JP3179764U - 孔ダレ防止用磨き治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】各種の孔の開口部を有する表面を、該孔の周縁付近を含めて未熟練者であっても、短時間で確実に平滑な面に磨ける孔ダレ防止用磨き治具を提供する。
【解決手段】被磨き物Kにおいて孔hの開口部を有する表面fを磨く際に用いる孔ダレ防止用磨き治具1であって、上記孔hの内側に挿入される円柱形の治具本体2と、該治具本体2の上端に位置し且つ上記被磨き物Kの表面fと面一となる平面視が円形のダミー磨き面3と、該ダミー磨き面3の周辺から外側に突出し且つ上記被磨き物Kの表面fに接触する掛け止め面6と、上記ダミー磨き面3から治具本体2の軸方向に沿って立設した摘みピン7と、を備え、該摘みピン7の底面の一部は、上記掛け止め面6が兼ねている、孔ダレ防止用磨き治具1。
【選択図】 図6
【解決手段】被磨き物Kにおいて孔hの開口部を有する表面fを磨く際に用いる孔ダレ防止用磨き治具1であって、上記孔hの内側に挿入される円柱形の治具本体2と、該治具本体2の上端に位置し且つ上記被磨き物Kの表面fと面一となる平面視が円形のダミー磨き面3と、該ダミー磨き面3の周辺から外側に突出し且つ上記被磨き物Kの表面fに接触する掛け止め面6と、上記ダミー磨き面3から治具本体2の軸方向に沿って立設した摘みピン7と、を備え、該摘みピン7の底面の一部は、上記掛け止め面6が兼ねている、孔ダレ防止用磨き治具1。
【選択図】 図6
Description
本考案は、例えば、金型のキャビティにおいて孔の開口部を含む表面を平滑に磨くに際し、上記孔の開口部の周縁に通称ダレを生じないようするために用いる孔ダレ防止用磨き治具に関する。
例えば、金属素材を加工するためのダイスなどの金型における異形形状の孔を研磨するため、テーパ状の異形孔のアプローチ部を有する環状のダイス(金型)に対し、外周側から中心部に向かって側圧を加えて、上記アプローチ部の内周面と、該アプローチ部の内側に挿入した棒状の研磨治具との間に押し付け力を作用させつつ、研磨剤を両者の間に投入して、上記研磨治具を軸方向に沿って往復運動させて研磨すると共に、かかる研磨を上記アプローチ部の全内周面に対して施せるようした異形孔研磨装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、例えば、ダイカスト用金型のキャビティには、成形される製品を取り出すための入れ子ピンや押出ピンが出没する複数の孔が開口しており、係る複数の孔の開口部を含む該キャビティの表面を平滑に磨くため、熟練した作業者がサンドペーパーや平砥石などで仕上げる磨き作業を長時間に渉り行っている。
その際、上記表面のうち、上記孔の周縁付近には、該表面と孔の内壁面との間のコーナーに断面で直角のエッジが得られず、該孔の内壁面側に向かってアール状に垂れたいわゆるダレが生じてしまう場合が多々あった。該ダレが形成された孔の開口部付近では、例えば、製品に余分なバリが生じるなどの不具合を招く、という問題があった。上記のような孔の開口部を含む金属の表面を磨くに際し、上記ダレを生じることなく、確実に仕上げの磨きすることは、著しく困難であり、かかる問題点を解決するための技術は、これまで開示されていなかった。
その際、上記表面のうち、上記孔の周縁付近には、該表面と孔の内壁面との間のコーナーに断面で直角のエッジが得られず、該孔の内壁面側に向かってアール状に垂れたいわゆるダレが生じてしまう場合が多々あった。該ダレが形成された孔の開口部付近では、例えば、製品に余分なバリが生じるなどの不具合を招く、という問題があった。上記のような孔の開口部を含む金属の表面を磨くに際し、上記ダレを生じることなく、確実に仕上げの磨きすることは、著しく困難であり、かかる問題点を解決するための技術は、これまで開示されていなかった。
本考案は、背景技術において説明した問題点を解決し、各種の孔の開口部を有する表面を、該孔の周縁付近を含めて未熟練者であっても、短時間で確実に平滑な面に磨ける孔ダレ防止用磨き治具を提供する、ことを課題とする。
本考案は、前記課題を解決するため、考案者らによる鋭意研究の結果、磨くべき表面に含まれる孔の開口部内に、ダミーの表面が前記磨くべき表面と同じレベルで常に位置するようにする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本考案の孔ダレ防止用磨き治具(請求項1)は、被磨き物において孔の開口部を有する表面を磨く際に用いる孔ダレ防止用磨き治具であって、上記孔の内側に挿入される円柱形の治具本体と、該治具本体の上端に位置し且つ上記被磨き物の表面と面一となる平面視が円形のダミー磨き面と、該ダミー磨き面の周辺から外側に突出し且つ上記被磨き物の表面に接触する少なくとも一つの掛け止め面と、上記ダミー磨き面から治具本体の軸方向に沿って立設した少なくとも一つの摘みピンと、を備えている、ことを特徴とする。
即ち、本考案の孔ダレ防止用磨き治具(請求項1)は、被磨き物において孔の開口部を有する表面を磨く際に用いる孔ダレ防止用磨き治具であって、上記孔の内側に挿入される円柱形の治具本体と、該治具本体の上端に位置し且つ上記被磨き物の表面と面一となる平面視が円形のダミー磨き面と、該ダミー磨き面の周辺から外側に突出し且つ上記被磨き物の表面に接触する少なくとも一つの掛け止め面と、上記ダミー磨き面から治具本体の軸方向に沿って立設した少なくとも一つの摘みピンと、を備えている、ことを特徴とする。
