JP3180331B2 - 磁界発生装置の解体方法および磁界発生装置のリサイクル方法 - Google Patents

磁界発生装置の解体方法および磁界発生装置のリサイクル方法

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JP3180331B2
JP3180331B2 JP2000213823A JP2000213823A JP3180331B2 JP 3180331 B2 JP3180331 B2 JP 3180331B2 JP 2000213823 A JP2000213823 A JP 2000213823A JP 2000213823 A JP2000213823 A JP 2000213823A JP 3180331 B2 JP3180331 B2 JP 3180331B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は磁界発生装置の解
体方法およびリサイクル方法に関し、より特定的には、
ネオジム磁石を用い人体の診断等に使用できる大型のM
RI用磁界発生装置の解体方法およびリサイクル方法に
関する。
【従来の技術】この種の大型の磁界発生装置では、焼結
体であるネオジム磁石の大きさに限界があるため、通
常、一つの板状継鉄に複数のネオジム磁石を接着剤で固
定していた。このような磁界発生装置を解体する方法と
しては、次のようなものが考えられる。まず、板状継鉄
と柱状継鉄とを接続しているネジをゆるめた後、磁界発
生装置をクレーンで吊り上げて分解する。そして、接着
剤を溶融するための溶媒が満たされた槽に板状継鉄を浸
漬して、板状継鉄に固定されているネオジム磁石を取り
出す。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】しかし、着磁されたま
まのネオジム磁石は磁力が非常に強いので、この方法で
は、接着剤がはずれた瞬間にネオジム磁石間の反発力に
よってネオジム磁石が槽から飛び出して危険である。ま
た、はずれたネオジム磁石を取り出すときにも強い吸引
力によって手が挟まれたりする可能性がある。また、ネ
オジム磁石は、焼結体であり割れやすいので、接着剤が
はずれた瞬間にネオジム磁石間の反発力によってどこか
にぶつかると欠けてしまう。さらに、ネオジム磁石どう
しもしくはネオジム磁石と板状継鉄とがぶつかると火花
が出て、火災もしくは爆発の危険性があるという問題点
があった。また、磁界発生装置の解体時に脱磁用磁界を
印加することによってネオジム磁石を脱磁する方法も考
えられるが、MRI用磁界発生装置は大きいので脱磁す
るには広範囲に強力な磁界を発生させなければならずそ
のような脱磁は困難であり、大きな脱磁用の装置は高コ
ストになり現実的ではない。
【0003】特公平3−20045号において、各永久
磁石を着磁して各々磁気特性を測定し、その後各永久磁
石を加熱脱磁し、組立に際して各永久磁石を磁気特性測
定値に応じて再着磁して磁石体に組み立てる方法が開示
されている。しかし、この方法は永久磁石を適正配置す
るためのものであり、大型の磁界発生装置を解体あるい
はリサイクルする方法については何ら開示されていな
い。それゆえに、この発明の主たる目的は、安全かつ低
コストで解体、リサイクルできる、磁界発生装置の解体
方法およびリサイクル方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の磁界発生装置の解体方法は、板状
継鉄と、接着剤によって結合される複数のネオジム磁石
を含みかつ板状継鉄上に設けられる永久磁石とを有する
磁界発生装置の解体方法であって、磁界発生装置を20
0゜C〜1000゜Cで加熱するものである。請求項2
に記載の磁界発生装置の解体方法は、請求項1に記載の
磁界発生装置の解体方法において、磁界発生装置は、板
状継鉄に接続される柱状継鉄をさらに含むものである。
請求項3に記載の磁界発生装置の解体方法は、請求項1
または2に記載の磁界発生装置の解体方法において、磁
界発生装置の加熱温度が200゜C〜400゜Cである
ものである。
【0005】請求項4に記載の磁界発生装置の解体方法
は、請求項1または2に記載の磁界発生装置の解体方法
