JP3173713U - 容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射性セシウムを含む汚染土を密閉保管するのに好適な容器を提供すること。
【解決手段】保管容器は、容器本体1および所定の大きさに形成されたコンクリート製の蓋体7から構成される。容器本体1の底部には所定の深さを有する凹部1cが形成されている。この蓋体7の裏面には、ベントナイト系の防水シート11fが密着して貼付されている。また、蓋体7の表面側には凹部7aが4箇所に形成されており、蓋体7の吊り上げ時に使用される。容器本体1の内壁面にも、蓋体7の裏面と同様にベントナイト系の防水シートが密着して貼付されている。
【選択図】図2
【解決手段】保管容器は、容器本体1および所定の大きさに形成されたコンクリート製の蓋体7から構成される。容器本体1の底部には所定の深さを有する凹部1cが形成されている。この蓋体7の裏面には、ベントナイト系の防水シート11fが密着して貼付されている。また、蓋体7の表面側には凹部7aが4箇所に形成されており、蓋体7の吊り上げ時に使用される。容器本体1の内壁面にも、蓋体7の裏面と同様にベントナイト系の防水シートが密着して貼付されている。
【選択図】図2
Description
本考案は、放射性物質を含む土壌などの廃棄物を格納して保管する容器に関する。
従来、廃棄物を収容して処分するためのコンクリート製の容器として、種々のものが提案されている。しかし、現在行われている廃棄物の処理方法は、簡易遮水層を設け、殆どが原野、山谷間などに投棄処理されていた。そこでは、放射性物質を含む廃棄物については、その流出により地下水脈が汚染されるなど、環境汚染問題として深刻な社会問題となっている。
特許文献1では、強化コンクリートを使用した函体と蓋とで一組の密閉容器を形成し、函体内面には耐久、対薬品性、高強度の性能を有する合成ゴム系の被覆材で覆い密閉して、有害物質が容器外部に漏出しない廃棄物処理ユニットが提案されている。この発明では、密閉容器はコンクリート方塊となり最も安全な状態のまま、半永久的に集堆積又は、土木材料などとして再利用することで、自然環境保護とリサイクルにより処理費の削減に貢献できるというものである。
特許文献2は、単一の材料からなる簡易な構造の壁体によって、大型容器を提供するものであって、廃棄物に含まれる種々の物質が周囲の環境中に拡散するのを防ぐことができ、かつ、例えば1辺が4m以上の箱型の大型容器として作製しても、移動などが可能な程度の質量に抑えることができ、容器の大型化による廃棄物処理の効率化を図るようにしている。
ところで、原子力発電所では、核燃料としてウラン(U)235が主に利用されている。ウラン235は、核分裂過程において種々の核分裂生成物を生ずる。当該核分裂生成物の中には放射能をもつ核種も存在する。このため、核分裂生成物が原子力発電所の事故などにより大気中に放出され、地表に降り積もると、その土地での放射線の被害が深刻化するおそれがある。特に、ウラン235は核分裂生成物として放射性セシウム(Cs)を生じ得る。放射性セシウムには、セシウム137のように半減期が30年程度と長いものもあり、長期に渡って残留し放射線源となり得る。そこで、その土地の表層の汚染土を除去して密閉容器に格納し、隔離保管することが考えられる。
しかしながら、従来の廃棄物用の容器では、ゴム系材料の経年劣化による密閉性の低下やコンクリートからの水分の浸み出しなどで放射性物質が容器外部に漏れ出るおそれがある。よって、放射性セシウムのように長い半減期の放射性物質を含む汚染土を長期間格納して保管する用途には適していなかった。
本考案はこのような点に鑑みてなされたものであり、放射性セシウムを含む汚染土を密閉保管するのに好適な容器を提供することを目的とする。
本考案では、上記問題を解決するために、放射性物質を含む土壌などの廃棄物を格納して保管する容器であって、上面に開口を有するコンクリート製の容器本体と、前記容器本体の開口を閉鎖する大きさに形成されたコンクリート製の蓋体と、前記容器本体の上面と底面を含む内壁面、および前記蓋体の裏面に、それぞれ密着して貼付されたベントナイト系シートを用いた防水シートと、を備えたことを特徴とする容器が提供される。
本考案によれば、自己修復性を有するベントナイト系シートを用いた防水シートは、容器本体内部で十分な拘束力でもって密着貼付されるため、不織布からの漏水などのおそれがなく、土壌などの廃棄物の保管容器としての防水性、密閉性、および吸着性を高めることができる。特に、ベントナイト系材料はセシウムをイオン吸着する性質をもち、防水シート内に放射性セシウムを閉じ込めることができるので、放射性セシウムを含む汚染土を保管するのに有効である。更に、ベントナイト系材料は、ゴム系材料に比べて経年劣化が起こりにくく、長期間に渡り密閉性を維持できる。
