JP3171937B2 - 調理器用自動消火装置 - Google Patents

調理器用自動消火装置

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JP3171937B2
JP3171937B2 JP18797392A JP18797392A JP3171937B2 JP 3171937 B2 JP3171937 B2 JP 3171937B2 JP 18797392 A JP18797392 A JP 18797392A JP 18797392 A JP18797392 A JP 18797392A JP 3171937 B2 JP3171937 B2 JP 3171937B2
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克己 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所定温度以上となれば
自動的に消火するようにした調理器、特にてんぷら等の
油もの料理や、焼魚等の焼網料理のような種々の異なる
料理において、それぞれに適した消火温度を自動的に設
定するようにした調理器用自動消火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】煮もの等において水分が蒸発して焦げ付
くのを防止するために自動的に消火する技術としては、
例えば特公昭63−67106号公報に開示された技術
がある。これは、鍋底に接した温度センサの検出温度の
温度勾配(単位時間当たりの温度上昇速度)を演算し、
この温度勾配が所定値以下になったことにより沸騰と判
断してその時の検出温度を沸騰温度とし、この温度より
予め定めた温度以上に温度センサの検出温度が上昇した
ことを検知して加熱を停止するものである。
【0003】これに対し、てんぷら揚げ等の場合には引
火を防止するための安全温度以下で消火させる必要があ
るが、これには前記技術は適用できない。一方焼魚など
の焼網料理では火災防止のための安全温度はかなり高く
設定して差し支えない。このため、テーブルこんろ等の
調理器においては、煮もの、油もの、焼きもの等の料理
の種類毎に手動でモードを切り換えるようにしたものが
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、モード
切り換えを間違えて焼きものモードでてんぷら揚げをす
ると消火温度は高く設定されるので、安全上好ましくな
い。これに対し、検出温度の温度勾配は揚げものの場合
(図3の特性a参照)よりも焼網の場合(図3の特性b
参照)の方が大きくなるので、ある温度範囲(例えば12
0〜160℃)の温度勾配が所定値よりも大きければ焼網と
して高い消火温度T2を設定し、小さければ揚げものとし
て低い消火温度T1を設定するようにモードを自動的に切
り換えることも考えられる。しかしながら二口こんろ等
においては一方で加熱した油の入った鍋を冷えた他方に
移し替えることがあり、この場合にはそちらの温度セン
サの検出温度は急激に上昇する(図3の特性c参照)の
で焼網と判断し、消火温度を高く設定するという不都合
がある。
【0005】またこのような温度勾配で消火温度の自動
設定を行うものにおいては、正しい温度設定を行うため
に設定までは最大付近の一定火力で加熱する必要がある
ので火力の調節はその後に行うことになるが、この調節
が可能になるタイミングは使用者にはわからない。この
調節を消火温度の設定より早く行うと正しい消火温度の
設定がなされず、また調節のタイミングが遅れると焼網
料理などでは検出温度が短時間に上昇して消火温度に達
し、消火してしまうことがあるという不都合がある。
【0006】本発明はこのような各問題を解決して、種
々の異なる料理に適した消火温度を自動的にしかも高い
安全性を持って設定し、また使い勝手のよい調理器を得
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このために、本発明によ
る調理器用自動消火装置は、図1に示すように、鍋・焼
