JP3187942B2 - 抄紙用フエルト及びその製造方法 - Google Patents

抄紙用フエルト及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抄紙機に用いる抄紙用
フエルト及びその製造方法に関し、更に詳しくは、上質
紙等の生産に使用される抄紙用フエルト及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】抄紙用フエルトは、湿紙を運ぶコンベア
としての機能をもたせ、湿紙から水を絞り取ると同時に
湿紙の面を平滑にすることが求められている。特に、上
質紙、薄葉紙等は、その特性を発揮させるために紙面に
凹凸が出ないフエルト表面が要求され、従来から表面の
緻密な、平滑なフエルトを作るべく、細い繊維を抄紙用
フエルトに用いたい要請があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、細い繊維を用
いると、カーディング工程で、これがシリンダーに付着
してしまい、膜状になってうまく剥れてこない欠陥を有
した。また、ニードリング工程では、針の径の太さと繊
維の太さとが開きすぎることにより、大きな波を打っ
て、却って平滑でなくなる不具合も生じた。そして、た
とえ上記欠点を解消して、極細繊維で抄紙用フエルトを
作ったとしても、極細繊維となれば切れ易く、また脱毛
現象等を引き起こす新たな問題もあった。更には、繊維
が細くなればなる程、抄紙用フエルトの表面は緻密にな
り、平滑度は保たれる一方で、今度は逆に通水性が低下
し、湿紙からできるだけ水を絞り取らなければならない
抄紙用フエルトの重要機能が失われることとなる。
【0004】本発明は、上記問題点を克服するもので、
通水性を保持しながら、脱毛現象も起こすことなく、緻
密な表面形成によって平滑性を高めた抄紙用フエルト及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本第1発明の抄紙用フエ
ルトは、基層と、該基層の少なくとも一方の表面に形成
された表面層と、からなり、上記基層と上記表面層はニ
ードリングにより一体化されており、上記表面層は、ニ
ードリングにより分割された分割細繊維と非分割繊維と
を含み、該分割細繊維に分割される前の分割用繊維の配
合割合が、該分割用繊維及び上記非分割繊維に対して、
40〜90重量%(以下、単に%という。)であること
を特徴とする。
【0006】ここで、「基層」とは、基布と通常のバッ
ド繊維層とから構成される繊維層をいう。「分割用繊
維」とは、ニードリングによって細い分割細繊維へ分か
れる構造をもつ複合繊維をいい、その成分、性状、断面
形状、径、分割形態等はいかなるものでもよい。例え
ば、この分割用繊維としては、第2発明に示すように断
面が円形で、4〜20デニールであり、且つ一方の材質
で構成する形状が8花弁型であり、他が略等分に8区画
された横断面扇型のものを用いることができる。この線
径が4〜20デニールであれば、本発明に係る抄紙用フ
エルトとしての優れた効果が得られる。即ち、分割用繊
維の線径が太すぎるとニードリングによる分割が進み難
く、分割細繊維として細いものが得られず、逆に分割用
繊維が細くなりすぎると、分割細繊維が切れ易く、脱毛
現象等を招き易くなる。
【0007】この分割用繊維の配合割合が40〜90%
の範囲では、通気性(通水性)を低下させずに優れた表
