所謂ディッシュタイプの培養容器は、有底筒状の容器本体と、容器本体に着脱自在に装着される蓋体とを備えている(特開2006−30583号公報及び特開2001−17157号参照)。このようなディッシュタイプの培養容器では、容器本体及び蓋体は、ポリスチレンなどのスチロール樹脂で形成されており、容器本体の底部の中央部分には、開口が開設されている。そして、当該開口は、容器本体に固定されたガラス板材により下側から塞がれている。
スチロール樹脂の光学特性が好ましくないことから、スチロール樹脂を透過した光からは、微分干渉顕微鏡では、観察像を得ることができない。また、スチロール樹脂の自家蛍光が高いことから、蛍光顕微鏡にて、スチロール樹脂を透過した励起光から観察像を得ると、バックグラウンドノイズが大きくなる。このようなことから、従来の培養容器では、光学特性に優れた透明なガラス板材を底部に配置することで、微分干渉顕微鏡や蛍光顕微鏡を含む各種顕微鏡にて、当該ガラス板材上にある被培養物について、良好な観察像を得ることが可能とされている。
特開2006−30583号 特開2001−17157号
上述した従来の培養容器では、ガラス板材は、接着剤を用いて容器本体の底部に貼られる。接着剤としては、シリコン系やアクリレート系のものが使用されるが、培養される被培養物の中には、接着剤の成分が悪影響を及ぼしてガラス板材への被培養物の接着性が低下するものが多数存在している。このような事態を回避するために、接着剤を使用せず、熱溶着によってガラス板材を容器本体に接合することが考えられる。しかしながら、熱溶着ではガラス板材と容器本体の間で十分な接合強度を確保することが困難である。
本考案は、上記の問題を解決するものであって、従来の培養容器よりも被培養物の接着性が高く、且つ、底部にガラス板材を設けなくとも各種顕微鏡にて良好な顕微鏡観察が行える樹脂製の培養容器を提供する。
本考案の培養容器は、被培養物を培養するのに使用される培養容器において、樹脂で一体成形された有底の容器本体を備えており、前記樹脂は、環状オレフィンコポリマーであることを特徴としている。
本考案の培養容器にて、前記容器本体の底部は、薄肉部分を有してよい。前記容器本体は、有底円筒状に形成されており、前記薄肉部分は、前記容器本体の周壁部に対して同心円状に形成されてよい。また、前記薄肉部分は、前記容器本体の底部の上面及び下面の少なくとも何れかに形成された窪みにより規定されており、前記窪みの側壁は、前記窪みの底面から広がるようにテーパー状に形成されているのが好ましい。
本考案の培養容器は、被培養物を培養するのに使用される培養容器において、筒状の第1壁部と、前記第1壁部をその下側にて閉じる底部と、前記底部上に設けられた複数の筒状の第2壁部と、を有する容器本体を備えており、前記容器本体は、樹脂で一体成形されており、前記樹脂は、環状オレフィンコポリマーであることを特徴としている。
本考案の培養容器にて、前記容器本体の底部は、前記複数の筒状の第2壁部の各々の内側にて形成された薄肉部分を有してよい。
本考案の培養容器では、環状オレフィンコポリマーを用いて容器本体を一体成形することで、従来の培養容器よりも被培養物の接着性が高められており、且つ、各種顕微鏡にて良好な顕微鏡観察が可能となっている。
本考案の第1実施形態である培養容器の斜視図である。 本考案の第1実施形態である培養容器の容器本体の上面図である。 本考案の第1実施形態である培養容器の容器本体の断面図である。 図4(a)及び(b)は、本考案の第1実施形態に係る容器本体の底部の断面図である。 図5(a)及び(b)は、本考案の第1実施形態に係る容器本体の底部の変形例を示す断面図である。 本考案の第2実施形態である培養容器の容器本体の斜視図である。 本考案の第2実施形態である培養容器の容器本体の断面図である。 図8(a)及び(b)は、本考案の実施例、比較例1及び2を用いて培養・観察したHeLa細胞及びHEK293Tの細胞数を夫々示したグラフである。 本考案の実施例、比較例1及び比較例2を用いて培養・観察したHeLa細胞の微分干渉顕微鏡像の写真である。 本考案の実施例、比較例1及び比較例2に関する自家蛍光の測定結果を示すグラフである。 本考案の実施例、比較例1及び比較例2について測定した光の透過率を示すグラフである。