網等の調理具に接してその温度を検出する温度センサ3
5と、この温度センサの検出温度に基づいて前記調理具
を加熱する加熱手段10の作動を停止する加熱停止手段
1を備えてなる調理器用自動消火装置において、前記温
度センサ35の検出温度に基づいて単位時間当たりの温
度上昇速度を演算する温度勾配演算手段2と、予め定め
られた最大温度上昇速度を記憶する最大温度勾配記憶手
段3と、前記温度勾配演算手段2により演算された温度
上昇速度が前記最大温度上昇速度未満のときは同温度上
昇速度に応じた少なくとも2段階の消火温度を設定する
と共に同温度上昇速度が前記最大温度上昇速度以上のと
きは油ものに適した低い消火温度を設定する消火温度設
定手段4を備え、前記加熱停止手段1は前記温度センサ
35の検出温度が前記消火温度設定手段4により設定さ
れた消火温度を越えた場合に前記加熱手段10の作動を
停止することを特徴とするものである。
【0008】前記消火温度設定手段4は、前記温度勾配
演算手段2により演算された温度上昇速度が前記最大温
度上昇速度未満の場合において同温度上昇速度が小さい
ときは消火温度を低く設定し、同温度上昇速度が大きい
ときは消火温度を高く設定することが好ましい。
【0009】また前記消火温度設定手段4は、前記演算
された温度上昇速度に応じて3段階以上の消火温度を設
定するようにしてもよい。
【0010】本発明による調理器用自動消火装置は、常
温よりはかなり高く通常の作動時における前記温度セン
サ35の検出温度よりは低い所定の切替温度を記憶する
切替温度記憶手段5を更に備え、前記消火温度設定手段
4は、消火温度が設定されていない状態において前記温
度センサ35の検出温度が前記切替温度以上のときは同
検出温度に応じた少なくとも2段階以上の消火温度を設
定するようにしてもよい。
【0011】前項の消火温度設定手段4は、前記温度勾
配演算手段2により演算された温度上昇速度が前記最大
温度上昇速度未満の場合において前記温度センサ35の
検出温度が低いときは消火温度を低く設定し、同検出温
度が高いときは消火温度を高く設定することが好まし
い。
【0012】また前2項の消火温度設定手段4は、前記
温度センサ35の検出温度に応じて3段階以上の消火温
度を設定するようにしてもよい。
【0013】更に、本発明による調理器用自動消火装置
は、前記消火温度設定手段4が消火温度を設定する際に
外部に報知を行う報知手段6を備えることが好ましい。
【0014】
【作用】請求項1の発明では、温度勾配演算手段2は温
度センサ35の検出温度に基づいて単位時間当たりの温
度上昇速度を演算し、消火温度設定手段4はこの温度上
昇速度に基づいて消火温度を設定し、温度センサ35の
検出温度がこの消火温度を越えれば、加熱停止手段1が
加熱手段10の作動を停止する。通常の加熱状態では、
演算された温度上昇速度は最大温度勾配記憶手段3に記
憶された最大温度上昇速度未満であり、消火温度設定手
段4は温度上昇速度に応じて各料理に適した消火温度を
設定する。加熱した油の入った鍋を冷えたこんろ上に移
し替えた場合には、演算された温度上昇速度は最大温度
勾配記憶手段3に記憶された最大温度上昇速度以上とな
るので、消火温度設定手段4は油ものに適した低い消火
温度を設定する。
【0015】請求項2の発明では、正常な加熱状態にお
いて消火温度設定手段4は、演算された温度上昇速度が
小さいときは消火温度を低く設定し、この温度上昇速度
が大きいときは消火温度を高く設定する。
【0016】請求項3の発明では、正常な加熱状態にお
いて消火温度設定手段4は、演算された温度上昇速度に
応じて3段階以上の消火温度を設定する。
【0017】請求項4の発明では、加熱開始直後または
消火温度取り消し直後などの消火温度が設定されていな
い状態において、温度センサ35の検出温度が切替温度
記憶手段5に記憶された切替温度以上のときは、消火温
度設定手段4は温度センサ35の検出温度に応じて各料
理に適した消火温度を設定する。
【0018】請求項5の発明では、消火温度が設定され
ていない状態において、消火温度設定手段4は、温度セ
