JP3188816B2 - インクジェット記録ヘッドの表面処理方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの表面処理方法

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JP3188816B2 JP26358694A JP26358694A JP3188816B2 JP 3188816 B2 JP3188816 B2 JP 3188816B2 JP 26358694 A JP26358694 A JP 26358694A JP 26358694 A JP26358694 A JP 26358694A JP 3188816 B2 JP3188816 B2 JP 3188816B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録液体であるインク
をインク吐出口から小滴として吐出し飛翔させ、この小
滴の被記録面への付着を以って記録を行うインクジェッ
ト記録ヘッドの表面処理方法に関し、さらに詳しくは、
インク吐出口を有する面(インク吐出口面)を表面処理
層で被覆するインクジェット記録ヘッドの表面処理方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録法は、インクと称さ
れる記録液体の液滴を飛翔させ、それを紙等の被記録部
材に付着させて記録を行うものである。その中でいわゆ
るインクオンデマンド方式と称される記録方式がある。
【0003】このようなインクジェット記録方式では、
記録品位を向上させるためにインクの液滴が被記録面の
所望の位置に付着すること、すなわち記録するための飛
翔インク滴の吐出方向が一定で、かつその吐出速度が一
定であること、また飛翔インク滴の粒径が一様であるこ
とが要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
のインクジェット記録ヘッドでは 1)特に吐出口を有する面が荒れていたり、割れや欠け
等の傷が生じていたりする場合等に、インクの吐出を続
けている間にインク吐出口面に不均一にインクが付着
し、インクがインク吐出口から吐出されて離れる時に不
均一に、吐出するインクを引張ることがあるので、イン
ク滴の吐出方向や吐出速度、またインク滴の粒径がばら
つき、記録品位の低下をもたらすことがあった。
【0005】また、インク吐出口が異種の材料から成る
部材を組合せて構成されている米国特許第441725
1号等で開示された発明により製造されるようなインク
ジェット記録ヘッドにおいては、インクに対する濡れ易
さがそれぞれの構成部材で異なるため、やはりインクの
吐出を長く続けている間に、インク吐出口を有する面で
インクの局在化が起こることがあり、上記した問題が発
生することがあった。
【0006】このような問題点を解決する方法として、
インク吐出口を有する面に、撥液性の材料または親液性
の材料を一様に設ける提案が、米国特許第436847
6号等を始めとして多数なされている。
【0007】2)また、例えば手紙等の記録媒体にイン
クを吐出して記録を行う場合、記録媒体近傍にヒータを
設け、加熱によりインク滴の溶媒を蒸発させ、速かに定
着を行うプリンタが考案されている。その際溶媒の蒸気
が、記録を継続するうちに飽和し始め、遂にはインク吐
出面上に結露し始める。この時、インク吐出口面全面を
撥水処理したインクジェット記録ヘッドでは、次第に大
きく成長した液滴が記録ヘッドの移動に伴い、インク吐
出口を閉塞してしまう可能性があり、インク不吐出の原
因となることがあった。
【0008】この対策を施したインクジェット記録ヘッ
ドとして、例えば特開平2−88247号公報が開示さ
れている。これは吐出口の周囲部のみを撥水性膜で被覆
するようにしたものである。
【0009】しかしながら、例えばコスト、精度、歩留
