JP3163340B2 - 銅酸化物系導電性セラミックスの製造方法 - Google Patents
銅酸化物系導電性セラミックスの製造方法Info
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- JP3163340B2 JP3163340B2 JP10863891A JP10863891A JP3163340B2 JP 3163340 B2 JP3163340 B2 JP 3163340B2 JP 10863891 A JP10863891 A JP 10863891A JP 10863891 A JP10863891 A JP 10863891A JP 3163340 B2 JP3163340 B2 JP 3163340B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は導電性酸化物系セラミッ
クスの製造方法に係わり、特に、容易かつ安価に入手可
能な原料を用いて比較的低温での加熱により製造可能な
銅酸化物系導電性セラミックスの製造方法に関する。
クスの製造方法に係わり、特に、容易かつ安価に入手可
能な原料を用いて比較的低温での加熱により製造可能な
銅酸化物系導電性セラミックスの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】導電性セラミックスはセラミックス特有の
耐食性、耐熱性等の優れた特性を利用して従来より電
極、発熱体等として広い分野で使用されている。例え
ば、RuO2 は電極材料、熱転写プリンターのサーマル
ヘッド等に利用されている。更に、導電性セラミックス
の他の用途例としてはITOセラミックスの透明電極へ
の適用、PLZTセラミックスの光スイッチへの適用な
ど、その応用分野は拡大しつつある。
耐食性、耐熱性等の優れた特性を利用して従来より電
極、発熱体等として広い分野で使用されている。例え
ば、RuO2 は電極材料、熱転写プリンターのサーマル
ヘッド等に利用されている。更に、導電性セラミックス
の他の用途例としてはITOセラミックスの透明電極へ
の適用、PLZTセラミックスの光スイッチへの適用な
ど、その応用分野は拡大しつつある。
【0003】請求項中の一般式[1]においてx=0,
y=1,z=0、すなわちCu6 O 8 PbClなる組成
式で表される化合物は、マードカイトという名で天然に
存在する鉱物結晶として知られている。マードカイトの
人工的な合成法としては塩化銅と水酸化鉛との混合水溶
液から水熱反応によって合成する手段が知られている
が、反応の再現性に乏しく、またPb2 CuCl2 (O
H)4 の副生成物として生成するに過ぎないため単一相
を人工的に合成することは困難であった。
y=1,z=0、すなわちCu6 O 8 PbClなる組成
式で表される化合物は、マードカイトという名で天然に
存在する鉱物結晶として知られている。マードカイトの
人工的な合成法としては塩化銅と水酸化鉛との混合水溶
液から水熱反応によって合成する手段が知られている
が、反応の再現性に乏しく、またPb2 CuCl2 (O
H)4 の副生成物として生成するに過ぎないため単一相
を人工的に合成することは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように導電性セラ
ミックスは広い分野で使用されており、その有用性が重
視されていることから導電性セラミックスをより安価か
つ容易に製造する方法が常に望まれている。請求項中の
一般式[1]にて表わされる導電性セラミックスの製造
方法はこのような実情に鑑みて発明されたものであり、
従来合成困難であったマードカイト型化合物を容易かつ
安易に入手可能な原料を用いて比較的低温での加熱によ
り工業的に有利に製造することを目的とする。
ミックスは広い分野で使用されており、その有用性が重
視されていることから導電性セラミックスをより安価か
つ容易に製造する方法が常に望まれている。請求項中の
一般式[1]にて表わされる導電性セラミックスの製造
方法はこのような実情に鑑みて発明されたものであり、
従来合成困難であったマードカイト型化合物を容易かつ
安易に入手可能な原料を用いて比較的低温での加熱によ
り工業的に有利に製造することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項の銅酸化物系導電
性セラミックスの製造方法は、下記一般式[1]で表わ
される導電性銅酸化物系セラミックス: Cu6 (Inx Pby )O8-z Cl−−−[1] 但し、 x+y=1 0≦x<1 0<y≦1 0≦z≦1 の製造方法であって、硝酸銅、塩化銅、硝酸インジウ
ム、および硝酸鉛とからなる混合物を300℃〜550
℃で加熱することを特徴とする。
性セラミックスの製造方法は、下記一般式[1]で表わ
