JP3163164B2 - 磁気シールドルーム - Google Patents

磁気シールドルーム

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JP3163164B2
JP3163164B2 JP13663592A JP13663592A JP3163164B2 JP 3163164 B2 JP3163164 B2 JP 3163164B2 JP 13663592 A JP13663592 A JP 13663592A JP 13663592 A JP13663592 A JP 13663592A JP 3163164 B2 JP3163164 B2 JP 3163164B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気遮蔽空間を画成す
る磁気遮蔽壁を超電導体で形成した磁気シールドルーム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、磁気シールドルームとして、
磁気遮蔽空間を画成する壁材として、高透磁率の材料
(例えば、パーマロイやμ−Metalなど)を使用し
たものが種々開発されてきた。
【0003】ところが、このような高透磁率材料を使用
した磁気シールドルームでは、材料における透磁率が有
限であるため、多重の磁気遮蔽壁構造にしても、完全な
磁気遮蔽空間を得る事はできない。そして、多重の磁気
遮蔽壁構造とすることによって、磁気シールドルーム自
体が大重量化するという問題があった。
【0004】そこで、最近では、磁気シールドルームの
軽量化という観点から、磁気遮蔽空間を形成する磁気遮
蔽壁を超電導体で構成することが研究されている。超電
導状態においては磁束が侵入しないため、理論上では、
超電導体製の磁気遮蔽壁で密閉空間を形成する場合に
は、1重の磁気遮蔽壁構造でも、内部磁場が0となる高
シールド効率を得ることが可能になるからである。
【0005】ところで、磁気遮蔽壁に超電導体を利用す
る磁気シールドルームの場合は、前記磁気遮蔽壁を臨界
温度以下にまで下げて超電導状態とするための冷却機構
が必要である。そして、この冷却機構は、例えば液体窒
素等を利用した冷却手段と、熱拡散を抑制して冷却効率
を高めるために超電導体による磁気遮蔽壁の周囲を囲う
断熱構造材とを具備した構成とされ、かなりの重量とな
る。また、磁気遮蔽空間内での測定のために磁気遮蔽空
間内に配備する測定用機材にも、かなりの重量となるも
のが必要となる場合がある。
【0006】しかし、超電導体による磁気遮蔽壁は、通
常、薄膜あるいは薄板状のもので、強度が低く、この磁
気遮蔽壁に前記冷却機構や測定機材の荷重が作用する
と、遮蔽壁の一部が破損して磁気シールドルームとして
のシールド特性が著しく低下する虞があった。
【0007】そこで、従来では、図2に示すように、超
電導体による磁気遮蔽壁1を単純な円筒構造にして、前
記冷却手段の断熱構造材2は前記磁気遮蔽壁を内蔵する
中空円筒状にして、前記断熱構造材2を高強度の構造物
に仕立てて、該断熱構造材自体で冷却手段の荷重や測定
用機材の荷重を受けるようにした構成のものが提案され
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図2に示す構
成のものでは、シールドルームの形状が円筒形といった
単純なものに画一化されてしまうという問題があった。
【0009】また、超電導体は通常、高温度で焼成して
製作されるため、製作した磁気遮蔽壁上には焼成処理時
に生じた歪によって凹凸が残る場合が多い。そのため、
図2のような構成としても、熱処理時の歪による凹凸の
ために、前記磁気遮蔽壁1と断熱構造材2との接触が極
めて微小な局部的接触となり、磁気遮蔽壁1の自重によ
って接触部にクラックが発生して、シールド特性が低下
する虞もあった。
【0010】前述の熱処理時の歪による凹凸による局部
的な接触を回避するために、研削加工によって、歪によ
る凹凸を除去するといった対応も考えられているが、磁
