JP3166950B2 - モノp−ニトロベンジルマロネートの製造方法 - Google Patents

モノp−ニトロベンジルマロネートの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はモノp−ニトロベンジル
マロネートの製造方法に関する。モノp−ニトロベンジ
ルマロネートは、医薬の原料として、重要な中間体であ
る。
【0002】
【従来の技術】モノp−ニトロベンジルマロネートの工
業的な製造方法については文献に2−3載っているにす
ぎない。例えば、特開昭57−159761には、アセ
トニトリル中、メルドラム酸と、p−ニトロベンジルア
ルコールを反応させる方法、特開昭58ー208292
には、ジメチルホルムアミド中、マロン酸とp−ニトロ
ベンジルクロライドを反応させる方法が記述されている
が、原料が高価であったり、収率が低い等、工業的な方
法ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来の製造方法
では、煩雑な操作を必要とし、工業的に安価に製造でき
るものではないので、安価な製造方法が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】マロン酸とp−ニトロベ
ンジルアルコールを反応させ、モノp−ニトロベンジル
マロネートを製造するには、通常ベンゼン、トルエン、
キシレン等の溶剤を使用する。しかしその場合、反応中
マロン酸は、上記溶剤には溶けにくい。従ってジp−ニ
トロベンジルマロネートの生成量を少なくする目的でマ
ロン酸を過剰に加えても、系外に析出し反応に供せず目
的を達成できない。又、反応液を冷却すると、マロン酸
とモノp−ニトロベンジルマロネート、ジp−ニトロベ
ンジルマロネートが一緒に析出して、マロン酸を分離す
ることが出来ず、廃液負荷を多くし、経済的でなかっ
た。要するにp−ニトロベンジルアルコールに対して、
マロン酸の比率を大きくすると、ジp−ニトロベンジル
マロネートの生成が抑えられることが分かっていても、
マロン酸の回収ができなかったために、比率を大きくす
ることが出来なかったのである。このような、問題を回
避するために、種々の溶剤を検討したところ、驚くべき
ことに、反応媒体として、水を使用することにより、反
応系を均一に保つ事が出来、また、水に溶けているマロ
ン酸をリサイクルすることができる事が分かり、本発明
を完成した。すなわち、本発明は、マロン酸とモノp−
ニトロベンジルアルコールを反応させ、モノp−ニトロ
ベンジルマロネートを製造する方法において、反応媒体
が水であることを特徴とするp−ニトロベンジルマロネ
ートの製造方法である。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。 モノp−ニトロベンジルマロネートの合成:マロン酸/
p−ニトロベンジルアルコールのモル比は1.0−1
0.0、好ましくは、1.2−5.0、特に好ましくは
1.5−3.0である。比率10.0を越えると、仕込
効率が悪くなり、1.0未満だとジp−ニトロベンジル
マロネートの生成量が多くなり、収率が低下する。反応
温度は、30−150℃、好ましくは40−130℃、
更に好ましくは、60−120℃、特に好ましくは、7
0−115℃である。150℃を越えるとマロン酸の分
解が起こり収率低下、不純物のp−ニトロベンジルアセ
テートが生成する。30℃未満だと反応速度が遅く、経
済的でない。
【0006】反応媒体としては、水単独が望ましいが、
有機溶剤を併用しても良い。併用する有機溶剤として
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、
クメン、メシチレン、デュレン、テトラリン、ブチルベ
ンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチ
ルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、
ドデシルベンゼン、クロルベンゼン、o−ジクロルベン
ゼン等の芳香族化合物;シクロペンタン、メチルシクロ
ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エ
チルシクロヘキサン、p−メンタン、ビシクロヘキシ
ル、デカリン、等の脂環化合物;ヘキサン、2−メチル
ペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチル
ブタン、ヘプタン、オクタン、2,2,3−トリメチル
ペンタン、イソオクタン、ノナン、2,2,5−トリメ
チルヘキサン、デカン、ドデカン等の脂肪族化合物;ジ
クロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジ
クロルエタン、1,2−ジクロルエタン、1,1,1−
トリクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、
1,1,1,2−テトラクロルエタン、1,1,2,2
−テトラクロルエタン、ペンタクロルエタン、ヘキサク
ロルエタン等のハロゲン化炭化水素;ジプロピルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘ
キシルエーテル等のエーテル類を単独又は2種以上と混
合したものがあげられる。好ましくはダイポールモーメ
ントが、3.0−8.0デバイ、好ましくは、3.4−
6.0デバイ、更に好ましくは、3.5−5.0デバ
イ、特に好ましくは3.6−4.5デバイである化合物
を5%以上、好ましくは10%以上、更に好ましくは2
0%以上、特に好ましくは、30%以上含む溶剤が挙げ
られる。該化合物としては、o−ニトロトルエン(3.
