JP3176414B2 - 板金展開図作成システム - Google Patents

板金展開図作成システム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板金曲げ加工品に対す
る複数の投影図からコンピュータを利用してその展開図
を作成する板金展開図作成システムに関する。
【0002】
【従来の技術】板金曲げ加工品(以下、板金加工品と呼
ぶ)に対しては、この板金加工品の最終形状を認識させ
る複数の投影図が設計図として有効であると共に、曲げ
加工前の平面形状を表す板金展開図も設計図として有効
である。ここで、コンピュータを利用した従来の設計シ
ステムにおいては、板金展開図を直接作成するものと、
複数の投影図(例えば3面図や2面図)に基づいて作成
するものとがある。本明細書においては後者を対象とし
ている。
【0003】図2〜図4は、従来のコンピュータを利用
した板金展開図作成システムによる作成処理の説明図で
ある。
【0004】今、図2の斜視図に示す板金加工品Iの板
金展開図を作成する場合とする。しかし、図2に示す斜
視図データは記憶されておらず、図3に示す3面図のデ
ータが記憶されている。まず、このような3面図を表示
させている状態で、板金加工品Iに存在する曲げ部を形
成している面(以下、部品面と呼ぶ)を全て作成する。
例えば、部品面を構成する直線や円弧等の形状要素を3
面図上で順次ピックしていくことで部品面を作成する。
板金加工品Iの場合、図2に示めした5個の部品面P1
〜P5 が作成される。
【0005】その後、図4に示すように部品図を合成し
ていくことで板金展開図を作成する。図4に示す例で
は、最初に、部品面P1 及びP2 を、平行移動機能や回
転移動機能等を利用して合成して合成面(展開部分図)
S1 を作成する。この際には、これら部品面P1 及びP
2 で形成される曲げ部についての特有な曲げパラメー
タ、すなわち、曲げ半径R1や曲げ角度A1をキーボー
ドを用いて指定し、曲げによって伸びる分を合成させる
ときに補正させる。なお、曲げ伸び量の補正には、板厚
や材質のデータも必要であるが、これらは全ての曲げ部
に共通なものであるので合成処理を開始する以前に与え
られている。
【0006】次に、合成面S1 における部品面P1 と、
部品面P3 とを、キーボードを用いて指定された曲げパ
ラメータR2 及びA2 を用いて合成して合成面S2 を作
成する。
【0007】次に、合成面S2 における部品面P3 と、
部品面P4 とを、キーボードを用いて指定された曲げパ
ラメータR3 及びA3 を用いて合成して合成面S3 を作
成する。
【0008】最後に、合成面S3 における部品面P1
と、部品面P5 とを、キーボードを用いて指定された曲
げパラメータR4 及びA4 を用いて合成して合成面S4
を作成する。この最終的な合成面S4 が板金展開図とな
る。
【0009】なお、2個の部品面を曲げパラメータを利
用して合成する具体的技術については、例えば文献
『「CADDS 4X Flat Pattern Layout User Guide (Soft
ware Revision 4.0 )」、Computervision Corporation
発行、1985年8月』に開示されている。
【0010】以上のように、従来の板金展開図作成シス
テムにおいては、1か所の曲げ部の展開を2個の部品面
の合成によって行ない、その処理を曲げ部の数だけ繰返
すことで板金展開図を作成しており、1か所の曲げ部を
展開させる毎に曲げ半径や曲げ角度の曲げパラメータを
指定していた。従って、N箇所の曲げ部を有する板金加
工品の場合、曲げ半径や曲げ角度をN回指定する操作が
必要であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
板金展開図作成システムは、以下の欠点を有するもので
あった。
【0012】曲げ部1か所を展開するのに1回のキーボ
ードによる曲げパラメータの指定操作を必要とするの
で、最終的な板金展開図を得る板金展開作業での曲げパ
ラメータの指定に費やす時間の割合がかなり大きくな
り、板金展開作業時間を長時間化させる大きな要因とな
っていた。
【0013】キーボードによって曲げパラメータを指定