気遮蔽壁1がある程度以上の大きさになると、研削加工
自体が極めて困難になり、また、研削加工によって製作
コストが大幅に増加してしまうため、好ましい対応とは
言えない。
【0011】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、超電導体による磁気遮蔽
壁に冷却機構や測定機材の荷重が作用することを防止す
るとともに、超電導体によるシールドルームの形状が画
一化されてしまうという問題を回避すること、また、焼
成処理等によって発生した歪によって超電導体による磁
気遮蔽壁と断熱構造材との接触が極めて微小な局部的接
触となることを防止して、局部的接触による磁気遮蔽壁
の破損によるシールド特性の低下を防止すること、研削
加工等による製作コストの増加を抑制することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の磁気シ
ールドルームは、磁気遮蔽空間を画成する磁気遮蔽壁を
超電導体で形成したもので、前記磁気遮蔽壁には、該磁
気遮蔽壁よって囲う空間の内外を連通させる筒状の超電
導体製突出部が設けられる。
【0013】そして、前記超電導体製突出部を挿通した
非磁性材料による連結棒を介して、前記磁気遮蔽壁の囲
う空間内に設備される機材等が磁気遮蔽壁外部の構造物
に連結され、前記機材等の荷重が磁気遮蔽壁外部の構造
物によって支えられる。
【0014】請求項2に記載の磁気シールドルームは、
磁気遮蔽空間を画成する磁気遮蔽壁を超電導体で形成し
たもので、前記磁気遮蔽壁には、該磁気遮蔽壁を支持す
る支持構造物と接触させるための突出部を適宜間隔で設
け、これらの突出部で前記磁気遮蔽壁と支持構造物との
間に作用する荷重を受ける。
【0015】
【作用】請求項1に記載の磁気シールドルームでは、超
電導体製の磁気遮蔽壁で囲った磁気遮蔽空間内に配備さ
れる機材等は、連結棒を介して磁気遮蔽壁外部の構造物
に連結され、それらの機材等の荷重が磁気遮蔽壁には作
用することが防止される。また、磁気遮蔽壁自体には機
材等の荷重が作用しないため、外部荷重による磁気遮蔽
壁の破損防止のために磁気遮蔽壁の形状が単純形状に制
限されるということがなくなり、超電導体によるシール
ドルームの形状が画一化されてしまうという問題を回避
することが可能になる。
【0016】また、超電導体で形成した筒の内部では、
筒の開口端から内部に入るに従って外部磁場の侵入が指
数関数的に減少するという性質が活かされて、例えば、
筒上の超電導体製突出部は開口径の2倍程度の突出長を
確保した構造とすれば、該超電導体製突出部の開口部か
ら磁気遮蔽空間内に外部磁場が侵入することを防止する
ことができ、超電導体で密閉した磁気遮蔽空間の場合と
同様に、良好なシールド特性が得られる。
【0017】また、磁気遮蔽壁には、機材等の荷重が作
用することがないため、焼成処理等によって発生した歪
が残留していても、この歪箇所における極めて微小な局
部的接触によって磁気遮蔽壁の破壊が防止され、シール
ド特性の低下が防止される。そして、このように、超電
導体の焼成処理等によって発生した歪の残留が許容可能
になることから、歪による凹凸を削除するための研削加
工等が不要になり、研削加工等による製作コストの増加
を抑制するも可能になる。
【0018】また、請求項2に記載の磁気シールドルー
ムでは、磁気遮蔽壁と該磁気遮蔽壁を支持する支持構造
物との間に作用する荷重は、磁気遮蔽壁に突設した複数
の突出部に分散して作用し、焼成処理等によって発生し
た歪が磁気遮蔽壁の本体に残留していても、この歪箇所
に局部的に荷重が作用することが防止される。そして、
これらの突出部の内の一部は、荷重によって接触部が変
形あるいは破損する可能性もあるが、突出部の接触部等
に破損が生じたとしても、磁気遮蔽空間自体の超電導体
による密閉度は変らない。従って、荷重の作用部に破損
等が生じても、シールド特性の低下を防止することがで
きる。また、焼成処理等によって生じた歪が磁気遮蔽壁
本体に残留することを許容することができるため、コス
