JP3167901B2 - 含Cr溶鋼の脱炭精錬方法 - Google Patents

含Cr溶鋼の脱炭精錬方法

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JP3167901B2 JP25879395A JP25879395A JP3167901B2 JP 3167901 B2 JP3167901 B2 JP 3167901B2 JP 25879395 A JP25879395 A JP 25879395A JP 25879395 A JP25879395 A JP 25879395A JP 3167901 B2 JP3167901 B2 JP 3167901B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含Cr溶鋼の脱炭
精錬方法に関し、特にCrの酸化ロスを低減しつつ、効
率的な脱炭を行おうとするものである。
【0002】
【従来の技術】一般に含Cr溶鋼は、溶鋼中に存在する
Crにより炭素の活量が大幅に低下するため、普通鋼に
比べて脱炭が困難である。通常、含Cr溶鋼の脱炭精錬
では鋼中炭素を脱炭するために送酸を行うが、次式に示
すように、この送酸により鋼中の脱炭と同時にCr酸化
が起こる。
【0003】〔C〕+1/2・O2 = CO↑ 2〔Cr〕+3/2・O2 =(Cr23 ) この式において、〔 〕を付して示したものは鋼中成
分、( )を付して示したものはスラグ中の成分であ
る。酸化ロスしたCrは、送酸終了後、高価な還元剤を
利用して下式に示すような反応により鋼中に還元する。 (Cr23 )+3/2・〔Si〕=2〔Cr〕+3/
2・(SiO2 ) Cr酸化ロスの増大は、その後の還元剤使用量が増加す
るため大きなコストアップにつながる。そのため含Cr
溶鋼ではCrの酸化ロスを抑え、優先的に脱炭を行うこ
とが重要である。
【0004】熱力学的に含Cr溶鋼におけるCr−C−
O平衡は、ヒルティ (Hilty)の関係で示される。
【0005】
【数1】
【0006】上記ヒルティの式から明らかなように、低
Pco(CO分圧) 、高〔%C〕、かつ高温であるほどC
が優先的に酸化する。従って、Cr酸化ロスを少なく脱
炭を効率的に行うためには、温度を高温にすることが重
要であり、〔%Cr〕/〔%C〕の大きさがその指標と
なる。しかしながら、脱炭吹錬初期は、Fe−Crやスクラ
ップ等の副原料が添加されるために温度が低下し、Cr
酸化が顕著となる領域であり、Cr酸化ロス量が増加す
る。脱炭吹錬初期におけるCr酸化ロスを低減するに
は、精錬初期から溶鋼を高温にする、低温でCrが酸
化しても炭素により還元する、ことが熱力学的に重要で
あり、の例としては、特開昭59−21367号公報
に開示された技術がある。
【0007】この技術は脱炭精錬初期において上吹きラ
ンス高さを上昇し、上吹きランスの送酸をソフトブロー
にすることにより、鋼浴上において脱炭反応生成物とし
て生じるCOをCO2 ガスに転化させる酸化反応を促進
させ、その際に生じる発熱エネルギーを、浴面下に吹込
まれる酸素及び不活性ガスにより生じる鋼浴の激しい攪
拌を介して鋼浴内に伝播させる、いわゆる2次燃焼促進
効果により鋼浴温度を上昇させ、脱炭反応を有利な方向
に進めるものである。しかしながら、この技術では、ラ
ンス高さを上昇させることにより、2次燃焼に使用され
るO2 が多くなり、その分鋼浴に供給されるO2 が減少
し、酸素効率の低下を招く。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおり、脱炭
反応により生成したCOガスの2次燃焼向上により溶鋼
の温度上昇を図る方法では、上吹き酸素はCOの2次燃
焼に使用する比率が増加し、上吹きランスからの供給酸
素の脱炭酸素効率が低下するという問題があった。
【0009】本発明は、吹錬初期のCr酸化ロスを低減
することを目的とし、脱炭精錬初期に酸化ロスしたCr
をCにより還元する効果、Cの燃焼による初期昇温の効
果、その結果高温で高〔%C〕という平衡的にCr酸化
を少なくする効果により、吹錬初期におけるCrの酸化
ロスを低減する技術を提供するものである。また、この
