以下、本考案を図面に示す実施形態により説明する。
なお、説明の便宜上、本実施形態の包丁研磨機において、研磨に供する包丁のセットおよび研磨した後の包丁を取り出す操作側を「前」、操作側から見たときの前後方向における後側を「後」、左右方向における左側を「左」、右側を「右」、上下方向(鉛直方向)における上側を「上」、下側を「下」として以下に説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態の包丁研磨機1は、包丁供給部2と、包丁保持具3と、包丁移動部4と、包丁研磨部5と、制御部6と、これら包丁供給部2、包丁保持具3、包丁移動部4、包丁研磨部5および制御部6が配設されるメインフレーム7とを有している。
前記メインフレーム7は、全体として正面が横長の直方体をなす枠状に形成されている。そして、メインフレーム7の内部における前側ほぼ中央部分に包丁供給部2が配置されており、包丁供給部2の後側に包丁移動部4が配置されており、包丁移動部4の右側に包丁研磨部5が配置されている。そして、メインフレーム7の前面の左上隅部に、制御部6が配設されている。また、メインフレーム7の下部には、包丁研磨機1のレベル調節および振動吸収を兼ねたレベリングマウント9および包丁研磨機1を移動自在とする車輪10などが所望の数だけ、適宜な位置、例えば四隅(図1に3箇所のみ図示)に配設されている。
前記包丁供給部2は、複数本の包丁Wを整列して予め設定されたピックアップ位置PPに供給するためのものであり、テーブル用モータ15(図3)により間欠回転駆動される回転テーブル16(インデックステーブル)を有している。この回転テーブル16は、メインフレーム7の前方で左右方向のほぼ中央部に着脱可能に取り付けられたテーブル取付台17を備えている。そして、回転テーブル16の上面には、複数、本実施形態においては最大40本の包丁Wのそれぞれを個別に保持するための40の包丁セット台18が放射状に設置されている。また、テーブル取付台17の前面には、常時は閉状態とされた片開きする開き戸19が設けられている(図3)。
図3に示すように、本実施形態の回転テーブル16は、テーブル取付台17の天板の上方に配置された平面円板状の回転板21を有しており、この回転板21の下面の中央部には円筒状のボス(図示せず)が形成されている。このボスは、一体形成してもよいし、個別に形成したものを取り付けるようにしてもよい。そして、ボスの内孔(ボス孔)には、上下方向に延在するテーブル駆動軸22の上端部が取り付けられており、テーブル駆動軸22の下端部は、テーブル取付台17の天板に形成された厚さ方向に貫通する貫通孔を介してテーブル取付台17の内部に配置されている。
前記テーブル駆動軸22は、テーブル取付台17の天板の上面に取り付けられた上軸受ユニット23と、テーブル取付台17の底板の上面に取り付けられた下軸受ユニット24とにより、その回転軸線を上下方向に向けて回転自在に支持されている。また、テーブル取付台17の内部には、テーブル用モータ15が配置されている。このテーブル用モータ15には減速機25が取り付けられており、テーブル用モータ15の出力軸からの回転を減速して出力することができるようになっている。本実施形態において、テーブル用モータ15と減速機25とは、テーブル用モータ15が上、減速機25が下に位置するように配置されており、減速機25の出力側により付けられた取付ブラケット26がテーブル取付台17の内部に厚さ方向を上下方向に向けて配設されたモータ取付プレート27に取り付けられている。なお、減速機25の出力軸は、モータ取付プレート27の下方に突出されている。
前記減速機25の出力軸と、テーブル駆動軸22とのそれぞれには歯付きベルトプーリ28(テーブル駆動軸22に取り付けられた歯付きベルトプーリ28のみ図示)が取り付けられており、両歯付きベルトプーリ28の外周に掛け回された歯付きベルト29により、テーブル用モータ15の駆動力を減速機25で減速してテーブル駆動軸22に伝達することで、回転板21、すなわち回転テーブル16を回転駆動することができるようになっている。なお、テーブル用モータ15としては、サーボモータ、ステッピングモータなどの制御モータを挙げることができる。本実施形態においてはサーボモータが用いられている。