トのかかる研削加工等を省くことができ、これによって
製作コストの低コスト化を図ることも期待することがで
きる。
【0019】
【実施例】図1は、本発明に係る磁気シールドルームの
一実施例について示したものである。図1において、符
号1は一実施例の磁気シールドルーム、2は該磁気シー
ルドルーム1のシールド特性の実験に使用した液体窒素
槽、3は液体窒素である。
【0020】前記磁気シールドルーム1は、磁気遮蔽空
間を画成する磁気遮蔽壁を超電導体で形成した磁気シー
ルドルームであって、図1においては、符号5が超電導
体製の磁気遮蔽壁であり、符号6は前記磁気遮蔽壁5を
所望の遮蔽空間形状に維持するための強度メンバーであ
る構造材である。
【0021】前記構造材6は、銀製の外径が300m
m、内径が290mmで、長さが1mの円筒状の本体6
aと、該本体6aの外周面に5cm2 当りに1個の割合
で接合された銀製の連結棒6bとで形成されている。前
記連結棒6bは、直径が10mmで、長さが20mmで
ある。なお、本体6aの両端部は、銀製の蓋が接合され
て塞がれる。また、図1の場合は、図形を簡易で見やす
いものにすることから、本体6aに突設すべき連結棒6
bの数は、実際の場合よりも少なく描いてある。前記磁
気遮蔽壁5は、薄膜化したBi系酸化物超電導体による
もので、この一実施例の場合、前記構造材6の外周面全
体にBi2 Sr2 Ca1 Cu2 x のペーストを厚さ2
00μm〜300μm程度に塗布し、これを850℃に
て30分間保持後、温度勾配5℃/hourで700℃まで
徐冷し、その後、N2 ガス雰囲気下で、10℃/hourの
温度勾配で冷却することによって形成している。
【0022】なお、この一実施例の場合、図1に示すよ
うに、連結棒6bの先端面は超電導体の薄膜で覆われて
いない。従って、該磁気遮蔽壁5は、構造的には、磁気
遮蔽空間を画成するための大径の円筒状の本体5aと、
この本体5aによって囲う磁気遮蔽空間の内外を連通さ
せる小径の円筒状の超電導体製突出部5bとを有したも
のとなっている。
【0023】このような磁気シールドルーム1を液体窒
素槽2に入れた場合、前記超電導体製突出部5bを挿通
した非磁性材料による連結棒6bの先端面が液体窒素槽
2の内面に接触し、磁気遮蔽壁5は、超電導体製突出部
5bの先端部以外は、液体窒素槽2と接触しない。
【0024】換言すれば、一実施例に示した構造の磁気
シールドルーム1では、構造材6の自重は、連結棒6b
を介して液体窒素槽2に伝達され、磁気遮蔽壁5には作
用しない。また、磁気遮蔽空間内に配備すべき測定用機
材がある場合、その測定用機材の重量等による荷重も、
構造材6の本体6aから連結棒6bを介して液体窒素槽
2に作用し、磁気遮蔽壁5には作用しない。
【0025】従って、磁気遮蔽壁5に冷却機構や測定機
材の荷重が作用することが防止される。また、構造材6
の本体6aが円筒状以外の任意の形状で合ったとして
も、前記構造材6の連結棒6bと磁気遮蔽壁5の超電導
体製突出部5bとの関係が維持される限り、同様の作用
効果を得ることができる。従って、超電導体によるシー
ルドルームの形状が画一化されてしまうという問題を回
避することもできる。
【0026】また、超電導体で形成した筒の内部では、
筒の開口端から内部に入るに従って外部磁場の侵入が指
数関数的に減少するという性質があり、前述の超電導体
製突出部5bの場合、該超電導体製突出部5bの開口径
の2倍程度の突出長を確保しておけば、該超電導体製突
出部5bから本体5a内に外部磁場が侵入することを防
止することができ、超電導体で密閉した磁気遮蔽空間の
場合と同様に、良好なシールド特性が得られる。
【0027】さらに、図1に示した一実施例の磁気シー
ルドルーム1では、磁気遮蔽壁5は、超電導体製突出部
5bの先端部が液体窒素槽2に接触しており、この部分
では、外部構造物との局所的な接触が生じているが、予
め、超電導体製突出部5bの突出長に余裕を持たせてお
けば、この超電導体製突出部5bの先端部が局所的な接
