JP3083649B2 - 磁気シールド体の製造方法 - Google Patents

磁気シールド体の製造方法

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JP3083649B2 JP04209485A JP20948592A JP3083649B2 JP 3083649 B2 JP3083649 B2 JP 3083649B2 JP 04209485 A JP04209485 A JP 04209485A JP 20948592 A JP20948592 A JP 20948592A JP 3083649 B2 JP3083649 B2 JP 3083649B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酸化物超電導体を用いた
磁気シールド体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、臨界温度(Tc)が液体窒素の沸
点(77.3K)を超える酸化物系化合物超電導体が発
見されており、冷媒として高価で扱いにくい液体ヘリウ
ムを使用する必要がなく、安価で取扱容易な液体窒素が
使用可能であるため、超電導技術を飛躍的に発展させる
ものとして注目され、期待を集めている。超電導体を磁
気シールドとして利用しようという試みは既になされて
いるが(例えばL.L.Vant−Hull and
J.E.Mercereau:Rev.Sci.Ins
trum.vol.34(1963)p.1238)、
酸化物超電導体発見以前は、経済的にも断熱槽などシス
テムの構造上の問題からも、その用途は限られたもので
あった。超電導磁気シールドは、高温超電導体発見によ
り注目を再び集めた分野であるといえる。
【0003】従来、酸化物超電導体を用いた磁気シール
ド体の製造方法としては、薄膜法、厚膜法、およびバル
ク法等が知られている。薄膜法としては、MOCVD
法、CVD法、スパッタリング法、レーザーアブレーシ
ョン法等があり、厚膜法にはドクターブレード法、溶射
法、スクリーン印刷法等がある。また、バルク法として
は焼結法や溶融法などが知られている。これらの中か
ら、技術的、経済的に用途に最適な製法を選ぶ必要があ
る。
【0004】用途からみると、磁気シールドはその対象
とする磁場の大きさによって大別して二種類に分類して
考えられる。一つは、臨界電流密度(Jc)を利用する
強磁場を対象とした強磁場シールドであり、もう一つ
は、マイスナー効果を利用した環境磁場を極微弱磁場へ
と低減させるための弱磁場シールドである。
【0005】強磁場シールドについては、臨界温度(T
c)が液体窒素の沸点(77.3K)を超えた超電導体
(例えば、YBa2 Cu37-y )が発見された後も、
粒界が弱結合であるため通常得られる多結晶体の全体と
しての臨界電流密度(Jc)が著しく小さいこと等の問
題から、その実用化は困難視されてきた。しかし、その
後の研究の進展により、Agシース法Bi2 Sr2 Ca
2 Cu3z 線材の製法などに見られるように、磁場中
においても高い臨界電流密度(Jc)を有することが判
明した。
【0006】しかしながら、磁気シールド体は通常中空
の筒状体で用いられ、線材から筒を形成させるのに、高
温(例えば、液体窒素の沸点(77.3K))において
も有効な超電導接続によってそれを行なうことは困難で
ある。また、超電導接続が可能であるとしても、閉ルー
プであるため曲面によって空間を覆うことは難しく、シ
ールド可能な磁場の方向が限られてしまったり、さら
に、隙間があればそこからの漏れ磁場で特性が低下す
る。金属系超電導線をソレノイド状に巻いて筒とし、イ
ンジウムなどを含浸させて4.2Kで動作する筒状シー
ルドとした例もあるが、これは含浸させるものが超電導
状態または、非常に低抵抗であることを利用している。
高温(例えば、液体窒素の沸点(77.3K))ではこ
ういった物質は見当らない。
【0007】低圧プラズマ溶射によって筒状に形成され
