JP3168410B2 - 乾海苔の品質検査方法 - Google Patents

乾海苔の品質検査方法

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JP3168410B2
JP3168410B2 JP15237597A JP15237597A JP3168410B2 JP 3168410 B2 JP3168410 B2 JP 3168410B2 JP 15237597 A JP15237597 A JP 15237597A JP 15237597 A JP15237597 A JP 15237597A JP 3168410 B2 JP3168410 B2 JP 3168410B2
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盛徳 工藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、乾海苔の品質検
査な関するもので、更に述べると、人の視覚、触格に頼
らず機械を使用し、非破壊で能率良く、しかも客観的結
果をもたらすことのできる乾海苔の品質検査方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】我が国では現在1漁期中に約100億枚
の乾海苔が生産され、販売されている。乾海苔の生産地
は、東日本から九州に至る表日本の沿岸であり、消費地
は全国である。従って、漁村において生産された乾海苔
は、生産地に近い拠点に集荷され、卸売業者に買い取ら
れ、ついで卸売業者から小売業者の手を経て消費者へ流
通される。天産品である乾海苔の品質は多様性に富んだ
ものであるから卸売業者は本来なら1枚づつ品質を見て
値を付けなければならないが、短い漁期中に集荷拠点に
集められる乾海苔の量は非常に多いので、その様なこと
は困難である。そこで、生産者は同程度の品質を持つ製
品(乾海苔)を集めて格付けし仕訳をして、荷口ごとに
見本をつけて卸売業者の検品に供する。卸売業者は、見
本を見て値踏みをし入札によって製品を入手する。この
時の格付け作業が検査であって、もし検査の機能が麻痺
すると、取引はきわめて能率の悪いものになり、現在の
ような大量の生産物を捌くことが不可能になる。
【0003】従来の品質検査は、習熟した乾海苔の品質
検査員が行っている。この検査員は標品、即ち、検査対
象の乾海苔を1枚ずつ手にとり、視覚、触覚により色、
艶、出来などを総合的に検査した後、10枚1帖を10
帖束ねた1束ごとに巻いた帯に等級、例えば、優上、
優、特上、軽優、選優上、縮優などの印を打つ。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来例では次
の様な問題がある。 (1)乾海苔は通常、検査場へ3600枚入りの段ボー
ル箱に納められて集荷される。検査場では、検査員はま
ず梱包を解き、検査台の上に並べて1帖づつ検査し、検
印を押した後再び梱包する。この検査に要する時間は1
枚あたり約0.1秒程度であり、1箱当たり約6分かか
るので、1日1人250箱程度が限界である。ところ
が、乾海苔の1次加工は全自動機を使用して行われてい
て、小型のものでも1日に3000枚程度の製品を作っ
ているが、最盛期になると、3600枚位の製品が作ら
れる。従って、組合単位で10日に1回の集荷を行う検
査場では1回の検査は1000箱程度になり、2人の検
査員で検査しても2昼夜を要することになる。実際の検
査は、1日で終わるように計画されているが、梱包解
き、印打ち、梱包、記録等の作業は早朝から深夜におよ
び、その労力は多大である。
【0005】(2)長時間検査していると、検査員の眼
の疲労が著しくなり、色、艶の判断がにぶり、常に一定
の判断の基準に照らしたものとはなり難くなる。そのた
め、しばしば判定結果に不平等を生じ、売り手、買い手
の双方に不満の原因を作って公平な取り引きを阻害す
る。
【0006】(3)検査員の検査可能な範囲は、前述の
様に通常1日1人250箱位であるので、これよりも検
査対象の乾海苔(標品)が多くなると、1日で検査が完
了する様に、乾海苔を検査台の上に流しておいて、気に
なるところだけ抜き取って確認する方法が採用される。
しかし、この方法では、不良品の混合を見逃し、信用を
失う弊害を生じる。
【0007】(4)検査員が複数の場合には、検査員の
能力の差による判定誤差が発生する恐れがある。但し、
異なった検査場の結果は相互に独立して取り扱われるの
で、問題にはされてはいるが、容認されているのが現状
である。もちろん、そのことも売り手買い手の双方に不
満の原因を作っている。
【0008】(5)乾海苔の検査は、高度の品質鑑定能
力が必要である。ところが、この能力を備えたベテラン