触によって破損したとしても、本体5a内のシールド特
性にはなんら影響はしない。
【0028】また、一実施例の場合、磁気遮蔽壁5の自
重は、磁気遮蔽壁5の本体5aと構造材6の本体6aと
の接触面だけでなく、超電導体製突出部5bと構造材6
の連結棒6bとの係合部など多数の接触箇所に分散され
ている。そのため、焼成処理等によって発生した歪が残
留していても、この歪によって超電導体による磁気遮蔽
壁5と構造材6との接触が極めて微小な局部的接触とな
ることを防止され、局部的接触による磁気遮蔽壁5の破
損によるシールド特性の低下が防止される。
【0029】そして、このように、超電導体の焼成処理
等によって発生した歪の残留が許容可能になることか
ら、歪による凹凸を削除するための研削加工等が不要に
なり、研削加工等による製作コストの増加を抑制するも
可能になる。
【0030】前述の一実施例の磁気シールドルーム1に
ついては、磁気遮蔽空間内(即ち、構造材6の本体6a
内)に20kgの錘(測定用機材の荷重を想定してい
る)を載せて、シールド特性の測定を行ったが、変化は
見られず、良好なシールド特性が確認された。また、磁
気シールドルーム1を液体窒素槽2と一体に揺らしなが
ら測定したが、この場合にも、シールド特性は変化せ
ず、良好なシールド特性が確認された。
【0031】なお、比較のために、前記構造材6の連結
棒6bや磁気遮蔽壁5の超電導体製突出部5bが無く、
磁気遮蔽壁5が単純な円筒状になる構造のもので同様な
実験を行った。この場合は、20kgの錘を載せただけ
ではシールド特性に変化は生じなかったが、揺らした場
合では、シールド特性の低下が確認され、一実施例の効
果を評価することができた。
【0032】また、本願発明者等は、前記構造材6とし
て、Niによって本体6aおよび連結棒6bを一体化し
た構造を形成し、さらにその外表面全体を銀の薄膜で覆
ったものを用意して、同様の実験を行った。この場合に
も、一実施例の場合と同様に良好なシールド特性が確認
された。
【0033】なお、磁気遮蔽壁に超電導体を利用する磁
気シールドルームの場合は、磁気遮蔽壁を臨界温度以下
にまで下げて超電導状態とするための冷却手段の他に、
熱拡散を抑制して冷却効率を高めるために超電導体によ
る磁気遮蔽壁の周囲を囲う断熱構造材とが必要になる。
【0034】図1に示した一実施例の場合では、これら
の冷却手段や断熱構造材の具体的な構成については、示
していない。しかし、一実施例の場合、図2に示すよう
に、断熱構造材7は、磁気遮蔽壁5と構造材6とからな
る遮蔽壁を両側から挟む構造とするとよい。そして、連
結棒6bと接触する断熱構造材7は、例えば高強度の構
造物に仕立てて、該断熱構造材7と構造材6とを連結し
た構造にして、構造材6の荷重や磁気遮蔽空間内に配備
する測定用機材の荷重は構造材6を介して断熱構造材7
側で支えるようにして、磁気遮蔽壁5自体には余計な荷
重が作用しないようにする。
【0035】また、前記連結棒6bはさらに長さを延長
して、断熱構造材7の外側に位置している構造物に連結
するようにしてもよい。
【0036】また、図1に示した一実施例では、構造材
6は一方の側にのみ連結棒6bを突設した構造とした。
しかし、図3に示すように、両側に連結棒6bを突設し
た構造として、両側の連結棒6bを介して断熱構造材7
同士が連結される構造としてもよい。
【0037】さらに、図1に示した一実施例の場合で
は、超電導体製突出部5bは先端を開放した筒状とした
が、図4に示すように、連結棒6bの先端面を覆う有底
筒状としてもよい。このように有底筒状構造とした方
が、超電導体による密閉度が高まり、シールド特性の安
定性を期待することができる。しかし、連結棒6bの先
端面を覆う超電導体の部分5cは、断熱構造材7と面接
触して構造材6の荷重等が作用することになるため、破
損が発生する虞がある。しかし、この部分5cが破損し
ても、超電導体製突出部5bにおける侵入磁場の減衰効
果によって、シールド特性が低下することはない。
【0038】図5は本発明の他の実施例となる磁気シー
