JP3165317B2 - 塩化ビニル樹脂用アクリルゴム系配合剤 - Google Patents

塩化ビニル樹脂用アクリルゴム系配合剤

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JP3165317B2
JP3165317B2 JP04911494A JP4911494A JP3165317B2 JP 3165317 B2 JP3165317 B2 JP 3165317B2 JP 04911494 A JP04911494 A JP 04911494A JP 4911494 A JP4911494 A JP 4911494A JP 3165317 B2 JP3165317 B2 JP 3165317B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル樹脂用アク
リルゴム系配合剤に関する。さらに詳しくは、塩化ビニ
ル樹脂に、すぐれた耐候性、すぐれた耐熱性、すぐれた
柔軟性を付与し、塩化ビニル樹脂の圧縮永久歪を小さく
させることができる塩化ビニル樹脂用アクリルゴム系配
合剤に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、塩化ビニル樹脂は、クリープ特
性がわるく、圧縮永久歪が大きいので、これらの性質を
改善するために、(1)アクリロニトリル−ブタジエン
ゴムを改質剤として塩化ビニル樹脂に配合する方法や、
(2)ジエン系単量体を0.5〜10重量%含有したモ
ノマー成分を重合してえられたアクリルゴムを改質剤と
して塩化ビニル樹脂に配合する方法が検討されている
(特開昭59−206450号公報)。
【0003】しかしながら、前記(1)の方法では、ク
リープ特性や圧縮永久歪がある程度改善されるとはいう
ものの、該塩化ビニル樹脂の耐候性および耐熱性を改善
させることができず、また前記(2)の方法では、前記
(1)の方法とは逆に耐候性および耐熱性が改善される
が、圧縮永久歪を改善させることができないという欠点
があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、塩化ビニル樹脂のクリ
ープ特性および圧縮永久歪を改善させると同時に、該塩
化ビニル樹脂の耐候性および耐熱性を改善させ、さらに
は常態伸びや常態引張り強さを向上させる配合剤を提供
することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
般式(I): CH 2 =CHCO[O(CH 2 k m OCOCH=CH 2 (I) (式中、kは2、3または4、mは1、2または4、k
とmの積は4、6または8を示す)で表わされる架橋性
モノマーまたは一般式(II): CH 2 =CHCOO(CH 2 n OCOCH=CH 2 (II) (式中、nは4〜8の整数を示す)で表わされる 架橋性
モノマー10〜40重量%を含有した共重合成分を重合
させてえられた、ガラス転移温度が−30℃以下のゴム
状ポリマーであるコアポリマーの外周に、前記一般式
(I)で表わされる架橋性モノマーまたは前記一般式
(II)で表わされる架橋性モノマー10〜40重量%
を含有した共重合成分を重合させてえられた、ガラス転
移温度が80℃以上のガラス状ポリマーであるシェルポ
リマーが形成されてなり、前記コアポリマーとシェルポ
リマーとの割合(コアポリマー/シェルポリマー:重量
比)が50/50〜95/5である塩化ビニル樹脂用ア
クリルゴム系配合剤に関する。
【0006】
【作用および実施例】本発明の塩化ビニル樹脂用アクリ
ルゴム系配合剤は、前記したように、一般式(I)で表
わされる架橋性モノマーまたは一般式(II)で表わさ
れる架橋性モノマー10〜40重量%を含有した共重合
成分を重合させてえられた、ガラス転移温度が−30℃
以下のゴム状ポリマーであるコアポリマーの外周に、前
記一般式(I)で表わされる架橋性モノマーまたは前記
一般式(II)で表わされる架橋性モノマー10〜40
重量%を含有した共重合成分を重合させてえられた、ガ
ラス転移温度が80℃以上のガラス状ポリマーである
ェルポリマーが形成されたものであり、該コアポリマー
とシェルポリマーとの割合(コアポリマー/シェルポリ
マー:重量比)が50/50〜95/5のものである。
【0007】本発明においては、コアポリマーに用いら
れる共重合成分(以下、共重合成分(A)という)およ
びシェルポリマーに用いられる共重合成分(以下、共重
