JP3181451U - インダクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】本考案は、歪みを除去する熱処理を可能とする破壊強度、当該熱処理で破壊強度が劣化しないこと、および良好な磁気特性を有するインダクタを提供することを目的とする。
【解決手段】導電材(21)が巻回されてなるコイル導体(20)と、導電材(21)の表面を被覆する被覆膜(22)と、磁性粉末(5)を成形してなる磁性コア(10)と、を有し、コイル導体(20)が磁性コア(10)に埋設されるインダクタであって、磁性コア(10)と被覆膜(22)との接合面(23)において、磁性粉末(5)が磁性コア(10)と被覆膜(22)とに跨っていることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本考案は、磁性粉末が成形された磁性コアの内部にコイル導体が埋設されたインダクタに係り、コイル導体が被覆膜で覆われた導電材を備えたインダクタに関する。
図9は、特許文献1に開示されるインダクタの断面略図である。特許文献1に開示されるインダクタ(封止成形体)101は、図9に示すように、ソレノイド状のコイル導体120が、Ni−Cu−Zn系フェライト粉末を混練した磁性コア(合成樹脂)110に埋設されている。
インダクタ101は、以下のように製造される。絶縁膜122bで被覆された導電材(金属線)121を用意し、さらに絶縁膜122bを融着膜(熱融着樹脂)122aで被覆する。次に、導電材121を密に巻回して、ソレノイド状のコイル導体120を形成する。そして、融着膜122aを、熱処理により軟化させた後に、自然冷却により硬化させる。そのため、コイル導体120の隣接部相互が、融着膜122aによって一体的に固着される。
次に、コイル導体120を、成形型(図示せず)内に配置し、この成形型内に、合成樹脂にNi−Cu−Zn系フェライト粉末を混練したスラリーを射出する。このスラリーが固まった後に、成形型を外して、フェライト粉末を混練した磁性コア110にコイル導体120が埋設されたインダクタ101を得る。
図10は、特許文献2に開示されるインダクタ(コイル封入型磁性部品)の斜視図である。特許文献2に開示されるインダクタ201は、平角導線を巻回したコイル導体(空心コイル)を、絶縁材をコーティングした強磁性金属粒子からなる磁性粉末により圧縮成形して形成される。そのため、インダクタ201は、コイル導体と磁性粉末が一体成形された圧粉成形体202である。絶縁材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などである。
次に、コイル導体から引き出された電極端子225に折り曲げ加工を施して、図10に示すように、圧粉成形体202の側面に沿って折り曲げ形成された表面実装型の電極端子225を形成する。
特開2002−83732号公報 特開2003−309024号公報
コイル導体120が配置された成形型内に、合成樹脂にフェライト粉末を混練したスラリーを射出して、特許文献1に開示されるインダクタ101が得られる。その際、フェライト粉末に圧縮応力が作用し、フェライト粉末に歪みが生じ、特許文献1に開示されるインダクタ101の磁気特性が劣化することがあった。
磁気特性を回復させるためには、フェライト粉末の歪みを除去する必要がある。そのために、インダクタ101に熱処理を行うことが考えられる。ところが、特許文献1に開示されるインダクタ101は、図9に示すように、磁性コア110とコイル導体120の融着膜122aとは、滑らかな接合面を介して成形されている。そのため、磁性コア110とコイル導体120との接合力は弱く、磁性コア110とコイル導体120は一体的に強固に成形されていない。
磁性コア110とコイル導体120との接合力が弱いために、インダクタ101に熱処理を行うと、熱応力により磁性コア110にクラックなどが発生することがあった。そのため、特許文献1に開示されるインダクタ101においては、成形時に生じる磁気特性の劣化を回復させることが困難であるという課題があった。
特許文献2に開示されるインダクタ201は、コイル導体を磁性粉末により圧縮成形して形成される。その際、磁性粉末に圧縮応力が作用し、磁性粉末に歪みが生じ、特許文献2に開示されるインダクタ201の磁気特性が劣化することがあった。磁気特性を回復させるために熱処理を行うと、インダクタ201が樹脂を用いた圧粉成形体であるために、インダクタ201の破壊強度が劣化することがあった。