以下、本考案の培養容器について、図を用いて説明する。図1は、本考案の第1実施形態である培養容器(1)の斜視図である。第1実施形態の培養容器(1)は、有底の容器本体(11)と、容器本体(11)に着脱自在に装着される蓋体(31)とを備えている。図2は、容器本体(11)の上面図であり、図3は、図2に示すA−A線を通る平面で破断して矢視した容器本体(11)の断面図である。
容器本体(11)は、円筒状の周壁部(13)とその下側を塞ぐ円盤状の底部(15)とを有しており、その内部に、培地又は培養液と、被培養物とが収容されて、被培養物が培養される。被培養物は、例えば、細胞、組織片、細菌や微生物であるが、これらに限定されない。
図3に示すように、底部(15)は、円筒状の周壁部(13)の下端から若干上方に配置されており、底部(15)の下面が、培養容器(1)が載置される支持面と接触しないように構成されている。底部(15)の下面は平坦であるが、底部(15)の上面の中央には窪み(17)又は薄肉部分が、周壁部(13)に対して同心円状に形成されており、当該窪み(17)の底面に付着した(移動しない)被培養物が、顕微鏡観察の対象とされる。
培養容器(1)にて培養された被培養物の観察像を得るための光は、窪み(17)を、より具体的には、窪み(17)で規定される底部(15)の薄肉部分を通る。一般的に、顕微鏡の対物レンズは、カバーグラスの厚さが0.16〜0.19mmであることを想定して設計されていることから、底部(15)の薄肉部分の厚さは、0.19mm以下、より具体的には0.04〜0.19mmとされるのが好ましく、例えば、0.17mmとされる。
本考案では、窪み(17)の大きさは特に限定されず、窪み(17)は、例えば、窪み(17)の外縁が周壁部(13)付近にあるように形成されてもよい。薄肉部分以外における底部(15)の厚さは特に限定されないが、例えば、底部(15)の薄肉部分の厚さが0.17mmの場合、0.8mm程度にされる。底部(15)に窪み(17)を設けずに、底部(15)の全ての厚さが、0.19mm以下にされてもよいが、強度の面では、図示した第1実施形態の容器本体(11)のように、底部(15)の中央付近にて、ある程度周壁部(13)から離間した領域に窪み(17)が形成されるのが好ましいであろう。例えば、容器本体(11)の周壁部(13)の内径は約33mmにされ、窪み(17)の直径(底面ではなく、開口の直径)は、約14mm又はそれより大きくされる。また、周壁部(13)の高さは、13mm程度にされる。
本実施形態では、容器本体(11)は,有底筒状に、より具体的には有底円筒状に形成されているが、容器本体(11)の形状は、例えば、有底四角筒や有底六角筒などの有底の多角筒状であってもよい。また、本実施形態では、円状の窪み(17)が底部(15)に形成されているが、本考案において、窪み(17)の形状は限定されず、多角形状、例えば、正方形状や正六角形状の窪み(17)が底部(15)に形成されてもよい。
図1に示すように、蓋体(31)は、円状の天板と円筒状の周壁部とを有しており、被培養物を培養する間、容器本体(11)に嵌められる。蓋体(31)の当該天板と容器本体(11)の周壁部(13)とが当接して容器本体(11)の上部の開口が塞がれて、容器本体(11)の内部が、外界から遮断される。被培養物の顕微鏡観察が行われる際、蓋体(31)は、容器本体(11)から取り外される。上述したように、容器本体(11)の形状は、例えば、多角形状に変更されてよく、その場合、蓋体(31)の形状も、容器本体(11)の形状に合わせて変更される。