合成分(B)という)には、それぞれ架橋性モノマーが
10〜40重量%含有される。
【0008】コアポリマーにおいて、共重合成分(A)
における架橋性モノマーの含有率は、10重量%未満で
あるばあいには、塩化ビニル樹脂の圧縮永久歪の改善効
果が小さくなり、また40重量%をこえるばあいには、
えられるコアポリマーに充分な延伸性が付与されなくな
って脆くなる。好ましい架橋性モノマーの含有率は、1
0〜25重量%である。
【0009】また、シェルポリマーにおいて、共重合成
分(B)における架橋性モノマーの含有率は、10重量
%未満であるばあいには、えられるシェルポリマーは、
一次粒子の融着により、粉体化が困難となったり、えら
れる配合剤を塩化ビニル樹脂に配合したときに分散不良
をおこすようになり、また40重量%をこえるばあいに
は、塩化ビニル樹脂の耐候性および耐熱性の改善効果が
小さくなる。好ましい架橋性モノマーの含有率は、20
〜30重量%である。
【0010】前記架橋性モノマーはジアクリレートなど
の二官能アクリレートであり、一般式(I): CH2=CHCO[O(CH2kmOCOCH=CH2 (I) (式中、kは2、3または4、mは1、2または4、k
とmの積は4、6または8を示す)で表わされる架橋性
モノマーまたは一般式(II): CH2=CHCOO(CH2nOCOCH=CH2 (II) (式中、nは4〜8の整数を示す)で表わされる架橋性
モノマーである。これらの架橋性モノマーが用いられる
ので、とくに柔軟性の改善効果が大きい。
【0011】前記一般式(I)で表わされる架橋性モノ
マーの具体例としては、たとえばジエチレングリコール
ジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジプロ
ピレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレング
リコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
アクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレー
トなどがあげられ、これらは、単独でまたは2種以上を
混合して用いることができる。
【0012】前記一般式(II)で表わされる架橋性モノ
マーの具体例としては、たとえばブチレングリコールジ
アクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、オク
タンジオールジアクリレートなどがあげられ、これら
は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができ
る。
【0013】前記二官能アクリレートのなかでは、ブチ
レングリコールジアクリレートは、反応性にすぐれ、し
かもえられるコアポリマーに柔軟性を与えるものである
ので、本発明においてはとくに好適に使用しうるもので
ある。
【0014】前記コアポリマーは、ゴム状弾性体であ
り、かかるコアポリマーに用いられる共重合成分として
は、前記架橋性モノマーのほか、アルキル基の炭素数が
1〜8のアルキルアクリレート、該アルキルアクリレー
トと共重合可能なモノマーなどがあげられる。
【0015】前記アルキル基の炭素数が1〜8のアルキ
ルアクリレートの具体例としては、たとえばメチルアク
リレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレ
ート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレートなどがあげら
れ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いるこ
とができる。これらのアルキルアクリレートのなかで
は、n−ブチルアクリレートは、えられるコアポリマー
のガラス転移温度を所望の値に容易に調整することがで
きるので、本発明においてはとくに好適に使用しうるも
のである。
【0016】前記コアポリマーを構成する共重合成分
(A)におけるアルキル基の炭素数が1〜8のアルキル
アクリレートの含有率は、あまりにも小さいばあいに
は、えられる配合剤が充分なゴム弾性を付与しなくなっ
て塩化ビニル樹脂の圧縮永久歪の改善効果が充分に付与
されなくなる傾向があるので、60重量%以上、なかん
づく75重量%以上であることが好ましく、またあまり
にも大きいばあいには、一次粒子の融着により、えられ