り等の製造上の諸点を考慮した場合、充分なものは未だ
得られていなかった。すなわち、インク吐出口の内方に
表面処理剤が入り込むことがなく、均一かつ簡易にイン
ク吐出口面の表面処理を施すという点において充分な表
面処理方法がないという問題点があった。
【0010】3)さらに、従来この種の表面処理を行う
作業場は、表面処理剤による汚染を考慮して他の作業と
の仕切りを設けていた。このようにしないと、目的とす
る処理面以外にも表面処理剤が付着することが多々あ
り、思わぬトラブルを発生させることがあるという問題
点があった。
【0011】このため、本発明の目的は、前述したよう
な各問題点を解決し、インク吐出口が設けられた面の少
くとも吐出口近傍もしくは全面が均一な材料で覆われ、
さらに表面の荒れや傷等の形状的な不均一さをなくすこ
とができ、以てインクが吐出される時に、吐出方向,吐
出速度及びインク滴の粒径が一定化され、記録品位が高
いインクジェット記録ヘッドを得ることができるインク
ジェット記録ヘッドの表面処理方法を提供することにあ
る。
【0012】またさらに、定着を迅速に行うために、記
録媒体近傍にヒータを設けたプリンタに搭載しても、安
定な吐出が行えるインクジェット記録ヘッドを提供する
ことを目的としている。
【0013】また本発明の他の目的は、その表面処理の
際、インク吐出口内方に表面処理剤が入り込みが極めて
少なく、インク吐出口内方に詰め物をする等の工程を要
さずに、廉価にこの種のインクジェット記録ヘッドを作
成できるインクジェット記録ヘッドの表面処理方法を提
供することにある。
【0014】本発明のさらに他の目的は、処理前にイン
ク吐出口の形状を変える等設計に制限を与えることを排
除できるインクジェット記録ヘッドの表面処理方法を提
供することにある。
【0015】また、本発明のさらに他の目的は、表面処
理を行う作業場の汚染が極めて少なく、そのための不良
発生も生じ難い表面処理方法を提供することにある。
【0016】本発明のさらに他の目的は、表面処理剤の
ロスが極めて少なく、有効に利用できる表面処理方法を
提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】このため、本発明におい
ては、つぎの(1)〜(3)のいずれかの方法を採用す
ることにより、前記諸目的を達成しようとするものであ
る。
【0018】(1)芯物質として、表面処理剤を有する
マイクロカプセルを支持体上に設けたものを、インクジ
ェット記録ヘッドのインク吐出口が形成されているイン
ク吐出口面に近接させ、前記インク吐出口近傍のみ加圧
し、前記マイクロカプセルの壁物質を破壊させて、前記
表面処理剤を放出させることにより、前記インク吐出口
近傍のみ表面処理を行うことを特徴とするインクジェッ
ト記録ヘッドの表面処理方法。
【0019】(2)芯物質として、表面処理剤を有する
マイクロカプセルを、インクジェット記録ヘッドのイン
ク吐出口が形成されているインク吐出口面に高速気流で
衝突させて、前記マイクロカプセルの壁物質を破壊さ
せ、前記表面処理剤を放出させることにより、前記イン
ク吐出口面に表面処理を行うことを特徴とするインクジ
ェット記録ヘッドの表面処理方法。
【0020】(3)芯物質として、表面処理剤を有する
マイクロカプセルを支持体上に設けたものを、インクジ
ェット記録ヘッドのインク吐出口が形成されているイン
ク吐出口面に圧接して、前記マイクロカプセルの壁物質
を破壊させ、前記表面処理剤を放出させることにより、
前記インク吐出口面に表面処理を行うことを特徴とする
インクジェット記録ヘッドの表面処理方法。
【0021】
【作用】以上のような本発明方法(1)〜(3)によれ
ば、特別にインク流路内に詰め物をするという余分の工
程を設ける必要なしに、インク流路内への表面処理剤の
入り込みが極めて少なく、実質上無視できる程度にイン