以下、図面を参照してこの考案の実施の形態について説明する。図1は、本考案に係る一実施の形態であって、(A)は容器本体を示す斜視図、(B)は防水シートの断面構成を示す図である。
硬化コンクリート製の容器本体1は、図1(A)に示すように、その上面に矩形の開口2を有している。同図(B)に示す防水シート3は、厚みが4〜5mm程度のベントナイト系材料5を両面から不織布4,4によって覆って構成される。ベントナイト系材料5は、それ自体で放射性セシウム(例えば、セシウムの放射性同位体であるセシウム134やセシウム137など)を吸着する性質を持つものである。
このベントナイト系の防水シート3は、容器本体1の上面壁1aと底面壁1bを含む内壁面、および図示しない蓋体の裏面にそれぞれ密着して貼付される。また、容器本体1の底面外部には、その前後方向のいずれにも、それぞれ2本のフォーク差し込み用の溝部6,6が形成されている。
図2は、本考案に係る一実施の形態であって、(A)は保管容器の側面図、(B)は保管容器の底面図である。
保管容器は、容器本体1および所定の大きさに形成された硬化コンクリート製の蓋体7から構成される。容器本体1の底部には所定の深さを有する凹部1cが形成されている。この蓋体7の裏面には、上述したベントナイト系の防水シート11fが密着して貼付されている。
保管容器は、容器本体1および所定の大きさに形成された硬化コンクリート製の蓋体7から構成される。容器本体1の底部には所定の深さを有する凹部1cが形成されている。この蓋体7の裏面には、上述したベントナイト系の防水シート11fが密着して貼付されている。
また、蓋体7の表面側には凹部7aが4箇所に形成されており、蓋体7の吊り上げ時に使用される。そして、図示しない容器本体1の内壁面にも、蓋体7の裏面と同様に、上述したベントナイト系の防水シートが密着して貼付されている。なお、これらの防水シートの貼付けの方法については、後述する。
更に、蓋体7の表面四隅に位置決め用の凸部8が配置されており、保管容器の積層保管時に上部に配置される容器本体1の底部に形成された凹部1cに挿入され、位置決めされる。そして、容器本体1の開口2をこの蓋体7によって閉鎖する際、蓋体7は容器本体1に対して複数のボルト9を用いて固定できるようになっている。複数のボルト9を用いて固定することで、容器本体1と蓋体7との結束力を一層高めて、容器内部の密閉性を向上することができる。
なお、容器本体1の底部には、左右方向だけでなくその前後方向のいずれにも、それぞれ2本のフォーク差し込み用の溝部6,6が形成され、容器本体1の取扱いを容易なものとしている。
つぎに、容器本体1および蓋体7の詳細について説明する。
図3は、上面に開口を有するコンクリート製の容器本体の一例を示す図であって、(A)は容器本体の上面図、(B)は容器本体の断面図である。
図3は、上面に開口を有するコンクリート製の容器本体の一例を示す図であって、(A)は容器本体の上面図、(B)は容器本体の断面図である。
容器本体1には、上面壁1aの四隅に、蓋体7を固定するためのボルト9に対応して、それぞれねじ孔10が設けられている。そして、その上面壁1aを含めてそれぞれ前後左右の内壁面は、ベントナイト系材料5からなる防水シート11a,11b,11c,11dで覆うように構成されている。すなわち、各防水シート11a,11b,11c,11dの上端部が、容器本体1の上面壁1aに折り返されている。
また、容器本体1の底面壁1bは、別の防水シート11eによって覆われている。この防水シート11eは、防水シート11a,11b,11c,11dの貼付に先立って、容器本体1の底面壁1bを覆うようにする。そして、防水シート11eを底面壁1bより少しだけ大きく形成することで、その外周部分が内壁面に折り返されている。したがって、その後に前後左右の内壁面に防水シート11a,11b,11c,11dを貼付けることによって、容器本体1の底面壁1bは防水シート11a,11b,11c,11dの下端部と防水シート11eとによって隙間なく密閉される。更に、ボルトによる拘束力により単一の防水層を確実に形成することができる。
また、4枚の防水シート11a,11b,11c,11dは、予め前後左右の内壁面に対応する筒形状に接続してから容器本体1の内壁面に貼付けるようにする。これにより、容器本体1の全体の密閉性が高められる。なお、容器本体1は、その底面壁1bを含めて鉄筋などが挿入された強化コンクリートによって構成される。
