JP3164893B2 - 水晶振動子とその製造方法 - Google Patents

水晶振動子とその製造方法

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JP3164893B2
JP3164893B2 JP17660592A JP17660592A JP3164893B2 JP 3164893 B2 JP3164893 B2 JP 3164893B2 JP 17660592 A JP17660592 A JP 17660592A JP 17660592 A JP17660592 A JP 17660592A JP 3164893 B2 JP3164893 B2 JP 3164893B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水晶振動子およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水晶振動子は、その高い安定性により、
情報通信に欠かせない重要なデバイスとして用いられて
いる。近年衛星通信や携帯電話などの発達にともない、
各デバイスの小型化、高性能化が一つの大きな目標とさ
れているが、水晶振動子も例外ではない。
【0003】水晶振動子には、厳しい周波数安定性が要
求される。水晶振動子の周波数は、振動用水晶板に応力
が加わることによって変化するので、前記振動用水晶板
に加わる応力を軽減する工夫が様々なされている。
【0004】図5に、従来の水晶振動子の構造の一例を
示す。図5において、51は振動用水晶板、52は金属
保持部、53は励起電極、54はケース、55は導電性
接着剤である。振動用水晶板51は、その熱膨張率の差
に起因する応力が加わりにくい様に弾性的な構造を持つ
金属保持部52に導電性接着剤55で固定されている。
【0005】しかしながら、金属保持部52や、導電性
接着剤55などと振動用水晶板51との熱膨張率の差に
起因する応力が振動用水晶板51に加わることを避けら
れないため、温度に対する周波数安定性は十分でなかっ
た。
【0006】導電性接着剤55を用いることによる問題
も生じる。まず振動用水晶板51の振動をできるだけ阻
害しない様に接着面積を小さくしているために、機械的
に強度が十分でない。また耐熱性が十分でない為、この
構造の水晶振動子を基板に半田付けするような場合の条
件が非常に厳しくなる。更に硬化の際に放出される気体
が封止後にも放出され、振動特性の劣化の原因となると
いう様に多くの問題があった。
【0007】また、振動用水晶板51と、ケース54と
の間の位置関係は、導電性接着剤55によって金属保持
部に52固定することにより個々に大きく変化するため
に、振動用水晶板51の振動を妨げないためには振動用
水晶板51とケース54との空間を大きく開ける必要が
ある。このため、振動用水晶板自体の大きさは小さくで
きても、ケースを含んだ水晶振動子全体としての小型化
は、非常に困難であった。
【0008】振動用水晶板に加わる熱膨張率の差に起因
する応力を緩和する目的で保持用水晶板によって振動用
水晶板を保持すると言う方法がある(特公平02−29
1710号)。図6に、その外観図を示す。図6におい
て、61は振動用水晶片、62は保持用水晶片、63は
励起電極、64は基台、65は接着剤、66は導電性接
着剤である。この方法は、基台64と保持用水晶片62
との固着方向と、保持用水晶片62と振動用水晶片61
との固着方向とを直交させた構造とすることによって、
振動用水晶片61に加わる温度変化に起因した応力によ
る周波数変化を抑えようとするものである。
【0009】しかしながら、この場合においても振動用
水晶片61と保持用水晶片62とを固着している導電性
接着剤66の熱膨張率の影響が無視できず、温度に対す
る周波数安定性は十分でなかった。そのうえ、この方法
で効果を十分上げるためには、原理的に接着剤65や導
電性接着剤66の接着面積は十分小さくなければなら
ず、接着強度に問題があった。更に上記の例と同様に、
接着剤を用いている問題は依然残っており、この方法は
十分な解決策とは言えなかった。
【0010】また、水晶振動子の応用製品として、水晶
発振器や温度補償水晶発振器(TCXO)、電圧制御水
