JP3170060B2 - プレス機械 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金型を水平方向へ移動
位置決めして、上下の金型の間に位置した板材に対して
プレス加工を行うプレス機械に関する。

【０００２】

【従来の技術】金型を水平方向へ移動させる形式の従来
のプレス機械について説明すると、フレームには上部金
型を備えた上部金型ヘッドと下部金型を備えた下部金型
ヘッドが上下に離隔して設けてあり、上記金型ヘッド、
下部金型ヘッドは上部金型ヘッド移送装置、下部金型ヘ
ッド移送装置の作動によりそれぞれ水平方向へ移動可能
である。なお、金型ヘッド移送装置は、例えばボールね
じ、サーボモータ等により構成される。そして、上部金
型ヘッドには上部金型を昇降させる上部昇降シリンダを
備えた上部シリンダヘッドが設けてあり、同様に、下部
金型ヘッドには下部金型を昇降させる下部昇降シリンダ
を備えた下部シリンダヘッドが設けてある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のごとき
従来のプレス機械においては、金型ヘッドにシリンダヘ
ッドが設けてあるために、フレームの一側に設けた金型
交換装置により、金型の交換を行う場合においては、金
型移送装置の作用により金型ヘッドを水平方向（一側方
向）へ移動させて、金型の交換の際にシリンダヘッドと
金型が干渉しないように金型ヘッドとシリンダヘッドを
分離せしめることが必要であり、金型の交換作業が頻繁
化するといった問題があった。

【０００４】そこで、本発明は上記問題点を解決するこ
とができるプレス機械を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前述のごとき従来の問題
を解決するために、本発明においては、第１の手段とし
ては、金型を備えた金型ヘッドと、この金型を昇降させ
る昇降シリンダを備えたシリンダヘッドを、フレームに
上下に離隔して設け、上記金型ヘッドを水平方向へ移動
させる金型ヘッド移送装置と、上記昇降シリンダヘッド
を水平方向へ移動させるシリンダヘッド移送装置を個別
に設けてなることを特徴とする。

【０００６】第２の手段としては、上記第１の手段の構
成要件の他に、上記金型ヘッドを上記フレームに対して
水平方向へ移動自在な状態と移動不能な状態に切換える
ためのブレーキ装置を設けてなることを特徴とする。

【０００７】

【作用】前記の構成において、金型ヘッド移送装置を適
宜に操作して金型ヘッドを水平方向へ移動させると共
に、シリンダヘッド移送装置を適宜に操作してシリンダ
ヘッドを水平方向へ移動させる。このとき、昇降シリン
ダと金型は上下に対向している。次に、ブレーキ装置を
適宜に操作して金型ヘッドを移動不能の状態に切換え
て、フレームに固定せしめる。そして、昇降シリンダの
作動により金型を昇降させる。これによって、上下の金
型の間に位置した板材に対してプレス加工を行うことが
できる。

【０００８】金型の交換を行う場合には、金型ヘッド移
送装置を適宜に操作して金型ヘッドを水平方向（一側方
向）へ移動させて、フレームの一側に設けた金型交換装
置により金型の交換を行う。

【０００９】

【実施例】以下、本実施例に係る発明について図面に基
づいて説明する。

【００１０】図１，図２を参照するに、プレス機械１
は、コの字形状の下部フレーム３と、この下部フレーム
３に上下（図１及び図２において上下）に対向した上部
フレーム５を備えており、下部フレーム３と上部フレー
ム５の間には複数のアップライト７が介在してあって、
開口部９が形成されている。上記上部フレーム５は、第
１上部フレーム１１と、第２上部フレーム１３等を備え
てなり、第１上部フレーム１１と第２上部フレーム１３
の間における左右（図１において左右、図２において紙
面に向って表裏）両端には中間材１５を介在してあり、
左右の中間材１５の間には左右方向へ延伸したスリット
部１７が形成されている。

