JP3183131B2 - 端子金具矯正板用取外具 - Google Patents

端子金具矯正板用取外具

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JP3183131B2
JP3183131B2 JP28213695A JP28213695A JP3183131B2 JP 3183131 B2 JP3183131 B2 JP 3183131B2 JP 28213695 A JP28213695 A JP 28213695A JP 28213695 A JP28213695 A JP 28213695A JP 3183131 B2 JP3183131 B2 JP 3183131B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、多極コネクタに
装備される端子金具矯正板を、ハウジングから取り外す
際に用いられる取外具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえばワイヤーハーネスは、構成要素
として多数の電線を含んでおり、これらの電線は、所定
本数ごとに予めグループ分けされて複数の電線束に形成
されている。各電線束の端部には、通常、コネクタが取
り付けられる。このコネクタは、各電線端に圧着される
端子金具と、これらが装着されるハウジングとを有して
いる。ハウジングには、各端子金具に一対一に対応する
端子挿入孔が形成されており、各端子金具は、対応する
端子挿入孔にハウジングの後端面側から挿入装着される
ようになっている。ハウジングに装着された端子金具
は、ハウジングの後端面からハウジング内に突出した状
態で配置されるようになっている。また、コネクタに
は、雄型と雌型のものがあり、雄・雌の一対のコネクタ
同士が嵌合されることによって、雄型コネクタに装着さ
れた端子金具と雌型コネクタに装着された端子金具とが
接触し、これにより、両者間の電気的接続が達成され
る。
【0003】コネクタの中には、極めて多数の端子金具
が装着される多極コネクタと称されるものがある。多極
コネクタの場合、雄・雌のコネクタ同士を良好に嵌合さ
せることは一般に容易でない。詳しく説明すると、雄・
雌の多極コネクタ同士を良好に嵌合させるには、雄型コ
ネクタに含まれる個々の端子金具の位置を、これらに対
応する雌型コネクタ側の端子金具の位置にすべて合致さ
せなければならない。一方、各端子金具は、完全に固定
された状態で装着されているものではなく、構造上若干
の遊びをもって装着されている。
【0004】従って、端子金具が多数含まれる場合に
は、個々の端子金具が僅かに位置ずれを起こした場合で
あっても、すべての端子金具の位置合わせを行うのは非
常に難しくなる。特に、多極コネクタでは、各端子金具
は細くて小さいものが使用されているので、なおさら位
置合わせが困難である。その結果、雄・雌のコネクタ同
士を良好に嵌合させることは容易でなくなる。なお、端
子金具が位置ずれを起こす原因としては、このコネクタ
が含まれるワイヤーハーネスの搬送中に、振動等によっ
てずれたり、変形してしまうということが考えられる。
【0005】このような事情から、多極コネクタには、
端子金具の位置決めをしておくための端子金具矯正板が
装着されたものがある。図8は、このような端子金具矯
正板が設けられたコネクタCの分解斜視図である。同図
を参照して、コネクタCは、多数の端子金具1を含む雌
型の多極コネクタである。個々の端子金具1は、ハウジ
ング2の後端面側から挿入され、ハウジング2内で前端
面2a側に片持ち状に突出している。参照符号3は、端
子金具矯正板を示している。端子金具矯正板3は、ハウ
ジング2の前端面2a側からハウジング2内にぴったり
と嵌め込むことができるようになっている。
【0006】図9に示すように、端子金具矯正板3をハ
ウジング2の内周面に沿わせて押し込むと、各端子金具
1は、端子金具矯正板3に設けられた位置決め孔3aに
挿通され、(図9では、簡略化のため、一の端子金具1
のみ図示しているが、実際には、各位置決め孔3aから
端子金具が突出する)その先端付近が保持される。これ
により、各端子金具1は、位置ずれを起こすことなく正
確に位置決めがなされる。その結果、コネクタCを含む
ワイヤーハーネスを搬送する場合においても端子金具1
の位置ずれ等が生じず、当該コネクタCを相手方の雄型
