以下、本考案に係る濾過機能付きフライヤー装置(以下、単に「フライヤー装置」と言うこともある。)の一実施形態を、図1〜図14を参照して説明する。この図8に示すフライヤー装置11は、例えばスライスしたバナナ、パパイヤ、ポテトや、天ぷら、コロッケ、即席麺、スナック菓子等の食品を含む原料12を、連続して揚げ油7で揚げてフライ製品13を製造することができるものであり、フライ槽14を備えている。このフライ槽14内には、揚げ油7が貯留されており、この揚げ油7は、図1に示すように、フライ槽14に接続している油加熱装置15によって加熱されるようになっている。そして、フライ槽14には、図9に示すように、真空タンクA(図示せず)を有する排気装置(例えば真空装置等の排気手段)16が接続しており、この排気装置16によってフライ槽14内の圧力が減圧又は真空にされている。
フライヤー装置11は、図8の正面方向から見た拡大縦断面図に示すように、フライ槽14、保持容器17、保持容器17を移送するための移送機構18、昇降機構19、及び保持容器固定機構を備えている。
フライ槽14は、図7に示すように、例えば中心軸に直交する縦断面が縦長の長円形の筒状体であり、略水平に配置されている。そして、内部が密封され、油槽部14aを備え、この油槽部14aに揚げ油7が貯留されている。
保持容器17は、図11及び図12に示すものであり、フライ製品13の原料12を入れて保持することができ、そして、出来上がったフライ製品13を取り出すことができるものであり、多数用意されている。
この保持容器17は、図9に示すように、フライヤー装置11の供給室20の入口20aから供給されて、この供給室20、供給口14b、フライ槽14、排出口14c、及び排出室21を通って排出室21の出口21aから外側に順次排出される。そして、これら順次排出される保持容器17には、出来上がったフライ製品13が収容されており、作業者は、保持容器17の蓋部17aを開けて内部に収容されているフライ製品13を取り出すことができ、このようにしてフライ製品13が製造される。
保持容器17は、図11及び図12に示すように、円筒状体の側壁17bを有し、底部17cが形成され、上側開口部を開閉できるように一対の蓋部17a、17aが設けられている。この一対の蓋部17aは、それぞれが略半円形の板状体であり、それぞれが蝶番22を介して揺動自在に水平部材23に設けられている。この水平部材23の下側には、仕切り板24が設けられ、この仕切り板24は、この保持容器17の内側空間を2つに分割している。
そして、図11に示すように、2つの各蓋部17aには、係合具25が設けられている。これら各係合具25は、水平部材23に対して係脱自在であり、それぞれが取り付けられている蓋部17aを、工具なしで簡単に閉状態に固定することができるし、開けることもできる。
また、図11に示すように、保持容器17の側壁17b、底部17c、各蓋部17a、及び仕切り板24には、多数の比較的小さい油切り孔26が形成されている。この油切り孔26は、フライ槽14内の揚げ油7を保持容器17内に流出入させるためのものである。
そして、図12に示す保持容器17に設けられている仕切り板24は、スライスされた原料12を保持容器17内で2つに分散させることができる。よって、保持容器17に入れられる多数のスライスされた原料12が塊状とならないようにすることができ、それぞれのスライスされた原料12を略均一に加熱することができる。
図8及び図9に示す移送機構18は、ネットコンベアであり、原料12又はフライ製品13を保持している保持容器17を、フライ槽14に設けられている供給口14b側から排出口14c側に順次移送することができるものである。
この移送機構18は、図9及び図13(a)に示すように、供給側回転軸27と、排出側回転軸28とを有し、これら供給側回転軸27及び排出側回転軸28は、一対の連結部材29、29を介して互いに連結されている。
つまり、一対の連結部材29は、互いに間隔を隔てて平行する状態で略水平に配置されている。そして、一対の連結部材29の供給口14b側の先端部に、供給側回転軸27が軸受を介して回動自在に取り付けられている。また、一対の連結部材29の排出口14c側の後端部に、排出側回転軸28が軸受を介して回動自在に取り付けられている。そして、供給側回転軸27及び排出側回転軸28には、それぞれスプロケット30、・・・が4つずつ取り付けられ、これら供給側スプロケット30、及び排出側スプロケット30を備える2組のスプロケット30には、それぞれ環状ネットベルト31が掛けられている。
この環状ネットベルト31の上側走行部は、図9及び図13に示す一対の連結部材29によって保持されている。そして、この一対の連結部材29は、環状ネットベルト31上に載置される複数の(例えば6つの)保持容器17の重量を受けることができるものである。そして、環状ネットベルト31は、その上に載置されている複数の保持容器17を、供給口14b側から排出口14c側方向に移送することができるものである。なお、環状ネットベルト31に保持されている保持容器17には、原料12やフライ製品13が保持(収容)されている。
そして、図13(a)、(b)に示すように、排出側回転軸28は、連結切換部33を介して駆動部34の回転駆動軸34aと連結している。