【００１１】上記上部フレーム５における第１上部フレ
ーム１１の下側には一対のガイド部材１９ａが左右方向
へ延伸して設けてあり、一対のガイド部材１９ａには上
部金型２１を備えた上部金型ヘッド２３が左右方向へ移
動自在に設けてある。上記上部金型ヘッド２３を左右方
向へ移動させるために、第１上部フレーム１１の下側に
は上部金型ヘッド用サーボモータ２５に連動連結した上
部金型ヘッド用ボールねじ２７ａが軸受２９ａを介して
設けてあり、上部金型ヘッド２３がこのボールねじ２７
ａに螺合してある。なお、上部金型ヘッド２３は第１上
部フレーム１１に左右方向へ延伸して設けた開口部３１
ａに位置している。

【００１２】上記上部金型２１についてより詳細に説明
すると、上部金型ヘッド２３内には上部ホルダ保持部材
３３ａがベアリングを介して回転自在に設けてあり、こ
の上部ホルダ保持部材３３ａには昇降自在な上部金型２
１を保持する上部金型ホルダ３４ａが設けてある。上部
ホルダ保持部材３３ａを回転割出しするために、上部ホ
ルダ保持部材３３ａの外周に設けたウォームホイール３
５ａが、上部金型ヘッド２３に回転自在に設けたウォー
ム３７ａに噛合してあり、このウォーム３７ａは、第２
上部フレーム１３に設けた割出しモータ３９ａ、ボール
スプライン軸４１ａ等の作用により回転するものであ
る。

【００１３】上記上部金型ヘッド２３を上部フレーム５
に対して左右方向（水平方向の一態様）へ移動自在な状
態と移動不能な状態に切換えるためにブレーキ装置４３
ａが設けてある。

【００１４】より詳細には、図２，図３を参照するに、
第１上部フレーム１１における上部金型ヘッド２３の左
右両側には一対のブレーキレール４５が左右方向（図
２，図３において紙面に向って表裏方向）へ延伸して設
けてある。上記上部金型ヘッド２３の左右両側にはコの
字形状の固定部材４７が設けてあり、各固定部材４７に
はブレーキレール４５における水平部４９を上方向、又
は下方向から押圧するブレーキパッド５１，５３が設け
てある。ブレーキパッド５１，５３は固定部材４７に設
けたシリンダ室５５，５７にそれぞれ上下動自在に設け
たピストン５９，６１に連結してあり、ピストン５９，
６１を上下動させるために、シリンダ室５５，５７は固
定部材４７に設けた油圧通路６３を介して図示省略の油
圧源に接続してある。

【００１５】上記構成により、図示省略の切換弁を操作
して油圧源と油圧通路６３を連通させてシリンダ室５
５，５７に圧油が供給することにより、ピストン５９は
下方向へ、ピストン６１は上方向へ移動し、ブレーキレ
ール４５の水平部４９はブレーキパッド５１により上方
向から、ブレーキパッド５３により下方向から押圧され
る。したがって、上部金型ヘッド２３は左右方向へ移動
不能の状態になる。

【００１６】上記の状態のもとで、切換弁を操作して油
圧源と油圧通路６３の連通状態を遮断すると、ブレーキ
パッド５１，５３と水平部４９の押圧状態が解除され
て、上部金型ヘッド２３は左右方向へ移動自在な状態に
なる。

【００１７】図１，図２を参照するに、上記上部フレー
ム５における第２上部フレーム１３の下側には一対のガ
イド部材６５ａが左右方向へ延伸して設けてあり、一対
のガイド部材６５ａには上部金型２１を昇降する上部昇
降シリンダ６７を備えた上部シリンダヘッド６９が左右
方向へ移動自在に設けてある。上記上部シリンダヘッド
６９を左右方向へ移動させるために、第２上部フレーム
１３の下側には上部シリンダヘッド用サーボモータ７１
に連動連結した上部シリンダヘッド用ボールねじ７３ａ
が軸受７５ａを介して設けてあり、上部シリンダヘッド
６９ａがこのボールねじ７３ａに螺合してある。

【００１８】なお、上部シリンダヘッド６９は第２上部
フレーム１３に左右方向へ延伸して設けた開口部７７ａ
に位置している。また、上部昇降シリンダ６７における
ピストンロッド７９は、上部シリンダヘッド６９の下部
側に設けたロッド支持部材８１ａにより支持されてお
り、ピストンロッド７９の下端には上部金型２１を打圧
するストライカー８３が設けてある。