において、磁界発生装置の加熱温度が200゜C〜35
0゜Cであり、ネオジム磁石を減磁させた後、接着剤を
除去してネオジム磁石を回収するものである。請求項5
に記載の磁界発生装置の解体方法は、請求項1または2
に記載の磁界発生装置の解体方法において、磁界発生装
置の加熱温度が350゜C〜1000゜Cであり、接着
剤を炭化させてネオジム磁石を回収するものである。請
求項6に記載の磁界発生装置の解体方法は、請求項1に
記載の磁界発生装置の解体方法において、接着剤がアク
リル系接着剤であるものである。
【0006】請求項7に記載の磁界発生装置の解体方法
は、請求項1に記載の磁界発生装置の解体方法におい
て、ネオジム磁石がR−Fe−Bの三元系ネオジム磁石
であるものである。請求項8に記載の磁界発生装置の解
体方法は、請求項1に記載の磁界発生装置の解体方法に
おいて、同一極が板状継鉄の主面と平行方向に並ぶよう
に複数のネオジム磁石が配置されるものである。請求項
9に記載の磁界発生装置のリサイクル方法は、板状継鉄
と、接着剤によって結合される複数のネオジム磁石を含
みかつ板状継鉄上に設けられる永久磁石とを有する磁界
発生装置のリサイクル方法であって、磁界発生装置を2
00゜C〜1000゜Cで加熱した後にネオジム磁石を
回収し、回収されたネオジム磁石の表面を研磨してネオ
ジム磁石を再利用するものである。
【0007】請求項10に記載の磁界発生装置のリサイ
クル方法は、請求項9に記載の磁界発生装置のリサイク
ル方法において、回収されたネオジム磁石を再度時効処
理するものである。請求項11に記載の磁界発生装置の
リサイクル方法は、板状継鉄と、接着剤によって結合さ
れる複数のネオジム磁石を含みかつ板状継鉄上に設けら
れる永久磁石とを有する磁界発生装置のリサイクル方法
であって、磁界発生装置を200゜C〜1000゜Cで
加熱した後にネオジム磁石を回収し、回収されたネオジ
ム磁石を再度時効処理して再利用するものである。
【0008】磁界発生装置の加熱温度が200゜C未満
であれば、ネオジム磁石を十分に減磁できず安全に取り
出すことができない。また、接着剤は200゜Cまでは
可逆性があるので、加熱温度が200゜C未満であれ
ば、その後冷却すると接着剤は再び接着強度を回復して
しまう。一方、加熱温度が1000゜Cを超えるとネオ
ジム磁石自体の組織が変化し磁気特性が劣化するため、
ネオジム磁石を回収しても再利用が難しくなる。したが
って、請求項1に記載の磁界発生装置の解体方法では、
磁界発生装置を200゜C〜1000゜Cで加熱するこ
とによって、ネオジム磁石を十分に減磁させかつ接着剤
の接着力を低下させる。その結果、ネオジム磁石を安全
に取り出すことができ、磁界発生装置も安全に解体でき
る。また、加熱すればよいので、コストを抑えることが
できる。
【0009】着磁されたままのネオジム磁石は非常に危
険であるが、請求項2に記載のように、柱状継鉄が板状
継鉄に接続された状態で磁界発生装置を加熱することに
よって、解体時における磁界発生装置の取り扱いがさら
に容易になる。ネオジム磁石の特性により、加熱温度が
400゜Cを超えたとき時効処理が必要になるが、請求
項3に記載の磁界発生装置の解体方法では、磁界発生装
置を400゜C以下で加熱するので、加熱後のネオジム
磁石に対して時効処理を施すことなく再着磁するだけ
で、ネオジム磁石を再利用できる。
【0010】請求項4に記載の磁界発生装置の解体方法
では、磁界発生装置を200゜C〜350゜Cで加熱す
ることによって、ネオジム磁石を減磁させ、接着剤を変
質させて接着力を弱める。したがって、変質した接着剤
を除去するだけで、ネオジム磁石を安全に取り出すこと
ができる。また、ネオジム磁石の表面の劣化が少ないた
め、ネオジム磁石の再利用が容易になる。請求項5に記
載の磁界発生装置の解体方法では、磁界発生装置を35
0゜C以上で加熱することによって、接着剤が炭化して
接着力を失い、かつネオジム磁石がほとんど磁力を失
う。したがって、ネオジム磁石の回収および取扱が容易
になる。
【0011】アクリル系接着剤は、常温で強い接着力を
有する一方、200゜C以上で加熱すれば熱変性もしく
は炭化を起こし接着力が弱まる。したがって、請求項6
