JP3169057B2 - 化合物半導体層の成長方法 - Google Patents

化合物半導体層の成長方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はSi基板上に化合物
半導体層を、特に高品質に形成させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、化合物半導体デバイスの低価格化
または高性能化の観点から、Si単結晶基板上にGaA
s及びInPをヘテロエピタキシャル成長させる試みが
行われている。
【0003】例えば、Siなどの無極性のIV族化合物半
導体単結晶基板上にGaAsやInPなどのIII−V族
化合物半導体を成長できれば、III−V族高性能素子を
安価なSi基板上に作製することができ、また、Siの
高い熱伝導率によって光素子等の性能向上を図ることが
できる。またSi超高集積回路とIII−V族化合物半導
体超高速素子や光素子を同一基板上に形成できれば新し
い高機能素子の開発への道が開かれることが予想させ
る。
【0004】しかしながら、格子不整合系のヘテロエピ
タキシャル成長では格子不整合界面において、多数のミ
スフィット転位が発生し、その多くが上部デバイス層ま
で貫通するため結晶性は著しく低下する。これを低減化
するため、従来はSi基板上に低温で第一バッファ層を
成長させ、次に第二バッファ層及び活性層を成長させる
二段階成長方法が採られていた(雑誌、ジャパニーズ・
ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn. J.
Appl. Phys.)、第24巻第6号(1985年)の第L3
91-393頁)。
【0005】二段階成長法は、一般の格子不整合のヘテ
ロエピタキシャル成長でも従来の直接成長に比べれば平
坦な表面が得られ、且つ良好な結晶が得られる方法とし
て有効である。しかし、転位密度は数μmの膜厚の成長
表面で108cm-2にも達する。
【0006】このような半導体結晶でデバイスを作製し
ても良好な特性は得られない。そこで、その後にSi基
板上にGaAsを成長させる場合には、歪超格子中間層
や熱サイクルアニール法が導入させるようになり(両者
を併用する場合もある)、これらによって106cm-2
まで転位密度を低減するよう急速に改善された(雑誌、
アプライド・フィジックス・レターズ(Appl. Phys. Let
ts.)、第54巻1号(1989年)の第24〜26
頁)。
【0007】しかしながら、その値を下回る結果は容易
に得られていない。その原因としては、Si基板とIII
−V族化合物半導体基板との熱膨張係数の差による問題
が指摘されている。即ち、成長温度においては転位密度
は減少しているが、成長後の冷却過程中に熱膨張係数の
差によるストレスによって転位が導入されるというもの
である(雑誌、アプライド・フィジックス・レターズ(A
ppl. Phys. Letts.)、第56巻22号(1990年)の
第2225〜2227頁)。
【0008】熱膨張係数の差による問題を解決するため
には、低温成長という手段が考えられる。例えば、雑
誌、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フ
ィジックス(Jpn. J. Appl. Phys.)、第30巻第4B号
(1991年)の第L668-671頁に説明されている方法
では、高真空中でGa原子とAs原子を交互に供給する
マイグレーション・エンハンスト・エピタキシー(ME
E)法によって、低温でGaAsの成長を行っている。
低温では転位の運動速度が低下しているため、歪超格子
中間層の導入で貫通転位を効果的に界面方向に曲げるこ
とができ、その結果、転位密度は7×104cm-2まで
低減している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】Si基板上に高品質の
化合物半導体を成長させるために採用された上記従来技
術には、以下のような問題点が未だに解決されていな
い。
【0010】上記のMEE技術により歪超格子中間層を
導入して低転位密度の結晶を得る方法では、十分に二次
元的な成長を得るために、高真空中でGa原子とAs原
子を交互に供給する必要があり、通常の同時供給法と比
較して著しく操作速度が遅くなる。また、シャッター機
構を酷使するため、成膜装置が故障し易いなどの問題が
あった。更に、低温での成長時には、転位の運動速度が
低下しており、その為、転位の運動が活発な600℃程
度の通常の成長温度まで昇温すると熱歪みによって転位
密度が再び106cm-2程度にまで増殖する。
【0011】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、Si基板上に格子定数の異
なる高品質な化合物半導体結晶層を成長させる方法を提
供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するべく
鋭意検討した結果、Si基板上にSi基板側バッファ
層、格子不整合バッファ層、化合物半導体デバイス層を
成長させる工程を含む化合物半導体層の成長方法におい
て、前記Si基板側バッファ層はGaPから成り、前記
格子不整合バッファ層がIII族のAl又はGaのいずれ
か少なくとも一種とV族のP及びSbを構成元素として
含むことにより高品質な化合物半導体層をSi基板上に
