JP3177552U - バルーンカテーテルおよび駆動システム - Google Patents

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Abstract

【課題】適切な条件で正確にバルーン駆動が可能であり、臨床研究やトラブル対応時にバルーンカテーテルの駆動状態を容易に解析することが可能なバルーンカテーテルおよび駆動システムを提供する。
【解決手段】拡張および収縮するバルーン部22と、バルーン部22の後端に連結されて、バルーン部22内に圧力流体を導入および導出する流体圧導通路が形成されたカテーテル管24と、カテーテル管24の後端に連結され、流体圧導通路内と連通する圧力流体導入出口が形成される第1通路を少なくとも持つハンドル部42と、ICチップ60と、通信部70とを有する。ICチップ60は、バルーン部22の拡張外径および容量と製品番号に関するデータが記憶してあり、通信部70がICチップ60のデータの読み出しや書き込みを行う。
【選択図】図1A

Description

本考案は、バルーンカテーテルおよび駆動システムに係り、さらに詳しくは、適切な条件で正確にバルーン駆動が可能であり、臨床研究やトラブル対応時にバルーンカテーテルの駆動状態を容易に解析することが可能なバルーンカテーテルおよび駆動システムに関する。
たとえば急性心不全等の治療法である大動脈内バルーンポンピング法(Intra Aortic balloon pumping,以下、「IABP法」と略称する)などでは、バルーンカテーテルが用いられる。合成高分子材から成るバルーン部とカテーテル管とで構成されるバルーンカテーテルを大動脈内に挿入し、心臓の拍動に合わせて駆動装置によりカテーテル管からバルーン部に圧力流体を導入または導出し、バルーン部を拡張・収縮させて心機能の補助を行う。
IABP法に用いられるバルーンカテーテルとしては、たとえば特許文献1および特許文献2に示すようなバルーンカテーテルが知られている。このようなバルーンカテーテルにおいて、心臓の拍動に合わせてバルーン部を拡張および収縮するために、患者の心臓の拍動を検知する必要がある。患者の心臓の拍動を検知する手段として、患者の体表面あるいは体内部に電極を装着し、心臓の拍動を電気信号として検出する手段がある。
また、バルーンカテーテルを利用して患者の血圧から心臓の拍動を検出する手段として、バルーン部の先端チップ部に、血液連通孔を設け、その血液連通孔と連通する内管を、バルーン部およびカテーテル管の内部に軸方向に挿通させ、血圧側出口から血圧変動を測定することにより、心臓の拍動を検出する方法がある。
さらには、特許文献3に示すように、バルーン部の先端チップ部に、圧力センサを設け、その圧力センサで検出する圧力により、心臓の拍動を検出し、検出した拍動信号に基づき、バルーン部の拡張・収縮を制御することも提案とされている。
いずれにしてもバルーンカテーテルは、駆動装置に連結され、駆動装置からカテーテル管を通してバルーン部に圧力流体を導入または導出し、心臓の拍動に合わせてバルーン部を拡張・収縮させて心機能の補助を行う。バルーン部に送り込まれる圧力流体の最大容量は、バルーン部の長さや外径などのサイズにより異なる。用いられるバルーン部のサイズは、患者の身長や年齢などにより決定され、担当の医者によって決められる。
駆動装置を扱う担当者は、使用されるバルーンカテーテルにおけるバルーン部のサイズなどの情報を駆動装置に入力し、駆動装置からバルーンカテーテルに送られる圧力流体の流量の調整などを行う必要がある。しかしながら従来では、バルーン部のサイズなどの情報を駆動装置に入力する作業は、手入力であるために、間違いなく正確に行うために気を遣う作業であるという課題を有していた。
また、臨床研究やトラブル対応時に、使用されたバルーンカテーテルの駆動状態を、後で正確に把握することが困難であり、解析に時間がかかるなどの課題を有していた。
特開昭63−206255号公報 特開昭62−114565号公報 特開2010−233883号公報
本考案は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、適切な条件で正確にバルーン駆動が可能であり、臨床研究やトラブル対応時にバルーンカテーテルの駆動状態を容易に解析することが可能なバルーンカテーテルおよび駆動システムを提供することである。
上記目的を達成するために、本考案に係るバルーンカテーテルは、
拡張および収縮するバルーン部と、
このバルーン部の後端に連結されて、前記バルーン部内に圧力流体を導入および導出する流体圧導通路が形成されたカテーテル管と、
前記カテーテル管の後端に連結され、前記流体圧導通路内と連通する圧力流体導入出口が形成される第1通路を少なくとも持つハンドル部と、
少なくとも前記バルーン部の拡張外径および容量と製品番号に関するデータが記憶してあり、さらに別データの記憶が可能なICチップと、
前記ICチップに記憶してあるデータを読み出すと共に、前記ICチップにデータを書き込むことが可能な通信部と、を有する。
また本考案にかかる駆動システムは、
上記に記載のバルーンカテーテルと、
前記バルーンカテーテルのハンドル部に接続され、前記バルーンカテーテルを駆動する駆動装置とを有するバルーンカテーテルの駆動システムであって、
前記駆動装置の表示部には、前記ICチップに記憶してあるデータが、駆動装置に必要なデータと共に表示可能になっている。
本考案に係るバルーンカテーテルおよび駆動システムでは、バルーンカテーテルのハンドル部に駆動装置を接続し、バルーンカテーテルの通信部と駆動装置の通信部とを通信させることで、バルーンカテーテルのICチップに記憶してあるデータが、自動的に駆動装置に送り込まれる。駆動装置の表示部には、ICチップに記憶してあるデータが、駆動装置に必要なデータと共に表示される。
ICチップに記憶してあるデータとしては、少なくともバルーン部の拡張外径および容量と製品番号に関するデータであり、そのデータが表示部に表示されることで、駆動装置の操作者は、そのデータに誤りが無いかを容易に確認することができる。ICチップに予め記憶してあるその他のデータとしては、バルーンカテーテルのタイプなどがある。バルーンカテーテルのタイプとしては、ショートバルーンタイプ、ロングバルーンタイプ、その他の特殊形状タイプなどがある。
また、駆動装置では、ICチップに記憶してあるデータに基づき、駆動装置からバルーンカテーテルに送られる圧力流体の流量調整を自動的に行うことができる。すなわち、バルーン部の容量が小さい場合には、バルーンカテーテルに送られる圧力流体の流量も小さくなる。
また、使用済みのバルーンカテーテルのICチップに書き込まれるデータは、特に限定されないが、たとえばバルーンカテーテルを実際に駆動した駆動装置の識別番号である場合には、バルーンカテーテルを駆動装置から取り外した後においても、そのバルーンカテーテルが用いられた駆動装置を容易に特定することができる。そのため、そのICチップのデータを読み取り、さらに、そのデータから特定される駆動装置のデータを組み合わせることで、臨床研究やトラブル対応時に、使用されたバルーンカテーテルの駆動状態を、後で正確に把握することが容易になり、駆動状態の解析に要する時間を短縮することができる。
なお、ICチップのメモリ容量に余裕があるときには、ICチップに書き込まれるデータは、たとえばバルーンカテーテルを実際に駆動した駆動装置の駆動状態の全てのデータ、あるいはその一部のデータであっても良い。駆動状態に関するデータとしては、たとえば駆動期間中における心電図、血圧、駆動圧などの波形データや、駆動期間中のイベントデータなどである。
このようなデータをICチップから読み取ることにより、臨床研究やトラブル対応時に、使用されたバルーンカテーテルの駆動状態を、後で正確に把握することが容易になり、駆動状態の解析に要する時間を短縮することができる。
前記ICチップは、前記ハンドル部の一部に埋め込まれていてもよい。
あるいは、本考案のバルーンカテーテルは、
前記バルーン部の先端に形成された血液連通孔に連通し、バルーン部とカテーテル管の内部を軸方向に延在し、前記流体圧導通路とは別個の血液導通路が形成された内管をさらに有し、
前記内管の血液導通路には、ワイヤ部材が軸方向に沿って移動自在に挿入され、
前記ワイヤ部材の後端に、前記ICチップが装着してあってもよい。
本考案のバルーンカテーテルでは、前記通信部が、接触式コネクタであっても良く、あるいは、非接触式通信用アンテナであってもよい。また、通信部は、バルーンカテーテルのハンドル部と駆動装置とを接続する際に、駆動装置の通信部と自動的に通信可能になっていることが好ましい。
好ましくは、前記ICチップに記憶してあるデータに基づき、前記駆動装置は、前記バルーンカテーテルを駆動するための駆動条件を自動的に算出する制御部を有する。
好ましくは、前記駆動装置の制御部は、前記通信部を通して、前記駆動装置の識別番号と前記駆動装置の実際の駆動状態の少なくとも一部とを、前記ICチップに書き込む。
前記駆動装置の実際の駆動状態の少なくとも一部には、前記駆動装置に記憶してある前記バルーンカテーテルの実際の駆動状態が記憶してあるデータの位置を特定するデータが含まれていても良い。
本考案の駆動システムは、前記ICチップに記憶してあるデータと、前記バルーンカテーテルに対応する前記駆動装置の実際の駆動状態が記憶してあるデータとに基づき、前記バルーンカテーテルの駆動状態を解析する解析装置をさらに有してもよい。
図1Aは本考案の一実施形態に係るバルーンカテーテルの概略断面図である。 図1Bは本考案の他の実施形態に係るバルーンカテーテルの概略断面図である。 図1Cは本考案の他の実施形態に係るバルーンカテーテルの概略断面図である。 図1Dは本考案の他の実施形態に係るバルーンカテーテルの概略断面図である。 図1Aに示すバルーンカテーテルの使用状態を示す概略図である。 図3は図2に示す駆動装置の表示部における表示例を示す概略図である。 図4はバルーンカテーテルの出荷時における梱包作業を示す概略図である。 図5はバルーンカテーテルの使用後の解析作業を示す概略図である。
以下、本考案を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1Aに示すように、本考案の一実施形態に係るバルーンカテーテル40は、心臓の拍動に合わせて拡張および収縮するバルーン部22を有する。バルーン部22は、膜厚約50〜100μm程度の薄膜20で構成される。薄膜の材質は、特に限定されないが、耐屈曲疲労特性に優れた材質であることが好ましく、例えばポリウレタンなどにより構成される。
バルーン部22の外径および長さは、心機能の補助効果に大きく影響するバルーン部22の内容積と、動脈血管の内径などに応じて決定される。バルーン部22の内容積は、特に限定されないが、25〜50ccであり、バルーン部22の外径は、12〜18mmが好ましく、長さは、160〜250mmが好ましい。
このバルーン部22の先端部には、血液連通孔23が形成してある先端チップ部25が熱融着ないしは接着などの手段で取り付けてある。この先端チップ部25の内周側には、内管30の先端部が熱融着ないしは接着などの手段で取り付けてある。
バルーン部22の後端部には、金属製の接続チューブ27の外周側で、カテーテル管24の先端部が連結してある。このカテーテル管24の内部に形成された流体圧導通路29を通じて、バルーン部22内に、流体圧が導入または導出され、バルーン部22が拡張ないし収縮するようになっている。バルーン部22とカテーテル管24との連結は、熱融着あるいは紫外線硬化樹脂などの接着剤による接着により行われる。
内管30は、バルーン部22およびカテーテル管24の内部を軸方向に延在し、後述するハンドル部42の血圧測定口44に連通するようになっており、その内部には、バルーン部22の内部およびカテーテル管24内に形成された流体圧導通路29とは連通しない血液導通路31が形成してある。バルーン部22内に位置する内管30は、バルーンカテーテル40を動脈内に挿入する際に、収縮したバルーン部22が巻かれてバルーン部22が都合良く動脈内に差し込まれる際のガイドワイヤー挿通管腔としても用いられる。
カテーテル管24は、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等で構成される。カテーテル管24の内径および肉厚は、特に限定されないが、内径は、好ましくは、1.5〜4.0mmであり、肉厚は、好ましくは、0.05〜0.4mmである。また、内管30は、特に限定されないが、硬質チューブ、金属スプリング補強チューブ、ステンレス細管等で構成される。内管30の内径および肉厚は、特に限定されないが、内径は、好ましくは、0.1〜1.0mmであり、肉厚は、好ましくは、0.05〜0.3mmである。
カテーテル管24の後端部には、患者の体外に設置されるハンドル部42が連結してある。ハンドル部42は、カテーテル管24と別体に成形され、熱融着あるいは接着などの手段で固着される。ハンドル部42には、カテーテル管24内の流体圧導通路29およびバルーン部22内に圧力流体を導入または導出するための圧力流体導入出口46が形成される第1通路47と、内管30内に連通する血圧測定口44が形成される第2通路45とが形成してある。
圧力流体導入出口46は、たとえば図2に示す駆動装置10の圧力流体コネクタチューブ12に接続され、この駆動装置10により、流体圧がバルーン部22内に導入または導出されるようになっている。導入される流体としては、特に限定されないが、駆動装置10の駆動に応じて素早くバルーン部が拡張または収縮するように、粘性の小さいヘリウムガスなどが用いられる。また、駆動装置10としては、特に限定されず、例えば特公平2−39265号公報やWO2011/114779号公報に示すような装置が用いられる。
血圧測定口44は、たとえば図2に示す駆動装置10の血液コネクタチューブ14に接続され、バルーン部22先端の血液連通孔23から取り入れた動脈内の血液の血圧の変動を血圧測定装置にて測定可能になっている。この血圧測定装置で測定した血圧の変動に基づき、心臓1の拍動に応じて図2に示す駆動装置10を制御し、バルーン部22を拡張または収縮させるようになっている。
本実施形態のハンドル部42では、図1Aに示すように、圧力流体導入出口46が形成された第1通路47をカテーテル管24の軸心方向に沿ってストレート状に配置し、血圧測定口44が形成される第2通路45を、第1通路47の軸心に対して所定の傾きを以て配置するように構成してある。
しかも本実施形態のハンドル部42では、第2通路45内に、内管30の端部を保持し、この内管30を、カテーテル管24の内壁に接するように偏心させて配置させるための第1内管端部保持具48と第2内管端部保持具50とが装着してある。
この実施形態のバルーンカテーテル40では、ハンドル部42に形成される圧力流体導入出口46に連通する第1通路47をカテーテル管24の軸心方向に沿ってストレート状に配置してあるので、血圧測定口をカテーテル管の軸心方向に沿ってストレート状に配置した従来例に比較し、圧力流体の流路抵抗を低減することが可能になると共に、バルーン部における拡張・収縮の応答性が向上する。
本実施形態では、図1Aに示すように、ハンドル部42の一部にICチップ60が埋め込んである。ICチップ60に記憶してあるデータを読み込むと共に、ICチップ60の内部にデータを書き込むために、ICチップ60には、ケーブル62を介して通信部としての接触式コネクタ70が接続してある。ケーブル62は、特に限定されないが、たとえばRS232Cケーブルなどで構成される。
コネクタ70は、図2に示すように、駆動装置10のケーブル17に接続してある接触式コネクタ18に着脱自在に接続され、ICチップ60に記憶してあるデータを駆動装置10に読み込むと共に、駆動装置10のデータをICチップ60の内部にデータを書き込むことが可能になっている。
駆動装置10には、CRTや平面表示ディスプレイなどの表示部16が装着してある。表示部16には、図3に示すように、駆動装置の運転に必要なデータ、たとえば心電図波形、駆動ガス圧の時系列波形、電圧、圧力、タイミング、アラーム、イベント履歴などが表示可能になっている。
また、図2に示すコネクタ70および18が接続されることで、ICチップ60に予め記憶してあるデータが駆動装置10の制御部により読み込まれ、図3に示す表示部16の表示領域16aに自動的に表示される。ICチップ60に予め記憶してあるデータとしては、たとえばバルーン部の拡張外径(たとえば7.0Fr)および容量(たとえば40ml)と製品番号(S/N)とバルーン種類(たとえばショートバルーン)に関するデータである。
これらのICチップ60に予め記憶してあるデータは、図4に示すように、バルーンカテーテル40の製造時あるいは出荷時に、ICチップ60に書き込まれ、その後に包装容器80に包装される。
本実施形態に係るバルーンカテーテル40および駆動装置10を含むシステムでは、バルーンカテーテル40のハンドル部42に駆動装置10を接続し、バルーンカテーテル40のコネクタ70と駆動装置10のコネクタ18とを接続させることで、バルーンカテーテル40のICチップ60に記憶してあるデータが、自動的に駆動装置10の制御部に送り込まれる。駆動装置10の表示部16には、ICチップ60に記憶してあるデータが、駆動装置10の駆動に必要なデータと共に表示される。
ICチップ60に予め記憶してあるバルーン部の拡張外径および容量と製品番号に関するデータが表示部16に表示されることで、駆動装置の操作者は、そのデータに誤りが無いかを容易に確認することができる。ICチップに予め記憶してあるその他のデータとしては、バルーンカテーテルのタイプなどがある。バルーンカテーテルのタイプとしては、ショートバルーンタイプ、ロングバルーンタイプ、その他の特殊形状タイプなどがある。
また、駆動装置10の制御部では、ICチップ60に記憶してあるデータに基づき、バルーンカテーテルを駆動するための駆動条件を自動的に算出する。たとえば駆動装置10の制御部は、ICチップ60に記憶してあるデータに基づき、駆動装置10からバルーンカテーテル40に送られる圧力流体の流量調整を自動的に行うことができる。すなわち、バルーン部22の容量が小さい場合には、バルーンカテーテルに送られる圧力流体の流量も小さくなる。
なお、駆動装置10の制御部が、ICチップ60に記憶してあるデータに基づき自動的に算出することが可能な駆動条件としては、上記に限定されず、駆動装置における駆動ラインの設定基準圧(駆動ガス充填量)、駆動ラインのパージ実施頻度、アラーム設定条件などが例示される。
また、駆動装置10による駆動が終了した場合、あるいは駆動の途中において、駆動装置10の制御部は、コネクタ70,18を通して、駆動装置10の識別番号と駆動装置10の実際の駆動状態の少なくとも一部とを、ICチップ60に書き込む。駆動装置10の実際の駆動状態の少なくとも一部には、駆動装置10に記憶してあるバルーンカテーテルの実際の駆動状態が記憶してあるデータの位置を特定するデータが含まれていても良い。
駆動状態が記憶してあるデータの位置としては、たとえばデータが記憶してあるメモリの種類やメモリ内の特定の位置などが例示される。そのため、バルーンカテーテル40を駆動装置10から取り外した後においても、そのバルーンカテーテル40が用いられた駆動装置10と、駆動装置内のどのメモリ位置にデータが記憶されているかを容易に特定することができる。
そのため、図5に示すように、使用済みのバルーンカテーテル40を回収袋80aなどにより回収した後においても、そのバルーンカテーテル40に組み込まれているICチップ60のデータを解析装置100により読み取り、さらに、そのデータから、使用された駆動装置10を特定することができる。そのため、その特定される駆動装置10のデータをメモリステック15などから読み取って、ICチップ60のデータと共に解析装置100で解析することで、臨床研究やトラブル対応時に、使用されたバルーンカテーテルの駆動状態を、後で正確に把握することが容易になり、駆動状態の解析に要する時間を短縮することができる。
なお、ICチップ60のメモリ容量に余裕があるときには、ICチップ60に書き込まれるデータは、たとえばバルーンカテーテルを実際に駆動した駆動装置10の駆動状態の全てのデータ、あるいはその一部のデータであっても良い。駆動状態に関するデータとしては、たとえば駆動期間中における心電図、血圧、駆動圧などの波形データや、駆動期間中のイベントデータなどである。
このようなデータをICチップから読み取ることにより、臨床研究やトラブル対応時に、使用されたバルーンカテーテルの駆動状態を、後で正確に把握することが容易になり、駆動状態の解析に要する時間を短縮することができる。
なお、本考案は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本考案の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、ICチップは、ハンドル部の一部に埋め込まれること無く、その他の部分に組み込まれていても良い。たとえば図1Bに示すように、内管30の血液導通路31には、ガイドワイヤあるいはパンピングスタイレットなどのワイヤ部材90が軸方向に沿って移動自在に挿入されることがある。そこで、このようなワイヤ部材90の後端(体外側)に、ICチップ60aと接触式コネクタ70aが装着してあってもよい。その他の構成および作用効果は、前述した実施形態と同様である。
また、図1Cに示すように、ハンドル部42の圧力流体導入出口46の近くに、ICチップ60bに接続してある接触式コネクタ70bを設け、圧力流体導入出口46に着脱自在に接続される圧力流体コネクタチューブのコネクタ部12bに接触式コネクタ18bを設けても良い。この実施形態の場合には、圧力流体導入出口46にコネクタ部12bを接続すると同時に、コネクタ70bとコネクタ18bとが接続され、ICチップ60bと駆動装置10とが通信可能になり、データのやりとりが可能になる。その他の構成は、前述した実施形態と同様である。
さらに、本考案のバルーンカテーテルでは、通信部は、必ずしも接触式コネクタである必要はなく、図1Dに示すように、ICチップ60cに非接触式通信用アンテナ70cを接続し、圧力流体コネクタチューブのコネクタ部12cに非接触式通信用アンテナ18cを設け、これらのアンテナ間で非接触式に通信しても良い。なお、駆動装置側に設けられるアンテナ18cは、コネクタ部12c以外の部分に設けても良い。その他の構成は、前述した実施形態と同様である。
さらにまた、本考案に係るバルーンカテーテルは、IABPバルーンカテーテルが特に好ましいが、それに限らず、その他のバルーンカテーテルであっても良い。
10… 駆動装置
12… 圧力流体コネクタチューブ
12b,12c… コネクタ部
14… 血液コネクタチューブ
16… 表示部
16a… 表示領域
17… ケーブル
18,18b… 接触式コネクタ
18c… 非接触式通信用アンテナ
20… 薄膜
22… バルーン部
23… 血液導入口
24… カテーテル管
25… 先端チップ部
29… 流体圧導通路
30… 内管
31… 血液導通路
40… バルーンカテーテル
42… ハンドル部
46… 圧力流体導入出口
44… 血圧測定口
60,60a,60b,60c… ICチップ
70,70a,70b… コネクタ
70c… 非接触式通信用アンテナ
90… ワイヤ部材
100…解析装置

Claims (12)

  1. 拡張および収縮するバルーン部と、
    このバルーン部の後端に連結されて、前記バルーン部内に圧力流体を導入および導出する流体圧導通路が形成されたカテーテル管と、
    前記カテーテル管の後端に連結され、前記流体圧導通路内と連通する圧力流体導入出口が形成される第1通路を少なくとも持つハンドル部と、
    少なくとも前記バルーン部の拡張外径および容量と製品番号に関するデータが記憶してあり、さらに別データの記憶が可能なICチップと、
    前記ICチップに記憶してあるデータを読み出すと共に、前記ICチップにデータを書き込むことが可能な通信部と、
    を有するバルーンカテーテル。
  2. 前記ICチップに書き込まれるデータが、少なくとも前記バルーンカテーテルを実際に駆動した駆動装置の識別番号である請求項1に記載のバルーンカテーテル。
  3. 前記ICチップに書き込まれるデータが、少なくとも前記バルーンカテーテルを実際に駆動した駆動装置の駆動状態である請求項1または2に記載のバルーンカテーテル。
  4. 前記ICチップが前記ハンドル部の一部に埋め込まれている請求項1〜3のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
  5. 前記バルーン部の先端に形成された血液連通孔に連通し、バルーン部とカテーテル管の内部を軸方向に延在し、前記流体圧導通路とは別個の血液導通路が形成された内管をさらに有し、
    前記内管の血液導通路には、ワイヤ部材が軸方向に沿って移動自在に挿入され、
    前記ワイヤ部材の後端に、前記ICチップが装着してある請求項1〜3のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
  6. 前記通信部が、接触式コネクタである請求項1〜5のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
  7. 前記通信部が、非接触式通信用アンテナである請求項1〜5のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のバルーンカテーテルと、
    前記バルーンカテーテルのハンドル部に接続され、前記バルーンカテーテルを駆動する駆動装置とを有するバルーンカテーテルの駆動システムであって、
    前記駆動装置の表示部には、前記ICチップに記憶してあるデータが、駆動装置に必要なデータと共に表示可能になっている駆動システム。
  9. 前記ICチップに記憶してあるデータに基づき、前記駆動装置は、前記バルーンカテーテルを駆動するための駆動条件を自動的に算出する制御部を有する請求項8に記載の駆動システム。
  10. 前記駆動装置の制御部は、前記通信部を通して、前記駆動装置の識別番号と前記駆動装置の実際の駆動状態の少なくとも一部とを、前記ICチップに書き込む請求項9に記載の駆動システム。
  11. 前記駆動装置の実際の駆動状態の少なくとも一部には、前記駆動装置に記憶してある前記バルーンカテーテルの実際の駆動状態が記憶してあるデータの位置を特定するデータが含まれる請求項10に記載の駆動システム。
  12. 前記ICチップに記憶してあるデータと、前記バルーンカテーテルに対応する前記駆動装置の実際の駆動状態が記憶してあるデータとに基づき、前記バルーンカテーテルの駆動状態を解析する解析装置をさらに有する請求項11に記載の駆動システム。
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