の検査員は老齢化する一方、その後継者がなかなか育た
ないのが現状である。そのため、必要な数の検査員を確
保することが困難となると共に、検査員1人当たりの検
査枚数が飛躍的に増加し、過重な労働を強いる結果とな
っている。
【0009】この発明は、上記事情に鑑み、乾海苔の品
質検査の作業能率を向上させるとともに、客観的で公正
な評価を行うことを目的とする。
【0010】この発明は、検査員によって格付けされた
複数の製品を比較して、上質であるものが備える傾向を
読み取り、それぞれの指標値が最上級で収斂する点を求
めて標準になる仮想品質を仮定する行程と;該仮想品質
の乾海苔について得られる色及び艶に関する多次元情報
により楕円状の仮想品質空間領域を形成する行程と;波
長特性並びに照度の整えられた光源で照明された標品の
反射光をカラーCCDに取り込み色及び艶を数値化する
行程と;前記標品の数値化された色及び艶の多次元情報
により、前記仮想品質空間領域の楕円の中に、座標値を
プロットして品質空間領域の楕円を形成し、適合率演算
によりその適合度合いを百分率で求め、予め定められて
いる適合率等級基準に基づき等級を算出表示する行程
と;からなることを特徴とする。
【0011】この発明は、検査員によって格付けされた
複数の製品を比較して、上質であるものが備える傾向を
読み取り、それぞれの指標値が最上級で収斂する点を求
めて標準になる仮想品質を仮定する行程と;該仮想品質
の乾海苔について得られる色及び艶に関する多次元情報
により楕円状の仮想品質空間領域を形成する行程と;試
験光に照射されている検査台に標品を載置する行程と;
該標品の反射光をカラーCCDに取り込み色及び艶を数
値化する行程と;前記標品の数値化された色及び艶の多
次元情報により、前記仮想品質空間領域の楕円の中に、
座標値をプロットして品質空間領域の楕円を形成する行
程と;該品質空間領域が前記仮想品質空間領域にどの位
重なっているかにより適合率を求める行程と;予め定め
られている適合率と品質指標値との関係から一次元の等
級を表現する行程と;からなることを特徴とする。
【0012】この発明は、仮想品質空間領域は、産地別
に最も上等な乾海苔のデータの95%が収まる品質空間
領域の楕円を想定することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】ベテランの検査員は、乾海苔を格
付け(等級付け)する場合、色、艶、目方、柔らかさ、
焼き色、を要素データとして用いているが、特に、色と
艶の違いにより等級を判断している。
【0014】この色及び艶に関する情報は、多次元空間
において楕円状に配設された品質空間領域を形成する性
質を持っている。
【0015】本発明者は、前記事情を考慮し、乾海苔の
品質に関する多次元情報を非破壊的に光学機器で測定
し、計算処理によって一次元の数値に置き換えた品質指
標値として表現することを考えた。
【0016】即ち、CCDを有する撮影装置により検査
対象の乾海苔(標品)を撮影し、その色及び艶に関する
情報を数値化し、該数値化した色及び艶に関する多次元
情報により楕円状の品質空間領域を形成する。
【0017】次に、この品質空間領域の仮想品質空間領
域への適合率を求める。この仮想品質空間領域は、仮想
品質の乾海苔の色及び艶に関する情報に基づいて形成さ
れるが、この仮想品質は検査員によって格付けされた複
数の製品を比較して、上質であるものが備える傾向を読
み取り、それぞれの指標値が最上級で収斂する点を求め
て決定される。
【0018】この適合率は仮想品質空間領域に標品の品
質空間領域がどの位重なっているかを百分率で求めるも
のである。この適合率を求めた後、該予め定められてい
る適合率と品質指標値との関係から等級を算出し表示す
る。
【0019】
【実施例1】この発明の第1実施例を図1〜図3により
説明する。乾燥海苔の品質検査は海苔養殖業者の製造し
た乾海苔を流通に乗せる過程で実施されるが、この検査
は乾海苔の品質検査装置を用いて行われる。この装置
は、標品1を載置する検査台2と、該標品1に光を照射
する光源3と、該検査台2と対向する撮影装置5と、該
撮影装置5にA/D変換器4を介して接続されたコンピ
ュータ7と、を備えている。
【0020】光源3は、波長特性並びに照度が整えられ
ている。通常の色を検出するためには、可視光領域を網
羅し、可視光領域内において、各波長のエネルギー量が
自然光のエネルギー量に比例していることが理想的であ
る。タングステン電球の光は長波長側に偏り過ぎるため
に使用できず、一般の蛍光燈は電源の周波数に応じて点
滅するために使用できないなど、人工光源には制約が多
い。そこで、ハロゲン球、高周波蛍光燈、直流蛍光燈等
を用いて実験を繰り返し、試作機では、それらの中で比
較的天然光に近い結果をもたらした高周波蛍光燈を光源