前記包丁セット台18は、回転テーブル16の上面に、各包丁Wの刃部Waが下を向いた状態で各包丁Wの把手Wbが半径方向外方に向くように着脱可能に保持するためのものであり、図4に示すように、各包丁セット台18は、横長直方体状に形成された細長いセットベース32を有している。このセットベース32は、図4の右斜め下側に示す先端部が回転板21の中心側に配置され、図8の左斜め上側に示す基端部が回転板21の径方向外側に配置されるようになっている。また、セットベース32は、先端部が細く形成されている。そして、セットベース32の上面の長手方向のほぼ中央部には、図4に示すように、包丁Wの刃部Waの根元近傍を支持する1対の刃部支え33が所定の間隔をおいて対向するように立設されている。
前記セットベース32の上面の刃部支え33の形成位置より基端部側には、断面逆T字状に形成された把手支え34が取り付けられており、把手支え34の上面により、包丁Wの把手Wbを下方から支持することができるようになっている。さらに、セットベース32の上面の基端部側には、包丁Wの把手Wbの刃部Waと反対の後端部を厚さ方向両側から挟持する1対の把手クリップ35が所定の間隔をおいて対向するように取り付けられており、セットベース32の基端面には、上下方向に長い平板状の背板36の基端部が取り付けられている。この背板36は、その先端部がセットベース32の上面より上方に突出されており、包丁セット台18に包丁Wをセットしたときに、包丁Wの後端を当接させることにより、包丁Wの位置決めを行うことができるようになっている。
前記各把手クリップ35は、ステンレスのばね板などにより形成された1対の弾性変形可能な挟持片35aを有しており、各挟持片35aの基端部がセットベース32の上面と把手支え34との間に挟持されている。そして、各挟持片35aの上部には、把手Wbが挿入されるクリップ部35bが形成されている。このクリップ部35bの相互間の間隔は、包丁Wの把手Wbの厚さより狭い間隔とされており、把手Wbが上方から挿入されることで各クリップ部35bが拡開して把手Wbをその厚さ方向の両側から挟持できるようになっている。また、把手Wbを持ち上げることで、把手クリップ35から把手Wb、ひいては包丁Wが容易に外れるようになっている。
前記セットベース32の下方には、回転板21への取り付けに用いる取付板37が配置されている。この取付板37の下面には、回転板21への取り付け位置を規制する3本の位置決めピン38(図4に2本のみ図示)がその先端を下方に向けて取り付けられている。これらの位置決めピン38のそれぞれは、回転板21に形成された対応する位置決め孔21a(図3)に嵌合されている。
前記セットベース32の下面と取付板37の上面との間には、3本の圧縮コイルばね39が配設されており、これら圧縮コイルばね39のばね力により、取付板37の上面に対してセットベース32が支持ピンとこの支持ピンが移動可能に移動可能に挿入されるガイド孔(共に図示せず)とによって上下動のみ可能に形成されている。これにより、包丁セット台18に上方から加わる外力を圧縮コイルばね39の軸方向への収縮によって吸収することができるようになっている。なお、セットベース32と取付板37とは上下方向に移動可能に連結されている。
前記回転テーブル16の回転板21は、図1および図2に示すように、そのほぼ前半分がメインフレーム7より手前側に突出するようにメインフレーム7に配置されており、この突出部分の上面は、包丁Wを回転テーブル16にセットしたり、回転テーブル16から包丁を取り外したりする操作位置とされている。また、回転テーブル16の上面の後側が、本実施形態における包丁セット台18に保持された包丁Wを研磨に供するために包丁保持具3によりピックアップするピックアップ位置PPとされている。そして、回転テーブル16上の1本の包丁Wが前記ピックアップ位置PPに位置したことは、センサとしてのピックアップ用センサ41により検出されるようになっている。このピックアップ用センサ41としては、光センサ、近接センサ、視覚センサなどの非接触式センサや、リミットスイッチなどの接触式センサを挙げることができる。本実施形態においては、光センサが用いられている。また、本実施形態のピックアップ用センサ41は、メインフレーム7の前面における回転テーブル16の上方に配置された横フレーム7aの左右方向のほぼ中央部に取り付けられている。すなわち、本実施形態におけるピックアップ用センサ41は、ピックアップ位置PPの手前上方に配置されている。なお、ピックアップ用センサ41の取付位置は、他の部品が干渉せずに、包丁Wがピックアップ位置PPに位置したことを検出することのできる位置であればよい。