ク吐出口面のインク吐出口近傍のみ、あるいは吐出面全
面に表面処理剤を塗布することができる。
【0022】また、高価な表面処理剤の使用量は極めて
少なくすることができる。すなわち、精度よくインク吐
出口面の表面処理が行え、コストも安く済み、記録品位
の良いインクジェット記録ヘッドを安価に提供すること
ができる。
【0023】
【実施例】以下に、図面を参照して、本発明に係る複数
の実施例を詳細に説明する。
【0024】本発明においては、インク吐出口の付近に
問題の解決が絞られるものであるため、以下の説明にお
いては記録ヘッドのインク吐出口を含む部分のみを抽出
して詳述するが、本発明の主旨に沿うものであれば、例
えば図示の如きインクジェット記録ヘッドのみに限定さ
れることはなく、如何なる形態のインクジェット記録ヘ
ッドであっても、本発明は有効に適用されるものであ
る。
【0025】本発明に係る各実施例における表面処理剤
であり、マイクロカプセルの芯物質となるものは、イン
ク吐出口面上に最終的に形成される表面処理層が撥イン
ク性を持つと同時に、本発明の目的が達成されるという
条件を満たす範囲において、適宜所望に応じて選択され
得る。すなわち、表面処理剤そのものが撥インク性を当
初から持つ材料であってもよいし、何らかの処理が施さ
れることで撥インク性を持つようになる材料であっても
よい。いずれにしても、最終的に形成される表面処理層
の表面が撥インク性を有するものとなるものであればよ
い。
【0026】本実施例のマイクロカプセルの壁物質とし
ては、芯物質と不溶性であり、表面処理前には適度な強
度を持ち、取扱時に破壊される怖れがなく、表面処理
時、すなわち加圧により破壊されて芯物質を放出する必
要がある。
【0027】このような条件の壁物質としては、例え
ば、アミノプラスト、カルボキシ メチル セルロー
ズ、セルローズ アセテート フタレート、エチル セ
ルローズ、エチレン ビニル アセテート、ゼラチン、
ゼラチン アラビアゴム、ゼラチン アラビアゴム エ
チレン 無水マレイン酸、ポリビニール アルコール、
プロピル ハイドキシ セルローズ、サラン、ワックス
など。
【0028】さらに、尿素/ホルムアルデヒド共重合
体,メラミン/ホルムアルデヒド共重合体,アクリルア
ミド/アクリル酸共重合体,ポリウレタン,ポリエチレ
ン オキサイド,ポリプロピレン グリコール,ポリ第
4級アミン,ポリアミド ポリアミン エピクロロヒド
リン樹脂,ポリエチレン イミンまたはキサンタン ゴ
ム等から選ばれる重合体等が挙げられる。
【0029】マイクロカプセルの製造法としては、コア
セルベーション法,界面重合法,インシトゥー(in-sit
u )重合法など各種の方法が知られている。マイクロカ
プセルについては様々の参考書があり、例えば「膜学入
門」(中垣正幸著,喜多見書房)が挙げられる。
【0030】以下に、本実施例で用いたマイクロカプセ
ルの合成法について説明する; (合成例1)加熱装置を備えた攪拌混合容器中にポリア
クリル酸(商品名、アロンA−10H,東亜合成化学工
業社製)の1.50%水溶液200部を加え、これに1
0%苛性ソーダ水溶液を添加してpHを4.7に調整
し、カプセル製造用水性媒体とした。
【0031】この水性媒体を温度80℃に加温した後、
予め温度80℃に加温した芯物質であるサイトップCT
X−805S(商品名、旭ガラス社(株)製)を攪拌し
ながら添加し、温度80℃で平均粒径が所望の粒径にな
るように乳化分散した。
【0032】別に、加熱装置を備えた攪拌容器中にメラ
ミン10部と35%ホルムアルデヒド水溶液30部とを
加え、温度60℃下で20分間攪拌して水溶性のメラミ
ン−ホルムアルデヒド初期縮合物を調整した後、上記液
中に添加した。その後この系を温度80℃に1時間保持
し、更に温度90℃に昇温して、この温度下で2時間攪
拌した。
【0033】次いで、95℃の温度で攪拌しながら0.