そのため、電極端子225に折り曲げ加工を施す際に、電極端子225の引き出し部分の周辺である圧粉成形体202にクラックが生じることが、また、最悪の場合には圧粉成形体202が折れることがあった。
そのため、特許文献2に開示されるインダクタ201においては、成形時に生じる磁気特性の劣化を回復させることが困難であるという課題があった。
本考案は、このような課題を顧みてなされたものであり、歪みを除去する熱処理が可能な破壊強度、当該熱処理で破壊強度が劣化しないこと、および良好な磁気特性を有するインダクタを提供することを目的とする。
本考案のインダクタは、導電材が巻回されてなるコイル導体と、前記導電材の表面を被覆する被覆膜と、磁性粉末を成形してなる磁性コアと、を有し、前記コイル導体が前記磁性コアに埋設されるインダクタであって、前記磁性粉末が前記磁性コアと前記被覆膜との接合面に跨っていることを特徴とする。
本考案のインダクタにおいては、磁性コアに含まれる磁性粉末が、磁性コアと被覆膜との接合面に跨っている。そのため、磁性コアとコイル導体との接合力は強く、磁性コアとコイル導体は一体的に強固に形成されている。
そのため、磁気特性を改善するために熱処理を行っても、本考案のインダクタは、破損することはないと共に、破壊強度が劣化することはない。その結果、本考案のインダクタにおいては、熱処理を行って磁気特性を改善することが可能である。
よって、本考案によれば、歪みを除去する熱処理が可能な破壊強度、当該熱処理で破壊強度が劣化しないこと、および良好な磁気特性を有するインダクタを提供することができる。
本考案のインダクタにおいては、前記磁性コアと前記被覆膜との接合面に跨っている全ての前記磁性粉末のうちの50%以上が、前記磁性粉末の粒径の半分以上を前記被覆膜に埋め込ませてなることが好ましい。このような態様であれば、磁性コアとコイル導体は一体的に更に強固に形成される。
本考案のインダクタにおいては、前記被覆膜が、前記導電材を絶縁する絶縁膜と、前記導電材間を融着する融着膜とを、この順に積層されてなることが好ましい。
このような態様であれば、絶縁膜により導電材間が絶縁されると共に、融着膜により導電材間が一体的に固着されるため、導電材を密に巻回して、コイル導体を形成することができる。よって、小型化に優れると共に、強固なコイル導体を得ることができる。
本考案のインダクタにおいては、前記融着膜の厚さが、2μm〜8μmであることが好ましい。
融着膜の厚さが2μm以上であれば、融着膜に適切に磁性粉末を埋め込ませることが可能であり、さらには磁性コアと融着膜との接合面に跨っている全ての磁性粉末のうちの少なくとも50%以上が、磁性粉末の粒径の半分以上を融着膜に埋め込ませることが可能である。よって、磁性コアとコイル導体の結合力を大きくすることができる。
コイル導体は、融着膜に被覆される導電材を上下方向に重なるように多重に巻回してなる。そのため、融着膜の厚さを8μm以下にすることで、インダクタの低背化を図っている。
本考案のインダクタが、前記コイル導体と前記磁性コアとを圧縮成形した圧粉成形体であって、前記圧粉成形体の破壊強度が27MPa以上であることが好ましい。このような様態であれば、磁気特性を改善するために熱処理を行っても、本考案のインダクタは、破損することはないと共に、破壊強度が劣化することはない。
本考案のインダクタにおいては、前記磁性粉末が、Fe100−a−b−c−x−y−z−tNiSnCrSiで示され、0at%≦a≦10at%、0at%≦b≦3at%、0at%≦c≦6at%、6.8at%≦x≦10.8at%、2.0at%≦y≦9.8at%、0at%≦z≦8.0at%、0at%≦t≦5.0at%であることが好ましい。
このような態様であれば、保持力が小さく、透磁率が大きいなどの良好な磁気特性を有する磁性粉末を得ることができる。
本考案のインダクタにおいては、前記磁性粉末の個数分布の平均粒径が、2〜4μmの範囲であることが好ましい。このような態様であれば、磁性コアと融着膜との接合面に跨っている全ての磁性粉末のうちの50%以上が、磁性粉末の粒径の半分以上を融着膜に跨らせていることを可能にする。