晶発振器(VCXO)などの製品が作られているが、こ
れらの製品も、その小型化が重要な開発目標となってい
る。図7に、一般的に得られているTCXOの外観図を
示す。なおここでは、理解しやすいように、ケースの一
部を取り除いた様子を示している。この図に於て、71
は水晶振動子、72は発振回路や電圧制御回路、温度セ
ンサーなどを含む制御回路部、73はケースである。水
晶振動子71と、制御回路部72とは、各々別々に作ら
れたものが、組み合わされ、ケースに納められる。この
ため、全体としての大きさを小型化するのは非常に困難
であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記の様に、従来の水
晶振動子においては、振動用水晶板と熱膨張率が異なる
もの、例えば金属保持部や、接着剤などが振動用水晶板
に固着しているために温度に対する周波数安定性が劣化
している。また振動用水晶板を接着剤で固定することに
起因する、振動などに対する接着強度低下の問題、半田
付けの際の加熱に対する信頼性の問題、気体放出の問題
等も存在する。更に水晶振動子やそれを応用した製品の
小型化には、その構造に起因した基本的な問題が存在す
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記のような問題点を解
決するために、本発明の水晶振動子は、励振電極が対向
する主面に形成された振動用水晶板と、保持用水晶板
と、シリコン基板とを備え、前記振動用水晶板の片端が
前記保持用水晶板の表面に直接接合されて保持され、シ
リコン基板からの応力が振動用水晶板に加わりにくい形
で、保持用水晶板がシリコン基板に直接接合によって固
定されており、前記直接接合が、それぞれの被接合基板
表面に形成された親水基の水素結合、もしくは、それぞ
れの被接合基板の構成原子間の共有結合のうち少なくと
も一方による接合であることを特徴とするものであり、
またその製造方法は、振動用水晶板と保持用水晶板とシ
リコン基板の表面を、親水処理を施して表面に親水基を
形成し、接触させ、そのまま熱処理後においても水晶が
圧電性を示す温度範囲内において熱処理することによ
り、振動用水晶板と保持用水晶板間、および、保持用水
晶板とシリコン基板間を直接接合し、保持させた後、水
晶用板の対向する主面上に励振電極を形成することを特
徴とするものである。
【0013】
【作用】上記のような方法を用いることにより、振動用
水晶板には、温度に起因する応力が加わりにくく、温度
に対する周波数安定性が向上する。振動用水晶板と保持
用水晶板とは共に等しい熱膨張率を有する水晶で形成さ
れているので、振動用水晶板と保持用水晶板には温度に
起因する応力は全く生じない。また振動用水晶板は接着
剤を用いず直接接合によって固定されるので、その接着
強度は強固で、振動などに対する安定性が向上し、半田
付けなどによる熱に対しても安定で劣化が生じず、気体
の発生もないので振動特性の劣化もない。しかも振動用
水晶板は保持用水晶板と共にシリコン基板に正確な位置
に固定されるので、封止の際の空間を小さくでき、水晶
振動子全体としての小型化が容易である。更に振動用水
晶板と保持用水晶板とはシリコン基板に固定されてお
り、シリコン基板に制御回路などを組み込み、一体化す
ることができるので、ワンチップ化された水晶発振器、
TCXOやVCXOの作製が可能になるため、これらの
製品を容易に小型化できる。
【0014】
【実施例】(実施例1)以下、本発明の第1の実施例に
ついて、図面を用いて詳しく説明する。
【0015】図1(a)は本実施例における水晶振動子
の外観図である。図1(a)において、11は振動用水
晶板、12は保持用水晶板、13はシリコン基板、14
は励起電極、15は電極引出し部、16は端子である。
【0016】本実施例において、振動用水晶板11の周
辺近傍の一部は、振動用水晶板11の振動をできるだけ
妨げないような形状で、保持用水晶板12に直接接合に
よって固定され、保持用水晶板12の振動用水晶板11
が固着されていない側の一部は、シリコン基板13に直
接接合によって固着されている。
【0017】ここで、直接接合について説明する。直接
接合とは、シリコン基板どうし、シリコン基板と水晶