05%塩酸を4時間かけて徐々に添加して系のpHを
3.5に調整し、更に脱ホルムアルデヒド処理剤として
尿素10部、酸性亜硫酸ソーダ1部を添加した後、温度
95℃下で1時間保持して乳白色のカプセル分散液を得
た。
【0034】これを濾過水洗後、請求項1及び3に対応
する方法においては、10%ポリビニルアルコール水溶
液中に40%の含量となるように上記カプセルを添加し
た。次に、この分散液を25μmポリエステル上にワイ
ヤバーコータで塗布した。これを温度50℃で1時間乾
燥した。
【0035】上記方法では、前記サイトップCTX−8
05Sをカプセル製造用水性媒体に加える時の攪拌速度
及び温度を変えることで種々の粒径のマイクロカプセル
を作成することができる。
【0036】また、請求項2に対応する方法において
は、これを濾過水洗後、温度80℃で2時間乾燥し、マ
イクロカプセルを得た。平均粒径は40μmであった。
【0037】上記方法ではサイトップCTX−805S
をカプセル製造用水性媒体に加える時の攪拌速度及び温
度を変えることで種々の粒径のマイクロカプセルを作成
することができる。
【0038】(合成例2)前記合成例1の芯物質を、デ
ェフェンサ7710(商品名、旭ガラス社(株)製)4
0部を含むm−キシレン ヘキサフルオライド溶液(セ
ントラル硝子製)に変えた以外は同様に合成を行った。
平均粒径は45μmであった。
【0039】以下に、上記合成例で得られたマイクロカ
プセル塗工フィルムを用いて行ったインクジェット記録
ヘッドの請求項1及び3における吐出口面ならびに請求
項2に関する表面処理について説明する。
【0040】図1(A)及び図1(B)は、本発明が適
用可能なインクジェット記録ヘッドの一例として、液吐
出に利用されるエネルギーを発生する手段として電気熱
変換素子を用い、複数の吐出口を有して成るインクジェ
ット記録ヘッドのインク吐出口108の近傍の模式的斜
視図及びそのA−A´面に沿う模式的断面図である。
【0041】ここで、101はインクジェット記録ヘッ
ド全体、102は電気熱変換素子としての発熱素子、1
03は基板、104は接着剤層、105は天板、106
はインク通路、107はインク吐出口を有する面(イン
ク吐出口面)、108はインク吐出口、111はインク
通路106及びインク吐出口108を形作るインク路壁
構成部材である。
【0042】このような熱を液吐出に利用するエネルギ
ーとして用いるインクジェット記録ヘッドの液吐出原理
を以下に簡単に説明する。
【0043】基板103に設けられた発熱素子102に
不図示の電気的導線を通してパルス状の電流を流すこと
により、発熱素子102が瞬時に短時間発熱すると、イ
ンク通路106内にあるインクに発泡を伴う急激な圧力
変化が発生し、これによりインク吐出口108よりイン
クが吐出される。
【0044】これら図に示すインクジェット記録ヘッド
101では、特にインク吐出口面107が異種材料から
成る複数部材で構成されている場合、濡れ性が一様でな
く、液吐出が不安定になることがあった。
【0045】そこで、本発明に係る表面処理を行った複
数の実施例を以下に説明する: (第1実施例)図2における(A)図及び(B)図は、
本発明の請求項1に対応する第1の実施態様例による表
面処理方法の1つを説明するためのもので、図1(A)
に示したインクジェット記録ヘッド101のA−A´面
に沿う模式的断面図である。
【0046】まず、図2(A)に示すように、前記合成
例1で作成したマイクロカプセル塗工フィルム支持体1
09を、マイクロカプセル層110がインク吐出口面1
07に対向するようにセットした。次にマイクロカプセ
ル塗工フィルム109の裏側から直径1mmのステンレス
ワイヤ111をインク吐出口108近傍が加圧されるよ
うに押し付けた後、静かに剥離した。次に常温で15分
放置後、温度150℃で30分間インクジェット記録ヘ
ッド101を熱処理した。
【0047】このインクジェット記録ヘッド101のイ
ンク吐出口面107にインクを落すと表面処理が施され