コネクタに接続する際に、両コネクタ同士を良好に嵌合
させることができる。
【0007】端子金具矯正板3について詳しく説明する
と、端子金具矯正板3には、図8に示すような一対のア
ーム4が形成されている。このアーム4には、端子金具
矯正板3の嵌合方向に沿って延びる貫通溝4aが設けら
れている。図9に示すように、端子金具矯正板3がハウ
ジング2内に嵌め込まれると、ハウジング2の内面に突
設された突起2cと貫通溝4aとが係合し、且つアーム
4の先端面とハウジング2の内面に突設された突起2b
とが当接するようになっている。
【0008】突起2cと貫通溝4aとが係合することに
よって、図9に示す位置に端子金具矯正板3が仮止めさ
れ、不必要にハウジング2の内奥部へ入り込むのを防止
している。また、アーム4の先端面と突起2bとが当接
することによって、端子金具矯正板3がハウジングから
抜け出てしまうことを防止している。つまり、ワイヤー
ハーネスの搬送中において、確実に端子金具1の先端付
近を保持しておくことができる。
【0009】コネクタCが実際に現場で嵌合される際に
は、端子金具矯正板3が装着されたままで嵌合される。
すなわち、コネクタCを嵌合させた際には、端子金具矯
正板3は、コネクタCの相手方のコネクタによって仮係
止が外されハウジング2の内奥側へさらに押し込まれる
ようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、端子金具矯
正板3をハウジング2に嵌め込む際に、端子金具1がハ
ウジング2に正確に挿入されていない場合、たとえば、
端子金具1が少し斜めに傾いた状態で挿入されている場
合等には、端子金具矯正板3を押し込んでも、当該端子
金具1は、これに対応する位置決め孔3aに入らない。
かかる場合に、無理に端子金具矯正板3を押し込むと、
端子金具1に損傷を与えてしまうので、端子金具1を正
確に装着しなおさなければならない。このため、一旦端
子金具矯正板3を抜き取る必要がある。
【0011】ところが、端子金具矯正板3は、ハウジン
グ2内にぴったりと嵌まり込んでいるから、端子金具矯
正板3を素手で抜き取るのは容易でない。従って、上述
のような端子金具1の装着不良があれば、作業者は、非
常に面倒な作業を強いられることとなっていた。そこ
で、この発明の目的は、このような多極コネクタに装備
される端子金具矯正板をハウジングから簡単に抜き取る
ことができる端子金具矯正板用取外具を提供することで
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
ため、請求項1に係る端子金具矯正板用取外具は、前端
面側に開口されたキャビティを有し、キャビティに連通
する多数の端子挿入孔が後端面に形成されたハウジング
と、後端面側から各端子挿入孔にそれぞれ挿入され、キ
ャビティ内で前端面側に突出した状態で装着された多数
の端子金具と、外周面がキャビティの内周面に当接した
状態でキャビティ内に嵌め込むことができ、各端子金具
に一対一に対応して多数形成された位置決め孔を有する
端子金具矯正板とを備え、端子金具矯正板の対向する
部には、端子金具矯正板の外周面と略面一状態で一対
弾性アームが立設され、キャビティの内面には、弾性ア
ームに係合して端子金具矯正板がキャビティから抜け出
るのを防止する第1の突起が形成されているコネクタに
適用される取外具であって手で把持することができ、
一方の挿入部材が連結される第1の部分と、他方の挿入
部材が連結される第2の部分とを有する把持部材と、上
記一方および他方の挿入部材同士を相対的に接離させる
接離機構であって、上記第1の部分または第2の部分の
いずれか一方に設けられ、両挿入部材の対向方向に沿っ
て形成されたスライドベースと、上記第1の部分または
第2の部分のいずれか他方に設けられ、スライドベース
に沿って所定量移動可能なスライダと、スライドベース
とスライダとの間に介在され、両挿入部材を常時離反さ
せる方向に付勢する付勢部材とを有する接離機構とを有
し、上記2つの挿入部材は、端子金具矯正板の一対の弾
性アームに対応するように対向配置されて対をなし、
子金具矯正板が第1の突起によって抜け出ないように
止めされた状態のときに、各挿入部材は弾性アームとキ
ャビティの内面との間に挿入することによって弾性アー
ムを弾性変形させ、弾性アームと第1の突起との係合を