これによれば、前記治具本体が被磨き物の孔に挿入されると、掛け止め面が該孔の開口部を囲む被磨き物の表面に接触し、且つダミー磨き面が被磨き物の該表面と面一の状態となる。かかる状態で、例えば、回転工具における回転軸の先端側に渦巻き状に巻き付けたサンドペーパーや、あるいは前後に高速で往復運動するセラミック製の平板状砥石を、被磨き物の表面と本研磨用治具のダミー磨き面とに渉って連続して押し付け、且つ治具本体を順次回転させたり、上記砥石を往復運動させつつ移動させることで、これらの被磨き物の表面と孔ダレ防止用磨き治具のダミー磨き面とを均一な押し付け力によって磨くことができる。あるいは、上記の状態で、被磨き物の表面と本研磨き治具のダミー磨き面とに対して、ショットマシンから多数のサンドやショットを吹き付け、且つ治具本体を順次移動させることによって、これらの被磨き物の表面と本磨き治具のダミー磨き面とに対し均一な条件で表面硬化処理を施すことができる。
その結果、被磨き物の表面と本磨き治具のダミー磨き面とが同じ条件で磨きないし硬化処理されるので、被磨き物の表面に開口する孔の周縁付近において、直角のエッジを確実に形成し、且つ該角部をアール状に潰すダレ(通称)の発生を、素人などの未熟練者でも確実に防止できる。
従って、例えば、入れ子ピンや押出ピンが出没する複数の孔が開口する金型のキャビティにおける成形面(表面)の磨きや表面硬化処理を、能率良く且つ低コストにより安定して施すことが可能となる。
その結果、被磨き物の表面と本磨き治具のダミー磨き面とが同じ条件で磨きないし硬化処理されるので、被磨き物の表面に開口する孔の周縁付近において、直角のエッジを確実に形成し、且つ該角部をアール状に潰すダレ(通称)の発生を、素人などの未熟練者でも確実に防止できる。
従って、例えば、入れ子ピンや押出ピンが出没する複数の孔が開口する金型のキャビティにおける成形面(表面)の磨きや表面硬化処理を、能率良く且つ低コストにより安定して施すことが可能となる。
尚、前記磨きには、人手で掴んだサンドペーパーやセラミック製の平板状砥石を用いて、孔の開口部を含む表面を磨く通称磨きの他、回転する砥石を含むグラインダー、バフ研磨機、あるいはショットなどの砥粒を吹き付けるブラスト処理も含まれる。
また、前記被磨き物には、例えば、各種の金型(ダイカスト金型、プラスチック金型など)などが含まれる。
更に、前記被磨き物の表面は、例えば、入れ子ピンや押出ピンが出没する孔が開口するキャビティや、スライドピンがスライド可能に貫通する孔が開口する型合わせ面などである。
また、前記治具本体の外径は、約1mm〜50mmの範囲にあり、係る治具本体と被磨き物の表面に開口する孔とのクリアランスは、約10〜50μmである。
更に、前記治具本体の軸方向の長さは、少なくとも1mm以上を要するが、孔の内径に応じて約2,3mmやそれ以上の長さであっても良い。
また、掛け止め面は、後述するように、摘みピンの底面の一部が兼ねている形態のほか、ダミー磨き面の周辺に形成された単数または複数の独立した掛け止め片の底面であっても良い。
更に、前記摘みピンの周面には、指により摘み易くするため、ピン本体の円周方向に沿ったリング溝、あるいはローレット掛けによって形成されクロスハッチング模様のような帯状の滑り止め領域などが形成されている。
また、前記治具本体および摘みピンは、被磨き物を構成する材料と同じ金属、同種の金属、硬質樹脂(例えば、エンジニアリングプラスチック)、あるいは、複合材料などからなり、且つ被磨き物を構成する材料の硬度と同等以上の材料によって構成される。
更には、前記治具本体および後述するガイド部を硬質樹脂またはセラミックにより成形し、これに金属製の摘みピンの基部を接着や射出成形時や焼成前の埋め込みなどにより一体化しても良い。かかる形態の場合、摘みピンの基部の断面は、非円形状が望ましい。
加えて、独立した摘みピン、あるいは底面の一部が掛け止め面を兼ねる摘みピンの数は、1個に限らず、2個以上(複数)とし、且つこれらをダミー磨き面において互いにほぼ対称な位置に配置した形態としても良い。
また、前記被磨き物には、例えば、各種の金型(ダイカスト金型、プラスチック金型など)などが含まれる。
更に、前記被磨き物の表面は、例えば、入れ子ピンや押出ピンが出没する孔が開口するキャビティや、スライドピンがスライド可能に貫通する孔が開口する型合わせ面などである。
また、前記治具本体の外径は、約1mm〜50mmの範囲にあり、係る治具本体と被磨き物の表面に開口する孔とのクリアランスは、約10〜50μmである。
更に、前記治具本体の軸方向の長さは、少なくとも1mm以上を要するが、孔の内径に応じて約2,3mmやそれ以上の長さであっても良い。
また、掛け止め面は、後述するように、摘みピンの底面の一部が兼ねている形態のほか、ダミー磨き面の周辺に形成された単数または複数の独立した掛け止め片の底面であっても良い。
更に、前記摘みピンの周面には、指により摘み易くするため、ピン本体の円周方向に沿ったリング溝、あるいはローレット掛けによって形成されクロスハッチング模様のような帯状の滑り止め領域などが形成されている。
また、前記治具本体および摘みピンは、被磨き物を構成する材料と同じ金属、同種の金属、硬質樹脂(例えば、エンジニアリングプラスチック)、あるいは、複合材料などからなり、且つ被磨き物を構成する材料の硬度と同等以上の材料によって構成される。
更には、前記治具本体および後述するガイド部を硬質樹脂またはセラミックにより成形し、これに金属製の摘みピンの基部を接着や射出成形時や焼成前の埋め込みなどにより一体化しても良い。かかる形態の場合、摘みピンの基部の断面は、非円形状が望ましい。
