JP3189926B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造方法

Info

Publication number
JP3189926B2
JP3189926B2 JP01221594A JP1221594A JP3189926B2 JP 3189926 B2 JP3189926 B2 JP 3189926B2 JP 01221594 A JP01221594 A JP 01221594A JP 1221594 A JP1221594 A JP 1221594A JP 3189926 B2 JP3189926 B2 JP 3189926B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithium hydroxide
lithium
polyarylene sulfide
producing
hydroxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP01221594A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07207027A (ja
Inventor
義成 小山
宣夫 緒方
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP01221594A priority Critical patent/JP3189926B2/ja
Application filed by Idemitsu Petrochemical Co Ltd filed Critical Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority to DE69430105T priority patent/DE69430105T2/de
Priority to DE69433731T priority patent/DE69433731T2/de
Priority to DE69433609T priority patent/DE69433609T2/de
Priority to DE69434103T priority patent/DE69434103T2/de
Priority to EP20000118300 priority patent/EP1059321B1/en
Priority to EP01102287A priority patent/EP1106643B1/en
Priority to EP94119698A priority patent/EP0658587B1/en
Priority to EP01102286A priority patent/EP1106573B1/en
Priority to US08/357,405 priority patent/US5635587A/en
Publication of JPH07207027A publication Critical patent/JPH07207027A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3189926B2 publication Critical patent/JP3189926B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアリーレンスルフ
ィド(PAS)の製造方法に関する。さらに詳しくは電
気、電子分野、高剛性材料分野で特に有用なポリアリー
レンスルフィドを高品質で安価に製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンスルフィド樹脂(PAS
樹脂)、中でも特にポリフェニレンスルフィド樹脂(P
PS樹脂)は、機械的強度、耐熱性等に優れると共に、
特に高い剛性を有するエンジニアリング樹脂として知ら
れており、電子・電気機器部品の素材や各種の高剛性材
料として有用である。これらの樹脂の製造には、従来、
N−メチル−2−ピロリドン(以下において、NMPと
略称することがある。)等の非プロトン性有機溶媒中で
p−ジクロロベンゼン等のジハロゲン芳香族化合物と硫
化ナトリウム等のナトリウム塩とを反応させるという方
法が一般に用いられてきた。しかし、この場合、副生す
る塩化ナトリウムがNMP等の溶媒に不溶であるから樹
脂中に取り込まれてしまい、それを洗浄によって取り除
くことは容易でなかった。
【0003】そこで、ナトリウム塩に代えてリチウム塩
を用いて重合を行い、塩化リチウムを副生させると、塩
化リチウムはNMP等の多くの非プロトン性有機溶媒
(重合用溶媒)に可溶であるので、樹脂中のリチウム濃
度を比較的容易に低減するこが可能となるので、リチウ