に記載の磁界発生装置の解体方法のように、接着剤とし
てアクリル系接着剤を用いれば、ネオジム磁石の回収が
容易になる。三元系ネオジム磁石は、Coが含まれてい
る四元系にくらべ、そもそも高温で磁束密度および保磁
力が小さく、低い温度から熱減磁が発生し、減磁率も大
きくなる。したがって、請求項7に記載の磁界発生装置
の解体方法のように、R−Fe−B(Rは希土類元素)
の三元系ネオジム磁石を用いれば、ネオジム磁石に対し
て所望の減磁を容易に行うことができ、加熱によるリサ
イクルに適する。
【0012】同一極が板状継鉄の主面と平行方向に並ぶ
ように複数のネオジム磁石が配置される場合、減磁させ
ずに磁界発生装置を解体しようとすれば、ネオジム磁石
間の反発力により解体作業が危険となるが、請求項8に
記載の磁界発生装置の解体方法によれば、このような場
合であっても安全にネオジム磁石を回収できる。請求項
9に記載の磁界発生装置のリサイクル方法では、回収さ
れたネオジム磁石の表面を研磨することによって、表面
が浄化されネオジム磁石を再度接着させるときの接着力
を回復させることができ、ネオジム磁石のリサイクルが
可能となる。請求項10、11に記載の磁界発生装置の
リサイクル方法では、回収されたネオジム磁石を再度時
効処理することによって、ネオジム磁石の特性を確実に
復活させることができ、ネオジム磁石のリサイクルを良
好に行える。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施形態について説明する。図1および図2に、この
発明が適用されるMRI用の磁界発生装置10の一例を
示す。磁界発生装置10は、MRI装置から電気回路部
分を取り外したものであり、ほぼ磁気回路部分だけで構
成される。磁界発生装置10は、空隙を形成して対向配
置される一対の板状継鉄12aおよび12bを含む。板
状継鉄12aおよび12bの互いに対向する表面には、
それぞれ永久磁石14aおよび14bが配置され、さら
にその表面に磁極片16aおよび16bが配置される。
磁極片16aおよび16bは、それぞれ板状継鉄12a
および12bを貫通する複数の磁極片固定用ボルト18
aおよび18bによって、永久磁石14aおよび14b
上に固定される。
【0014】永久磁石14aおよび14bは、それぞれ
複数の磁石ブロック20で構成される。磁石ブロック2
0は、図3に示すように、たとえば55×50×50m
mの直方体状の複数のネオジム磁石22を、磁極を同一
方向に向けてキュービック状に固着して形成される。こ
のように均質に焼結可能な大きさのネオジム磁石22を
用いることによって、磁気特性のばらつきが少ない永久
磁石14aおよび14bが得られる。また、磁極を同一
方向に向けて各ネオジム磁石22を固着することによっ
て、磁極片16aおよび16b間において0.2T〜
0.3Tという強い磁界が得られる。図3からもわかる
ように、ネオジム磁石22どうしは垂直方向には吸引し
あうが、水平方向には同一の極がならぶことになるため
互いに反発しあう。
【0015】ネオジム磁石22としては、米国特許第
4,770,723号に記載されているたとえばR−F
e−B(組成Nd:31wt%、B:1.0wt%、残
部Feに、Al、Cu等の元素が0.3wt%以下で含
まれている)から構成される三元系ネオジム磁石が使用
される。この三元系ネオジム磁石の熱減磁曲線を、図4
に線Aで示す。なお、さらにCoを0.9wt%含んで
構成される四元系ネオジム磁石の熱減磁曲線を、図4に
線Bで示す。線Aと線Bとを比較してわかるように、三
元系ネオジム磁石は、四元系ネオジム磁石より耐熱性が
低く、低い温度から熱減磁(磁束密度および保磁力の低
下)が発生し、減磁率も大きくなる。したがって、三元
系ネオジム磁石を用いれば、ネオジム磁石22に対して
所望の減磁を容易に行うことができる。たとえば、三元
系ネオジム磁石を200゜Cに加熱すれば、減磁率は7
0%となる。
【0016】図2に戻って、永久磁石14aの各磁石ブ
ロック20は、同一の磁極(たとえばN極)を上面に向
けて密着して配置され、永久磁石14bの各磁石ブロッ
ク20は、永久磁石14aの場合とは異なる磁極(たと
えばS極)を下面に向けて密着して配置される。このよ