面平滑性を得るためであ。また、これが90%を越える
と、細かい繊維が多くなり過ぎ、カードのシリンダーに
くっつき易く、取扱いが困難となる場合があるためであ
る。「分割細繊維」とは、上記分割用繊維がニードリン
グにより機械的に剥離され、複数に分割されることによ
って径が細くなった繊維をいう。「非分割繊維」とは、
ニードリングにより分割されない通常の普通繊維をい
う。
【0008】本発明の抄紙用フエルトにおいて、上記表
面層の厚さは特に限定されないが、第3発明のように、
0.35〜1.2mmとするのが好ましい。0.2mm
未満では平滑性の向上の程度が小さく、1.2mmを越
えると細繊維層の層内剥離が起きやすく、また緻密であ
るため通水性が低下するためである。尚、本発明の抄紙
用フエルトの通気度は、10〜30cm3 /秒/cm2
とすることが好ましい。これは、プレスロール間で搾水
された水の排水能力を確保すると共に、湿紙からフェル
トへ搾り出された水が、フエルトと湿紙がプレス部から
離れる時に、フエルトから湿紙の方へ逆戻りしてしまう
再湿潤現象を抑制するのに適するからである。
【0009】本第5発明の抄紙用フエルトの製造方法
は、基材の少なくとも一方の表面に、分割用繊維40〜
90%と残部を構成する非分割繊維とからなる分割型バ
ッド繊維層を配置し、その後、少なくとも上記分割型バ
ッド繊維層(I)のみならず、該分割型バッド繊維層と
上記基材との界面部(II)を重ね貫いてニードリングし
て、上記分割用繊維を分割すると共に、上記界面部はニ
ードリングでバーブにひっかけられ下方に移動する繊維
により接合されることを特徴とする本製造方法において
も、上記と同様に種々の分割用繊維を選択使用できる
が、例えば、本第6発明に示すように分割用繊維は、断
面が円形で、4〜20デニールであり、且つ一方の材質
が8花弁型であり、他が略等分に8区画された横断面扇
型とすることができる。
【0010】
【作用】本発明に係る抄紙用フエルト及びその製造方法
によれば、基材に分割用繊維と非分割繊維とからなる分
割型バッド繊維層を配置させて、ニードリングにより上
記基材と分割型バッド繊維層とを絡合一体化して、基層
と表面層を形成する過程で、分割用繊維が分割され、徐
々に極細の分割細繊維になる。従って、フエルト表面が
緻密になるので、当初から極細繊維を使うことによるフ
エルト表面が波打つ現象もなく、表面を緻密にして紙質
の向上を図る平滑なフエルトを得ることができる。ま
た、通水性、搾水性を有する基層に、表面層が薄く形成
されているので、通水性を確保しながら、緻密に構成し
た薄い表面層によって、この表面層を通過した水分が紙
シートへ逆流する再湿潤を防止することができる。更
に、分割細繊維は、分割用繊維がニードリングによっ
て、分割されながらもなお束状のまとまりを残存させる
ので、初めから極細繊維を使用することによる脱毛現象
等を起こしにくい。
【0011】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (1)実施例1 抄紙用フエルトの製造方法 まず、基布の上下に通常のバッド繊維層を絡合一体化さ
れたものを製作準備する。これは、ニードリングにより
従来タイプの抄紙用フエルト形態をとっている。尚、基
布としては、たて糸に直径0.20mmのポリアミドモ
ノフィラメントを2本撚合せ、それをさらに3本撚合せ
たもの(糸密度8本/cm)を用い、よこ糸に直径0.
33mmのポリアミドモノフィラメント(糸密度6本/
cm)のものを使用した。平組織で一重織りとしてい
る。
【0012】そして、その上に、80%の分割用繊維と
20%の非分割繊維とからなる分割型バッド繊維層を載
置する。この分割用繊維には、大和紡績(株)製の複合
分割繊維「セパ」(品種「DFS−5」)を使用した。
この分割用繊維21は、図2のごとく断面が円形であ
り、8花弁型をした花弁部211(芯部211aも含
む。成分はポリアミド)と、他が略等分に8区画された
横断面扇型の残部212(成分はポリエステル)と、か
らなる。線径は8デニールである。この分割用繊維21
は、ニードリングで花弁部211及び残部212が各断
面形状の細繊維に分割される。そして、非分割繊維23
には、上記分割用繊維21のような特性をもたず、これ
まで抄紙用フエルトに利用されてきた通常繊維(デュポ
ン社製ナイロン、6デニール)を用いた。尚、ここで、
製品目的が異なる場合は、上記基布、バッド繊維層、分
割用繊維、非分割繊維に係る繊維の種類、性状等は自由
に変えることができる。
【0013】その後、分割型バッド繊維層と基布等を重
ね貫いてニードリングして、この分割型バッド繊維層と
通常のバッド繊維層とを、バーブにひっかけられ下方に
移動する繊維により接合すると同時に、このニードリン
グによって、分割型バッド繊維層中の分割用繊維を分割
して分割細繊維にさせた。上記ニードリング工程では、
ニードリングの針深さを浅くして、しかもニードリング
本数を多くした。分割用繊維の分割を促進させるが、一
方で、分割型バッド繊維層の層の下にある通常のバッド
繊維層、更には基布の繊維損傷を抑えるためである。具
体的には、針深さを12mm(通常は16mm)とし、
ニードリング本数を650本/cm2 (通常は350本
/cm2 )とした。使用する針は、比較的細い36番手
で、3稜の各稜に3個のバーブ(棘)、合計9個のバー
ブを有するものを用いた。そして、バーブは、稜からの
突出が小さめのものを用いた。きめ細かく、表層の分割
用繊維の分割を進めるためである。
【0014】以上より、ニードリングが進むに従い、太
い分割用繊維が機械的に分割されて、分割型バッド繊維
層のなかの分割用繊維が分割された極細の分割細繊維に
変わっていき、図1に示す、基層1と、この基層1と絡
合一体化した表面層2からなるフエルトが製作された。
初期段階のニードリングでは、分割用繊維21は太い形
態を保っているため、弾性があり、初めから極細繊維を
用いたものとは違い、表面が波状になることもなかっ
た。このように、はじめは弾性をもって凹まず、針で刺
している間に太い線径が分割され細くなっていくため、
従来の製造工程で発生する欠陥を回避しながら、うまく
所望の分割細繊維22の表面層2を形成できた。
【0015】抄紙用フエルトの構成 本フエルトの全体厚みは、実測値3.82mmで、その
中の表面層が占める厚さは0.5mm程度である。全体
の目付は、1150g/m2 で、密度は約0.301g
/cm3 である。基層1は、比較的粗く織った基布11
(目付250g/m2 )の上面に通常のバッド繊維層1
2(目付600g/m2 )が、同様に、基布11の下面
にもバッド繊維層13(目付100g/m2 )があり、
これらはニードリングによって一体化されている。表面
層2は、不織布で、分割用繊維(分割されなかったも
の)21と、分割細繊維22(分割されたもの)と、非
分割繊維(もともと分割不能のもの)23とから構成さ
れる。
【0016】分割細繊維22は、極細繊維で、基層1と
表面層2とがニードリングにより絡合される過程で、分
割用繊維21が分割されて表面層2の一部を構成するも
のである。一本の分割用繊維21から花弁部211が9
個に、残部212が8個に、分割されるので、もとの分
割用繊維21の約1/17の細い繊維が形成されること
になる。斯る分割細繊維22は、いわゆる従来の極細繊
維と異なり、各繊維が無秩序の形態はとらずに、図3の
ようにある程度の束状形態を保有する。