ム塩を用いる方法が脚光を浴びてきた。
【0004】しかし、リチウムはナトリウムと比較して
ずっと高価であるので、ポリマーの製造コストの低減の
ためには、副生したリチウム化合物を回収再利用するこ
とが必要となる。
【0005】このリチウム塩を用いるところの、PPS
樹脂等をその一種とするPAS樹脂の製造方法として、
水酸化リチウムとNMPとの反応によって生じたN−メ
チルアミノ酪酸リチウム(以下において、LMABと略
称することがある。)とp−ジクロロベンゼン等のジハ
ロゲン芳香族化合物と硫化水素とからそれらの樹脂を回
分法または連続法によって製造する方法が米国特許明細
書第4,451,643号に開示されている。この方法
は、ナトリウム塩に代えてリチウム塩であるLMABを
重合原料成分としてPPS樹脂等のポリマーを合成し、
NMP溶媒に可溶な塩化リチウムを副生させているの
で、ポリマー中に取り込まれてるアルカリ金属成分の量
が、この溶媒に不溶な塩化ナトリウムを副生させる方法
に比べてずっと少ないという利点を有している。
【0006】しかしながら、この従来法では、水酸化リ
チウム(LiOH・H2 O)とNMPとを反応させるこ
とによって、まずLMABを調製しなければならない。
【0007】更に、前記米国特許明細書に記載の方法で
は、水酸化リチウムを出発原料として用いているので、
ポリマー合成の際に副生した塩化リチウムを回収再利用
しようとすると、副生した塩化リチウムを何らかの方法
によって水酸化リチウムに戻す必要がある。この塩化リ
チウムを回収して水酸化リチウムに変える方法として、
前記明細書には、ポリマー合成後の反応混合物やポリマ
ーの水洗によって回収した塩化リチウム(水溶液)を炭
酸水素ナトリウムとの反応や電気分解により水酸化リチ
ウムにするという方法が記載されている。しかし、炭酸
水素ナトリウムを用いる場合、炭酸リチウムが生成し、
さらにそれを水酸化リチウムに変えるというように複雑
な工程になる。電気分解はコスト的に不利であり、プロ
セス的に実用的ではない。
【0008】すなわち、前記米国特許明細書に記載の方
法では、水酸化リチウムとN−メチル−2−ピロリドン
とからN−メチルアミノ酪酸リチウムを生成させるとい
う工程が必要であり、また、この反応においては、水が
少ないと反応が遅くなることから多量の水を必要とする
のでプロセス上極めて不利である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の問題に
鑑みなされたものであり、不純物としてのアルカリ金属
塩等の含有量が低く、高品質であるとともに、リチウム
の回収再利用が可能な、効率的、かつ簡便なポリアリー
レンスルフィドの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、非プロトン性有機溶媒中に水酸化
リチウムおよび非水酸化リチウムの固体状物が含有され
た混合物中に、イオウ化合物およびジハロゲン化芳香族
化合物を投入するポリアリーレンスルフィドの製造方法
において、 a)非プロトン性有機溶媒中に水酸化リチウムおよび非
水酸化リチウムの固体状物が含有された混合物中に、液
状または気体状のイオウ化合物を投入し、水酸化リチウ
ムとイオウ化合物とを直接反応させる工程、 b)非水酸化リチウムの固体状物を分離する工程、 c)反応液の硫黄含有量を調整する工程、 d)反応液中に、ジハロゲン化芳香族化合物を投入し重
縮合させる工程、および e)副生した塩化リチウムを含む反応液をアルカリ金属
水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物と混合して水
酸化リチウムを生成させる工程、 を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製
造方法が提供される。
【0011】また、前記非水酸化リチウムの固体状物
が、アルカリ金属塩化物、またはアルカリ土類金属塩化
物であることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの
製造方法が提供される。
【0012】また、前記液状又は気体状のイオウ化合物
が、硫化水素であることを特徴とするポリアリーレンス
ルフィドの製造方法が提供される。
【0013】また、前記ジハロゲン化芳香族化合物が、
パラジクロロベンゼン(PDCB)を50モル%以上含
むものであることを特徴とするポリアリーレンスルフィ
ドの製造方法が提供される。
【0014】さらに、前記非プロトン性有機溶媒が、N
−メチル−2−ピロリドンであることを特徴とするポリ
アリーレンスルフィドの製造方法が提供される。
【0015】以下、本発明を各工程ごとに具体的に説明
する。 1.イオウ化合物の吹込み(第一工程) 本発明においては、まず非プロトン性有機溶媒、たとえ
