JP3168782B2 - 電磁誘導加熱器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は温度感知用の測温抵抗体
を用いた電磁誘導加熱器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来例の電磁誘導加熱調理器の温度セン
サ−の構成を図３に示す。加熱コイル４に電流が流れる
と、加熱コイル４の回りに磁力線が発生し、この磁力線
によって、強磁性体材料で作られた鍋３に誘導電流が流
れ、鍋３自体が発熱する仕組みになっている。温度セン
サ−は、セラミックプレ−ト２の裏面中央に位置し、発
熱した鍋３の温度を検知する。しかし、この構成では、
鍋３の中央部の温度しか測定できないので、鍋３の中央
部がセラミックプレ−ト２に接触していない鍋などにお
いては測定精度が低く、また、温度センサ−が鍋から離
れたところにあるため、温度応答性が悪いという第１の
問題点があった。

【０００３】また、他の従来例である測温抵抗体を用い
た電磁誘導加熱器の構成図を図４に示す。この場合、測
温抵抗体１は、セラミックプレ−ト２に密着して設けら
れるため、前述の温度センサ−よりは温度応答性は良く
なる。しかし、加熱コイル４上のセラミックプレ−ト２
に測温抵抗体１を設けると、加熱コイル４の回りに発生
する磁力線によって、測温抵抗体１に誘導電流ａが生じ
て流れ、これがノイズとなって、精度の低下をもたらす
という第２の問題点があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前述の第１および第２
の問題点を解決するために、本発明では、誘導電流によ
るノイズの影響のない、精度の高い測温抵抗体を用いた
電磁誘導加熱器を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項１記載の本発明は、略同心円状に巻線された
加熱コイルと、一端の各々が電気的に接続され、他端の
各々に電極が接続された抵抗体を２本一組にして形成し
た測温抵抗体とを有し、前記測温抵抗体を略円弧状に形
成し、前記測温抵抗体の円弧の中心と、前記加熱コイル
の略同心円状の巻線の中心とを略一致させた電磁誘導加
熱器を構成したことを特徴とする。

【０００６】

【作用】本発明は前記の様な構成により、磁界内で測温
抵抗体を使用しても、誘導電流が互いに打ち消し合うた
め、測温抵抗体へのノイズの混入がなく、また鍋底と接
近して検出感度が高く、かつ広い面積にわたる温度を検
出するよう作用することとなる。

【０００７】

【実施例】本発明の測温抵抗体の実施例について、図面
を参照しながら説明する。図１は、本発明の一実施例で
ある測温抵抗体を用いた電磁誘導加熱器の断面概略図で
ある。螺旋状で、略同心円状に巻線された加熱コイル４
上のセラミックプレ−ト２の下面に、測温抵抗体１が設
けられている。

【０００８】鍋３が発熱する構成は、従来例と同じであ
る。発熱した鍋３の温度を測温抵抗体１で検知する。

【０００９】従来の温度センサ−より、セラミックプレ
−ト２の下面に密着している測温抵抗体１の使用によ
り、また、測温抵抗体１が、セラミックプレ−ト２の下
面に広範囲に渡って設けられているため、鍋底の形状の
影響を受けにくく、高い温度応答性が得られる。

【００１０】図２は、同実施例の平面概略図である。測
温抵抗体１は、一端の各々を電気的に接続し、他端の各
々に電極５を接続した、互いに近接しかつ略平行な抵抗
体を２本一組にして構成されており、セラミックプレ−
ト２上に、略円弧状に測温抵抗体１を設けている。本実
施例では、測温抵抗体と同一の材料を接続部に用いてい
るので、接続部を記載していないが、測温抵抗体の特性
を妨げない材料であれば他の材料でも構わない。また、
接続部が温度および加熱コイル４の影響を受けないよう
に構成されていれば、接続部の材質は通電性の材料であ
れば構わない。

【００１１】加熱コイル４に電流が流れると、生じる磁
力線によって、測温抵抗体１には矢印ａ，ｂのように等
しい誘導電流が発生するが、一端が連結しているため、
誘導電流は打ち消しあって、測温抵抗体１中に流れるこ
とはない。

【００１２】この構成では、互いに平行な２本の測温抵
抗体の一端を連結することにより、図４に示すように従
来の構成では流れる誘導電流ａが、打ち消されて流れな
い。よって、測温抵抗体は、ノイズの少ない、精度の高
い温度センサ−として働くことができる。また、同心円
状に測温抵抗体を設けることにより、鍋の形状、コイル
の形状にあった温度検知が可能になる。

【００１３】なお、測温抵抗体の材質としては、Ｐｔ、
Ａｕ、Ｐｄ、酸化ルテニウム、金属＋ガラス等、温度の
変化により、抵抗値が規則的に変化する材料であればい
づれでもよく、金属や無機物でもよい。

【００１４】また、この測温抵抗体を電磁誘導加熱器の
セラミックプレ−トに設けて、測温 抵抗体を用いた電磁
誘導加熱器を構成する場合、形状がシンプルなため、焼
き付けが容易になり、コストが削減できるという効果が
ある。

【００１５】

【発明の効果】以上説明した様に、抵抗体の一端を連結
し、各抵抗体を２本一組にして形成した測温抵抗体を、
略円弧状に形成し、電磁誘導加熱器の略同心円状に巻線
された加熱コイルの中心と、測温抵抗体の円弧の中心と
を略一致して配することにより、温度応答性がよく、精
度の高い温度センサ−として機能する測温抵抗体を用い
た電磁誘導加熱器を提供する事ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例である測温抵抗体を用いた電
磁誘導加熱器の断面概略図

【図２】同実施例の平面概略図

【図３】従来例の電磁誘導加熱用の温度センサ−の構成
図

【図４】他の従来例として測温抵抗体を用いた電磁誘導
加熱器の構成図

【符号の説明】

１ 測温抵抗体 ２ セラミックプレ−ト ３ 鍋 ４ 加熱コイル ５ 導電部 ａ ，ｂ 誘導電流

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−137444（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−33192（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭56−162894（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H05B 6/12

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】略同心円状に巻線された加熱コイルと、 一端の各々が電気的に接続され、他端の各々に電極が接
   続された抵抗体を２本一組にして形成した測温抵抗体と
   を有し、 前記測温抵抗体を略円弧状に形成し、 前記測温抵抗体の円弧の中心と、前記加熱コイルの略同
   心円状の巻線の中心とを略一致させた電磁誘導加熱器。