ルドルームにおける超電導体製の磁気遮蔽壁8の構造を
示したものである。
【0039】この磁気遮蔽壁8は、比較的に厚肉の超電
導体を使用したもので、円筒状の本体8aの内外周面に
該磁気遮蔽壁8を支持する支持構造物(例えば、断熱構
造材)と接触させるための突出部8bを適宜間隔で設け
た構成をなし、これらの突出部8bで前記磁気遮蔽壁8
と支持構造物との間に作用する荷重を受ける。
【0040】この磁気遮蔽壁8は、次のようにして製造
される。まず、Bi1.75Pb0.45Sr2 Ca2 Cu3.2
x の組成の仮焼粉を作り、この仮焼粉を材料としてC
IP成形により外径が200mm、内径が180mm、
長さが600mmの円筒体を成形し、これを845℃に
て30時間焼成する。この円筒体は前記本体8aとなる
ものである。さらに、この円筒体の内外周面には、円筒
の長さ方向に100mmの間隔、そして円周方向にも1
00mmの間隔となるように、前記Bi1.75Pb0.45
2 Ca2 Cu3.2 x によって作成した超電導体製の
ロッドを、同質の超電導体ペーストを使って接合して、
図5に示した磁気遮蔽壁8とした。この場合、ロッド
は、直径が20mmで長さが40mmとした。
【0041】前記磁気遮蔽壁8は、図6に示すように、
突出部8bの先端が断熱構造材9に接触させ、この断熱
構造材9を磁気遮蔽壁8を支持する支持構造物として利
用し、磁気遮蔽壁8と断熱構造材9との間に作用する荷
重は、前述の複数個の突出部8bで受ける構成とする。
【0042】このような構造では、磁気遮蔽壁8と断熱
構造材9との間に作用する荷重は、複数の突出部8bに
分散して作用し、焼成処理等によって発生した歪が本体
8aに残留していても、この歪箇所に局部的に荷重が作
用することが防止される。そして、これらの突出部8b
の内の一部は、荷重によって接触部が変形する可能性も
あるが、磁気遮蔽空間自体は、本体8aによって密閉さ
れた構造で、突出部8bの接触部等に破損が生じたとし
ても、本体8aによる密閉度は変らない。従って、荷重
の作用部に破損等が生じても、シールド特性の低下を防
止することができる。また、焼成処理等によって生じた
歪が本体8aに残留することを許容することができるた
め、コストのかかる研削加工等を省くことができ、これ
によって製作コストの低コスト化を図ることも期待する
ことができる。
【0043】この図5の磁気遮蔽壁8についても、一実
施例の場合と同じように、液体窒素槽で徐冷して超電導
状態として、シールド特性の変化を調べた。磁気遮蔽壁
8内に10kgの錘を載せても、シールド特性に変化は
なく、良好なシールド特性が確認された。また、揺らし
ても、シールド特性に変化がなく、良好なシールド特性
が確認された。
【0044】なお、以上の実施例では、超電導体製の磁
気遮蔽壁は、いずれも、全体として円筒状のものを示し
た。しかし、本発明は、磁気遮蔽壁の形状自体は任意で
あり、円筒状に限らず、用途にあった形状とすることが
可能である。
【0045】また、超電導体としては、いずれもBi系
のものを示したが、超電導体も実施例に限定するもので
はない。しかし、実用上、臨界温度の高いものが好まし
く、例えば、Y系や、Te系の酸化物超電導体を利用す
るのが、望ましい。
【0046】また、一実施例では、構造材6として、銀
やNiを利用した場合について説明したが、構造材6の
材質は、非磁性材料であればよく、実施例の材質に限定
するものではない。
【0047】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1に記載の磁気シールドルームでは、超電導体製の磁気
遮蔽壁で囲った磁気遮蔽空間内に配備される機材等は、
連結棒を介して磁気遮蔽壁外部の構造物に連結され、そ
れらの機材等の荷重が磁気遮蔽壁には作用することが防
止される。また、磁気遮蔽壁自体には機材等の荷重が作
用しないため、外部荷重による磁気遮蔽壁の破損防止の
ために磁気遮蔽壁の形状が単純形状に制限されるという
ことがなくなり、超電導体によるシールドルームの形状
が画一化されてしまうという問題を回避することが可能