される導電性銅酸化物系セラミックス: Cu6 (Inx Pby )O8-z Cl−−−[1] 但し、 x+y=1 0≦x<1 0<y≦1 0≦z≦1 の製造方法であって、硝酸銅、塩化銅、硝酸インジウ
ム、および硝酸鉛とからなる混合物を300℃〜550
℃で加熱することを特徴とする。
【0006】以下に本発明を詳細に説明する。まず硝酸
銅、塩化銅、硝酸インジウム、および硝酸鉛の所定量を
混合し、次いで得られた混合物を300〜550℃で加
熱することにより、導電性セラミックスを得る。ここ
で、加熱温度が550℃を超えると絶縁性セラミックス
であるCuO及びIn2 O3が分解生成し、導電性セラ
ミックスの生成割合が減少し、更に高温の場合には全て
絶縁性セラミックスとなるため好ましくない。一方、加
熱温度が300℃未満では硝酸塩の分解反応が効率的に
進行しない。
銅、塩化銅、硝酸インジウム、および硝酸鉛の所定量を
混合し、次いで得られた混合物を300〜550℃で加
熱することにより、導電性セラミックスを得る。ここ
で、加熱温度が550℃を超えると絶縁性セラミックス
であるCuO及びIn2 O3が分解生成し、導電性セラ
ミックスの生成割合が減少し、更に高温の場合には全て
絶縁性セラミックスとなるため好ましくない。一方、加
熱温度が300℃未満では硝酸塩の分解反応が効率的に
進行しない。
【0007】この加熱時間は30分〜15時間程度の間
で適宜選定され、加熱は電気炉等の通常の加熱装置を用
いて行なうことが出来る。硝酸銅、塩化銅、硝酸インジ
ウム、および硝酸鉛の原料化合物の混合方法としては、
各々の原料化合物をボールミル等で粉砕混合する方法、
又は、各々の原料化合物水溶液を混合した後、蒸発乾固
して水を除去する方法等を採用することが出来る。
で適宜選定され、加熱は電気炉等の通常の加熱装置を用
いて行なうことが出来る。硝酸銅、塩化銅、硝酸インジ
ウム、および硝酸鉛の原料化合物の混合方法としては、
各々の原料化合物をボールミル等で粉砕混合する方法、
又は、各々の原料化合物水溶液を混合した後、蒸発乾固
して水を除去する方法等を採用することが出来る。
【0008】
【作用】本発明の製造法によって得られた導電性セラミ
ックスは、そのX線回折スペクトルのパターンから、空
間群Fm3mに属する立方晶系のマードカイト型結晶で
あると認められる。この結晶においては立方晶の酸素が
一部欠損したものも含まれ、銅の酸化数は+2〜+3の
混合価数であると考えられ、これが導電性に寄与すると
推定される。
ックスは、そのX線回折スペクトルのパターンから、空
間群Fm3mに属する立方晶系のマードカイト型結晶で
あると認められる。この結晶においては立方晶の酸素が
一部欠損したものも含まれ、銅の酸化数は+2〜+3の
混合価数であると考えられ、これが導電性に寄与すると
推定される。
【0009】このように本発明に従えば硝酸塩や塩化物
といった安価で容易に入手可能な原料を用いて導電性セ
ラミックスを容易に製造することが出来る。さらに本発
明によればマードカイト結晶中の鉛原子の一部を任意の
割合でInで置換することが可能である。こうすること
により、さらに比抵抗値の低い導電性に優れたセラミッ
クスを容易に得ることが出来る。
といった安価で容易に入手可能な原料を用いて導電性セ
ラミックスを容易に製造することが出来る。さらに本発
明によればマードカイト結晶中の鉛原子の一部を任意の
割合でInで置換することが可能である。こうすること
により、さらに比抵抗値の低い導電性に優れたセラミッ
クスを容易に得ることが出来る。
【0010】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。
説明する。
【0011】<実施例1>硝酸銅三水和物7.824
g、塩化第二銅二水和物1.104g、および硝酸鉛
1.073gとからなる混合物を良く混合し、空気中3
50℃にて5時間加熱した。その結果、図1に示すよう
な立方晶系のX線回折パターンを有する銅酸化物系導電
性セラミックスが得られた。このX線回折スペクトルか
ら本実施例によりCu6 PbO8 Clが生成したことが
確認された。このようにして得られた導電性セラミック
スの比抵抗は室温において1 Ω・cmであった。
g、塩化第二銅二水和物1.104g、および硝酸鉛
1.073gとからなる混合物を良く混合し、空気中3
50℃にて5時間加熱した。その結果、図1に示すよう
な立方晶系のX線回折パターンを有する銅酸化物系導電
性セラミックスが得られた。このX線回折スペクトルか
ら本実施例によりCu6 PbO8 Clが生成したことが
確認された。このようにして得られた導電性セラミック
スの比抵抗は室温において1 Ω・cmであった。
【0012】<実施例2>硝酸銅三水和物7.4g、塩
化第二銅二水和物1.044g、硝酸インジウム三水和
物1.149g、および硝酸鉛0.406gとからなる
混合物を520℃にて20分加熱した。その結果、図2
に示すような立方晶系のX線回折パターンを有する銅酸
