JP3171644B2 - 耐熱性絶縁フイルム - Google Patents

耐熱性絶縁フイルム

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JP3171644B2
JP3171644B2 JP9397292A JP9397292A JP3171644B2 JP 3171644 B2 JP3171644 B2 JP 3171644B2 JP 9397292 A JP9397292 A JP 9397292A JP 9397292 A JP9397292 A JP 9397292A JP 3171644 B2 JP3171644 B2 JP 3171644B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性に優れたポリプロ
ピレンの絶縁フイルムに関する。詳しくは、特定の共重
合体から得られるフイルムに特定の処理を行って得られ
る耐熱性の絶縁フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンのフイルムは比較的機械
物性に優れしかも電気特性に優れているためコンデンサ
ー用などの絶縁フイルムとして多くの用途に利用されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ポリプロピレンフイル
ムの問題点としてはそのポリマーの属性から、耐熱性に
劣るという問題があり、フイルムに成形した後、種々の
方法で架橋することが考えられるが(特開平3-33138
)、架橋の進行が必ずしも高温での絶縁特性に結び付
かないという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題を
解決して高温での絶縁特性に優れたポリプロピレンフイ
ルムについて鋭意探索し本発明を完成した。
【0005】即ち本発明は、プロピレンとアルケニルシ
ランの共重合体とSi−H基を含有するポリシコーンと
の混合物を溶融成形して得た成形物を少なくとも一方向
に延伸して得たフイルムをロジウムの塩及び下記一般式
(化5)
【化5】 (式中R 1 、R 2 は、同じか異なる炭素数1〜12の炭
化水素残基、nは0〜3の整数、Mはチタン、ジルコニ
ウム、ハフニウムから選ばれた金属。)で表される周期
律表IVB族金属のアルコキシ化合物から選ばれた触媒で
処理してなる耐熱性絶縁フイルムである。
【0006】本発明の絶縁フイルムについてその製法を
示すことで以下に詳述する。
【0007】本発明においてアルケニルシランとしては
少なくとも一つのSi−H結合を有するものが好ましく
用いられ、例えば下記一般式(化1)で表される化合
物、
【0008】
【化1】H2C=CH-(CH2)n -SiHP R3-P (式中nは0〜12、pは1〜3、Rは炭素数1 〜12の炭
化水素残基。)が例示でき、具体的にはビニルシラン、
アリルシラン、ブテニルシラン、ペンテニルシラン、あ
るいはこれらのモノマーの一部のSi−H結合のHがク
ロルで置換された化合物などが例示できる。
【0009】本発明においてはプロピレンとアルケニル
シランの共重合体のプロピレンの一部を他のオレフィン
に変え共重合した共重合体を利用することもでき、他の
オレフィンとしてはエチレン、ブテン-1、ペンテン-1、
ヘキセン-1、2-メチルペンテン、ヘプテン-1、オクテン
-1などが例示され、全重合体の10wt%未満となる様に共
重合したものが利用できる。
【0010】本発明においてプロピレンとアルケニルシ
ランの共重合体は、不活性溶媒を使用する溶媒法の他に
塊状重合法、気相重合法で製造することができる。また
製造するに用いる触媒としては、遷移金属化合物と有機
金属化合物からなる触媒を用いるのが一般的であり、遷
移金属化合物としてはハロゲン化チタンが、有機金属化
合物としては有機アルミニウム化合物が好ましく用いら
れる。
【0011】具体的には、四塩化チタンを金属アルミニ
ウム、水素或いは有機アルミニウムで還元して得た三塩
化チタンを電子供与性化合物で変性処理したものと有機
アルミニウム化合物、さらに必要に応じ含酸素有機化合
物などの電子供与性化合物からなる触媒系、或いはハロ
