JP3163388B2 - (s)−1−フェニル−1,3−プロパンジオールの製造方法 - Google Patents

(s)−1−フェニル−1,3−プロパンジオールの製造方法

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JP3163388B2 JP24345992A JP24345992A JP3163388B2 JP 3163388 B2 JP3163388 B2 JP 3163388B2 JP 24345992 A JP24345992 A JP 24345992A JP 24345992 A JP24345992 A JP 24345992A JP 3163388 B2 JP3163388 B2 JP 3163388B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は(S)−1−フェニル−
1,3−プロパンジオールの製造方法に関する。(S)
−1−フェニル−1,3−プロパンジオールは種々の医
薬品の合成原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、(S)−1−フェニル−1,3−
プロパンジオールを製造する方法としては、3−フェニ
ル−3−ヒドロキシプロピオン酸エチルをリパーゼによ
り不斉水解し、得られた(S)−3−フェニル−3−ヒ
ドロキシプロピオン酸を化学的に還元する方法(米国特
許第4921798号)や、1−フェニル−1,3−プ
ロパンジオールのエナンチオマー混合物に微生物を作用
させ、(S)−1−フェニル−1,3−プロパンジオー
ルを残存させる方法(特開平4−58896、特開平4
−88999、特開平4−94691、特開平4−15
2896)が知られている。しかし前者の方法は原料が
高価でかつ操作が煩雑であるという欠点がある。後者の
方法では原料は安価であるが、今までに見いだされてい
る微生物によっては短時間で光学純度の高い(S)−1
−フェニル−1,3−プロパンジオールを残存させるこ
とが出来ないという問題点を有していた。
【0003】
【発明を解決しようとする課題】本発明の目的は、安価
かつ簡便に光学純度の高い(S)−1−フェニル−1,
3−プロパンジオールを製造する方法を提供することで
ある。
【0004】
【問題を解決するための手段】本発明者らは上述の事情
に鑑み検討を重ねた結果、1−フェニル−1,3−プロ
パンジオールのエナンチオマ−混合物に作用し優先的に
(R)−1−フェニル−1,3−プロパンジオールを分
解し、結果(S)−1−フェニル−1,3−プロパンジ
オールを残存させうる能力を有する微生物が存在するこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、1−フェニル−1,
3−プロパンジオ−ルのエナンチオマ−混合物に作用
し、(S)−1−フェニル−1,3−プロパンジオール
を残存させうる能力を有する微生物の培養物、該培養物
より分離した微生物菌体もしくは該微生物菌体の処理物
を1−フェニル−1,3−プロパンジオールのエナンチ
オマー混合物に作用せしめ、生成する(S)−1−フェ
ニル−1,3−プロパンジオールを採取することを特徴
とする(S)−1−フェニル−1,3−プロパンジオー
ルの製造方法を提供するものである。
【0006】本発明に使用する微生物としては、1−フ
ェニル−1,3−プロパンジオールのエナンチオマー混
合物に作用し、(S)−1−フェニル−1,3−プロパ
ンジオールを残存させうる能力を有する微生物であれば
いずれを用いてもよいが、具体的には以下のものが挙げ
られる。 バシルス・アミロリケファシエンス (Bacillus amyloliquefaciens) IFO14141 ブレビバクテリウム・ルテウム (Brevibacterium luteum) IFO12676 ノカルディア・レストリクタ (Nocardia restricta) ATCC14887 シュードモナス・スツッツエリー (Pseudomonas stutzeri) ATCC9114 クラビスポラ・ルシタニアエ (Clavispora lusitaniae) IFO1019 ハンゼヌラ・アノマラ (Hansenula anomala) IFO0145 ハンゼヌラ・シーフェリー (Hansenula ciferrii) IFO0905 ハンゼヌラ・ペテルソニイ (Hansenula petersonii) IFO1372 クロッケラ・ジャバニカ (Kloeckera javanica) IFO0669 ロドスポリジウム・ジオボバタム (Rhodosporidium diobovatum) IFO0667 スポロボロマイセス・サルモニカラー (Sporobolomyces salmonicolor) IFO1038 プロトテカ・ゾフィー (Prototheca zopfii) ATCC16527