図4は、図3の容器本体の開口を閉鎖する蓋体の一例を示す図であって、(A)は蓋体の上面図、(B)は蓋体の側面図である。
蓋体7は、容器本体1の開口2を覆うに足りる大きさで、かつ所定の厚みに形成され、容器本体1と同様に、鉄筋などが挿入された強化コンクリートによって構成されている。この蓋体7の表面四隅には、位置決め用の凸部8の外側に、それぞれ容器本体1の上面で蓋体7を固定するためのボルト挿入孔12が設けられている。
蓋体7は、容器本体1の開口2を覆うに足りる大きさで、かつ所定の厚みに形成され、容器本体1と同様に、鉄筋などが挿入された強化コンクリートによって構成されている。この蓋体7の表面四隅には、位置決め用の凸部8の外側に、それぞれ容器本体1の上面で蓋体7を固定するためのボルト挿入孔12が設けられている。
防水シート11fは、蓋体7の裏面全面に貼付けられている。したがって、上述した図2に示すように蓋体7を容器本体1に載せて、容器本体1の開口2が閉鎖されると、防水シート11a,11b,11c,11dが上面壁1aに折り返されていることから、防水シート11fと11a,11b,11c,11dがそれぞれ互いに密着する。そこで、容器本体1に廃棄物などを格納して保管する際、防水シート11a,11b,11c,11d,11fをそれぞれ事前に湿らせることで、それらが互いに膨潤して密閉される。このとき、膨潤したベントナイト系材料5が不織布4に浸透して遮水性が高められる。また、容器内部に水の層が形成されることで放射線の遮蔽率が向上する。このため、例えば、事前に放射線の遮蔽効果を高めた状態にして、容器内部への汚染土の格納作業をより安全に行うことができる。
ここで、防水シート11a,11b,11c,11d,11fが互いに重なり合って膨潤することにより、その接続部において防水性の高い1枚の遮水層が形成される。なお、防水シート11a,11b,11c,11d,11fを膨潤させるには、蓋体7をボルト9によって容器本体1に固定した後に外側から湿らせるようにしてもよい。また、容器本体1に投入される廃棄物などに多量の水分が含まれている場合には、蓋体7で密閉する間に膨潤が進むこともある。
図5は、ベントナイト系材料からなる2枚の防水シートが膨潤により1枚の遮水層に変形する状態を示す図である。
同図(A)には、2枚の防水シート11a,11bを重ねた初期の状態を示している。その後、同図(B)に示すように徐々に膨潤が開始される。そして、それぞれの防水シート11a,11bが分解されてしまう最終段階では、同図(C)に示すような1枚の遮水層へと変形された防水シート11になる。
同図(A)には、2枚の防水シート11a,11bを重ねた初期の状態を示している。その後、同図(B)に示すように徐々に膨潤が開始される。そして、それぞれの防水シート11a,11bが分解されてしまう最終段階では、同図(C)に示すような1枚の遮水層へと変形された防水シート11になる。
つぎに、容器本体1に防水シートを密着して貼付する別の方法について説明する。
図6は、防水シートを密着して貼付する別の方法を示す図であって、(A)は容器本体の側面断面と部分拡大図、(B)は容器本体の上面断面と部分拡大図である。
図6は、防水シートを密着して貼付する別の方法を示す図であって、(A)は容器本体の側面断面と部分拡大図、(B)は容器本体の上面断面と部分拡大図である。
同図(A)では、容器本体1の底面壁1bに、各側壁面に沿う4本の水平溝13を設けて、側壁を覆う防水シート11a,11cなどに底面の防水シート11eを密着させて貼付ける方法を示している。容器本体1の各側面壁には、図6(B)に示すように、鉛直溝14が設けられている。4本の鉛直溝14には、互いに隣接する壁面の防水シート11a,11b,11c,11dの端部が挿入され、コンクリートによる拘束を得る。すると、当該端部でも単一の防水層を形成し得る。
これらの水平溝13および鉛直溝14は、コンクリートを容器本体1の型枠内に打設して製造する際に、例えば、容器内壁のコンクリート厚を10cmとしたとき、2〜5cm程度の奥行で形成しておく。打設直後のコンクリートは未硬化の湿潤状態にあり、その際に防水シート11a,11b,11c,11d,11eを貼付けるようにする。その後、容器本体1のコンクリートは、十分に硬化して所定の物理的強度に到達するが、それまでに、水平溝13および鉛直溝14に挿入された防水シート11a,11b,11c,11d,11eの端部では、それぞれの継ぎ目の密着性が強化される。
つぎに、上述した保管容器の具体的な使用について説明する。
図7は、密集して3段に積層された容器を示す図である。