ンサ35の検出温度が小さいときは消火温度を低く設定
し、同温度上昇速度が大きいときは消火温度を高く設定
する。
【0019】請求項6の発明では、消火温度が設定され
ていない状態において、消火温度設定手段4は、温度セ
ンサ35の検出温度に応じて3段階以上の消火温度を設
定する。
【0020】請求項7の発明では、消火温度設定手段4
が消火温度を設定する際に、報知手段6はブザーやラン
プ等により外部に報知を行う。
【0021】
【発明の効果】上述のように、請求項1の発明によれ
ば、通常の加熱状態では各料理に適した消火温度を設定
して自動消火を行うだけでなく、加熱した油の入った鍋
を冷えたこんろ上に移し替えた場合においては、温度セ
ンサの検出温度の上昇速度が速いにもかかわらず油もの
に適した低い消火温度に設定されるので、安全性が向上
する。
【0022】請求項2の発明によれば、通常の場合にお
ける消火温度の設定がなされる。
【0023】請求項3の発明によれば、消火温度の設定
段階数が増加するので、各調理に適したきめの細かい自
動消火を行うことができる。
【0024】請求項4の発明によれば、すでに加熱がな
されている調理具を動かしたり移し替えたりした場合で
も、各料理に適した消火温度を設定するので、安全動作
の範囲を広げることができる。
【0025】請求項5の発明によれば、すでに加熱がな
されている調理具を動かしたり移し替えたりした場合に
おいて、通常の消火温度の設定がなされる。
【0026】請求項6の発明によれば、すでに加熱がな
されている調理具を動かしたり移し替えたりした場合に
おいても、各料理に適したきめの細かい自動消火を行う
ことができる。
【0027】請求項7の発明によれば、消火温度の設定
がなされた際に報知手段による報知がなされるので、使
用者は火力調節を開始してもよいタイミングを知ること
ができる。これにより火力の調節を早く開始し過ぎて正
しい消火温度の設定が得られなくなったり、遅すぎたた
めに短時間に温度が上昇して自動消火がなされてしまっ
て充分な調理時間得られなくなるということがなくな
る。
【0028】
【実施例】以下に図2〜図6に示す実施例により本発明
の説明をする。図2は本発明による調理器用自動消火装
置をテーブルこんろに適用した実施例の要部の断面図で
ある。バーナ本体11とバーナヘッド12よりなるガス
バーナ10(加熱手段)は器枠(一部を符号13で示
す)に固定され、その上には鍋や焼網のような調理具1
5が五徳(図示省略)を介して載せられる。バーナヘッ
ド12の中央部を通して昇降可能に器枠13に支持され
た可動筒14の上端にはサーミスタ等の温度センサ35
が設けられ、図示のように可動筒14が上昇した状態に
おいてこの温度センサ35は、調理具15の下面にスプ
リングにより弾性的に押しつけられる。器枠13には点
火栓36と熱電対やフレームロッド等の炎センサ37が
固定されている。
【0029】ガス弁装置の弁ケーシング20は器枠13
に固定され、ガス入口20aからの燃料ガスは、電磁弁
25の弁体25a及び操作つまみ24により回転される
閉子21を介してガスバーナ10に供給される。閉状態
から操作つまみ24を回転すれば先ずマイクロスイッチ
26が作動し、操作つまみ24の回転につれて閉子21
の開度が増大し、最後にカム装置22を介して弁桿23
を移動させて通常はスプリングにより閉じられている電
磁弁25の弁体25aを押し開き、またこれと連動して
可動筒14が上昇するようになっている。
【0030】バーナコントローラ30は、周知の論理演
算回路を構成する中央処理装置(CPU)31、読出し
専用メモリ(ROM)32、書込み可能メモリ(RA
M)33及びインターフェイス34を主要な構成要素と
し、ROM32には後述する自動消火のための制御プロ
グラム及び最大温度勾配や消火温度等の固定常数が記憶
され、RAM33には演算処理中のデータ等が一時的に
記憶される。インターフェイス34は温度センサ35等
からの入力信号をCPU31において演算可能な信号に
変換し、またCPU31からの出力信号を電磁弁25等
を駆動可能な出力信号に変換するものであり、このイン