た部分はインクが弾かれ、表面処理効果が認められた。
また、ノズル内の入り込みは極くわずかであった。図2
(B)は、このように処理されたインクジェット記録ヘ
ッド101の断面図である。
【0048】図3は、このようにして表面処理が完了し
て表面処理層110Cが設けられたインクジェット記録
ヘッド101のインク吐出口108の近傍の模式的斜視
図である。
【0049】また、図4は、本発明方法が適用可能なイ
ンクジェット記録ヘッドの他の例を示す模式的断面図
で、電気機械変換体を、吐出に利用されるエネルギーを
発生する手段として用いたものである。このようなイン
クジェット記録ヘッド201は、ガラス管を溶融、引張
りを行った後切断することによって作製された細く絞っ
た開口部、すなわちインク吐出口208を有するガラス
管203の周囲に、インクを吐出するために利用される
エネルギーを発生する手段として、ピエゾ素子202を
配設したものである。
【0050】このインクジェット記録ヘッド201の吐
出原理を簡単に説明すると、インクはインク導入管21
2の内側を通ってガラス管203内のインク路206に
導入される。ピエゾ素子202にパルス状の電圧を加え
るとピエゾ素子202が歪み、インク路206の体積が
変化し、それによりインクがインク吐出口208より吐
出される。このようなインクジェット記録ヘッド201
においても、本発明の方法により容易にインク吐出口を
有する面(インク吐出口面)207の吐出口近傍のみを
均一な表面処理層で覆うことができる。
【0051】(第2実施例)図2における(C)図及び
前記(B)図は、本発明の請求項2に対応する第2の実
施態様例による表面処理方法の1つを説明するためのも
ので、図1(A)に示したインクジェット記録ヘッド1
01のA−A´面に沿う模式断面図である。
【0052】まず図2(C)に示すように、前記合成例
1で作製したマイクロカプセル110を、固定治具12
0で固定したインクジェット記録ヘッド101のインク
吐出口面107に向けて高速気流に乗せて衝突させた。
インク吐出口面107に衝突したマイクロカプセル11
0のいくつかは、壁物質が破壊し、芯物質である前記サ
イトップCTX−805Sが放出された。次に常温で1
5分間放置後、温度150℃で30分間熱処理した。
【0053】このインクジェット記録ヘッド101のイ
ンク吐出口面107で水の接触角を測定すると108度
であり、表面処理効果が認められた。また、ノズル内へ
の表面処理剤の入り込みは極くわずかであった。また、
ノズル内へは破壊しないマイクロカプセルがいくつか入
り込んだが、水洗により簡単に除去できた。
【0054】このように処理された第2実施例のインク
ジェット記録ヘッド101の断面図は前記図2(B)と
全く同様であり、また、前記第1実施例の図3及び図4
における各説明は、“表面処理対象の吐出口近傍”を
“吐出口面”と読み換えることにより、全く同様である
ため、重複説明は省略する。
【0055】(第3実施例)図2における(D)図及び
前記(B)図は、本発明の請求項3に対応する第3の実
施態様例による表面処理方法の1つを説明するためのも
ので、図1(A)に示したインクジェット記録ヘッド1
01のA−A´面に沿う模式的断面図である。
【0056】まず、図2(D)に示すように、前記合成
例1で作成したマイクロカプセル塗工フィルム支持体1
09を、マイクロカプセル層110がインク吐出口面1
07に接するようにセットした。次にマイクロカプセル
塗工フィルム109の裏側から直径5mmのステンレスワ
イヤ111をインク吐出口面107全体が加圧されるよ
うに押し付けながら移動させた後静かに剥離した。次に
常温で15分放置後、150℃で30分間インクジェッ
ト記録ヘッド101を熱処理した。
【0057】このインクジェット記録ヘッド101のイ
ンク吐出口面107で水の接触角を測定すると108度
であり、表面処理効果が認められた。またノズル内への
入り込みは極くわずかであった。
【0058】このように処理されたインクジェット記録