ここでは、横方向に4個の保管容器A1〜A4を並べ、その上に保管容器B1〜B4,C1〜C4を合計3段に積層した状態を示している。これらの積層保管時には、上部に配置される容器本体1の底部に形成された凹部1cに、蓋体7の位置決め用の凸部8が挿入されて、上下方向での位置決めがなされ、震動や設置時のズレを防止している。
図7は、密集して3段に積層された容器を示す図である。
ここでは、横方向に4個の保管容器A1〜A4を並べ、その上に保管容器B1〜B4,C1〜C4を合計3段に積層した状態を示している。これらの積層保管時には、上部に配置される容器本体1の底部に形成された凹部1cに、蓋体7の位置決め用の凸部8が挿入されて、上下方向での位置決めがなされ、震動や設置時のズレを防止している。
土壌などの廃棄物は、中央の保管容器A2,A3およびB2,B3内に保管される。そして、それらの周囲に積層配置された保管容器A1,B1など(以下、遮蔽用容器という。)には汚染されていない土壌あるいは水が入れられ、遮蔽効果を高めている。図には示されていないが、中央の保管容器A2,A3およびB2,B3の前後にも、遮蔽用容器が積層配置される。
以上、本考案に係る保管容器では、自己修復性を有するベントナイト系シートを用いて防水シート11a〜11fを構成し、容器本体1内部に十分な拘束力でもって密着貼付される。そのため、ベントナイト系材料5を覆う不織布4からの漏水などのおそれがなく、汚染土の保管容器としての防水性、密閉性および吸着性を高めることができる。
特に、放射性物質を含む土壌などの廃棄物を格納して保管するにあたって、ベントナイト系材料のセシウムに対するイオン吸着性や経年的な耐久性の高さに着目した。すなわち、本考案の容器は、ベントナイト系材料がもつイオン吸着の性質により防水シート内に放射性セシウムを閉じ込めることができるので、放射性セシウムを含む汚染土を保管するのに有効である。更に、ベントナイト系材料は、ゴム系材料に比べて経年劣化が起こりにくく、長期間に渡り密閉性を維持できる。このため、本考案の容器は、セシウム137のように長い半減期をもつ放射性物質を保管するためにも有効である。
また、2枚のベントナイト系防水シートの継ぎ目を重ね合わせ、ボルトやコンクリートによる拘束を加えることで、膨潤したベントナイトを継ぎ目の部分で一体化でき、遮水性を向上できる。これによって、防水シートによる密閉効果が一層高められ、コンクリート製の容器からその内部に収容された廃棄物の漏出を防止できる。
1 容器本体
1a 上面壁
1b 底面壁
1c 凹部
2 開口
3,11,11a〜11f ベントナイト系の防水シート
4 不織布
5 ベントナイト系材料
6 溝部
7 蓋体
7a 凹部
8 位置決め用の凸部
9 ボルト
10 ねじ孔
12 ボルト挿入孔
13 水平溝
14 鉛直溝
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7a 凹部
8 位置決め用の凸部
9 ボルト
10 ねじ孔
12 ボルト挿入孔
13 水平溝
14 鉛直溝
Claims (7)
- 放射性物質を含む土壌などの廃棄物を格納して保管する容器であって、
上面に開口を有するコンクリート製の容器本体と、
前記容器本体の開口を閉鎖する大きさに形成されたコンクリート製の蓋体と、
前記容器本体の上面と底面を含む内壁面、および前記蓋体の裏面に、それぞれ密着して貼付されたベントナイト系シートを用いた防水シートと、
を備えたことを特徴とする容器。 - 前記容器本体の上面に前記蓋体を載せて前記開口が閉鎖された後、前記蓋体が前記容器本体に対して複数のボルトによって固定されることを特徴とする請求項1記載の容器。
- 前記容器本体の上面と前記蓋体の裏面で互いに接触する前記ベントナイト系シートを予め膨潤させることにより、容器内部に水の層を形成し遮蔽率を向上するとともに前記廃棄物を格納して閉鎖される容器内部の密閉性を向上させたことを特徴とする請求項1記載の容器。
- 前記防水シートは、前記容器本体の底面を含むそれぞれ内壁面における接続部分が、前記容器本体のコンクリートに形成された溝に埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の容器。
- 前記容器本体の底部には凹部が形成されており、前記蓋体の上面に形成された位置決め用の凸部を前記凹部に嵌合させて複数の容器を積層保管するようにしたことを特徴とする請求項1記載の容器。
- 前記ボルトは、前記蓋体の表面から裏面に貫通し、前記容器本体の側壁内にて固定されていることを特徴とする請求項1記載の容器。
- 前記防水シートは、ベントナイト系材料の両面が不織布によって覆われていることを特徴とする請求項1記載の容器。
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