JP2004083987A - 磁気異方性合金の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】希土類元素−鉄系元素からなる合金の融液を微小重力環境下で700℃/sec以下の冷却速度で一方向凝固することにより、磁気異方性を有する合金を製造する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Sm2Co17、Sm2(Fc、Co)17などの希土類磁石である希土類元素−鉄系元素からなる合金から、磁気異方性を有する合金の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高性能磁石を製造するためには、磁石合金が磁気異方性を示すことが必要の条件の一つである。希土類磁石には、Sm−Co(サマリウム−コバルト)系磁石、Nd−Fe−B(ネオジウム−鉄−ボロン)系磁石等がある。Sm−Co系磁石は、溶解−粉砕−磁界中プレス−焼結−熱処理(時効)のプロセスで作られる。Sm−Co系磁石のSmCo5では、単結晶が結晶磁気異方性を有する。Sm−Fe系磁石では、この合金中に窒素を侵入させることにより、物理的に結晶の体積が大きくなり、強い一軸磁気異方性が現れる。Nd−Fe−B系磁石は、粉末焼結法、急冷薄帯法、HDDR法、などで作製されている。もっとも一般的な方法は、鋳造や急冷薄帯法で作製した合金を微粉砕し、磁界中で粒子の磁化容易軸方向を整列させながら所定の形状にプレスする。この磁界中のプレス成形により磁気異方性が付与される。ついで焼結、熱処理、加工、表面コーティングの工程を経て着磁後、永久磁石として使用に供される(参考文献:山元 洋:電気学会誌,117,159(1997))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、磁気異方性を示さない合金に磁気異方性を付与する方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、物体の自由落下などにより得ることができる微小重力環境下でSm2Co17、Sm2(Fe、Co)17などの希土類磁石である希土類元素−鉄系元素からなる合金の融液を一方向凝固することにより、磁気異方性を付与することができる。即ち、本発明の方法は、あらかじめ原料合金を溶融しておき、微小重力環境下で合金融液の一端に未加熱の銅製などの熱伝導度の高い金属のブロックを接触させ、その接触点から凝固させる一方向凝固により、凝固組成を冷却方向に制御し、磁気異方性を付与しようとする方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる被処理原料は、Sm2Co17、Sm2(Fe、Co)17などの希土類磁石である希土類元素−鉄系元素からなる合金材料である。この材料は加熱により溶融して融液を形成するものであり、その融点は、1000℃以上であり、その具体的値は、合金の組成によるが、通常1500℃程度である。希土類元素−鉄系元素からなる合金には、サマリウム−コバルト、サマリウム−鉄、サマリウム−コバルト−鉄、ネオジウム−鉄−ボロンなどが包含される。
【0006】
本発明により磁気異方性を示す希土類元素−鉄系元素からなる合金を製造するには、先ず、所定量の各元素をアーク融解炉などで溶融(融解)し、被処理原料を作製する。その形状は円錐状、角柱状などどんな形状でもよい。これを試料台上に乗せ、電気炉で加熱し、融解する。この場合、一般的に希土類元素−鉄系元素からなる合金は酸化されやすいため、その溶融は、真空中、あるいはアルゴンなどの不活性ガス中で行なう。溶融した状態で試料を設置した装置とともに、落下塔を用いて落下し、微小重力環境にする。そして、この微小重力環境下で、試料に未加熱の銅製のブロックを接触させ、その接触点から凝固させ、微小重力環境中で一方向凝固を完結させる。このようにして得られた凝固物は磁気異方性を示す希土類元素−鉄系元素からなる合金である。
【0007】
融解時の雰囲気は真空、常圧のアルゴンやヘリウムの不活性ガス、水素などの活性ガス、又は、減圧下のこれらガスもしくは混合ガス雰囲気が原料に応じて選択される。蒸気圧の高い材料を取り扱う場合は、材料の蒸発を抑制するように高圧の不活性ガス雰囲気が選択される。また、これらの雰囲気ガスが静止あるいは流通させてもよい。被処理原料を原料に適切な雰囲気中で融点以上に加熱し、融解する。加熱温度は原料の融点以上で特に上限はないが、好ましくは融点の10から100℃程度高い温度である。
【0008】