解除し得るものであり、挿入部材が挿入されたときに、
上記第1の突起との係合が解除された弾性アームに係合
し得るロック部材が各挿入部材に備えられていることを
特徴とするものである
【0013】
【0014】本発明の目的を達成するため、請求項2に
係る端子金具矯正板用取外具は、請求項1記載の端子金
具矯正板用取外具において、少なくとも上記挿入部材の
先端部分は、キャビティの内面に沿わされる第1の平面
と、当該第1の平面に対して背中合わせに設けられ、第
1の平面がキャビティ内に進入するに伴って弾性アーム
に摺接し、弾性アームを弾性変形させるテーパ面とを含
むくさび状に形成されており、上記ロック部材は、上記
テーパ面と交差する方向で且つテーパ面から凹む方向に
形成された第2の平面を含んでいることを特徴とする。
【0015】この構成によれば、次の作用を奏する。
持部を手で把持し、挿入部材をキャビティの内面に沿わ
せながらキャビティと端子金具矯正板との間に押し込
む。これにより、弾性アームを変形させて第1の突起と
の係合を解除すると共に、ロック部材が弾性アームに係
合する。この状態で、把持部を引っ張れば、キャビティ
から端子金具矯正板を抜き取ることができる。より具体
的には、第1の平面をキャビティの内面に沿わせて挿入
部材の先端部分をキャビティと端子金具矯正板との間に
押し込むと、キャビティ内面と端子金具矯正板との間に
くさびを挿入したと同様の状態となる。すなわち、テー
パ面が弾性アームを押圧して弾性変形させ、弾性アーム
と第1の突起との係合を外すことができる。また、この
とき、第2の平面は、係合が解除された弾性アームと係
合する。従って、このまま把持部を引っ張れば、キャビ
ティから端子金具矯正板を抜き取ることができる。
【0016】
【0017】えて、挿入部材同士を接離させることが
できるから、挿入部材によって一対の弾性アームを挟み
込むことができる。これにより、キャビティから端子金
具矯正板を抜き取る作業がしやすい。
【0018】
【0019】、一方の挿入部材を対応する一方の弾
性アームに係合させ、他方の挿入部材を対応する他方の
弾性アームに係合させたうえで把持部材を握ると、スラ
イダとスライドベースを介して両挿入部材が接近する。
これにより、各挿入部材は、それぞれ対応する弾性アー
ムを押圧した状態で弾性アームに確実に係合することが
できる。従って、端子金具矯正板を抜き取る際に、挿入
部材と弾性アームとの係合が外れるのを防止することが
できる。しかも、付勢部材により、端子金具矯正板を抜
き取った後、手を離すことにより、自動的に両挿入部材
が離反する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、この発
明の一実施形態に係る端子金具矯正板取外具(以下、
「取外具」という。)Aの斜視図であり、図2は、分解
斜視図である。また、図3は、この取外具Aを用いてコ
ネクタ500から端子金具矯正板(以下、「矯正板」と
いう。)530を抜き取る作業を示す斜視図である。
【0021】図3を参照して、本実施形態の特徴とする
ところは、素手では、取り外しが極めて困難である矯正
板530を、取外具Aを用いて簡単に取り外すことがで
きる点にある。すなわち、取外具Aの挿入板200,3
00をキャビティ520の内面に沿わせて下方へ挿入す
ることにより、挿入板200,300を矯正板530に
引っ掛けて上方へ引き抜くことができるようになってい
る。
【0022】(1) 取外具の構造の説明 以下、取外具Aについて詳しく説明する。図1を参照し
て、この取外具Aは、作業者が手で把持することのでき
る把持部100と、把持部100に設けられ、対向配置
された一対の挿入板200,300と、対向した挿入板
200,300同士を白抜き矢印の方向に沿って接離さ
せる接離機構400とを有しいる。なお、本実施形態で
は、把持部100を把持しやすいように、握り玉130
が取り付けられている。
【0023】図2を参照して、把持部100は、二分割
されており、第1ブロック110と第2ブロック160
とを有している。第1ブロック110は、たとえば合成
樹脂で構成することができ、略直方体状に形成されてい
る。第1ブロック110の上面111には、上下に貫通
する貫通孔112が設けられている。この貫通孔112
は、上記握り玉130を取り付けるためのものである。
すなわち、握り玉130には、軸140が連結れてお