板、または水晶板どうしを、接着剤を介在させずに基板
の非固着面上の結晶表面構成原子と他方の基板の結晶表
面構成原子との間の共有結合を用いて直接的に固着させ
るという技術で、研磨、洗浄、親水基形成処理を行なっ
たシリコン基板や水晶板などを清浄雰囲気中で接触さ
せ、加熱処理を行い、強固な固着を得るというものであ
る。この固着強度は、親水基形成処理後接触させられた
だけの初期段階においても数十kgw/cm2程度の値を
示すが、加熱処理を施すことによってその値は数百kg
w/cm2以上に上昇する。具体的にこのような結合は以
下のようにして形成される。親水基形成処理後接触させ
られただけの初期段階において、非接着基板どうしは、
その表面に形成される親水基と、非接着面間に存在する
水分子との水素結合を介して結合されている。この状態
から加熱処理を行なうことによって、界面に存在する水
分子は界面から除去され、水分子を介しての結合は、次
第に結晶構成原子間の強固な共有結合に変化する。この
ため、直接接合を用いた固定においては、固着強度が高
く、接着剤を一切用いていないので熱処理、振動などに
強く、不要な気体が放出されることもない。
【0018】振動用水晶板11、保持用水晶板12及び
シリコン基板13は、全体として周囲の温度変化により
生じる応力が振動用水晶板11に加わりにくいような形
状で固定されている。具体的には、本実施例の場合、振
動用水晶板11の厚さに比べて保持用水晶板12の厚さ
が薄くしてある。
【0019】水晶は異方性の結晶であるために結晶軸に
対する方向によって熱膨張率は異なる。従って、振動用
水晶板11の結晶軸の方向と、保持用水晶板12の結晶
軸の方向を一致させれば、振動用水晶板11と保持用水
晶板12との接合部での熱膨張率は正確に一致するので
温度変化による応力は零で、まったく生じない。またシ
リコン基板13と振動用水晶板11との熱膨張率の違い
による応力は、そのほとんどが保持用水晶板12に集中
するために、振動用水晶板11には、シリコン基板13
からの応力は加わりにくい。従って、温度変化に起因す
る応力による周波数の変化を非常に小さく抑えることが
でき、周波数安定性が向上する。
【0020】水晶振動子の温度特性は、水晶板のカット
角で決定される。ATカット水晶板の場合には、基準と
なる温度(通常25℃)における周波数f0に対するあ
る温度における周波数fの変化(f−f0)/f0をp
pmで表せば、−20℃から70℃の温度範囲で通常±
5ppm程度である。しかしながら従来の水晶振動子の
場合、金属保持部や導電性接着剤からの応力が振動用水
晶板に加わるために、実際の温度特性はこれより悪化す
る。これに対し、上記のような理由から本実施例の構造
の水晶振動子の周波数の温度特性は大きく改善される。
例えば、具体的な例として振動用水晶板の大きさとして
1mm×3mm、保持用水晶板の大きさとして1mm×
1mm、シリコン基板の大きさとして3mm×4.5m
mとした本実施例記載の構造の水晶振動子を作製し、比
較のために1mm×3mmの大きさの振動用水晶板を従
来の金属保持部に導電性接着剤によって接着した構造の
比較用水晶振動子も作製して、水晶振動子と比較用水晶
振動子の周波数の温度変化を−20℃から70℃まで測
定して比較した結果、15ppmの改善がみられた。
【0021】また、振動用水晶板の固定には直接接合を
用いており、導電性接着剤などを用いた場合に比べて固
着強度が高く、また振動などに強く、不要な気体が放出
されることもないため長期安定性が向上した。さらに熱
処理に対して安定であるので、従来は不可能であった高
温での半田付け処理も可能になった。
【0022】更にシリコン基板には振動用水晶板を駆
動、制御するための回路を組み込むことができるので、
ワンチップ化された水晶発振器、TCXOやVCXOの
作製が可能になる。図1(b)に、ワンチップ化された
TCXOの外観図を示す。図1(b)において、11は
振動用水晶板、12は保持用水晶板、13はシリコン基
板、14は励起電極、15は電極引出し部、17は制御
回路である。
【0023】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例
について、図面を用いて詳しく説明する。
【0024】図2(a)〜(f)は、本発明の製造方法