図13(a)は、連結切換部33を上方から見た拡大平面図であり、図13(b)は、連結切換部33を正面から見た拡大縦断面図である。同各図に示すように、連結切換部33は、駆動歯車35と、この駆動歯車35と噛み合う従動歯車36とを備えている。駆動歯車35は、駆動部34の回転駆動軸34aに取り付けられている。そして、従動歯車36は、従動軸117に取り付けられ、この従動軸117は、一対の連結部材29に回動自在に設けられている。そして、この従動軸117と排出側回転軸28とは、互いに噛み合う第1〜第3歯車118、119、120を介して互いに連結しており、従動歯車36の回転が排出側回転軸28に伝達されるように構成されている。
つまり、第1歯車118は、従動軸117に取り付けられ、第2歯車119は、回動自在に連結部材29に設けられ、そして、第3歯車120は、排出側回転軸28に取り付けられている。
この連結切換部33によると、図13(b)及び図10の実線で示すように、移送機構18(保持容器17)が昇降機構19によって上昇移動されて上段位置にある状態で、従動歯車36が駆動歯車35に噛合った状態となり、駆動部34の回転駆動軸34aと、移送機構18の排出側回転軸28とを互いに連結することができる。そして、図13(b)及び図10の二点鎖線で示すように、移送機構18(保持容器17)が昇降機構19によって下降移動されて下段位置にある状態で、従動歯車36を駆動歯車35から切り離した状態となり、駆動部34の回転駆動軸34aと、移送機構18の排出側回転軸28とを互いに切り離すことができる。
このように、図8に示す移送機構18は、フライ槽14内に設けられ、供給口14bから供給された複数の保持容器17を揚げ油7から引き上げる上段位置と、当該複数の保持容器17内の原料12等をフライ槽14内の揚げ油7に浸漬する下段位置との間を昇降自在であり、上段位置にある状態で複数の保持容器17をフライ槽14の供給口14b側から排出口14c側に移送し、下段位置にある状態で複数の保持容器17の移送を停止するように構成されている。
そして、図13(b)に示すように、移送機構18を昇降移動させて、連結切換部33の従動歯車36を駆動歯車35に対して、噛み合わせたり切り離すときに、従動歯車36の歯と、駆動歯車35の歯が互いに干渉するが、この干渉は、従動歯車36が取り付けられている排出側スプロケット30及び環状ネットベルト31の遊びによって許容することができる。
また、移送機構18を駆動するための駆動部34は、例えばサーボモータ、ステッピングモータ又は誘導電動機等の電気モータであり、保持容器17を所定寸法ずつ移送するように設定されている。この所定寸法ずつ移送することができる移送ピッチは、保持容器17の1つ分の寸法(1ピッチ)と、互いに隣り合う保持容器17の間に形成される隙間の寸法とを合計した長さである。
そして、この駆動部34は、図13(a)に示すように、フライ槽14の外側に固定して設けられている。この駆動部34が駆動することによって移送機構18であるネットコンベアを所定方向に回転させることができ、これによって、この移送機構18に載置されている複数の保持容器17を、フライ槽14の供給口14b側から排出口14c側に向かう方向に移送することができる。
次に、図10〜図12を参照して昇降機構19を説明する。この昇降機構19は、移送機構18を昇降させることができ、図10の二点鎖線で示すように、移送機構18を下段位置に下降させることによって、移送機構18に載置されている保持容器17内の原料12をフライ槽14内に貯留されている揚げ油7に浸漬することができるものである。図10は、実線で示すように移送機構18が上段位置にあり、移送機構18の後端部上に移送されている保持容器17が排出室21に排出される状態を示している。
昇降機構19は、図8に示すように、昇降駆動部70を有し、この昇降駆動部70は、ブラケット71を介してフライ槽14の周壁に取り付けられている。この昇降駆動部70は、サーボモータ、パルスモータ、誘導電動機等の電気モータを有する電動アクチュエータであり、この電動アクチュエータの回転駆動軸に回転軸72が連結されている。
この回転軸72は、図8に示すように、両端部が軸受を介して回動自在に支持ロッド73に支持され、この支持ロッド73は、フライ槽14の周壁に取り付けられている。そして、回転軸72の一端部には、ピニオン(歯車)74が取り付けられ、このピニオン74は、ラック75と噛合っている。このラック75は、鉛直方向と平行して配置され、ラック75の下端部に吊下げロッド76が結合している。この吊下げロッド76の下端部は、移送機構18の連結部材29(図5参照)と結合している。同様に、回転軸72の他端部にも、別のピニオン74が取り付けられ、このピニオン74は、ラック75、及び吊下げロッド76を介して移送機構18の連結部材29と連結している。
なお、吊下げロッド76がフライ槽14の側壁を貫通させている挿通孔には、シール部77が設けられている。
この昇降機構19によると、図10に示す昇降駆動部70が所定の回転方向に駆動すると、回転軸72及びピニオン74が所定方向に回転し、ラック75が上昇移動して移送機構18を上段位置(図10の実線で示す位置)に移動させることができる。そして、昇降駆動部70が上記と逆方向に駆動することによって、移送機構18を下段位置(図10の二点鎖線で示す位置)に移動させることができる。
ただし、図には示さないが、昇降機構19は、移送機構18を中段位置(図示せず)に移動させることができる。このように、移送機構18が中段位置にあるときは、移送機構18に保持されている保持容器17内の原料12が、フライ槽14に貯留されている揚げ油7から引き上げられた状態となる。そして、この実施形態では、移送機構18を中段位置と下段位置との間を昇降させることによって、移送機構18に保持されている保持容器17内の原料12を、揚げ油7に浸漬したり、揚げ油7から引き上げるようにしている。