本考案によれば、歪みを除去する熱処理が可能な破壊強度、当該熱処理で破壊強度が劣化しないこと、および良好な磁気特性を有するインダクタを提供することができる。
本考案のインダクタの斜視略図である。 本考案の底面側から視たインダクタの平面略図である。 図1に示すA−A線に沿って切断して矢印方向から視る断面略図である。 コイル導体と磁性コアとの接合面近傍の拡大断面略図である。 本考案のインダクタの製造に用いる端子フレームの平面略図である。 本考案を適用したインダクタの製造方法の一工程を示す図である。 図6の次工程を示す図である。 図7の次工程を示す図である。 特許文献1に開示されるインダクタの断面略図である。 特許文献2に開示されるインダクタの斜視図である。
以下、本考案の実施形態のインダクタについて図面を用いて詳細に説明する。なお、各図面の寸法は適宜変更して示している。
図1は本考案のインダクタの斜視略図である。図2は本考案の底面側から視たインダクタの平面略図である。図3は第1図に示すA−A線に沿って切断して矢印方向から視る断面略図である。
図1ないし図3に示す本考案のインダクタ1は、磁性コア10の内部にコイル導体20が埋設されている。コイル導体20に一対の電極端子25、26が連結されており、この電極端子25、26が磁性コア10の外部に延び出している。
磁性コア10は、上面10aと底面10bを有しており、上面10aと底面10bは互いに平行である。図2に示すように、磁性コア10を底面10b側から見た形状は四角形である。4つの側面のうちの互いに平行に位置する側面10c、10dから電極端子25、26が延び出している。
なお、磁性コア10の平面形状は、長方形や八角形などの多角形あるいは円形などにすることも可能である。
磁性コア10は、磁性粉末を圧縮して形成されたいわゆる圧粉コアである。磁性粉末は磁性合金粉末であり、Fe、Fe基非晶質合金、Fe−Ni合金、Fe−Si合金などであり、例えば、組成式が、Fe100−a−b−c−x−y−z−tNiSnCrSiで示され、0at%≦a≦10at%、0at%≦b≦3at%、0at%≦c≦6at%、6.8at%≦x≦10.8at%、2.0at%≦y≦9.8at%、0at%≦z≦8.0at%、0at%≦t≦5.0at%である。このような態様であれば、保磁力が小さく、透磁率が大きいなどの良好な磁気特性を有する磁性コア10を得ることができる。
磁性粉末は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの絶縁材によってコーティングされる。この磁性粉末がキャビティ内に充填され、上型と下型とで圧縮(加圧)されて磁性コア10が形成される。あるいは、磁性粉末と絶縁材とが混合された状態で、キャビティ内に充填されて、上型と下型とで圧縮されて磁性コア10が形成される。いずれにおいても、絶縁材が磁性粉末どうしを結合するための結合材として機能する。
コイル導体20は、銅(Cu)や銅合金などからなる平板状の導電材21で形成されている。平板状の導電材21は、図3に示すように、上下方向に重なるように多重に巻かれている。導電材21の表面は、樹脂材料などからなる被覆膜22により被覆されている。
被覆膜22は、導電材21の表面に積層される絶縁膜22bと融着膜22aとから形成されている。絶縁膜22bは、上下に巻かれた導電材21を互いに絶縁し、融着膜22aは、上下に巻かれた導電材21を互いに融着する。よって、導電材21間が融着膜22aによって一体的に固着されるため、導電材21を密に巻回して、コイル導体20を形成することができる。よって、小型化に優れると共に、強固なコイル導体20を得ることができる。
本実施形態においては、導電材21を平板状としたが、これに限定されるものではない。導電材21の断面が、円や、楕円などであることも可能である。
コイル導体20は、図2に示すように、外側に向けられた外周面20aと、中心に向けられた内周面20bを有している。外周面20aと内周面20bは、傾斜する略円筒面形状である。
一対の電極端子25、26は、図3に示すように、コイル導体20において巻かれている導電材21の両端21a、21aから延びている。電極端子25、26は、コイル導体20と別体に形成されて、導電材21の両端に溶接などで接続される。