ターフェイス34を介して、電磁弁25、マイクロスイ
ッチ26、温度センサ35、点火栓36及び炎センサ3
7はCPU31に接続されている。
【0031】次に上記実施例の作動の説明をする。先ず
手動により操作つまみ24を回転すればマイクロスイッ
チ26が作動してバーナコントローラ30の電源をオン
にすると共に可動筒14が上昇して温度センサ35が調
理具15の下面に押圧され、更に回転すれば閉子21の
開度が増大し、最後に弁桿23に押されて電磁弁25の
弁体25aが開き、ガスバーナ10に燃料ガスが供給さ
れる。これと同時に点火装置(図示省略)が作動して点
火栓36が火花を発生し、ガスバーナ10から噴出する
ガスに点火し、鍋・焼網等の調理具15を加熱する炎を
生じる。この炎を炎センサ37が検知すれば、バーナコ
ントローラ30は点火装置の作動を停止すると共に電磁
弁25に電流を供給する。この状態で手を離せば操作つ
まみ24は弾性的に少し戻って弁桿23は弁体25aか
ら離れるが、弁体25aは電磁弁25への電流により開
状態に保持されたままであり、ガスバーナ10への燃料
ガスは供給され続ける。この状態で操作つまみ24によ
り閉子21の開度を調整してガスバーナ10の加熱量を
調整する。
【0032】図5及び図6は自動消火装置の消火温度設
定のための制御プログラムを示すフローチャートであ
り、これによりバーナコントローラ30が実行する自動
消火制御処理の説明をする。バーナコントローラ30の
電源がオンになれば、CPU31はRAM33内の各デ
ータを0または所定の初期値にリセットし、所定の短時
間(例えば5秒)毎に割込み信号が入力される都度、図
5及び図6のフローチャートによる制御動作を繰り返し
て実行する。
【0033】先ず、冷えた状態からテーブルこんろを始
動させる場合の説明をする。CPU31は先ず始動時の
温度センサ35の検出温度Tが T<120℃、120℃≦T
<350℃、350℃≦T の何れの範囲にあるかを判断する
(ステップ101)。この温度120℃が本実施例の切替
温度である。始動の場合には検出温度Tは切替温度未
満、すなわちT<120℃であるので、制御動作はステッ
プ102に進んで、別途演算した温度センサ35の検出
温度Tの上昇速度すなわち温度勾配Gtに基づいて消火温
度を設定すると同時にブザーによる報知を行う。本実施
例では消火温度の設定の際に必ずブザーによる報知を行
っているが、以下においては単に消火温度を設定すると
のみ記載する。なおこの報知はブザーに限らず表示ラン
プなどにより行ってもよく、またこれらを組み合わせて
行ってもよい。
【0034】このときの消火温度は、Gt<25℃/分の場
合は230℃に、25℃/分≦Gt<60℃/分の場合は260℃
に、60℃/分≦Gt<75℃/分の場合は270℃に、75℃/
分≦Gt<90℃/分の場合は310℃に、90℃/分≦Gt<160
℃/分の場合は340℃に、160℃/分≦Gtの場合は260℃
にそれぞれ設定する。そしてバーナコントローラ30
は、温度センサ35の検出温度Tがこの消火温度を越え
れば、図示を省略した制御プログラムにより電磁弁25
への電流の供給を停止してガスバーナ10の作動を停止
させる。なお、温度勾配Gtは、検出温度Tが120℃から1
60℃まで上昇する間の時間tを検出し、Gt=40℃/tを
演算するサブルーチン(図示省略)により得られる。ま
た、始動初期であって検出温度Tが160℃に達するまで
は温度勾配Gtは得られないが、この間は消火温度の設定
は行わず、従って自動消火も行わない。
【0035】この温度勾配Gtは調理具15の状態により
異なり、油をを入れた鍋と焼魚などの焼網では後者の方
がはるかに大となり、また前者のうちでは油量が少なく
なるにつれて大となる。これにより設定される消火温度
は、高温加熱の必要がある焼網の場合は高くなるので、
加熱の途中で自動消火されることはない。またてんぷら
揚げなどの場合は消火温度が低くなるので引火の恐れは
なくなり、安全性が向上する。なお、てんぷら揚げなど
の場合は油量が多いほど引火の恐れは高くなるが、本実
施例では油量の増大につれて消火温度が低下するので一
層安全性が向上する。