次に、図2〜図6等を参照して保持容器固定機構を説明する。この保持容器固定機構130は、移送機構18が図8に二点鎖線で示す下段位置にある状態で(複数の保持容器17が揚げ油7中に浸漬された状態で)、移送機構18上の複数の保持容器17をその浮力や振動によって位置ずれしないように移送機構18に固定する固定状態、及び移送機構18が上段位置にある状態で(複数の保持容器17が揚げ油7から引き上げられた状態で)、固定状態を解除して、移送機構18による複数の保持容器17の移送を可能にする解除状態に切り換えることができるものである。
この保持容器固定機構130は、図3に示すように、移送機構18に設けられ、操作部131、レバー部132、支持部133、及び押付け部134を有している。また、保持容器固定機構130は、図2に示すように、複数設けられ、これら複数の保持容器固定機構130によって、移送機構18上の複数の保持容器17を同時に固定状態に設定したり、固定状態を同時に解除する解除状態に設定することができるようになっている。ただし、これら複数の保持容器固定機構130は、それぞれ同等のものであるので、それらのうちの1つを説明し、それ以外の保持容器固定機構130の説明を省略する。
この保持容器固定機構130は、図3に示すように、吊下げ枠部135に設けられ、この吊下げ枠部135は、移送機構18の連結部材29と結合している。
操作部131は、図3に示すように、昇降ピン131aを有し、この昇降ピン131aは、昇降案内部136の貫通孔136aに昇降自在に挿通されている。この昇降案内部136は、吊下げ枠部135に設けられている。そして、この昇降ピン131aの上部には、板状の上側拡大部131bが設けられ、昇降ピン131aの下部には、板状の下側拡大部131cが設けられている。
レバー部132は、所定長さの細長い板状部材であり、移送方向に対して直交する方向に配置され、押付け部134が一端部に設けられている。このレバー部132は、図4に示すように、押付け部134が保持容器17を移送機構18に押し付ける押付け方向、及び図3に示すように、押付け部134を保持容器17から引き離す引離し方向に揺動自在に支持部133によって支持されている。この支持部133は、吊下げ枠部135に設けられ、支持部133の上端部がレバー部132の下面に形成された凹部132aに係合した状態で、レバー部132を揺動自在に支持している。
そして、レバー部132は、その他端部が操作部131によって操作されて揺動し、このレバー部132の揺動によって、押付け部134が押付け方向及び引離し方向に揺動するようになっている。
つまり、図3に示すように、移送機構18が上段位置に上昇したときに、操作部131がフライ槽14の固定側部14a(天井の下面)に押圧されてこの操作部131が下降する。そして、操作部131が下降することによって、操作部131がその下方に配置されているレバー部132の他端部(内側端部)を押し下げることができる。これによって、レバー部132の一端部(外側端部)に設けられている押付け部134が、その自重又は図示しない付勢手段(例えば圧縮コイルばね)による付勢力に抗して上昇する。その結果、押付け部134が引離し方向に揺動して解除状態となる。
なお、例えば付勢手段としての圧縮コイルばねは、図4に示す操作部131の下面と吊下げ枠部135の上面との間に配置して、操作部131を上方に付勢するように設けることができる。
また、図4に示すように、移送機構18が下段位置に下降したときに、操作部131がフライ槽14の固定側部14a(天井の下面)から引き離されて操作部131が上昇する。このように、操作部131が上昇するのは、レバー部132の一端部(外側端部)に設けられている押付け部134が、その自重又は図示しない付勢手段(例えばコイルばね)による付勢力によって押付け方向に揺動すると、レバー部132の他端部(内側端部)が上昇してその上方に配置されている操作部131を押し上げることができるからである。そして、このように操作部131が押し上げられた状態となると、固定状態となる。
このように、図4に示す押付け部134は、その自重等による力又は付勢力によって、移送機構18上の複数の保持容器17を上から押圧してこれら複数の保持容器17を移送機構18に押し付けて固定する固定状態と、押付け部134が複数の保持容器17から引き離される解除状態とに切り換え可能なように構成されている。そして、この切換えは、移送機構18が下段位置に下降して操作部131が上昇位置に移動したとき、及び移送機構18が上段位置に上昇して操作部131が下降位置に移動したときに行われる。
図5(a)、(b)は、保持容器固定機構130の押付け部134を示す図であり、図5(a)は、押付け部134の側面図、図5(b)は、押付け部134の正面図である。
図6は、保持容器固定機構130の押付け部134を示す部分拡大断面図であり、図6(a)は、押付け部134が保持容器17から引き離された解除状態を示す部分拡大断面図、図6(b)は、押付け部134が保持容器17を押し付けている固定状態を示す部分拡大断面図である。
図6(a)、図5等に示すように、押付け部134は、例えばそれぞれが金属製の錘部137、第1連結部138、第2連結部139、連結ボルト140、及び押付け部材141を有している。これら錘部137、第2連結部139、及び押付け部材141は、移送機構18による保持容器17の移送方向に平行し水平に設けられている。