前記包丁保持具3は、回転テーブル16上のピックアップ位置PPに供給された1本の包丁Wの把手Wbを挟持して保持するためのものである。この包丁保持具3は、図5に示すように、保持ベース43と、開閉自在なチャック44とを備えている。このチャック44としては、例えば、包丁Wの把手Wbのうちの刃部側の前部を挟持する相互に対向配置された相互に接離する1対のチャック44片と、包丁Wの把手Wbのうちの刃部Waと反対の後側を挟持する相互に対向配置された相互に接離する1対のチャック44片とを有している。これらのチャック片44の接離動作は、往復動シリンダ45(図8)により行われるように形成されている。このようなチャック44については、従来のものと同様に形成されているので、その詳しい説明については省略する。
前記包丁移動部4は、包丁保持具3を予め設定された研磨用移動パターンに基づいて移動させるためのものである。本実施形態の包丁移動部4としては、多軸ロボット、詳しくは6軸ロボット47が用いられている。この6軸ロボット47としては、MOTOMAN−MH5(株式会社安川電機製:垂直多関節型)を挙げることができる。そして、6軸ロボット47のアーム48の先端に包丁保持具3が取り付けられている(図12)。この包丁移動部4は、ピックアップ位置PPにおいて包丁保持具3が挟持して保持した包丁Wを、予め設定された研磨用移動パターンに基づいて移動させることができるようになっている。また、包丁移動部4としての6軸ロボット47は、その基部がメインフレーム7の後側、すなわち、テーブル取付台17の後側に着脱可能に取り付けられている。なお、包丁移動部4のその他の構成については、従来のものと同様とされているので、その詳しい説明は省略する。
前記包丁研磨部5は、包丁Wの研磨に供するものであり、研磨用モータ51(図8)により回転可能とされ、包丁Wの刃部Waに回転しながら摺接して刃部Waを研磨する研磨材52を備えている。
図7に示すように、本実施形態の研磨材52としては、円環状の回転砥石53が用いられている。この回転砥石53は、研磨ヘッド54にその回転軸線を水平にして左右方向に水平に延在する砥石回転軸55の両端に着脱可能に装着されて保持されている。また、図7に示す砥石回転軸55の左側(図7の正面)に装着された回転砥石53は、粗研磨用の回転砥石53a(組砥石)とされており、砥石回転軸55の右側に装着された図示しない回転砥石は、仕上げ研磨用の回転砥石(仕上げ砥石)とされている。そして、砥石回転軸55は、研磨ヘッド54にその軸線方向を左右方向に向けて配設された研磨用モータ51の駆動力によって回転駆動可能に形成されている。すなわち、研磨ヘッド54は、2つの回転砥石53(符号53は、粗研磨用の回転砥石53aと、図示しない仕上げ研磨用の回転砥石とを総称する。)と、砥石回転軸55と、研磨用モータ51とを備えている。
前記研磨ヘッド54は、反転モータ56の駆動力によりその回転軸線を上下方向に向けて回動可能とされたヘッド回動軸57により、研磨台58の上面に回動自在に支持されている。このヘッド回動軸57は、研磨台58の上面に配設された図示しない上軸受ユニットと、図7に示す研磨台58の内部に配設された下軸受ユニット59とにより、その長手方向を上下方向に向けて回転自在に支持されている。そして、研磨台58は、メインフレーム7の後方右側、すなわち、テーブル取付台17の右側後側に着脱可能に取り付けられている。なお、本実施形態の包丁研磨部5は、図示しないクーラントを研磨部分に供給するクーラント循環供給装置を備えている。また、反転モータ56とヘッド回動軸57とのそれぞれには、歯付きベルトプーリが取り付けられており、両歯付きベルトプーリの外周に掛け回された歯付きベルトにより、反転モータ56の駆動力をヘッド回動軸5に伝達することで研磨ヘッド54を反転することができるようになっている。なお、研磨ヘッド54のその他の構成については、従来のものと同様とされているので、その詳しい説明は省略する。