ヘッド101の断面図は、前記図2(B)と全く同様で
あり、また、図3及び図4に関しては、前記第2実施例
における註釈と同一理由により、重複説明は省略する。
【0059】図4は、本発明方法が適用可能なインクジ
ェット記録ヘッドの他の例を示す模式的断面図で、電気
機械変換体を、吐出に利用されるエネルギーを発生する
手段として用いたものである。このようなインクジェッ
ト記録ヘッド201は、ガラス管を溶融、引張りを行っ
た後切断することによって作製された細く絞った開口
部、すなわちインク吐出口208を有するガラス管20
3の周囲に、インクを吐出するために利用されるエネル
ギーを発生する手段として、ピエゾ素子202を配設し
たものである。
【0060】このインクジェット記録ヘッド201の吐
出原理を簡単に説明すると、インクはインク導入管21
2の内側を通ってガラス管203内のインク路206に
導入される。ピエゾ素子202にパルス状の電圧を加え
るとピエゾ素子202が歪み、インク路206の体積が
変化し、それによりインクがインク吐出口208より吐
出される。このようなインクジェット記録ヘッド201
においても、本発明の方法により容易にインク吐出口を
有する面(インク吐出口面)207を均一な表面処理層
で覆うことができる。
【0061】(第4実施例)図5は、前記方式のインク
ジェット記録ヘッドに前記第1実施例による表面処理が
完了したインクジェット記録ヘッドの模式的断面図を示
す。
【0062】まず、マイクロカプセルとして前記合成例
1で作成したものをインク吐出口面にマイクロカプセル
が接するようにセットした。次に、裏面からφ0.5mm
のステンレスワイヤで吐出口近傍のみが加圧されるよう
に押し付けた後、静かに剥離した。次に常温で15分放
置後、インク吐出口面に対して10J/cm2 のUV(紫
外線)照射を窒素ガス雰囲気下で行った。その後、温度
150℃で1時間熱処理を行った。
【0063】得られたインクジェット記録ヘッド101
の吐出口面107にインクを落とすと、インクは表面処
理部で弾かれて吐出口106近傍より速やかに排除さ
れ、表面処理がなされていることが確認された。
【0064】同様に表面処理を行った比較結果を、それ
ぞれ前記引用例1,2別に、表1及び表2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】両表中で、“均一な処理”は、吐出口の近
傍のみ表面処理剤が塗布され、かつ、ノズル内の入り込
みは極くわずかなものをいう。また、参考例で、“表面
処理されない部分がある”とは、表面処理剤がインク吐
出口近傍で下地が出ている部分があるものをいう。この
ような場所にインクを付着させると、接触角は50度程
度で、その点を中心にインクが溜ってしまうのが観察さ
れることがあった。また“インク吐出口内に表面処理剤
が多量に入り込んだ”とは、通常、ノズル内にインクを
入れた時、インク吐出口先端に形成されるインクメニス
カスがインク流路内に凹んでいるものをいう。
【0068】次に、以上の実施例で得られる作用効果に
ついて具体的に説明する;図6はインクの吐出特性を観
察するための測定装置の配置を示す模式図である。イン
クジェット記録ヘッド301のインク吐出口から吐出さ
れるインク滴302の吐出方向及び吐出速度のばらつき
を観察するため、インク滴302の飛翔方向xと直交す
る方向y及びzの2方向に顕微鏡を取り付けたビデオモ
ニタ303及び304を配置した。また、ストロボ発光
器305をインク吐出周波数と同期させて発光させた。
【0069】この測定装置に各実施例によりインク吐出
口面を表面処理されたインクジェット記録ヘッドをイン
クジェット記録ヘッド301としてセットし、インクを
連続的に吐出させてインク滴を観察した。この時、y方
向,z方向共にインク滴はx方向上で静止して見えた。
これは、インク滴が直進し、吐出速度も一定であること
を示している。長時間の連続吐出後もこの様子は変わら
なかった。
【0070】これに対して、上記の表面処理を行ってい
