JP3163343U - 調理用容器 - Google Patents

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義宏 諸隈
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【課題】米飯を炊き上げるときの炊飯器の熱を利用して食材を加熱調理する調理用容器を提供する。【解決手段】調理用容器10は、陶器製の容器本体12と蓋14で構成される。蓋14は表側に取っ手30を備えるとともに、裏側に容器本体12の開口部の内側に嵌合し、外周面に溝40を有する環状突起部32を備える。容器本体12は溝40と係合する突起20を備える。蓋14は容器本体12に対して溝幅の分だけ回転させることが可能であり、溝40と突起20との相対的な位置関係に応じて、容器本体12から外すことができるようにしたり、もしくは外すことができないようにしたりすることができる。【選択図】図4

Description

本考案は、食材の調理用容器に関し、特に、炊飯器の熱を利用して食材の調理を行う調理用容器に関する。
炊飯器は、米飯の炊き上げに用いる調理器具として開発、販売されているが、最近、消費者の間では、肉や野菜など米飯以外の食材の簡単な調理にも使うことができる便利な調理器具として大変注目されている。現在では炊飯器を利用した調理レシピ本なども多数発行され、さらには個人が自作のレシピをブログやインターネットの掲示板などで紹介することも日常的に行われている。しかし、炊飯器を米飯以外の食材の調理に使用している間は炊飯ができないため、主食と副食を同時に用意したい場合は炊飯器が複数必要となる。また少量の食材を調理したいときに炊飯器を稼動させるのはなにかと無駄が多い。
特許文献1には、少量の食材の調理と米飯の炊き上げを1台の炊飯器で実現できるようにした技術が紹介されている。これはセラミック製の容器を炊飯器の内側に入れて米飯の炊き上げとともに容器内の食材を加熱調理するというものである。炊飯器内で加熱された容器の取り出しを容易にするため、容器には着脱式のフックが取り付けられるようになっている。
特開平8−24137号公報
しかし特定の食材の調理を目的としているためか、この容器には蓋が設けられておらず、煮汁の吹きこぼれ等への対策は特段なされていない。また着脱式のフックは衛生的ではあるものの、調理の度に着脱を繰り返すのはかなり面倒であるし、取り外した際のフックの紛失にもつながりやすい。
これらの課題のうち少なくとも何れかを解決するため、本考案は、円形の開口部を有する容器本体と、前記開口部を閉じる蓋からなる調理用容器であって、前記蓋は表側に取っ手を備えるとともに、裏側に前記開口部の内側に嵌合し、外周面に溝を有する環状突起部を備え、前記容器本体は前記溝と係合する突起を備え、前記溝が、前記環状突起部の先端から根元まで延びるとともに前記根元側で少なくとも一方の円周方向に延びるように形成されていることを特徴とする、調理用容器を提供する。
蓋は容器本体に対して溝幅の分だけ回転させることが可能であり、溝と突起との相対的な位置関係に応じて、容器本体から外すことができるようにしたり、もしくは外すことができないようにしたりすることができる。蓋に設けられた取っ手は、容器本体から蓋を外すときに用いられるほか、炊き上がった米飯に埋もれた容器本体を取り出すときにも用いられる。
溝は、環状突起部の先端から根元まで延びるとともに根元側で少なくとも一方の円周方向に延びるように形成されていればよく、この円周方向と逆方向に回転させることで蓋を容器本体から外すことができないようにすることができ、この円周方向に回転させることで蓋を容器本体から外すことができるようにすることができる。
溝は、環状突起部の先端から根元に行くに従って少なくとも一方の円周方向に拡幅するように形成すれば、比較的単純な形状となるので、製作が簡単であり、破損もしにくい。
米飯を炊き上げるときの炊飯器の熱を利用して調理用容器に入れた食材を加熱するので、手間と時間をかけずに食材を調理することができ、さらには光熱費も節約することができる。
調理用容器の正面図(a)および側面図(b) 容器本体の平面図(a)および底面図(b) 蓋の側面図(a)および底面図(b) 調理用容器の内部構造図(a)およびb−b矢視図(b) 調理用容器を研いだ米および水と一緒に炊飯器に入れたときの状態を示す斜視図 調理用容器を炊飯器に入れて米飯と一緒に炊き上げたときの状態を示す斜視図
以下、本考案の実施形態について添付の図面を参照して説明する。
最初に、調理用容器の構造について図1乃至図3を参照して説明する。調理用容器10は、食材を入れる容器本体12と、これを閉じる蓋14で構成されている。容器本体12の上部は円形の開口部16であり、この開口部16から食材を出し入れすることができる。容器本体12の側壁の縁部は補強部18であり、側壁の外側に膨出し、側壁の他の部分より肉厚になっている。補強部18の内周側の2箇所に突起20が設けられている。これらの突起20は開口部16の中心に対して点対称となる位置に設けられている。
蓋14は表側に取っ手30が設けられ、裏側には環状突起32が設けられている。取っ手30は指を掛けるための孔が設けられた半円弧の形状である。取っ手30は蓋14を容器本体12から外すときに使用するのはもちろんであるが、ほかにも後で説明するように蓋14を回したり、容器本体12ごと蓋14を持ち上げたりするときにも使用する。
環状突起32は、蓋14を閉じたときに開口部16の内側に嵌合し、蓋14がずれないようにするためのものである。概ね環状であるが、外周面の2箇所に溝40が設けられている。これらの溝40は環状突起32の中心に対して点対称となる位置に設けられている。溝40は、縦方向には環状突起32の先端(図2では下端)から根元(同上端)まで設けられている。横方向(周方向)においては、溝40の左側の縁42が先端から根元にかけて縦に延びているに対し、右側の縁44は右側に傾いて延びている。これにより溝40は下端46から上端48に行くに従って溝幅が広くなっている。