【0017】(2)実施例2、3及び比較例 実施例2は、分割用繊維21と非分割繊維23との配合
割合を50%対50%とした分割型バッド繊維層を用い
て表面層2を構成した。全体の目付1194g/m
2 で、厚み4.02mm、密度0.297g/cm3
外は実施例1と同じ仕様である。実施例3は、分割用繊
維21と非分割繊維23との配合割合を30%対70%
とした分割型バッド繊維層を用いて表面層2を構成し
た。全体の目付1182g/m2 で、厚み4.21m
m、密度0.286g/cm3 以外は実施例1と同じ仕
様である。本発明との対比(比較例)として、100%
非分割繊維とした表面層2を構成した。全体の目付11
45g/m2 で、厚み4.21mm、密度0.272g
/cm3 以外は実施例1と同じ仕様である。
【0018】(3)評価 本発明の抄紙用フエルトの評価結果を以下に示す。 形態 実施例1に係る抄紙用フエルト(ニードリングにより8
デニールの分割用繊維21を30〜40%を分割してい
る。)の断面形態を図4に示す(倍率;15倍)。図5
は、分割用繊維21と同じ8デニールの繊維で表面層2
を構成した抄紙用フエルト(比較例)を示す(倍率;1
5倍)。分割用繊維21が分割され、分割細繊維22と
なって、薄い表面層2(図4の上面近傍)を形成してい
るのを観察できた。次に、実施例1の表面層2の表面状
態を図6に示す。図7は、分割用繊維21と同じ8デニ
ールの非分割繊維23からなるもの(比較例)を表し
た。図6では、分割されて細くなった分割細繊維22
が、表面層2の中で略均一に分布している。図4〜図7
から判断できるように、本発明に係る抄紙用フエルトが
薄い表面層のみを緻密にして、且つ平滑性を高めている
のが確認できた。
【0019】また、実施例1に係る表面層2の拡大写真
を図8に示す(倍率;125倍)。図9は、分割用繊維
21と同じ8デニールの通常繊維(比較例)の拡大写真
を示す(倍率;125倍)。本発明の抄紙用フエルト
は、図8のごとく、分割用繊維21が分割細繊維22へ
分割されながらも、一本一本の分割細繊維22が無秩序
な形態をとらずに、ある程度の束状を維持している。そ
うして、分割細繊維22が緻密な表層を構成しているの
がみられた。尚、所々、分割されていない分割用繊維も
存在している。
【0020】摩耗性等 ところで、表層の繊維が細くなると、ロール類との摩耗
においてマイナス作用に働くが、分割用繊維21の配合
割合を80%とした場合でも、本発明に斯る抄紙用フエ
ルトでは、以下の条件で試験したところ、摩耗量が1割
程多くなったところで止まるのが観察された。 試験条件;抄造速度;820m/分、プレス荷重;92
kg/cm(面長1cm当たりの荷重=線圧)、水のシ
ヤワー圧;1.6kg/cm2 。斯る抄紙用フエルトを
用いて、紙を沙造したところ繊維の切れや脱毛、脱落に
よる不具合は殆どなかった。
【0021】通水性 実施例1、実施例2、実施例3及び100%非分割繊維
とした前記比較例について、通気度を調べた。この試験
は、JIS 1096により、フラジール型通気度試験
機を使用して行った。その結果を図10に示す。図中、
×印は、ニードリングした後ヒートセットして仕上げた
もので、未だプレスしていない状態での通気度を示す。
○印は、ニードリングした後、ヒートセットして仕上げ
たものに62kg重/cmのプレス荷重下、水のシャワ
ーをかけながら56時間運転した後での測定値である。
通水度は、通気性と正の相関関係を有する。通気度が小
さいと、湿紙からの水は、抄紙用フエルトを通過しにく
くなる。
【0022】通気度は、図10のごとく、分割用繊維2
1の割合増加と共に低下していくが、分割用繊維21が
80%でも十分満足した結果を得た。種々検討した結果
によれば、90%まで実用上問題とならなかった。90
%までは、通気度として10〜30cm3 /秒/cm2
を確保でき、湿紙からできるだけ水を絞り取る抄紙用フ
エルトとしての機能が維持された。この場合の表面層2
の厚さは、0.5〜0.6mmであった。緻密な表面層
2を薄い構造としていることから、それ程の流体抵抗と