錘部137は、細長い棒状体であり、レバー部132の一端部に溶接等により結合している。そして、この錘部137に第1連結部138が結合し、この第1連結部138に第2連結部139が結合している。この第2連結部139は、細長い板状体であり、この両方の各端部に貫通孔139aが形成されている。そして、この2つの各貫通孔139aには、この貫通孔139aの内径よりも細く形成された連結ボルト140が挿通し、各連結ボルト140の下端部に押付け部材141が結合している。この押付け部材141は、第2連結部139よりも少し長い板状体である。
そして、各連結ボルト140には、図6(a)に示すように、圧縮コイルばね142が装着されている。この圧縮コイルばね142は、その上端部が第2連結部139の下面に当接してこの下面を上方に押圧し、その下端部が押付け部材141の上面に当接してこの上面を下方に押圧している。更に、各連結ボルト140には、2つのナット144が締結されている。このナット144は、連結ボルト140が第2連結部139の貫通孔139aから外れないようにするためのものである。
この押付け部134によると、図6(b)に示すように、押付け部134が保持容器17の上部を下方に押し付ける固定状態において、移送機構18上の複数の保持容器17のそれぞれの高さが多少相違しているときでも、複数の保持容器17のそれぞれの高さに応じて、押付け部材141が保持容器17の上部を下方に押し付ける高さを圧縮コイルばね142と連結ボルト140とによって調節することができる。これによって、移送機構18上のそれぞれの高さが多少相違している複数の各保持容器17の上部を下方に確実に押し付けて移送機構18上に固定することができる。
また、図3及び図4に示すように、保持容器固定機構130は、操作部131を中心として操作部131の左右の各側にレバー部132が設けられ、1つの操作部131が昇降することによって、両側の各レバー部132に設けられている2つの各押付け部134が保持容器17の上部を押し付ける固定状態、及び固定状態が解除される解除状態に切り換わるように構成されている。
更に、図2に示すように、この実施形態では、2つの操作部131が設けられ、2つの各操作部131によって左右一対のレバー部132が揺動操作されるようになっている。そして、図2に示す右側の2つのレバー部132の外側端部(一端部)には、1つの錘部137が結合し、この1つの錘部137に対して、図6に示す第1連結部138、第2連結部139、連結ボルト140、圧縮コイルばね142、及び押付け部材141が複数組設けられている。
同様に、図2に示す左側の2つのレバー部132の外側端部(一端部)には、1つの錘部137が結合し、この1つの錘部137に対して、図6に示す第1連結部138、第2連結部139、連結ボルト140、圧縮コイルばね142、及び押付け部材141が複数組設けられている。図2に示す143は、案内部である。この案内部143は、移送機構18上の複数の保持容器17が移送方向に沿って移送されるように案内するためのものである。
上記のように構成された図2に示す保持容器固定機構130によって、移送機構18上の複数の全ての保持容器17を同時に固定することができるし、その固定を同時に解除することができる。
上記のように構成された図1及び図8等に示す保持容器固定機能付きフライヤー装置11を使用して原料12からフライ製品13を製造するときは、まず、例えばスライスされたバナナ等の原料12を保持容器17に入れる。そして、この原料12が入っている保持容器17をフライ槽14の供給口14bからそのフライ槽14内の上段位置にある移送機構18上に供給する。次に、昇降機構19が移送機構18を下段位置に下降させて、複数の各保持容器17に保持されている原料12を、フライ槽14内に貯留されている揚げ油7に浸漬する。そして、昇降機構19が移送機構18を上段位置に上昇させて、複数の各保持容器17に保持されている原料12を揚げ油7から引き上げる。これによって、原料12又はフライ製品13に付着する揚げ油7を、原料12等から除去することができ、この除去した揚げ油7を保持容器17の油切り孔26から流下させることができる。このようにしてフライ製品13を連続して製造することができる。そして、上段位置にある移送機構18が、原料12又はフライ製品13を保持する保持容器17をフライ槽14の供給口14b側から排出口14c側に移送することができ、そのフライ製品13を保持する保持容器17は、排出口14cから順次排出される。
このように、このフライヤー装置11によると、原料12を複数の各保持容器17に入れた状態で、その原料12を同時に所定時間だけ揚げ油7に浸漬して、その揚げ油7から同時に引き上げることができるので、この複数の各保持容器17に収容されている全ての原料12を正確に所定時間だけ加熱してフライ製品13を製造することができる。
そして、移送機構18が下段位置に下降している状態で、移送機構18による保持容器17の移送を停止し、移送機構18が上段位置に上昇している状態で、すなわち、フライ製品13を揚げ油7から引き上げて油が切られた状態で、移送機構18が、フライ製品13を収容している保持容器17を排出口14c側に移送することができる。この排出口14cに移送されたフライ製品13を収容する保持容器17は、排出口14cから順次排出される。これによって、原料12を揚げ油7に浸漬して揚げるための時間と、原料12を移送するための時間とを別々に調整することができ、適切な程度に乾燥したフライ製品13を順次製造することができる。これによって、食感及び味が良好なフライ製品13を製造することができる。しかも、各原料12のフライ時間にムラが生じることなく、均質なフライ製品13を連続して製造することができる。
