JP3186647B2 - 病原菌感染の検査用キット及びモノクローナル抗体 - Google Patents

病原菌感染の検査用キット及びモノクローナル抗体

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亮一 松瀬
壱夫 内田
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、病原菌感染の検
査用キットに関し、特に蛋白分解酵素により断片化され
たα1アンチトリプシンを検出することにより病原菌感
染を調べる検査用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】病原菌の感染は従来、喀痰や尿など感染
が疑われる部位に由来する生体試料を培養して菌を検出
する方法が主に行われてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、病原菌
を増殖させて検出する方法には、生体試料が採取された
後に外部から混入した菌が増殖してしまう偽陽性の問題
と、菌が培養開始までに死滅してしまい増殖しなくなる
偽陰性の問題がある。また、菌の培養は通常1日では結
果がでないため、治療の開始が遅れるという問題もあ
る。この発明は、これらの問題点に着目してなされたも
のであって、上記の従来の方法にかわる病原菌感染の検
査法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、病原菌に由来する蛋白分解酵素に
より断片化されたα1アンチトリプシンを測定対象とし
ている。血液からの移行あるいは組織細胞の産出などに
より組織に含まれるα1アンチトリプシンは、病原性を
示す菌に含まれるある種の蛋白分解酵素により特定の箇
所で切断され特定の形に断片化することが知られてい
る。今回、本発明者らは、病原菌に由来する蛋白分解酵
素により断片化されたα1アンチトリプシンにのみ反応
する抗体を作製し、その抗体を用いた免疫的検査法で生
体試料中の断片化されたα1アンチトリプシンを検出す
る方法を確立した。この方法は断片化されたα1アンチ
トリプシンだけにしか反応せず、未処理のα1アンチト
リプシンには反応を示さなかった(図1)。以上のごと
く、生体試料中の蛋白分解酵素により断片化されたα1
アンチトリプシンを検出することにより病原菌の感染を
調べることができる。測定に要する時間は2〜3時間で
あり、短時間で感染の判定が可能である。本法において
も、生体試料が採取された後に外部から混入した菌が増
殖してしまう偽陽性の問題点が存在するが、これは、生
体試料採取後に細菌プロテアーゼに対する強力な阻止剤
を添加することにより回避できる。抗体を得るための抗
原としての断片化α1アンチトリプシンを作製する方法
としては、血清などから精製されたα1アンチトリプシ
ンを蛋白分解酵素で限定的に分解して、蛋白断片を得る
方法、あるいはα1アンチトリプシンが限定的に分解さ
れたときに生じるペプチドをアミノ酸から合成する方法
などがある。また、測定対象の生体試料としては喀痰、
尿、歯周ポケット部プラーク、唾液など、病原菌感染の
考えられる部位由来試料が利用できる。
【0005】
【実施例】
1.抗ヒト断片化α1アンチトリプシンモノクローナル
抗体の作製法 〔抗原の調整〕 血清などから精製されたα1アンチトリプシンを蛋白分
解酵素で限定的に分解して、抗原としての断片化α1ア
ンチトリプシンを精製する。ここで、蛋白分解酵素は、
検査対象となる病原菌に由来するものであり、典型的に
は、下表のような関係が成立する。
【0006】
【表1】
【0007】また、α1アンチトリプシンが上記の各蛋
白分解酵素によって分解されたときに生じるペプチド
を、アミノ酸から合成して抗原として使用しても良い。
なお、以降に説明する実施例は、抗原として緑膿菌産生
のアルカリプロテアーゼで断片化したα1アンチトリプ
シンを使用したものであり、その結果、図1に示す反応
特性が得られた。 〔動物への免疫〕 これらの抗原をリン酸緩衝生理食塩液で1mg/ml 溶液と
なるように調整し、この溶液とフロインドアジュバンド
を等量混合して得られるエマルジョンを、6週令のマウ
ス(Balb/C系マウス)の腹腔内に500μl投与し
た。この作業を2週間おきに計3回免疫を行った。 〔細胞融合〕 最終免疫後4日目にこのマウスの脾臓から採取した脾リ
ンパ球細胞をマウス骨髄腫細胞(P3-X63-Ag8-U1)と融合
させた。融合方法は50%ポリエチレングリコール40
00溶液を融合促進剤として用い、融合促進剤の添加、
混合及び希釈の各操作からなる融合時間を10分間、3
7℃で行った。次に、HAT培地(ヒポキサンチン・ア
ミノプテリン・チミジン・10%ウシ胎児血清を含むR
PMI培地)に融合終了後の融合細胞を分散させ、つい
で、10枚の96穴マイクロプレートの各ウエルに20
0μl分注し、37℃、5%炭酸ガス存在下で培養し
た。 〔抗ヒト断片化α1アンチトリプシンモノクローナル
抗体産生ハイブリドーマの選択及び単一化〕 約1週間後、各ウエルのHAT培地を100μl吸引
し、HT培地(ヒポキサンチン・チミジン・10%ウシ
胎児血清を含むRPMI培地)を各ウエルに分注し、2
〜3日後、抗体産生ハイブリドーマの選択を行った。選
択方法は、断片化α1アンチトリプシンを固定化した9
6穴マイクロプレートに、各ウエルのハイブリドーマ形
成コロニーの培養上清を100μl分注して反応させ、
ついで洗浄後、ペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグ
ロブリン抗体を100μl添加し、反応後洗浄を行い目
的とする抗体をペルオキシダーゼ活性にて検出した。次
に、抗体産生を示したコロニーを回収し、限界希釈法に
てハイブリドーマの単一コロニーを得るようにクローニ
ングを行った。その方法は、回収したコロニーをHT培
地で希釈し、96穴マイクロプレートの各ウエルにハイ
ブリドーマがウエル当たり1個以下となるようにフィー
ダー細胞と共に散布した。以上の操作を2回行い、モノ
クローン化された抗ヒト断片化α1アンチトリプシン抗
体産生ハイブリドーマを得た。 〔抗ヒト断片化α1アンチトリプシンモノクローナル
抗体の腹水化〕 8週令のマウス(Balb/C系マウス)の腹腔内にプリス
タン(免疫抑制剤)を投与した。3〜7日後に抗体産生
ハイブリドーマを腹腔内に投与し、約7日後にマウスの
腹腔から腹水化された抗体を回収した。 〔抗体の精製〕 腹水化して得られた抗体を50%硫酸アンモニウムで2
回塩析分離を行い、リン酸緩衝生理食塩液にて透析して
精製した。
【0008】2.酵素免疫法による歯周プラーク中の病
原菌の検出 〔マイクロプレートへの抗体の固相化〕 マイクロプレートの各ウェルに抗断片化α1アンチトリ
プシン抗体5μg/mlを含むトリス−塩酸緩衝液(0.05M p
H8.4) を 100μl ずつ分注し、一夜4℃で放置して抗体
を物理吸着の原理でウェルに固相化する。 〔酵素標識抗体の調製〕 別途、過ヨーソ酸法により、アルカリホスファターゼを
抗α1アンチトリプシン抗体に標識して調製する。 〔歯周ポケット試料の採取〕 濾紙片を歯周ポケットに差し込み、歯周ポケット成分を
染み込ませ、容器中で0.1%の牛血清アルブミンを含む
トリス−塩酸緩衝液(0.05M pH7.5) を用いてα1アンチ
トリプシンを抽出する。 〔歯周ポケット中α1アンチトリプシンの測定〕 各ウェルに歯周ポケット抽出サンプルを 100μl 分注
し、混和した後、37℃で1時間反応させる。次にマイク
ロプレートをTween 20を0.05%含むトリス−塩酸緩衝液
(0.05M pH7.5) で3回洗浄する。その後、酵素標識抗α
1アンチトリプシン抗体 2.5μg/mlおよび1%の牛血清
アルブミンを含むトリス−塩酸緩衝生理食塩水(0.1M pH
8.0)を 100μl ずつ分注し、混和した後、37℃で1時間
反応させる。次にマイクロプレートをTween 20を0.05%
含むトリス−塩酸緩衝液(0.05M pH7.5) で3回洗浄す
る。その後、 Kind-King法の基質緩衝液 100μl を各ウ
ェルに加え、37℃で30分間反応させる。ここで基質緩衝
液は、Disodium Phenyl phosphate 0.215gと4-aminoant
ipyrine 0.09g を炭酸緩衝液(0.05M pH10.15) 100ml に
溶解したものである。次いで、 100μl の呈色液を各ウ
ェルに加えて、呈色させる。ここで呈色液は、200ml の
脱イオン水に2.6gのホウ酸を溶解させた後、0.38g のPo
tassium Ferricyanideを溶解させたものである。最後
に、各ウェルの呈色をマイクロプレート用比色計を用い
て510/630nm の波長で比色し検量線から歯周ポケット中
断片化α1アンチトリプシン濃度を算出する。
【0009】
【発明の効果】以上説明したように、生体試料中の断片
化α1アンチトリプシンを測定すれば、簡便に病原菌の
感染を調べることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法による反応特性を図示したものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/569 G01N 33/569 D 33/577 33/577 B (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/009 - 1/62 BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 病原菌由来の蛋白分解酵素により断片化
    されたα1アンチトリプシンを検出することを特徴とす
    る病原菌感染の検査用キット。
  2. 【請求項2】 酵素免疫法やラテックス凝集反応などの
    免疫学的測定法を用いることを特徴とする請求項に記
    載の病原菌感染の検査用キット。
  3. 【請求項3】 マウス骨髄腫細胞と、病原菌由来の蛋白
    分解酵素により断片化されたα1アンチトリプシンで免
    疫された哺乳類の脾臓細胞とを融合させて得られるハイ
    ブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体であっ
    て、 α1アンチトリプシンには反応せず、前記蛋白分解酵素
    により断片化されたα1アンチトリプシンに特異的に反
    応し、 喀痰、尿、歯周ポケット部プラーク、または唾液中の断
    片化されたα1アンチトリプシンを免疫学的測定法によ
    って認識できることを特徴とするモノクローナル抗体。
JP14096397A 1997-05-14 1997-05-14 病原菌感染の検査用キット及びモノクローナル抗体 Expired - Fee Related JP3186647B2 (ja)

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Agents and Actions,Vol.7,No.2,p.249−250(1977)

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