前記制御部6は、包丁研磨機1の各部の動作の制御を司るためのものであり、図8に示すように、少なくとも演算部として機能するCPU61(MPUであってもよい)、プログラムやデータを記憶する記憶部として機能するメモリ62および図示しないコントローラなどを有している。この制御部6は、情報の入力および表示に用いるタッチパネルとされた操作パネル64ととともに、収納ケース65(図1、図2)に収納されている。
前記制御部6には、少なくともテーブル用モータ15、研磨用モータ51、反転モータ56を含む各種の電動駆動機器類、図示しない電磁弁などの電気操作される動作制御機器類、ピックアップ用センサ41を含む図示しない各種のセンサ類、操作パネル64などが電気的に接続されており、制御部6のCPU61から送出される制御指令により、各部の動作制御が行われるようになっている。勿論、各部の動作制御は、操作パネル64から入力される各種の入力情報、メモリ62に予め記憶されている入力情報に対応するプログラムおよびデータに基づいて実行される。なお、操作パネル64には、運転スイッチ、停止スイッチ、非常停止スイッチなどの各種スイッチ類、データの入力に用いる数値ボタンなどが配設されている。
前記メモリ62には、包丁研磨機1の電源投入時のイニシャライズ動作を行うプログラムや研磨動作などに必要な各種のデータおよびプログラムなども記憶されている。そして、メモリ62に記憶されている研磨動作などに必要な各種のデータおよびプログラムとしては、ピックアップ用センサ41からの検出信号の送出を受けて回転テーブル16の回転を停止させるものや、包丁Wの種類毎に設定された包丁移動部4による包丁保持具3と共に移動する包丁Wの研磨用移動パターン(包丁Wの移動パターン)、粗研磨を終了した後に仕上げ研磨を行うように反転モータ56を駆動させて研磨ヘッド54を反転させるように反転モータ56を制御するもの、クーラント循環供給装置の動作を制御するものなどを挙げることができる。
なお、制御部6としては、包丁供給部2、包丁保持具3、包丁移動部4および包丁研磨部5のそれぞれに個別の個別制御部を設け、制御部6により全体を制御するようにしてもよい。
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の包丁研磨機1による包丁Wの研磨動作は、包丁研磨機1に電源を投入し、操作パネル64から研磨に供する包丁Wの種類、数などの情報を入力するとともに、包丁研磨機1の前側において人手などにより回転テーブル16の上面に配設された包丁セット台18に、研磨に供する所定数の包丁Wを支持するようにセットする。この時、包丁Wの後端を背板36に当接させることにより、包丁Wの位置決めが行われる。
ついで、操作パネル64の運転スイッチを操作すると、テーブル用モータ15が駆動して回転テーブル16が予め設定された回転角度で間欠回転駆動を開始する。そして、包丁セット台18に保持された包丁Wがピックアップ位置PPに到達すると、ピックアップ用センサ41により、研磨に供する包丁Wがピックアップ位置PPに供給されたことが検出され、テーブル用モータ15が停止して回転テーブル16が停止する。
ついで、回転テーブル16が停止すると、6軸ロボット47が駆動して包丁保持具3を予め設定された初期位置(ホームポジション)からピックアップ位置PPに移動する。この初期位置としては、回転テーブル16の上面の後側上方位置を挙げることができる。そして、ピックアップ位置PPに包丁保持具3が移動すると、往復動シリンダ45が作動して開状態とされたチャック44を閉状態とすることでチャック44に包丁Wの把手Wbが挟持される。そして、チャック44が包丁Wの把手Wbを挟持すると包丁Wは安定して包丁保持具3に保持され、研磨時の外力に耐えられるように強固にチャッキングされる。