る配合剤の粉末化が困難となり、該配合剤の塩化ビニル
樹脂における分散性がわるくなる傾向があるので、90
重量%以下であることが好ましい。
【0017】前記アルキル基の炭素数が1〜8のアルキ
ルアクリレートと共重合可能なモノマーの代表例として
は、たとえばアリルアクリレート、アリルメタクリレー
トなどの不飽和カルボン酸アリルエステル、スチレン、
ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニ
ル、芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルなどのシアン化ビニル、シアン化ビニリデンな
どのビニルモノマーなどがあげられ、これらは単独でま
たは2種以上を混合して用いることができる。
【0018】前記コアポリマーを構成する共重合成分
(A)におけるアルキル基の炭素数が1〜8のアルキル
アクリレートと共重合可能なモノマーの含有率は、該モ
ノマーの種類によって異なるので一概には決定すること
ができないが、通常40重量%以下、なかんづく0.1
〜20重量%であることが好ましい。
【0019】なお、前記アルキル基の炭素数が1〜8の
アルキルアクリレートと共重合可能なモノマーのなかで
は、とくに不飽和カルボン酸アリルエステルは、シェル
ポリマーをグラフト重合によって形成させる作用を呈す
るものであるので、本発明においては好適に使用しうる
ものである。かかる不飽和カルボン酸アリルエステルを
用いるばあいには、前記コアポリマーを構成する共重合
成分(A)における含有率が5重量%以下、なかんづく
0.1〜2重量%であることが好ましい。
【0020】コアポリマーは、該コアポリマーを構成す
る共重合成分(A)を、たとえば乳化重合することによ
ってえられる。
【0021】前記コアポリマーのガラス転移温度が、塩
化ビニル樹脂の柔軟性を維持するために、−30℃以
下、なかんづく−60〜−40℃となるように、共重合
成分(A)を調整する。
【0022】前記シェルポリマーは、ガラス状ポリマー
であり、かかるシェルポリマーに用いられる共重合成分
(B)としては、前記架橋性モノマーのほか、アルキル
基の炭素数が1〜6のアルキルメタクリレート、該アル
キルメタクリレートと共重合可能なモノマーなどがあげ
られる。
【0023】前記アルキル基の炭素数が1〜6のアルキ
ルメタクリレートの具体例としては、たとえばメチルメ
タクリレート、エチルメタクリレート、ターシャリーブ
チルメタクリレート、セカンダリーブチルメタクリレー
ト、イソブチルメタクリレートなどがあげられ、これら
は単独でまたは2種以上を混合して用いることができ
る。これらのアルキルメタクリレートのなかでは、メチ
ルメタクリレートは、配合される塩化ビニル樹脂との親
和性にすぐれ、しかも引張強さ、伸びなどの物性を向上
させる性質を有するものであるので、本発明においては
とくに好適に使用しうるものである。
【0024】前記シェルポリマーを構成する共重合成分
(B)におけるアルキル基の炭素数が1〜6のアルキル
メタクリレートの含有率は、あまりにも小さいばあいに
は、耐熱性および耐候性が損われる傾向があるので、6
0重量%以上、なかんづく70重量%以上であることが
好ましく、またあまりにも大きいばあいには、架橋性モ
ノマーの含有率が小さくなり、一次粒子の融着をひきお
こし、塩化ビニル樹脂への分散性が阻害される傾向があ
るので、90重量%以下、なかんづく80重量%以下で
あることが好ましい。
【0025】前記アルキル基の炭素数が1〜6のアルキ
ルメタクリレートと共重合可能なモノマーの代表例とし
ては、たとえばスチレン、ビニルトルエン、α−メチル
スチレンなどの芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、アク
リロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニ
ル、シアン化ビニリデンなどのビニルモノマーなどがあ
げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用い
ることができる。
【0026】前記シェルポリマーを構成する共重合成分
(B)におけるアルキル基の炭素数が1〜6のアルキル
メタクリレートと共重合可能なモノマーの含有率は、該
モノマーの種類によって異なるので一概には決定するこ
とができないが、通常40重量%以下、なかんづく0.