【0036】また二口こんろ等では、一方で加熱した油
の入った鍋を冷えた他方に移し替えることがあり、この
場合にはそちらの温度センサ35の検出温度Tは急激に
上昇する(図3の特性c参照)が、この場合の温度勾配
Gtは160℃/分以上となるので消火温度は油に適した低
い値260℃に設定される。従って引火等の恐れはなくな
る。この温度勾配Gtが本実施例の最大温度上昇速度であ
る。
【0037】制御プログラムは省略したが、本実施例で
は消火温度の設定後に、温度センサ35の検出温度Tが
1分間に20℃以上下降した場合には、消火温度の設定を
取り消すようになっている。これは調理具15を1分間
以上おろした場合や、ひとつの調理の終了直後に別の調
理具15を載せた場合などに生じる。このような場合に
は図5のステップ101における検出温度Tは120℃以
上となり、CPU31は120℃≦T<350℃の場合は検出
温度による消火温度設定を行い(ステップ200、図6
で説明)、350℃≦Tの場合は前述と同様電磁弁25の
弁体25aを閉じてガスバーナ10を消火する(ステッ
プ103)。
【0038】次に、図6に示すフローチャートにより、
消火温度が取り消された後における検出温度による消火
温度設定の説明をする。なおこの説明は消火直後に再点
火した場合にも適用される。先ず検出温度Tが、120℃
≦T<180℃の場合には、CPU31は別途演算した温
度勾配Gtが正でなければ検出温度Tの下降が停止するま
で待ち、下降停止時の検出温度Tが120℃を越えていな
ければ(ステップ201,202)図5のフローチャー
トのステップ102に進んで、前述と同様温度勾配Gtに
基づいて消火温度を設定する。ステップ201の温度勾
配Gtが正であるか、ステップ202の検出温度Tが120
℃を越えていれば、点火後または消火温度の取消後(図
6の説明では以下単に点火後という)30秒以内に検出温
度Tが10℃以上下降しないかどうか判断する(ステップ
203)。10℃以上下降しないときは加熱油の鍋または
焼網と判断して点火後10秒以内に10℃以上上昇したか否
かを判断し(ステップ204)、そうでないときは常温
油の鍋と判断して消火温度を260℃に設定する(ステッ
プ105)。ステップ204で10℃以上上昇したときは
加熱油の鍋と判断して消火温度を270℃に設定し(ステ
ップ106)、そうでないときは低温の加熱油の鍋また
は焼網と判断して上昇開始後の温度勾配Gtによる判断を
行う(ステップ205)。この時の温度勾配Gtは、図4
に示すように、検出温度Tが上昇に転じたときよりΔT1
(例えば5℃)上昇した点からΔT2(例えば30℃)上昇
した点までの間の値をとり、Gt<50℃/分であれば低温
の加熱油の鍋と判断して消火温度を270℃に設定し(ス
テップ106)、Gt≧50℃/分であれば焼網と判断して
消火温度を310℃に設定する(ステップ107)。すな
わちこの検出温度範囲では、常温油の鍋と加熱油の鍋と
焼網を区別して判断して、消火温度をそれぞれ260℃、2
70℃及び310℃に設定する。
【0039】検出温度Tが、180℃≦T<230℃の場合
は、前述のステップ201,202と同様のステップ2
11,212により、CPU31は検出温度Tが低下し
て120℃以下となったときは制御動作をステップ102
に進めて温度勾配Gtに基づく消火温度設定を行い、そう
でなければ点火後30秒以内に検出温度Tが20℃以上下降
しないかどうか判断する(ステップ213)。20℃以上
下降しないときは加熱油の鍋または焼網と判断して上昇
開始後の温度勾配Gtによる判断を行い(ステップ20
5)、そうでないときは常温油の鍋と判断して消火温度
を260℃に設定する(ステップ105)。ステップ20
5においては前述と同様、温度勾配Gtに基づいて、Gt<
50℃/分であれば加熱油の鍋と判断して消火温度を270
℃に設定し(ステップ106)、Gt≧50℃/分であれば
焼網と判断して消火温度を310℃(ステップ107)に
設定する。すなわちこの検出温度範囲でも、常温油の鍋
と加熱油の鍋と焼網を区別して判断して、消火温度をそ