ばN−メチル−2−ピロリドン中に水酸化リチウムおよ
び非水酸化リチウムの固体状物、たとえばアルカリ金属
塩化物またはアルカリ土類金属塩化物が含有された混合
物中(系内)に液状又は気体状のイオウ化合物、たとえ
ば硫化水素を吹き込み、水酸化リチウムとイオウ化合物
とを直接反応させる。
【0016】本発明に用いられる非プロトン性有機溶媒
としては、一般に、非プロトン性の極性有機化合物(た
とえば、アミド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,
有機イオウ化合物,環式有機リン化合物等)を、単独溶
媒として、または、混合溶媒として、好適に使用するこ
とができる。
【0017】これらの非プロトン性の極性有機化合物の
うち、前記アミド化合物としては、たとえば、N,N−
ジメチルホルムアミド,N,N−ジエチルホルムアミ
ド,N,N−ジメチルアセトアミド,N,N−ジエチル
アセトアミド,N,N−ジプロピルアセトアミド,N,
N−ジメチル安息香酸アミドなとを挙げることができ
る。
【0018】また、前記ラクタム化合物としては、たと
えば、カプロラクタム,N−メチルカプロラクタム,N
−エチルカプロラクタム,N−イソプロピルカプロラク
タム,N−イソブチルカプロラクタム,N−ノルマルプ
ロピルカプロラクタム,N−ノルマルブチルカプロラク
タム,N−シクロヘキシルカプロラクタム等のN−アル
キルカプロラクタム類,N−メチル−2−ピロリドン
(NMP),N−エチル−2−ピロリドン,N−イソプ
ロピル−2−ピロリドン,N−イソブチル−2−ピロリ
ドン,N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン,N−ノ
ルマルブチル−2−ピロリドン,N−シクロヘキシル−
2−ピロリドン,N−メチル−3−メチル−2−ピロリ
ドン,N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン,N−
メチル−3,4,5−トリメチル−2−ピロリドン,N
−メチル−2−ピペリドン,N−エチル−2−ピペリド
ン,N−イソプロピル−2−ピペリドン,N−メチル−
6−メチル−2−ピペリドン,N−メチル−3−エチル
−2−ピペリドンなどを挙げることができる。
【0019】また、前記尿素化合物としては、たとえ
ば、テトラメチル尿素,N,N’−ジメチルエチレン尿
素,N,N’−ジメチルプロピレン尿素などを挙げるこ
とができる。
【0020】さらに、前記有機イオウ化合物としては、
たとえば、ジメチルスルホキシド,ジエチルスルホキシ
ド,ジフェニルスルホン,1−メチル−1−オキソスル
ホラン,1−エチル−1−オキソスルホラン,1−フェ
ニル−1−オキソスルホランなどを、また、前記環式有
機リン化合物としては、たとえば、1−メチル−1−オ
キソホスホラン,1−ノルマルプロピル−1−オキソホ
スホラン,1−フェニル−1−オキソホスホランなどを
挙げることができる。
【0021】これら各種の非プロトン性極性有機化合物
は、それぞれ一種単独で、または二種以上を混合して、
さらには、本発明の目的に支障のない他の溶媒成分と混
合して、前記非プロトン性有機溶媒として使用すること
ができる。
【0022】前記各種の非プロトン性有機溶媒の中で
も、好ましいのはN−アルキルカプロラクタム及びN−
アルキルピロリドンであり、特に好ましいのはN−メチ
ル−2−ピロリドンである。
【0023】本発明に用いられる非水酸化リチウム固体
状物とは、水酸化リチウム以外の固体状物、たとえばア
ルカリ金属塩化物やアルカリ土類金属塩化物等をいい、
分離された非水酸化リチウム固体状物には、水酸化リチ
ウムを全く含有しない固体状物、および微量の水酸化リ
チウムを含有するものを含む。このような非水酸化リチ
ウム固体状物としては、アルカリ金属塩化物やアルカリ
土類金属塩化物のほかPASオリゴマー等を挙げること
ができる。このアルカリ金属塩化物やアルカリ土類金属
塩化物としては、特に制限はないが、たとえば塩化ナト
リウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム,塩化バリウ
ム等を挙げることができる。液状又は気体状のイオウ化
合物を投入する際の系の温度は、通常170℃未満であ
る。好ましくは150℃未満、さらに好ましくは130
℃未満である。150℃以上の場合、固体状の硫化物が
析出し、非水酸化リチウム固体状物のみを分離すること
ができなくなるおそれがある。液状又は気体状のイオウ
化合物の投入量としては、通常、イオウ原子として、水
酸化リチウムの1/2モル〜2倍モルの範囲から選択す
ることが好ましい。1/2モル未満の場合、水酸化リチ
ウムが一部固体状で残ってしまい、非水酸化リチウム固
体状物との完全な分離ができず、リチウムの回収効率が
