JP3188914B2 - ホウ炭化スカンジウム及びその製造方法 - Google Patents
ホウ炭化スカンジウム及びその製造方法Info
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Landscapes
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- Ceramic Products (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホウ炭化スカンジ
ウム化合物及びその製造方法に関する。より詳細には分
光素子材料や熱電素子材料等として有用な新規なホウ炭
化スカンジウム化合物及びその製造方法に関する。
ウム化合物及びその製造方法に関する。より詳細には分
光素子材料や熱電素子材料等として有用な新規なホウ炭
化スカンジウム化合物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来から、高機能材料の一つとして、希土
類多ホウ化物が関心を持たれており、例えば、希土類多
ホウ化物として、YB66が軟X線分光素子材料として近
年開発されている。また、新規なホウ炭化物として、S
cB17C0.25、Sc2 BC3が見いだされており、これ
らについても有用材料として開発されることが期待され
ている。他方、YNi2 B2 Cの超伝導性が発見されて
もいる。それらの持つ機能が検討され、さらに多彩な多
ホウ化物類縁化合物が発見、供給されることで新しい機
能が発現することへの期待も大きい。
類多ホウ化物が関心を持たれており、例えば、希土類多
ホウ化物として、YB66が軟X線分光素子材料として近
年開発されている。また、新規なホウ炭化物として、S
cB17C0.25、Sc2 BC3が見いだされており、これ
らについても有用材料として開発されることが期待され
ている。他方、YNi2 B2 Cの超伝導性が発見されて
もいる。それらの持つ機能が検討され、さらに多彩な多
ホウ化物類縁化合物が発見、供給されることで新しい機
能が発現することへの期待も大きい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】YB66軟X線分光素子
材料の熱伝導度は低く、輝度の高い放射光ビームライン
での使用に難点があり、利用できる範囲が限られてお
り、これを代替できる機能を持つ高熱伝導度材料の開発
が待たれている。軟X線分光材料としての必要条件は、
長いd一値を持つ回折面があること、電気伝導性がある
こと、軽い元素で構成されていること、Mg、Al、S
iなど測定対象となる元素を含んでいないこと、耐熱性
に優れていること、などである。 これらを満足できる
材料としては、一応、多ホウ化物、ホウ炭化物を挙げる
ことができる。これらの材料は、他にはない優れた材料
と言える。しかし、従来知られているAlB12などの多
ホウ化物は、Alを含むということのほかに、分解化合
物で、大型結晶の育成が望めない。また、ホウケイ化物
は、Siを含むので、適当とは言えない。本発明の課題
は、機能性材料として実用的にも利用可能で、特にYB
66軟X線分光素子材料を代替できる新規な希土類多ホウ
化物を提供することである。
材料の熱伝導度は低く、輝度の高い放射光ビームライン
での使用に難点があり、利用できる範囲が限られてお
り、これを代替できる機能を持つ高熱伝導度材料の開発
が待たれている。軟X線分光材料としての必要条件は、
長いd一値を持つ回折面があること、電気伝導性がある
こと、軽い元素で構成されていること、Mg、Al、S
iなど測定対象となる元素を含んでいないこと、耐熱性
に優れていること、などである。 これらを満足できる
材料としては、一応、多ホウ化物、ホウ炭化物を挙げる
ことができる。これらの材料は、他にはない優れた材料
と言える。しかし、従来知られているAlB12などの多
ホウ化物は、Alを含むということのほかに、分解化合
物で、大型結晶の育成が望めない。また、ホウケイ化物
は、Siを含むので、適当とは言えない。本発明の課題
は、機能性材料として実用的にも利用可能で、特にYB
66軟X線分光素子材料を代替できる新規な希土類多ホウ
化物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、希土類ホウ
炭化物について、種々検討した結果、新規なホウ炭化物
を見出し、本発明を完成した。本発明は、Sc3 BnC3
(ただし、0.6≦n≦l.l)で示される正方晶系の
ホウ炭化スカンジウム化合物である。
炭化物について、種々検討した結果、新規なホウ炭化物
を見出し、本発明を完成した。本発明は、Sc3 BnC3