の手順を示す図である。これらの図において21は振動
用水晶板、22は保持用水晶板、23はシリコン基板、
24は励起電極、25は電極引出し部、26は端子、2
7、28は水晶素板である。
【0025】本実施例では、水晶素板27、28には厚
さ350μm、大きさ3インチのATカット水晶素板、
シリコン基板23には面方位(100)、厚さ450μ
m、大きさ3インチのP型単結晶シリコン基板を用い
た。
【0026】水晶素板27は、振動用水晶板21の形状
を多数残して深さ80μmまでエッチングによって削
り、水晶素板28は、保持用水晶板22の形状を多数残
して深さ50μmまでエッチングによって削った。この
とき、水晶素板27上に残っている全ての振動用水晶板
21と水晶素板28上に残っている全ての保持用水晶板
22とが、互いに希望の位置で接触できるように各々の
位置を決定した。水晶素板27と水晶素板28との表面
を鏡面に研磨し、アンモニア水と過酸化水素水と水の混
合液を60℃に加熱した溶液を用いて表面を親水化処理
し、水洗いした。その後注意深く洗浄して振動用水晶板
21と保持用水晶板22とが接触する部分にはゴミが存
在しないようにした。次に、水晶素板27と水晶素板2
8とを、表面を清浄に保ったまま接触させた。このまま
でもかなりの接着強度があるが、後に行なう研磨ができ
るまでの強度以上にするために、加熱処理を施した。こ
の状態を図2(a)に示す。なお、870℃に水晶の結
晶転移温度があるので、水晶をこの温度以上に加熱処理
すると室温に戻したとき圧電性を示さなくなる。このた
め加熱処理温度は870℃以上にすることはできない。
このため本実施例では、加熱処理温度を例えば500℃
とした。
【0027】保持用水晶板22を一つ一つ分離するため
に、水晶素板27に直接接合された水晶素板28を、水
晶素板27を保持して研磨した。この状態を図2(b)
に示す。
【0028】シリコン基板23と水晶素板27上に形成
された保持用水晶板22とを直接接合させるために、こ
れらの表面を鏡面に研磨し、更にアンモニア水と過酸化
水素水と水の混合液を60℃に加熱した溶液を用いて表
面を親水化処理し、水洗いした。その後、注意深く洗浄
して水晶素板27上に形成された保持用水晶板22とシ
リコン基板23の表面にはゴミが存在しないようにし
た。次に、シリコン基板23と水晶素板27上に形成さ
れた保持用水晶板22とを、表面を清浄に保ったまま接
触させた。このままでもかなりの接着強度があるが、後
に行なう研磨ができるまでの強度以上にするために、加
熱処理を施した。この状態を図2(c)に示す。なお、
上記と同様の理由から、加熱処理温度は870℃以上に
加熱することはできない。さらにシリコンと水晶の熱膨
張率が異なるために、急激な温度差を加えることができ
ない。このため本実施例では、加熱処理温度を例えば5
00℃とした。
【0029】水晶素板27に直接接合された保持用水晶
板22によって固定されたシリコン基板23を水晶素板
27を保持することによって研磨し、更にシリコン基板
23の保持用水晶板22が直接接合されていない側から
エッチングをおこなって開口部を設けた。その様子を図
2(d)に示す。
【0030】その後、シリコン基板23に直接接合され
た保持用水晶板22によって固定された水晶素板27を
シリコン基板23を保持することによって研磨し、振動
用水晶板21を個々に分離した。その様子を図2(e)
に示す。
【0031】水晶素板27の振動用水晶板21のほぼ中
央付近に対向するように一対の励起電極24を形成し
た。このとき、同時に電極引出し部、及び端子も形成し
た。本実施例の場合、これらはクロムを厚さ200Å、
金を厚さ500Åに真空蒸着して形成した。その様子を
図2(f)に示す。
【0032】最後に、シリコン基板23を一つ一つ切り
離し、実施例1記載の構造の水晶振動子を得た。
【0033】振動用水晶板21、保持用水晶板22、及
びシリコン基板23は、フォトリソグラフィーやエッチ
ングなどの半導体加工技術を応用することによってその
寸法を非常に精密に加工しているために、非常に小型で
精度がよく、高性能な水晶振動子が得られる。
【0034】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例