加えて、独立した摘みピン、あるいは底面の一部が掛け止め面を兼ねる摘みピンの数は、1個に限らず、2個以上(複数)とし、且つこれらをダミー磨き面において互いにほぼ対称な位置に配置した形態としても良い。
また、本考案には、前記摘みピンの底面の一部は、前記掛け止め面が兼ねている、孔ダレ防止用磨き治具(請求項2)も含まれる。
これによれば、前記ダミー磨き面の周辺部に立設された摘みピンの底面のうち、治具本体の外側に突出した部分が前記掛け止め面を兼ねているので、全体の外観が治具本体および摘みピンだけによるシンプルなデザインとなる。その結果、前記被磨き物の表面と孔ダレ防止用磨き治具のダミー磨き面とに渉って磨きを施す際に、サンドペーパーなどの磨き材の操作の邪魔になりにくくなると共に、治具本体の回転を促進し易くすることも可能となる。
尚、前記摘みピンの底面とは、該ピンの断面が円形の場合は、同じ円形の仮想面であり、該底面のうち治具本体の外側に突出した底面視でほぼ三日月形状を呈する一部の底面が、前記掛け止め面を兼ねている。
これによれば、前記ダミー磨き面の周辺部に立設された摘みピンの底面のうち、治具本体の外側に突出した部分が前記掛け止め面を兼ねているので、全体の外観が治具本体および摘みピンだけによるシンプルなデザインとなる。その結果、前記被磨き物の表面と孔ダレ防止用磨き治具のダミー磨き面とに渉って磨きを施す際に、サンドペーパーなどの磨き材の操作の邪魔になりにくくなると共に、治具本体の回転を促進し易くすることも可能となる。
尚、前記摘みピンの底面とは、該ピンの断面が円形の場合は、同じ円形の仮想面であり、該底面のうち治具本体の外側に突出した底面視でほぼ三日月形状を呈する一部の底面が、前記掛け止め面を兼ねている。
更に、本考案には、前記摘みピンは、前記ダミー磨き面における周辺部および中心部の少なくとも一方から立設されている、孔ダレ防止用磨き治具(請求項3)も含まれる。
これによれば、例えば、被磨き物の表面に開口する孔の内径が比較的大きい場合には、比較的大径のダミー磨き面の中心部に独立の摘みピンを立設し、且つ該ダミー磨き面の周辺部に、底面の一部が外側に突出して掛け止め面となる単数または複数の掛け止め片を設けることで、被磨き物の表面と本磨き治具のダミー磨き面とに渉る磨き作業と、治具本体の回転とを平行して容易に行える。
一方、被磨き物の表面に開口する孔の内径が比較的小さい場合には、比較的小径のダミー磨き面の周辺部に、底面の一部が掛け止め面が兼ねる単一の前記摘みピンを設けることで、磨き作業と、治具本体の回転とを平行して容易に行える。
尚、摘みピンは、比較的大径のダミー磨き面の中心部に独立して立設すると共に、該ダミー磨き面の周辺部に底面の一部が掛け止め面が兼ねて複数個が立設する形態としても良い。
これによれば、例えば、被磨き物の表面に開口する孔の内径が比較的大きい場合には、比較的大径のダミー磨き面の中心部に独立の摘みピンを立設し、且つ該ダミー磨き面の周辺部に、底面の一部が外側に突出して掛け止め面となる単数または複数の掛け止め片を設けることで、被磨き物の表面と本磨き治具のダミー磨き面とに渉る磨き作業と、治具本体の回転とを平行して容易に行える。
一方、被磨き物の表面に開口する孔の内径が比較的小さい場合には、比較的小径のダミー磨き面の周辺部に、底面の一部が掛け止め面が兼ねる単一の前記摘みピンを設けることで、磨き作業と、治具本体の回転とを平行して容易に行える。
尚、摘みピンは、比較的大径のダミー磨き面の中心部に独立して立設すると共に、該ダミー磨き面の周辺部に底面の一部が掛け止め面が兼ねて複数個が立設する形態としても良い。
また、本考案には、前記治具本体の下端側には、先端側が一層細径となる円錐形状のテーパ面、あるいは半球状面を有するガイド部が延出している、孔ダレ防止用磨き治具(請求項4)も含まれる。
これによれば、前記治具本体を被磨き物の孔に容易に挿入することができる。
尚、上記ガイド部の円錐形状のテーパ面は、先端面が平坦で且つ該先端面の周辺と治具本体の下端側との間に先端側ほど小径となる円錐状の斜面である。また、上記ガイド部の半球状面には、ほぼ半球面のほか、ほぼ半楕円球面も含まれる。
これによれば、前記治具本体を被磨き物の孔に容易に挿入することができる。
尚、上記ガイド部の円錐形状のテーパ面は、先端面が平坦で且つ該先端面の周辺と治具本体の下端側との間に先端側ほど小径となる円錐状の斜面である。また、上記ガイド部の半球状面には、ほぼ半球面のほか、ほぼ半楕円球面も含まれる。
加えて、本考案には、前記ダミー磨き面には、該ダミー磨き面に開口し且つ前記治具本体の軸方向に沿っていると共に、前記摘みピンの底面から軸方向に延びた埋込軸を受け入れる挿入孔が形成されている、孔ダレ防止用磨き治具(請求項5)も含まれる。
これによれば、全体が円柱形で且つ軸方向の一端に前記ガイド部となるテーパ面などを有する治具本体と、該治具本体に比べて細径の摘みピンとを切削加工などによって容易に製作できると共に、前者のダミー磨き面における所定の位置に開設した挿入孔に摘みピン側の埋込軸を接着剤などを介して挿入することで、本磨き治具を精度良く組立てられる。しかも、多様な内径の孔に対応した多種種の治具本体に対し、これらよりも少ない種類の摘みピンを適用することもできる。
尚、前記摘みピンの底面から延びた埋込軸、あるいは前記掛け止め面を含む摘みピンの底面をから延びた埋込軸の周面には、治具本体側の挿入孔との間に充填される工業用接着剤の一部を受け入れる環状溝が形成されている。
また、前記治具本体と一部に掛け止め面を含む摘みピン、あるいは、治具本体と独立の摘みピンと掛け止め面を底面に有する独自の掛け止め片は、一体成形されたものであっても良い。