(ただし、0.6≦n≦l.l)で示される正方晶系の
ホウ炭化スカンジウム化合物である。
【0005】また、本発明は、Sc2 O3 に下記の反応
式(1)に基づく割合の炭素を混合して得た混合物を、
好ましくはぺレット状に成形し、該ぺレット状物を真空
中または不活性ガス雰囲気中で1500℃から1800
℃の温度範囲、望ましくは1600℃から1700℃の
温度範囲で、真空中での反応は2〜10時間、より好ま
しくは6〜8時間、不活性ガス雰囲気中の反応では3〜
15時間、より好ましくは10〜13時間保持して反応
させて炭化スカンジウム化合物(Sc2 C)を得る。た
だし、炭素の混合比は反応中の減量を考慮して5%程度
あらかじめ多く混合することも可能である。さらに、該
炭化スカンジウム化合物に下記の反応式(2)に基づく
割合の炭素およびホウ素を混合して得た混合物を、好ま
しくはぺレット状に成形し、該ペレット状物を同様の条
件で反応させる。この反応過程でも炭素およびホウ素の
減量を考慮し、あらかじめそれぞれ5%程度余分にホウ
素および炭素を加えておくことも可能である。本発明
は、上記のことを特徴とする新規なホウ炭化スカンジウ
ム化合物およびその製造方法である。 Sc2 O3 +4C→Sc2 C+3CO↑ (1) 3Sc2 C+2nB+3C→2Sc3 BnC3 (2) ただし、0.6≦n≦l.lである。
式(1)に基づく割合の炭素を混合して得た混合物を、
好ましくはぺレット状に成形し、該ぺレット状物を真空
中または不活性ガス雰囲気中で1500℃から1800
℃の温度範囲、望ましくは1600℃から1700℃の
温度範囲で、真空中での反応は2〜10時間、より好ま
しくは6〜8時間、不活性ガス雰囲気中の反応では3〜
15時間、より好ましくは10〜13時間保持して反応
させて炭化スカンジウム化合物(Sc2 C)を得る。た
だし、炭素の混合比は反応中の減量を考慮して5%程度
あらかじめ多く混合することも可能である。さらに、該
炭化スカンジウム化合物に下記の反応式(2)に基づく
割合の炭素およびホウ素を混合して得た混合物を、好ま
しくはぺレット状に成形し、該ペレット状物を同様の条
件で反応させる。この反応過程でも炭素およびホウ素の
減量を考慮し、あらかじめそれぞれ5%程度余分にホウ
素および炭素を加えておくことも可能である。本発明
は、上記のことを特徴とする新規なホウ炭化スカンジウ
ム化合物およびその製造方法である。 Sc2 O3 +4C→Sc2 C+3CO↑ (1) 3Sc2 C+2nB+3C→2Sc3 BnC3 (2) ただし、0.6≦n≦l.lである。
【0006】即ち、本発明の新規なホウ炭化スカンジウ
ムは、その定比組成が、既に知られているSc−B−C
系化合物であるSc2 BC2 より少し炭素量の多い組成
であり、またSc2 BC3 よりは少しスカンジウム量の
多い組成であり、ScB2 C2 よりは少しホウ素、炭素
とも少ない組成であるところのスカンジウムのホウ炭化
物である。本発明者は、Sc−B−C系を探索すること
により、既に知られているSc2BC2 、Sc2 B
C3 、ScB2 C2 に加えて、新たに、定比組成式Sc
3 BC3 で示されるホウ炭化スカンジウム化合物を単一
相として合成することに成功した。
ムは、その定比組成が、既に知られているSc−B−C
系化合物であるSc2 BC2 より少し炭素量の多い組成
であり、またSc2 BC3 よりは少しスカンジウム量の
多い組成であり、ScB2 C2 よりは少しホウ素、炭素
とも少ない組成であるところのスカンジウムのホウ炭化
物である。本発明者は、Sc−B−C系を探索すること
により、既に知られているSc2BC2 、Sc2 B
C3 、ScB2 C2 に加えて、新たに、定比組成式Sc
3 BC3 で示されるホウ炭化スカンジウム化合物を単一
相として合成することに成功した。
【0007】このホウ炭化スカンジウム化合物の存在領
域は狭く、不定比組成領域を表す式では、Sc3 B
(1+X) C(3+Y) 、(−0.4≦X≦0.1)、(−0.
2≦Y≦0.2)であり、最も安定的に存在するのはS
c3 B0.75C3 である。その結晶構造は正方晶で、格子
定数a=b=0.33308(2)nm,c=0.76
797(4)nmである。かっこ内の数値は、最終桁に
対する誤差の大きさを示すものである。なお、係数X、
Yが上記の範囲を超えると、所定のホウ炭化スカンジウ
ム化合物は得られず、それぞれの領域で、種々の組成お
よび異なる結晶系に属する別のホウ炭化スカンジウム化
合物等との混合物となる。
域は狭く、不定比組成領域を表す式では、Sc3 B
(1+X) C(3+Y) 、(−0.4≦X≦0.1)、(−0.