ならないためである。
【0023】表面特性 本発明の抄紙用フエルト表面の平滑度を調べた。分割型
バッド繊維層2’とする分割用繊維21と非分割繊維2
3との配合割合を種々変化させて、表面の平滑度合を評
価した。評価方法は表面試験機( KAWABATA'S EVALUAT
ION SYSTEM-4 SURFACE TESTER KATO IRON WORKS CO.,LT
D KYOTOJAPAN )によった。抄紙用フェルト自体の表面
の摩擦係数を調べ、その表面特性(平滑性)を評価し
た。上記表面試験機の概略図を図11に示す。試験は、
摩擦子6(ステンレス製、ホッチキスの使用前の各ピン
を並べたピン状体)の下に抄紙用フェルトAを接しさ
せ、ピン状体6に50gの荷重をかけた状態(ウエイト
調整部5に5つgの重りを収納した。)で、抄紙用フェ
ルトAを左右に移動させて摩擦係数を求めた。尚、図
中、7は計測部を示す。図12は、実施例1に係る製品
(分割用繊維が80%のもの)についての摩擦係数を示
す。図13には、対比用(比較例)として、100%非
分割繊維としたものの摩擦係数を示した。
【0024】摩擦係数及びその変動は、ともに分割用繊
維が80%のものが、波形がおだやかであり、表面の凹
凸が少なく、表面性のよさがうかがえる。手による触感
テストによっても、分割型バッド繊維層中の分割用繊維
21の配合割合が、30%、50%、80%と高くなる
に従い、表面層が滑らかになっていくのを確実に感じと
れた。
【0025】(4)実施例の効果 本実施例に係る抄紙用フエルトは、フエルトの表層部の
みに含まれる分割用繊維21をニードリングによって、
分割細繊維22へ転換して緻密な構成としているので、
通水性を保有しながら、フエルト表面の平滑度を高めて
紙の地合形成を良くすることができた。そして、この緻
密な構成をとる表面層が、湿紙からフエルトへ搾り出さ
れた水がフエルトと湿紙がプレス部から離れる時に、フ
エルトから紙シートへ水分が逆流するのを阻止するの
で、再湿潤を防止でき、ドライパートでの乾燥蒸気も大
きく節約できた。
【0026】また、ニードリング過程で、分割用繊維2
1を分割細繊維22へ分割して表面層2を形成していく
ので、当初から極細繊維を用いることによる波打ち現象
の欠陥や、カード工程でシリンダーに極細繊維が付着す
る支障もみられず、円滑に製造作業を進めて、表面の平
滑な抄紙用フエルトを得ることができた。更に、表面層
を構成する分割細繊維22が、完全にバラバラな状態に
はなっておらず、分割用繊維21から分割細繊維22に
分割されてもなお束状形態を保有しているので、当初か
ら極細繊維を使用した場合に生じる脱毛現象等もみられ
なかった。そして、極細繊維を使用した場合に生じやす
い切れた極細繊維が集まり、丸まって玉状になったりす
る現象も全くなく、フエルトの品質を維持できた。
【0027】尚、本発明においては、目的、用途に応じ
て本発明の範囲内で、種々変更したものとすることがで
きる。即ち、基布11、バッド繊維層12、13、分割
用繊維21、非分割繊維22の材質、形状等は、目的や
用途に応じて適宜選択できる。例えば、基布11につい
ては、用途に応じて糸種をポリエステル等に変えてもよ
いし、糸の太さも撚合せる方は、直径0.1〜0.3m
mのものを、単糸の方は0.25〜0.5mm程度のも
のを用いてもよい。ここで、糸密度は、糸が太くなる程
小さくなる。組織も平組織に限らず、1/3 くずし織り等
でもよい。更に、本実施例のような一重織りでなく、二
重、三重織りの基布等も使用できる。また、非分割繊維
23としても、4〜20デニールのものを使用した場合
でも、良好な結果が得られる。
【0028】更に、ニードリングにより生じる分割細繊
維への分割率を更に上げれば、更に一層表面性が向上す
る。しかし、構成繊維が切れたり、密度が過大になり過
ぎたりする不具合も生じるので、適度な分割率にするの
が好ましい。表面層の厚さは、上記以外にも、0.35
〜1.2mmの範囲においても良好な結果を示す。0.