これによれば、全体が円柱形で且つ軸方向の一端に前記ガイド部となるテーパ面などを有する治具本体と、該治具本体に比べて細径の摘みピンとを切削加工などによって容易に製作できると共に、前者のダミー磨き面における所定の位置に開設した挿入孔に摘みピン側の埋込軸を接着剤などを介して挿入することで、本磨き治具を精度良く組立てられる。しかも、多様な内径の孔に対応した多種種の治具本体に対し、これらよりも少ない種類の摘みピンを適用することもできる。
尚、前記摘みピンの底面から延びた埋込軸、あるいは前記掛け止め面を含む摘みピンの底面をから延びた埋込軸の周面には、治具本体側の挿入孔との間に充填される工業用接着剤の一部を受け入れる環状溝が形成されている。
また、前記治具本体と一部に掛け止め面を含む摘みピン、あるいは、治具本体と独立の摘みピンと掛け止め面を底面に有する独自の掛け止め片は、一体成形されたものであっても良い。
以下において、本考案を実施するための形態について説明する。
図1は、本考案による一形態の孔ダレ防止用磨き治具1を示す斜視図、図2は、該磨き治具1の軸方向に沿った(垂直)断面図である。尚、以下において、便宜上、被磨き物の表面に開口する孔の奥側を下側と称し、該孔の開口部側を上側と称する。
上記孔ダレ防止用磨き治具(以下、単に磨き治具と称する)1は、例えば、後述する金型(被磨き物)の鋼種と同様のSKD系の鋼種からなり、図1,図2に示すように、円柱形の治具本体2、その上端に位置し且つ平面視が円形のダミー磨き面3,治具本体2の下側に延び出たガイド部4、および、上記ダミー磨き面3の周辺部から底面の一部が外側に突出し且つ治具本体2の軸方向に沿って立設した摘みピン7を備えている。
上記摘みピン7の底面には、その一部であり、且つ治具本体2の外側に突出した底面視が三日月形状の掛け止め面6が位置している。
図1は、本考案による一形態の孔ダレ防止用磨き治具1を示す斜視図、図2は、該磨き治具1の軸方向に沿った(垂直)断面図である。尚、以下において、便宜上、被磨き物の表面に開口する孔の奥側を下側と称し、該孔の開口部側を上側と称する。
上記孔ダレ防止用磨き治具(以下、単に磨き治具と称する)1は、例えば、後述する金型(被磨き物)の鋼種と同様のSKD系の鋼種からなり、図1,図2に示すように、円柱形の治具本体2、その上端に位置し且つ平面視が円形のダミー磨き面3,治具本体2の下側に延び出たガイド部4、および、上記ダミー磨き面3の周辺部から底面の一部が外側に突出し且つ治具本体2の軸方向に沿って立設した摘みピン7を備えている。
上記摘みピン7の底面には、その一部であり、且つ治具本体2の外側に突出した底面視が三日月形状の掛け止め面6が位置している。
また、前記摘みピン7は、細い円柱形のピン本体8と、その上部側の位置に形成され且つ円周方向に沿ったリング溝8aとを有している。該リング溝8aは、作業者の指先やニッパなどの道具で該摘みピン7を摘み易くするものである。
図2の断面図で示すように、摘みピン7の底面の中心部には、ピン本体8よりも細径の埋込軸9が垂下し、その中間に環状溝9aが形成されている。
更に、前記ガイド部4は、治具本体2側から下側(先端側)に向かって約1〜5度、望ましくは約1〜3度の傾斜角度θを付けた円錐形状のテーパ面を有している。尚、前記傾斜角度θは、任意であるが、約1〜30度の範囲で適宜選択される。
因みに、前記ダミー磨き面3の直径が10mmの場合、治具本体2の軸方向の長さは約2〜3mm、ガイド部4の軸方向の長さは約15〜18mm、先端面の直径は約8〜9mmである。
図2の断面図で示すように、摘みピン7の底面の中心部には、ピン本体8よりも細径の埋込軸9が垂下し、その中間に環状溝9aが形成されている。
更に、前記ガイド部4は、治具本体2側から下側(先端側)に向かって約1〜5度、望ましくは約1〜3度の傾斜角度θを付けた円錐形状のテーパ面を有している。尚、前記傾斜角度θは、任意であるが、約1〜30度の範囲で適宜選択される。
因みに、前記ダミー磨き面3の直径が10mmの場合、治具本体2の軸方向の長さは約2〜3mm、ガイド部4の軸方向の長さは約15〜18mm、先端面の直径は約8〜9mmである。
以上のような磨き治具1を製作するには、図3の分解斜視図および図4の垂直断面図で示すように、例えば、棒鋼を切削加工して、円柱形の治具本体2の下端側に円錐形状のガイド部4を形成し、且つ該治具本体2の上端面であるダミー磨き面3の周辺寄りの位置に細径のドリルを用いて上記治具本体2の軸方向に沿った挿入孔5を穿設する。別途に、比較的細径の棒鋼を切削加工して、中間にリング溝8aを有するピン本体8と、その底面の中心部から同心で延び且つ中間に環状溝9aを有する埋込軸9とを有する摘みピン7を製作する。そして、図3および図4中の矢印で示すように、ダミー磨き面3の周辺寄りに位置する挿入孔5内に、予め、環状溝9a付近に工業用ボンド(接着剤)を塗布した摘みピン7の埋込軸9を挿入する。この際、ピン本体8の底面の一部は、ダミー磨き面3の周辺よりも外側に突出して、平面視が三日月形状の前記掛け止め面6となる。その結果、前記図1,図2で示したような磨き治具1を得ることができた。
以下において、前記磨き治具1を用いた金型(被磨き物)Kにおける所要製品を成形するためのキャビティの一部であり、且つ押出ピンや入れ子ピンが出没するための孔hの上端が開口している表面fに対する磨き作業について説明する。
先ず、図5中の矢印で示すように、金型Kの表面fに開口する孔h内に、磨き治具1の軸本体2をガイド部4側から挿入した。その結果、図6(B)の垂直断面図で示すように、掛け止め面6が孔hの開口部における周縁の表面fに面接触するので、ダミー磨き面3と金型Kの表面fとが面一となった状態で、当該磨き治具1が停止した。この際、孔hの内壁面と治具本体2の外周面とのクリアランス(隙間)は、約10〜50μmの範囲内になるように予め設定した。