また、保持容器固定機構130は、移送機構18が下段位置にある状態で(複数の保持容器17が揚げ油7に浸漬された状態で)、移送機構18上の複数の保持容器17を例えばその浮力や振動によって位置ずれしないように移送機構18に固定する固定状態にすることができる。そして、移送機構18が上段位置に上昇した状態で(複数の保持容器17が揚げ油7から引き上げられた状態で)、固定状態を解除して、移送機構18による複数の保持容器17の移送を可能にする解除状態に切り換えることができる。これによって、移送機構18が上段位置に上昇した状態で、移送機構18上の複数の保持容器17に位置ずれが生じることが無く、移送機構18によって移送機構18上の複数の保持容器17を確実に安定して排出口14c側に移送することができる。
このように、保持容器固定機構130によると、複数の各保持容器17に収容されている全ての原料12を正確に所定時間だけフライ槽14内で加熱してフライ製品13を順次フライ槽14から排出することができるので、これによっても、各原料12のフライ時間にムラが生じることなく、均質なフライ製品13を連続して製造することができる。
そして、図8及び図9に示す移送機構18は、ネットコンベアであるので、移送機構18が上段位置に上昇して、複数の各保持容器17に保持されている原料12を揚げ油7から引き上げたときに、原料12又はフライ製品13に付着する揚げ油7を保持容器17の油切り孔26及びこのネットコンベアに通して速やかに流下させることができる。これによって、保持容器17に収容されている全ての原料12を揚げ油7によって正確に所定時間だけ加熱してフライ製品13を順次製造することができる。
そして、移送機構18としてネットコンベアを採用すると、構造が簡単であり、故障が少なくコストが低い移送機構とすることができる。
また、図3に示すように、移送機構18が上段位置に上昇したときに、操作部131は、フライ槽14の固定側部14aに押圧されて、押付け部134を解除状態に切り換えることができる。そして、図4に示すように、移送機構18が下段位置に下降したときに、操作部131は、フライ槽14の固定側部14aから引き離されて、押付け部134を固定状態に切り換えることができる。
つまり、押付け部134が固定状態に切り換えられたときは(移送機構18が下段位置の状態)、押付け部134は、その自重又は付勢手段による付勢力によって、移送機構18上の複数の保持容器17を上から押圧してこれら複数の保持容器17を移送機構18に押し付けて固定することができる。これによって、保持容器固定機構130は、移送機構18が下段位置に下降したときに、保持容器17を位置ずれしないように移送機構18に確実に固定することができる。
また、押付け部134が解除状態に切り換えられたときは(移送機構18が上段位置の状態)、押付け部134が複数の保持容器17から引き離されて、移送機構18による保持容器17の移送が可能となる。
このようにして、移送機構18が上段位置に上昇したときに、移送機構18上の複数の保持容器17に位置ずれが生じることが無く、移送機構18によって保持容器17を確実に移送することができる。
更に、図4に示すように、移送機構18が下段位置に下降して操作部131がフライ槽14の固定側部14aから引き離されたときは、レバー部132は、その他端部が操作部131の上昇に伴って上方向に揺動し、このレバー部132の揺動によって、押付け部134がその自重等によって複数の保持容器17を移送機構18に押し付ける押付け方向に揺動する。これによって、押付け部134が移送機構18上の複数の保持容器17を移送機構18に同時に固定することができる(固定状態)。
そして、図3に示すように、移送機構18が上段位置に上昇して操作部131がフライ槽14の固定側部14aに押圧されたときは、レバー部132は、その他端部が操作部131の下降によって上記と反対の下方向に揺動し、このレバー部132の揺動によって、押付け部134がその自重等の押付け力に抗して保持容器17から引き離される引離し方向に同時に揺動する。これによって、移送機構18は、その移送機構18上の複数の保持容器17を移送することができる(解除状態)。
また、フライヤー装置11は、図1に示すように、循環ライン87、油循環ポンプ47、第1及び第2ストレーナタンク88、88、第1及び第2濾過タンク89、89、濾過機41、熱交換器45、及びキャビテーション防止ライン90を備えている。
循環ライン87は、図1に示すように、フライ槽14に接続されている配管91、92、93、94、95を有し、減圧又は真空にされたフライ槽14内に貯留されている揚げ油7を取り出して、この取り出した揚げ油7をフライ槽14内に戻すことによって揚げ油7を循環させるためのものである。この循環ライン87には、フライ槽14、油循環ポンプ47、熱交換器45、第1及び第2ストレーナタンク88、88、並びに、第1及び第2濾過タンク89、89が設けられている。
油循環ポンプ47は、フライ槽14内の揚げ油7を循環ライン87に通して循環させるためのものである。