悪くなる。また、2倍モルを超える場合、反応は十分飽
和に達し、液状又は気体状のイオウ化合物が過剰となり
ロスとなる。さらに、液状又は気体状のイオウ化合物
は、多くの場合有毒であることからも過剰に投入するこ
とは避ける必要がある。
【0024】液状又は気体状のイオウ化合物としては、
特に制限はないが、硫化水素を好適に用いることができ
る。硫化水素を用いる場合、その吹き込む際の圧力は、
常圧でも加圧してもよい。吹き込み時間としては、特に
制限はなく、通常は10〜180分程度とすることが好
ましい。吹き込み速度も特に制限はなく、通常は10〜
1000cc/分程度とすることが好ましい。また、硫
化水素の吹き込み方法も特に制限はなく、たとえばN−
メチル−2−ピロリドン中に水酸化リチウムおよび、ア
ルカリ金属塩化物またはアルカリ土類金属塩化物が含有
された混合物を攪拌、たとえば、500mlガラス製セ
パラブルフラスコ中で、攪拌翼としてディスクタービン
翼を用い、300〜700rpmにて攪拌しながら、そ
の中へ気体状の硫化水素をバブリングする等の通常用い
られる方法を用いることができる。この場合、水が存在
していてもよい。
【0025】2.非水酸化リチウムの固体状物の分離
(第二工程) このように液状又は気体状のイオウ化合物を投入するこ
とにより、系内に固体状で存在していた水酸化リチウム
は系内の液体部分に溶解し、非水酸化リチウム固体状物
のみが系内に固体状で残留する。
【0026】つぎに、固体状で残留した非水酸化リチウ
ム固体状物、たとえばアルカリ金属塩化物またはアルカ
リ土類金属塩化物、を分離するにあたっては、たとえ
ば、ガラス製フィルターG4を用いた濾過や遠心分離等
の公知の方法を用いることができる。濾過等を行うにあ
たっては、減圧下で行ってもよい。分離する際の温度と
しては、特に制限はないが、通常は、20〜150℃の
範囲から選択するのが好ましい。
【0027】3.硫黄含有量の調整(第三工程) この工程では、上述の工程で得られた反応液から脱イオ
ウ操作、たとえば脱硫化水素操作によって硫黄分を調整
する。すなわち、後述するジクロロ芳香族化合物の反応
を行わせるためには、系内に存在する硫黄/リチウム比
を1/2(S原子/Li原子モル比)以下にすることが
好ましく、1/2にコントロールすることがさらに好ま
しい。1/2より大きい場合、反応が進行しにくいため
PAS樹脂の生成が困難となる。コントロールする方法
としては特に制限はないが、たとえばアルカリ金属塩化
物またはアルカリ土類金属塩化物を分離するために吹き
込んだ硫黄化合物、たとえば、硫化水素を、アルカリ金
属塩化物またはアルカリ土類金属塩化物の分離後、系内
の液体部分に窒素バブリング等を施し除去することによ
り、系内に存在する硫黄の合計量を調節することができ
る。この場合、加温してもよい。また、水酸化リチウム
やN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)等のリチ
ウム塩を系内に加えることによりコントロールしてもよ
い。
【0028】4.重縮合、後処理(第四工程) 次に、非水酸化リチウム固体状物、たとえばアルカリ金
属塩化物またはアルカリ土類金属塩化物、を分離した
後、系内にジクロロ芳香族化合物を投入して、反応させ
ることによりPAS樹脂を製造する。
【0029】本発明に用いられるジクロロ芳香族化合物
としては、特に制限はないが、たとえばパラジクロロベ
ンゼンを50モル%以上含むものを好適に用いることが
できる。
【0030】反応容器としては、たとえば、1リットル
のステンレス製オートクレーブ(攪拌翼として、パドル
翼を備え、回転数300〜700rpm)を挙げること
ができる。重合温度としては、220〜260℃が好ま
しく、重合時間としては1〜6時間が好ましい。ジクロ
ロ芳香族化合物の投入量としては、ジクロロ芳香族化合
物/系内に存在する硫黄=0.9〜1.2(モル比)の
範囲から選択することが好ましく、0.95〜1.5が
さらに好ましい。後処理としては、通常用いられる方法
で行なえばよい。たとえば、冷却後沈澱物を遠心分離や
ろ過等により分離し、得られたポリマーを加温また室温
下有機溶剤、水等で洗浄を繰り返し精製することができ
る。かかる洗浄はポリマーを固体状のまま行なってもよ
いし、あるいは液体にしていわゆる溶融洗浄を行なって
もよい。
【0031】5.Liイオン回収(LiOH生成)(第
五工程) 反応液中にLiClとして存在しているLiイオンを回
収するため系内にアルカリ金属の水酸化物やアルカリ土
類金属の水酸化物たとえば水酸化ナトリウム,水酸化カ
リウム,水酸化マグネシウム等を投入する。中でも水酸
化ナトリウムが好ましい。その投入量は、リチウムイオ
ン1モルに対し、水酸基が0.90〜1.1モル、好ま
しくは0.95〜1.05モルになるようにする。1.