2≦Y≦0.2)であり、最も安定的に存在するのはS
c3 B0.75C3 である。その結晶構造は正方晶で、格子
定数a=b=0.33308(2)nm,c=0.76
797(4)nmである。かっこ内の数値は、最終桁に
対する誤差の大きさを示すものである。なお、係数X、
Yが上記の範囲を超えると、所定のホウ炭化スカンジウ
ム化合物は得られず、それぞれの領域で、種々の組成お
よび異なる結晶系に属する別のホウ炭化スカンジウム化
合物等との混合物となる。
【0008】YB66の熱伝導度は、室温において約2×
10-2W/cmKであるのに比し、Sc3 BC3 は金属
的電気伝導性を持つために、YB66の熱伝導度より10
倍以上高い熱伝導性を示す。このホウ炭化スカンジウム
化合物は、およそ1900℃まで安定に存在するが、そ
れを越えると溶融を始める。
10-2W/cmKであるのに比し、Sc3 BC3 は金属
的電気伝導性を持つために、YB66の熱伝導度より10
倍以上高い熱伝導性を示す。このホウ炭化スカンジウム
化合物は、およそ1900℃まで安定に存在するが、そ
れを越えると溶融を始める。
【0009】本発明の化合物の製造方法としては、Sc
2 O3 に炭素を混合して得た混合物をぺレット状に成形
し、これを真空中(1×10-2Pa)または不活性ガス
雰囲気中で1500℃から1800℃の温度範囲、望ま
しくは1600℃から1700℃の温度範囲、真空中で
の反応は2〜10時間、より好ましくは、6〜8時間、
不活性ガス雰囲気中での反応では、3〜15時間、より
好ましくは10〜13時間保持して十分反応させて炭化
スカンジウム化合物を得る。粉末混合物のままでは反応
が十分に進行しない恐れがあるので、反応を容易に起こ
させ、全量が反応できるように加圧成形してペレット状
にすることが望ましい。さらに、この炭化スカンジウム
化合物にホウ素、炭素を混合して得た混合物をペレット
状に成形し、前段と同様の条件で反応させて得る。Sc
2 O3 と炭素、得られた炭化スカンジウムとホウ素、炭
素との割合は、それぞれ次の式を満足させるような量比
である。 Sc2 O3 +4C→Sc2 C+3CO↑ (1) 3Sc2 C+2nB+3C→2Sc3 BnC3 (2) ただし、0.6≦n≦l.lである。
2 O3 に炭素を混合して得た混合物をぺレット状に成形
し、これを真空中(1×10-2Pa)または不活性ガス
雰囲気中で1500℃から1800℃の温度範囲、望ま
しくは1600℃から1700℃の温度範囲、真空中で
の反応は2〜10時間、より好ましくは、6〜8時間、
不活性ガス雰囲気中での反応では、3〜15時間、より
好ましくは10〜13時間保持して十分反応させて炭化
スカンジウム化合物を得る。粉末混合物のままでは反応
が十分に進行しない恐れがあるので、反応を容易に起こ
させ、全量が反応できるように加圧成形してペレット状
にすることが望ましい。さらに、この炭化スカンジウム
化合物にホウ素、炭素を混合して得た混合物をペレット
状に成形し、前段と同様の条件で反応させて得る。Sc
2 O3 と炭素、得られた炭化スカンジウムとホウ素、炭
素との割合は、それぞれ次の式を満足させるような量比
である。 Sc2 O3 +4C→Sc2 C+3CO↑ (1) 3Sc2 C+2nB+3C→2Sc3 BnC3 (2) ただし、0.6≦n≦l.lである。
【0010】
【実施例】実施例1 反応後の形式的な組成がSc2 C
となるように、原料としてSc2O3 およびCを、上記
反応式(1)に基づき混合した。ただし、炭素はあらか
じめ熱処理し、反応中の減量のないものを使用したこと
から定比での混合とした。混合物を静水圧加圧(250
MPa)により、ぺレット状に成形した後、真空中(1
×10-2Pa)で8時間、約1600℃の温度で反応さ
せた。COはガス物質であるから反応中の蒸発により系
外に排出される。反応生成したぺレットを乳鉢で粉砕し
た後、この化合物の組成をSc2 Cと仮定し、組成がS
c3 B0.75C3 となるようホウ素、炭素を加えた。ただ
し、ホウ素に対しては、ホウ素の反応中の減量を考慮
し、定比混合量に対し、3%余分にホウ素を添加した。
十分混合した後、再度、静水圧加圧によりペレットと
し、前記と同一条件で二回目の反応をさせた。生成物を
粉末X線回折法により分析し、図1のスペクトラムが得
られた。これから、生成物は、格子定数a=b=0.3
3308(2)nm,c=0.76797(4)nmの
正方晶の結晶形をとる単一相からなる新規化合物である
ことが確認された。また、001回折のd一値は0.7
68nmであり、0.7keVから2keVまでのエネ
ルギーを持つ軟X線の分光に有効であることが明らかと
なった。一方、生成物の化学分析の結果、生成物の組成
はSc2.97B0.76C2.96であった。
となるように、原料としてSc2O3 およびCを、上記
反応式(1)に基づき混合した。ただし、炭素はあらか
じめ熱処理し、反応中の減量のないものを使用したこと
から定比での混合とした。混合物を静水圧加圧(250
MPa)により、ぺレット状に成形した後、真空中(1
×10-2Pa)で8時間、約1600℃の温度で反応さ
せた。COはガス物質であるから反応中の蒸発により系
外に排出される。反応生成したぺレットを乳鉢で粉砕し
た後、この化合物の組成をSc2 Cと仮定し、組成がS
c3 B0.75C3 となるようホウ素、炭素を加えた。ただ