第1及び第2ストレーナタンク88、88は、図7に示すように、それぞれが密封された2つのタンクであり、循環ライン87の油循環ポンプ47の上流側に設けられ、揚げ油7に含まれる揚げカス等の粗不純物を回収するためのものである。第1及び第2ストレーナタンク88、88には、それぞれストレーナ88aが装着されている。
そして、第1及び第2ストレーナタンク88、88は、いずれか一方のストレーナタンク88によって揚げ油7に含まれる揚げカス等の粗不純物を回収している状態で、他方のストレーナタンク88内に溜まった揚げカス等の粗不純物を作業者が取り出すことができるように構成されている。
このようにすると、第1及び第2ストレーナタンク88、88を1つずつ交互に使用して、この使用されているストレーナタンク88によって揚げ油7に含まれる揚げカス等の粗不純物を回収することができ、フライヤー装置11を停止させずに連続して使用することができる。このように、フライヤー装置11を停止させずに連続して使用できるようにすると、フライ槽14内の原料12のフライ時間にムラが生じないようにすることができ、均質なフライ製品13を製造することができる。
また、第1及び第2ストレーナタンク88、88を1つずつ交互に使用するときは、図1に示すバルブ96〜101を切替えることによって、例えば第1又は第2ストレーナタンク88を循環ライン87に接続する状態にして、第2又は第1ストレーナタンク88を循環ライン87から切り離すようにすることができる。
次に、図1に示す第1及び第2濾過タンク89、89を説明する。この第1及び第2濾過タンク89、89は、それぞれが密封された2つのタンクであり、循環ライン87の油循環ポンプ47の下流側に設けられ、いずれか一方の濾過タンク89に貯められている細不純物を含む揚げ油7が濾過機41で濾過されるようになっている。そして、一方の濾過タンク89に貯められている細不純物を含む揚げ油7が濾過機41で濾過されている状態で、他方の濾過タンク89に貯められている濾過済みの揚げ油7が循環ライン87を通ってフライ槽14に供給されるようになっている。
このようにすると、フライヤー装置11を停止させずに連続して使用することができる。このように、フライヤー装置11を停止させずに連続して使用できるようにすると、フライ槽14内の原料12のフライ時間にムラが生じないようにすることができ、均質なフライ製品5を製造することができる。
また、第1及び第2濾過タンク89、89を1つずつ交互に循環ライン87又は濾過機41に接続して使用するときは、図1に示すバルブ102〜109を切替えることによって、例えば第1又は第2濾過タンク89を循環ライン87に接続する状態にして濾過機41から切り離すことができ、このとき、第2又は第1濾過タンク89を循環ライン87から切り離す状態にして濾過機41に接続することができる。
なお、この第1又は第2濾過タンク89内に貯められている細不純物を含む揚げ油7は、濾過ポンプ127によって濾過機41に供給されて濾過される。そして、濾過済みの揚げ油7は、配管110、濾過機41及び配管111を通って第1又は第2濾過タンク89内に戻される。この濾過ポンプ127は、濾過機41に設けられている。
そして、図1に示す濾過機41は、常圧下で未濾過揚げ油7を濾過して濾過済み揚げ油7を製造することができるものである。
また、この第1又は第2濾過タンク89内に貯められている細不純物を含む揚げ油7は、濾過ポンプ127によって濾過機41に供給されて濾過される。そして、濾過済みの揚げ油7は、配管110、濾過機41及び配管111を通って第1又は第2濾過タンク89内に戻される。この濾過ポンプ127は、濾過機41に設けられている。
更に、図1に示す濾過機41は、常圧下で未濾過揚げ油7を濾過して濾過済み揚げ油7を製造することができるものである。図1に示す121は、逆止弁である。
そして、タンク本体部89aの側面には、濾過機41の配管111が濾過機側入口部124に接続し、濾過機41の配管110が濾過機側出口部125に接続している。この濾過機側入口部124は、第1濾過タンク89の下部に設けられ、濾過機側出口部125は、第1濾過タンク89の頂部に位置するように、蓋部89bに設けられている。
次に、図9を参照して、フライ槽14に接続されている排気装置16を説明する。この排気装置16は、例えば真空装置であり、フライ槽14内の水蒸気等を吸引して、フライ槽14内を減圧又は真空にするためのものである。この排気装置16は、真空タンクA(図示せず)を有し、この真空タンクAは、排気管53を介してフライ槽14と接続している。
この排気装置16によると、フライ槽14内を減圧又は真空にして、この減圧又は真空状態で原料12を揚げるようにすることができ、比較的低温で原料12に含まれる水分を蒸発させて取り出すことができる。これによって、例えば原料12に含まれる栄養成分が失われることを抑制できると共に、揚げ油7の空気との接触による酸化を防止でき、更に、フライ製品13の製造に必要とされるエネルギの消費量を低減することができる。また、フライ槽14内を減圧又は真空にすることによって、揚げ油7で加熱された原料12を揚げ油7から引き上げたときに、原料12内に含まれる水分を効果的に取り出して乾燥させることができる。
また、図1に示す油循環ポンプ47を作動させることによって、減圧又は真空状態でフライ槽14内に貯留されている揚げ油7を循環ライン87に通して強制的に循環させることができる。