1〜10重量%であることが好ましい。
【0027】シェルポリマーは、該シェルポリマーを構
成する共重合成分(B)を、たとえば乳化重合すること
によってえられる。
【0028】前記シェルポリマーのガラス転移温度が、
塩化ビニル樹脂における配合剤の分散性を向上させるた
めに、80℃以上、なかんづく90〜120℃となるよ
うに、共重合成分(B)を調整する。
【0029】本発明においては、前記共重合成分(A)
をまず通常の乳化重合法によって重合させてコアポリマ
ーをえたのち、えられた重合体に前記共重合成分(B)
を重合せしめることにより、アクリルゴム系配合剤がえ
られる。
【0030】重合の方法にはとくに限定がなく、通常の
方法、たとえば乳化重合法などの方法で行なってもよ
い。また、重合の際には、共重合成分(B)の追加方法
にもとくに限定がなく、多段階添加法であっても一括添
加法であってもよい。
【0031】かくしてえられる重合体ラテックスは、通
常100〜500nmの重量平均粒子径を有するもので
あり、かかるラテックスを凍結融解、塩折などにより、
重合体を分離し、水洗、脱水したのち、バンドドライヤ
ーや流動乾燥器などを用いて乾燥させることにより、通
常、平均粒子径が1〜3mm程度の重合体の凝集体とし
て、本発明のアクリルゴム系配合剤がえられる。塩化ビ
ニル樹脂との混練時の分散状態を良好にするためには、
乾燥時の温度は、通常70〜100℃程度であることが
好ましいが、本発明はかかる温度によって制限を受ける
ものではなく、分散状態に悪影響を及ぼさなければなけ
れば、他の温度範囲であってもよい。
【0032】なお、コアポリマーとシェルポリマーとの
割合(コアポリマー/シェルポリマー:重量比)は、あ
まりにも小さいばあいには、えられる配合剤が充分なゴ
ム弾性を有しなくなり、塩化ビニル樹脂の圧縮永久歪が
大きくなり、またあまりにも大きいばあいには、えられ
る配合剤が塊状化し、粉末状にならなくなるの、5
/50〜95/5、なかんづく70/30〜85/15
である。
【0033】かくしてえられた本発明のアクリルゴム系
配合剤は、通常塩化ビニル樹脂100重量部に対して1
0〜80重量部の割合で配合される。かかるアクリルゴ
ム系配合剤の配合量が10重量部よりも少ないばあいに
は、耐熱性、耐候性に劣り、また圧縮永久歪が大きくな
る傾向があり、また80重量部をこえるばあいには、塩
化ビニル樹脂に充分な延伸性が付与されなくなる傾向が
ある。
【0034】前記塩化ビニル樹脂にはとくに限定がな
く、かかる塩化ビニル樹脂としては、たとえば塩化ビニ
ル単独重合体、塩化ビニルの含有率が70重量%以上の
塩化ビニル系共重合体、塩素化塩化ビニル樹脂などがあ
げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるもの
ではない。
【0035】前記配合剤を塩化ビニル樹脂に配合するこ
とにより、かかる塩化ビニル樹脂の耐候性、耐熱性、柔
軟性、圧縮永久歪などが改善される。かかる配合剤を塩
化ビニル樹脂に配合してえられる塩化ビニル樹脂組成物
は、たとえば射出成形法、押出成形法、ブロー成形法な
どの方法により、所望の形状を有する成形品に成形させ
ることができる。
【0036】つぎに、本発明の塩化ビニル樹脂用アクリ
ルゴム系配合剤を実施例にもとづいてさらに詳細に説明
するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるもので
はない。
【0037】実施例1 2リットル容のビーカーにアニオン性乳化剤としてジオ
クチルスルホサクシネートナトリウム塩(以下、SSS
という)5.0gおよび脱イオン水1250gを入れ、
SSSを溶解させたのち、n−ブチルアクリレート(以
下、BAという)271.36g、アリルメタクリレー
ト(以下、AlMAという)0.64gおよび1,4−
ブチレングリコールジアクリレート(以下、BGAとい
う)48gを添加し、小型ホモミキサーを用いて乳化さ