電極端子25、26は、例えば銅(Cu)または銅合金などからなる板材の表面に、ニッケル(Ni)下地層を介して金(Au)または金とパラジウム(Pd)との合金膜が形成されるか、もしくは半田が塗布されたものである。
電極端子25、26は、図3に示すように、それぞれ、磁性コア10の側面10c、10dからほぼ垂直に突出する突出基部25a、26aを有している。突出基部25a、26aよりも先部は第1の折曲げ部25b、26bにおいて下向きにほぼ直角に曲げられた垂直片25c、26cとなっている。電極端子25、26の先部は、垂直片25c、26cの下端が第2の折曲げ部25d、26dでほぼ直角に折り曲げられて、接続片25e、26eとなっている。接続片25e、26eの下向きの表面25f、26fは、磁性コア10の底面10bとほぼ平行に延びている。
電極端子25、26の垂直片25c、26cと、磁性コア10の側面10c、10dとの間には隙間が形成されており、この隙間は、上下方向にほぼ同じ間隔で延びている。この隙間を形成しておくことで、第1の折曲げ部25b、26bおよび第2の折曲げ部25d、26dの曲げ後の残留応力が磁性コア10の側面10c、10dに与える影響を低減させることができ、磁性コア10の側面10c、10dの破損などを防止しやすくなっている。
本実施形態の製造方法について、図5から図8を用いて説明する。図5は、本考案のインダクタの製造に用いる端子フレームの平面略図である。図6は、本考案を適用したインダクタの製造方法の一工程を示す図である。図7は、図6の次工程を示す図である。図8は、図7の次工程を示す図である。
まず、図5に示すように、多数の電極端子25、26が設けられた薄板状の端子フレーム30を用意する。電極端子25、26は、コイル導体20(図3に図示)の設置スペースをあけた状態で、互いに対向するように一対ずつ組み合わされて、支持枠30aに連結されている。この一対の電極端子25、26は、所定間隔をあけて多数並べられている。
次に、コイル導体20を多数用意し、図6に示すように、コイル導体20(導電材21)の両端21a、21aと、端子フレーム30(図5に図示)の電極端子25、26を接合する。接合には、例えばスポット溶接を用いる。この接合により、多数のコイル導体20と端子フレーム30は一体化され、コイル導体20と電極端子25、26は電気的に接続される。
コイル導体20の製造方法は、図示していないが、銅(Cu)や銅合金などからなる細長い平板を用意する。この細長い平板の表面に、たとえばポリイミドなどの樹脂を塗布し、熱処理を施して硬化させて、平板の表面に絶縁膜22b(図3に図示)を形成する。
次に、この絶縁膜22bの上に、たとえばポリイミドやエポキシなどの樹脂を塗布し、熱処理を施して硬化させ、融着膜22aを形成する。次に、絶縁膜22bと融着膜22aで表面が被覆された細長い平板が、折り曲げ加工によって、互いに上下方向に重なると共に密に多重に巻かれる。次に、多重に巻かれた細長い平板に、たとえば熱処理を施して、融着膜22aを軟化させたのち、室温に戻して硬化させる。このようにして、多重に巻かれた細長い平板の隣どうしが互いに融着されて、コイル導体20が形成される。
続いて、図3に示すように、コイル導体20の両端21a、21a部分の絶縁膜22bおよび融着膜22aを除去する。このようにして、コイル導体20と電極端子25、26が電気的に接続可能となる。
続いて、絶縁材をコーティングした磁性粉末を用意し、図示しない上型と下型からなる成型金型を用い、電極端子25、26の一部を露出させた状態で、成型金型のキャビティ内に電極端子25、26とコイル導体20を設置する。次に、キャビティ内に磁性粉末を充填させ、上型と下型とで圧縮して磁性コア10を形成する。
成型金型の上型あるいは下型に、凸部が設けられており、この凸部を介して磁性粉末が圧縮されることで、磁性コア10表面となる面に、電極端子25、26に対応して電極端子収納凹部10e、10f(図7に図示)が形成される。電極端子収納凹部10e、10fの深さは、0.2mm程度であり、その深さ分だけ低背化が図れる。
絶縁材をコーティングした磁性粉末を用いる代わりに、磁性粉末と絶縁材とを混合させた状態で、キャビティ内に充填させ、上型と下型とで圧縮して磁性コア10を形成することも可能である。いずれにおいても、絶縁材が磁性粉末どうしを結合するための結合材として機能する。