り、この軸140の下端部分には、雄ねじ141が形成
されている。そして、軸140を貫通孔112に貫通さ
せ、下方からナットNを締め込むことにって握り玉13
0を第1ブロック110に締結固定することができるよ
うになっている。なお、この軸140は、後に詳述する
が、接離機構400の構成要素の一つとなっている。
【0024】第1ブロック110の左側面113には、
凹部114が形成されており、この凹部114の底面部
には、雌ねじが形成されたねじ孔115が設けられてい
る。このねじ孔115は、挿入板300を固定するため
のものである。また、第1ブロック110の内部には、
横穴116が設けられている。この横穴116は、第2
ブロック160のスライダ162をスライド支持するた
めのスライドベースを構成している。横穴116は、第
1ブロック110の右側面に開口117を有している。
また、横穴116は、上記貫通孔112と連通してい
る。このため、軸140を貫通孔112に貫通させる
と、横穴116をも貫通するようになっている。さら
に、横穴116の内底面に連続して、ばね収容室118
が設けられている。このばね収容室118は、横穴11
6からさらに内奥側に向かって形成されており、後述す
るばね410の一端側を収容保持することができるよう
になっている。なお、上記横穴116は、接離機構40
0の構成要素の一つである。
【0025】第2ブロック160は、第1ブロック11
0と同様に、たとえば合成樹脂で構成することができ、
略直方体状に形成されている。第2ブロック160の右
側面には、凹部167が形成されており、この凹部16
7の底面部には、第1ブロック110に設けられたねじ
孔115と同様のねじ孔(図示せず)が設けられてい
る。このねじ孔は、挿入板200を固定するためのもの
である。
【0026】第2ブロック160の左側面161には、
上記スライダ162が突設されている。なお、このスラ
イダ162は、第2ブロック160と一体的に形成する
ことができる。スライダ162は、角柱状をしており、
上記横穴116にぴったりと嵌め込むことができるよう
になっている。すなわち、スライダ162は、がたつき
が生じることなく、円滑にスライドベースである横穴1
16に沿ってスライドできるようになっている。
【0027】スライダ162の先端面163には、上記
ばね収容室118と同様の凹部164が設けられてい
る。この凹部164は、上記ばね410の他端部を収容
保持することができるようになっている。また、スライ
ダ162の上面165には、上下に貫通する貫通溝16
6が設けられている。この貫通溝166は、スライダ1
62の長手方向に沿って所定長さだけ延びている。
【0028】つまり、第1ブロック110と第2ブロッ
ク160とは、次のようにして連結することができる。
先ず、第2ブロック160側のスライダ162を、第1
ブロク110側の横穴116に挿入する。スライダ16
2を所定量挿入すると、貫通孔112と貫通溝166と
の位置が合致する。このときに、軸140を第1ブロッ
ク110の上方から挿通する。軸140は、貫通孔11
2および貫通溝166を貫通し、下方からナットNをか
ける。これにより、第2ブロック160は、第1ブロッ
ク110と連結され、第2ブロック160は、貫通溝1
66の長さ分だけスライドすることができる。
【0029】挿入板300は、平板により構成されてお
り、幅広の取付部310と、取付部310の下方に延設
された挿入部320とを有している。取付部310に
は、ねじ挿通孔311が設けられている。このねじ挿通
孔311にねじB1が挿通されて、第1ブロック110
に設けられたねじ孔115にねじ込まれている。これに
より、挿通板300は、第1ブロック110の左側面1
13に締結固定されている。
【0030】挿入部320は、取付部310の幅が狭め
られることにより構成されている。図4は、挿入部32
0の先端部分の拡大斜視図である。図4を参照して詳し
く説明すると、挿入部320の先端部分は、くさび状に
形成されている。つまり、この先端部分は、上下に延び
る第1の平面としての鉛直面321と、この鉛直面32
1に鋭角的に(背中合わせに)交差するテーパ面322
と、テーパ面322に連続し、鉛直面321側(テーパ
面322に交差方向で且つテーパ面322から凹む方
向)に延びる第2の平面としての水平面323とを有し
ている。
【0031】再び図2を参照して、挿入板200は、挿