1モルを超えると非水酸化リチウム沈澱物中にアルカリ
金属系イオウ化合物またはアルカリ土類金属系イオウ化
合物が多量に混入する。また0.90未満の場合リチウ
ムのロスになる。この場合の反応温度は、特に制限はな
いが、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水
酸化物を水溶液状で投入する場合、通常室温〜230
℃、好ましくは65〜150℃であり、固体状で投入す
る場合には、通常60〜230℃、好ましくは90〜1
50℃である。反応温度が低い場合、溶解度が低く、反
応速度が著しく遅くなる。反応温度が高い場合NMPの
沸点以上になり、加圧下で行わなければならずプロセス
的に不利になる。また、反応時間は、特に制限はない。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。 硫化水素吹込み工程 攪拌翼のついた500mlガラス製セパラブルフラスコ
にN−メチル−2−ピロリドン415.94g(4.2
mol)、上記操作にて得られたLiOHとNaClの
混合物123.5g(それぞれ1.5mol)及び脱イ
オン水27.0(1.5mol)を入れ、130℃に昇
温した。昇温後硫化水素を700ml/分の供給速度で
35分間液中に吹き込んだ。硫化水素を吹き込む間の液
温は常に130℃を保つ様に制御した。硫化水素の供給
を停止し、液中のS(硫黄)量を定量した結果、0.9
75mol吸収されており従ってS/Li比(mol
比)=0.65であった。液中のS(硫黄)量の定量
は、沃素とチオ硫酸ナトリウムを用いた硫化還元滴定に
より行なった。
【0033】NaCl分離工程 この硫化水素が吸収された溶液を130℃に保温された
ガラス製フィルターに内容物をあけ減圧瀘過した。フィ
ルター上瀘過物をさらに130℃にて多量のN−メチル
−2−ピロリドンで洗浄した後、150℃にて減圧乾燥
を行った。この乾燥固体の重量は87.4gでありX線
回折の結果NaClのスペクトルと一致し、LiOHの
スペクトルは全く確認されなかった。 以上の結果より、LiOHとNaClの混合物に硫化水
素を吹き込むことにより、LiOHのみ反応させ、N−
メチル−2−ピロリドンに可溶な錯体を合成し、固体の
NaClを分離できることを見だした。
【0034】硫黄含有量調整工程 一方、硫化水素が吸収された瀘液400.0gを再度上
記したスケールと等しいセパラブルフラスコに移し15
0℃に昇温し、この中へN2ガスを700ml/分の供
給速度で吹き込みながら、S/Li比(mol比)=
0.50となるまで、過剰に吸収された硫化水素を脱着
させた。本条件で70分間N2ガスを吹き込むことでS
/Li比=0.50を達成できた。
【0035】重縮合、後処理工程 この液を1リットルのステンレス製オートクレーブに移
し、パラジクロロベンゼン(PDCB)をPDCB/S
比(mol比)=1.00となるように173.0g加
え、240℃まで昇温し30分間保持しプレ縮合を行っ
た。その後260℃に上げ、3時間重合を行った。冷却
後、得られた顆粒状のポリマーを純水にて洗浄しアセト
ンにて置換後、真空乾燥器にて乾燥した。重量測定の結
果119.5gであり、その分子量の指標である固有粘
度はηinh=0.34であった。
【0036】LiOH生成工程 攪拌翼のついた500mlガラス製セパラブルフラスコ
にN−メチル−2−ピロリドン415.94g(4.2
mol)及び塩化リチウム63.585g(1.5mo
l)を入れ、90℃にて塩化リチウムを溶解させた。溶
解後、48重量%水酸化ナトリウム溶液125.0g
(NaOH1.5mol相当)を投入した。投入と同時
に白色固体が瞬時に生成した。窒素気流下、昇温しなが
ら溶存水を脱水した。脱水混合物を冷却後、室温にてガ
ラス製フィルター(G4)に内容物をあけ減圧瀘過し
た。フィルター上瀘過物を150℃にて減圧乾燥し、重
量測定を行ったところ123.5gであった。また元素
分析の結果Na/Li/Cl(mol比)=1.03/
1.00/1.00であった。さらにX線回折により、
LiOH,NaClのスペクトルと一致した。また、イ
オンクロマトグラムによると、上澄層(NMP層)に
は、リチウムイオンもナトリウムイオンも検出されなか
った。以上の結果から、LiClとNaOHがほぼ10
0%の割合でLiOHとNaClに変換したことが確認
できた。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、
非プロトン性有機溶媒、たとえばN−メチル−2−ピロ
リドン中に水酸化リチウムおよび非水酸化リチウムの固
体状物、たとえばアルカリ金属塩化物またはアルカリ土
類金属塩化物が含有された混合物中に、液状又は気体状
のイオウ化合物、たとえば硫化水素を投入し、水酸化リ
チウムとイオウ化合物とを直接反応させることにより、
水酸化リチウムを可溶化し、非水酸化リチウム固体状物
を効率良く分離除去することができる。また、非水酸化
リチウム固体状物、たとえばアルカリ金属塩化物または
アルカリ土類金属塩化物が効率良く分離されているた
め、ジクロロ芳香族化合物を重合させて得られるPAS
樹脂において、不純物、たとえばアルカリ金属、の残留
量を減らすことができ、良好な電気特性を有するPAS
樹脂を得ることができる。また、残留するアルカリ金属
に起因する成形金型の腐食等の問題も解決することがで
きる。さらに、Liイオンを回収再利用することができ
るため、効率的で簡便な製造方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法
の製造工程を模式的に示す説明図である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非プロトン性有機溶媒中に水酸化リチウ