【００１９】前記第１上部フレーム１１は第２上部フレ
ーム１３に対して左方向へ突出してあり、第１上部フレ
ーム１１における突出した部分においてまで、前記ガイ
ド部材１９ａ、ボールねじ２７ａが延伸して設けてあ
る。また、第１上部フレーム１１における突出した部分
には公知の上部金型交換装置８５ａが設けてあり、この
上部金型交換装置８５ａは上部金型２１を保持した上部
金型ホルダ３４ａを上部ホルダ保持部材３３ａから着脱
せしめて、上部金型２１を交換する作用を有するもので
ある。

【００２０】前記下部フレーム３の上部側には下部金型
８７を備えた下部金型ヘッド８９が左右方向へ移動可能
に設けてあり、下部フレーム３の下部側には下部金型ヘ
ッド８９を昇降させる下部昇降シリンダ９１を備えた下
部シリンダヘッド９３が左右方向へ移動可能に設けてあ
る。上記下部金型ヘッド８９、下部シリンダヘッド９３
等の構成は、上部金型ヘッド２３、上部シリンダヘッド
６９等の構成とほぼ同じである。また、下部金型ヘッド
８９を下部フレーム３に対して左右方向へ移動自在な状
態と移動不能な状態に切り換えるために、ブレーキ装置
４３ａと同様の構成のブレーキ装置４３ｂが設けてあ
る。なお、下部金型ヘッド８９、下部シリンダヘッド９
３、ブレーキ装置４３ｂ等の構成の詳細については省略
し、下部金型ヘッド８９、下部シリンダヘッド９３、ブ
レーキ装置４３ｂ等における各構成要素については、図
面中に上部金型ヘッド２３、上部シリンダヘッド６９、
ブレーキ装置４３ａ等における各構成要素と同一番号ｂ
符号を付する。

【００２１】また、図中のボールねじ２７ｂを前記ボー
ルねじ２７ａと同期して回転させるために、ボールねじ
２７ａ，２７ｂはプーリ９５，９７、タイミングベルト
９７により連動連結してあり、同様に、ボールねじ７３
ｂを前記ボールねじ７３ａと同期して回転させるため
に、ボールねじ７３ａ，７３ｂはプーリ１０１，１０
３、タイミングベルト１０５により連動連結してある。

【００２２】前述の構成に基づいて本実施例の作用につ
て説明する。

【００２３】サーボモータ２５を適宜に駆動制御してボ
ールねじ２７ａ，２７ｂを同期して同方向へ回転駆動さ
せることにより、上部金型ヘッド２３、下部金型ヘッド
８９を左右方向（水平方向）へ移動させることができ
る。また、サーボモータ７１を適宜に駆動制御してボー
ルねじ７３ａ，７３ｂを同期して同方向へ回転駆動させ
ることにより、上部シリンダヘッド６９、下部シリンダ
ヘッド９３を左右方向へ移動させる。これによって、金
型ヘッド２３，８９、シリンダヘッド６９，９３を左右
方向の所定位置に移動位置決めすることができる。この
とき、上部金型２１の垂直上方位置には上部昇降シリン
ダ６７が位置しており、下部金型８７の垂直下方位置に
は下部昇降シリンダ９１が位置している。

【００２４】金型ヘッド２３，８９を左右方向の所定位
置に位置決めした後に、ブレーキ装置４３ａ，４３ｂを
前述のように適宜に操作して金型ヘッド２３，８９を左
右方向へ移動不能の状態に切換えて、上部フレーム５、
下部フレーム３にそれぞれ固定せしめる。

【００２５】そして、下部昇降シリンダ９１の作動によ
り下部金型８７を上昇させて所定の高さ位置せしめた後
に、上部昇降シリンダ６７の作動によりストライカー８
３を下降させて上部金型２１を打圧する。これによっ
て、上部金型２１と下部金型８７の間に位置した板材に
対して、上部金型２１と下部金型８７の協働によりプレ
ス加工を行うことができる。このときに、割出しモータ
３９ａ，３９ｂを駆動制御してホルダ保持部材３３ａ，
３３ｂを回転割出すことにより、所定の方向性を保った
状態のもとでプレス加工を行うことができる。