先ず、図5中の矢印で示すように、金型Kの表面fに開口する孔h内に、磨き治具1の軸本体2をガイド部4側から挿入した。その結果、図6(B)の垂直断面図で示すように、掛け止め面6が孔hの開口部における周縁の表面fに面接触するので、ダミー磨き面3と金型Kの表面fとが面一となった状態で、当該磨き治具1が停止した。この際、孔hの内壁面と治具本体2の外周面とのクリアランス(隙間)は、約10〜50μmの範囲内になるように予め設定した。
次に、図6(A),(B)に示すように、手持ち式工具における回転軸sの先単側に渦巻き状にして巻き付けた幅狭のサンドペーパー(磨き材)pを、図示で左側に位置する金型Kの表面fと磨き治具1のダミー磨き面3とに渉って、回転し且つ押し付けつつ順次移動させて、これらの両面f,3を同じ条件で均一に磨いた。係る磨き作業において、ダミー磨き面3と表面fよりも上方に突出する摘みピン7は、当該作業の邪魔となるが、回転軸sを含む工具と共にサンドペーパーpを、上記表面fおよびダミー磨き面3上を移動させた際に、該サンドペーパーpにより水平方向に沿って押される。その結果、ダミー磨き面3と金型Kの表面fとが面一状態を保ったまま、掛け止め面6と共に治具本体2が孔h内で自転するように回転するため、直前まで摘みピン7が位置していた付近の表面fも、隣接するダミー磨き面3と同様に同じ条件で均一に磨くことができた。
引き続いて、前記磨き作業を行った結果、図7(A),(B)に示すように、掛け止め面6を含む摘みピン7と共に磨き治具1の治具本体2が孔h内で反時計方向に沿って約180度回転し、図示で右側に位置する金型Kの表面fと磨き治具1のダミー磨き面3とに渉って、回転するサンドペーパーpを押し付けつつ順次移動させて、これらの両面f,3を同じ条件で均一に磨いた。
更に、図6,図7に示すように、セラミック製の平板状砥石tを前後方向に沿って高速で往復運動させ、前記と同様にして、金型Kの表面fと磨き治具1のダミー磨き面3とに渉って、一層平滑且つ均一に磨く仕上げ磨きを行った。
その後、掛け止め面6を含む摘みピン7と共に磨き治具1の治具本体2が、金型Kの孔h内で少なくとも360度以上回転するまで、前記磨き作業を行った後、図8中の矢印で示すように、摘みピン7のリング溝8a付近を指で摘んで、磨き治具1の治具本体2とガイド部4とを、金型Kの孔hから抜き出した。
更に、図6,図7に示すように、セラミック製の平板状砥石tを前後方向に沿って高速で往復運動させ、前記と同様にして、金型Kの表面fと磨き治具1のダミー磨き面3とに渉って、一層平滑且つ均一に磨く仕上げ磨きを行った。
その後、掛け止め面6を含む摘みピン7と共に磨き治具1の治具本体2が、金型Kの孔h内で少なくとも360度以上回転するまで、前記磨き作業を行った後、図8中の矢印で示すように、摘みピン7のリング溝8a付近を指で摘んで、磨き治具1の治具本体2とガイド部4とを、金型Kの孔hから抜き出した。
図8中の一点鎖線部分Xである前記孔hの開口部付近を拡大した図9(A)で示すように、前記金型Kの孔hの開口部と表面fとの間には、断面が直角のエッジが形成されていた。その理由は、前記磨き治具1を用い、且つ面一に保たれた該治具1のダミー研磨面3と金型Kの孔hにおける開口部付近の表面fとに渉って、前記サンドペーパーpおよびセラミック製の平板状砥石tにより、ほぼ同じ押し付け力で均一且つ平滑に磨くことができたものと推定される。
因みに、前記磨き治具1を用いずに、前記金型Kにおける前記と同じ孔hの開口部を含む表面fを、前記とほぼ同じ条件でサンドペーパーpおよび前記平板状砥石tにより研磨した比較例の磨き作業を行った。その結果、図9(B),(C)に示すように、孔hの開口部側と表面fとの間において、両者のコーナーから同等の距離で摩耗したアール面のダレd1、あるいは、孔hの開口部側よりも表面f側が長い距離で摩耗したアール面のダレd2が形成されていた。係るダレd1,d2の差は、前記サンドペーパーpなどによる押し付け力が、孔hの開口部付近の表面fにおいて相違していたことに起因したものと推定される。
因みに、前記磨き治具1を用いずに、前記金型Kにおける前記と同じ孔hの開口部を含む表面fを、前記とほぼ同じ条件でサンドペーパーpおよび前記平板状砥石tにより研磨した比較例の磨き作業を行った。その結果、図9(B),(C)に示すように、孔hの開口部側と表面fとの間において、両者のコーナーから同等の距離で摩耗したアール面のダレd1、あるいは、孔hの開口部側よりも表面f側が長い距離で摩耗したアール面のダレd2が形成されていた。係るダレd1,d2の差は、前記サンドペーパーpなどによる押し付け力が、孔hの開口部付近の表面fにおいて相違していたことに起因したものと推定される。
前記のような磨き治具1によれば、前記金型Kにおける孔hの開口部を含む表面fを磨く場合において、前記ガイド部4と共に治具本体2を孔hに挿入すると、磨き治具1の掛け止め面6が孔hの開口部を囲む表面fに面接触し、且つダミー磨き面3が金型Kの表面fと面一の状態となる。この状態で、サンドペーパーpや前記平板状砥石tを、金型Kの表面fと本磨き治具1のダミー磨き面3とに渉って連続して押し付け、且つ治具本体2を順次回転させることで、これらの表面fとダミー磨き面3とを均一な押し付け力により磨くことができる。
その結果、金型Kの表面fと本磨き治具1のダミー磨き面3とが同じ条件で磨けるので、金型Kの表面fに開口する孔hの周縁付近において、垂直断面が直角のエッジを容易に形成し、且つ前記ダレd1,d2の発生を、素人などの未熟練者であっても確実に防ぐことができる。