加熱が進むにつれ、合金が完全に融解し、その状態で落下塔で自由落下させる。自由落下中に融解合金から熱を吸収するのに十分な容積の銅ブロックなどを融解合金の一端に接触させ、この点から凝固させるが、冷却速度は、毎秒700℃以下、好ましくは50〜500℃、より好ましくは200〜500℃の冷却速度で、微小重力環境下、すなわち自由落下中に溶融合金が十分凝固するように、試料量、冷却ブロックの材質、容積を選択する必要がある。なお、前記微小重力環境としては、重力加速度gが10−2以下である通常の微小重力環境が用いられる。
【0009】
本発明で得られた凝固合金は、柱状結晶が冷却方向に並んだ組織、あるいは、凝固時に初晶として析出する鉄系元素の細かいデンドライトが規則正しく冷却方向に並んだ組織からなり、磁気異方性を示し、磁気異方性を持つ希土類元素−鉄系元素からなる合金である。
【0010】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0011】
実施例1
SmとFeの原子比2:17の合金インゴットから0.3gのブロックを切り出し、その表面を研磨して表面酸化物層を取り除いた。このブロックを径が12mmのシリカガラス製の試料台に乗せ、図1の一方向凝固装置内に設置した。試料ブロックは赤外線炉でSm2Fe17の融点1480℃より高温の1550℃に0.15MPaの99.999%の純度のアルゴンガスを20sccm(3.4×10−2Pa m3/s)で流通させた状態で加熱し、30秒間保持後、490mの自由落下で得ることができる10−5gが10秒の微小重力環境下においた。微小重力環境になった2秒後、赤外線炉をへの電気の供給を止め、銅製チルを移動させて、Sm2Fe17融液の上部に接触させ、接触箇所から毎秒300℃の速度で冷却し、凝固させた。
【0012】
図2には、微小重力環境下及び重力下の地上で一方向凝固させたSm2Fe17凝固物の冷却方向に沿った面を研磨し、走査電子顕微鏡で観察した凝固組織を示してある。重力下での製品(比較品)bの組織の規則性は見られないが、微小重力環境下での製品(本発明品)aは冷却方向に沿って組織が規則性を持って並んでいることが判る。
【0013】
図3には、微小重力環境下及び重力下の地上で一方向凝固させたSm2Fe17凝固物の冷却方向に平行および直交する方向の磁化曲線を示してある。微小重力環境下で得られた本発明品aのSm2Fe17には冷却方向に平行及び直交する方向では磁化曲線に差異が見られ、磁気異方性を持つ合金であることは明らかである。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、希土類元素−鉄系元素からなる合金の融液を微小重力環境下で一方向凝固することにより、凝固合金に磁気異方性を付与することができることが明らかになった。本発明により得られる磁気異方性を持つ希土類元素−鉄系元素からなる合金は、高性能希土類磁石の原料合金として有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】一方向凝固装置を示す図である。
【図2】Sm2Fe17融液の凝固物の走査電子顕微鏡で観察した凝固組織図を示す。
(a):本発明品
(b):比較品
【図3】Sm2Fe17融液の凝固物の磁化曲線を示す。
(a):本発明品
(b):比較品
【符号の説明】
1 試料
2 シリカガラス製試料台
3 赤外線炉
4 サーモスポットセンサー
5 Rタイプ熱電対
6 銅製チル
7 アルゴンガスシリンダー
8 圧力計
9 流量計
10 銅製チル駆動装置
Claims (1)
- 希土類元素−鉄系元素からなる合金の融液を、微小重力環境下で700℃/scc以下の冷却速度で一方向凝固させることを特徴とする磁気異方性合金を製造する方法。
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JP2002245774A JP4195927B2 (ja) | 2002-08-26 | 2002-08-26 | 磁気異方性合金の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006075886A (ja) * | 2004-09-10 | 2006-03-23 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | SmFe2系超磁歪材の製造方法 |
CN100392777C (zh) * | 2004-12-14 | 2008-06-04 | 宁波大学 | 一种各向异性R-Fe-B-M永磁材料的制备方法 |
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2002
- 2002-08-26 JP JP2002245774A patent/JP4195927B2/ja not_active Expired - Lifetime
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