になる。
【0048】また、超電導体で形成した筒の内部では、
筒の開口端から内部に入るに従って外部磁場の侵入が指
数関数的に減少するという性質が活かされて、例えば、
筒上の超電導体製突出部は開口径の2倍程度の突出長を
確保した構造とすれば、該超電導体製突出部の開口部か
ら磁気遮蔽空間内に外部磁場が侵入することを防止する
ことができ、超電導体で密閉した磁気遮蔽空間の場合と
同様に、良好なシールド特性が得られる。
【0049】また、磁気遮蔽壁には、機材等の荷重が作
用することがないため、焼成処理等によって発生した歪
が残留していても、この歪箇所における極めて微小な局
部的接触によって磁気遮蔽壁の破壊が防止され、シール
ド特性の低下が防止される。そして、このように、超電
導体の焼成処理等によって発生した歪の残留が許容可能
になることから、歪による凹凸を削除するための研削加
工等が不要になり、研削加工等による製作コストの増加
を抑制するも可能になる。
【0050】また、請求項2に記載の磁気シールドルー
ムでは、磁気遮蔽壁と該磁気遮蔽壁を支持する支持構造
物との間に作用する荷重は、磁気遮蔽壁に突設した複数
の突出部に分散して作用し、焼成処理等によって発生し
た歪が磁気遮蔽壁の本体に残留していても、この歪箇所
に局部的に荷重が作用することが防止される。そして、
これらの突出部の内の一部は、荷重によって接触部が変
形あるいは破損する可能性もあるが、突出部の接触部等
に破損が生じたとしても、磁気遮蔽空間自体の超電導体
による密閉度は変らない。従って、荷重の作用部に破損
等が生じても、シールド特性の低下を防止することがで
きる。また、焼成処理等によって生じた歪が磁気遮蔽壁
本体に残留することを許容することができるため、コス
トのかかる研削加工等を省くことができ、これによって
製作コストの低コスト化を図ることも期待することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の説明図である。
【図2】本発明の一実施例の説明図である。
【図3】本発明の一実施例の要部の他の構成例の説明図
である。
【図4】本発明の一実施例の要部の他の構成例の説明図
である。
【図5】本発明の他の実施例の説明図である。
【図6】本発明の他の実施例の要部の他の構成例の説明
図である。
【符号の説明】
1 磁気シールドルーム 2 液体窒素槽 3 液体窒素 5,8 磁気遮蔽壁 5a,8a 本体 5b,8b 超電導体製突出部 6 構造材 6a 本体 6b 連結棒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−21684(JP,A) 特開 平5−299882(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G12B 17/02 H05K 9/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気遮蔽空間を画成する磁気遮蔽壁を超
    電導体で形成した磁気シールドルームであって、 前記磁気遮蔽壁には、該磁気遮蔽壁よって囲う空間の内
    外を連通させる筒状の超電導体製突出部が設けられ、 該超電導体製突出部を挿通した非磁性材料による連結棒
    を介して、前記磁気遮蔽壁の囲う空間内に設備される機
    材等が磁気遮蔽壁外部の構造物に連結され、前記機材等
    の荷重が磁気遮蔽壁外部の構造物によって支えられるこ
    とを特徴とした磁気シールドルーム。
  2. 【請求項2】 磁気遮蔽空間を画成する磁気遮蔽壁を超
    電導体で形成した磁気シールドルームであって、 前記磁気遮蔽壁には、該磁気遮蔽壁を支持する支持構造
    物と接触させるための突出部を適宜間隔で設け、これら
    の突出部で前記磁気遮蔽壁と支持構造物との間に作用す
    る荷重を受けることを特徴とする磁気シールドルーム。
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