その結果、金型Kの表面fと本磨き治具1のダミー磨き面3とが同じ条件で磨けるので、金型Kの表面fに開口する孔hの周縁付近において、垂直断面が直角のエッジを容易に形成し、且つ前記ダレd1,d2の発生を、素人などの未熟練者であっても確実に防ぐことができる。
更には、前記の状態で、面一とされた金型Kの表面fと本磨き治具1のダミー磨き面3とに渉って、ブラストマシンから多数のショット粒を吹き付け、且つ治具本体2を順次回転させたり、往復移動させることによっても、これらの表面fとダミー磨き面3とを均一な条件で表面硬化処理を施すことも可能である。
従って、例えば、押出ピンなどが出没する複数の孔hが開口する金型Kのキャビティにおける表面(成形面)fの磨き作業や表面硬化処理を、たとえ、素人であっても能率良く且つ低コストにより安定して施すことが可能となる。
尚、前記表面fの磨き作業は、前記平板状砥石tのみによって行っても良い。
従って、例えば、押出ピンなどが出没する複数の孔hが開口する金型Kのキャビティにおける表面(成形面)fの磨き作業や表面硬化処理を、たとえ、素人であっても能率良く且つ低コストにより安定して施すことが可能となる。
尚、前記表面fの磨き作業は、前記平板状砥石tのみによって行っても良い。
図10(A)は、前記磨き治具1の変形形態である磨き治具1aを示す軸方向に沿った断面図である。この磨き治具1aも、前記同様の治具本体2、ダミー磨き面3、ガイド部4、および掛け止め面6を含む摘みピン7を有している。かかる磨き治具1aが、前記磨き治具1と相違するのは、図10(A)に示すように、摘みピン7の埋込軸9が挿入される挿入孔5aがダミー磨き面3の周辺側からガイド部4の先端面側にまで貫通している点である。この挿入孔5aを治具本体2とガイド部4とに対し連続して貫通させることで、上記埋込軸9の環状溝9a付近に塗布した工業用ボンドのうち、余分となった一部のボンドを挿入孔5aのガイド部4の先端側に押し出し、且つ該挿入孔5aと埋込軸9との間に位置していたエアを外部へ放出することができる。従って、上記ボンドによる埋込軸9と挿入孔5aとの接着作用を高め且つ安定させることができる。
図10(B)は、前記磨き治具1の異なる変形形態である磨き治具1bを示す軸方向に沿った断面図である。かかる磨き治具1bも、前記同様の治具本体2、ダミー磨き面3、ガイド部4、および掛け止め面6を含む摘みピン7を有している。該磨き治具1bが前記磨き治具1と相違するのは、図10(B)に示すように、治具本体2の外周面に断面ほぼ半円形状のリング溝5bが円周方向に沿って形成され、且つ該リング溝5bの底部の一部と軸方向に沿った前記挿入孔5とが連通していることである。上記リング溝5bにおける底部の一部には、挿入孔5との連通部を通じて、前記埋込軸9の一部が露出するので、図示のように、その露出部に対し、溶融金属wを点状に溶着(溶接またはロウ付け)することで、摘みピン7を治具本体2に対し、容易で且つ強固に固着することができる。尚、上記磨き治具1bの挿入孔5も、貫通タイプの前記挿入孔5aとしても良い。
図11は、異なる形態の磨き治具1cを示す斜視図である。
この磨き治具1cは、図11に示すように、前記同様の治具本体2、ダミー磨き面3、およびガイド部4を有しているが、ダミー磨き面3の周辺部から軸方向に沿って断面が正三角形状の摘みピン7aを延出させている。該摘みピン7aは、三角柱状のピン本体10と、その軸方向における中間の各側面に予めローレット掛けして設けたクロスハッチング状で且つ帯状の滑り止め部(領域)11とを有している。更に、該摘みピン7aの底面の一部は、ダミー磨き面3よりも外側に張り出した底面視がほぼ台形状の掛け止め面6aが位置している。
尚、摘みピン7aの断面形状は、扁平な三角形などであっても良い。また、該摘みピン7aは、前記同様の接着(ボンド)や溶着や埋め込みにより治具本体2に固定したり、あるいは治具本体2などと一体成形しても良い。
この磨き治具1cは、図11に示すように、前記同様の治具本体2、ダミー磨き面3、およびガイド部4を有しているが、ダミー磨き面3の周辺部から軸方向に沿って断面が正三角形状の摘みピン7aを延出させている。該摘みピン7aは、三角柱状のピン本体10と、その軸方向における中間の各側面に予めローレット掛けして設けたクロスハッチング状で且つ帯状の滑り止め部(領域)11とを有している。更に、該摘みピン7aの底面の一部は、ダミー磨き面3よりも外側に張り出した底面視がほぼ台形状の掛け止め面6aが位置している。
尚、摘みピン7aの断面形状は、扁平な三角形などであっても良い。また、該摘みピン7aは、前記同様の接着(ボンド)や溶着や埋め込みにより治具本体2に固定したり、あるいは治具本体2などと一体成形しても良い。
図12は、更に異なる形態の磨き治具1dを示す斜視図である。
この磨き治具1dは、図12に示すように、前記同様の治具本体2、ダミー磨き面3、およびガイド部4を有しているが、ダミー磨き面3の周辺部から軸方向に沿って断面が正四角形状の摘みピン7bを延出させている。該摘みピン7bは、四角柱状のピン本体12と、その軸方向における中間の各側面に予めローレット掛けして設けたクロスハッチング状で且つ帯状の滑り止め部13とを有している。更に、該摘みピン7bの底面の一部は、ダミー磨き面3よりも外側に張り出した底面視がほぼ長方形状の掛け止め面6bが位置している。
尚、上記摘みピン7bの断面形状は、長方形状などであっても良い。また、該摘みピン7bは、前記同様の接着や溶着や埋め込みによって治具本体2に固定したり、あるいは治具本体2などと一体成形しても良い。