ないインクジェット記録ヘッドでは、インク滴がx方向
からずれた位置にあることがわかり、インク液滴の進行
方向でゆらいでいる場合があった。これはインク滴が直
進せず、またその吐出速度も一定でないことがあること
を示している。
【0071】また、この時インク吐出口の周辺を観察し
たところ、インクが付着している場合があるのが見られ
た。このような現象は前記実施例に係る表面処理方法に
よって処理されたインクジェット記録ヘッドには見られ
ないことであった。
【0072】また、表1及び表2中の参考例で表面処理
されない部分のあるインクジェット記録ヘッドについ
て、同様にインクの吐出を見たところ、吐出方向のばら
つきが見られた。また、表1及び表2中の参考例で表面
処理剤が多量に入り込んだヘッドの吐出は吐出方向のば
らつきと共に、インク滴が小さいことも観察された。
【0073】次に、インクジェット記録ヘッドを、定着
を迅速に行うためのヒータが具備された型式のプリンタ
に取り付けて印字を行い、印字品位の評価を行った。
【0074】このインクジェット記録ヘッドとしては、
48個のインク吐出口を有するものを用いた。この結
果、前記各実施例に係る方法により処理を行ったインク
ジェット記録ヘッドでは、長時間にわたり安定な印字品
位が得られた。
【0075】これに対して、未処理のインクジェット記
録ヘッドにおいては印字を続けるに従って印字不良、す
なわち、文字を構成するドットの偏りや主ドット以外に
微小ドットが形成されるなどの現象が起こることがあっ
た。この時のインク吐出口の周辺には、やはりインクが
付着している場合があった。このインクを拭き取ると一
時的に良好な印字品位となるが、すぐ印字不良を起こし
てしまうことがあった。さらにまた、ヒータによる定着
のため、蒸発したインク中の溶媒がインク吐出口面で大
きな滴となり、不吐出が発生してしまうこともあった。
【0076】(第5実施例)図5は、前記方式のインク
ジェット記録ヘッドに前記第2実施例による表面処理が
完了したインクジェット記録ヘッドの模式的断面図であ
る(前記第2実施例に対する図5を共用する)。
【0077】まず、インクジェット記録ヘッドを図2
(C)に示した固定治具120で固定した後、前記合成
例2で作成したマイクロカプセル110を高速気流に乗
せてインク吐出口面107に衝突させた。インク吐出口
面107に衝突したマイクロカプセル110のいくつか
は壁物質が破壊し、芯物質である前記デェフェンサ77
10が放出された。
【0078】次に、温度80℃で15分間熱処理した
後、デェフェンサ7710に対して窒素ガス雰囲気下で
10J/cm2 のUV照射を行い、その後温度150℃で
1時間熱処理を行った。得られたインクジェット記録ヘ
ッドの吐出口面107にインクを落とすとインクは表面
処理部で弾かれて表面処理がなされていることが確認さ
れた。
【0079】なお、本実施例においても、前記第2実施
例において、図6を用いて説明した作用効果におけると
同様の吐出特性で観察され、本実施例の処理を行わなか
ったものとの比較において同様の効果が確認された。
【0080】(第6実施例)図5は、上記方式のインク
ジェット記録ヘッドに前記第3実施例による表面処理が
完了したインクジェット記録ヘッドの模式的断面図であ
る(前記第3実施例に対する図5を共用する)。
【0081】まず、マイクロカプセルとして前記合成例
1で作成したものをインク吐出口面にマイクロカプセル
が接するようにセットした。次に裏面を直径5mmのステ
ンレスワイヤで吐出口面全体が加圧されるように押し付
けながら移動させた後、静かに剥離した。次に常温で1
5分放置後、インク吐出口面に対して10J/cm2 のU
V照射を窒素ガス雰囲気下で行った。その後150℃で
1時間熱処理を行った。得られたインクジェット記録ヘ
ッド101の水の接触角は99度で表面処理がなされて
いることが確認された。
【0082】同様に表面処理を行った比較結果をそれぞ
れ前記引用例別に、表1及び表2に示す。これらの表