うに永久磁石14aと永久磁石14bとは、互いに異な
る磁極面が対向されるため、均一な磁界が形成される。
なお、永久磁石14aおよび14bは、それぞれ、各磁
石ブロック20の側面間が接着剤で接着される。
【0017】ここで、各ネオジム磁石22間、各磁石ブ
ロック20間をそれぞれ接着するために使用される接着
剤としては、アクリル系接着剤が用いられる。たとえば
エポキシ系接着剤は素早く硬化させるには加熱する必要
があるが、アクリル系接着剤であれば常温で素早く硬化
するので、ネオジム磁石22の接着に適する。したがっ
て、アクリル系接着剤を用いることによって、強い磁力
を有し互いに反発しあうネオジム磁石22を板状継鉄1
2a、12b上に容易に固定できる。一方、アクリル系
接着剤は、200゜C以上で加熱すれば熱変性を起こ
し、さらに350゜C以上で炭化し、420゜C以上で
発火し、接着力が弱まるので、ネオジム磁石22の回収
が容易になる。アクリル系接着剤としては、たとえば、
図5に示すような熱時引張剪断強度を有する、電気化学
工業社製ハードロックC−323−03が用いられる。
【0018】そして、一対の板状継鉄12aおよび12
bは、断面円形の4本の柱状継鉄24によって、所定の
間隔で対向するように支持され磁気的に接続される。こ
のようにして磁界発生装置10は、一対の磁極片16a
および16b間の空間部に均一な磁界が形成されるよう
に構成される。なお、板状継鉄12aおよび12bと柱
状継鉄24とは、ネジ26によって接続される。磁界発
生装置10のサイズは、長さ220cm、幅120c
m、高さ170cmである。磁極片16a、16b間の
距離は40cm〜50cmである。図3に示すキュービ
ック状ネオジム磁石22を、各板状継鉄12a、12b
に2段あるいは3段に積み重ねることにより、磁極片1
6a、16b間に直径30cm〜40cmの球状均一磁
界空間が形成される。磁界空間の強度は0.2T〜0.
3Tである。
【0019】このように構成される磁界発生装置10を
解体し、ネオジム磁石22をリサイクルする工程につい
て説明する。まず、病院等からMRI装置を回収し、図
6に示すような加熱炉28のある工場に搬入する。つい
で、断熱材、配線材等の電気部品、すなわち非金属部材
を取り外し、磁界発生装置10のみとする。この磁界発
生装置10を図6に示すように台車30上に載せ、加熱
炉28内部に搬入する。加熱炉28は、組み立てられた
ままの磁界発生装置10全体が収容可能な大きさを必要
とする。磁界発生装置10の寸法が、たとえば長さ×幅
×高さ=1.9×1.1×1.5m程度のとき、加熱炉
28の寸法は、間口2×2m、奥行き5m程度に設定さ
れることが望ましい。加熱炉28としては、電気炉、重
油炉が用いられるが、電気炉の方が温度調節が容易とな
る。
【0020】そして、後述のようにヒートパターンに基
づいて加熱処理し、加熱処理の終了後、自然冷却する。
その後、磁界発生装置10のボルト18a、18bをゆ
るめ、ネオジム磁石22を取り出す。先に板状継鉄12
a、12bと柱状継鉄24とを分離してからネオジム磁
石22を取り出してもよい。このとき回収されたネオジ
ム磁石22を外周面仕上げする。そして、必要に応じて
テンパ炉(図示せず)でたとえば450゜C〜600゜
Cで3時間以上時効熱処理し、磁気特性を回復させる。
ネオジム磁石22の寸法および磁気特性をチェックし、
ネオジム磁石22を再利用する。
【0021】ここで、加熱処理について詳しく説明す
る。まず、ネオジム磁石22を減磁させ、接着剤を削る
加熱処理方式について述べる。この方式で用いられる加
熱炉28としては電気炉が適する。この方式では、ネオ
ジム磁石22を磁気特性が劣化しない程度に減磁しかつ
接着剤が炭化しないような温度で加熱する。接着剤は熱
によって変質し脆くなるが、ネオジム磁石22がそのま
ま取り出せる程度ではないので、接着剤を削る必要があ
る。具体的には、200゜C〜350゜C、好ましくは
図7に線Cで示すように300゜Cまで昇温し、この温
度で5時間キープする。図4からわかるように、このと
きネオジム磁石22の磁力は、0.07T以下になる。
自然冷却後、柱状継鉄24から板状継鉄12a、12b