66デバイ)、m−ニトロトルエン(4.17デバ
イ)、p−ニトロトルエン(4.44デバイ)、ニトロ
ベンゼン(4.22デバイ)等のニトロ化合物が挙げら
れる。
【0007】反応媒体としての水は出来るだけ、少ない
ほうが、転化率が高くなるので、マロン酸の反応温度で
の溶解度に相当する量が望ましい。マロン酸に対し、3
0−100%、好ましくは、37−60%、更に好まし
くは、40−50%、特に好ましくは、43−47%の
水が使用される。触媒は、無くても反応するが、p−ト
ルエンスルホン酸の1水和物、硫酸、塩酸が触媒とし
て、有効に使われる。特に、p−トルエンスルホン酸の
1水和物が好ましい。
【0008】モノp−ニトロベンジルマロネートの取り
出しと精製:反応後、冷却し、水単独で反応した場合
は、ダイポールモーメントが、3.0−8.0デバイの
化合物を加え又、水−有機溶剤系で反応した場合も、
3.0−8.0デバイの化合物を加えた方が、生成した
モノp−ニトロベンジルマロネートを有機溶剤の相へ、
移行させやすい。反応の転化率を高める目的で水を追い
出した場合は、反応後冷却し、水を加える。よく撹拌
し、後静置し、2相に分離させる。水相は、マロン酸を
含むため、次の反応に使用する。有機相は水を加え、塩
基性物質を少しづつ加え、モノp−ニトロベンジルマロ
ネートのアルカリ塩を有機溶剤より、水系に抽出する。
該有機溶剤の使用量は、生成p−ニトロベンジルマロネ
ートに対し100−5000重量%、好ましくは200
−3000重量%、更に好ましくは300−2000重
量%、特に好ましくは400−700重量%である。水
相中には、マロン酸以外に、反応中にマロン酸が分解し
て出来た酢酸が存在しているので、水相をトルエンなど
で抽出して、酢酸をトルエン相に移行させて、出来るだ
け、酢酸を除く処理を行っても良い。
【0009】塩基性物質としては、例えば炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリ
ウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ
るが、溶解度の観点より、炭酸カリウム、炭酸水素カリ
ウムが、特に好ましい。モノp−ニトロベンジルマロネ
ートアルカリ金属塩が、水中で、加水分解されやすく、
特にPHが高くなると、常温で、速やかに加水分解され
る。従って塩基性物質を、少しづつ、加えてPHが7.
5、好ましくは7.0、更に好ましくは、6.5、特に
好ましくは、5.8にする。モノp−ニトロベンジルマ
ロネートアルカリ金属塩の水溶液は、高い温度でも、加
水分解されやすいので、5−40℃、好ましくは、10
−30℃、特に好ましくは、15−25℃で抽出する。
抽出したモノp−ニトロベンジルマロネートアルカリ金
属塩の水溶液は、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン
等で洗浄しても良い。
【0010】モノp−ニトロベンジルマロネートをその
アルカリ金属塩より酸析するには、例えば硫酸水溶液、
塩酸水溶液を少しづつ加え、PHを3.0にし、その状
態で約0.5−1.0時間撹拌後、減圧濾過し、少量の
水でケーキを洗浄後、50−60℃で一夜乾燥する。
【0011】
【実施例】実施例によって本発明を具体的に説明する
が、本発明がこれらの実施例のみに限定されるものでな
い。 実施例1 撹拌器、温度計、冷却器を備えた200cc4口フラス
コに、マロン酸 20.8g、p−トルエンスルホン酸
1水和物 0.5g、水 9.3gを室温で加え、約1
時間かけて、80℃まで昇温し、80℃に保持しなが
ら、p−ニトロベンジルアルコール 15.3gを1時
間かけて加えた。その後2時間反応して、冷却、40℃
にて、ニトロベンゼン50cc加え、10分撹拌後、静
置。ニトロベンゼン相を分離し、残った水相に更にニト
ロベンゼン 50ccを加え、同様に、撹拌、静置し、
ニトロベンゼン相を分離し、それらニトロベンゼンを合
わせて、300ccビーカに移した。更に、水 150
ccを加え、PH測定用の電極を入れ、充分撹拌した。
温度は25℃だった。PHが5.8になるまで、炭酸カ
リウムを約1時間かけて加えた。使用した量は6.5g
だった。その後、30分撹拌し、PH 5.8を確認し
た。静置し、分離した上の水相をとり、約50ccのト
ルエンで洗浄後、20%硫酸をゆっくり、添加しPHを
3.0にした。約1時間撹拌後、減圧濾過した。フィル
ターケーキを少量の水で洗った。ケーキは50−60℃
で減圧乾燥した。得量 モノp−ニトロベンジルマロネ
ート 14.3g、収率60%対p−ニトロベンジルア
ルコール。融点 107−110℃。液体クロマトグラ
フィー純度99.5%。このものはCu−Kα線による
X線回折法における回折角(2θ)〔゜〕18.39,
19.87,20.13,22.0,23.8,24.
15,24.33,27.2,27.71,に強いピー
クを示した。
【0012】実施例2 撹拌器、温度計、冷却器を備えた200cc4口フラス
コに、p−ニトロベンジルアルコール 10.7g、マ
ロン酸 7.3g、p−トルエンスルホン酸1水和物
0.25g、実施例1で得られたマロン酸 13.5g
を含む水 22.7g、p−ニトロベンジルアルコール
4.6gを含むニトロベンゼン 105cc、を室温
で加え、約1時間かけて、80℃まで昇温し、80℃で
3時間保持した。反応物を40℃まで冷却し、2相に分
離したニトロベンゼン相を、300ccのビーカに移し
た。更に、水 150ccを加え、PH測定用の電極を
入れ、充分撹拌した。温度は25℃だった。PHが5.
8になるまで、炭酸カリウムを約1時間かけて加えた。
使用した量は6.5gだった。その後、30分撹拌し、
PH 5.8を確認した。静置し、分離した上の水相を
とり、約50ccのトルエンで洗浄後、20%硫酸をゆ
っくり、添加しPHを3.0にした。約1時間撹拌後、
減圧濾過した。フィルターケーキを少量の水で洗った。
ケーキは50−60℃で減圧乾燥した。得量 モノp−
ニトロベンジルマロネート 14.3g、収率60%対
p−ニトロベンジルアルコール。融点 107−110
℃。液体クロマトグラフィー純度99.5%。
【0013】実施例3 撹拌器、温度計、冷却器を備えた200cc4口フラス
コに、p−ニトロベンジルアルコール 10.7g、マ
ロン酸 7.3g、p−トルエンスルホン酸1水和物
0.25g、実施例1で得られたマロン酸 13.5g
を含む水 22.7g、p−ニトロベンジルアルコール
4.6gを含むニトロベンゼン 105cc、を室温
で加え、約2時間かけて、107℃まで昇温し、107
℃で30分保持後、ゆっくり反応フラスコを減圧にし
た。反応温度を107℃に保ちながら少しづつ、水、ニ
トロベンゼンを留去した。約1時間かけて、ニトロベン
ゼン50cc留去したところで、減圧を断ち、冷却し
た。反応物を40℃まで冷却し、水 10cc加え、撹
拌して、析出してきたマロン酸を溶解する。静置して2
相に分離したニトロベンゼン相を、300ccのビーカ
に移した。残りの水相にニトロベンゼン 50ccを加
え、撹拌、静置し、2相に分離したニトロベンゼン相を
上記と同様、同じ300ccのビーカに移した。更にそ
のビーカに、水150ccを加え、PH測定用の電極を
入れ、充分撹拌した。温度は25℃だった。PHが5.
8になるまで、炭酸カリウムを約1時間かけて加えた。
使用した量は8.0gだった。その後、30分撹拌し、
PH 5.8を確認した。静置し、分離した上の水相を
とり、約50ccのトルエンで洗浄後、20%硫酸をゆ
っくり、添加しPHを3.0にした。約1時間撹拌後、
減圧濾過した。フィルターケーキを少量の水で洗った。
ケーキは50−60℃で減圧乾燥した。得量 モノp−
ニトロベンジルマロネート 17.7g、収率74.3
%対p−ニトロベンジルアルコール。融点 107−1
10℃。液体クロマトグラフィー純度 99.5%
【0014】
【発明の効果】水を反応溶媒に使用することにより、反
応系が均一になり、再現性よく、高収率でモノp−ニト
ロベンジルマロネートを得る事が出来る。また、過剰の
マロン酸が反応液より分離できるので、廃水負荷が少な
く、経済的である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マロン酸とモノp−ニトロベンジルアルコ
    ールを反応させ、モノp−ニトロベンジルマロネートを
    製造する方法において、反応媒体が水であることを特徴
    とするp−ニトロベンジルマロネートの製造方法。
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