ついで、チャック44に包丁Wの把手Wbが保持されると、6軸ロボット47のさらなる駆動により、包丁Wが包丁セット台18から離間して粗研磨用の回転砥石53に向かって移動する。また、包丁Wが組研磨用の回転砥石53に向かって移動する途中で研磨用モータ51が駆動して2つの回転砥石53が回転するとともに、図示しないクーラント循環供給装置が駆動してクーラントを組研磨用の回転砥石53に供給する。
ついで、6軸ロボット47のさらなる駆動により、包丁Wの刃部Waを回転している粗研磨用の回転砥石53の端面に接触させて粗研磨は行われる。
ここで、包丁Wの研磨について図9により説明する。
まず、包丁Wの研磨開始位置(研ぎ始め位置)は、例えば、包丁Wの刃部Waの長さが回転砥石53の直径より長い場合には、刃部Waの刃先と刃元との両者が回転砥石53に接触するので、刃先が回転砥石53に接触しないように、回転砥石53の研磨面に対する包丁Wの接触角度を設定する。実際には図9(a)に示すように、包丁Wの把手Wbを回転砥石53の回転軸線に沿って移動させ、刃元側の接触部が支点となり刃先が砥石から離れるようにする。
ついで、図9(b)に示すように、刃先が回転砥石53に接触しない位置まで回転軸線に対して直交する方向に引きながら徐々に把手Wbの角度を付ける。
ついで、図9(c)に、示すように、刃先が回転砥石53に接触しない位置まで移動したら、回転砥石53の斜線にて示す研磨使用部に常に面で接触するように、包丁Wのしなりに合わせて把手Wbの角度(向き)を変化させる。
ついで、図9(d)、(e)に示すように、刃先が常に面接触するように包丁Wを移動する。この時、把手Wbの角度調整が刃先を面接触させる角度と合わないと、回転砥石53の外周、内周のいずれかに点接触するので、研磨面が均等にならないことになる。
したがって、包丁Wを研磨する場合、回転砥石53に対する包丁Wの角度は、包丁Wの長さ、厚み、刃部Waのしなりにより設定されている。
前記包丁研磨機1による包丁Wの研磨動作に戻って、前述したように、包丁Wの組研磨が終了すると、6軸ロボット47のさらなる駆動により、包丁保持具3が一時退避位置に移動するとともに、クーラント循環供給装置の駆動が停止する。
ついで、包丁Wが粗研磨用の回転砥石53aから離間し、クーラントの供給が停止すると、反転モータ56が駆動して2つの回転砥石53の位置を反転する。これにより、粗研磨用の回転砥石53aが配置されていた箇所に、仕上げ研磨用の回転砥石が配置される。
ついで、2つの回転砥石53が反転したら、研磨用モータ51が駆動して2つの回転砥石53が回転するとともに、図示しないクーラント循環供給装置を駆動してクーラントを仕上げ研磨用の回転砥石に供給する。
ついで、6軸ロボット47のさらなる駆動により、粗研磨が終了した包丁Wの刃部Waを回転している仕上げ研磨用の回転砥石の端面に接触させて仕上げ研磨を行う。そして、仕上げ研磨を終了したら、6軸ロボット47のさらなる駆動により、包丁保持具3を回転砥石53から離れた一時退避位置に移動するとともに、クーラント循環供給装置を停止する。
ついで、包丁Wが一時位置に退避したら、6軸ロボット47のさらなる駆動により、包丁Wの前後を反転する。
ついで、包丁Wの前後が反転すると、研磨用モータ51が逆回転駆動して2つの回転砥石53を逆回転するとともに、図示しないクーラント循環供給装置が駆動してクーラントを仕上げ研磨用の回転砥石53に供給する。
ついで、6軸ロボット47のさらなる駆動により、包丁Wを回転している仕上げ研磨用の回転砥石53に接触させてかえり(バリ)除去用の仕上げ研磨を行う。
ついで、かえり除去用の仕上げ研磨が終了したら、6軸ロボット47のさらなる駆動により、研磨を終了した包丁Wをピックアップ位置PPに向かって移動するとともに、研磨用モータ51およびクーラント循環供給装置を停止する。
ついで、6軸ロボット47のさらなる駆動により、包丁Wをピックアップ位置PPに向かって移動する途中で包丁Wの前後方向を反転し、ピックアップ位置PPに停止している包丁セット台18に戻す。また、包丁Wが回転砥石53から離間したら、反転モータ56を駆動して2つの回転砥石53の位置を元の位置に戻す。