    ムおよび非水酸化リチウムの固体状物が含有された混合
    物中に、イオウ化合物およびジハロゲン化芳香族化合物
    を投入するポリアリーレンスルフィドの製造方法におい
    て、 a)非プロトン性有機溶媒中に水酸化リチウムおよび非
    水酸化リチウムの固体状物が含有された混合物中に、液
    状または気体状のイオウ化合物を投入し、水酸化リチウ
    ムとイオウ化合物とを直接反応させる工程、 b)非水酸化リチウムの固体状物を分離する工程、 c)反応液の硫黄含有量を調整する工程、 d)反応液中に、ジハロゲン化芳香族化合物を投入し重
    縮合させる工程、および e)副生した塩化リチウムを含む反応液をアルカリ金属
    水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物と混合して水
    酸化リチウムを生成させる工程、 を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記非水酸化リチウムの固体状物が、ア
    ルカリ金属塩化物、またはアルカリ土類金属塩化物であ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリアリーレンスル
    フィドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記液状または気体状のイオウ化合物
    が、硫化水素であることを特徴とする請求項1または2
    記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ジハロゲン化芳香族化合物が、パラ
    ジクロロベンゼン(PDCB)を50モル%以上含むも
    のであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記非プロトン性有機溶媒が、N−メチ
    ル−2−ピロリドンであることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか1項記載のポリアリーレンスルフィドの製
    造方法。
JP01221594A 1993-12-16 1994-01-10 ポリアリーレンスルフィドの製造方法 Expired - Fee Related JP3189926B2 (ja)

Priority Applications (10)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01221594A JP3189926B2 (ja) 1994-01-10 1994-01-10 ポリアリーレンスルフィドの製造方法
EP01102286A EP1106573B1 (en) 1993-12-16 1994-12-14 Process for separating a non-lithium hydroxide solid compound from a mixture
DE69433609T DE69433609T2 (de) 1993-12-16 1994-12-14 Verfahren zum Abtrennen von festen Nicht-Lithiumhydroxid-Verbindungen aus einer Mischung
DE69434103T DE69434103T2 (de) 1993-12-16 1994-12-14 Verfahren zur Herstellung von Polyarylensulfid
EP20000118300 EP1059321B1 (en) 1993-12-16 1994-12-14 Process for manufacturing polyarylene sulfide
EP01102287A EP1106643B1 (en) 1993-12-16 1994-12-14 Process for recovering lithium ion
DE69430105T DE69430105T2 (de) 1993-12-16 1994-12-14 Verfahren zur Herstellung von Polyarylensulfid
DE69433731T DE69433731T2 (de) 1993-12-16 1994-12-14 Verfahren zur Wiedergewinnung von Lithium Ionen
EP94119698A EP0658587B1 (en) 1993-12-16 1994-12-14 Process for manufacturing polyarylene sulfide
US08/357,405 US5635587A (en) 1993-12-16 1994-12-16 Process for manufacturing polyarylene sulfide

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01221594A JP3189926B2 (ja) 1994-01-10 1994-01-10 ポリアリーレンスルフィドの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07207027A JPH07207027A (ja) 1995-08-08
JP3189926B2 true JP3189926B2 (ja) 2001-07-16

Family

ID=11799165