について、図面を用いて詳しく説明する。図3は、本発
明の製造方法によって得られた水晶振動子の断面図であ
る。図3において、31は振動用水晶板、32は保持用
水晶板、33はシリコン基板、34は励起電極、35は
電極引出し部、36は端子、37は蓋用シリコン基板、
38は基台用シリコン基板、39は低融点ガラスであ
る。
【0035】本実施例において、振動用水晶板31、保
持用水晶板32、シリコン基板33及び励起電極34
は、実施例1記載の水晶振動子と同じ構成である。ま
た、振動用水晶板31は、蓋用シリコン基板37と基台
用シリコン基板38とによってシリコン基板33を挟み
込むようにして真空、あるいは不活性気体による封止が
なされている。封止の方法としては、本実施例では、例
えば電極引出し部35の周辺部分のみを低融点ガラス3
9で、それ以外は直接接合によって封止した蓋用シリコ
ン基板37と基台用シリコン基板38とによって窒素ガ
スによる封止がなされている。
【0036】このように、蓋部及び基台部もシリコン基
板に直接接合する構成にすることにより、上記実施例1
及び2で示した効果以外に、振動用水晶板31と蓋用シ
リコン基板37及び基台用シリコン基板38との位置関
係を絶対的に決定することができ、振動用水晶板31の
振動を妨げることなく、なおかつ封止に必要な空間を非
常に小さくできるので、水晶振動子全体の大きさを非常
に小さくすることができるという効果が得られる。例え
ば、具体的な例として、振動用水晶板の大きさとして1
mm×3mmとしたとき、従来の方法で作製した水晶振
動子の大きさは、空間として3mm×6mm、更にケー
スの厚みが1mm必要であるので全体として4mm×7
mmの大きさになってしまう。これに対して、本実施例
の構造の水晶振動子の場合、前記振動用水晶板の大きさ
として同じく1mm×3mm、保持用水晶板の大きさと
して1mm×1mm、シリコン基板の大きさとして2m
m×5mmとした場合、空間の大きさはほとんど振動用
水晶板の大きさでよく、蓋用シリコン基板37および基
台用シリコン基板38の大きさは2mm×4.5mmで
よいので、小型化に非常に有効である。
【0037】また、半導体であるシリコンを基板とし、
またそれを用いて封止するため、集積回路との整合性が
良く、発振器との一体化などに応用することが容易であ
ることは、実施例1に記載した通りである。
【0038】(実施例4)以下、本発明の第4の実施例
について、図面を用いて詳しく説明する。図4は本実施
例における水晶振動子の外観図である。この図におい
て、41は振動用水晶板、42は保持用水晶板、43は
シリコン基板、44は励起電極、45は電極引出し部、
46は端子である。
【0039】本実施例において、全体の構造はほぼ実施
例1と同様であるが、保持用水晶板42の形状を、弾性
的変化がしやすいような形状に加工している。このよう
な構造とした結果、シリコン基板43と保持用水晶板4
2との熱膨張率の違いによる応力は、そのほとんどが保
持用水晶板42が変形することによって緩和されるため
に、振動用水晶板41には、シリコン基板43からの応
力はほとんど加わらない。従って、温度変化に起因する
応力による周波数の変化を小さく抑える効果は、実施例
1の場合に比較して更に向上させることができるので、
周波数安定性はさらに向上する。
【0040】
【発明の効果】上記のように、振動用水晶板と保持用水
晶板とは共に水晶で、その熱膨張率は同じであり、固定
には接着剤などを用いていないために、この部分で応力
は全く発生しない。またシリコン基板と振動用水晶板と
の熱膨張率の違いによる応力はそのほとんどが保持用水
晶板に集中する。従って、振動用水晶板には、シリコン
基板からの応力は加わりにくく、温度変化に起因する応
力による周波数の変化を非常に小さく抑えることがで
き、周波数安定性が向上する。
【0041】また、振動用水晶板の固定には直接接合を
用いており、導電性接着剤などを用いた場合に比べて固
着強度が高く、また振動などに強く、不要な気体が放出
されることもないため長期安定性が向上する。さらに熱
処理に対して安定であるので、従来は不可能であった高
温での半田付け処理も可能である。
【0042】更にシリコン基板には振動用水晶板を駆