入板300と同様の構成であり、取付部210と挿入部
220とを有している。挿入部220の形状は、挿入板
300の挿入部320と同様にくさび状に形成されてい
る。すなわち、図4を援用して説明すると、挿入部22
0は、第1の平面としての鉛直面(221)と、この鉛
直面(221)に鋭角的に交差するテーパ面(222)
と、テーパ面(222)に連続する第2の平面としての
水平面(223)とを有している。なお、これら鉛直面
321(221),テーパ面322(222)および水
平面323(223)の作用効果については、後述す
る。
【0032】図2を参照して、接離機構400は、第2
ブロック160に設けられたスライダ162と、第1ブ
ロック110に設けられたスライドベースとしての横穴
116と、握り玉130に連結された軸140と、スラ
イダ162と横穴116との間に介在されたばね410
とを有している。上述したように、スライダ162は、
横穴116にスライド自在に挿入されており、軸140
が貫通孔112および貫通溝166に貫通している。こ
の状態で、ばね410は、横穴116の内奥にあるばね
収容室118とスライダ162の先端にある凹部164
との間に配置される。従って、第1ブロック110と第
2ブロック160とは、常時離反する方向に弾性付勢さ
れている。すなわち、両挿入板200,300間の距離
は、第1ブロック110と第2ブロック160とを相対
的にスライドさせることによって変えることができる
が、常時は、ばね410の弾性力によって互いに離反し
た位置に配置されている。
【0033】(2) 作用・効果 次に、この取外具Aを用いて矯正板500を取り外す作
業について、取外具Aの作用効果と共に説明する。図3
および図5を参照して、先ず、矯正板530が嵌め込ま
れたコネクタ500について説明する。
【0034】このコネクタ500は、多極の雌形コネク
タであって、ハウジング510と、ハウジング510の
後面側から(図3,図5では、下方側から)挿入挿着さ
れた極めて多数の端子金具540と、ハウジング510
の前面側から(図3,図5では、上方側から)嵌め込ま
れた矯正板530とを有している。図5に注目して、ハ
ウジング510は、前面側(図3,図5では、上面側)
に開口されたキャビティ520を有し、後面側からキャ
ビティ520に連通する極めて多数の端子挿入孔521
が形成されている。これら各端子挿入孔521に上記各
端子金具540が下方から挿入されており、各端子金具
540は、片持ち状にキャビティ520内に突出してい
る。なお、図3および図5では、端子金具540は、簡
略化のため3本のみ図示しているが、実際は、各端子挿
入孔521に端子金具540が挿入されている。
【0035】参照符号511は、矯正板530の位置決
め棒であり、ハウジング510に合計6本立設されてい
る。また、参照符号512は、締結ボルトが挿通される
ボルト挿通筒である。ボルト挿通筒512についてさら
に説明すると、本コネクタ500には、端子金具540
が極めて多数挿着されているから、本コネクタ500を
相手方のコネクタに嵌合させるには、相当の嵌合力が必
要である。従って、作業者が、通常のコネクタを嵌合さ
せるように手で容易に嵌合させることはできない。この
ため、本コネクタ500は、相手方のコネクタと締結ボ
ルトを用いて締結され、その締結力によって嵌合される
ようになっている。上記ボルト挿通筒512は、その締
結ボルトを挿通させるためのものである。
【0036】参照符号513は、キャビティ520の内
面に突設された第1の突起であり、参照符号514は、
キャビティ520の内壁面に突設された第2の突起であ
る。第1および第2の突起513,514は、対向する
内壁面にそれぞれ一対づつ形成されている。矯正板53
0は、略平板状のもので、キャビティ520内にぴった
りと嵌め込むことができる。矯正板530には、各端子
金具540に一対一に対応する位置決め孔531が多数
形成されている。各位置決め孔531には、これらに対
応する端子金具540が挿入される。すなわち、図3に
示すように、矯正板530が嵌め込まれた状態では、各
端子金具540の先端部が各位置決め孔531から突出
し、その位置ずれを防止することができる。
【0037】また、図5に示すように、矯正板530
は、第1弾性アーム532と第2弾性アーム533とを
有している。これら第1および第2弾性アーム532,