し、ホウ素に対しては、ホウ素の反応中の減量を考慮
し、定比混合量に対し、3%余分にホウ素を添加した。
十分混合した後、再度、静水圧加圧によりペレットと
し、前記と同一条件で二回目の反応をさせた。生成物を
粉末X線回折法により分析し、図1のスペクトラムが得
られた。これから、生成物は、格子定数a=b=0.3
3308(2)nm,c=0.76797(4)nmの
正方晶の結晶形をとる単一相からなる新規化合物である
ことが確認された。また、001回折のd一値は0.7
68nmであり、0.7keVから2keVまでのエネ
ルギーを持つ軟X線の分光に有効であることが明らかと
なった。一方、生成物の化学分析の結果、生成物の組成
はSc2.97B0.76C2.96であった。
【0011】なお、生成物の化学組成を知るための化学
分析は以下の方法で行った。まず、生成物をシリコンカ
ーバイドの乳鉢で粉砕し、平均粒径80μm程度の粉末
とした。得られた粉末を硝酸、塩酸とともに、150
℃、16時間加圧分解した。得られた溶液を用い、Sc
はEDTAを指示薬とした滴定法により、また、BはI
CP発光分光分析装置で定量分析した。炭素は、粉末を
酸素気流中で燃焼させ、生成するCO2 濃度を測定する
手法のLECO社製炭素分析装置を用いて分析した。
分析は以下の方法で行った。まず、生成物をシリコンカ
ーバイドの乳鉢で粉砕し、平均粒径80μm程度の粉末
とした。得られた粉末を硝酸、塩酸とともに、150
℃、16時間加圧分解した。得られた溶液を用い、Sc
はEDTAを指示薬とした滴定法により、また、BはI
CP発光分光分析装置で定量分析した。炭素は、粉末を
酸素気流中で燃焼させ、生成するCO2 濃度を測定する
手法のLECO社製炭素分析装置を用いて分析した。
【0012】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、新規なホ
ウ炭化スカンジウムを創出し、その製造方法を提供する
ものであり、分光素子材料や熱電素子材料として従来公
知のYB66軟X線分光素子材料に代替できる優れた新規
材料を提供することができた。
ウ炭化スカンジウムを創出し、その製造方法を提供する
ものであり、分光素子材料や熱電素子材料として従来公
知のYB66軟X線分光素子材料に代替できる優れた新規
材料を提供することができた。
【図1】は、 実施例1におけるSc3 BC3 の粉末X
線回折パターンである。
線回折パターンである。
Claims (2)
- 【請求項1】組成式Sc3 BnC3(ただし、0.6≦n
≦l.l)で示される正方晶系ホウ炭化スカンジウム化
合物。 - 【請求項2】Sc2 O3 に下記の反応式(1)に基づく
割合の炭素を混合して得た混合物を真空中または不活性
ガス雰囲気中で1500℃から1800℃の温度範囲で
反応させて炭化スカンジウム化合物(Sc2 C)を得、
さらに該炭化スカンジウム化合物に下記の反応式(2)
に基づく割合のホウ素および炭素を混合し、この混合物
を前段の条件と同様の反応条件で反応させることを特徴
とするSc3 BnC3 (ただし、0.6≦n≦l.l)
で示される正方晶系ホウ炭化スカンジウム化合物の製造
方法。 Sc2 O3 +4C→Sc2 C+3CO↑ (1) 3Sc2 C+2nB+3C→2Sc3 BnC
3 (2) ただし、0.6≦n≦l.lである。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23822899A JP3188914B2 (ja) | 1999-08-25 | 1999-08-25 | ホウ炭化スカンジウム及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23822899A JP3188914B2 (ja) | 1999-08-25 | 1999-08-25 | ホウ炭化スカンジウム及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001064011A JP2001064011A (ja) | 2001-03-13 |
JP3188914B2 true JP3188914B2 (ja) | 2001-07-16 |
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ID=17027063
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23822899A Expired - Lifetime JP3188914B2 (ja) | 1999-08-25 | 1999-08-25 | ホウ炭化スカンジウム及びその製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
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-
1999
- 1999-08-25 JP JP23822899A patent/JP3188914B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JP2001064011A (ja) | 2001-03-13 |
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