このようにして、コイル導体が磁性コア10に埋設された圧粉成形体2(図7に図示)が、所定間隔をあけて多数並べられて、端子フレーム30に連結された状態で得られる。ただし、図7では、1つの圧粉成形体2のみを図示している。
続いて、多数の圧粉成形体2が端子フレーム30に連結された状態で、多数の圧粉成形体2に対して熱処理が施される。熱処理温度は磁性粉末の結晶化温度よりも低い温度で行われる。この熱処理は、圧縮形成時に磁性粉末内部に生じた歪みを除去し良好な磁気特性を得るために行うものである。
続いて、多数の圧粉成形体2を、図7の破線で示す切断線Bで、端子フレームの支持枠30aから切り離す。これにより、多数の圧粉成形体2(インダクタ)が同時に得られる。
続いて、個々の圧粉成形体2について、図8に示すように、磁性コア10の側面10c、10dから突出している電極端子25、26を、側面10c、10dに沿って折り曲げる。その結果、図3に示すように、側面10c、10dからほぼ垂直に突出する突出基部25a、26aと、突出基部25a、26aの先端に第1の折曲げ部25b、26bと、第1の折曲げ部25b、26bにおいてほぼ直角に曲げられた垂直部分が形成される。
この垂直部分を、圧粉成形体2の電極端子収納凹部10e、10f(図8に図示)に沿って折り曲げる。その結果、図3に示すように、磁性コア10の側面10c、10dにほぼ平行な垂直片25c、26cと、垂直片25c、26cの先端に第2の折曲げ部25d、26dと、折曲げ部25d、26dでほぼ直角に折り曲げられ、電極端子収納凹部10e、10fに沿わせた接続片25e、26eが形成される。これにより、図1に示すインダクタ1が得られる。
接続片25e、26eの下向きの表面25f、26fは、図3に示すように、磁性コア10から露出して磁性コア10の底面10bとほぼ平行に延びている。よって、外部回路の電極表面に表面25f、26fを対向させて接合することで、磁性コア10内のコイル導体と外部回路との電気的な接続を実現できる。つまり、電極端子25、26は、表面実装端子として機能する。
本実施形態においては、個数分布の平均粒径(D50)が、2μm〜4μmである磁性粉末を用いている。そのため、本実施形態で用いられる磁性粉末においては、4μm以下である粒径の個数が、全体の少なくとも半分以上、つまり少なくとも50%以上である。平均粒径(D50)は、累積値50%での粒径を指している。
なお、磁性粉末の粒度分布を日機装(株)製のマイクロトラック粒度分布測定装置MT3300EXを用いて個数分布で測定して、個数分布の平均粒径(D50)を求めた。
そのため、成型金型のキャビティ内にコイル導体20を設置して、磁性粉末を注入した際に、図4を用いて説明するが、融着膜22aと磁性コア10の接合面23近傍に存在する磁性粉末5の少なくとも50%以上が、その粒径が4μm以下である。図4では、接合面23において、融着膜22aと磁性コア10の間に跨った磁性粉末5のみを、模式的に図示している。磁性粉末5を球体として図示しているが、略球体、略楕円体、および略多角体なども可能である。
図4に示すコイル導体20と磁性コア10との接合面23近傍の様子は、次のようにして観察することができる。まず、劈開や、FIB(Focused Ion Beam)により、インダクタ1(図1に図示)の断面を露出させる。次に、インダクタ1の断面を、金属顕微鏡、FIB、やSEM(Scanning Electron Microscope)などで観察する。
本実施形態においては、融着膜22aの厚さを、2μm〜8μmに選んでいる。そのため、このような態様においては、コイル導体20が磁性粉末5により圧縮成形されると、融着膜22aと磁性コア10との接合面23に跨った磁性粉末5の少なくとも50%以上が、その粒径の半分以上を融着膜22aに埋め込むことが可能である。
磁性粉末5は、母材である磁性コア10に強く結合している。また、融着膜22aは、絶縁膜22bを介して導電材21に強く結合している。そのため、融着膜22aと磁性コア10の接合面23に跨った磁性粉末5の少なくとも50%以上が、その粒径の半分以上を融着膜22aに埋め込んだ状態とすることができると、磁性コア10と導電材21の結合力を大きくすることができる。その結果、磁性コア10とコイル導体20を一体的に強固に圧縮成形することが可能である。