35mm未満となると分割細繊維を作っても平滑性が十
分でない場合もあり、また、1.2mmを越えると抄紙
用フエルトの流水抵抗が大きくなりすぎ、通水性が低下
する。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る抄紙用フエ
ルトは、抄紙用フエルトの重要機能である通水性は確保
しながら、平滑な表面を作り上げ紙質の向上を図ること
ができる。更に、繊維の切れや脱毛現象等を起こすこと
も少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に示す抄紙用フエルトの説明断面図で
ある。
【図2】実施例1で用いた分割用繊維の横断面図であ
る。
【図3】実施例1の表面層のなかの分割細繊維の状態を
示す説明図である。
【図4】実施例1に示す抄紙用フエルトの断面であって
繊維の形状を示す写真である。
【図5】分割用繊維を含まない抄紙用フエルトの断面で
あって繊維の形状を示す写真である。
【図6】実施例1に示す抄紙用フエルトの表面であって
繊維の形状を示す写真である。
【図7】分割用繊維を含まない抄紙用フエルトの表面で
あって繊維の形状を示す写真である。
【図8】図6の表面拡大であって繊維の形状を示す写真
である。
【図9】図7の表面拡大であって繊維の形状を示す写真
である。
【図10】分割型バッド繊維層中の分割用繊維の配合割
合と通気度との関係を示すグラフである。
【図11】表面特性に用いた表面試験機の概略説明図で
ある。
【図12】実施例1に係る製品の表面の摩擦係数を示す
グラフである。
【図13】分割用繊維を含まない抄紙用フェルトの表面
の摩擦係数を示すグラフである。
【符号の説明】
1;基層、11;基布、12;バッド繊維層、13;バ
ッド繊維層、2;表面層、21;分割用繊維、211;
花弁部、212;残部、22;分割細繊維、23;非分
割繊維、5;ウエイト調整部、6;摩擦子、7;計測
部、A;抄紙用フェルト。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基層と、該基層の少なくとも一方の表面
    に形成された表面層と、からなり、上記基層と上記表面
    層はニードリングにより一体化されており、上記表面層
    は、ニードリングにより分割された分割細繊維と非分割
    繊維とを含み、該分割細繊維に分割される前の分割用繊
    維の配合割合が、該分割用繊維及び上記非分割繊維に対
    して、40〜90重量%であることを特徴とする抄紙用
    フエルト。
  2. 【請求項2】 上記分割用繊維は、断面が円形で、4〜
    20デニールであり、且つ一方の材質で構成する形状が
    8花弁型であり、他が略等分に8区画された横断面扇型
    である請求項1記載の抄紙用フエルト。
  3. 【請求項3】 上記表面層の厚さは、0.35〜1.2
    mmである請求項1又は2記載の抄紙用フエルト。
  4. 【請求項4】 通気度が10〜30cm3 /秒/cm2
    である請求項1〜3記載の抄紙用フエルト。
  5. 【請求項5】 基材の少なくとも一方の表面に、分割用
    繊維40〜90重量%と残部を構成する非分割繊維とか
    らなる分割型バッド繊維層を配置し、その後、少なくと
    も上記分割型バッド繊維層(I)のみならず、該分割型
    バッド繊維層と上記基材との界面部(II)を重ね貫いて
    ニードリングして、上記分割用繊維を分割すると共に、
    上記界面部はニードリングでバーブにひっかけられ下方
    に移動する繊維により接合されることを特徴とする抄紙
    用フエルトの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記分割細繊維が分割される前の分割用
    繊維は、断面が円形で、4〜20デニールであり、且つ
    一方の材質で構成される形状が8花弁型であり、他が略
    等分に8区画された横断面扇型である請求項5記載の抄
    紙用フエルトの製造方法。
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