せた。えられた乳化液を1段目乳化液とする。
【0038】つぎに、2リットル容の還流冷却管つき重
合容器内に、えられた1段目乳化液全量を仕込み、チッ
素気流下で70℃まで昇温させた。これに重合開始剤と
して過硫酸アンモニウム(以下、APSという)の10
%水溶液10gを添加し、コア部の重合を開始させた。
【0039】重合開始後、重合容器内の温度は、初期温
度の70℃から重合の進行に伴い、80℃まで上昇し
た。
【0040】80℃まで上昇したのちは、冷却操作を行
ない、系内の温度を80〜82℃に維持し、温度の上昇
が止まった時点を重合反応終了時とし、温度を80℃に
保ち、60分間熟成させた。
【0041】つぎに、温度を80℃にした状態で、メチ
ルメタクリレート(以下、MMAという)17gおよび
BGA3.0gの混合液を30分間かけて滴下し、滴下
終了後、90℃で120分間熟成させたのち、室温に冷
却した。
【0042】えられた反応液を300メッシュのステン
レス鋼製の金網で濾過し、固形分量21.5重量%、重
量平均粒子径226nmのコア・シェルポリマーラテッ
クスをえた。
【0043】えられたコア・シェルポリマーラテックス
を−15℃にて凍結させ、室温まで融解させ、ついで8
0℃で6時間送風乾燥させてアクリルゴム系配合剤をえ
た。
【0044】つぎに、塩化ビニル樹脂(平均重合度13
00)100重量部に対して、えられた配合剤40重量
部、可塑剤としてジオクチルフタレート80重量部およ
び安定化剤としてラウリル酸バリウムとラウリル酸亜鉛
の混合物4重量部を容器内で混合し、これを140℃の
加熱ミキシングロールで混練して塩化ビニル樹脂組成物
をえた。
【0045】えられた塩化ビニル樹脂組成物の物性とし
て、常態伸び、常態引張り強さ、圧縮永久歪、耐熱性伸
び変化率および耐候性を以下の方法にしたがって調べ
た。その結果を表2に示す。
【0046】(イ)常態伸び JIS K−6251にもとづいて20℃で伸びを測定
した。
【0047】(ロ)常態引張り強さ JIS K−6251にもとづいて20℃で引張り強さ
を測定した。
【0048】(ハ)圧縮永久歪 JIS K−6262にもとづいて70℃で24時間2
5%圧縮したのち測定した。
【0049】(ニ)耐熱性伸び変化率 JIS K−6257にもとづいて100℃で72時間
加熱したのちの伸びの変化率を測定した。
【0050】(ホ)耐候性 サンシャインウェザオメーターで63℃の温度で100
0時間耐候性試験を行ない、塩化ビニル樹脂組成物の変
色および硬化劣化の有無を目視で観察し、以下の評価基
準にもとづいて評価した。
【0051】(評価基準) A:塩化ビニル樹脂組成物の変色および硬化劣化が認め
られない。 B:塩化ビニル樹脂組成物の変色または硬化劣化がわず
かに認められる。 C:塩化ビニル樹脂組成物の変色または硬化劣化がやや
認められる。 D:塩化ビニル樹脂組成物の変色または硬化劣化が明ら
かに認められる。
【0052】実施例2〜3および比較例1〜5 実施例1において、モノマー組成を表1に示すように変
更したほかは、実施例1と同様にしてアクリルゴム系配
合剤をえた。
【0053】えられた配合剤を用いて実施例1と同様に
して、塩化ビニル樹脂組成物を調製したのち、その物性
を測定した。その結果を表2に示す。
【0054】比較例6 2リットル容のビーカーにアニオン性乳化剤としてSS
S5.0gおよび脱イオン水1250gを入れ、SSS
を溶解させたのち、BA271.36g、MMA17
g、AlMA0.64gおよびBGA51gを添加し、
小型ホモミキサーを用いて乳化させた。
【0055】つぎに、2リットル容の還流冷却管つき重
合容器内に、えられた乳化液全量を仕込み、チッ素気流
下で70℃まで昇温させた。これに重合開始剤としてA
PSの10%水溶液10gを添加し、重合を開始させ
た。
【0056】重合開始後、重合容器内の温度は、初期温
度70℃から重合の進行に伴い、80℃まで上昇した。
【0057】80℃まで上昇したのちは、冷却操作を行