ついで、包丁Wがピックアップ位置PPに停止している包丁セット台18に戻すと、往復動シリンダ45が作動し閉状態とされたチャック44を開状態とすることでチャック44による包丁Wの把手Wbの挟持を解放する。
ついで、チャック44による包丁Wの把手Wbの挟持を解放すると、6軸ロボット47のさらなる駆動により、包丁保持具3をピックアップ位置PPから初期位置に戻すとともに、テーブル用モータ15を駆動して回転テーブル16を予め設定された回転角度で間欠回転駆動する。以下、同様にして、予め設定された本数の包丁Wの研磨が順次行われる。
なお、上記の研磨動作は、筋切り包丁Wの研磨を例示している。また、上記の研磨動作は、操作パネル64から入力された入力情報、ピックアップ用センサ41を含む各種のセンサ、制御部6のメモリ62に記憶されているプログラムおよびデータに基づいて実行される。
このように、本実施形態の包丁研磨機1によれば、回転テーブル16上に複数本の包丁Wを支持しておけば、多軸ロボットとしての6軸ロボット47により包丁保持具3が回転テーブル16上に支持されているピックアップ位置PPにある1本の包丁Wの把手Wbを保持し、6軸ロボット47により包丁保持具3に保持されている包丁Wを研磨材52としての回転砥石53の端面に摺接するように移動させて包丁Wの刃部Waの研磨を行い、研磨が終わった包丁Wは回転テーブル16上の元の位置に戻すことができるし、その後、回転テーブル16をテーブル用モータ15により微小角度回転駆動させてつぎの包丁Wを包丁保持具3により保持し、この包丁Wの刃部Waの研磨を行うことができるので、複数の包丁Wを順次研磨することができる。
また、本実施形態の包丁研磨機1によれば、回転テーブル16上の1本の包丁Wがピックアップ位置PPに位置したことを検出するセンサとしてのピックアップ用センサ41を備え、このピックアップ用センサ41からの信号により回転テーブル16を停止するようにテーブル用モータ15を制御する制御部6を有しているから、ピックアップ用センサ41が、ピックアップ位置PPに位置する包丁Wを検出するまで回転テーブル16を回転させ、ピックアップ位置PPに位置した包丁Wを検出したら、回転テーブル16を停止して、6軸ロボット47により包丁保持具3が回転テーブル16上に支持されているこの包丁Wの把手Wbを保持し、研磨動作を行うことができる。
さらに、本実施形態の包丁研磨機1によれば、多軸ロボットが6軸ロボット47とされているから、6軸ロボット47により包丁保持具3の動きを微妙に制御して、包丁保持具3が保持している包丁Wを刃部Waの研磨に最適な状態に制御することができる。
さらにまた、本実施形態の包丁研磨機1によれば、回転テーブル16の上面に、各包丁Wの刃部Waが下を向いた状態で各包丁Wの把手Wbが半径方向外方に向くように着脱可能に保持する複数の包丁セット台18が放射状に配置されているから、複数本の包丁Wを確実かつ容易に放射状に保持することができるし、包丁保持具3により包丁Wの把手Wbを保持しやすくできる。
また、本実施形態の包丁研磨機1によれば、研磨材52は円環状の回転砥石53とされ、その平坦な端面により包丁Wを研磨するように研磨用モータ51により回転駆動される砥石回転軸55にその回転軸線を水平にして保持されているから、研磨材としての回転砥石53の平坦な端面を利用して包丁Wの刃部Waの研磨を行うことができる。
さらに本実施形態の包丁研磨機1によれば、包丁研磨部5は、反転モータ56の駆動力によりその回転軸線を鉛直方向にして回動可能とされた研磨ヘッド54を備え、この研磨ヘッド54に、研磨用モータ51および砥石回転軸55が配設され、砥石回転軸55の一端には粗研磨用の回転砥石53が保持され、他端には仕上げ研磨用の回転砥石53が保持されているから、包丁Wの刃部Waを粗研磨用の回転砥石53による粗研磨を実行した後に、反転モータ56を駆動させて研磨ヘッド54を反転させることで仕上げ用の回転砥石53による仕上げ研磨を実行することができるので、1本の包丁Wの刃部Waに対する粗研磨とこれに続く仕上げ研磨とを容易かつ確実にこの順に行うことができる。
なお、本考案は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。