533は、矯正板530と一体的に形成されており、矯
正板530から上方に突出されている。なお、本実施形
態では、第1および第2弾性アーム532,533は、
それぞれ対向した状態で一対づつ形成されており、これ
らは、矯正板530の縁部に、矯正板530の外周面と
略面一状態で形成されている。
【0038】なお、矯正板530には、孔535および
孔536が形成されている。矯正板530を嵌め込む
と、上記位置決め棒511が孔535を貫通し、上記ボ
ルト挿通筒512が孔536を貫通するようになってい
る。図5の状態から白抜き矢印に沿って矯正板530を
嵌め込むと、図3に示す状態となる。詳しく説明する
と、矯正板530を上方から嵌め込んでゆくと、第1弾
性アーム532は、第1の突起513に当接することに
よって内側に弾性変形される。一方、第2弾性アーム5
33は、矯正板530が所定量押し込まれると、第2の
突起514と当接する。このとき、第1弾性アーム53
2は、第1の突起513を乗り越え、これにより、上記
弾性変形が復元される。
【0039】その結果、第1弾性アーム532の上面と
第1の突起513の下面とが当接し、矯正板530がキ
ャビティ520から抜け出てしまうのを防止することが
できると共に、第2弾性アーム533と第2の突起51
4の上面とが当接し、矯正板530がこれ以上下方へ移
動しないように、仮止めをすることができる。このよう
に、矯正板530が仮止め状態にあるときは、端子金具
540の先端部の位置ずれが防止され、端子金具540
は、確実に位置決めされる。
【0040】なお、第2弾性アーム533は、対向する
一対の板部材からなっており、図3の状態から矯正板5
30を強く下方へ押し込むと、第2弾性アーム533と
第2の突起514との係合が外れて、矯正板530は、
さらに下方へ移動することができるようになっている。
つまり、当該コネクタ500を相手側のコネクタと嵌合
させると、相手方のコネクタによって押された矯正板5
30は、図3の位置からさらに下方へ移動し、これによ
り、両コネクタが良好に嵌合することができるようにな
っている。
【0041】次いで、矯正板500を取り外す作業につ
いて説明する。 図3を参照して、取外具Aの把持部100を手で把
持し、挿入板200,300をキャビティ520の内面
に沿わせながら、当該内面と矯正板530との間、すな
わち、キャビティ520の内面と第1弾性アーム532
との間に上方から押し込む。これにより、第1弾性アー
ム532を押し退けた状態で変形させることができ、第
1弾性アーム532と第1の突起513との係合を解除
することができる。一方、このとき、挿入板200,3
00の水平面223(図4参照)が、第1弾性アーム5
32に係合する。
【0042】 この状態で、把持部100を上方へ引
っ張れば、キャビティ520から矯正板530を抜き取
ることができる。このように、挿入板200,300を
キャビティ520の内面と矯正板530との間に押し込
んで引き抜くだけで、簡単且つ容易に矯正板530を抜
き取ることができる。特に、本実施形態では、具体的に
以下の作用効果を奏する。
【0043】 図6は、挿入板200の挿入部220
がキャビティ520の内面525と第1弾性アーム53
2との間に挿入される直前の状態を示した要部斜視図で
あり、図7は、挿入部220がキャビティ520の内面
525と第1弾性アーム532との間に挿入された状態
を示す要部斜視図である。これらの図を参照しながら、
挿入部220が第1弾性アーム532と係合する動作に
ついて詳しく説明する。
【0044】図6を参照して、挿入板200を挿入する
際には、挿入部220鉛直面221(図4参照)をキャ
ビティ520の内面525に沿わせながら白抜き矢印の
方向に押し込む。これにより、キャビティ520の内面
525と第1弾性アーム532との間にくさびを挿入し
たと同様の状態となる。すなわち、図7を参照して、挿
入部220のテーパ面222(図4参照)が第1弾性ア
ーム532を押圧して内側へ(矢印の方向へ)弾性変形
させ、第1弾性アーム532と第1の突起513との係
合を外すことができる。また、このとき、水平面223
は、係合が解除された第1弾性アーム532と係合す
る。挿入板300の挿入部320についても、上記挿入
部220の動作と同様の動作をする。従って、図7の状
態から把持部100を上方へ引っ張れば、キャビティ5