そして、この強制的に循環される揚げ油7の一部を、この油循環ポンプ47の下流側に設けられている第1及び第2濾過タンク89のうちの一方の濾過タンク89に減圧又は真空状態で貯留することができる。そして、第1及び第2濾過タンク89のうちの他方の濾過タンク89内に常圧で貯留されている揚げ油7をこの常圧の状態で濾過機41によって濾過することができる。
次に、図8〜図10を参照して原料供給機構37、及び製品排出機構38を説明する。図9に示す平面方向から見た横断面図に示すように、原料供給機構37は、原料12を保持する保持容器17を、フライ槽14の外側から供給口14bに通してフライ槽14の内側に1つずつ供給することができるものである。そして、製品排出機構38は、フライ製品13を保持する保持容器17を、フライ槽14の内側から排出口14cに通してフライ槽14の外側に1つずつ排出することができるものである。
原料供給機構37は、図9に示すように、供給口14bに対して密封して接続されている供給室20を有している。この供給室20には、原料12を保持する保持容器17を供給室20内に供給するための入口20aが形成され、この入口20aは、第1供給ゲート39によって開閉されるようになっている。そして、供給口14bは、第2供給ゲート40によって開閉されるようになっている。この第1及び第2供給ゲート39、40は、図4に示す第1及び第2供給ゲート駆動部54、55によって開閉駆動され、これら第1及び第2供給ゲート駆動部54、55は、例えば電気モータ又はエアーシリンダ装置である。
製品排出機構38は、図9に示すように、排出口14cに対して密封して接続されている排出室21を有している。この排出口14cは、第1排出ゲート56によって開閉されるようになっている。そして、排出室21には、フライ製品13を保持する保持容器17を排出室21から排出するための出口21aが形成され、この出口21aは、第2排出ゲート57によって開閉されるようになっている。この第1及び第2排出ゲート56、57は、図4に示す第1及び第2排出ゲート駆動部58、59によって開閉駆動され、これら第1及び第2排出ゲート駆動部58、59は、例えば電気モータ又はエアーシリンダ装置である。
また、後述するように、原料供給機構37が原料12を保持する保持容器17を、供給口14bに通してフライ槽14の内側に供給したり、製品排出機構38がフライ製品13を保持する保持容器17を、排出口14cに通してフライ槽14の外側に排出するのは、図8の実線で示すように、移送機構18が上段位置に移動した状態で行われるように、制御部(図示せず)で制御されるようになっている。そして、移送機構18が上段位置に移動した状態でこの移送機構18が駆動するように制御されるようになっている。つまり、フライヤー装置11が備えている各機構等、及びこれに接続している各装置等は、図示しない制御部によって制御されて駆動するようになっている。
次に、図9を参照して、供給室20及び排出室21のそれぞれに対して気体(空気)を供給及び排出するための気体給排装置60を説明する。この気体給排装置60は、供給室20及び排出室21のそれぞれに接続する給気管61及び排気管62を備えている。
それぞれの給気管61は、供給室20及び排出室21のそれぞれに気体を供給するためのものであり、各給気管61の端部は、例えば外気に開放している。そして、供給室20に接続する給気管61には、第1給気バルブ63が設けられ、排出室21に接続する給気管61には、第2給気バルブ64が設けられている。
そして、それぞれの排気管62は、供給室20及び排出室21内の気体を排出して、供給室20及び排出室21内を減圧又は真空状態にするためのものであり、各排気管62の端部は、図示しない真空タンクBに接続している。そして、供給室20に接続する排気管62には、第1排気バルブ65が設けられ、排出室21に接続する排気管62には、第2排気バルブ66が設けられている。
次に、図8〜図14等を参照して、このフライヤー装置11を使用して原料12からフライ製品13を製造するときの手順、及びフライヤー装置11の作用を説明する。まず、フライ槽14に貯留されている揚げ油7の温度、及びフライ槽14内の真空度等が所定の設定温度(例えば80〜110℃)、及び所定の設定真空度(例えば10〜50torr)となっていることを確認する。また、予め例えば1〜3mmにスライスされたバナナやポテト等の原料12を保持容器17に入れておく。そして、この原料12が収容されている保持容器17を、図5に示す原料供給機構37の供給室20に供給する。
次に、供給室20に供給された保持容器17が、供給口14bを通って上段位置にある移送機構18の先端部上に供給される。そして、移送機構18は、保持容器17が供給されると、昇降機構19によって、中段位置(図示せず)と下段位置(図8の二点鎖線で示す位置)との間で設定回数だけ昇降移動されて、原料12が揚げ油7に所定時間だけ浸漬される。しかる後に、移送機構18が上段位置に移動し、その後で作動して保持容器17を排出口14c側に移送するようになっている。これらの動作を順次行うことによって、図9に示すように、例えば合計6つの保持容器17が移送機構18に保持された状態となる。そして、移送機構18の後端部に位置している保持容器17に保持されている原料12がフライ製品13として出来上がっている。
次に、図9に示すように、移送機構18を上段位置に上昇させた状態で、製品排出機構38を作動させる。つまり、移送機構18の後端部上に載置されているフライ製品13が保持されている保持容器17を、排出口14cに通して排出室21内に排出する。次に、移送機構18を作動させて、移送機構18上の5つの保持容器17を1ピッチ分だけ前進させる。更に、原料供給機構37を作動させて、次に準備されている供給室20内の保持容器17を、供給口14bに通して移送機構18の先端部上に供給する。