【0007】これらの微生物は、野生株、変異株または
細胞融合もしくは遺伝子操作法などの遺伝学的手法によ
り誘導される組み換え株等、いずれの株でも用いること
ができる。
【0008】本発明に用いる微生物を培養するための培
地はその微生物が増殖し得るものであれば特に制限はな
い。例えば、炭素源、窒素源、無機塩類、有機栄養素等
を含有する通常の液体栄養培地を使用することができ
る。
【0009】炭素源としては、上記微生物の利用可能で
あればいずれも使用でき、具体的には、グルコース、フ
ルクトース、シュクロース、デキストリン等の糖類、ソ
ルビトール、エタノール、グリセロール等のアルコール
類、フマル酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸等の有機
酸類またはその塩類、パラフィン等の炭化水素類あるい
はこれらの混合物を使用することができる。
【0010】窒素源としては、例えば、硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム等の無機アンモニウム塩、フマル
酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の有機酸アン
モニウム塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等の硝酸
塩、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーンスティー
プリカー等の有機窒素化合物、あるいはこれらの混合物
を使用することができる。
【0011】他に無機塩類、微量金属塩、ビタミン類
等、通常の培養に用いられる栄養源を適宜、混合して用
いることができる。また必要に応じて微生物の増殖を促
進する因子、本発明の目的化合物の生成能力を高める因
子、あるいは培地のpH保持に有効な物質も添加でき
る。
【0012】培養方法としては、pHは3ないし9.
5、好ましくは、4ないし8、培養温度は20ないし4
5℃、好ましくは25ないし37℃で、嫌気的あるいは
好気的にその微生物の生育に適した条件下で、5ないし
120時間、好ましくは12ないし72時間程度培養す
る。
【0013】上記微生物を1−フェニル−1,3−プロ
パンジオールのエナンチオマー混合物に作用せしめる方
法としては、かくして得られる微生物培養物をそのまま
用いる方法、遠心分離等により菌体を分離し、これをそ
のままもしくは洗浄した後、緩衝液、水等に再懸濁した
ものに、1−フェニル−1,3−プロパンジオールのエ
ナンチオマー混合物を添加し反応させる方法等がある。
この反応の際、グルコース、フラクトース、シュクロー
ス等の炭素源をエネルギー源として添加した方がよい場
合もある。また、菌体は生菌体のままでもよいし、菌体
破砕物、アセトン処理菌体、あるいは凍結乾燥菌体等の
菌体処理物として用いてもよい。また、これらの菌体あ
るいは菌体処理物を、例えばポリアクリルアミドゲル
法、カラギーナン法、アルギン酸ゲル法等の公知の方法
で固定化して用いることもできる。
【0014】1−フェニル−1,3−プロパンジオール
のエナンチオマー混合物はそのまま、あるいは水もしく
は反応に影響を与えないような有機溶媒に溶解したり、
界面活性剤等に分散させたりして、反応始めから一括し
てあるいは反応途中に分割して添加する。
【0015】反応はpH3ないし9、好ましくはpH5
ないし8、温度は10ないし60℃、好ましくは20な
いし40℃の範囲で、攪拌下あるいは静置下で行う。基
質の使用濃度は特に制限されないが、0.1ないし10
%程度が好ましい。かくして1ないし120時間程度反
応させることにより反応液中に光学純度の高い(S)−
1−フェニル−1,3−プロパンジオールが生成蓄積す
る。
【0016】反応によって生成した(S)−1−フェニ
ル−1,3−プロパンジオールの採取は、反応液から直
接あるいは菌体分離後、有機溶媒による抽出、蒸留、カ
ラムクロマトグラフィー等の通常の精製方法を用いれば
容易に得ることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例にてさらに詳細に説明
する。なお、実施例における1−フェニル−1,3−プ
ロパンジオールの絶対配置、光学純度並びに反応収率の
測定は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:ダイセ