していたため、パラメータの入力ミスを避けることがで
きず、板金展開図の完成品質が低下しやすかった。
【0014】このような不都合を解決するため、曲げパ
ラメータのデフォルト値を表示してデフォルト値と異な
る曲げパラメータについてのみ入力させるようにしたも
のが既に提案されている。すなわち、いわゆるアールの
ない直角な曲げ部が最も多く生じることを考慮し、曲げ
半径0、曲げ角度90度をデフォルト値に設定してお
き、これに合致する場合には確定キーを押下するように
して数字のキー入力を省略するようにしたものが提案さ
れている。
【0015】しかしながら、このような指定方法を採用
しても、アールがある曲げ部に対しては、曲げ半径及び
曲げ角度の曲げパラメータを入力しなければならず、上
述した欠点を完全には解決することができない。
【0016】本発明は、以上の点を考慮してなされたも
のであり、曲げ部の展開に必要な曲げパラメータの指定
における入力ミスを未然に防止できる、また、曲げパラ
メータの平均的な指定操作時間を従来より短くできる板
金展開図作成システムを提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明は、板金加工品についての複数の投影図の情報
を利用して、板金展開図を作成するものであって、曲げ
部の曲げ半径及び曲げ角度を展開処理に必要とする板金
展開図作成システムにおいて、既に作成された一または
複数の投影図に形状が表される形状要素の情報を記憶し
ている記憶手段と、投影図の曲げ部の1以上の形状要素
を指定する形状要素指定手段と、この形状要素指定手段
によって指定された1以上の形状要素に応じて、記憶手
段に記憶された形状要素の情報から曲げ部の展開処理に
必要な曲げ半径及び曲げ角度の情報を得る曲げパラメー
タ設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
【作用】本発明は、既に存在する3面図の情報の中に
は、曲げ部の曲げ角度や曲げ半径を直接的又は間接的に
明らかにする情報があることを考慮してなされたもので
あり、これらの情報を利用して曲げパラメータを設定す
ることにより、設定のための時間を短縮すると共に曲げ
パラメータについての数値の入力ミスを未然に防止しよ
うとしたものである。
【0019】すなわち、形状要素指定手段によって、
影図の曲げ部の1以上の形状要素を指定し、曲げパラメ
ータ設定手段が、指定された1以上の形状要素の情報を
記憶手段から取り出して、この情報から曲げ部の展開処
理に必要な曲げ半径及び曲げ角度のパラメータを得る。
【0020】
【実施例】以下、本発明によるコンピュータを利用した
板金展開図作成システムの一実施例を図面を参照しなが
ら詳述する。
【0021】図5はこの実施例の板金展開図作成システ
ムの概略構成を示すブロック図、図6はその外観図であ
る。
【0022】この実施例の板金展開図作成システムは、
図6に示すような外観を有するコンピュータシステムに
よって実現されており、図5に示すように、第1の入力
装置10、第2の入力装置11、記憶装置12、表示装
置13及び展開処理装置14等から構成されている。図
6において、情報処理本体15に記憶装置12及び展開
処理装置14が内蔵されている。なお、記憶装置12
は、内蔵されている部分に加えて補助記憶装置によって
実現されていても良い。
【0023】第1の入力装置10はキーボードを利用し
たデータ入力部であり、展開処理装置14を動かすコマ
ンドや、座標の数値や、曲げパラメータ(曲げ角度や曲
げ半径)の入力に利用されるものである。
【0024】第2の入力装置11はデジタイザ等の座標
入力手段でなり、正確には、表示装置13に表示された
内容と共に基準とする原点からの2次元座標を入力させ
るものである。なお、この実施例の場合、第2の入力装
置11は曲げパラメータ(曲げ角度や曲げ半径)の指定
にも利用される。
【0025】記憶装置12は、既に作成された複数の投
影図(例えば2面図や3面図や4面図等)のデータの記
憶しているものであり、また、入力装置10又は11に
よって入力されたデータや、展開処理装置14の処理に
よって生成された各種データを記憶するものである。
【0026】表示装置13は、展開処理装置14の制御
下で、複数の投影図や部品面や板金展開図のデータを図
形的に表示するものである。また、入力装置10又は1
1から入力されたデータを文字や図形として表示するも
のであり、さらに、処理段階を明らかにするデータや操
作を促すデータ等を文字や図形として表示するものであ
る。
【0027】展開処理装置14は、他の装置10〜13
を制御しながら、板金加工品の展開図を作成する処理を
実行するものである。
【0028】図7は、展開処理装置14の詳細構成を機
能ブロック図で示したものである。展開処理装置14
は、部品面作成部20、曲げパラメータ設定部21、曲
げ伸び長算出部22、部品面合成部23及び展開図整形
部24から構成されている。なお、これら各部20〜2
4の処理については、以下の板金展開図作成処理を通じ
て明らかにする。
【0029】図8は、板金展開図作成処理の工程手順を
示すものである。板金展開図作成処理は、全ての部品面
を作成する工程30、合成する2個の部品面を指定する
工程31、曲げパラメータを指定する工程32、部品面
を合成する際の補正情報たる曲げ伸び長を算出する工程
33、及び、部品面を合成して展開部分図又は板金展開
図を生成すると共に展開部分図又は板金展開図を整形す
る工程34からなり、工程31〜34は最終的な板金展
開図が得られるまで繰返し実行される。
【0030】図9は、ある板金加工品I1の3面図を示
すものである。以下、図9に示された板金加工品I1の
板金展開図を作成する場合を必要に応じて例にとって、
図7の各部20〜24の機能と、図8の各工程30〜3
4の内容とを説明する。
【0031】工程30は全ての部品面を作成する工程で
あり、部品面作成部20によって実行される。部品面作
成部20は、表示装置13に3面図を表示させた状態
で、入力装置10又は11から部品面を構成する一群の
形状要素(直線や円弧等)を取り込んで部品面を作成
し、作成した各部品面を記憶装置12に記憶させる。ま
た、表示装置13に3面図に加えて作成した各部品面を
表示させる。
【0032】図10は、図9に示した板金加工品I1に
ついての全ての部品図P11〜P15を示したものである。
部品面P11、P13及びP14は、3面図の情報から直接得
ることができる。3面図の情報から部品面を得る場合に
は、3面図の形状要素から、その部品面を構成する全て
の形状要素を例えば第2の入力装置12を用いて順次ピ
ックすることで実現できる。部品面P12は、部品面P11
を反転移動コピーすることで得ることができる。部品面
P15は、3面図から外形形状の形状要素をピックした後
回転移動することで得ることができる。
【0033】工程30が終了すると設計者の認識に従っ
て工程31に進む。工程31は、合成する2個の部品面
の指定を取り込む工程であり、部品面合成部23によっ
て実行される。部品面合成部23は、入力装置11によ
って指定された2個の部品面を取り込む。例えば、第2
の入力装置11によって、表示されている対象となる部
品面の全ての形状要素を順次ピックすることで2個の部
品面を指定する。また、この工程31では、入力装置1
1によって指定された両部品面の接合関係(接合の基準
点や接合辺等)の情報を取り込む。例えば、合成する部
品面を指定する際の最初のピックに係る形状要素の指定
は、基準点や接合辺情報として取り込まれる。なお、取
り込まれた情報は記憶装置12に記憶される。
【0034】工程31が終了すると工程32に自動的に
進む。この工程32は、今対象となっている2個の部品
面によって形成される曲げ部についての曲げ角度及び曲
げ半径の指定情報を取り込む工程であり、曲げパラメー
タ設定部21によって実行される。
【0035】図1は、曲げパラメータ設定部21が実行
する工程32の詳細手順を示したフローチャートであ
る。図11は、第2の入力装置11を用いた曲げパラメ
ータの指定方法の説明図である。
【0036】曲げパラメータ設定部21は、表示装置1
3に曲げ角度及び曲げ半径のデフォルト値を表示させる
と共に、曲げ角度又は曲げ半径の一方にカーソルを位置
させる(ステップ40)。ここで、デフォルト値は、多
くの板金加工品において最も一般的な曲げ部についての
値であり、例えば、アールがない直角な曲げ部に対する
曲げ角度90度、曲げ半径0である。
【0037】次に、第1又は第2の入力装置10又は1
1を用いて入力された情報を取り込み、入力情報がいず
れの入力装置10又は11から入力されたかを判別する
(ステップ41、42)。
【0038】第1の入力装置10から入力された情報で
あると、その情報がその時点で表示されている曲げパラ
メータの確定を指示するものであるか、又は、曲げパラ
メータを表す文字入力であるかを判別する(ステップ4
3)。曲げパラメータの確定を指示するものであると、
その時点で表示装置13に表示されていた曲げ角度及び
曲げ半径の値を記憶装置12に格納させて工程33に移
行する(ステップ44)。他方、第1の入力装置10か
ら入力された情報が曲げパラメータの数値入力である
と、表示装置13に表示されていた曲げ角度及び又は曲
げ半径をその入力に応じて変更して、上述した入力取込
みステップ41に戻る(ステップ45)。多くの場合、
オペレータは曲げパラメータ(曲げ半径及び又は曲げ角
度)を数値入力した後には確定入力を行なう。すなわ
ち、デフォルト値に該当しない曲げ部に対して曲げパラ
メータを指定する場合には、このような方法を採用する
ことができる。
【0039】曲げパラメータの指定のために入力された
情報が第2の入力装置11からの情報であると、曲げパ
ラメータ設定部21は、図11(A)〜(D)のいずれ
の態様による指定であるかを判別する(ステップ46〜
48)。すなわち、第2の入力装置11によってピック
された位置の近傍に円弧要素があるか否か(円弧要素が
検索できたか否か)、ピック回数が1回か3回か、ピッ
ク位置近傍の2個の直線要素が交差しているか否か等に
よって、指定態様を判別する。なお、デフォルト値と異
なる曲げパラメータを指定する場合において、第1の入
力装置10を用いた数値入力によらずに第2の入力装置
11を用いて指定するときには、曲げ部の形状要素近傍
をピックするようにオペレータには教えられている。ま
た、上述した円弧要素であるか否かや直線要素が交差し
ているか否かの判断は、記憶装置12に記憶されている
3面図又は部品面についての各形状要素のデータを参照
して行われる。
【0040】第2の入力装置11を用いた指定態様が、
図11(A)に示すように、曲げ部を構成する円弧要素
近傍の1点d1 の指示であると、その円弧要素の半径を
曲げ半径とし、その円弧要素の形成角を曲げ角度とし
て、表示装置13上の値を更新して上述した入力取込み
ステップ41に戻る(ステップ49)。一般には、オペ
レータはこのようなピックを行なった後は曲げパラメー
タの更新表示を見て確定キーを押下する。
【0041】第2の入力装置11を用いた指定態様が、
図11(B)に示すように、曲げ部を構成する円弧部分
が複数の円弧要素で規定されている(円弧部分が複数の
形状要素に分断されている)場合であってある円弧要素
近傍と、曲げ部を形成する2個の直線要素との3点d1
〜d3 の指示であると、記憶装置12に格納されている
指示された円弧要素の半径を曲げ半径とし、指示された
2個の直線要素の形成角θを曲げ角度(記憶装置12に
格納されている直線要素の情報から演算によって求め
る)として、表示装置13上の値を更新して上述した入
力取込みステップ41に戻る(ステップ50)。一般に
は、オペレータはこのような3か所ピックを行なった後
は曲げパラメータの更新表示を見て確定キーを押下す
る。
【0042】第2の入力装置11を用いた指定態様が、
図11(C)に示すように、円弧要素がない曲げ部近傍
の1点d1 の指示であって指示点近傍の2個の直線要素
が交差していない(2個の直線要素が端点で結合してい
る)場合であると、曲げ半径を0とし、180度から指
示点近傍の2個の直線要素の形成角θを減じた角度を曲
げ角度(演算により求める)として、表示装置13上の
値を更新して上述した入力取込みステップ41に戻る
(ステップ51)。このような場合にも、一般には、オ
ペレータはこのような1か所ピックを行なった後は曲げ
パラメータの更新表示を見て確定キーを押下する。
【0043】第2の入力装置11を用いた指定態様が、
図11(D)に示すように、円弧要素がない曲げ部近傍
の1点d1 の指示であって指示点近傍の2個の直線要素
が交差している場合であると、曲げ半径を0とし、指示
点近傍の2個の交差直線要素でできる4個の領域のうち
指示点d1 を含む領域に係る交差直線要素の形成角θを
180度から減じた角度を曲げ角度(演算により求め
る)として、表示装置13上の値を更新して上述した入
力取込みステップ41に戻る(ステップ52)。このよ
うな場合にも、一般には、オペレータはこのような1か
所ピックを行なった後は曲げパラメータの更新表示を見
て確定キーを押下する。
【0044】従って、工程32においては、オペレータ
は、次の3種類の操作方法のいずれかによって曲げパラ
メータを指定することができる。(1) 表示装置13に表
示された曲げパラメータのデフォルト値を確定操作して
曲げパラメータを指定する。(2) 第1の入力装置10を
用いて、曲げパラメータを数字入力した後確定操作して
曲げパラメータを指定する。(3) 第2の入力装置11を
用いて、曲げ部分の1又は3個の形状要素をピックした
後確定操作して曲げパラメータを指定する。
【0045】図10に示した部品面の内、アールがある
曲げ部を形成する2個の部品面、P13及びP14、並び
に、P13及びP15を合成するために曲げパラメータを指
定する場合には、当然に第1の指定方法を適用できず、
第2の指定方法及び第3の指定方法によらなければなら
ない。
【0046】第2の指定方法の場合、オペレータが寸法
情報が含まれている3面図から必要な情報を認識しなけ
らばならず、負担が大きいと共に文字(数字)入力の際
に誤った値を入力する恐れがある。従って、このような
場合には第3の指定方法が好ましいということができ
る。例えば、2個の部品面P13及びP14を合成するため
の曲げパラメータの指定を第3の指定方法によって行な
う場合、オペレータは図9の点PP辺りをピックし、確
定キーを押下すれば良い。
【0047】なお、第2の入力装置11を用いて指定し
ようとする場所に複数の形状要素が存在して、1個の形
状要素をピックによって指定しにくいときには、その部
分を拡大表示させてピックすれば良い。
【0048】工程32が終了すると工程33に自動的に
進む。この工程33は、今対象となっている2個の部品
面によって形成される曲げ部について、展開された状態
から曲げた場合にその曲げによってどの程度板金が伸長
するものであるかを求める工程である。すなわち、2個
の部品面を合成する際の補正用曲げ伸び長を求める工程
である。この工程33は曲げ伸び長算出部22によって
実行される。
【0049】曲げ伸び長の算出には、指定された曲げ半
径及び曲げ角度の情報だけでなく、板厚や材質の情報も
必要である。3面図についての情報は、実際上形状に係
る情報と管理情報とから構成されており、管理情報には
板厚や材質が含まれている。そこで、この算出処理にお
いては、記憶装置12に格納されている3面図の管理情
報から板厚や材質の情報を取り出して利用する。なお、
具体的な算出方法は、上述した文献に記載されているよ
うな周知の方法を適用する。
【0050】工程33が終了すると工程34に自動的に
進む。この工程34は、今対象となっている2個の部品
面を合成して展開部分図又は板金展開図を作成し、また
曲げ部を表す補助線を作成する工程であり、この工程は
部品面合成部23及び展開図整形部24によって実行さ
れる。部品面合成部23は、算出された曲げ伸び長を利
用し、上述した接合情報を利用して2個の部品面を合成
する。展開図整形部24は、曲げ部を表す補助線を、展
開部分図又は板金展開図に書き入れる。なお、合成処理
及び補助線挿入の具体的な方法は、上述した文献に記載
されているような周知の方法を適用する。
【0051】図12は、最初の合成処理において図10
の部品面P13及びP14が指定された場合の工程34の終
了時の内容を示したものである。図12に示すように、
この段階では部品面P13及びP14が合成された展開部分
図S11が得られる。
【0052】設計者は、この工程34が終了したときに
合成されていない部品面が残っていると上述の工程31
の処理に進む。以下、最終的な板金展開図が得られるま
で、工程31〜34が繰返される。このようにして板金
展開図が得られた後は、必要に応じて寸法情報を盛り込
む。
【0053】図13は、図9の板金加工品I1について
最終的に得られた板金展開図を示すものである。
【0054】上述した実施例によれば、3面図について
の形状要素情報が既に存在することを利用して、曲げ半
径及び曲げ角度の曲げパラメータを、オペレータが第2
の入力装置11を用いた形状要素の特定によって指定で
きるようにしたので、曲げパラメータの指定にかかる平
均時間を従来より短くすることができ、板金展開図の作
成時間を短いものとすることができる。
【0055】また、このような指定が可能となったの
で、数字入力を利用して曲げパラメータを指定すること
を少なくすることができ、曲げパラメータの入力ミスに
よって板金展開図の品質が低下するようなことを防止す
ることができる。
【0056】さらに、上記実施例によれば、曲げパラメ
ータの指定値のデフォルト値を用意するようにしている
ので、上述した時間的メリット及び品質的メリットは一
段と高くなっている。
【0057】なお、上記実施例においては、曲げパラメ
ータを上述した3種類の方法のいずれかで指定できるも
のを示したが、本発明は、曲げパラメータの指定方法と
して、曲げ部近傍の1又は3個の形状要素を特定した後
確定操作して曲げパラメータを指定する方法を少なくと
も有する板金展開図作成システムであれば良い。
【0058】また、本発明が対象とする板金加工品は材
質が金属であるものに限定されるものではなく、板厚一
定の加工品を意味するものであり、それ単独で製品とな
るものだけでなくある製品の部品であっても良い。
【0059】さらに、上記実施例においては、座標入力
装置(第2の入力装置12)によって曲げ部近傍の形状
要素を特定するものを示したが、形状要素に識別名を付
けて記憶させるシステムであれば識別名によって曲げ部
近傍の形状要素を指示するようにしても良い。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、形状要
素指定手段が指定した、投影図の曲げ部の1以上の形状
要素に応じて、曲げパラメータ指定手段が、記憶手段に
記憶された形状要素の情報から曲げ部の展開処理に必要
な曲げ半径および曲げ角度の情報を得るようにしたの
で、曲げ部の展開に必要な曲げパラメータの指定におけ
る入力ミスを未然に防止できる、また、曲げパラメータ
の平均的な指定操作時間を従来より短くできる板金展開
図作成システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例システムの曲げパラメータの指定処理を
示すフローチャートである。
【図2】板金加工品の一例の斜視図である。
【図3】図2の板金加工品の3面図である。
【図4】図2の板金加工品の板金展開図を得る従来方法
の説明図である。
【図5】上記実施例システムの概略ブロック図である。
【図6】上記実施例システムの外観図である。
【図7】上記実施例システムの機能ブロック図である。
【図8】上記実施例システムの工程図である。
【図9】板金加工品の3面図である。
【図10】図9の板金加工品についての部品面を示す図
である。
【図11】上記実施例システムの曲げパラメータの指定
処理の説明図である。
【図12】図9の板金加工品についての展開途中の状態
を示す図である。
【図13】図9の板金加工品についての板金展開図であ
る。
【符号の説明】
10…第1の入力装置(キーボード)、11…第2の入
力装置(デジタイザ)、12…記憶装置、13…表示装
置、14…展開処理装置、21…曲げパラメータ設定
部。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板金加工品についての複数の投影図の情
    報を利用して、板金展開図を作成するものであって、曲
    げ部の曲げ半径及び曲げ角度を展開処理に必要とする板
    金展開図作成システムにおいて、既に作成された一または複数の投影図に形状が表される
    形状要素の情報を記憶している記憶手段と投影図の曲げ部 の1以上の形状要素を指定する形状要素
    指定手段と、 この形状要素指定手段によって指定された1以上の形状
    要素に応じて、前記記憶手段に記憶された形状要素の情
    報から曲げ部の展開処理に必要な曲げ半径及び曲げ角度
    の情報を得る曲げパラメータ設定手段とを備えたことを
    特徴とする板金展開図作成システム。
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