た比較的高い臨界電流密度(Jc)を持つYBa2 Cu
37-y もあるが、磁気的不安定性を取り除くため必要
な良導体との積層は、一般に厚膜法では経済的に不利で
あり、技術的な困難さも考えられる。焼結法、溶融法等
も良導体との積層にはあまり適していない。薄膜で高い
臨界電流密度(Jc)を持つものも知られてはいるが、
形成面積が小さいこと、単結晶基板を使用することが多
い等加工性やコストの面で難がある。
【0008】弱磁場シールドについては、シールド全体
が超電導体として一様でありさえすればよいことから、
酸化物超電導体発見直後から応用として有望なものと考
えられてきた。しかし、生体磁気計測などで必要とされ
る大きさは、多結晶体でなくては得られず、有効磁場侵
入長から、Bi2 Sr2 Ca2 Cu3z 系において数
百μmの厚さが必要となり、単結晶の磁場侵入長(約数
百nm)から考えると、より多くの材料を必要とするこ
ととなる。
【0009】また、酸化物の機械的特性から、冷却に際
しクラックが生じ易く、磁気シールド特性を著しく劣化
させるという問題がある。クラックの発生を間接冷却に
よって防止する方法も考案されてはいるが、システムが
複雑になることと、heatfrashing冷却法
(W.O.Hamilton:Rev.Phys.Ap
pl.vol.50(1970)p.41)やレーザー
スポットによるトラップ磁束の排除などが行なえず、残
留磁束によるノイズ発生の軽減が難しいという欠点があ
る。
【0010】また、シールド体そのもののコスト削減を
目的にし棒状の超電導体を接合して櫓状に組み上げたも
のもあり、クラックが生じたことによる磁気シールドシ
ステムの欠損を短時間かつ低コストで補うことも提案さ
れているが、櫓に存在するスリットのために、磁気シー
ルド特性が著しく悪化してしまう。クラックについて
は、強磁場シールドについても当てはまる問題である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたことを整理
し、補足すると酸化物超電導体を用いた磁気シールド体
についての課題は以下のようになる。すなわち弱磁場シ
ールドの場合、(1)有効磁場侵入長が小さいこと、
(2)耐熱衝撃性に優れていること、(3)低温槽に支
持する際、取り扱いが容易であること、(4)冷却法や
冷却後の局所加熱等によるトラップ磁束の排除に耐え、
かつ、それが容易であること、がシールド体に主に要求
される。一方、強磁場シールドの場合、(1)臨界電流
密度が高いこと、(2)磁気的に安定であること、
(3)耐熱衝撃性に優れていること、(4)低温槽に支
持する際、取り扱いが容易であること、がシールド体に
主に要求される。
【0012】強磁場シールド、弱磁場シールドともに筒
状体で用いられることが多く、また弱磁場シールドでは
底つき筒状体であることが望ましいことも多い。しか
も、それら筒状体は、切れ目、継ぎ目、接合部、接続部
を有しないものであることが必要とされる。
【0013】本発明者らは、以上述べた課題について鋭
意検討し、その結果以上の要求を満たし、優れた特性を
有する酸化物超電導体を用いた磁気シールド体の製造方
法を提供する本発明に至った。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、酸化物超電導体層と、銀、銅または
銀もしくは銅の合金からなる金属の層が交互に少なくと
も1回以上積層され、かつ表面層が前記金属である磁気
シールド体の製造方法において、前記金属で形成された
筐体状中空体中に、酸化物超電導体と前記金属からなる
板を交互に充填積層し密封した平板状複合体に、圧延加
工および/または鍛造加工ならびに熱処理を1回ないし
複数回施し、次いでプレス加工および/またはスピニン
グによって底つき筒状複合体とし、それに続く板厚を減
じる加工を1回ないし複数回施すことを特徴とする磁気
シールド体の製造方法である。またここにおいて、プレ
ス加工および/またはスピニングによって底つき筒状複
合体とした後、前記底つき筒状複合体に熱処理とそれに