ゲン化マグネシウム等の担体或いはそれらを電子供与性
化合物で処理したものにハロゲン化チタンを担持して得
た遷移金属化合物触媒と有機アルミニウム化合物、必要
に応じ含酸素有機化合物などの電子供与性化合物からな
る触媒系、あるいは塩化マグネシウムとアルコールの反
応物を炭化水素溶媒中に溶解し、ついで四塩化チタンな
どの沈澱剤で処理することで炭化水素溶媒に不溶化し、
必要に応じエステル、エーテルなどの電子供与性の化合
物で処理し、ついでハロゲン化チタンで処理する方法な
どによって得られる遷移金属化合物触媒と有機アルミニ
ウム化合物、必要に応じ含酸素有機化合物などの電子供
与性化合物からなる触媒系等が例示される(例えば、以
下の文献に種々の例が記載されている。Ziegler-Natta
Catalysts and Polymerization by John Boor Jr(Acade
mic Press),Journal of Macromorecular Science Revie
ws in Macromolecular Chemistry and Physics,C24(3)
355-385(1984) 、同C25(1) 578-597(1985))。
【0012】あるいは炭化水素溶剤に可溶な遷移金属触
媒とアルミノキサンからなる触媒を用いて重合すること
もできる。
【0013】ここで電子供与性化合物としては通常エー
テル、エステル、オルソエステル、アルコキシ硅素化合
物などの含酸素化合物が好ましく例示でき、さらにアル
コール、アルデヒド、水なども使用可能である。
【0014】有機アルミニウム化合物としては、トリア
ルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライ
ド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルア
ルミニウムジハライドが使用でき、アルキル基としては
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基などが例示され、ハライドとしては塩素、臭素、沃素
が例示される。また上記有機アルミニウムと水または結
晶水とを反応することで得られるオリゴマー〜ポリマー
であるアルミノキサンも利用できる。
【0015】ここでアルケニルシランとプロピレンの重
合割合としては特に制限は無いが、ポリプロピレンと混
合して用いる場合には、通常アルケニルシランが 0.001
〜30モル%程度、好ましくは0.1 〜10モル%である。ま
た単独で用いる場合には0.0001〜1 モル%程度である。
【0016】重合体の分子量としては特に制限はない
が、混合して物性の向上を計ろうとする場合には混合し
て用いるポリプロピレンの分子量と同程度あるいはそれ
以下とするのが好ましい。また好ましい分子量としては
135 ℃のテトラリン溶液で測定した極限粘度が0.1 〜10
程度である。
【0017】本発明において必要に応じ上記共重合体と
混合して用いるポリプロピレンとしてはプロピレンの単
独重合体の他に10wt%未満の上記他のオレフィンを共重
合したものが利用でき、種々の共重合体を市場で入手す
ることもできる。
【0018】本発明においてSi−H基を含有するポリ
シリコーンとしては、ポリマー鎖中にSi−H基を有す
るものであればどのようなものであれ利用でき、通常は
下記一般式(化2)で表される化合物を水と反応するこ
とで合成することができ、その時、式中の水素を炭化水
素残基で置換した化合物を併用することでポリマー鎖中
のSi−H基濃度を所望の濃度とすることが可能であ
る。
【0019】
【化2】RHSiCl2(式中Rは炭素数1 〜12の炭化水素残
基。) 。
【0020】ポリシリコーンの分子量としては特に制限
はないが通常1000〜1000000 程度の数平均分子量のもの
を使用するのが一般的である。
【0021】このポリシリコーンのアルケニルシランと
オレフィンの共重合体に対する使用割合としては、通常
アルケニルシランとオレフィンの共重合体 100重量部に
対し0.1 〜60重量部、好ましくは1.0 〜40重量部であ
る。これより少ないと改良効果が小さく、多いと剛性が
不良となり好ましくない。