1,表2は、前記第4実施例において使用したものと全
く同一であり、その説明も前記に準ずるため重複説明は
省略する。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
下記のような各効果が得られる; (1)インク吐出口面に均一に表面処理を行うことがで
きる、(2)インク吐出口の周りのインク吐出口面の荒
れに傷等がなくなる、(3)吐出されたインク滴の吐出
方向,吐出速度及び粒径が一定となり記録品位が向上す
る、(4)吐出周波数を上げても良好な印字品位が得ら
れるため記録速度を上げることができる。
【0084】(5)表面処理を行う際にインク路内に表
面処理剤が入り込むことを阻止するような特別な処理を
必要としない、(6)量産化も容易であり廉価なインク
ジェット記録ヘッドを提供できる、(7)表面処理によ
りインク吐出口の形状を変えることがなく、設計上の制
約を与えることがない、など。
【0085】(8)また、定着性改善のためにヒータを
具備したプリンタにおいても良好な印字が得られる、
(9)表面処理剤がマイクロカプセルという微小容器に
入れられ支持体上に固定されるので、表面処理を行う作
業場の汚染がほとんどなく、作業場を仕切る等の特別の
措置を必要としない、(10)表面処理剤の無駄が極め
て少なく、安価なインクジェット記録ヘッドを提供でき
る、など。
【図面の簡単な説明】
【図1】 インクジェット記録ヘッドの一例図
【図2】 表面処理方法説明図
【図3】 インク吐出口付近の模式的斜視図
【図4】 インクジェット記録ヘッドの他の一例の断面
【図5】 図4の表面処理完了状態図
【図6】 インク吐出特性測定装置の模式図
【符号の説明】 101,201,301 インクジェット記録ヘッド 106,206 インク通路 107,207 インク吐出口面 108,208 インク吐出口 109 支持体 110 マイクロカプセル層 110C,110C´,211C 表面処理層 120 固定治具 302 インク滴 303,304 ビデオモニタ 305 ストロボ発光器

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯物質として、表面処理剤を有するマイ
    クロカプセルを支持体上に設けたものを、インクジェッ
    ト記録ヘッドのインク吐出口が形成されているインク吐
    出口面に近接させ、前記インク吐出口近傍のみ加圧し、
    前記マイクロカプセルの壁物質を破壊させて、前記表面
    処理剤を放出させることにより、前記インク吐出口近傍
    のみ表面処理を行うことを特徴とするインクジェット記
    録ヘッドの表面処理方法。
  2. 【請求項2】 芯物質として、表面処理剤を有するマイ
    クロカプセルを、インクジェット記録ヘッドのインク吐
    出口が形成されているインク吐出口面に高速気流で衝突
    させて、前記マイクロカプセルの壁物質を破壊させ、前
    記表面処理剤を放出させることにより、前記インク吐出
    口面に表面処理を行うことを特徴とするインクジェット
    記録ヘッドの表面処理方法。
  3. 【請求項3】 芯物質として、表面処理剤を有するマイ
    クロカプセルを支持体上に設けたものを、インクジェッ
    ト記録ヘッドのインク吐出口が形成されているインク吐
    出口面に圧接して、前記マイクロカプセルの壁物質を破
    壊させ、前記表面処理剤を放出させることにより、前記
    インク吐出口面に表面処理を行うことを特徴とするイン
    クジェット記録ヘッドの表面処理方法。
  4. 【請求項4】 前記マイクロカプセルの平均粒径が0.
    5ないし100μmであることを特徴とする請求項1な
    いし3のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドの
    表面処理方法。
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