続く板厚を減じる加工を1回ないし複数回施すことも特
徴とする。
【0015】また、酸化物超電導体層と、銀、銅または
銀もしくは銅の合金からなる金属の層が交互に少なくと
も1回以上積層され、かつ表面層が前記金属である磁気
シールド体の製造方法において、前記金属で形成された
筐体状中空体中に、酸化物超電導体と前記金属からなる
板を交互に充填積層し密封した平板状複合体に、圧延加
工および/または鍛造加工を1回ないし複数回施し、次
いでプレス加工および/またはスピニングによって底つ
き筒状複合体とし、前記底つき筒状複合体に熱処理とそ
れに続く板厚を減じる加工を1回ないし複数回施すこと
を特徴とする磁気シールド体の製造方法である。
【0016】
【作用】以下、本発明の製造方法について図面に基づい
て説明する。図1は単層構造とした場合、図2は多層構
造とした場合、それぞれの場合の本発明の製造方法の説
明図で(a)〜(d)は工程順を示している。 なお図
2において(a′)ないし(d′)はそれぞれ(a)〜
(d)のxの部分の拡大図である。
【0017】シールド体の表面が銀、銅または銀もしく
は銅の合金からなる金属1の層であることによって、耐
熱衝撃性に優れ、低温槽に支持する際の取り扱いが容易
であるという長所が付与される。さらに、酸化物超電導
体2と前記金属1の層を交互に複数回積層された構造と
することによって、磁気的安定化が図られる。ただし、
超電導体2の層のトータルの厚さが同じ場合、層数が多
いほど安定化の面からは好ましいが、最終形状での一層
あたりの厚さは少なくとも磁場侵入長程度以上である必
要がある。
【0018】前記金属1で形成された筐体状中空体中
に、酸化物超電導体2と前記金属1からなる板を交互に
充填積層し密封して平板状複合体11(図1)または1
1′(図2)とすることは、磁気的安定化の度合い、臨
界電流密度が可逆的である限界歪や機械的強度等の設計
の自由度を高める。
【0019】前記平板状複合体11または11′に圧延
および/または鍛造加工ならびに熱処理を1回ないし複
数回施し加工性あるいは特性を向上させ、深絞りなどの
プレス加工および/またはスピニングを施すと、周方向
および軸方向何れにも切れ目または接合部のない筒状複
合体12または12′とすることができる。切れ目は、
そこからの漏れ磁場によるシールド特性の劣化を招く。
接合部は、抵抗を有すれば切れ目と殆ど変わらず、超電
導接続されていても安定性で劣るのが通常である。
【0020】平板状のまま圧延等の加工と熱処理を繰り
返すと、超電導体の組織が緻密化し、配向性が向上する
ため、有効磁場侵入長が小さくなり、かつ、臨界電流密
度が高くなる。しかし、深絞りやスピニングを行なうと
配向性が損なわれるため、方法によって程度は異なるも
のの特性は低下する。
【0021】前記底つき筒状複合体12または12′
に、熱処理とそれに続く板厚を減じる加工を1回ないし
複数回施すことによって配向性が向上し、深絞りなどの
プレス加工やスピニングで低下した特性が向上した底つ
き筒状複合体13または13′を得ることが可能であ
る。熱処理は平板状のままの圧延等の加工途中、および
/または底つき筒状複合体にした後の板厚を減じる加工
前に行なうことが有効である。
【0022】本発明による酸化物超電導体を用いた磁気
シールド体の製造方法によれば、大面積かつ大型の磁気
シールドを形成できる。なお、上記筒状複合体の断面は
円、楕円、多角形の何れでもよい。
【0023】
【実施例】
実施例1 厚さ2.5mmのAg板を用い、外形で厚さ2.2m
m、幅120mm、長さ120mm、深さ0.2mmの
筐体を切削加工により作製した。その中に、Bi2 Sr
2 Ca2 Cu3z 酸化物超電導体の仮焼粉砕粉をシー
ト状に成型したものを充填した後、厚さ2mm、幅12
0mm、長さ120mmのAg板で蓋をし、溶接によっ
て密封した。溶接は真空中において電子ビーム加熱を用
いて行なった。
【0024】その後、冷間圧延によって厚さ1mmのシ
ートとした。冷間圧延の途中で、800〜900℃にお
