JP3168435B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JP3168435B2
JP3168435B2 JP00304592A JP304592A JP3168435B2 JP 3168435 B2 JP3168435 B2 JP 3168435B2 JP 00304592 A JP00304592 A JP 00304592A JP 304592 A JP304592 A JP 304592A JP 3168435 B2 JP3168435 B2 JP 3168435B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽量化した空気入りタ
イヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車における大きな技術的課題の一つ
に低燃費性がある。この技術課題を解決する対策の一環
として、空気入りタイヤに対しても軽量化に対する要求
がますます強いものになってきている。この空気入りタ
イヤの軽量化の有効な手段の1つとして、これらタイヤ
に使用されている比重の大きい天然ゴム(NR)やスチ
レン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)等の汎用ゴム
組成物の使用量を低減することが考えられる。しかし、
タイヤに必要な性能(剛性や耐久性)を低下させること
なく低減できる量には限界があり、本質的な軽量化対策
にはなり得なかった。また、上記ゴム組成物中のカーボ
ンブラック量を低減して比重を小さくすることも考えら
れるが、このカーボンブラックはゴムの機械的物性を得
るための重要な成分になっているので、カーボンブラッ
ク量の低減による対策は実際上採用することができるも
のではなかった。
【0003】本発明者らは、タイヤ性能を維持しながら
軽量化を可能にするゴムについて種々探索を行った結
果、水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴ
ム(以下水素添加NBRと称する)は、メタクリル酸、
酸化亜鉛及び有機過酸化物を配合することによりカーボ
ンブラックを配合しなくても強度や耐摩耗性等の機械的
物性や耐熱性、耐ガス透過性に優れた低比重の加硫ゴム
を形成することに注目し、この高硬度(剛性)の水素添
加NBR組成物を要求特性に合わせて部分使用すること
ができれば、その低比重に加えて前述した優れた機械的
特性等によりゴム使用量を少なくすることが可能にな
り、空気入りタイヤの軽量化に極めて有効であることが
予想された。
【0004】しかしながら、この水素添加NBR組成物
は、汎用ゴムに対するに対する接着性が悪いため、部分
使用するとしてもタイヤの構成本体と強固に接着させる
ことが難しく実用化には問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
した水素添加NBR組成物の接着性の問題を解決するこ
とによりタイヤ構成部材の一部としての使用を可能に
し、軽量化した空気入りタイヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
る本発明は、ビードフィラー、インナーライナー、ベル
ト層の外部の周辺部又はトレッド部をメタクリル酸、酸
化亜鉛及び有機過酸化物を含有する水素添加アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体ゴム組成物Aから構成し、
該水素添加NBRゴム組成物Aをタイヤの構成本体Bに
対しイソブチレン−イソプレン共重合体ゴム組成物から
なるゴムシート層(以下IIRシート層と称する)と削
り出し方式で成形した超高分子量ポリエチレンシート層
(以下超高分子量PEシート層と称する)とからなる接
着層を介して、前記ゴムシート層を前記ゴム組成物A側
に、前記超高分子量ポリエチレンシート層を前記タイヤ
の構成本体B側に接着一体化させた後、一体加硫してな
ことを特徴とするものである。
【0007】このようにIIRシート層と超高分子量P
Eシート層とを接着層として利用することにより、従来
にない高剛性の水素添加NBR組成物Aをタイヤの構成
本体Bに接着させることができるから薄肉化が可能とな
り、軽量化することができる。以下、図面を参照して本
発明を具体的に説明する。
【0008】図1は、本発明の空気入りタイヤの1実施
例を示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3
はビード部、4はカーカス層である。カーカス層4は、
左右両側一対のビードコア6の廻りに、その両端部がビ
ードフィラー7を包み込むように折り返されている。こ
のカーカス層4のトレッド部1に対応する外周部分に
ベルト層8が設けられている。タイヤの最内側にはイン
ナーライナー5が内貼りされている。
【0009】本発明は上述のような構成において、トレ
ッド部1、インナーライナー5、ビードフィラー7及び
ベルト層8の周辺部には、これら全て或いはこれらのう
ちの一部に水素添加NBR組成物Aが使用されている。
この水素添加NBR組成物Aは、IIRシート層aと超
高分子量PEシート層bを接着層としてタイヤの構成本
体Bに接着一体化されている。この接着は、図2に示す
ように、水素添加NBR組成物AはIIRシート層aに
接着し、タイヤの構成本体Bは超高分子量PEシート層
bに接着している。水素添加NBR組成物Aは、硬化後
の強度や剛性が汎用ゴムに比べて著しく大きいため、従
来よりも少ないゴム量で上述した部材を構成することが
可能となり、より一層軽量化することができる。例えば
水素添加NBR組成物Aが有する優れた特性として、ト
レッド部に使用する場合は、溝部分を少なくしても耐摩
耗性が良好であり、ビードフィラー及びインナーライナ
ーの場合は、高硬度(剛性)により、それぞれゴム使用
量を少なくすることが可能となり、より一層軽量化する
ことができる。
【0010】本発明に使用する水素添加NBR組成物A
としては、水素添加NBRに少なくともメタクリル酸、
酸化亜鉛、有機過酸化物を配合したものであればよく、
特に限定されるものではないが、例えばエチレン性不飽
和ニトリル単位を10〜60重量%、共役ジエン単位を
30重量%以下含有する水素添加NBR100重量部に
対して、メタクリル酸を20〜60モル%、酸化亜鉛を
10〜60重量部の範囲で、かつメタクリル酸と酸化亜
鉛のモル比が1/0.5〜1/3になるように添加し、
有機過酸化物を0.5〜20重量部添加混合した組成物
を挙げることができる。
【0011】本発明において、タイヤの構成本体Bと
は、前述したビードフィラー、インナーライナー、ベル
ト層周辺部、トレッド部等が貼り付けられるタイヤの基
本骨格を形成する本体部分が該当する。これらタイヤの
構成本体Bは汎用ゴムのゴム組成物から構成されるが、
好ましくは後述する接着層との関係から、臨界表面張力
γc が25〜33mN/mの原料ゴムを含有することが
望ましい。
【0012】上記範囲の臨界表面張力γc を有する原料
ゴムとしては、イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム
(IIR,γc =27mN/m)、エチレン−プロピレ
ンジエン三元共重合体ゴム(EPDM,γc =28mN
/m)、天然ゴム(NR,γc =31mN/m)、ポリ
ブタジエンゴム(BR,γc =32mN/m)、スチレ
ン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR,γc =33mN
/m)等を挙げることができる。これらは単独又は2種
以上を混合して使用することができる。
【0013】ここで、臨界表面張力γc とは、昭和53年
8月20日、丸善株式会社発行「化学便覧」基礎編II
(第3刷),第618頁に記載されているように、固体
面上で液体炭化水素その他の有機液体化合物の同族列が
示す接触角をθ、その液体の表面張力をγとすると、co
s θとγとの関係は同族体の種類に関せず大体一本の直
線となる。このとき、θ=0、すなわちcos θ=1に相
当するγc として定義される。ただし、本発明に定義す
る原料ゴムの臨界表面張力γc は、上記固体の代わり
に、γc を測定しようとする原料ゴムを熱プレスにより
平坦にしたゴムサンプルを使用して同様に測定した値を
いう。
【0014】本発明において、接着層はIIRシート層
aと超高分子量PEシート層bとから構成されている。
両シート層a,bの相互の接着性は非常によく強固に接
着する。上記IIRシート層aは水素添加NBR組成物
Aに対して選択的に優れた接着性を有しており、他方、
超高分子量PEシート層bは、汎用ゴム組成物、特に上
述した臨界表面張力γc が25〜33mN/mの原料ゴ
ムを含有する汎用ゴム組成物に対しては優れた接着性を
有している。このため、タイヤの構成本体Bを上記臨界
表面張力γc 25〜33mN/mのゴムを含有するゴム
組成物で構成するときは、より一層強固に接着させるこ
とができる。
【0015】上記接着層のIIRシート層aを形成する
ゴム組成物としては特に限定されるものではなく、II
Rをゴム成分として含有し、硫黄等の加硫剤、カーボン
ブラック等の補強剤、老化防止剤、加硫促進剤、その他
の各種ゴム薬品を、それぞれ所定量配合した公知のゴム
組成物を使用することができる。また、超高分子量PE
シート層bとしては、削り出し方式により作製した超高
分子量PEシートが使用される。このシートは、超高分
子量のポリエチレン粉末を加熱加圧シンタリングして円
柱状の成形物を作製し、この成形物をその周方向に薄肉
に削ってシート状又はフィルム状に切り出したものであ
る。この超高分子量PEシートは、できるだけ高分子量
のポリエチレン、望ましくは平均分子量が少なくとも1
00万のポリエチレンから形成するのがよい。100万
以上であることによってIIRシートaやタイヤの構成
本体Bに対する接着性を向上させることができる。ま
た、その厚さは、20〜200μmの範囲の範囲である
ことが望ましい。この厚さを20μm以上とすることに
より、上記と同様に強固な接着性が得られる。また、2
00μm以下とすることにより柔軟で可撓性に優れ、タ
イヤの構成本体Bの物性に影響を及ぼすことがない接着
部分を形成することができる。
【0016】上述した水素添加NBR組成物Aとタイヤ
の構成本体Bとを接着する場合は、未加硫の水素添加N
BR組成物Aと未加硫の汎用ゴム組成物Bとの間に未加
硫のIIRシートaと超高分子量PEシートbとの積層
シートを挟んで、A/a/b/Bの順にラミネートし、
一体に加熱すればよい。
【0017】
【実施例】次の2種類の本発明タイヤ及び比較タイヤを
製作した。これらのタイヤのタイヤサイズはいずれも同
一の165SR13とした。 本発明タイヤ:図1に示すタイヤのビードフィラー7
(ゴム材料A)を下記の水素添加NBR組成物から構成
し、その高さが後述の比較タイヤと同じで、その断面積
が比較タイヤの1/2になるように形成した。
【0018】このビードフィラー7とカーカス層4(タ
イヤの構成本体B)との間に、IIRシートaと超高分
子量PEシートbとからなる積層シートを挿入して、ビ
ードフィラー7/IIRシートa/超高分子量PEシー
トb/カーカス層4の順にラミネートしてグリーンタイ
ヤを製作し、金型を用いて常法にしたがって170℃で
加熱し、加硫成形した。
【0019】上記水素添加NBR組成物、IIRシート
a、超高分子量PEシートbの構成は、次の通りであ
る。 水素添加NBR組成物:日本ゼオン株式会社製のZSC
−2295(メタクリル酸及び酸化亜鉛を含有する水素
添加NBR組成物)85重量%と日本ゼオン株式会社製
のZETPOL−2020(水素添加NBR)15重量
%をロールで混合し、この混合物100重量部に対し
て、老化防止剤(ナウガード445”)を1.5重量
部、有機過酸化物として化薬アクゾ株式会社製“パーカ
ドックス14/40”(1,3−ビス・ターシャリーブ
チルパーオキシイソプロピル・ベンゼン)を5重量部、
ロールで添加混合したものを使用した。
【0020】IIRシートa:表1のIIRゴム組成物
イからなる厚さ0.2mmの未加硫のゴムシートであ
る。 超高分子量PEシートb:削り出し方式により作製した
平均分子量が550万のポリエチレンからなる厚さ50
μmのシートである。また、カーカス層4のゴムとして
は、表1のゴム組成物ロ(ゴム成分NR,γc=31m
N/mとSBR,γc=33mN/mとの併用)を使用
した。 比較タイヤ:ビードフィラー7を、天然ゴム70重量
部、SBR30重量部、亜鉛華5重量部、ステアリン酸
2重量部、カーボンブラック(N339)70重量部、
アロマチックオイル7重量部、加硫促進剤(NOBS)
1重量部、硫黄2重量部及び老化防止剤1重量部からな
るゴム組成物から構成し、その断面積を本発明タイヤの
ビードフィラー7の2倍にした以外は、本発明タイヤと
同じ構成のグリーンタイヤを製作し加硫成形した。
【0021】
【0022】また、*1 はN−フェニル−N’−イソプ
ロピル−p−フェニレンジアミン *2 はN−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェ
ンアミド *3 はテトラメチルチウラムモノスルフィド *4 はベンゾチアジルジスルフィド これら2種類の本発明タイヤと比較タイヤについて、そ
れぞれビードフィラーの重量を算出し比較したところ、
本発明タイヤは比較タイヤに比べて約60%も重量が小
さいタイヤに軽量化されていた。
【0023】また、本発明タイヤと比較タイヤについ
て、通常の方法により走行試験を行ったが、両タイヤの
運動性能はほぼ同等であった。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、IIRシート層aと超
高分子量PEシート層bとからなる接着層の使用によ
り、水素添加NBR組成物Aをタイヤの構成本体Bに接
着一体化することが可能となり、これによってビードフ
ィラー、インナーライナー、ベルト層周辺部又はトレッ
ド部に、低比重で、優れた物性を有する水素添加NBR
組成物を使用可能にしたので、タイヤを軽量化すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの1例を示す半断面図
である。
【図2】カーカス層とビードフィラーとの接着構造を示
す断面図である。
【符号の説明】
3 ビード部 5 インナーライナー 4 カーカス層 7 ビードフィラー 8 ベルト層 A 水素添加NBR組
成物 B タイヤの構成本体 a IIRシート層 b 超高分子量PEシート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 9/02 C08L 9/02 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 1/00,5/00 B60C 5/14,15/06 C08L 9/00 - 9/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビードフィラー、インナーライナー、ベ
    ルト層の外部の周辺部又はトレッド部をメタクリル酸、
    酸化亜鉛及び有機過酸化物を含有する水素添加アクリロ
    ニトリル−ブタジエン共重合体ゴム組成物Aから構成
    し、該ゴム組成物Aをタイヤの構成本体Bに対しイソブ
    チレン−イソプレン共重合体ゴム組成物からなるゴムシ
    ート層と削り出し方式で成形した超高分子量ポリエチレ
    ンシート層とからなる接着層を介して、前記ゴムシート
    層を前記ゴム組成物A側に、前記超高分子量ポリエチレ
    ンシート層を前記タイヤの構成本体B側に接着一体化さ
    せた後、一体加硫してなる空気入りタイヤ。
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