容器本体(11)は、無色透明の樹脂を一体成形したものであり、例えば、加熱により軟化した樹脂を射出成形することで作製される。本考案の主要な特徴は、容器本体(11)を形成する樹脂として、環状オレフィンコポリマーを用いて、容器本体(11)を一体成形したことにある。環状オレフィンコポリマーは、1種又は2種以上の環状オレフィンと1種又は2種以上の非環状オレフィンとの共重合体又はその水素添加物であって、ノルボルネンとエチレンを、メタロセン触媒にて共重合した環状オレフィンコポリマーが、光学特性と流動性の点で特に好ましい。本考案で使用可能な市販の環状オレフィンコポリマーとしては、例えば、TOPAS(登録商標)(Topas Advanced Polymers GmbH社)がある。なお、蓋体(31)は、従来より使用されているスチロール樹脂などの環状オレフィンコポリマー以外の樹脂で形成されてよい。
環状オレフィンコポリマーを用いて容器本体(11)を一体成形して、従来の培養容器の容器本体でガラス板材を接着するために使用されていた接着剤を排除することで、被培養物の容器への接着性が高められる。さらには、ガラス板材を用いた場合と同等又はそれ以上の光学特性が容器本体(11)に与えられることから、容器本体(11)内の被培養物の顕微鏡観察、特に、微分干渉顕微鏡、位相差顕微鏡や蛍光顕微鏡による観察が良好に行われる。
環状オレフィンコポリマーは、加熱時の流動性が高いことから、射出成形に使用する金型のキャビティに狭い領域がある場合にもキャビティ内に速やかに均等に流れ込む。故に、環状オレフィンコポリマーを使用することで、厚さが0.19mm以下である薄肉部分を底部(15)に有する上述の実施形態の容器本体(11)を、高精度に作製することが可能となる。底部(15)の薄肉部分が高精度で均一に作製されて、当該部分における光の偏光が抑制されることで、微分干渉顕微鏡にて良好な観察像を得ることができる。容器本体(11)を製造する際には、射出成形された容器本体(11)にアニール処理を施すことで、底部(15)の薄肉部分の均一性をより高めることが好ましいであろう。
図4(a)は、容器本体(11)の底部(15)の断面図である(説明の都合上、デフォルメされている)。本実施形態では、容器本体(11)の窪み(17)の側壁は、上方に向けて広がるようにテーパー状に形成されており、窪み(17)の底面に対する窪み(17)の側壁の角度θは、70度とされている。図4(b)に、角度θの値が45度である場合の容器本体(11)の底部(15)の模様を示す。
容器本体(11)の窪み(17)の側壁をテーパー状にすることで、射出成形時において、成形された容器本体(11)から金型を分離することが容易になる。窪み(17)の側壁の上記角度θは、45〜89度とされるのが好ましい。窪み(17)の形状が円状でない場合、例えば多角形状である場合においても、容器本体(11)の窪み(17)の側壁がテーパー状にされてもよい。
図5(a)及び図5(b)は夫々、本考案の第1実施形態に係る容器本体(11)の底部(15)の変形例を示す断面図である。図5(a)に示す変形例では、薄肉部分を規定する窪み(17')が、底部(15)の上面ではなく、下面に形成されており、底部(15)の上面は平坦になっている。図5(b)に示す変形例では、薄肉部分を規定する窪み(17")(17")が、底部(15)の上面
と下面の両方に形成されている。また、これらの図に示す変形例にて、窪み(17')と窪み(17")(17")は、これら窪みの底面から広がるようにテーパー状に形成されている。底部(15)の薄肉部分の厚さは、上述したように0.19mm以下にされるのが好ましい。
このように、本考案においては、容器本体(11)の底部(15)に薄肉部分を設ける場合、薄肉部分を規定する窪みは、容器本体(11)の底部(15)の上面及び下面の少なくとも何れかに形成されてよい。図5(a)に示したように容器本体(11)の底部(15)の上面及び下面の両方に窪み(17")(17")が形成される場合、上側の窪み(17")の形状と、下側の窪み(17")の形状とは異なっていてもよい。