蓋14は容器本体12に対して溝幅の分だけ回転させることが可能であり、溝40と突起20との相対的な位置関係に応じて、容器本体12から外すことができるようにしたり、もしくは外すことができないようにしたりすることができる。
環状突起32の外周面の溝40の部分の外径D1および溝40以外の部分の外径D2と、容器本体12の開口部16の内径d1および2つの突起20間の距離S1との関係を不等式で表すと、d1>D2>S1>D1である。従って蓋14の開け閉めは、溝40の下端46と突起20が上下に合わさったときにだけ可能である。そして蓋14を閉めた状態で上からみて時計回りに回すと、突起20の下側に溝40の右側の縁44が接触し、蓋14が開かなくなる。この状態で取っ手30に指を掛けて蓋14を持ち上げると、容器本体12も一緒に持ち上げることができる。
蓋14を開けるときには、溝40の左側の縁42が突起20に接触するまで蓋14を反時計回りに回す。溝40の左側の縁42が突起20に接触すると蓋14はそれ以上は回らなくなるが、このとき溝40の下端46と突起20が上下に合わさっているので、蓋14を持ち上げるだけで簡単に開けることができる。
容器本体12の底壁に3つの突起50が設けられている。これらの突起50は正三角形の各頂点の位置関係になるように設けられている。調理用容器10はこれらの突起50によって三点支持されるため、炊飯器の内釜の中や食卓などに置いたときに姿勢が安定する。また、調理用容器10の下に突起50の高さの分だけ隙間ができるので、調理用容器10を直接食卓に置いた場合であっても食卓の表面が焼け付く心配はない。
次に、調理用容器10の使用方法について図4および図5を参照して説明する。調理用容器10は、図4に示すように炊飯器60の内釜62に入れて米64と一緒に炊き込み、中に入れた食材を加熱調理するための容器である。
まず容器本体12に食材を入れ、必要に応じて水や調味料などを加える。調理用容器10を加熱したときに水分が溢れ出さないように、水や食材の分量は調理用容器10の容量に応じて予め調整しておく。食材等を入れ終えたら容器本体12に蓋14をかぶせ、時計回りに回して蓋14を閉じる。そして調理用容器10を炊飯器に入れる。炊飯器には通常の炊飯時と同じく研いだ米64と適量の水66を入れておき、その略中央に調理用容器10を押し込むように設置する。このとき調理用容器10の底が内釜62の底に接していることを確認する。もし内釜62の底から離れて宙に浮いていると、炊飯中に調理用容器10が傾いたり倒れたりしやすくなり、食材や煮汁が容器外に溢れ出すおそれがある。
調理用容器10を内釜62の中に正しく設置したら、炊飯器60の蓋68を閉め、スイッチ70を入れて炊飯を開始する。炊飯時間は調理用容器10を使用しない通常の炊飯時の所要時間と同じでよい。炊飯器60の内釜62から発せられた熱は水66を沸騰させ、米64を炊き上げるとともに調理用容器10に加熱する。これにより調理用容器10の中の食材の加熱調理が行われる。
米飯72が炊き上がったら、取っ手30を持って米飯72の中から調理用容器10を取り出す。調理用容器10は高温になっているので、やけど防止のためミトンなどの調理用手袋を使用するとよい。
調理用容器10は耐熱性のものであれば特に材質を問わないが、扱いやすさや安全性の面からセラミック製、特に陶器製が好ましい。陶器には、遠赤外線の輻射により食材を内部まで均一に加熱し、アミノ酸などのうまみ成分を増加させる働きもある。調理用容器10は有田焼の陶器製であり、鉛やカドミウムなどの有害物質を全く含まない陶石を用いて製作されているので安全性も高い。また釉薬に特許第3686577号に係る素材を使用し、耐熱性を高めるとともに通水性を低下させている。これにより遠赤外線効果がさらに高まるとともに食材の煮汁のしみ込みや米飯のこびりつきが抑えられ、食材および米飯をより美味しく提供できるようになるとともに手入れも楽になる。また陶器製の調理用容器10は電子レンジでの使用も可能である。
また本考案の調理用容器は大きさや外形も特に限定されない。一般的な炊飯器(内釜)の形状を考慮すれば、前述した調理用容器10のような円筒形であることが好ましい。大きさについては、例えば5.5合炊きの炊飯器の場合、調理用容器10は直径97mm、高さ103mm、内容量340ml程度が適当である。特に米の分量とのバランスが重要であり、米が多すぎると水位も上昇するため、沸騰した水が容器本体12と蓋14の隙間から調理用容器10の内側に侵入したり、調理用容器10が米飯に埋もれてしまい、取り出しにくくなる。
10 調理用容器
12 容器本体
14 蓋
16 開口部
20 突起
32 環状突起
40 溝

Claims (2)

  1. 円形の開口部を有する容器本体と、前記開口部を閉じる蓋からなる調理用容器であって、
    前記蓋は表側に取っ手を備えるとともに、裏側に前記開口部の内側に嵌合し、外周面に溝を有する環状突起部を備え、前記容器本体は前記溝と係合する突起を備え、
    前記溝が、前記環状突起部の先端から根元まで延びるとともに前記根元側で少なくとも一方の円周方向に延びるように形成されていることを特徴とする、調理用容器。
  2. 前記蓋が、前記環状突起部の先端から根元に行くに従って少なくとも一方の円周方向に拡幅するように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の調理用容器。
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