【００２６】なお、板材に対してプレス加工を行った後
には、上部昇降シリンダ６７の作動によりストライカー
８３を上昇させることにより、上部金型２１はスプリン
グ（図示省略）の作用により上昇復帰する。また、下部
昇降シリンダ９１の作動により下部金型８７を下降せし
める。

【００２７】金型２１，８７の交換を行う場合には、サ
ーボモータ２５を駆動制御して金型ヘッド２３，８９を
左方向へ移動させて、金型交換装置８５ａ，８５ｂに接
近せしめる。そして、金型交換装置８５ａ，８５ｂを適
宜に操作する金型２１，８７を備えた金型ホルダ３４
ａ，３４ｂの交換を行う。

【００２８】以上のごとき本実施例によれば、金型ヘッ
ド２３（８９）とシリンダヘッド６９（７３）を上下に
離隔して設け、かつ金型ヘッド２３（８９）を移送する
ためのサーボモータ２５、ボールねじ２７ａ（２７ｂ）
等とシリンダヘッド６９（７３）を移送するためのサー
ボモータ７１、ボールねじ７３ａ（７３ｂ）等を個別に
設けたことにより、シリンダヘッド６９（９３）と金型
ヘッド２３（８９）を分離せしめることなく、金型２１
（８７）の交換を行うことができ、金型交換作業能率の
向上を図ることができるものである。

【００２９】また、プレス加工を行うときにプレーキ装
置４３ａ（４３ｂ）の作用により金型ヘッド２３ （８
９）をフレーム５（３）に対して水平方向へ移動不能の
状態に固定しているために、上部金型２１と下部金型８
７の芯ずれを生じることなく、適切なプレス加工を行う
ことができるものである。

【００３０】なお、本発明は、前述のごとき実施例の説
明に限るものではなく、適宜の変更を行うことによりそ
の他種々の態様で実施可能である。

【００３１】

【発明の効果】以上のごとき実施例の説明により理解さ
れるように、請求項１又は請求項２に記載の発明によれ
ば、金型ヘッドと、シリンダヘッドを上下に離隔して設
け、かつ金型ヘッド移送装置とシリンダヘッド移送装置
を個別に設けたことにより、シリンダヘッドと金型ヘッ
ドを分離せしめることなく、金型の交換を行うことがで
き、金型交換作業能率の向上を図ることができる。

【００３２】また、請求項２に記載の発明によれば、上
記効果を奏する他に、プレス加工を行うときにブレーキ
装置の作用に金型ヘッドをフレームに対して水平方向へ
移動不能の状態に固定しているために、上下の金型の芯
ずれを生じることなく適切なプレス加工を行うことがで
きるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例に係るプレス機械の正面図である。

【図２】図１におけるII−II線に沿った図である。

【図３】本実施例に係るブレーキ装置を示す図である。

【符号の説明】

１ プレス機械 ３ 下部フレーム ５ 上部フレーム ２１ 上部金型 ２３ 上部金型ヘッド ２５ サーボモータ ４３ａ，４３ｂ ブレーキ装置 ６７ 上部昇降シリンダ ６９ 上部シリンダヘッド ７１ サーボモータ ８７ 下部金型 ８９ 下部金型ヘッド ９１ 下部昇降シリンダ ９３ 下部シリンダヘッド

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金型を備えた金型ヘッドと、この金型を
   昇降させる昇降シリンダを備えたシリンダヘッドを、フ
   レームに上下に離隔して設け、上記金型ヘッドを水平方
   向へ移動させる金型ヘッド移送装置と、上記昇降シリン
   ダヘッドを水平方向へ移動させるシリンダヘッド移送装
   置を個別に設けてなることを特徴とするプレス機械。
2. 【請求項２】 上記金型ヘッドを上記フレームに対して
   水平方向へ移動自在な状態と移動不能な状態に切換える
   ためのブレーキ装置を設けたことを特徴とする請求項１
   記載のプレス機械。