図5は、本考案の第2実施形態である培養容器の容器本体(51)の斜視図である。図6は、図5に示すB−B線を通る平面で破断して矢視した容器本体(51)の断面図である。第2実施形態の容器本体(51)は、所謂マルチウェル型の容器本体であって、筒状の第1壁部(53)と、第1壁部(53)をその下側にて閉じる底部(55)と、底部(55)上に設けられた複数の筒状の第2壁部(57a-d)とを有しており、無色透明の樹脂で一体形成されている。樹脂には、環状オレフィンコポリマーが使用される。
第2実施形態の容器本体(51)では、各第2壁部(57a-d)の内側に、培地又は培養液と被培養物とが収容されて、被培養物が個別に培養される。そして、各第2壁部(57a-d)内にて培養された被培養物について、顕微鏡観察が個別に行われる。なお、第1実施形態と同様な蓋体(図示省略)が、第1壁部(53)内の空間を外界から遮断するのに使用される。
本実施形態では、第1壁部(53)及び第2壁部(57a-d)の形状は円筒状にされているが、例えば、四角筒や六角筒などの多角筒状にされてもよい。なお、第1壁部(53)の形状と第2壁部(57a-d)の形状は異なってもよい。本実施形態では、第2壁部(57a-d)の数は4つであるが、第2壁部(57a-d)の数は、2つ、3つ、又は5つ以上にされてもよい。
本実施形態では、第2壁部(57a-d)の各々の内側にて、窪み(59a-d)又は薄肉部分が底部(55)に形成されており、底部(55)の下面は平坦にされている。各窪み(59a-d)による底部(55)の薄肉部分の厚さは、0.19mm以下、より具体的には0.04〜0.19mmにされるのが好ましい。第1実施形態と同様に、各窪み(59a-d)は第2壁部(57a-d)に対して同心円状に形成されている。各窪み(59a-d)の側壁は、その底面から広がるようにテーパー状に形成されており、窪み(55)の底面に対する側壁の角度は、45〜89度であるのが好ましい。
本実施形態では、窪み(59a-d)が底部(55)の上面に形成されており、底部(55)の下面が平坦にされているが、先の実施形態と同様に、第2壁部(57a-d)の各々の内側にて、容器本体(51)の底部(55)の上面及び下面の少なくとも何れかに薄肉部分を規定する窪みが形成されてよい。
本実施形態では、円状の窪み(59a-d)が形成されているが、例えば、正方形状や正六角形状の窪みが底部(55)に形成されてもよい。窪み(59a-d)は、その周縁が、第2壁部(57a-d)の内壁から径方向に離間するように形成されてもよい。なお、底部(55)の厚さを一様に、0.19mm以下とし、その上に第2壁部(57a-d)が設けられてもよい。
上述した第1実施形態の容器本体(11)の窪み(17)の底面と、第2実施形態の容器本体(51)の各窪み(59a-d)の底面とには、特許文献2に開示されているようなグリッド座標が設けられてよい。このようなグリッド座標を設けることで、顕微鏡観察にて、被培養物の位置を容易に特定可能となる。
第1実施形態の容器本体(11)には、射出成形された後に、プラズマ処理による表面改質が施されてよい。これにより、被培養物の培養効率や付着性が向上する。第2実施形態の容器本体(51)についても同様である。