20から矯正板530を抜き取ることができる。
【0045】このように、第1弾性アーム532と第1
の突起513との係合解除および第1弾性アーム532
と挿入板200との係合を、挿入板200の先端部分、
すなわち挿入部220の形状を工夫することによって実
現したので、取外具Aの構造を極めて簡単にすることが
できる。その結果、取外具Aをコスト安価に提供するこ
とができる。
【0046】 また、図3を参照して、本実施形態で
は、一対の挿入板200,300が設けられているか
ら、弾性アームが対向して一対設けられているコネクタ
に適している。つまり、本実施形態に係るコネクタ50
0は、矯正板530を図3に示す所定の位置に確実に仮
止めしておくために、一対の弾性アーム(第1弾性アー
ム532,第2弾性アーーム533)が設けられている
が、このようなタイプのコネクタ500に対して、各挿
入部材200,300をキャビティ520の内面525
と矯正板530との間に挿入することによって、上記一
対の弾性アーム532,533の係合を同時に外して簡
単に抜き取ることができる。
【0047】 さらに、挿入部材200,300同士
を接離させることができるから、各挿入部材200,3
00によって一対の弾性アームを532,533挟み込
むことができる。これにより、キャビティ520から矯
正板530を抜き取る作業がしやすい。詳しく説明する
と、挿入板200を一方の第1弾性アーム532に係合
させ、挿入板300を他方の第1弾性アーム533に係
合させて、把持部100を握ると、第1ブロック110
と第2ブロック160が相対的にスライドし、両挿入板
200,300が接近する。これにより、作業者は、各
挿入板200,300を介して第1弾性アーム532,
533を所望の力で把持することができ、各挿入板20
0,300と第1弾性アーム532,533とを確実に
係合させることができる。従って、矯正板530を抜き
取る際に、挿入板200,300と第1弾性アーム53
2,533との係合が外れるのを防止して、抜き取りミ
スを無くすことができる。しかも、作業者が把持部10
0から手を離すことによって、自動的に両挿入板20
0,300が離反するから、連続して矯正板530の抜
取作業をする場合であっても、円滑に行うことができる
という利点がある。
【0048】なお、この発明は上記実施形態に限定され
るものではなく、取外具Aの挿入板200,300の数
は、コネクタの種類に応じて変更することができる。す
なわち、単一の第1弾性アーム532が設けられている
コネクタに対しては、単一の挿入板を設ければ良いし、
多数の第1弾性アーム532が設けられているコネクタ
に対しては、これに対応する挿入板を多数設けることが
できる。その他、この発明の範囲内で種々の設計変更を
施すことができる。
【0049】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、挿入部材
によって一対の弾性アームを挟み込むことができるか
ら、一対の弾性アームを有する端子金具矯正板であって
も簡単に抜き取ることができる。 特に、作業者が把持部
材を握ることによって、一対の弾性アームを挟み込む力
を自在に調整することができ、弾性アームを挿入部材に
よって確実に挟み込むことができる。これにより、端子
金具矯正板を抜き取る際に、挿入部材と弾性アームとが
外れてしまうのを防止でき、端子金具矯正板の抜き取り
ミスを無くすことができる。しかも、作業者が把持部材
から手を離すことによって、自動的に両挿入部材が離反
するから、連続して端子金具矯正板の抜取作業をする場
合であっても、円滑に行うことができる。つまり、把持
部材を手で把持して挿入部材をキャビティの内面と端子
金具矯正板との間に挿入し、このまま引き抜くだけで、
簡単且つ容易に端子金具矯正板を抜き取ることができ
る。
【0050】請求項2に係る発明によれば、請求項1に
係る発明と同様の効果を奏する。加えて、挿入部材の先
端部分を、平板を加工してその形状を工夫することによ
って構成した。すなわち、弾性アームの係合を解除する
テーパ面と、弾性アームを引っ張るための面とを含むく
さび状に形成したので、当該端子金具矯正板用取外具の
構造が極めて簡単であり、コスト安価に提供することが
できる。
【0051】
【0052】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る取外具の斜視図であ
