JP3178246U - 津波避難用構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】広く緩やかな避難通路が確保でき、数百人の人がスムーズに避難可能となると共に外形が八角形の略筒状に形成し、あらゆる方向の津波の波圧に対して安全強度が確保でき、視認性と認知性を高めた目立つ津波避難用構造物を提供する。
【解決手段】八角形の略筒状に形成した鉄骨製の枠体1と、該枠体1の内側で且つ地上から枠体1の上端部に渡ってスロープ21と階段を併設した避難通路2と、枠体1の上部で且つスロープ21の外側へはね出して設けた複数の避難台3と、から少なくとも構成する。また避難通路2の勾配を1/4〜1/10の範囲とし、その避難通路2の幅を3列避難が可能な広さとすると共にその上方に屋根4を設けると良く、又、避難台3をスロープ21の1周分の外周に棚状に8つ設けるのが好ましい。更に枠体1の外周にエキスパンドメタル製の網体を覆うと良い。
【選択図】図1

Description

本考案は大津波が発生した際に、大勢の人々が素早く避難することが可能な津波避難用構造物に関する。
一般に津波の進行速度は極めて早く、避難する高台まで離れている住民は、避難が間に合わず、逃げ遅れて津波に飲み込まれてしまう恐れが高かった。特に海岸近くの住民は短時間で高台まで避難することが殆ど出来ないのが現状である。このため、従来から津波発生時に短時間で避難する避難用シェルターや浮上する避難用シェルター、或いは高い位置に避難場所を設けた津波避難タワー、又は高架式津波避難所など多種の提案がなされている。
特に高い位置に避難場所を設ける高架式津波避難所としては、特開2006−112087が提案されている。この構造は、地中に打ち込まれた支柱と、該支柱により地上の所定高さに支持された避難台と、地表面と避難台との行き来を可能とする昇降手段とから成る津波避難所であり、前記昇降手段が階段及びゴンドラから成るものであった。また避難台に、ヘリポートを有した屋根を設け、その避難台に、津波の進行方向と直角な方向に堰板を立設させ、又、避難台の周囲に布又は板を張り巡らせたものであった。その目的は、津波の発生時に海岸近くの住民が、迅速に非難することが可能であると共に高齢者や子供等であっても容易に迅速な避難が可能であり、しかも高所に居る避難者に対して食糧等の必要物資を供給することができ、緊急時には更に別の安全な場所へと避難することが可能とするものである。
しかしながら、特開2006−112087は、発電機から供給される電力を動力源としてゴンドラを昇降させるため、設備費が掛かると共にその点検や維持管理が大変であった。又、避難台の屋根の上にはヘリコプターが離着陸するため、屋根部分が頑強に作られると共にそれを支える支柱も太くしなければならないので、建設費が嵩むと共に最上部である屋根が重くなり、重心が高くなって不安定なものになり易く、地震の揺れや台風時の強風に対して不利なものとなっていた。更に高架式津波避難所を図中のように道路の上に設置すると、津波の襲来時には、人であふれて混乱が生じ易くなり、且つ、道路上の車両が本体に激突し、車両の火災等の発生が生じ易いものとなっていた。尚、一般に津波避難タワーや高架式津波避難所などに設置した階段は、勾配が1/2前後の急勾配のものが多く、地上から避難空間へ階段で登る際、特に高齢者,女性,子供など足腰の弱い者が避難するのは非常に大変なものであった。
特開2006−112087号公報
本考案は広く緩やかな避難通路が確保でき、200人前後の人がスムーズに避難可能となると共に外形が八角形の略筒状に形成し、あらゆる方向の津波の波圧に対して安全強度が確保でき、視認性と認知性を高めた目立つ津波避難用構造物を提供することを目的とする。
本考案は上記現状に鑑み成されたもので、つまり、八角形の略筒状に形成した鉄骨製の枠体と、該枠体の内側で且つ地上から枠体の上端部に渡ってスロープと階段を併設した避難通路と、枠体の上部で且つスロープの外側へはね出して設けた複数の避難台と、から少なくとも構成する。また避難通路の勾配を1/4〜1/10の範囲とし、その避難通路の幅を3列避難が可能な広さとすると共に避難通路の上方に屋根を設けるものとしても良い。又、避難台をスロープの1周分の外周に棚状に8つ設けるのが好ましい。更に枠体の外周にエキスパンドメタル製の網体を覆うものとしても良い。
請求項1のように八角形の略筒状に形成した鉄骨製の枠体(1)と、該枠体(1)の内側で且つ地上から枠体(1)の上端部に渡ってスロープ(21)と階段(22)を併設した避難通路(2)と、枠体(1)の上部で且つスロープ(21)の外側へはね出して設けた複数の避難台(3)と、から少なくとも構成することにより、広い避難通路と、数百人収容可能(立席時)な避難スペースを確保することが出来るため、津波避難時に混乱することなくスムーズな避難が可能となる。又、外形が八角形の略筒状であるため、あらゆる方向の津波の波圧に対して安全強度が充分に確保でき、視認性と認知性が高まると共に目立つ津波避難用構造物となり、その津波避難用構造物は、防災のシンボルの役目を果たす広告塔となる。
請求項2のように避難通路(2)の勾配を1/4〜1/10の範囲とし、避難通路(2)の幅を3列避難が可能な広さとすることにより、津波襲来時に大勢の人々がスムーズに避難することが可能になると共に避難通路(2)の勾配が、従来の階段と比べてはるかに小さくなるため、特に高齢者,女性,子供など足腰の弱い者が地上から避難空間へ避難する際、容易になると共に両側から抱えて登ることも可能となり、且つ、スロープ(21)を車椅子などで登ることも可能となるため、津波の接近時の避難に対しても効率良く避難することが可能なものとなる。
請求項3に示すように避難台(3)を、スロープ(21)の1周分の外周に棚状に8つ設けたものとすることにより、八角形の各辺から避難台(3)をはね出して設けることが出来るため、避難時には、従来の如き最上部まで全員が行く必要がなくなるので、避難する大勢の人々が適宜に8つの避難台(3)へ入ることができ、人の流れが滞ることなく、全ての人が避難台(3)にスムーズに到達することが可能なものとなる。又、津波高さより上方のスロープ(21)部分が避難スペースの役目を果たせるものとなるため、所定の大きさの津波避難用構造物に、より多くの人が収納可能なものとなるのである。
請求項4に示すように枠体(1)の外周にエキスパンドメタル製の網体(6)を覆うことにより、瓦礫の衝突に強く、枠体(1)の内部に瓦礫が浸入することも防止でき、且つ、押し寄せる津波の波圧の対処にも効果的なものとなる。
本考案の実施形態の要部を示す正面図である。 本実施形態の屋根を除去した状態の要部平面を示す説明図である。 本実施形態の枠体の要部を示す説明図である。 網体で覆われた枠体を示す正面図である。 本実施形態の概要を示す説明図である。
本考案の実施形態を図面に基づいて説明する。(1)は二重構造の八角筒状に形成した重量鉄骨造の枠体であり、該枠体(1)は図3に示す8本の梯子状のラーメン構造部材(11)と、該ラーメン構造部材(11)の間に設けた外梁(12)と内梁(13)と、から成されている。前記ラーメン構造部材(11)の両柱は図2、図3に示すように二重の八角形の各頂点間に立設させ、そのラーメン構造部材(11)の高さとしては、予想津波高さ以上の位置に人を収容し得る避難台(3)が設けられるのに充分な高さとするのが好ましい。前記外梁(12)と内梁(13)は避難通路(2)のスロープ(21)の勾配に傾斜して設けられている。尚、前記枠体(1)の形状は二重の八角筒状以外に、強度的に問題が生じない際には六角筒状としても良い。又、前記枠体(1)を二重構造とすることにより、特に強剛な構造物となる。
(2)は枠体(1)の内側で且つ地上から枠体(1)の上端部に渡ってスロープ(21)と階段(22)を併設した避難通路であり、該避難通路(2)の幅を3列避難が可能な広さとするのが好ましい。またスロープ(21)の勾配としては、1層分約2.3メートルで1週するスロープとするのが好ましく、勾配を約1/8とするのが好ましいが、1/4〜1/10の範囲のものであれば良い。尚、勾配を1/4以上になると、足や腰の悪い人が登るのが大変になり、1/10以下になると、避難台(3)へ到達するまでに時間が掛かると共に材料費が掛かるものとなってコストアップとなる。前記階段(22)はスロープ(21)の内側に設けると共に落下防止を兼用する手摺りを内側全周に渡って設けると良いが、図2に示すように階段(22)を枠体(1)の中心に立設させた螺旋階段としても良い。
(3)は枠体(1)の上部で且つスロープ(21)の外側へはね出して設けた図2に示すように複数の避難台であり、該避難台(3)はスロープ(21)の1周分の外周に棚状に8つ設けられている。また避難台(3)は八角形の各辺からはね出して設けると共に避難台(3)の床面とスロープ(21)との間に、段差解消用の鉄製のステップ(31)を設置させておくと良い。又、避難台(3)は徐々に高くなって棚状に設けられている。前記避難台(3)の高さは、地上から10メートル前後であるが、その高さは、予想津波高さによって決定される。
(4)は避難通路(2)の上方に設けられた8つの屋根であり、該屋根(4)は避難台(3)と同様に徐々に高くして設けられている。(5)は避難台(3)の周囲に設けられた金属製の手摺りである。(6)は枠体(1)の外周に図4に示すように覆われたエキスパンドメタル製の網体であり、該網体(6)の材質として、強度や剪断応力に優れた材質であればエキスパンドメタル以外のものでも良い。尚、この時、枠体(1)の外周には、図5に示すよう多数本の縦杆(14)が取付けられ、網体(6)を頑強に固定させるための役目を果たす。
次に本考案の作用について説明する。先ず始めに津波警報が発令されると、人が枠体(1)の近くに集まり、避難通路(2)から高所の避難台(3)に登って行く。この時、避難通路(2)には3列避難が可能な広さを有しているので、大勢の人が殺到しても順序良く登ることが可能となる。特にスロープ(21)の勾配が緩やかであるので、足腰の弱い人でも無理なく登ることが出来る。この場合、足腰の弱い人は、勾配が緩やかスロープ(21)の外側を登るのが好ましい。一方、足腰の強い人は、スロープ(21)の内側或いは階段(22)を登れば、距離が短くなって早く避難台(3)に到達することが出来るものとなる。更に足腰の悪い人が避難通路(2)を登る際は、その人を中央にして両側から支えながらスロープ(21)を登って行くことも出来る。しかも、スロープ(21)の幅が広いので、人を乗せた車椅子であってもスロープ(21)に沿って登って行くことも出来るものとなった。
そして避難通路(2)から高所の避難台(3)を目指して登って行き、避難台(3)付近になったら8つある高さの異なる避難台(3)の好きな所へ勝手に入れば良い。このため、従来の如く全員が最上部に詰め掛け、その付近が停滞することがなくなる。しかも、登る速度の速い人は最上部へ行けば良く、足腰の弱い人や足腰の悪い人は最上部まで行かずに途中の適宜高さの避難台(3)に入れば、人の流れが従来の如く滞ることが極めて減少するものとなる。
このように本考案は、地上から避難空間である避難台(3)を目指して避難通路(2)を登る場合、特に高齢者,女性,子供など足腰の弱い人には、安心して高い位置にある避難台(3)へと避難することが可能となった。
1 枠体
2 避難通路
21 スロープ
22 階段
3 避難台
4 屋根
6 網体

Claims (4)

  1. 八角形の略筒状に形成した鉄骨製の枠体(1)と、該枠体(1)の内側で且つ地上から前記枠体(1)の上端部に渡ってスロープ(21)と階段(22)を併設した避難通路(2)と、前記枠体(1)の上部で且つ前記スロープ(21)の外側へはね出して設けた複数の避難台(3)と、から少なくとも構成したことを特徴とする津波避難用構造物。
  2. 前記避難通路(2)の勾配が1/4〜1/10の範囲であり、且つ、前記避難通路(2)の幅を3列避難が可能な広さとし、且つ、その避難通路(2)の上方に屋根(4)が設けられた請求項1記載の津波避難用構造物。
  3. 前記避難台(3)が、前記スロープ(21)の1周分の外周に棚状に8つ設けられた請求項1記載の津波避難用構造物。
  4. 前記枠体(1)の外周に、エキスパンドメタル製の網体(6)が覆われた請求項1記載の津波避難用構造物。
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