【0022】本発明においてはアルケニルシランとプロ
ピレンの共重合体と混合して用いる添加剤として、ポリ
プロピレンの他に安定剤、フィラーなど公知の種々の添
加剤が利用できる。ここで混合方法としては特に制限は
なく通常のドライ混合と加熱溶融混合を組合せた混合方
法で充分に混合が可能である。ドライ混合には通常ヘン
シェルミキサーが用いられ、加熱溶融混合には、押出機
が用いられる。
【0023】本発明においては後述の触媒と接触するに
先立ち、アルケニルシランとプロピレンの共重合体とS
i−H基を含有するポリシリコーンの混合物は必要に応
じポリプロピレンあるいは添加剤などと混合して組成物
とし、ついでシートあるいはフイルム状に溶融成形さ
れ、さらに少なくとも一方向に延伸される。このフイル
ムを製造する条件としては制限はなく、また延伸も1軸
あるいは2軸に延伸したものが利用される。また通常1
〜300 μm の厚さのフイルムが利用できる。成形温度と
しては、通常 150〜 250℃、延伸温度としては 100〜 1
70℃である。
【0024】好ましいフイルム中のアルケニルシランの
含量としては、共重合体中のアルケニルシラン含量にも
よるが、通常成形物中の共重合体の割合は0.1 wt%以上
であり、成形物中のアルケニルシランが0.0001wt%以上
存在するようにするのが好ましい。また成形性、あるい
は高価なアルケニルシランの使用量を削減するという点
からは、1.0 wt%以下で充分であり、好ましくは成形物
中のアルケニルシランとしては0.0001〜 1.0wt%程度で
ある。
【0025】本発明において用いられる触媒は、塩化ロ
ジウムのトリフェニルフォスフィン錯体などのロジウム
の塩、あるいはチタン酸エステルなどの以下の一般式
(化3)で示す周期律表IVB 族金属のアルコキシ化合物
である
【0026】
【化3】R1 n M(O-R2)4-n (式中R1 、R2 は、同じか異なる炭素数1 〜12の炭化
水素残基、nは0〜3の整数、Mはチタン、ジルコニウ
ム、ハフニウムから選ばれた金属。) 。
【0027】本発明においては、上記フイルムは触媒と
接触処理される。接触処理方法についても特に制限はな
いが、上記フイルムを触媒の溶液と接触するのが一般的
である。また触媒の溶液に接触した後、溶液から取り出
し加熱することで架橋反応を促進することもできる。接
触処理温度としては、常温〜ポリマーの融点で行うのが
一般的であり、常温〜 100℃で触媒溶液と接触するのが
好ましい。溶媒の存在しない条件では通常50〜 160℃に
加熱するのが一般的である。
【0028】ここで利用される溶媒としては、具体的に
は炭素数1 〜20の炭化水素化合物、ハロゲン化炭化水素
化合物が利用でき、とくにハロゲン化炭化水素化合物、
芳香族炭化水素化合物が好ましく利用される。具体的に
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、
ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリ
クロロエタン、パークロロエタンなどが例示され通常
0.1〜10000ppmの濃度となる様に溶解して利用される。
【0029】
【実施例】以下に実施例を示しさらに本発明を説明す
る。
【0030】実施例1 直径12mmの鋼球9kgの入った内容積4リットルの粉砕用
ポットを4個装備した振動ミルを用意する。各ポットに
窒素雰囲気下で塩化マグネシウム 300g、ジイソブチル
フタレート112ml および四塩化チタン60mlを入れ、40時
間粉砕した。こうして得た共粉砕物 300gを5リットル
のフラスコに入れ、トルエン3リットルを加え、 110℃
で30分間撹拌処理し、次いで上澄液を除いた。再びトル
エン3リットルを加え、80℃で30分間撹拌処理し、次い
で上澄液を除いた。その後固形分をn-ヘキサンで繰り返
し洗浄して遷移金属触媒スラリーを得た。一部をサンプ
リングしてチタン分を分析したところチタン分は 2.2wt
%であった。
【0031】内容積 5リットルのオートクレーブに窒素
雰囲気下トルエン40ml、上記遷移金属触媒 100mg、ジメ
チルシクロヘキシルジメトキシシラン 0.1mlおよびトリ
エチルアルミニウム0.20mlを入れ、プロピレン1.5 kg、