る。
【図2】取外具の分解斜視図である。
【図3】取外具を用いてコネクタに含まれる矯正板を抜
き取る作業を示す斜視図である。
【図4】挿入板の挿入部の要部斜視図である。
【図5】本実施形態に適用される多極雌型コネクタの分
解斜視図である。
【図6】挿入板の挿入部がキャビティの内面と第1弾性
アームとの間に挿入される前の状態を示す要部斜視図で
ある。
【図7】挿入板の挿入部がキャビティの内面と第1弾性
アームとの間に挿入された状態を示す要部斜視図であ
る。
【図8】多極雌型コネクタの分解斜視図である。
【図9】多極雌型コネクタの斜視図である。
【符号の説明】
A 取外具 100 把持部 110 第1ブロック 116 横穴(スライドベース) 140 軸 160 第2ブロック 162 スライダ 200 挿入板 220 挿入部 221 鉛直面 222 テーパ面 223 水平面 300 挿入板 320 挿入部 321 鉛直面 322 テーパ面 323 水平面 400 接離機構 500 コネクタ 510 ハウジング 513 第1の突起 514 第2の突起 520 キャビティ 521 端子挿入孔 525 内面 530 矯正板 531 位置決め孔 532 第1弾性アーム 533 第2弾性アーム 540 端子金具

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前端面側に開口されたキャビティを有し、
    キャビティに連通する多数の端子挿入孔が後端面に形成
    されたハウジングと、 後端面側から各端子挿入孔にそれぞれ挿入され、キャビ
    ティ内で前端面側に突出した状態で装着された多数の端
    子金具と、 外周面がキャビティの内周面に当接した状態でキャビテ
    ィ内に嵌め込むことができ、各端子金具に一対一に対応
    して多数形成された位置決め孔を有する端子金具矯正板
    とを備え、 端子金具矯正板の対向する縁部には、端子金具矯正板の
    外周面と略面一状態で一対の弾性アームが立設され、 キャビティの内面には、弾性アームに係合して端子金具
    矯正板がキャビティから抜け出るのを防止する第1の突
    起が形成されているコネクタに適用される取外具であっ
    手で把持することができ、一方の挿入部材が連結される
    第1の部分と、他方の挿入部材が連結される第2の部分
    とを有する把持部材と、 上記一方および他方の挿入部材同士を相対的に接離させ
    る接離機構であって、上記第1の部分または第2の部分
    のいずれか一方に設けられ、両挿入部材の対向方向に沿
    って形成されたスライドベースと、上記第1の部分また
    は第2の部分のいずれか他方に設けられ、スライドベー
    スに沿って所定量移動可能なスライダと、スライドベー
    スとスライダとの間に介在され、両挿入部材を常時離反
    させる方向に付勢する付勢部材とを有する接離機構とを
    有し、 上記2つの挿入部材は、端子金具矯正板の一対の弾性ア
    ームに対応するように対向配置されて対をなし、 端子金具矯正板が第1の突起によって抜け出ないように
    仮止めされた状態のときに、各挿入部材は弾性アームと
    キャビティの内面との間に挿入することによって弾性ア
    ームを弾性変形させ、弾性アームと第1の突起との係合
    を解除し得るものであり、 挿入部材が挿入されたときに、上記第1の突起との係合
    が解除された弾性アームに係合し得るロック部材が各挿
    入部材に備えられていることを特徴とする端子金具矯正
    板用取外具。
  2. 【請求項2】請求項1記載の端子金具矯正板用取外具に
    おいて、 少なくとも上記挿入部材の先端部分は、キャビティの内
    面に沿わされる第1の平面と、当該第1の平面に対して
    背中合わせに設けられ、第1の平面がキャビティ内に進
    入するに伴って弾性アームに摺接し、弾性アームを弾性
    変形させるテーパ面とを含むくさび状に形成されてお
    り、 上記ロック部材は、上記テーパ面と交差する方向で且つ
    テーパ面から凹む方向に形成された第2の平面を含んで
    いることを特徴とする端子金具矯正板用取外具。
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