上述した第1実施形態の培養容器(1)の容器本体(11)(及び蓋体(31))を実際に作製して、1)細胞接着性測定、2)微分干渉顕微鏡観察、3)自家蛍光測定、4)透過率測定を行った。環状オレフィンコポリマーには、ノルボルネンとエチレンをメタクロセン触媒にて共重合した環状オレフィンコポリマー(COC)であるTOPAS5013(Topas Advanced Polymers GmbH社)を使用した。また、比較例として、ポリスチレンで形成されており、底部に設けられた円状の開口がガラス板材で塞がれている従来タイプの容器本体を有する松浪硝子工業株式会社製ガラスボトムディッシュhydro(比較例1)と、環状オレフィンコポリマーと同じくポリシクロオレフィンであるが、メタセシス開環重合の環状オレフィンポリマー(COP)であるZeonor1060R(日本ゼオン株式会社)を用いて、第1実施形態の容器本体(11)と同じ金型を使って一体成形した容器本体(比較例2)とについて、上記1)乃至4)を行った。なお、実施例及び比較例2に係る容器本体の窪み(17)の底面の面積は、比較例1における容器本体の底面におけるガラス板材の露出部分の面積と等しい。
<細胞接着性測定>
実際に作製した容器本体(11)(以下、実施例)と、比較例1(の容器本体)及び比較例2の各々に、抗生物質を加えた10%FBS(ウシ胎仔血清)−DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)に、HeLa細胞を播種した。播種密度は、5.0×10 cells/2mlであった。HeLa細胞を播種した培地を収納したこれらの容器本体を、蓋体を装着した状態でCOインキュベータ内に3日間置いて、HeLa細胞を培養した。COインキュベータ内の温度は37℃に、CO濃度は5%にした。
HeLa細胞を培養した後に、実施例、比較例1及び比較例2の各々を、蓋体を外した状態で顕微鏡に設置して、培養されたHeLa細胞の位相差像を得た。顕微鏡には、株式会社ニコン製EclipseTE300倒立顕微鏡を位相差顕微鏡として使用し、対物レンズの倍率は10倍とした。実施例及び比較例2については、窪み(17)の底面の略中央領域に付着したHeLa細胞が、比較例1については、ガラス板材の上面の略中央領域に付着したHeLa細胞が観察・撮像の対象とされた(以下、同様)。
さらに、播種密度を5.0×10 cells/2mlとした以外はHeLa細胞と同様にして、実施例、比較例1及び比較例2の各々を用いてHEK293T細胞を培養し、同様に位相差像を得た。
HeLa細胞及びHEK293T細胞について得られた各観察像から、実施例及び比較例2については窪み(17)の底面に付着している細胞数を、比較例1については容器本体の底面におけるガラス板材の露出部分に付着している細胞数を算出した。図8(a)及び図8(b)に、実施例、比較例1及び2について、HeLa細胞及びHEK293Tの細胞数を夫々示したグラフである。HeLa細胞及びHEK293Tの何れに関しても、ガラス板材を用いた比較例1に対して、COCを一体成形した実施例と、COPを一体成形した比較例2の細胞接着性が高いことが理解できる。
<微分干渉顕微鏡観察>
実施例、比較例1及び比較例2の各々を用いて、インキュベート時間を1日とした以外は上述したように培養したHeLa細胞について、微分干渉顕微鏡像を得た。顕微鏡には、株式会社ニコン製EclipseTE300倒立顕微鏡を微分顕微鏡として使用し、対物レンズの倍率は20倍とした。図9に、実施例、比較例1及び比較例2に付着したHeLa細胞の微分干渉顕微鏡像の写真を示す。実施例と比較例1を用いて得られた微分干渉顕微鏡像では、HeLa細胞が明瞭に確認できた。しかし、COPを一体成形した比較例2を用いて得られた微分干渉顕微鏡像では、HeLa細胞が確認できなかった。
<自家蛍光測定>
実施例、比較例1及び比較例2の各々を用いて上述したように培養したHeLa細胞に対して(インキュベート時間は1日)、calcein−AM(株式会社同仁化学研究所製)を用いて生細胞染色を行った。そして、実施例、比較例1及び比較例2の各々にて培養されたHeLa細胞について、蛍光顕微鏡観察を行った。株式会社ニコン製EclipseTE300倒立顕微鏡を位相差顕微鏡として使用し、対物レンズの倍率は40倍とした。励起光には、波長が450〜490nmである青色光が使用された。