を取り外し、さらに板状継鉄12a、12bからそれぞ
れ磁極片16a、16bを取り外したのち、接着剤を削
ってネオジム磁石22を取り出す。接着剤を削る機械と
しては、サーフェスグラインダーを使用することができ
る。
【0022】この方式によれば、変質した接着剤を物理
的に除去するだけで、ネオジム磁石22を安全に取り出
すことができ、磁界発生装置10を安全に解体できる。
また、ネオジム磁石22の表面が劣化しないため、ネオ
ジム磁石22の表面を浄化し再着磁するだけで、ネオジ
ム磁石22を容易に再利用できる。また、400゜C以
下で加熱するので、加熱後のネオジム磁石22に対し
て、時効熱処理を施さなくてもよい。さらに、磁界発生
装置10の加熱に、加熱炉28を利用できるので、「従
来の技術」の欄で述べた関連技術の場合よりも解体コス
トを抑えることができる。
【0023】なお、接着剤が熱変性していても溶剤で溶
ける場合には、溶剤入りの槽に接着剤を入れて溶かして
もよい。溶剤としては、酢酸エチル、メチルエチルケト
ン、アセトン等が使用されるが、これらは浸透性が低い
ため、ネオジム磁石22を1週間くらい浸しておく必要
がある。一方、メチレンクロライド、エチレンクロライ
ド等の浸透性が高い溶剤を用いた場合、24時間程度で
ネオジム磁石22を回収できるが、溶剤の揮発が激しい
ため、排気設備など大がかりな設備が必要となる。
【0024】ついで、接着剤を炭化させる加熱処理方式
について述べる。この方式で用いられる加熱炉28とし
ては重油炉が適する。重油炉を用いれば加熱に必要なコ
ストが少なくてすむ。この方式では、磁界発生装置10
をキューリー温度(340°C)以上に加熱するととも
に、接着剤を炭化させることによって、磁界発生装置1
0を解体可能とする。
【0025】まず、加熱炉28内に磁界発生装置10全
体を入れて、図7の線Dで示すように、4時間かけて5
50゜Cまで昇温する。その後、その温度で5時間キー
プし、自然冷却して磁界発生装置10を取り出す。自然
冷却後、柱状継鉄24から板状継鉄12a、12bを取
り外し、板状継鉄12a、12bからそれぞれ磁極片1
6a、16bを取り外し、ネオジム磁石22を取り出
す。取り出されたネオジム磁石22の表面にはカーボン
が付着しており、ネオジム磁石22の表面が炭化および
酸化しているため、ネオジム磁石22はそのままでは再
度接着し難い。したがって、ネオジム磁石22の表面を
0.1mm〜0.5mm程度研磨して、カーボンおよび
酸化している部分を取り除く。研磨後、再度500゜C
で1時間、時効処理してネオジム磁石22としての特性
を取り戻させる。なお、加熱炉28の温度が高すぎる
と、Nd2Fe14Bなる正方晶化合物が粒成長を起こ
し、ネオジム磁石22の保磁力が低下するため、加熱温
度は1000゜C以下にする必要がある。
【0026】この方式によれば、接着剤が炭化して接着
力を失い、かつネオジム磁石22がほとんど磁力を失う
ので、ネオジム磁石22の回収および取扱が容易にな
り、磁界発生装置10を安全に解体できる。さらに、回
収されたネオジム磁石22の表面を研磨することによっ
て、ネオジム磁石22を再度接着させるときの接着力を
回復させることができる。また、ネオジム磁石22を再
度時効処理することによって、ネオジム磁石22の特性
を確実に復活させることができる。
【0027】このようにして、強力な磁界を発生する使
用済みの磁界発生装置10を解体し、リサイクルするこ
とによって、資源を有効利用できる。また、磁界発生装
置10を放置することによる危険性を解消でき、安全性
を確保できる。さらに、着磁されたままのネオジム磁石
22は非常に危険であるが、少なくとも柱状継鉄24が
板状継鉄12aまたは12bに接続された状態や、図1
に示す磁界発生装置10のままで、加熱炉28に入れて
加熱することによって、解体作業をより安全に行える。
なお、永久磁石が取り付けられた板状継鉄を柱状継鉄2
4から分離した状態で加熱炉28に入れて加熱し、解体
してもよいことはいうまでもない。
【0028】
【発明の効果】この発明によれば、ネオジム磁石を十分
に減磁させかつ接着剤の接着力を低下させるので、ネオ
ジム磁石を安全に取り出すことができ、磁界発生装置も