融着膜22aに磁性粉末5を埋め込むためには、圧縮形成時に十分な圧縮力が必要である。そのため、本実施形態においては、上型と下型の間に6〜20トン(ton)/cmの圧縮力を加えている。
融着膜22aの厚さを2μm未満とした際には、個数分布の平均粒径(D50)が2μm〜4μmである磁性粉末5を用いると、接合面23において、融着膜22aと磁性コア10との間に跨った磁性粉末5の少なくとも50%以上が、その粒径の半分以下しか融着膜22aに埋め込むことができない。よって、融着膜22aの厚さを2μm未満とした際には、磁性コア10とコイル導体20を一体的に強固に圧縮成形することができない。
本実施形態においては、圧縮形成時に磁性粉末内部に生じた歪みを除去するために、圧粉成形体2(図7に図示)に対して熱処理が施される。この熱処理の際に、磁性コア10(図3に図示)とコイル導体20(図3に図示)の間に熱応力が生じても、本実施形態では磁性コア10とコイル導体20が一体的に強固に圧縮成形されているので、磁性コア10にクラックなどが発生して、インダクタ1(図1に図示)が破損することはない。
本実施形態においては、圧縮形成時に磁性粉末内部に生じた歪みを除去するために、圧粉成形体2(図7に図示)に対して熱処理が施される。その際に、磁性粉末どうしを結合するための結合材として機能する、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの絶縁材が熱分解する。本実施形態においては、この絶縁材の熱分解に起因する破壊強度の劣化を防止するために、図4に示すように、融着膜22aと磁性コア10の接合面23において、磁性粉末5の少なくとも50%以上が、その粒径の半分以上を融着膜22aに埋め込まれた状態で、磁性コア10とコイル導体20とが一体的に強固に圧縮成形されている。そのため、磁性コア10とコイル導体20が一体的に強固に圧縮成形されているので、磁性粉末5内部に生じた歪みを除去するために熱処理を施しても、圧粉成形体2の破壊強度は劣化しない。
本実施形態においては、圧縮形成時に磁性粉末内部に生じた歪みを除去するための熱処理を作業効率よく行うために、図7に示すように、多数の圧粉成形体2が端子フレーム30に連結された状態で熱処理が行われる。そのため、この熱処理の後に、圧粉成形体2から露出する電極端子25、26に折り曲げ加工を施すことになる。本実施形態においては、この熱処理を施しても、圧粉成形体2の破壊強度は劣化しない。よって、図8に示すように、圧粉成形体2から露出する電極端子25、26に折り曲げ加工を施す際に、電極端子25、26の引き出し部分の周辺である圧粉成形体2にクラックが生じることはない。
よって、本実施形態においては、圧粉成形体2に対して熱処理を施して、圧縮形成時に磁性粉末内部に生じた歪みを除去し、良好な磁気特性を有するインダクタを得ることが可能である。
よって、本考案によれば、歪みを除去する熱処理が可能な破壊強度、当該熱処理で破壊強度が劣化しないこと、および良好な磁気特性を有するインダクタを提供することができる。
コイル導体20は、図3に示すように、平板状の導電材21を上下方向に重なるように多重に巻かれている。そのため、融着膜22aの厚さが大きいと、コイル導体20の上下方向の寸法が大きくなる。よって、本実施形態においては、インダクタ1の低背化のために、融着膜22aの厚さを8μm以下に選んでいる。
本実施例は、コイル導体と磁性コアとを圧縮成形した圧粉成形体であるインダクタにおいて、融着膜と磁性コアの結合力と圧粉成形体の破壊強度(MPa)を比較評価しものである。そして、表1に、評価結果を記した。
表1に示す結合力は、磁性コアと電極端子の間に引っ張り力を加える。その際に、磁性コアとコイル導体が一体的に電極端子から剥がれた場合は、融着膜と磁性コアの結合力は十分と判定し、表1の結合力の欄に○を記した。コイル導体が電極端子に結合したままで、磁性コアのみが剥がれた場合は、融着膜と磁性コアの結合力は不十分と判定し、表1の結合力の欄に×を記した。
圧粉成形体の破壊強度は、圧粉成形体の上面と底面の間に圧縮力を加えて、圧粉成形体が破壊する圧縮応力(MPa)を評価した。その結果は、表1の破壊強度の欄に記した。
表1に示すように、融着膜と磁性コアの結合力が十分な場合には、破壊強度は大きく、圧粉成形体の破壊強度を27MPa以上にすることが可能である。