れぞれ260℃、270℃及び310℃に設定する。
【0040】検出温度Tが、230℃≦T<260℃の場合
は、直前の調理が焼ものモードであったときである。前
述のステップ201,202と同様のステップ221,
222により、CPU31は検出温度Tが低下して120
℃以下となったときは制御動作をステップ102に進め
て温度勾配Gtに基づく消火温度設定を行い、そうでなけ
れば点火後1分以内に検出温度Tが210℃以下になった
か否かを判断する(ステップ223)。210℃以下にな
った場合には常温または加熱油の鍋と判断して消火温度
を270℃に設定し(ステップ106)、そうでなければ
焼網と判断して消火温度を340℃に設定する(ステップ
108)。すなわちこの検出温度範囲では、油の鍋と焼
網を区別して判断して、消火温度をそれぞれ270℃及び3
40℃に設定する。
【0041】検出温度Tが、260℃≦T<350℃の場合は
かなり高温であるので、点火後30秒間は検出温度Tが35
0℃を越えるか否かを監視し、越えた場合には前述と同
様電磁弁25の弁体25aを閉じてガスバーナ10を消
火する(ステップ231,235,241)。検出温度
Tが350℃を越えることなく30秒経過すれば、CPU3
1は前述のステップ201,202と同様のステップ2
21,222により、検出温度Tが低下して120℃以下
となったときは制御動作をステップ102に進めて温度
勾配Gtに基づく消火温度設定を行い、そうでなければ点
火後1分以内に検出温度Tが20℃以上下降したか否かを
判断する(ステップ234)。20℃以上下降した場合に
は加熱油または常温油の鍋と判断して消火温度を270℃
に設定し(ステップ106)、そうでなければ焼網と判
断して消火温度を340℃に設定する(ステップ10
8)。すなわちこの検出温度範囲でも、油の鍋と焼網を
区別して判断して、消火温度をそれぞれ270℃及び340℃
に設定する。
【0042】検出温度Tが350℃以上の場合は、CPU
31は電磁弁25の弁体25aを閉じてガスバーナ10
を消火する。
【0043】消火温度が設定された状態では、所定の短
時間毎に割込み信号が入力される都度、CPU31は図
示を省略した制御プログラムにより、温度センサ35の
検出温度Tを設定された消火温度と比較し、検出温度T
がこの消火温度を越えれば電磁弁25への制御電流の供
給を停止してガスバーナ10を消火する。
【0044】なお以上の作動において、消火温度が設定
されるまではガスバーナ10は火力を最大付近の一定値
として、調理具15及び調理の量などの状態に応じた所
定の温度上昇速度が得られるようにする。調理に必要な
火力の調節は、ブザーにより消火温度が設定されたこと
の報知がなされた後に行う。
【0045】上述のように、本実施例によれば、冷えた
状態から加熱を行う通常の状態では、油が入った鍋の場
合は低い消火温度を、また焼網の場合は高い消火温度を
自動的に設定してその消火温度に達すればガスバーナ1
0を消火するので、油ものの場合は引火の恐れはなく安
全であり、本来引火の恐れのない焼きものの場合は充
高温まで加熱することができる。油ものの場合は油量の
増大に応じて消火温度を低く設定するので安全性は一層
向上する。また、加熱油が入った鍋を冷えたこんろ上に
移し替えた場合には温度センサ35による検出温度Tの
上昇速度が大となるが、焼網と誤認することはなく油も
のに適した低い消火温度に設定するので、安全性が大と
なる。
【0046】また、すでに加熱がなされている状態にお
いて調理具を動かしたり移し替えたりした場合でも、油
もの及び焼網にそれぞれ適した消火温度に自動的に設定
するので、安全動作の範囲を広げることができる。
【0047】また、消火温度の設定がなされた際にブザ
ーによる報知がなされるので、使用者は火力調節を開始
してもよいタイミングを知ることができる。これにより
火力の調節を早く開始し過ぎて正しい消火温度の設定が
得られなくなったり、遅すぎたために焼網調理の場合な
どに短時間に温度が上昇してしまって自動消火がなさ
れ、このため充分な調理時間得られなくなるということ
がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による調理器用自動消火装置の構成を
示す図である。
【図2】 本発明による調理器用自動消火装置の一実施
例の主要部を示す図である。
【図3】 各調理具の温度上昇特性を示す図である。
【図4】 図2の実施例の作動の一部の説明図である。
【図5】 図2の実施例の消火温度を設定する制御プロ
グラムのフローチャートである。
【図6】 図5のフローチャートの一部の詳細を示すフ
ローチャートである。
【符号の説明】
1…加熱停止手段、2…温度勾配演算手段、3…最大温
度勾配記憶手段、4…消火温度設定手段、5…切替温度
記憶手段、10…加熱手段(ガスバーナ)、35…温度
センサ。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F24C 3/12 F23N 5/02 350 F24C 7/04 301

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鍋・焼網等の調理具に接してその温度を
    検出する温度センサと、この温度センサの検出温度に基
    づいて前記調理具を加熱する加熱手段の作動を停止する
    加熱停止手段を備えてなる調理器用自動消火装置におい
    て、前記温度センサの検出温度に基づいて単位時間当た
    りの温度上昇速度を演算する温度勾配演算手段と、予め
    定められた最大温度上昇速度を記憶する最大温度勾配記
    憶手段と、前記温度勾配演算手段により演算された温度
    上昇速度が前記最大温度上昇速度未満のときは同温度上
    昇速度に応じた少なくとも2段階の消火温度を設定する
    と共に同温度上昇速度が前記最大温度上昇速度以上のと
    きは油ものに適した低い消火温度を設定する消火温度設
    定手段を備え、前記加熱停止手段は前記温度センサの検
    出温度が前記消火温度設定手段により設定された消火温
    度を越えた場合に前記加熱手段の作動を停止することを
    特徴とする調理器用自動消火装置。
  2. 【請求項2】 前記消火温度設定手段は、前記温度勾配
    演算手段により演算された温度上昇速度が前記最大温度
    上昇速度未満の場合において同温度上昇速度が小さいと
    きは消火温度を低く設定し、同温度上昇速度が大きいと
    きは消火温度を高く設定してなる請求項1に記載の調理
    器用自動消火装置。
  3. 【請求項3】 前記消火温度設定手段は、前記演算され
    た温度上昇速度に応じて3段階以上の消火温度を設定し
    てなる請求項1または2に記載の調理器用自動消火装
    置。
  4. 【請求項4】 常温よりはかなり高く通常の作動時にお
    ける前記温度センサの検出温度よりは低い所定の切替温
    度を記憶する切替温度記憶手段を更に備え、前記消火温
    度設定手段は、消火温度が設定されていない状態におい
    て前記温度センサの検出温度が前記切替温度以上のとき
    は同検出温度に応じた少なくとも2段階以上の消火温度
    を設定してなる請求項1,2または3に記載の調理器用
    自動消火装置。
  5. 【請求項5】 前記消火温度設定手段は、前記温度勾配
    演算手段2により演算された温度上昇速度が前記最大温
    度上昇速度未満の場合において前記温度センサの検出温
    度が低いときは消火温度を低く設定し、同検出温度が高
    いときは消火温度を高く設定してなる請求項4に記載の
    調理器用自動消火装置。
  6. 【請求項6】 前記消火温度設定手段は、前記温度セン
    サの検出温度に応じて3段階以上の消火温度を設定して
    なる請求項4または5に記載の調理器用自動消火装置。
  7. 【請求項7】 前記消火温度設定手段4が消火温度を設
    定する際に外部に報知を行う報知手段6を更に備えてな
    る請求項1〜6に記載の調理器用自動消火装置。
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