として利用している。
【0021】照度に関しては、CCDの感度特性を考え
れば、かなりの低照度でも測定可能であるが、シャッタ
速度を60分の1秒にして、かつ、余裕のある照度を得
るために500ルクス前後に調節している。
【0022】なお、本方法では光源に紫外線を使用する
ことによって、乾海苔に含まれる色素蛋白のフィコビリ
ンの量を計測できる。その場合には紫外線によって励起
されて放射される可視光(煉瓦色)を捕らえる関係上、
光源に可視光を使用しない。
【0023】撮影装置5には、カラーCCD6を有する
ビデオカメラが設けられている。このCCD6は、電荷
結合素子(Charge Coupled Device)であり、乾海苔
の反射光をRGB(赤、緑、青)の3種それぞれの光量
に比例するアナログ信号電流として出力する。
【0024】即ち、このCCD6は標品即ち検査対象の
乾海苔1の反射光Aを取り込み、該乾海苔1の「色及び
艶を数値化」する。ここで前記「色及び艶の数値化」に
ついて詳細に説明する。色の数値化は基本的には反射エ
ネルギーを積分球で分割して得る3刺激値X、Y、Zの
値を組み合わせて表現する。この座標は3次元であるた
めわかりにくいことから、x=X/(X+Y+Z),y
=Y/(X+Y+Z)とした場合に得られるx,yの2
次元座標値やLを明度として色を方形座標上に表すLa
b色座標などが工夫されている。
【0025】一方、CCDでは画面の横×縦を640×
400個に分画し、そのそれぞれから得られる反射光を
赤、緑、青の各色のフィルターを通して光トランジスタ
で受けて電流に交換する。この擬似的な3刺激値をRG
Bと呼んでいる。
【0026】RGBのそれぞれで赤、緑、青のLEDを
点灯すれば、色と明度が再現できるが、これをコンピュ
ータの記憶装置に保存するにはデータ数が多すぎるの
で、圧縮のためにいろいろな工夫がなされている。
【0027】JPEG方式はその一つで、人の視覚が色
よりも輝度を強く感じることからRGBを元データとし
てLab色座標と類似の変換を行った上でYQIを求め、
1,Q1,I2、Y3,Q3,I4のようにデータを省略し
て圧縮する。この方式で再現される画像は圧縮前のデー
タで出力される画像と比べて、ほとんど見劣りがしない
長所がある。
【0028】ただし、本発明に係るデータ処理では、数
値化された個々の点の色、艶の精度を高めるため、通常
の圧縮を行わずY1,u1,v1、Y2,u2,v2の方式で
扱った。これらの指数はコンピュータの記憶媒体には1
個が1バイトの容量を持つ2進数で記憶されるが、10
進数に換算するとそれぞれ0から±255までの数とな
る。
【0029】なお、JPEGとは Joint Photographic
Experts Group の略で、JPEG方式とはJPEGの勧
告に基づく国際標準方式のことである。RGB方式のデ
ータからJuv系データへの換算はRGBをそれぞれ10
進数0から255の数値とするとき下記の式による。 Y=0.587G+0.299R+0.114B u=−0.3316G−0.1684R+0.5B v=−0.4147G+0.5R−0.0813B
【0030】前記色及び艶の数値化にあたり、乾海苔が
加工の段階で「無数に裁断された断片の集合」であるた
めに、色及び艶が部分的にはかなり不均質であることに
よってもたらされる判定誤差を避けなければならない。
【0031】ここで前記「無数に裁断された断片の集
合」について説明する。海苔は乾海苔に加工される過程
で、淡水で洗浄後ミンチと称する機械により細断され
る。裁断された断片のサイズは特定されていないが、通
常長短辺ともに1ないし2ミリ程度である。その後の製
法は製紙の方法とほぼ同じで、裁断された海苔を水に懸
濁させ、均一に分散するように撹拌しながら、水切れの
よい廉の上に流し込み、水を切って乾燥する。乾海苔
は、細断された断片が折り重なってできているので、乾
海苔の中の断片の数は無数と言う表現によるのが適当な
ほどに極めて多い。
【0032】そのために「十分に広い面積」から、「極
めて小さな点の情報を多数同時に取得」して計算処理に
供することにより、「精度の高い品質判定」を可能にす
る。
【0033】ここで前記「十分に広い面積」について説
明する。細断された海苔の大きさは1ないし2ミリで、
一方CCDが取り出す情報の1ドット分が占める大きさ
は直径0.1ミリ以下である。乾海苔の色や艶は部分的
に見れば不均一であるから、数ドットのデータを用いて
1枚の標品の品質を判断することはできない。さりとて
標品の全面を調べるのは無駄なことであるので、適当な
面積について調べることになるが、先の断片のサイズと
ドットのサイズから考えれば全面積の数分の1以下でよ
いことになる。実際には写真のL版程度の面積について
調べているので、これは測定のために必要な面積に対し
て十分に広い面積と解釈される。
【0034】更に、前記「極めて小さな点の情報を多数
同時に取得」について説明する。情報の単位はCCDが
取り出す1ドットであるから直径0.1ミリ程度の円か
らの情報であり、これは極めて小さな点といえる。CC
Dは通常768,000個以上の素子を備えていて、こ
のような点からの情報を同時に取り込むことができる。
ビデオカメラで撮影した静止画像をRGB方式のデジタ
ル信号にしてコンピュータに転送し、ファイルの大きさ
を調べると768,000バイトあった。
【0035】前記「精度の高い品質判定」について説明
する。検査員による品質判定は五感に頼る検査で行われ
るため格付けの異なる製品の品質の差は時には人によっ
て順逆が入れ替わるほど曖昧であることが避けられな
い。機械検査では重要な指標を数値化して比較するた
め、例え僅かな差でも見逃すことなく、順逆の入れ替わ
ることも無い点で精度の高い品質判定となる。
【0036】コンピュータは、前記の数値化された多数
の色及び艶の多次元情報から品質を判定するにあたり、
「数値の計算処理」、即ち、「仮想品質の乾海苔」につ
いて得られる「多次元情報」が形成する仮想品質空間領
域への適合率を求めることにより、「検査対象の品質を
1次元の数値として表現」することを可能にする。
【0037】ここで前記「数値の計算処理」について説
明する。1回の撮影で得られるデータ数は、RGBのそ
れぞれについて640×400個あるから合計は25
6,000×3=768,000個である。これから計
算されるu,v等もそれぞれ256,000個である。
uを横軸に、vを縦軸にとった平面座標にそれぞれの
(u,v)をプロットすると図2のように、ほぼ原点に
近い点を中心にした彗星軌跡型の点軌跡が得られる。こ
れらの点のうち彗星の尾や周辺部に位置する点の数は僅
かで、大部分(95%)の点は右下がりの楕円aの領域
内に配置されることが経験的に確かめられた。この楕円
状の領域が、この標品の品質空間領域9と呼ばれるもの
である。
【0038】そこで、この楕円aの長軸方向と短軸方向
に置き換えた直交座標(X,Y)上で読み取った点の座
標値を(x,y)とすると、先の楕円はx,yの平均値
(x 00)を中心としてxの95%信頼限界値とyの9
5%信頼限界値を短軸及び長軸とする楕円aとして表現
できる。
【0039】このようにして描かれる楕円の中心の座
標、uとxとのなす角及び大きさは標品毎に異なるが、
等級の離れた標品間の差は大きい傾向が得られている。
【0040】そこで、図3に示すように、標準になる仮
想標品から得られた楕円状の仮想品質空間領域8の楕円
Sの中に他の標品の座標値をプロットしそれぞれの品質
空間領域9の楕円a,b、を形成すると、等級の差の大
きいほど仮想品質空間領域8内に当てはまる数が少なく
なる。適合率演算10によりその適合の度合いを百分率
で求め、予め定めている適合率等級基準11に基づき等
級を算出表示12する。図3において、品質空間領域8
の楕円aは特上、楕円bは6等である。
【0041】前記「仮想品質の乾海苔」について説明す
る。適合率を知るには対照が必要である。対照として最
も上質の製品を選べば、適合率の高いものほど上質と言
うことになる。ところで、現存する製品の中から、対照
を選ぶとすると、その製品が尤も上質であることを証明
することは技術的にほとんど困難なことになる。
【0042】そこで、検査員によって格付けされた複数
の製品を比較して、上質であるものが備える傾向を読み
取り、それぞれの指標値が最上級で収斂する点を求めて
仮想品質を仮定する。uvについては座標値(u,v)
の平均値は第4象限にあって上質のものほど原点に近
く、uとvそれぞれの信頼限界は上等のものほど狭くな
り、vがuに対してなす角は上質のものほど小さい。
【0043】一例として、瀬戸内海産の乾海苔を主とす
る検品で求めた値は、uの平均値0.17、vの平均値
0.80、回帰直線の勾配−0.78、楕円の描く辺の標
準偏差2.4及び1.3である。
【0044】ここで前記「多次元情報」について説明す
る。センサーはレンズを通して取り込んだ光をRGB三
次元データとして保存する。RGBのそれぞれは異なっ
た波長帯の光エネルギー量に比例していて、そのまま合
成すれば元の色と輝度(艶)を再現するものである。
【0045】しかし、組み合わせ方によっては目視でき
る色と輝度以外に、狭雑物の検出、味の指標等に関わる
多くの数値データを引き出すことのできる原料ともみな
せるものであり、海苔の品質はそれら多くのデータの組
み合わせによって判定される筈のものである。このよう
に、独立したデータの寄せ集めになっている情報を多次
元情報とよんでいる。具体例としてはRGBデータやY
uvデータのダンプリストなどがある。
【0046】前記「検査対象の品質を1次元の数値とし
て表現」について説明する。検査員による検査の結果は
色、艶、作り、その他各種の指標について評価した後、
総合評価として、特等、1等、2等など1次元の数値情
報として判定するものである。機械検査では色だけでも
少なくとも2次元の数値で表現され、その上に輝度
(艶)、輝度の分散(作り)などの多くの項目が加わっ
た多次元の数値情報が得られ、従来はこれらを総合評価
して1次元の数値として表現する手法が開発されていな
かった。
【0047】本法ではセンサを通して得られた多次元情
報を多次元座標にプロットし、そこにあらかじめ設定し
ておいた仮想品質の乾海苔について得られる仮想品質空
間領域への適合率を求めることにより、データを1次元
化する。この適合率は百分率で表現されるが、予め定め
た適合率と品質指標値との関係から該適合率を等級に読
み替えるのは容易である。
【0048】
【実施例2】この発明の第2実施例を図4、図5により
説明する。検査台21の上方に作業間隔Lをおいて、撮
影装置22を配設する。この撮影装置22のビデオカメ
ラ23は断面U字状のカバー24内に収納されている。
このビデオカメラ23は、図示しないカラーCCD(電
荷結合素子)を備えている。カバー24内には、円錐台
状の笠25が設けられ、この笠25には複数の光源26
が設けられている。この光源26として、波長特性並び
に照度の整えられた光源、例えば、500ルックス前後
の高周波蛍光燈が用いられる。
【0049】撮影装置22はA/D変換器30を介して
パーソナルコンピュータ27に連結されている。このコ
ンピュータ27のRAM(図示しない)には乾海苔の等
級判別の基準となる仮想品質空間領域の楕円Jが記録さ
れている。この空間領域の楕円Jは、仮想品質の乾海苔
について得られる色及び艶に関する多次元情報に基き形
成される。
【0050】この仮想品質を決める時には、検査員によ
って格付けされた複数の製品(乾海苔)を比較して、上
質であるものが備える傾向を読み取り、それぞれ品質の
指標値が最上級で収斂する点を求めて仮想品質を仮定す
る。
【0051】仮想品質空間領域が楕円Jとなるのは、乾
海苔の色及び艶に関する要素データは多次元空間におい
て楕円状に配置される性質がある為である。このコンピ
ュータ27には、演算手段CPU(図示しない)及び表
示手段CRTが備えられている。演算手段CPUは標品
28の品質空間領域の楕円30〜37の、仮想品質空間
領域の楕円Jへの適合率(百分率)を求め、一次元の品
質指標値として表示する。
【0052】次に、本実施例の作動につき説明する。検
査台21に検査対象の乾海苔、即ち、標品28を載置す
る。この標品28は、波長特性と照度の整えられた光源
26によって照明され、その反射光がレンズとカラーC
CDを組み合わせた撮影装置22によって撮影され、信
号電流に換えられる。
【0053】該信号電流は、A/D変換器29によりデ
ジタル信号に変換され、パーソナルコンピュータ27の
RAMに格納される。この時送られてくる信号は、RG
B形式データでそれぞれが640×400個という膨大
な数であるが、品質判定のためには、過大なデータ数で
あるため、計算時間の節約のために80対に1対、ない
し800対に1対だけを取り出し格納する。
【0054】図5は、同一産地で同日に製造され、検査
員によって複数の等級に分けられた乾海苔について上記
方法によって入手されたRGB形式データ群をYuv系デ
ータへの換算を行った上で、uv座標上にそれぞれ95
%信頼限界域として描かせたものである。図5中、30
〜37は標品の品質空間領域の楕円であり、30は特
等、31は上1等、32は1等、33は2等、34は5
等、35は3等、36は4等、37は6等の乾海苔をそ
れぞれ示す。この様に上等から下等までの品質空間領域
の楕円30〜37はほとんど重なっていて、上等の品質
空間領域は下等の品質空間領域の中に収まる傾向が見ら
れる。
【0055】このような実測例を参考にして産地別に最
も上等な乾海苔のデータの95%が収まる仮想品質の仮
想品質空間領域の楕円Jを想定しておく。図5にYuv系
データを採用しているのは、RGB形式データが3次元
であって図面上説明しにくいために過ぎない。この乾海
苔の品質検査方法は多次元データを一次元化して扱うこ
とを特徴としているので、途中のデータ形式には拘らな
い。
【0056】各標品から得られる色及び艶に関する多次
元データを、前記仮想品質空間領域の楕円Jに当ては
め、適合率(%)を求め、予め定められている適合率と
品質指標値との関係から等級を算出表示する。
【0057】例えば、等級ごとに10枚づつ(160
帖、計1600枚)を標品として乾海苔の品質検査する
と、仮想空間空間領域の楕円Jの諸元をuの平均=0.
17、Vの平均=0.80、回帰直線の勾配=−0.7
8、楕円の各辺の標準偏差=2.4、1.3としたとき、
図5に示されているそれぞれの等級の得点は、特等 8
7.8、 上1等 86.4、 1等 85.4、 2等
84.9、3等 83.2、 4等 84.3、 5等
86.3、 6等 80.5、であり、造りが等級に影
響していた4等と5等を除けば等級順位と高い相関を示
す。
【0058】
【発明の効果】この発明は以上の様に構成したので、検
査員の視覚、触覚に頼らずに、客観的に、公正に、しか
も能率よく乾海苔の品質評価を行うことができる。従っ
て、検査員の視覚、触覚に頼る従来例の問題点を総べて
解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すブロック図である。
【図2】Yuv系色座標を示す図である。
【図3】複数の標品の品質空間領域を表示したYuv色座
標を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例を示すブロック図である。
【図5】Yuv系色座標を示す図である。
【符号の説明】
1 標品 2 検査台 3 光源 4 A/D変換器 5 撮影装置 21 検査台 22 撮影装置 23 ビデオカメラ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】検査員によって格付けされた複数の製品を
    比較して、上質であるものが備える傾向を読み取り、そ
    れぞれの指標値が最上級で収斂する点を求めて標準にな
    る仮想品質を仮定する行程と; 仮想品質の乾海苔について得られる色及び艶に関する
    多次元情報により楕円状の仮想品質空間領域を形成する
    行程と; 波長特性並びに照度の整えられた光源で照明された標品
    の反射光をカラーCCDに取り込み色及び艶を数値化す
    る行程と; 前記標品の数値化された色及び艶の多次元情報により、
    前記仮想品質空間領域の楕円の中に、座標値をプロット
    して品質空間領域の楕円を形成し、適合率演算によりそ
    の適合度合いを百分率で求め、予め定められている適合
    率等級基準に基づき等級を算出表示する行程と; からなることを特徴とする乾海苔の品質検査方法。
  2. 【請求項2】検査員によって格付けされた複数の製品を
    比較して、上質であるものが備える傾向を読み取り、そ
    れぞれの指標値が最上級で収斂する点を求めて標準にな
    る仮想品質を仮定する行程と; 仮想品質の乾海苔について得られる色及び艶に関する
    多次元情報により楕円状の仮想品質空間領域を形成する
    行程と; 試験光に照射されている検査台に標品を載置する行程
    と; 該標品の反射光をカラーCCDに取り込み色及び艶を数
    値化する行程と; 前記標品の数値化された色及び艶の多次元情報により
    前記仮想品質空間領域の楕円の中に、座標値をプロット
    して品質空間領域の楕円を形成する行程と; 該品質空間領域前記仮想品質空間領域にどの位重なっ
    ているかにより適合率を求める行程と; 予め定められている適合率と品質指標値との関係から一
    次元の等級を表現する行程と; からなることを特徴とする乾海苔の品質検査方法。
  3. 【請求項3】仮想品質空間領域は、産地別に最も上等な
    乾海苔のデータの95%が収まる品質空間領域の楕円を
    想定することを特徴とする請求項1、又は、2 記載の乾
    海苔の品質検査方法。
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