化物系導電性セラミックスが得られた。このX線回折ス
ペクトルから本実施例によりCu6 (In0.4 P
b0.6 )O8 Clが生成したことが確認された。このよ
うにして得られた導電性セラミックスの比抵抗は、室温
において10mmΩ・cmであった。
化第二銅二水和物1.044g、硝酸インジウム三水和
物1.149g、および硝酸鉛0.406gとからなる
混合物を520℃にて20分加熱した。その結果、図2
に示すような立方晶系のX線回折パターンを有する銅酸
化物系導電性セラミックスが得られた。このX線回折ス
ペクトルから本実施例によりCu6 (In0.4 P
b0.6 )O8 Clが生成したことが確認された。このよ
うにして得られた導電性セラミックスの比抵抗は、室温
において10mmΩ・cmであった。
【0013】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明の銅酸化物
系導電性セラミックスの製造方法によれば従来法と比較
し、結晶性・均一性に優れた銅酸化物系導電性セラミッ
クスを容易に製造することが可能である。
系導電性セラミックスの製造方法によれば従来法と比較
し、結晶性・均一性に優れた銅酸化物系導電性セラミッ
クスを容易に製造することが可能である。
【0014】この銅酸化物系導電性セラミックスは、各
種の電極、発熱体原料として好適に適用可能であり、ま
た、近年技術進歩の著しい酸化物超伝導体を製造するた
めの原料としても有用である。しかして、このような材
料を安価かつ容易に提供する本発明の意義は極めて深い
ものである。
種の電極、発熱体原料として好適に適用可能であり、ま
た、近年技術進歩の著しい酸化物超伝導体を製造するた
めの原料としても有用である。しかして、このような材
料を安価かつ容易に提供する本発明の意義は極めて深い
ものである。
【0015】
【図1】本発明の実施例1で得られた銅酸化物系導電性
セラミックスのX線回折スペクトルを示すグラフ図であ
る。
セラミックスのX線回折スペクトルを示すグラフ図であ
る。
【図2】本発明の実施例2で得られた銅酸化物系導電性
セラミックスのX線回折スペクトルを示すグラフ図であ
る。
セラミックスのX線回折スペクトルを示すグラフ図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢澤 一郎 東京都台東区台東一丁目5番1号 凸版 印刷株式会社内 (72)発明者 湊 孝夫 東京都台東区台東一丁目5番1号 凸版 印刷株式会社内 審査官 前田 仁志 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 21/00 C04B 35/495 H01B 1/08
Claims (1)
- 【請求項1】硝酸銅、塩化銅、硝酸インジウム、および
硝酸鉛とからなる混合物を300℃〜550℃で加熱す
ることを特徴とする下記一般式[1]で表わされる銅酸
化物系導電性セラミックスの製造方法。 Cu6 (Inx Pby )O8-z Cl−−−[1] 但し、 x+y=1 0≦x<1 0<y≦1 0≦z≦1
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10863891A JP3163340B2 (ja) | 1991-04-12 | 1991-04-12 | 銅酸化物系導電性セラミックスの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10863891A JP3163340B2 (ja) | 1991-04-12 | 1991-04-12 | 銅酸化物系導電性セラミックスの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04317412A JPH04317412A (ja) | 1992-11-09 |
JP3163340B2 true JP3163340B2 (ja) | 2001-05-08 |
Family
ID=14489870
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10863891A Expired - Lifetime JP3163340B2 (ja) | 1991-04-12 | 1991-04-12 | 銅酸化物系導電性セラミックスの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3163340B2 (ja) |
-
1991
- 1991-04-12 JP JP10863891A patent/JP3163340B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04317412A (ja) | 1992-11-09 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |