JP3176702B2 - リチウム電池 - Google Patents

リチウム電池

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    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リチウム電池に関し、
詳しくは高容量の正極体を有し、高起電力、高放電圧を
発生する高エネルギー密度のリチウム電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム電池は、使用温度範囲が広く、
放電電圧が安定で、自己放電率が極めて小さいという数
々の長所を有する高エネルギー密度電池として知られて
いる。このような高エネルギー密度電池として、従来C
oO2 やλ−MnO2 を正極活物質とするLi+ 挿入型正
極体を用いたリチウム電池が知られている。また、上記
のCoO2 やλ−MnO2 よりも高い電圧を発生する黒
鉛層間化合物で正極体を形成し、これを用いたリチウム
電池が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記CoO
2 やλ−MnO2 を正極活物質とする正極体を用いたリ
チウム電池では、正極体の電気容量が小さく、また、放
電電圧も約4V程度であって、エネルギー密度も低い。
また、上記黒鉛層間化合物を正極活物質とする正極体を
用いたリチウム電池では、正極体においてClO4 - ,BF4
- 等のアニオンの移動が関与して、上記Li+ の移動が関
与するCoO2 やλ−MnO2 を正極活物質とする正極
体よりも電気容量が小さくなり、かえってエネルギー密
度が低下する。このように、従来のリチウム電池では、
エネルギー密度が低いので、市場で要求される高エネル
ギー密度のリチウム電池としては不十分である。
【0004】本発明の目的は、上記の如き課題を解決
し、高起電力、高放電圧を発生する高エネルギー密度の
リチウム電池を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために種々研究を重ねた結果、正極活物質とし
てイオン半径が小さい物質を使用する程、起電力が高く
なる傾向があることを見出した。就中、リンが活物質材
として本来適した物性を備えていること、さらに起電力
をより高くし得ることが判明した。この理由は明らかで
はないが、本発明は上記知見に基づいて、従来のコバル
トやマンガンに替えてイオン半径が小さく、かつ、式量
の小さいリンをリチウムに複合した正極活物質を用いて
正極体を形成することで、上記目的を達成することに成
功し、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明のリチウム電池は、金属リチ
ウムまたはその合金よりなる負極体と、正極体と、電解
質とで構成されるリチウム電池であって、上記正極体の
活物質がリチウム・リン複合酸化物よりなることを特徴
とする。
【0007】
【作用】上記構成によれば、イオン半径が小さいリンを
リチウムに複合した正極活物質を用いるので、リチウム
電池の起電力や、放電電圧を高くすることができる。ま
た、式量が小さいリンを複合させた正極活物質を用いる
ので、正極体の質量を軽くできるため、正極体の単位重
量当りに取り込むLi+ 量が多くなり、正極体の容量を大
きくできる。したがって、リチウム電池の放電電圧、放
電容量を高くすることができ、リチウム電池を高エネル
ギー密度のものとすることができる。
【0008】以下、本発明を図面に基づき詳細に説明す
る。図1はリチウム電池の基本構成を示す模式図であ
る。同図において、Dはリチウム電池で、正極2と負極
1との間にセパレータ3を介在させ、上記正極2の外側
面に圧着した集電体5aに接着する正極缶7と、負極1
の外側面に圧着した集電体5bに接着する負極キャップ
6とを絶縁体8で封止した構成としている。
【0009】上記正極体2は、正極活物質と、アセチレ
ンブラックやケッチェンブラック等の導電材料と、ポリ
テトラフルオロエチレン、ポリエチレン等の結着剤とか
ら形成される。
【0010】本発明では、正極活物質として、リチウム
・リン複合酸化物を用いることを特徴とする。このリチ
ウム・リン複合酸化物は、従来正極活物質として知られ
ていない新規なものであって、一般式 LiPOx で表
され、この複合酸化物は非定量組成であって、xは1〜
3の範囲のものを含み、特にx=2のものが好ましい。
【0011】上記、リチウム・リン複合酸化物として
は、LiPO,LiPO2,LiPO3などが挙げられ
る。
【0012】上記リチウム・リン複合酸化物は、従来の
セラミック合成法が用いられて、固相法、焼結法、ゾル
−ゲル法、CVD法、PVD法、溶射法、熱分解法等の
方法で製造される。
【0013】上記正極活物質は、イオン半径が小さいリ
ンをリチウムに複合させたので、起電力や、放電電圧を
高くできる。また、正極体2は上記正極活物質を主体に
含有するので、その質量が軽くなって単位重量当りに取
り込むLi+ 量を多くできる。
【0014】上記正極体2は、前記正極体用組成物を圧
縮成形、ロール成形等の公知の適当な方法で任意の形
状、大きさに成形される。
【0015】一方、上記負極体1は、金属リチウムまた
はLi−Al,Li−Al−Mg,Li−C等のリチウ
ム合金を圧縮成形、ロール成形等の方法で任意の形状、
大きさに成形して使用される。
【0016】本発明では、電解質として塩類を有機溶媒
に溶解させた電解液や固体電解質が使用できる。電解質
が電解液の場合、この塩類としては、LiClO4 ,L
iBF4 ,LiPF6 ,LiAsF6 ,LiAlC
4 ,Li(CF3 SO2 2 N等が使用でき、エチレ
ンカーボネート,プロピレンカーボネート,ジメチルス
ルホキシド,スルホラン,γ−ブチロラクトン,1,2
−ジメトキシエタン,N,N−ジメチルホルムアミド,
テトラヒドロフラン,1,3−ジオキソラン,2−メチ
ルテトラヒドロフラン,ジエチルエーテルおよびこれら
の混合物等の有機溶媒に溶解させて濃度0.1〜3モル
/リットルに調製して使用される。
【0017】この電解液は、多孔性ポリマーやガラスフ
ィルタのようなセパレータ3に含浸あるいは充填させ
て、電解質として使用される。
【0018】電解質が固体電解質の場合、上記塩類をポ
リエチレンオキシド,ポリプロピレンオキシド,ポリホ
スファゼン,ポリアジリジン,ポリエチレンスルフィド
等やこれらの誘導体、混合物、複合体等に混合して使用
される。この固体電解質は、正極2と負極1とのセパレ
ータ3を兼ねる。
【0019】上記構成とすることにより、リチウム電池
は、高起電力、高放電電圧を発生するものとなる。ま
た、エネルギー密度が高いものとなる。なお、本発明で
は、正極,セパレータ(あるいは固体電解質),負極等
をロール状に巻く構成とすることにより、さらに高電気
容量のリチウム電池を製造できる。
【0020】
【実施例】以下、実施例を示し本発明をより具体的に説
明する。なお、本発明がこれに限定されるものでないこ
とは言うまでもない。 実施例1 (正極活物質の製造)リン含有率85%のリン酸と炭酸
リチウムとを、リンとリチウムの原子比が1:1となる
量をそれぞれ秤量し、これをアルミナ製るつぼに入れ
て、電気炉で800℃、12時間加熱処理を行い、リチ
ウム・リン複合酸化物(正極活物質a)を製造した。
【0021】(正極体の作製)十分に粉砕し粒度約20
μm以下とした上記正極活物質a8重量部、アセチレン
ブラック1重量部、テフロン粉末1重量部を十分に混合
して正極合剤を調製した。ついで、この正極合剤100
mgをニッケルメッシュ上にプレス成形して、直径20m
m、厚さ1.0mmの円板状正極体を作製した。
【0022】(負極体の作製)金属リチウムシートを直
径20.0mmに打ち抜き、片面にニッケルメッシュ5を
圧着して1.0mm厚さを有する円板状負極体を作製し
た。
【0023】(セパレータの作製)厚さ0.5mmの多孔
性ポリプロピレンフィルムを、直径25.0mmに打ち抜
き、円板状セパレータを作製した。
【0024】(電解液の調製)含水量を50ppm 以下に
調製したプロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシ
エタンとの体積比1:1の混合物に、1モル/リットル
の過塩素酸リチウムを溶解して電解液を調製した。
【0025】(リチウム電池の作製)上記作製した正極
体、負極体およびセパレータを、図1に示す構成に組立
て、正極体2にはステンレス製缶7を、負極体1にはス
テンレス製キャップ6をそれぞれ圧着させて取り付け、
前記電解液を上記正極缶7と負極キャップ6とで形成さ
れる容器内に注入した後、ガスケット8で封止してリチ
ウム電池Dを作製した。
【0026】(リチウム電池Dの性能試験)上記リチウ
ム電池Dを、1.0mAの定電流で充電を行った後、放電
電圧−放電時間および全放電容量を測定し、その放電特
性を調べた。この結果、図2および表1で示す通りであ
った。
【0027】比較例1 (正極活物質の製造)炭酸リチウムと塩基性炭酸コバル
トとを、リチウムとコバルトの原子比が1:1となる量
をアルミナ製るつぼに秤取して十分に混合した後、電気
炉で900℃、24時間加熱処理を行い、リチウム・コ
バルト複合酸化物(正極活物質b)を製造した。この正
極活物質bを、粉末X線回析法で調べたところ、JCP
OSカードのNo. 16−427と合致することが確認さ
れた。
【0028】(リチウム電池の作製)正極体2として上
記で製造した正極活物質bを用いたものに替える以外は
すべて実施例1と同様にして、リチウム電池を作製し
た。
【0029】(リチウム電池の性能試験)このリチウム
電池を、1.0mAの定電流で充電して、実施例1と同様
にその放電特性を測定した。この結果は、図2および表
1で示す通りであった。
【0030】図2より明らかなように、実施例でえられ
るリチウム電池は、4V以上の高電圧を15時間近く維
持するものであるのに対し、比較例でえられるものは、
約1時間で放電電圧が4V以下に低下し、12時間を数
える前に急激に放電電圧が3V以下に低下した。
【0031】
【表1】
【0032】また、上記表1より明らかなように、実施
例でえられるリチウム電池は、全放電容量にも優れるも
のであった。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、正極
体に取り込むLi+ 量を増加させることができ、また、正
極体の単位重量当りに取り込むLi+ 量が多くできるの
で、高電気容量を有し、かつ、高起電力、高放電電圧を
発生する高エネルギー密度のリチウム電池がえられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すリチウム電池の模式図
である。
【図2】本発明のリチウム電池の放電特性を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 負極 2 正極 3 セパレータ 5a,5b 集電体 6 負極キャップ 7 正極缶 8 絶縁体 D リチウム電池

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属リチウムまたはその合金よりなる負
    極体と、正極体と、電解質とで構成されるリチウム電池
    であって、上記正極体の活物質がリチウム・リン複合酸
    化物よりなることを特徴とするリチウム電池。
  2. 【請求項2】 リチウム・リン複合酸化物が、一般式
    LiPOx (1≦x≦3)で表されるものである請求項
    1記載のリチウム電池。
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