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP01221594A Expired - Fee Related JP3189926B2 (ja) 1993-12-16 1994-01-10 ポリアリーレンスルフィドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3189926B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3866821B2 (ja) * 1997-03-25 2007-01-10 出光興産株式会社 残留ハロゲン化リチウムの変性方法
DE10008161A1 (de) * 1999-02-25 2000-08-31 Idemitsu Petrochemical Co Verfahren zur Herstellung eines wasserfreien Alkalimetallsulfids und einer Alkalimetallsulfidlösung
JP2000319009A (ja) * 1999-03-08 2000-11-21 Idemitsu Petrochem Co Ltd 非水酸化リチウム固体状物の分離法
JP2002293935A (ja) 2001-03-30 2002-10-09 Petroleum Energy Center ポリアリーレンスルフィド副生塩の焼成方法
KR102173641B1 (ko) * 2017-11-24 2020-11-03 주식회사 엘지화학 폴리아릴렌 설파이드의 제조 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07207027A (ja) 1995-08-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5635587A (en) Process for manufacturing polyarylene sulfide
JP5148875B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JPH01246127A (ja) 塩化リチウムの回収方法
JP3490195B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
US20040092706A1 (en) Process for producing polyarylene sulfide
JP2004131602A (ja) ポリアリーレンスルフィド系樹脂の製造方法
JP3189926B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
TWI795604B (zh) 分離與純化聚芳硫醚之方法以及聚芳硫醚的製備方法
JP3699777B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP3872846B2 (ja) 硫化リチウムの製造方法及びポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP3831052B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの連続式製造方法
JP3177755B2 (ja) N−メチルアミノ酪酸リチウムの製造方法
US11597800B2 (en) Separation and recovery method of polyarlene sulfide
JP3490137B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP2002293515A (ja) 水硫化リチウムの製造方法
JP3528865B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP3446969B2 (ja) N−メチルアミノ酪酸リチウムの製造方法
WO2003055798A1 (fr) Procede permettant de reproduire du sulfure de lithium et procede permettant de produire du sulfure de polyarylene
JP3299378B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP3235033B2 (ja) 高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP3438284B2 (ja) アルカリ金属塩化物の分離方法及びポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP3625569B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JPH10265575A (ja) ポリアリーレンスルフィドの精製方法
JP3384608B2 (ja) リチウムイオンの回収方法
JP2002265602A (ja) 品質安定したポリアリーレンスルフィドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080518

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090518

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100518

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees