JP3167467B2 - 炭素フィラーの製造方法 - Google Patents
炭素フィラーの製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素フィラーの改良さ
れた製造方法に関する。より詳細には、本発明は、メソ
フェーズ主体のピッチを原料ピッチとし、かつ繊維状に
予め成形した状態で液相ニトロ化したので、ニトロ化処
理が低温かつ短時間に効率良く行うことができる。
れた製造方法に関する。より詳細には、本発明は、メソ
フェーズ主体のピッチを原料ピッチとし、かつ繊維状に
予め成形した状態で液相ニトロ化したので、ニトロ化処
理が低温かつ短時間に効率良く行うことができる。
【0002】さらに、本発明の方法で生成した熱硬化性
のニトロ化ピッチは、熱反応性が高いので低エネルギー
で炭素化でき炭素化収率が向上し、また繊維状の形態を
保持しているので、そのままの形態で容易に炭素化する
ことができ、且つ電極用コークス代替材など各種の炭素
材の製造に有用な炭素フィラーが効率的に製造される。
なお、ここで言う炭素フィラーの形状としては、粉末
状、粒状、繊維状、すなわち短繊維状及び長繊維状も含
まれる。
のニトロ化ピッチは、熱反応性が高いので低エネルギー
で炭素化でき炭素化収率が向上し、また繊維状の形態を
保持しているので、そのままの形態で容易に炭素化する
ことができ、且つ電極用コークス代替材など各種の炭素
材の製造に有用な炭素フィラーが効率的に製造される。
なお、ここで言う炭素フィラーの形状としては、粉末
状、粒状、繊維状、すなわち短繊維状及び長繊維状も含
まれる。
【0003】
【従来の技術】従来、芳香族化合物を主体とするピッチ
を溶融状態でエアブローなどにより空気酸化して、炭素
化収率を高くする試みがなされているが、この方法によ
ると、ピッチと酸素が十分に接触しないため酸化反応の
進行が遅く、また不均質なピッチを生成し、良好な炭素
材を得難い問題がある。
を溶融状態でエアブローなどにより空気酸化して、炭素
化収率を高くする試みがなされているが、この方法によ
ると、ピッチと酸素が十分に接触しないため酸化反応の
進行が遅く、また不均質なピッチを生成し、良好な炭素
材を得難い問題がある。
【0004】また、ピッチを粉砕もしくは繊維状に成形
した後、空気酸化する方法も知られているが、高温で長
時間の反応を必要とする。芳香族化合物などを原料とし
て、ホルムアルデヒドなどの架橋剤と酸触媒の存在下で
酸化・重合させて、塗料、接着剤、粘着剤、注型材、シ
ール材などに適する、石油樹脂やフェノール樹脂などの
熱硬化性の樹脂を得ることがなされ、このような石油樹
脂やフェノール樹脂を炭素材料の製造原料として用いる
ことも考えられるが、メソフェーズピッチ原料と比べて
高い炭素化収率を得ることは本質的に困難である。
した後、空気酸化する方法も知られているが、高温で長
時間の反応を必要とする。芳香族化合物などを原料とし
て、ホルムアルデヒドなどの架橋剤と酸触媒の存在下で
酸化・重合させて、塗料、接着剤、粘着剤、注型材、シ
ール材などに適する、石油樹脂やフェノール樹脂などの
熱硬化性の樹脂を得ることがなされ、このような石油樹
脂やフェノール樹脂を炭素材料の製造原料として用いる
ことも考えられるが、メソフェーズピッチ原料と比べて
高い炭素化収率を得ることは本質的に困難である。
【0005】特開昭63−139080号公報、特開平
3−169339号公報には、メソフェーズまたはコー
クスを硝酸又は硝酸と硫酸との混酸で処理して、微多孔
性炭素材や膨張黒鉛材にできる炭素材用原料ピッチの製
造法が記載されているが、この場合には、メソフェーズ
またはコークスは粉末状などに限られ、繊維状で液相ニ
トロ化して炭素フィラーを得る方法は開示されていな
い。
3−169339号公報には、メソフェーズまたはコー