ル化学工業製キラルセルOB、溶離液:ヘキサン/2ー
プロパノール=8/2、流量:0.7ml/分、検出:
UV210nm)により行った(保持時間:(S)体
8.75分、(R)体9.72分)。
【0018】実施例1 グルコース2.0%、(NH42 SO4 0.5%、K
2 HPO4 0.3%、KH2 PO4 0.1%、MgSO
4 ・7H2 00.05%、FeSO4 ・7H2O0.0
01%、MnSO4 ・4H2 O0.001%、酵母エキ
ス1.0%、ポリペプトン1.0%から成る培地(pH
7.0)を試験管に5mlずつ分注し、加熱殺菌後、予
めブイヨン寒天培地にて30℃、24時間培養して得た
表1に示す微生物の菌体を一白金耳量接種し、30℃で
24ないし48時間振とう培養した。ついで培養液に
(R)体と(S)体とが50%ずつ含まれる1−フェニ
ル−1,3−プロパンジオールのエナンチオマー混合物
を25mg添加し、さらに30℃、72時間振とうして
反応を行った。反応終了後、反応液をエタノールで希釈
した後、遠心分離にて除菌し、得られた上澄を高速液体
クロマトグラフィーに供与し、残存した1−フェニル−
1,3−プロパンジオールの絶対配置、光学純度並びに
反応収率を測定した。結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】実施例2 実施例1に示した組成の培地1.0lを2l容ミニジャ
ーファーメンターに分注し、加熱殺菌後、予め同じ培地
で30℃、24時間振とう培養したハンゼヌラ・パター
ソニー IFO1372の培養液80mlを接種し、通
気量1vvm、攪拌速度500rpmにて30℃、24
時間培養を行った。培養終了後、遠心分離により菌体を
集め、培養液と同量の200mMリン酸緩衝液(pH
7.0)で洗浄した後、1.0lの同緩衝液に懸濁し
た。この懸濁液に実施例1で用いたものと同じ1−フェ
ニル−1,3−プロパンジオールのエナンチオマー混合
物を5.0g添加し、30℃で通気攪拌しつつ72時間
反応を行なった。反応終了後、残存した1−フェニル−
1,3−プロパンジオールの絶対配置、光学純度、反応
収率を測定したところ、絶対配置は(S)体、光学純度
は100%、反応収率は27%であった。
【0021】次に反応液を限外濾過膜にて濾過し、得ら
れたろ液をトルエン−イソプロピルアルコール混合液1
lを用いて2回抽出を行い、減圧濃縮後、晶析、乾燥を
行い(S)−1−フェニル−1,3−プロパンジオール
の結晶1.1gを得た。
【発明の効果】本発明の方法によると、光学純度の高い
(S)−1−フェニル−1,3−プロパンジオールを簡
便に製造することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12P 41/00 C12R 1:365) (C12P 41/00 C12R 1:38) (C12P 41/00 C12R 1:01) (C12P 41/00 C12R 1:78) (C12P 41/00 C12R 1:645) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 41/00 BIOSIS(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1−フェニル−1,3−プロパンジオール
    のエナンチオマー混合物に、バシルス属、ブレビバクテ
    リウム属、ノカルディア属、シュードモナス属、クラビ
    スポラ属、ハンゼヌラ属、クロッケラ属、ロドスポロジ
    ウム属、スポロボロマイセス属、プロトテカ属に属する
    微生物群から選ばれる微生物或いはその処理物を作用さ
    せ、残存する(S)−1−フェニル−1,3−プロパン
    ジオールを採取することを特徴とする(S)−1−フェ
    ニル−1,3−プロパンジオールの製造方法。
  2. 【請求項2】微生物がバシルス属、ブレビバクテリウム
    属、ノカルディア属、シュードモナス属、クラビスポラ
    属、ハンゼヌラ属、クロッケラ属、ロドスポロジウム
    属、スポロボロマイセス属、プロトテカ属に属する微生
    物群から選ばれ、1−フェニル−1,3−プロパンジオ
    ールのエナンチオマ−混合物に作用して(S)−1−フ
    ェニル−1,3−プロパンジオールを残存させうる能力
    を有する微生物である請求項1記載の(S)−1−フェ
    ニル−1,3−プロパンジオールの製造方法。
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