なお、試料番号1−6、1−7、1−8は、本考案の方法で製作したものであり、融着膜の厚さは2μm〜8μmである。また、試料番号1−1〜1−5は融着膜の厚さが2μm未満である。よって、本考案によれば、圧粉成形体2(図7に図示)の破壊強度を27MPa以上にすることが可能である。
Figure 0003181451
本実施例は、コイル導体と磁性コアとを圧縮成形した圧粉成形体であるインダクタにおいて、融着膜の厚さを変えて、融着膜と磁性コアの結合力を評価しものである。そして、表2に、評価結果を記した。なお、融着膜と磁性コアの結合力は、実施例1と同じである。
融着膜と磁性コアの結合力は、表2に示すように、融着膜の厚さが3.0μm以上で良好であり、融着膜の厚さが2.0μm以下で不十分であることが確認された。この結果より、融着膜の厚さは3.0μm以上であることがより好ましい。
本実施形態においては、個数分布の平均粒径(D50)が、2μm〜4μmである磁性粉末を用いている。そのため、本実施形態で用いられる磁性粉末においては、4μm以下である粒径の個数が、全体の少なくとも半分以上、つまり少なくとも50%以上である。よって、融着膜の厚さが3.0μm以上であると、融着膜と磁性コアの接合面に跨った磁性粉末のうち50%に近いものが、その粒径の全体を融着膜に埋め込まれた状態で、磁性コアとコイル導体とが一体的に強固に圧縮成形されている。なお、融着膜と磁性コアとの接合面に跨った磁性粉末5の少なくとも50%以上が、その粒径の半分以上を融着膜に埋め込まれている。
よって、融着膜の厚さが2.0μmである場合より、融着膜の厚さが3.0μmである場合の方が、磁性コアとコイル導体とが一体的により強固に圧縮成形されている。すなわち、融着膜の厚さが厚い方が、より強固に圧縮成形される。
Figure 0003181451
1 インダクタ
2 圧粉成形体
5 磁性粉末
10 磁性コア
10a 上面
10b 底面
10c、10d 側面
10e、10f 電極端子収納凹部
20 コイル導体
21 導電材
22 被覆膜
22a 融着膜
22b 絶縁膜
23 接合面
25、26 電極端子
30 端子フレーム
30a 支持枠

Claims (7)

  1. 導電材が巻回されてなるコイル導体と、
    前記導電材の表面を被覆する被覆膜と、
    磁性粉末を成形してなる磁性コアと、を有し、
    前記コイル導体が前記磁性コアに埋設されるインダクタであって、
    前記磁性粉末が前記磁性コアと前記被覆膜との接合面に跨っていることを特徴とするインダクタ。
  2. 前記磁性コアと前記被覆膜との接合面に跨っている全ての前記磁性粉末のうちの50%以上が、前記磁性粉末の粒径の半分以上を前記被覆膜に埋め込ませてなることを特徴とする請求項1に記載のインダクタ。
  3. 前記被覆膜が、前記導電材を絶縁する絶縁膜と、前記導電材間を融着する融着膜とを、この順に積層されてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインダクタ。
  4. 前記融着膜の厚さが、2μm〜8μmであることを特徴とする請求項3に記載のインダクタ。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインダクタが、前記コイル導体と前記磁性コアとを圧縮成形した圧粉成形体であって、前記圧粉成形体の破壊強度が27MPa以上であることを特徴とするインダクタ。
  6. 前記磁性粉末が、Fe100−a−b−c−x−y−z−tNiSnCrSiで示され、0at%≦a≦10at%、0at%≦b≦3at%、0at%≦c≦6at%、6.8at%≦x≦10.8at%、2.0at%≦y≦9.8at%、0at%≦z≦8.0at%、0at%≦t≦5.0at%であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインダクタ。
  7. 前記磁性粉末の個数分布の平均粒径が、2〜4μmの範囲であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載のインダクタ。
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