クスを硝酸又は硝酸と硫酸との混酸で処理して、微多孔
性炭素材や膨張黒鉛材にできる炭素材用原料ピッチの製
造法が記載されているが、この場合には、メソフェーズ
またはコークスは粉末状などに限られ、繊維状で液相ニ
トロ化して炭素フィラーを得る方法は開示されていな
い。
【0006】また、特公平2−27302号公報には、
繊維状ピッチを酸化処理して、炭素材用原料ピッチを製
造することが開示されているが、この場合に、酸化処理
は気相酸化に限られており、液相ニトロ化処理について
は示していない。
繊維状ピッチを酸化処理して、炭素材用原料ピッチを製
造することが開示されているが、この場合に、酸化処理
は気相酸化に限られており、液相ニトロ化処理について
は示していない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来法
の溶融ピッチの気相酸化によるピッチの製造法では、酸
化反応が遅いため、均質なピッチを得ることができな
い。また、酸化反応を速めるために反応温度を高くする
と、熱重合反応が起こりピッチの流動性が失われ、炭素
フィラーへの成形が困難になるため、炭素材としての利
用に限界があった。
の溶融ピッチの気相酸化によるピッチの製造法では、酸
化反応が遅いため、均質なピッチを得ることができな
い。また、酸化反応を速めるために反応温度を高くする
と、熱重合反応が起こりピッチの流動性が失われ、炭素
フィラーへの成形が困難になるため、炭素材としての利
用に限界があった。
【0008】メソフェーズピッチを粉末状または繊維状
にした状態で空気酸化する方法も考えられるが、高温で
長時間の反応を必要とする。また、炭素材用原料ピッチ
を得るために、メソフェーズまたはコークスを液相酸化
することも行われているが、液相酸化による酸化では不
均一なピッチとなり易く、均質な原料ピッチを得るため
には、長時間の処理を要し、経済性に問題がある。
にした状態で空気酸化する方法も考えられるが、高温で
長時間の反応を必要とする。また、炭素材用原料ピッチ
を得るために、メソフェーズまたはコークスを液相酸化
することも行われているが、液相酸化による酸化では不
均一なピッチとなり易く、均質な原料ピッチを得るため
には、長時間の処理を要し、経済性に問題がある。
【0009】本発明者らは、上記問題点を種々検討した
結果、メソフェーズピッチを主原料とし、該ピッチを予
め繊維状にして、酸触媒を含むニトロ化試薬を使用して
液相ニトロ化することにより、低い反応温度でも短時間
で充分に液相ニトロ化でき、その結果、得られたニトロ
化ピッチは、予期せずして熱反応性が高いので低エネル
ギーで炭素化でき炭素化収率が向上する。(ここで言う
熱反応性とは、低温で炭素化が速やかに進行する性質で
ある。)
結果、メソフェーズピッチを主原料とし、該ピッチを予
め繊維状にして、酸触媒を含むニトロ化試薬を使用して
液相ニトロ化することにより、低い反応温度でも短時間
で充分に液相ニトロ化でき、その結果、得られたニトロ
化ピッチは、予期せずして熱反応性が高いので低エネル
ギーで炭素化でき炭素化収率が向上する。(ここで言う
熱反応性とは、低温で炭素化が速やかに進行する性質で
ある。)
【0010】また、繊維状の形態を保持しているので、
そのままの形態で容易に炭素化することができ、電極用
コークス代替材などの炭素材の製造に有用な炭素フィラ
ーが効率的に製造される。
そのままの形態で容易に炭素化することができ、電極用
コークス代替材などの炭素材の製造に有用な炭素フィラ
ーが効率的に製造される。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は; メソフェーズピッチを主体とする原料ピッチを常法
に従って溶融紡糸して繊維状に成形し、その繊維状ピッ
チを酸触媒の存在下ニトロ化試薬でニトロ化することに