ビニルシラン40gを加え、水素1Nリットル圧入した後、
75℃で2時間重合した。重合後未反応のプロピレンをパ
ージし、パウダーを取り出し、濾過乾燥して890 gのパ
ウダーを得た。同じ反応を繰り返し約 2.5kgのポリマー
を得た。
【0032】このポリマーの 135℃のテトラリン溶液で
測定した極限粘度は1.68であり、また、示差熱分析装置
を用い10℃/min で昇温或いは降温することで融点及び
結晶化温度を最大ピーク温度として測定したところ、融
点 159℃、結晶化温度 119℃であった。尚、元素分析に
よればビニルシラン単位を 1.1wt%含有していた。
【0033】得られた共重合体300gにフェニルジクロロ
シランと水を反応することで合成したポリフェニルシリ
コーン( 重合度約1800)10g、フェノール系の酸化防止剤
0.3g 、ステアリン酸カルシウム0.3gを加えヘンシェル
ミキサーで混合した後、L/Dが22の20mmφ押出機を用い
て 240℃でペレットとした。このペレットを用い同様の
押出機を用いて 240℃でTダイを通して厚さ700 μm の
シートを得、さらに延伸機(TM-LOMG社製) でMD方向に5
倍、TD方向に7倍延伸して厚さ15μm の延伸フイルムを
得た。
【0034】この延伸フイルムを n−ブチルチタネート
を10g /リットルになる様に溶解したトルエン溶液に浸
漬して含浸させ80℃で2 時間処理した。得られたフイル
ムの物性を測定したところ以下の通りであった。ヤング
率(ASTM D882, Kg/mm2) 235、引張強度(ASTM D638,Kg/m
m2)は19.0、絶縁破壊電圧(ASTM D149, V/μ )は25℃で5
85 、80℃で545 、120 ℃で510 であった。
【0035】比較例1 実施例1の重合をビニルシランを用いることなく行って
プロピレンの単独重合体を得た( 但し、触媒の使用量を
15mgとした。) 。このポリプロピレンを用いた他は実施
例1と同様にしたところヤング率は215 、引張強度は1
5.0、絶縁破壊電圧は25℃で510 、80℃で420 、120 ℃
で355 であった。高温でのBDV が不良である。
【0036】比較例2 比較例1で得たプロピレンの単独重合体を用い、ポリフ
ェニルシリコーンを用いることなく成形した他は実施例
1と同様にしたところ、ヤング率は225 、引張強度は1
4.5、絶縁破壊電圧は25℃で502 、80℃で404 、120 ℃
で375 であった。高温でのBDV が不良である。
【0037】実施例2 触媒として塩化ロジウムのトリフェニルフォスフィン錯
体を用いた他は実施例1と同様にしたところヤング率は
242 、引張強度は20.0、絶縁破壊電圧は25℃で565 、80
℃で532 、120 ℃で505 であった。
【0038】
【発明の効果】本発明の絶縁フイルムは耐熱性に優れて
おり工業的に極めて価値がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01B 3/46 H01B 3/46 Z 17/60 17/60 G // B29K 23:00 B29L 7:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/00 - 3/28 C08J 7/00 - 7/18 C08J 5/18 C08L 1/00 - 101/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロピレンとアルケニルシランの共重合体
    とSi−H基を含有するポリシリコーンとの混合物を溶
    融成形して得た成形物を少なくとも一方向に延伸して得
    たフイルムをロジウムの塩及び下記一般式(化4) 【化4】 (式中R 1 、R 2 は、同じか異なる炭素数1〜12の炭
    化水素残基、nは0〜3の整数、Mはチタン、ジルコニ
    ウム、ハフニウムから選ばれた金属。)で表される周期
    律表IVB族金属のアルコキシ化合物から選ばれた触媒で
    処理してなる耐熱性絶縁フイルム。
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