成長させることができる。
【0013】また本発明では、前記格子不整合バッファ
層が、格子定数が連続的に変化する連続傾斜組成部、ま
たは/及び格子定数が階段状に変化する不連続傾斜組成
部を含んで構成され、該格子不整合バッファ層の格子定
数がSi基板側バッファ層との界面側で該Si基板側バ
ッファ層の格子定数と一致し、化合物半導体デバイス層
との界面側で該化合物半導体デバイス層の格子定数と一
致することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、Si基板上に複数の化
合物半導体薄膜を形成させた半導体結晶において、その
バッファ層に前記の格子不整合バッファ層を形成するこ
とを特徴としている。ここで、GaPSbから構成され
る格子不整合バッファ層を例にその作用を説明する。
【0015】GaPSbは、Sbの組成比を小さくする
ことでSi基板にほぼ格子整合することが可能である。
Sbの組成比を0としたGaP又はSb組成比が小さい
GaPSbは剛性率が高く、格子不整合及び熱膨張係数
の差により発生する伝播転位の上昇を停止させる働きが
ある。更に降温時に熱歪みによって発生する転位の増殖
を防ぐ働きがある。GaPSbはGaPにSbを加える
ことにより階段状あるいは連続に格子定数をInPなど
の化合物半導体デバイス層の格子定数と一致させること
が可能である。
【0016】このように、本発明の格子不整合バッファ
層を用いることによって転位の少ない良質の結晶を得る
ことができる。
【0017】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して説明
する。
【0018】実施例1 図1は本発明の第1の実施例により形成された半導体結
晶の模式的断面図である。本実施例では、結晶成長にガ
スソース分子線エピタキシー(MBE)装置を用いた。
In,Ga,Sbはクヌーセンセルから、PはPH3
スを950℃に加熱分解して照射している。
【0019】図1に示すように、Si(100)2°オ
フ単結晶基板1上にGaPバッファ層2を2段階成長
(300℃/400℃、0.5μm)させる。次に、7
段階(それぞれ0.1μm、成長温度490℃)にP,
Sb組成比を変化させたGaP xSb1-x不連続傾斜組成
バッファ層3と更にInPデバイス層4を1μm(成長
温度490℃)成長させる。
【0020】GaPxSb1-x不連続傾斜組成バッファ層
3においては、GaPSbの格子定数をGaPからIn
Pに格子整合するまで階段状に変化させている。GaP
xSb1-x傾斜組成バッファ層3の具体的な構成として
は、GaP0.9Sb0.1層5、GaP0.8Sb0.2層6、G
aP0.7Sb0.3層7、GaP0.6Sb0.4層8、GaP
0.5Sb0.5層9、GaP0.4Sb0.6層10、GaP0.35
Sb0.65層11である。
【0021】GaPおよびGaPxSb1-x不連続傾斜組
成バッファ層3の導入により低転位のInP結晶が得ら
れる。つまり、フォトルミネセンス(PL)測定により
InPデバイス層4の結晶品質を調べたところ、InP
基板上に成長させたInP結晶と比べても遜色のない発
光強度が得られた。また、エッチピット密度(EPD)
の測定及び透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果から
も、InPデバイス層4の転位密度は105cm-2以下
であり、良好な結晶品質が得られていることが確認され
た。
【0022】実施例2 図2は本発明の第2の実施例により形成されるエピタキ
シャル成長基板の模式的断面図である。本実施例では、
ガスソースMBE法を用いてSi基板上にGaPバッフ
ァ層22及びGaPxSb1-x連続傾斜組成バッファ層2
3を挟んでInPデバイス層24を成長させている。
【0023】図2に示すように、Si(100)2°オ
フ単結晶基板21上にGaPバッファ層22を2段階成
長(300℃/400℃、0.5μm)させる。次に、
基板温度を490℃に昇温し、厚さ1μmのGaPx
1-x連続傾斜組成バッファ層23を成長させ、最後に
同じ成長温度でInPデバイス層24を1μm成長させ
る。GaPxSb1-x連続傾斜組成バッファ層23のP組
成をSiの格子定数に近い1.0からInPに格子整合
する値まで連続的に変化させている。
【0024】GaPxSb1-x傾斜組成バッファ層の導入
により低転位のInP結晶が得られる。つまり、フォト
ルミネセンス(PL)測定によりInPデバイス層24
の結晶品質を調べたところ、InP基板上に成長させた
InP結晶と比べても遜色のない発光強度が得られた。
また、エッチピット密度(EPD)の測定及び透過電子
顕微鏡(TEM)観察の結果からも、InPデバイス層
24の転位密度は10 5cm-2以下であり、良好な結晶
品質が得られていることが確認された。
【0025】以上好ましい実施例について説明したが、
本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではな
く、本発明の範囲内において適宜変更可能なものであ
る。
【0026】例えば、実施例では格子不整合バッファ層
に連続傾斜組成バッファ層あるいは階段状傾斜組成バッ
ファ層を用いているが、バッファ層の一部を歪超格子層
の形にして用いてもよく、更にこれらのバッファ層を組
み合わせて使用しても良い。また、前記歪超格子層の代
わりに短周期歪超格子層を用いることも可能である。
【0027】上記実施例では、Si基板上に形成する化
合物半導体デバイス層としてInPの場合について説明
したが、本発明の方法は、この化合物半導体デバイス層
としてGaAs,InGaAsPなどの他のIII−V族
化合物半導体やZnSe,ZnSなどのII−VI族化合物
半導体を用いた半導体装置の製造にも適用できる。
【0028】また、実施例では連続傾斜組成バッファ層
あるいは階段状傾斜組成バッファ層並びに歪超格子層に
GaPSbを用いていたが、本発明ではIII族のAl及
びGaのいずれか少なくとも一種とV族のP及びSbを
構成元素として含んでいればよく、例えば、AlPS
b,GaPAsSb,AlPAsSb,AlGaPAs
Sb及び前記GaPSbを含むこれらの複数の組合せな
どから構成される材料を用いても良い。
【0029】更に、結晶の面方位として実施例では通常
用いられる(100)面を用いた例について説明してい
るが、他の例えば(111)や(211)面、(31
1)面などの高次の面、更にこれらから適当な角度だけ
オフした面を用いても程度の差はあってもほぼ同様の効
果が得られる。
【0030】上記の実施例では、成長装置としてガスソ
ースMBE装置を用いた例について説明したが、所望の
連続傾斜組成バッファ層あるいは階段状傾斜組成バッフ
ァ層の成長が可能であればどの様な成長装置でも使用可
能である。例えば、通常の全メタルソースのMBE装置
を使用することもできる。但しこの場合には、蒸気圧の
高いPのソースには特別の工夫が必要となる。また、M
OMBE法、CBE法あるいはMOCVD法も用いるこ
とができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のSi基板
上への化合物半導体層の成長方法は、格子不整合バッフ
ァ層及びデバイス側バッファ層にデバイス層よりも剛性
率の高い材料を用いることによって、基板との界面に数
多く発生した転位が上部へ伝播することを抑制し、かつ
熱歪みの緩和により発生する転位の上部への伝播をも抑
制することができる。従って、本発明によれば、Si基
板上に低転位の高品質な化合物半導体層を、成長装置へ
負担をかけることなく、歩留まり良く成長させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例により形成されたエピタ
キシャル成長基板の模式的断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例により形成されたエピタ
キシャル成長基板の模式的断面図である。
【符号の説明】
1、21 Si(100)2°オフ単結晶基板 2、22 GaPバッファ層 3 GaPxSb1-x不連続傾斜組成バッファ層 4、24 InPデバイス層 5 GaP0.9Sb0.1層 6 GaP0.8Sb0.2層 7 GaP0.7Sb0.3層 8 GaP0.6Sb0.4層 9 GaP0.5Sb0.5層 10 GaP0.4Sb0.6層 11 GaP0.35Sb0.65層 23 GaPxSb1-x連続傾斜組成バッファ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−184321(JP,A) 特開 平4−62833(JP,A) 特開 平1−99212(JP,A) 特開 平1−124269(JP,A) 永井治男 他2名「▲III▼−▲V ▼族半導体混晶」(1993−7−30初版第 2刷発行)コロナ社 p.30−31 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/20 H01L 21/203

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si基板上にSi基板側バッファ層、格
    子不整合バッファ層、化合物半導体デバイス層を成長さ
    せる工程を含む化合物半導体層の成長方法において、
    Si基板側バッファ層はGaPから成り、前記格子不
    整合バッファ層がIII族のAl又はGaのいずれか少な
    くとも一種とV族のP及びSbを構成元素として含むこ
    とを特徴とする化合物半導体層の成長方法。
  2. 【請求項2】 前記格子不整合バッファ層が、格子定数
    が連続的に変化する連続傾斜組成部、または/及び格子
    定数が階段状に変化する不連続傾斜組成部を含んで構成
    され、該格子不整合バッファ層の格子定数がSi基板側
    バッファ層との界面側で該Si基板側バッファ層の格子
    定数と一致し、化合物半導体デバイス層との界面側で該
    化合物半導体デバイス層の格子定数と一致することを特
    徴とする請求項1に記載の化合物半導体層の成長方法。
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CN103137477B (zh) * 2013-02-27 2016-01-13 中国科学院半导体研究所 在Si基上制备InP基HEMT的方法
KR20140121192A (ko) * 2013-04-05 2014-10-15 삼성전자주식회사 기판 구조체 및 이를 포함하는 반도체 소자
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