実施例、比較例1及び比較例2の各々について得られた蛍光顕微鏡像について、HeLa細胞が存在していない領域における画素の輝度の平均値を、オープンソースの画像処理ソフトウェアであるImageJを用いて求めた。図10に、その結果を示す。実施例、比較例1及び比較例2の各々について、輝度、即ち、容器本体を形成する材料の自家蛍光の度合いはほぼ同程度であった。このように、本考案の実施例である容器本体では、ガラス板材を用いた従来の容器本体と同程度に良好な蛍光顕微鏡像が得られることが確認された。
<透過率測定>
実施例及び比較例2の底部(17)の薄肉部分と、比較例1のガラス板材について、紫外分光器(株式会社島津製作所製)を用いて、光の透過率を測定した。図11にその結果を示す。実施例の透過率は、可視領域(380nm<)においては、比較例1(即ちガラス)と同等であり、紫外領域(<380nm)においては、比較例1を越えている。このように、本考案の培養容器の容器本体では、可視領域において、ガラス板材を用いた従来の容器本体と同程度に明るい観察像が得られる。本考案の培養容器の容器本体では、さらに、紫外領域の波長の光を用いた被培養物の観察も可能とされている。
<まとめ>
上記の測定・観察結果から、本考案の実施例である容器本体の被培養物の接着性は、ガラス板材を用いた従来品よりも高く、且つ、各種顕微鏡にて良好な被培養物の観察像が得られることが確認された。特に、環状オレフィンポリマー(COP)で容器本体を一体成形した場合には、被培養物の微分干渉顕微鏡像を得ることは困難であるが、本考案では、環状オレフィンコポリマー(COC)を用いることで、位相差顕微鏡観察はもとより、微分干渉顕微鏡観察も可能であることが分かった。
上記実施形態及び実施例の説明は、本考案を説明するためのものであって、実用新案登録請求の範囲に記載の考案を限定し、或いは範囲を減縮する様に解すべきではない。また、本考案の各部構成は上記実施形態及び実施例に限らず、実用新案登録請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
(1) 培養容器
(11) 容器本体
(13) 周壁部
(15) 底部
(17) 窪み
(17') 窪み
(17") 窪み
(31) 蓋体
(51) 容器本体
(53) 第1壁部
(55) 底部
(57a-d) 第2壁部
(59a-d) 窪み

Claims (7)

  1. 被培養物を培養するのに使用される培養容器において、
    樹脂で一体成形された有底の容器本体を備えており、
    前記樹脂は、環状オレフィンコポリマーである培養容器。
  2. 前記容器本体の底部には、薄肉部分が形成されている、請求項1に記載の培養容器。
  3. 前記容器本体は、有底円筒状に形成されており、
    前記薄肉部分は、前記容器本体の周壁部に対して同心円状に形成されている、請求項2に記載の培養容器。
  4. 前記薄肉部分は、前記容器本体の底部の上面及び下面の少なくとも何れかに形成された窪みにより規定されており、前記窪みの側壁は、前記窪みの底面から広がるようにテーパー状に形成されている、請求項2又は請求項3に記載の培養容器。
  5. 被培養物を培養するのに使用される培養容器において、
    筒状の第1壁部と、
    前記第1壁部をその下側にて閉じる底部と、
    前記底部上に設けられた複数の筒状の第2壁部と、
    を有する容器本体を備えており、
    前記容器本体は、樹脂で一体成形されており、
    前記樹脂は、環状オレフィンコポリマーである培養容器。
  6. 前記容器本体の底部は、前記複数の筒状の第2壁部の各々の内側に形成された薄肉部分を有する、請求項5に記載の培養容器。
  7. 前記環状オレフィンコポリマーは、ノルボルネンとエチレンを、メタロセン触媒にて共重合したものである、請求項1乃至6の何れかに記載の培養容器。
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