安全に解体できる。また、加熱すればよいので、コスト
を抑えることができる。また、回収されたネオジム磁石
の表面を研磨することによって、表面が浄化されネオジ
ム磁石を再度接着させるときの接着力を回復させること
ができ、ネオジム磁石のリサイクルが可能となる。さら
に、回収されたネオジム磁石を再度時効処理することに
よって、ネオジム磁石の特性を確実に復活させることが
でき、ネオジム磁石のリサイクルを良好に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用される磁界発生装置の一例を示
す一部省略斜視図である。
【図2】磁界発生装置の一例を示す断面図である。
【図3】磁石ブロックの一例を示す斜視図である。
【図4】ネオジム磁石の熱減磁曲線を示すグラフであ
る。
【図5】接着剤の熱時引張剪断強度を示すグラフであ
る。
【図6】加熱炉、台車を示す図解図である。
【図7】磁界発生装置を加熱するときのヒートパターン
の例を示すグラフである。
【符号の説明】
10 磁界発生装置 12a、12b 板状継鉄 14a、14b 永久磁石 16a、16b 磁極片 20 磁石ブロック 22 ネオジム磁石 24 柱状継鉄 28 加熱炉

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状継鉄と、接着剤によって結合される
    複数のネオジム磁石を含みかつ前記板状継鉄上に設けら
    れる永久磁石とを有する磁界発生装置の解体方法であっ
    て、 前記磁界発生装置を200゜C〜1000゜Cで加熱す
    る、磁界発生装置の解体方法。
  2. 【請求項2】 前記磁界発生装置は、前記板状継鉄に接
    続される柱状継鉄をさらに含む、請求項1に記載の磁界
    発生装置の解体方法。
  3. 【請求項3】 前記磁界発生装置の加熱温度が200゜
    C〜400゜Cである、請求項1または2に記載の磁界
    発生装置の解体方法。
  4. 【請求項4】 前記磁界発生装置の加熱温度が200゜
    C〜350゜Cであり、前記ネオジム磁石を減磁させた
    後、前記接着剤を除去して前記ネオジム磁石を回収す
    る、請求項1または2に記載の磁界発生装置の解体方
    法。
  5. 【請求項5】 前記磁界発生装置の加熱温度が350゜
    C〜1000゜Cであり、前記接着剤を炭化させて前記
    ネオジム磁石を回収する、請求項1または2に記載の磁
    界発生装置の解体方法。
  6. 【請求項6】 前記接着剤がアクリル系接着剤である、
    請求項1に記載の磁界発生装置の解体方法。
  7. 【請求項7】 前記ネオジム磁石がR−Fe−Bの三元
    系ネオジム磁石である、請求項1に記載の磁界発生装置
    の解体方法。
  8. 【請求項8】 同一極が前記板状継鉄の主面と平行方向
    に並ぶように前記複数のネオジム磁石が配置される、請
    求項1に記載の磁界発生装置の解体方法。
  9. 【請求項9】 板状継鉄と、接着剤によって結合される
    複数のネオジム磁石を含みかつ前記板状継鉄上に設けら
    れる永久磁石とを有する磁界発生装置のリサイクル方法
    であって、 前記磁界発生装置を200゜C〜1000゜Cで加熱し
    た後に前記ネオジム磁石を回収し、回収された前記ネオ
    ジム磁石の表面を研磨して前記ネオジム磁石を再利用す
    る、磁界発生装置のリサイクル方法。
  10. 【請求項10】 回収された前記ネオジム磁石を再度時
    効処理する、請求項9に記載の磁界発生装置のリサイク
    ル方法。
  11. 【請求項11】 板状継鉄と、接着剤によって結合され
    る複数のネオジム磁石を含みかつ前記板状継鉄上に設け
    られる永久磁石とを有する磁界発生装置のリサイクル方
    法であって、 前記磁界発生装置を200゜C〜1000゜Cで加熱し
    た後に前記ネオジム磁石を回収し、回収された前記ネオ
    ジム磁石を再度時効処理して再利用する、磁界発生装置
    のリサイクル方法。
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