この磨き治具1dは、図12に示すように、前記同様の治具本体2、ダミー磨き面3、およびガイド部4を有しているが、ダミー磨き面3の周辺部から軸方向に沿って断面が正四角形状の摘みピン7bを延出させている。該摘みピン7bは、四角柱状のピン本体12と、その軸方向における中間の各側面に予めローレット掛けして設けたクロスハッチング状で且つ帯状の滑り止め部13とを有している。更に、該摘みピン7bの底面の一部は、ダミー磨き面3よりも外側に張り出した底面視がほぼ長方形状の掛け止め面6bが位置している。
尚、上記摘みピン7bの断面形状は、長方形状などであっても良い。また、該摘みピン7bは、前記同様の接着や溶着や埋め込みによって治具本体2に固定したり、あるいは治具本体2などと一体成形しても良い。
図13は、別異な形態の磨き治具1eを示す斜視図である。
この磨き治具1eは、図12に示すように、前記同様の治具本体2、ダミー磨き面3、およびガイド部4を有しているが、ダミー磨き面3の周辺部から軸方向に沿って断面が正六角形状の摘みピン7cを立設させている。該摘みピン7cは、六角柱状のピン本体14と、その軸方向における中間の各側面に沿って六角形状のリング溝15とを有している。更に、上記摘みピン7cの底面の一部は、ダミー磨き面3よりも外側に張り出した底面視が変形三形状あるいは変形台形状の掛け止め面6cが位置している。
尚、上記摘みピン7cの断面形状は、五角形や七角形以上の正多角形、あるいは、これらの変形多角形であっても良い。また、該摘みピン7cは、前記同様の接着や溶着や埋め込みによって治具本体2に固定したり、あるいは治具本体2などと一体成形しても良い。
以上のような磨き治具1a〜1eによっても、前記磨き治具1と同様な作用を果たせ、且つ該磨き治具1と同様な効果を奏することが可能である。
この磨き治具1eは、図12に示すように、前記同様の治具本体2、ダミー磨き面3、およびガイド部4を有しているが、ダミー磨き面3の周辺部から軸方向に沿って断面が正六角形状の摘みピン7cを立設させている。該摘みピン7cは、六角柱状のピン本体14と、その軸方向における中間の各側面に沿って六角形状のリング溝15とを有している。更に、上記摘みピン7cの底面の一部は、ダミー磨き面3よりも外側に張り出した底面視が変形三形状あるいは変形台形状の掛け止め面6cが位置している。
尚、上記摘みピン7cの断面形状は、五角形や七角形以上の正多角形、あるいは、これらの変形多角形であっても良い。また、該摘みピン7cは、前記同様の接着や溶着や埋め込みによって治具本体2に固定したり、あるいは治具本体2などと一体成形しても良い。
以上のような磨き治具1a〜1eによっても、前記磨き治具1と同様な作用を果たせ、且つ該磨き治具1と同様な効果を奏することが可能である。
図14は、前記磨き治具1の応用形態の磨き治具1fを示す斜視図である。
この磨き治具1fは、図14に示すように、前記同様で且つ比較的太径(直径が約20〜50mm)の治具本体2、比較的大径のダミー磨き面3、および軸方向に沿って長いガイド部4を有している。図14に示すように、該ダミー磨き面3の中心部には、治具本体2の軸方向に沿った独立の摘みピン17が立設している。この摘みピン17は、円柱形のピン本体18と、その中間に円周方向に沿って形成されたリング溝19とを備えている。また、上記ダミー磨き面3における周辺部で且つ上記摘みピン17を挟んだ対称の位置ごとには、一対の掛け止め片16が対称に形成されており、該掛け止め片16ごとの底面の一部は、ダミー磨き面3の外側に突出した底面視が三日月形状の掛け止め面6となっている。
この磨き治具1fは、図14に示すように、前記同様で且つ比較的太径(直径が約20〜50mm)の治具本体2、比較的大径のダミー磨き面3、および軸方向に沿って長いガイド部4を有している。図14に示すように、該ダミー磨き面3の中心部には、治具本体2の軸方向に沿った独立の摘みピン17が立設している。この摘みピン17は、円柱形のピン本体18と、その中間に円周方向に沿って形成されたリング溝19とを備えている。また、上記ダミー磨き面3における周辺部で且つ上記摘みピン17を挟んだ対称の位置ごとには、一対の掛け止め片16が対称に形成されており、該掛け止め片16ごとの底面の一部は、ダミー磨き面3の外側に突出した底面視が三日月形状の掛け止め面6となっている。
即ち、前記磨き治具1fは、太径の治具本体2および大径のダミー磨き面3を有するので、該ダミー磨き面3における中心部に独立の摘みピン17を立設し、且つダミー磨き面3の周辺部に平面視が円形の一対(複数)の掛け止め片16を対称に配置したものである。これによって、比較的大きな内径の孔hの開口部を含む前記表面fに対しても、該表面fとダミー磨き面3とを常に面一に保って、前記同様の磨き作業を確実且つ容易に施すことが可能となる。
尚、前記掛け止め片16も、前記同様の接着技術によって治具本体2に固定したり、あるいは治具本体2などと一体成形しても良い。また、かかる掛け止め片16は、3個以上としたり、平面視で長軸がほぼ径方向に沿った長円形状や、楕円形状を呈する形態としても良い。あるいは、この掛け止め片は、全体が半球面体、半長円球面体、半楕円球面体を呈する形態としても良い。
尚、前記掛け止め片16も、前記同様の接着技術によって治具本体2に固定したり、あるいは治具本体2などと一体成形しても良い。また、かかる掛け止め片16は、3個以上としたり、平面視で長軸がほぼ径方向に沿った長円形状や、楕円形状を呈する形態としても良い。あるいは、この掛け止め片は、全体が半球面体、半長円球面体、半楕円球面体を呈する形態としても良い。
本考案は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記磨き治具1,1a〜1fの治具本体2と摘みピン7,7a〜7c,17とは、同じ鋼種や同じ金属の一体物とし、ダイカストを含む鋳造、あるいは金型を用いる鍛造などによって一体成形しても良い。この場合、研磨用治具1fでは、更に一対の掛け止め片16も上記と同様に一体成形しても良い。
また、前記磨き治具1,1a〜1fは、例えば、ポリカーボネート(エンジニアリング)などの硬質樹脂によって、治具本体2とガイド部4と摘みピン7,7a〜7c,17とを一体成形したり、更に、磨き治具1fでは、前記掛け止め片16も上記と同様に一体成形しても良い。
更に、前記摘みピンは、治具本体2が太径で且つダミー磨き面3が大径であれば、2個以上を併設した形態としても良い。例えば、2個以上の摘みピン7,7a〜7cをダミー磨き面3の周辺部において対称に配置しても良い。
加えて、前記ガイド部4は、前記テーパ面を有する円錐形状に限らず、半球形状、半楕円球形状、あるいは、多角錐形状のように、先端(下端)側ほど縮径された形状であれば、特に制限されるものではない。
例えば、前記磨き治具1,1a〜1fの治具本体2と摘みピン7,7a〜7c,17とは、同じ鋼種や同じ金属の一体物とし、ダイカストを含む鋳造、あるいは金型を用いる鍛造などによって一体成形しても良い。この場合、研磨用治具1fでは、更に一対の掛け止め片16も上記と同様に一体成形しても良い。
また、前記磨き治具1,1a〜1fは、例えば、ポリカーボネート(エンジニアリング)などの硬質樹脂によって、治具本体2とガイド部4と摘みピン7,7a〜7c,17とを一体成形したり、更に、磨き治具1fでは、前記掛け止め片16も上記と同様に一体成形しても良い。
更に、前記摘みピンは、治具本体2が太径で且つダミー磨き面3が大径であれば、2個以上を併設した形態としても良い。例えば、2個以上の摘みピン7,7a〜7cをダミー磨き面3の周辺部において対称に配置しても良い。
加えて、前記ガイド部4は、前記テーパ面を有する円錐形状に限らず、半球形状、半楕円球形状、あるいは、多角錐形状のように、先端(下端)側ほど縮径された形状であれば、特に制限されるものではない。
本考案によれば、例えば、金型のキャビティにおいて孔の開口部を有する表面を平滑に磨くに際し、たとえ素人であっても上記孔の開口部の周縁に通称ダレを生じないように磨くために用いる磨き治具を確実且つ安価にして提供できる。
1,1a〜1f…………磨き治具(孔ダレ防止用磨き治具)
2…………………………治具本体
3…………………………ダミー磨き面
4…………………………ガイド部
5,5a…………………挿入孔
6,6a〜6c…………掛け止め面
7,7a〜7c,17…摘みピン
9…………………………埋込軸
K…………………………金型(被磨き物)
h…………………………孔、
f…………………………表面
2…………………………治具本体
3…………………………ダミー磨き面
4…………………………ガイド部
5,5a…………………挿入孔
6,6a〜6c…………掛け止め面
7,7a〜7c,17…摘みピン
9…………………………埋込軸
K…………………………金型(被磨き物)
h…………………………孔、
f…………………………表面
Claims (5)
- 被磨き物(K)において孔(h)の開口部を有する表面(f)を磨く際に用いる孔ダレ防止用磨き治具であって、
上記孔(h)の内側に挿入される円柱形の治具本体(2)と、
上記治具本体(2)の上端に位置し且つ上記被研磨物(K)の表面(f)と面一となる平面視が円形のダミー磨き面(3)と、
上記ダミー磨き面(3)の周辺から外側に突出し且つ上記被磨き物(K)の表面(f)に接触する少なくとも一つの掛け止め面(6,6a〜6c)と、
上記ダミー研磨面(3)から治具本体(2)の軸方向に沿って立設した少なくとも一つの摘みピン(7,7a〜7c,17)と、を備えている、
ことを特徴とする孔ダレ防止用磨き治具(1,1a〜1f)。 - 前記摘みピン(7,7a〜7c)の底面の一部は、前記掛け止め面(6,6a〜6c)が兼ねている、
ことを特徴とする請求項1に記載の孔ダレ防止用磨き治具(1,1a〜1e)。 - 前記摘みピン(7,7a〜7c,17)は、前記ダミー磨き面(3)における周辺部および中心部の少なくとも一方から立設されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の孔ダレ防止用磨き治具(1,1a〜1f)。 - 前記治具本体(2)の下端側には、先端側が一層細径となる円錐形状のテーパ面、あるいは半球状面を有するガイド部(4)が延出している、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の孔ダレ防止用磨き治具(1,1a〜1f)。 - 前記ダミー磨き面(3)には、該ダミー磨き面(3)に開口し且つ前記治具本体(2)の軸方向に沿っていると共に、前記摘みピン(7,7a〜7c,17)の底面から軸方向に延びた埋込軸(9)を受け入れる挿入孔(5,5a)が形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の孔ダレ防止用磨き治具(1,1a〜1f)。
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---|---|---|---|
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