また、排出室21内に排出されたフライ製品13を保持する保持容器17は、図10に示す脱油装置(遠心分離機43)によって脱油されて、排出室21の出口21aから外側に排出される。この脱油装置は、フライ製品13に付着している余分な揚げ油7を強制的に除去することができる。このように、上記の動作を順次繰り返して行うことによって、フライ製品13を順次製造することができる。
更に、この実施形態に係るフライヤー装置11によると、図8及び図9に示すように、原料12を保持容器17に入れた状態で、その原料12を例えば所定時間だけ揚げ油7に浸漬して、その揚げ油7から引き上げることができるので、この保持容器17に収容されている全ての原料12を正確に所定時間だけ加熱してフライ製品13を製造することができる。これによって、各原料12のフライ時間にムラが生じることなく、均質なフライ製品13を連続して製造することができる。
そして、図8に実線で示すように、移送機構18は、保持容器17を揚げ油7から引き上げることができる上段位置にある状態で、すなわち、フライ製品13を、揚げ油7から引き上げて油が切られた状態で、フライ製品13を収容している保持容器17を排出口14c側に移送して、この排出口14cから順次排出する構成となっている。これによって、原料12を揚げ油7に浸漬して揚げている時間と、移送機構18によって保持容器17を移送している時間とを別々に調整することができ、その結果、適切な程度に乾燥しており食感及び味が良好であるフライ製品13を製造することができる。
また、図8に示す昇降機構19は、保持容器17に保持されている原料12を、フライ槽14内に貯留されている揚げ油7に2回以上繰り返して浸漬してフライ製品13を製造する構成となっている。
このように、原料12が揚げられてフライ製品13が製造されるまでの間に、原料12を揚げ油7に浸漬すること、及び揚げ油7から引き上げることを繰り返して行うことができ、これによって、フライ製品13に出来上がるまでの時間を比較的短くすることができる。
なぜなら、原料12が揚げ油7中に浸漬されて温度が上昇したときに、原料12を揚げ油7から引き上げると、原料12が揚げ油7によって包囲されていないので、原料12に含まれる水分の蒸発が揚げ油7によって妨げられることがなく、水分を効率的に比較的短時間で蒸発させることができるからである。
そして、原料12がフライ製品13に出来上がるまでの間に、原料12を揚げ油7中に浸漬すること、及び揚げ油7から引き上げることを繰り返して行うと、原料12に含まれる水分が蒸発するときに、原料12から蒸発した水分と入れ替わりに、揚げ油7が原料12に吸い込まれる機会を少なくすることができる。その結果、フライ製品13を適切に乾燥させることができ、食感及び味を良好にすることができる。
図14は、昇降機構19が移送機構18(保持容器17)を昇降移動させるタイミング、及び脱油装置の作動のタイミングを示す図である。この1サイクルT1は、原料12が保持されている保持容器17が、供給室20内から供給口14bを通ってフライ槽14内に供給され始めたときから、その供給された原料12がフライ製品13に加工され、このフライ製品13を保持する保持容器17が、排出口14cを通って排出室21に排出されるまでの時間である。
T2は、移送機構18(保持容器17)が上段位置にあり、移送機構18上の保持容器17が排出室21に排出され、そして、移送機構18が作動して移送機構18上の保持容器17を排出口14c側に1ピッチだけ移送し、更に、供給室20内の保持容器17がフライ槽14内の移送機構18上に移送されるのに掛かる時間である。
T3は、保持容器17が図8に二点鎖線で示す下段位置で保持されている(揚げ油7に浸漬されている)時間であり、T4は、保持容器17が中段位置で保持されている(揚げ油7から引き上げられている)時間である。
この実施形態では、例えば1サイクルT1は、約20分であり、中段位置での時間T4が約10秒、下段位置での時間T3が約10秒である。そして、1サイクルT1時間での昇降の回数は、15〜20回である。ただし、原料12の質、大きさ、厚み、揚げ油7の温度、及びフライ槽14の真空度等に応じて、T1、T2、T3、T4を適切な時間に設定することができる。また、1サイクルT1において、原料12を揚げ油7中に浸漬させる回数は、上記以外の回数としてもよい。
ただし、上記実施形態では、図8等に示すように、昇降機構19の昇降駆動部70として、電気モータを有する電動アクチュエータを使用したが、これに代えて、例えば流体シリンダ装置を使用してもよく、この流体シリンダ装置のピストンロッドに移送機構18を連結して、この移送機構18を昇降移動させるようにしてもよい。
そして、上記実施形態では、フライ槽14内を減圧又は真空にして、減圧又は真空下でフライ処理をしたが、これに代えて、外気圧下でフライ処理をしてもよい。
また、上記実施形態では、保持容器17を、中段位置と下段位置との間で昇降移動させてフライ製品13を製造したが、これに代えて、保持容器17を、上段位置と下段位置との間で昇降移動させてフライ製品13を製造してもよい。
更に、上記実施形態では、図9に示すように、フライ槽14内に6つの保持容器17を収容できる構成としたが、これ以外の数の例えば6つ以外の3つ以上の保持容器17を収容できる構成としても良い。