発明は、上記した初期の脱炭精錬に引き続き、上吹きガ
スとして不活性ガスのみを用いて溶鋼表面強攪拌状態で
吹き付けることにより、脱炭精錬後期におけるCr酸化
ロスを低減すると共に、溶鋼温度の無用の上昇を抑制す
る技術を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題を
解決する手段として、含Cr溶鋼の脱炭精錬において、
脱炭精錬初期に炭素源を脱炭炉内に添加して、脱炭精錬
初期のCr酸化ロスを低減することを特徴とする含Cr
溶鋼の脱炭精錬方法を提供する。脱炭精錬開始時は、含
クロム粗溶鋼または溶銑の状態で炭素濃度はほぼ飽和で
あり、脱炭の進行に伴って〔C〕が低下し、かつ脱炭反
応熱により浴温度が上昇する。ここでいう炭素源添加
は、 昇熱源として高炭域での浴温度を上昇させる 昇温中における炭素飽和濃度期間を長くする ことが目的であり、いずれも次式(1) の反応を促進させ
るものである。 (Cr23 )+3C* =2〔Cr〕+3CO --- (1) *ここでは鋼中Cもしくは炭素源
【0011】脱炭初期は、副原料の投入などによる浴温
度の低下により、次式(2) に示すCr酸化が顕著となる。 2〔Cr〕+3/2・O2 =(Cr23 ) --- (2) 従って、脱炭初期のCr酸化量は、 (2)式の反応を小と
し、 (1)式の反応を大とすることにより、低減される。
本発明の炭素源添加は、上記,により、 (2)式の反
応を低減すると共に、(1) 式の反応を促進させようとす
るものである。なお、炭素源の添加は、溶鋼中であって
も、溶鋼上面であってもいずれでもよい。また、本発明
において脱炭精錬初期とは、含Cr溶鋼中の炭素濃度が
1%以上における脱炭精錬工程を言う。
【0012】上記含Cr溶鋼の脱炭精錬方法において、
炭素源添加は、脱炭精錬開始から溶鋼温度が1500℃
に至るまでの間、溶鋼中の炭素が少なくとも飽和濃度を
維持する量の炭素源を添加することが好ましく、かかる
炭素源添加は、条件により、脱炭精錬開始時に一括して
投入してもよく、あるいは、脱炭精錬開始以降に順次間
欠的又は連続的に時系列的に投入してもよい。
【0013】また本発明の実施過程において、精錬排ガ
ス中の見掛けの2次燃焼率 %CO2/(%CO + %CO2)
を30%以上に保持するように、送酸を調整することも随
意である。以上の脱炭精錬により含Cr溶鋼中の炭素濃
度が1%に到達した以降に、引き続き上吹きガスとして
不活性ガスのみを用いて溶鋼表面強攪拌状態で吹き付
け、極低炭素領域まで脱炭することは有利である。その
際、上吹き不活性ガス量は、底吹き精錬ガス(酸素ガス
と不活性ガスとの混合ガス又は不活性ガス)量の0.7
倍以上とすることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】含Cr溶鋼の脱炭精錬では、吹錬
中にCr源としてFeCrなどの副原料を投入するため
温度の低下を招く。含Cr溶鋼では、平衡論的な観点か
ら高温であるほど優先脱炭となり有利となるため、低温
であるCr酸化の生じ易い脱炭吹錬初期のCr酸化ロス
を低減することが重要である。本発明では脱炭初期に、
炭素源としてたとえばコークス30kg/t−steel 以上
を溶銑に添加することによって過剰コークスの状態と
し、低温でCr酸化の生じ易いCr溶鋼の脱炭吹錬初期
において、酸化ロスしたCrを過剰コークスにより還元
することができる。上吹きガスの攪拌により次の反応式
による反応が促進されるためである。
【0015】 (Cr23 )+3〔C〕=2〔Cr〕+3CO この時、投入される炭素源量はC飽和濃度以上であるの
で、Cの活量は1である。従って、上記式の反応は進行
し易い。その結果、脱炭吹錬初期において、Crが酸化
しつつ還元されるため、トータルでCr酸ロスが少ない
吹錬となる。また、この場合、排ガス中のCO量が増大
するため、排ガスが高エネルギーとなる。さらにカーボ
ン飽和状態ではCr源として使用するFeCr合金と活
量1の炭素との反応により、FeCr中にCが浸炭し、
共晶温度で溶け出すようになるので融点が下がり、その
ためFeCr合金の溶解が容易になる。また、炭素量が
多いために、目標の炭素濃度に到達するまでの間の脱炭
量が多く吹錬トータルの熱が多くなるため、投入した炭
素源が熱源となり、スクラップ、冷銑などの冷材も多量
に使用することが可能となる。
【0016】次に、前記炭素源添加時期について説明す
る。脱炭精錬開始から溶鋼温度が1500℃に至るまで
の間、溶鋼中の炭素が少なくとも飽和濃度を維持するよ
うに添加することによって、炭素酸化反応を起こさせて
溶鋼温度を上昇させ、Cr酸化ロス反応を抑制する。こ
こでは平衡的に高温ほど有利であるが、FeCr等の投
入時に溶鋼温度が下がるため、そのときに酸化し易くな
る。そこで、FeCrの融点(約1500℃)まではC
飽和を保持し、Cr酸化が生じてもCで還元できるよう
に、〔%C〕が1以上の炭素飽和濃度を維持すべき温度
は1500℃に定めた。なお、一般的なFeCr合金
(Cr:50〜65%、C:5〜8%、Si:1〜5%)の
溶解温度は1550℃程度であるが、カーボン飽和状態
では上述したとおり融点が下がり、約1500℃とな
る。
【0017】炭素源添加は、脱炭精錬開始時に必要な炭
素源を一括して添加することでもよいが、この場合でも
冷材として作用するのを避ける必要がある。上記150
0℃に至るまで、炭素酸化反応の推移に応じ連続又は間
欠的に時系列的に投入することが理想的である。とはい
え、実際には、連続添加は特別の添加装置を用いなけれ
ば容易ではないので、一時添加、間欠添加又は分割添加
が実際的である。
【0018】図5、図6に、含Cr鋼の脱炭精錬初期に
おける溶鋼温度推移曲線11、溶鋼中の炭素濃度推移曲線
12、溶鋼中のCr濃度推移曲線13を示す。実験条件は、
上吹き酸素ガス流量:2.0 Nm3/min/t 、底吹き酸素ガス
流量:0.7 Nm3/min/t 、ランス高さ:3.8 mである。図
5は、従来技術(特開昭59−21367号公報)、図
6は本発明の実施例である。本発明では初期の温度上昇
は幾分小さいもののCr酸化ロスが抑制されるためにC
r濃度の減少は少ない。また同じ炭素濃度が1%におけ
る温度を比較した場合、従来技術では1650℃であっ
たのに対し、本発明例では1680℃まで上昇した。こ
れは1%までの脱炭量が大きいためである。
【0019】次に、本発明の実施過程において、精錬排
ガス中の %CO2/(%CO + %CO2)の比率を30%以上
に保持するように、送酸を調整することについて説明す
る。この調整は、ランスのブロー方向の調整、ランス高
さの調整等によるいわゆるソフトブローによって実現す
ることができるが、その他、多孔ランスなどランス形状
を変えることよってもソフトブローを実施することがで
きる。通常は %CO2/(%CO + %CO2)の比率すなわ
ち見掛けの2次燃焼率の値は20〜28%であるが、上
記の方法では50%程度まで上昇させることが可能であ
る。
【0020】含Cr溶鋼中の炭素濃度が1%に到達する
まで、上記した脱炭精錬を行い、その後さらに引き続き
底吹きを継続しながら、上吹きガスとして不活性ガスの
みを用いて、これを全領域あるいは一部の領域について
溶鋼表面強攪拌状態で吹き付け、極低炭素領域まで脱炭
する技術を付加すると、溶鋼表面におけるスラグ−メタ
ル反応によりスラグ中のCr酸化物の還元を促進するこ
とができ、併せて温度上昇を抑制することができる。そ
のため、初期温度を上昇した場合に懸念される脱炭終了
時における温度上昇を効果的に抑制することができる。
一般に初期の温度に関わらず、脱炭末期の低炭素領域で
はCr酸化が起こり易くなる。Cr酸化が生じるとその
反応は脱C反応に比べはるかに大きい発熱反応であるた
め、溶鋼温度は上昇する。従って、従来法に比べて初期
の温度が高い場合、その後にCr酸化が活発になると、
溶鋼温度は1750〜1800℃というような耐火物に
悪影響を与える温度になる。本発明では、かかる温度の
上昇を、クロム酸化物を還元することによって抑制する
と共に、Cr酸化ロスの一層の低減を図ることができ
る。
【0021】本発明において溶鋼表面強攪拌状態で上吹
ガスを吹き付けることは、例えば、加藤らが導出した下
記の(1) 式を用いた上吹きガスによる攪拌動力密度
【外1】 が600W/t−steel 以上である状態、又は、鋼浴表
面の凹みを示す下記の(2) 式で示されるRの値が0.0
8以上である状態を示す。
【数2】 n :各ノズル孔 Qn :nノズルの窒素ガス流量 (Nm3/min) dn :nノズルのランスのノズル径 (m) un :nノズルのガス初速度(m/s) θn :ノズル傾角 W :溶鋼重量(t) x :浴面からのランス高さ(m)
【0022】 R=L/L0 ---(2) ここで、 L0 :鋼浴深さ(mm)(L0 については図7参照のこ
と) L =Ln ・exp(−0.78h/Ln )(mm) Ln =63.0(F/n・d)2/3 であり、h=0の時のL
値 F:ガス流量(Nm3/h) h:ランス高さ(mm) n:ノズル孔数 d:ノズル孔径(mm)
【0023】上記の吹き付けに際しては、上吹きガスと
して吹き付ける不活性ガス量は、底吹き精錬ガス(酸素
ガスと不活性ガスとの混合ガス又は不活性ガス)量の
0.7倍以上とすることが好ましい。というのは、かか
る条件で吹き付けを行えば、次式の反応が (Cr23 )+3〔C〕=2〔Cr〕+3CO よりスムーズに進行して、Cr23 のより一層の還元
ひいては温度降下が期待できるからである。
【0024】表1に示す条件で、上吹きガスとして窒素
ガス、また底吹きガスとして(酸素+窒素)ガスを使用
し、鋼中C濃度が0.15〜0.01%程度となるまで
脱炭精錬した場合における、上吹きガス流量比とCr酸
化量及び〔%C〕=0.01脱炭する間の温度変化量と
の関係について調べた結果を、図8,図9にそれぞれ示
す。
【0025】
【表1】
【0026】図8,図9から明らかなように、上吹きガ
ス流量比を0.7倍以上とすれば、Cr酸化ロスが減少
するだけでなく、溶鋼温度の効果的な低減も達成されて
いる。なお、このような溶鋼表面強攪拌吹き付け処理
は、上記したような初期脱炭精錬に引き続く後期脱炭精
錬としても、またかかる後期脱炭精錬終了後、還元剤に
より鋼中の有価金属を回収しない未還元法または軽還元
法において、スラグの全部または一部を残留させてスラ
グのリサイクル使用を行う場合にも、好適に使用するこ
とができる。
【0027】
【実施例】
実施例1 図1に、本発明の実施に用いて好適な脱炭炉を模式で示
す。実験は5tの試験炉を用いて行った。実験条件を表
2に示す。表2の実施例1の実験条件における、脱炭精
錬初期における添加コークス量と脱炭精錬開始から〔%
C〕=1に到達するまでのCr酸化ロス量との関係を図
2に示す。添加したコークス量の増加に伴い、Cr酸化
ロス量が少なくなっていることが判る。
【0028】
【表2】
【0029】また図3には、同じ実験条件における、脱
炭精錬初期における添加コークス量と〔%C〕=1にお
ける溶鋼温度との関係を示す。添加コークス量の増加に
伴い、〔%C〕=1までの炭素酸化反応量が増加し、溶
鋼温度が高くなっている。従って、この温度が適正温
度、たとえば1680〜1720℃になるように、操業
条件に応じて添加炭素源の添加量を決定すればよい。
【0030】以上、初期のCrロス低減および〔%C〕
=1における溶鋼温度上昇により、吹錬前半において脱
炭効率が上昇し、Cr酸化ロスが低減された。その結
果、吹き止め後の還元用のSi原単位が低減し、精錬コ
ストを削減できることになる。図4はこの例を示すもの
で、上記図1に示した5トン実験炉における吹き止め炭
素濃度と還元用Si原単位(スラグ中のCr23
0.2%以下となるまで還元するのに必要な量)の関係を
示したものである。
【0031】実施例2 実施例2-1では、コークスを初期に10〜40kg/t
投入するのに対して従来法では投入量は0である。実施
例の方が従来法に比べて〔%C〕=1における温度が高
い。また投入コークス量を増加するに伴って温度が高く
なる。ここで吹錬開始温度は1250〜1300℃でそ
ろっている。
【0032】実施例2-2は、コークスの投入量を30k
g/tに統一し、3回に分けて投入したものである。結
果を実施例2-1と共に表3示す。コークス投入以外の条
件は実施例2-1と同様である。実施例2-2のように、同
じコークス量を投入する場合でも、複数回に分けて投入
する方が〔%C〕=1までの昇温にとって有利である。
これは吹錬中、一括してコークスを投入するのに対し
て、複数回に分けて投入する方が投入の際の温度変化が
少ないためである。
【0033】
【表3】
【0034】実施例3 吹錬開始から〔%C〕=1までの上吹きランス高さLH
を 2.5, 3.0, 3.5 mと変化させた。他の条件は実施例
1と同様である。この時コークス投入量は20kg/t
一定とした。結果を表4に示す。表4よりランス高さL
Hを上昇させ、2次燃焼率を向上させることにより昇熱
係数が大きくなり〔%C〕=1における温度が上昇する
ことが明らかである。なお、表4中の2次燃焼率とは、
排ガス中における見掛けの %CO2 /(%CO + %CO2)
比率のことである。
【0035】しかし、このように2次燃焼を促進させた
場合には、脱炭速度が遅くなるので、溶鋼温度および
〔%C〕に応じて、2次燃焼促進を実施するタイミング
を決定する必要がある。具体的には脱炭反応が活発に進
行する時期に行うことが好ましい。
【0036】
【表4】
【0037】実施例4 実施例1,2のうち吹錬開始から〔%C〕=1までの昇
温が良い条件として、コークス40kg/t、ランス高
さLH=3.5mで実験を行った。条件を表5に示す。
この例では、〔%C〕=0.25目標で測温サンプリン
グをし、その時点の溶鋼温度を測定すると共に、吹止
〔%C〕=0.1で再び測温サンプリングを行った。そ
してその間の溶鋼温度変化及びCrロス量を調べた。上
記の2点のサンプリング間の〔%C〕及び溶鋼温度の変
化を図10に示す。溶鋼温度変化は上吹き窒素を実施し
ている間、それぞれ dT/dt=0〜5℃/min (比較例) dT/dt=−3℃/min (実施例) であった。また同時にこの間のCrロス量を調査したと
ころ表6のようになった。但し、〔%C〕=0.1〜
0.3の領域で変化しているものに限る。上吹窒素実施
時間は10〜15分で統一した。表6から明らかなよう
に、この発明法ではCrロス量の低減と共に、溶鋼温度
の降下が見られた。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】実施例5 実験は160ton上底吹き転炉で行った。実験条件を
表7に示す。脱炭精錬後のスラグのリサイクル方法は、
一旦スラグ専用容器に排出してからリサイクルする方法
(比較例)と炉内にそのまま残留させる本発明法との2
種類について行った。2つの方法を図11に比較して示
す(水準A,B)。また、水準Bの中で昇熱用のコーク
スを使用する水準2と使用しない水準1を行った。結果
を表8に示す。同表から明らかなように、水準Aに比べ
て水準Bの方が処理開始の温度が高い。又、水準1に比
べコークスを使用した水準2の方が還元率が向上してい
る。また、スラグリサイクを行わない場合(水準C)に
も〔%C〕=1の時点における温度が高いほどCr酸化
が少ないこと判る。
【0041】
【表7】
【0042】
【表8】
【0043】図12には、各水準の鋼浴温度(〔%C〕
=1における)とスラグ中残留クロム濃度との関係につ
いて調べた結果を示す。同図に示したように、〔%C〕
=1において、1650℃以上に昇温することによりス
ラグ中のクロムをほぼ還元することができた。
【0044】次に実験2として、脱炭末期に上吹きによ
り不活性ガスを吹き付けた。この実験の条件を表9に、
またその結果を表10に示す。上吹きにより不活性ガス
をより高流量吹き付けることにより、特に底吹きガスの
0.7倍以上のガス量を吹き付けることにより、効果的
にCr酸化量の低減および溶鋼の温度降下が達成されて
いる。
【0045】
【表9】
【0046】
【表10】
【0047】
【発明の効果】かくして本発明によれば、脱炭精錬初期
に炭素源を溶湯に対して過飽和となるように添加し、脱
炭精錬初期にCr酸化により生じたスラグ中Cr23
をCによって還元することにより、Cr酸化ロスを効果
的に低減することができる。また、所定の炭素濃度まで
の脱炭量増加により溶鋼の温度上昇が可能となった。こ
の2点により含Cr溶鋼の脱炭精錬におけるCr酸化ロ
スが減少した。さらに、上記の初期脱炭に引き続き、上
吹きガスとして不活性ガスのみを用いて溶鋼表面強攪拌
状態で吹き付けることにより、脱炭精錬後期におけるC
r酸化ロスの低減ならびに溶鋼温度の上昇の抑制も併せ
て実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱炭精錬を示す模式図(側面図)であ
る。
【図2】脱炭精錬初期における添加コークス量と脱炭精
錬開始から〔%C〕=1 に到達するでのCr酸化ロス量
の関係を示すグラフである。
【図3】脱炭精錬初期における添加コークス量と〔%
C〕=1における溶鋼温度との関係に示すグラフであ
る。
【図4】吹き止め炭素濃度と還元用Si原単位の関係を
示すグラフである。
【図5】従来の含Cr鋼の脱炭精錬初期の溶鋼温度推
移、溶鋼中の炭素濃度推移、溶鋼中のCr濃度推移を示
すグラフである。
【図6】実施例の含Cr鋼の脱炭精錬初期の溶鋼温度推
移、溶鋼中の炭素濃度推移、溶鋼中のCr濃度推移を示
すグラフである。
【図7】浴面の凹み深さの説明図である。
【図8】上吹きガス流量比とCr酸化量との関係を示す
グラフである。
【図9】上吹きガス流量比と〔%C〕=0.01脱炭す
る間の温度変化量との関係を示すグラフである。
【図10】脱炭精錬初期の溶鋼温度変化を示すグラフで
ある。
【図11】一旦スラグ専用容器に排出してからリサイク
ルする方法(a)と炉内にそのまま残留させる方法
(b)を比較して示す図である。
【図12】各水準の鋼浴温度(〔C〕=1における)と
スラグ中残留クロム濃度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 上吹きランス 2 スラグ 3 含Cr溶鋼 4 上底吹き転炉 11 溶鋼温度推移曲線 12 炭素濃度推移曲線 13 Cr濃度推移曲線
フロントページの続き (72)発明者 錦織 正規 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 西川 廣 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 鷲尾 勝 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 昭59−222518(JP,A) 特開 昭59−104420(JP,A) 特開 昭61−279608(JP,A) 特開 昭60−169510(JP,A) 特開 平4−329818(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 5/28 - 5/35 C21C 7/00,7/04 C21C 7/068,7/072

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含Cr溶鋼の脱炭精錬において、脱炭精
    錬初期に炭素源を脱炭炉内に添加して、脱炭精錬初期の
    Cr酸化ロスを低減することを特徴とする含Cr溶鋼の
    脱炭精錬方法。
  2. 【請求項2】 前記炭素源添加は、脱炭精錬開始から溶
    鋼温度が1500℃に至るまでの間、溶鋼中の炭素が少
    なくとも飽和濃度を維持するように添加することを特徴
    とする請求項1記載の含Cr溶鋼の脱炭精錬方法。
  3. 【請求項3】 前記炭素源添加は、時系列的投入である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の含Cr溶鋼の
    脱炭精錬方法。
  4. 【請求項4】 体積%で、精錬排ガス中のCO2 /(C
    O+CO2 )の比率を30%以上に保持することを特徴
    とする請求項1,2または3記載の含Cr溶鋼の脱炭精
    錬方法。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3または4記載の処理の
    後、引き続き上吹きガスとして不活性ガスのみを用いて
    溶鋼表面強攪拌状態で吹き付け、極低炭素領域まで脱炭
    すること特徴とする含Cr溶鋼の脱炭精錬方法。
  6. 【請求項6】 上吹きガスとしての不活性ガスの吹き付
    け量が底吹き精錬ガス量の0.7倍以上である請求項5
    記載の含Cr溶鋼の脱炭精錬方法。
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