ない、系内の温度を80〜82℃に維持し、温度の上昇
が止まった時点を重合反応終了時とし、温度を90℃に
上げて120分間熟成させた。
【0058】えられた反応液を300メッシュのステン
レス鋼製の金網で濾過し、固形分量21.1重量%、重
量平均粒子径218nmのポリマーラテックスをえた。
【0059】えられたポリマーラテックスを−15℃に
て凍結させ、室温まで融解させ、ついで80℃で6時間
送風乾燥させて配合剤をえた。
【0060】えられた配合剤を用いて実施例1と同様に
して、塩化ビニル樹脂組成物を調製したのち、その物性
を測定した。その結果を表2に示す。
【0061】比較例7 実施例1において、配合剤としてアクリロニトリル−ブ
タジエンゴム(日本合成ゴム(株)製、N230S)を
用い、塩化ビニル樹脂100重量部に対してアクリロニ
トリル−ブタジエンゴム40重量部を配合したほかは、
実施例1と同様にして塩化ビニル樹脂組成物をえた。
【0062】えられた塩化ビニル樹脂組成物の物性を実
施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
【0063】比較例8 対照のため、配合剤を配合していない塩化ビニル樹脂
(平均重合度1300)のみを用いたばあいの物性を実
施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0064】なお、表1中、モノマーの各略号は、以下
のことを意味する。
【0065】BA:n−ブチルアクリレート AlMA:アリルメタクリレート BGA:1,4−ブチレングリコールジアクリレート TEGA:トリエチレングリコールジアクリレート PEGM:ポリエチレングリコールジメタクリレート DVB:ジビニルベンゼン EGA:エチレングリコールジアクリレート MMA:メチルメタクリレート
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】表2に示された結果から、実施例1〜3で
えられたアクリルゴム系配合剤は、耐候性にすぐれ、常
態伸びおよび常態引張り強さが大きく、圧縮永久歪およ
び耐熱性伸び変化率が小さいものであることがわかる。
【0069】
【発明の効果】本発明のアクリルゴム系配合剤は、塩化
ビニル樹脂の圧縮永久歪を改善させると同時に、該塩化
ビニル樹脂の耐候性および耐熱性を改善させ、さらに常
態伸びや常態引張り強さを向上させるという効果を奏す
る。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 220/40 C08L 27/06 C08L 33/06 C08L 51/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): CH 2 =CHCO[O(CH 2 k m OCOCH=CH 2 (I) (式中、kは2、3または4、mは1、2または4、k
    とmの積は4、6または8を示す)で表わされる架橋性
    モノマーまたは一般式(II): CH 2 =CHCOO(CH 2 n OCOCH=CH 2 (II) (式中、nは4〜8の整数を示す)で表わされる 架橋性
    モノマー10〜40重量%を含有した共重合成分を重合
    させてえられた、ガラス転移温度が−30℃以下のゴム
    状ポリマーであるコアポリマーの外周に、 前記一般式(I)で表わされる架橋性モノマーまたは前
    記一般式(II)で表わされる架橋性モノマー10〜4
    0重量%を含有した共重合成分を重合させてえられた、
    ガラス転移温度が80℃以上のガラス状ポリマーである
    シェルポリマーが形成されてなり、 前記コアポリマーとシェルポリマーとの割合(コアポリ
    マー/シェルポリマー:重量比)が50/50〜95/
    5であ る塩化ビニル樹脂用アクリルゴム系配合剤。
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