より熱硬化性のニトロ化ピッチに変換し、次いで炭素化
することを特徴とする炭素フィラーの製造方法であり、
また 繊維状ピッチの径を20μm以下に成形する点にも
特徴を有するし、 ニトロ化試薬が硝酸であり、かつ酸触媒が硫酸であ
る点にも特徴を有するし、
に従って溶融紡糸して繊維状に成形し、その繊維状ピッ
チを酸触媒の存在下ニトロ化試薬でニトロ化することに
より熱硬化性のニトロ化ピッチに変換し、次いで炭素化
することを特徴とする炭素フィラーの製造方法であり、
また 繊維状ピッチの径を20μm以下に成形する点にも
特徴を有するし、 ニトロ化試薬が硝酸であり、かつ酸触媒が硫酸であ
る点にも特徴を有するし、
【0012】 ニトロ化条件が室温乃至メソフェーズ
ピッチの軟化点までの反応温度で、15分〜5時間の反
応時間であり、かつ液相中でのニトロ化試薬及び酸触媒
の濃度がそれぞれ2〜10規定及び0.2〜1.0モル
/Lである点にも特徴を有する。
ピッチの軟化点までの反応温度で、15分〜5時間の反
応時間であり、かつ液相中でのニトロ化試薬及び酸触媒
の濃度がそれぞれ2〜10規定及び0.2〜1.0モル
/Lである点にも特徴を有する。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、炭素フィラーを製造するには、(イ)メソフェ
ースピッチを主体とする原料ピッチを原料とし、(ロ)
該ピッチを成形して比表面積の大きい繊維状にし、
(ハ)該繊維状ピッチを酸触媒の存在下ニトロ化試薬で
液相ニトロ化することにより、熱反応性の高い熱硬化性
のニトロ化ピッチに変換し、(ニ)該ニトロ化ピッチを
炭素化する必要がある。
おいて、炭素フィラーを製造するには、(イ)メソフェ
ースピッチを主体とする原料ピッチを原料とし、(ロ)
該ピッチを成形して比表面積の大きい繊維状にし、
(ハ)該繊維状ピッチを酸触媒の存在下ニトロ化試薬で
液相ニトロ化することにより、熱反応性の高い熱硬化性
のニトロ化ピッチに変換し、(ニ)該ニトロ化ピッチを
炭素化する必要がある。
【0014】従来、芳香族化合物を主体とするメソフェ
ーズピッチなどの石油又は石炭ピッチを溶融状態でエア
ブローなどにより空気酸化して、炭素化収率を高くする
試みがなされているが、この方法によると、ピッチと酸
素が十分に接触しないため酸化反応の進行が遅く、また
不均質なピッチを生成し、良好な炭素材を得難い問題が
ある。
ーズピッチなどの石油又は石炭ピッチを溶融状態でエア
ブローなどにより空気酸化して、炭素化収率を高くする
試みがなされているが、この方法によると、ピッチと酸
素が十分に接触しないため酸化反応の進行が遅く、また
不均質なピッチを生成し、良好な炭素材を得難い問題が
ある。
【0015】また、メソフェーズピッチなどを粉末状ま
たは繊維状にした状態で気相酸化する方法も考えられる
が、高温で且つ長時間の反応を必要とするため、経済性
に問題がある。
たは繊維状にした状態で気相酸化する方法も考えられる
が、高温で且つ長時間の反応を必要とするため、経済性
に問題がある。
【0016】さらに、従来の硫酸、硝酸などの酸化液で
の液相酸化では、通常の操作時間では均一に酸化するこ
とが困難であるのに対し、本発明では、ニトロ化試薬に
注目し、これに酸触媒を組み合わせた液相ニトロ化によ
り、低温で短時間での不融化反応が可能となり、ニトロ
化ピッチの高い熱反応性により低エネルギーで効率良く
炭素化することが可能となった。
の液相酸化では、通常の操作時間では均一に酸化するこ
とが困難であるのに対し、本発明では、ニトロ化試薬に
注目し、これに酸触媒を組み合わせた液相ニトロ化によ
り、低温で短時間での不融化反応が可能となり、ニトロ
化ピッチの高い熱反応性により低エネルギーで効率良く
炭素化することが可能となった。
【0017】A.ピッチ原料:本発明の方法に用いるメ
ソフェーズピッチを主体とする原料ピッチは、石油ピッ
チ、石炭ピッチ等から常法に従って濾過、精製、蒸留、
水添、接触分解などの処理工程を経て製造されるもので
あり、特に制限されないが、光学的異方性成分を約50
%以上含有するメソフェーズピッチが得られるように上
記処理工程のいずれかが適宜選択される。該原料ピッチ
の軟化点は特に制限されないが、一般に280℃〜35
0℃程度である。
ソフェーズピッチを主体とする原料ピッチは、石油ピッ
チ、石炭ピッチ等から常法に従って濾過、精製、蒸留、
水添、接触分解などの処理工程を経て製造されるもので
あり、特に制限されないが、光学的異方性成分を約50
%以上含有するメソフェーズピッチが得られるように上
記処理工程のいずれかが適宜選択される。該原料ピッチ
の軟化点は特に制限されないが、一般に280℃〜35
0℃程度である。
【0018】B.繊維状ピッチ;本発明に用いる繊維状
ピッチの成形法としては、メソフェーズピッチを主体と
する原料ピッチを繊維状に成形できるなら公知の成形法
を採用できる。
ピッチの成形法としては、メソフェーズピッチを主体と
する原料ピッチを繊維状に成形できるなら公知の成形法
を採用できる。
【0019】液相ニトロ化される繊維状メソフェーズピ
ッチとしては、繊維表面のニトロ化が十分に行われるた
めに、なるべく細径で比表面積が大きいものが望まし
く、繊維状メソフェーズピッチの径が20μm以下、好
ましくは16μm以下である。
ッチとしては、繊維表面のニトロ化が十分に行われるた
めに、なるべく細径で比表面積が大きいものが望まし
く、繊維状メソフェーズピッチの径が20μm以下、好
ましくは16μm以下である。
【0020】C.液相ニトロ化;繊維状メソフェーズピ
ッチの液相ニトロ化は、基本的に所定濃度の酸触媒とニ
トロ化試薬とを含む水溶液中で、比較的低温で液相ニト
ロ化させることが肝要である。さらに、液相ニトロ化
は、繊維メソフェーズピッチが不融化されて加熱しても
流動しなくなるまで行なう必要がある。
ッチの液相ニトロ化は、基本的に所定濃度の酸触媒とニ
トロ化試薬とを含む水溶液中で、比較的低温で液相ニト
ロ化させることが肝要である。さらに、液相ニトロ化
は、繊維メソフェーズピッチが不融化されて加熱しても
流動しなくなるまで行なう必要がある。
【0021】本発明に使用する酸触媒としては、液状の
酸触媒であれば特に制限されないが、例えば硫酸、塩
酸、燐酸などの無機強酸;パラトルエンスルホン酸など
の有機強酸;三フッ化ホウ素、塩化アルミニウムなどの
ルイス酸;炭酸、ホウ酸などの無機弱酸;酢酸、プロピ
オン酸、ラク酸などの有機弱酸などを挙げることができ
るが、ニトロ化反応に対する触媒能が高く、かつ水溶性
であるため硫酸の使用が好ましい。
酸触媒であれば特に制限されないが、例えば硫酸、塩
酸、燐酸などの無機強酸;パラトルエンスルホン酸など
の有機強酸;三フッ化ホウ素、塩化アルミニウムなどの
ルイス酸;炭酸、ホウ酸などの無機弱酸;酢酸、プロピ
オン酸、ラク酸などの有機弱酸などを挙げることができ
るが、ニトロ化反応に対する触媒能が高く、かつ水溶性
であるため硫酸の使用が好ましい。
【0022】本発明に使用するニトロ化試薬としては、
代表的には硝酸を挙げることができるが、他に硝酸ナト
リウム、硝酸カリウム等の硝酸塩や有機硝酸エステル、
亜硝酸なども使用できる。
代表的には硝酸を挙げることができるが、他に硝酸ナト
リウム、硝酸カリウム等の硝酸塩や有機硝酸エステル、
亜硝酸なども使用できる。
【0023】本発明の方法において、使用される酸触媒
とニトロ化試薬との使用量は、繊維状メソフェーズピッ
チの液相ニトロ化が酸触媒の接触作用により円滑に進行
するならば特に制限されないが、一般には、使用したメ
ソフェーズピッチの種類、繊維状メソフェーズピッチの
形状、径の大きさなどによりそれらの適用量は適宜変更
することができる。
とニトロ化試薬との使用量は、繊維状メソフェーズピッ
チの液相ニトロ化が酸触媒の接触作用により円滑に進行
するならば特に制限されないが、一般には、使用したメ
ソフェーズピッチの種類、繊維状メソフェーズピッチの
形状、径の大きさなどによりそれらの適用量は適宜変更
することができる。
【0024】例えば、液相中でのニトロ化試薬及び酸触
媒の濃度は、一般にそれぞれ2規定以上、好ましくは5
〜10規定及び0.2〜1.0モル/Lの範囲の値を採
用できる。ニトロ化試薬の適用濃度が2規定未満では、
充分なニトロ化反応を期待できない。また、10規定以
上では、不融化が過度となり、意味がない。
媒の濃度は、一般にそれぞれ2規定以上、好ましくは5
〜10規定及び0.2〜1.0モル/Lの範囲の値を採
用できる。ニトロ化試薬の適用濃度が2規定未満では、
充分なニトロ化反応を期待できない。また、10規定以
上では、不融化が過度となり、意味がない。
【0025】本発明の液相中でのニトロ化条件は、繊維
状メソフェーズピッチがその形状を保持する範囲で反応
することができるなら特に制限されないが、反応温度と
時間とは関数関係にあり、生産性を考慮してその範囲を
設定できるが、一般に室温乃至メソフェーズピッチの軟
化点迄の、好ましくは室温〜100℃程度の低い反応温
度で、且つ15分〜5時間、好ましくは15分〜1時間
程度の短い反応時間である。
状メソフェーズピッチがその形状を保持する範囲で反応
することができるなら特に制限されないが、反応温度と
時間とは関数関係にあり、生産性を考慮してその範囲を
設定できるが、一般に室温乃至メソフェーズピッチの軟
化点迄の、好ましくは室温〜100℃程度の低い反応温
度で、且つ15分〜5時間、好ましくは15分〜1時間
程度の短い反応時間である。
【0026】反応温度が繊維状メソフェーズピッチの軟
化点を越えると、繊維の形状を保持できず、所期の液相
ニトロ化を期待できない。本発明の液相ニトロ化に用い
る水溶液に、繊維状メソフェーズピッチとの濡れを良く
するために、すなわち、繊維状メソフェーズピッチが液
相ニトロ化に用いる水溶液上に浮かばないように、種々
のアルコール類、低沸点のシリコーン油、各種界面活性
剤やポリエチレングリコールなどの乳化剤を少量添加し
ても良い。
化点を越えると、繊維の形状を保持できず、所期の液相
ニトロ化を期待できない。本発明の液相ニトロ化に用い
る水溶液に、繊維状メソフェーズピッチとの濡れを良く
するために、すなわち、繊維状メソフェーズピッチが液
相ニトロ化に用いる水溶液上に浮かばないように、種々
のアルコール類、低沸点のシリコーン油、各種界面活性
剤やポリエチレングリコールなどの乳化剤を少量添加し
ても良い。
【0027】本発明の液相ニトロ化に用いる装置は、特
に形状を問わないが、メソフェーズピッチの成形に続い
て連続的に又は別個に行うことが出来る、通常のバッチ
式、流通式などを用いることができる。
に形状を問わないが、メソフェーズピッチの成形に続い
て連続的に又は別個に行うことが出来る、通常のバッチ
式、流通式などを用いることができる。
【0028】本発明の方法の液相ニトロ化によると、こ
の処理のみで充分に繊維状ピッチを液相ニトロ化でき、
熱硬化性のニトロ化ピッチに変換することができ、かつ
該熱硬化性のニトロ化ピッチは予期せずして熱反応性が
高いので、低エネルギーで炭素化でき、また、ニトロ化
によるピッチ成分中の低分子量成分の固定により炭素化
収率が向上する。
の処理のみで充分に繊維状ピッチを液相ニトロ化でき、
熱硬化性のニトロ化ピッチに変換することができ、かつ
該熱硬化性のニトロ化ピッチは予期せずして熱反応性が
高いので、低エネルギーで炭素化でき、また、ニトロ化
によるピッチ成分中の低分子量成分の固定により炭素化
収率が向上する。
【0029】また、本発明の方法によると、室温程度で
液相ニトロ化反応が可能であるので、均質な反応が容易
に実現できる。また、必要に応じて液相ニトロ化の後に
アルカリ洗浄処理を行って、熱硬化性で繊維状のニトロ
化ピッチ表面に官能基を導入することができる。本発明
の方法によると、液相反応にも係わらず、酸触媒の存在
により、ニトロ化収率の向上を期待できる。
液相ニトロ化反応が可能であるので、均質な反応が容易
に実現できる。また、必要に応じて液相ニトロ化の後に
アルカリ洗浄処理を行って、熱硬化性で繊維状のニトロ
化ピッチ表面に官能基を導入することができる。本発明
の方法によると、液相反応にも係わらず、酸触媒の存在
により、ニトロ化収率の向上を期待できる。
【0030】D.炭素化;本発明の熱硬化性で繊維状の
ニトロ化ピッチは、そのままの形態で通常窒素ガスやア
ルゴンガスなどの不活性ガス下で、5〜100℃/分の
昇温速度で熱処理され炭素化されて炭素フィラーとな
る。
ニトロ化ピッチは、そのままの形態で通常窒素ガスやア
ルゴンガスなどの不活性ガス下で、5〜100℃/分の
昇温速度で熱処理され炭素化されて炭素フィラーとな
る。
【0031】炭素化温度は、特に限定されないが、炭素
材料の用途に応じて任意に選定される。 該熱処理は7
00〜1000℃と言う低温でも可能である。さらに、
炭素化された繊維状の炭素フィラーは、粉砕又は造粒を
行なうことで粉末状又は粒状とすることが容易である。
材料の用途に応じて任意に選定される。 該熱処理は7
00〜1000℃と言う低温でも可能である。さらに、
炭素化された繊維状の炭素フィラーは、粉砕又は造粒を
行なうことで粉末状又は粒状とすることが容易である。
【0032】
【作用】炭素材用原料ピッチを得るために、メソフェー
ズまたはコークスを液相酸化することも行われている
が、液相による酸化では不均一なピッチとなり易く、均
質な原料ピッチを得るためには、長時間の処理を要し、
経済性に問題がある。
ズまたはコークスを液相酸化することも行われている
が、液相による酸化では不均一なピッチとなり易く、均
質な原料ピッチを得るためには、長時間の処理を要し、
経済性に問題がある。
【0033】メソフェーズピッチを粉末状または繊維状
にした状態で気相酸化する方法も考えられるが、高温で
長時間の反応を必要とするため、経済性に問題がある。
にした状態で気相酸化する方法も考えられるが、高温で
長時間の反応を必要とするため、経済性に問題がある。
【0034】ところが、本発明では、酸触媒を含むニト
ロ化試薬を使用した液相ニトロ化の採用により、メソフ
ェーズピッチを予め繊維状にしたので、低温で且つ短時
間での液相ニトロ化が可能となり、且つ反応効率も向上
し、その結果、得られたニトロ化ピッチは、予期せずし
て熱反応性が高いので低エネルギーで炭素化でき、高炭
素化収率で炭素フィラーが得られる。
ロ化試薬を使用した液相ニトロ化の採用により、メソフ
ェーズピッチを予め繊維状にしたので、低温で且つ短時
間での液相ニトロ化が可能となり、且つ反応効率も向上
し、その結果、得られたニトロ化ピッチは、予期せずし
て熱反応性が高いので低エネルギーで炭素化でき、高炭
素化収率で炭素フィラーが得られる。
【0035】
【実施例】本発明は、以下の実施例により具体的に説明
されるが、これらは本発明の範囲を制限しない。 (実施例1)フローテスターで測定した軟化点が301
℃のメソフェーズの含有率100%のピッチを原料にし
て、溶融紡糸法により紡糸口金温度330℃で、巻取速
度170m/分で紡糸して、繊維径15μmの繊維状ピ
ッチを得た。次に、硝酸濃度8.0N、硫酸濃度0.5
モル/Lの水溶液200mlを入れた液相ニトロ化浴を
準備した。
されるが、これらは本発明の範囲を制限しない。 (実施例1)フローテスターで測定した軟化点が301
℃のメソフェーズの含有率100%のピッチを原料にし
て、溶融紡糸法により紡糸口金温度330℃で、巻取速
度170m/分で紡糸して、繊維径15μmの繊維状ピ
ッチを得た。次に、硝酸濃度8.0N、硫酸濃度0.5
モル/Lの水溶液200mlを入れた液相ニトロ化浴を
準備した。
【0036】該ニトロ化浴に室温で2gの上記繊維状ピ
ッチを1時間浸漬して、112.8重量%の反応収率で
繊維状のニトロ化ピッチを得た。このニトロ化ピッチを
取り出し、水洗乾燥した。該ニトロ化ピッチを窒素気流
中で10℃/分の昇温速度で800℃まで加熱した時、
対原糸95.8重量%の炭素化収率で炭素フィラーが得
られた。
ッチを1時間浸漬して、112.8重量%の反応収率で
繊維状のニトロ化ピッチを得た。このニトロ化ピッチを
取り出し、水洗乾燥した。該ニトロ化ピッチを窒素気流
中で10℃/分の昇温速度で800℃まで加熱した時、
対原糸95.8重量%の炭素化収率で炭素フィラーが得
られた。
【0037】(比較例1)実施例1と同様の処方で繊維
状ピッチを得た。次いで、液相ニトロ化を行うことな
く、空気中2℃/分の昇温速度で300℃まで加熱し、
空気酸化ピッチを得た。さらに、該酸化ピッチを窒素気
流中で10℃/分の昇温速度で800℃まで加熱した
時、対原糸85.0重量%の炭素化収率で、炭素フィラ
ーが得られた。
状ピッチを得た。次いで、液相ニトロ化を行うことな
く、空気中2℃/分の昇温速度で300℃まで加熱し、
空気酸化ピッチを得た。さらに、該酸化ピッチを窒素気
流中で10℃/分の昇温速度で800℃まで加熱した
時、対原糸85.0重量%の炭素化収率で、炭素フィラ
ーが得られた。
【0038】
【発明の効果】メソフェーズピッチを粉末状または繊維
状にした状態で気相酸化する方法では、高温で且つ長時
間の反応を必要とし、経済性に問題がある。また、炭素
材用原料ピッチを得るために、メソフェーズまたはコー
クスを液相酸化することも行われているが、液相による
酸化では不均一なピッチとなり易く、均質な原料ピッチ
を得るためには、長時間の処理を要し、経済性に問題が
ある。
状にした状態で気相酸化する方法では、高温で且つ長時
間の反応を必要とし、経済性に問題がある。また、炭素
材用原料ピッチを得るために、メソフェーズまたはコー
クスを液相酸化することも行われているが、液相による
酸化では不均一なピッチとなり易く、均質な原料ピッチ
を得るためには、長時間の処理を要し、経済性に問題が
ある。
【0039】ところが、本発明では、酸触媒を含むニト
ロ化試薬を使用した液相ニトロ化の採用により、メソフ
ェーズピッチを予め繊維状にしたので、低温で且つ短時
間での液相ニトロ化が可能となり、且つ反応効率も向上
し、その結果、得られたピッチは、予期せずして熱反応
性が高いので低エネルギーで炭素化でき、高炭素化収率
で炭素フィラーが得られる。
ロ化試薬を使用した液相ニトロ化の採用により、メソフ
ェーズピッチを予め繊維状にしたので、低温で且つ短時
間での液相ニトロ化が可能となり、且つ反応効率も向上
し、その結果、得られたピッチは、予期せずして熱反応
性が高いので低エネルギーで炭素化でき、高炭素化収率
で炭素フィラーが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−302217(JP,A) 特開 平5−230720(JP,A) 特開 昭63−139080(JP,A) 特開 昭63−139011(JP,A) 特開 平5−247728(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 31/02 101 C10C 3/02 D01F 9/14 511
Claims (4)
- 【請求項1】 メソフェーズピッチを主体とする原料ピ
ッチを常法に従って溶融紡糸して繊維状に成形し、その
繊維状ピッチを酸触媒の存在下ニトロ化試薬でニトロ化
することにより熱硬化性のニトロ化ピッチに変換し、次
いで炭素化することを特徴とする、炭素フィラーの製造
方法。 - 【請求項2】 繊維状ピッチの径を20μm以下に成形
することを特徴とする、請求項1記載の炭素フィラーの
製造方法。 - 【請求項3】 ニトロ化試薬が硝酸であり、かつ酸触媒
が硫酸であることを特徴とする、請求項1記載の炭素フ
ィラーの製造方法。 - 【請求項4】 ニトロ化条件が室温乃至メソフェーズピ
ッチの軟化点までの反応温度で、15分〜5時間の反応
時間であり、かつ液相中でのニトロ化試薬及び酸触媒の
濃度がそれぞれ2〜10規定及び0.2〜1.0モル/
Lであることを特徴とする、請求項1記載の炭素フィラ
ーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33128092A JP3167467B2 (ja) | 1992-02-18 | 1992-11-18 | 炭素フィラーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6090592 | 1992-02-18 | ||
JP4-60905 | 1992-02-18 | ||
JP33128092A JP3167467B2 (ja) | 1992-02-18 | 1992-11-18 | 炭素フィラーの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05294604A JPH05294604A (ja) | 1993-11-09 |
JP3167467B2 true JP3167467B2 (ja) | 2001-05-21 |
Family
ID=26401964
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33128092A Expired - Fee Related JP3167467B2 (ja) | 1992-02-18 | 1992-11-18 | 炭素フィラーの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3167467B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6332966B1 (en) | 1999-06-28 | 2001-12-25 | Unisia Jecs Corporation | Air/fuel ratio detecting arrangement |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114014659B (zh) * | 2021-11-05 | 2022-12-13 | 新疆农六师碳素有限公司 | 一种铝用炭素产品高端化新型材料及其制备方法 |
-
1992
- 1992-11-18 JP JP33128092A patent/JP3167467B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6332966B1 (en) | 1999-06-28 | 2001-12-25 | Unisia Jecs Corporation | Air/fuel ratio detecting arrangement |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05294604A (ja) | 1993-11-09 |
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Date | Code | Title | Description |
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