動、制御するための回路を組み込むことができるので、
ワンチップ化された水晶発振器、TCXOやVCXOの
作製が可能になる。また振動用水晶板、水晶保持部、及
びシリコン基板は、半導体加工技術を応用することによ
ってその寸法を精密に加工できるために、非常に小型で
精度がよく、高性能な水晶振動子が得られる。
【0043】なお、本実施例では、振動用水晶板と保持
用水晶板との結晶方位を完全に一致させた例について述
べているが、これに限るものではなく、例えば結晶方位
が完全に一致していなくても振動用水晶板と保持用水晶
板との熱膨張率がほとんど同じであれば、同様の効果が
得られることは明らかである。
【0044】また、本実施例では、直接接合における加
熱処理温度として500℃とした例に付いて述べている
が、これに限るものではない。100℃〜350℃、3
50℃〜500℃、500℃〜570℃、570℃〜8
60℃においても水晶やシリコンの接着強度を調べた
が、高温になればなるほど接着強度は大きくなるので、
熱処理後においても水晶が圧電性を示す温度範囲内にお
いて実施しやすい加熱処理温度を選べばよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施例における水晶振動子の
外観図 (b)は同実施例におけるワンチップ化されたTCXO
の外観図
【図2】(a)は本発明の実施例における製造方法の手
順を示す図 (b)は本発明の実施例における製造方法の手順を示す
図 (c)は本発明の実施例における製造方法の手順を示す
図 (d)は本発明の実施例における製造方法の手順を示す
図 (e)は本発明の実施例における製造方法の手順を示す
図 (f)は本発明の実施例における製造方法の手順を示す
【図3】本発明の実施例における製造方法によって得ら
れた水晶振動子の断面図
【図4】本発明の実施例における水晶振動子の外観図
【図5】従来の水晶振動子の構造を示す図
【図6】従来の水晶振動子の外観図
【図7】従来のTCXOの外観図
【符号の説明】
11 振動用水晶板 12 保持用水晶板 13 シリコン基板 14 励起電極 15 電極引出し部 16 端子 17 制御回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田口 豊 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 江田 和生 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−285195(JP,A) 特開 昭63−82116(JP,A) 特開 平2−183510(JP,A) 特開 平1−246820(JP,A) 特開 昭62−122148(JP,A) 特公 昭57−46034(JP,B2) 特表 平4−502984(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励振電極が対向する主面に形成された振
    動用水晶板と、保持用水晶板と、シリコン基板とを備
    え、前記振動用水晶板の片端が前記保持用水晶板の表面
    直接接合されて保持され、前記保持用水晶板が前記
    リコン基板に直接接合によって固定されており、前記直
    接接合が、それぞれの被接合基板表面に形成された親水
    基の水素結合、もしくは、それぞれの被接合基板の構成
    原子間の共有結合のうち少なくとも一方による接合であ
    ることを特徴とする水晶振動子。
  2. 【請求項2】 振動用水晶板と保持用水晶板とシリコン
    基板の表面を、親水処理を施して表面に親水基を形成
    し、接触させ、そのまま熱処理後においても水晶が圧電
    性を示す温度範囲内において熱処理することにより、前
    記振動用水晶板と前記保持用水晶板間、および、前記保
    持用水晶板と前記シリコン基板間を直接接合し、保持
    せた後、前記水晶用板の対向する主面上に励振電極を形
    することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
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