いて1〜300時間の熱処理を行なった。厚さ1mmの
シートから直径100mmの円板を切り抜き、深絞り加
工により、内径30mm、厚さ1mm、高さ70mmの
底つき円筒を得た。
【0025】続いて、得られた底つき円筒にスピニング
加工を施し、内径40mm、厚さ0.4mm、高さ90
mmの底つき円筒を得た。スピニングの途中で800〜
900℃において1〜300時間の熱処理を行なった。
【0026】こうして得た底つき円筒の弱磁場シールド
特性の評価は、ヘルムホルツコイルの発生する最大50
G(ガウス)の外部磁場中で、底つき円筒容器内部の磁
束密度をSQUID(量子干渉素子)あるいはフラック
スゲートメーターで測定することで行なった。その結果
は、開口部からの漏れ磁場の軸上の値は、理論値とほぼ
一致した。深絞り加工前の熱処理とスピニング途中の熱
処理を省いたものも作製したが、開口部からの漏れ磁場
の軸上の値は、理論値よりも一桁以上大きいものであっ
た。また室温〜77.3K間の熱サイクルを300回繰
り返しても、上記シールド特性に全く変化は見られなか
った。
【0027】実施例2 実施例1の工程の内、スピニング加工において内径を3
0mmのまま保ち、板厚を1mmから0.4mm減じた
ものも作製した。シールド特性、耐熱衝撃性、ともに実
施例1の結果と同様であった。
【0028】実施例3 厚さ10mmのAg板を用い、外形で厚さ75mm、幅
200mm、長さ200mm、深さ65mmの筐体を溶
接で作製した。その中に、Bi2 Sr2 Ca2Cu3z
酸化物超電導体の仮焼粉砕粉をシート状に成型したも
のと厚さ1mm、幅180mm、長さ180mmのAg
板を交互に積層充填した後、厚さ10mm、幅200m
m、長さ200mmのAg板で蓋をし、溶接によって密
封した。溶接は真空中において電子ビーム加熱を用いて
行なった。
【0029】その後、冷間圧延によって厚さ3.5mm
のシートとした。冷間圧延の途中で、800〜900℃
において1〜300時間の熱処理を行なった。厚さ4.
5mmのシートから直径100mmの円板を切り抜き、
深絞り加工により、内径30mm、厚さ3.5mm、高
さ70mmの底つき円筒を得た。
【0030】続いて、得られた底つき円筒にスピニング
加工を施し、内径40mm、厚さ2.5mm、高さ90
mmの底つき円筒を得た。この底つき円筒の底を切断
し、内径40mm、厚さ2.5mm、高さ70mmの底
無し円筒とした。
【0031】こうして得られた両端開口円筒の強磁場シ
ールド特性の評価は、ソレノイドマグネットのボア中
で、円筒の軸に平行な磁場を印加し、円筒内部軸上の円
筒軸方向の磁束密度BiをHall素子によって測定す
ることで行なった。その際、指標として、図3のグラフ
で定義されたμ0take-offを用いた。外部磁場軸中
心,77.3Kにおいて、μ0take-offは1000G
であった。室温〜77.3K間の熱サイクルを300回
繰り返しても、上記シールド特性に全く変化は見られな
かった。
【0032】実施例4 厚さ10mmのAg板を用い、外形で厚さ75mm、幅
200mm、長さ200mm、深さ65mmの筐体を溶
接で作製した。その中に、Bi2 Sr2 Ca2Cu3z
酸化物超電導体の仮焼粉砕粉をシート状に成型したも
のと厚さ1mm、幅180mm、長さ180mmのAg
板を交互に積層充填した後、厚さ10mm、幅200m
m、長さ200mmのAg板で蓋をし、溶接によって密
封した。溶接はいずれも真空中において電子ビーム加熱
を用いて行なった。
【0033】その後、冷間圧延によって厚さ3.5mm
のシートとした。厚さ4.5mmのシートから直径10
0mmの円板を切り抜き、深絞り加工により、内径30
mm、厚さ3.5mm、高さ70mmの底つき円筒を得
た。
【0034】続いて、得られた底つき円筒にスピニング
加工を施し、内径40mm、厚さ2.5mm、高さ90
mmの底つき円筒を得た。スピニングの途中で800〜
900℃において1〜300時間の熱処理を行なった。
この底つき円筒の底を切断し、内径40mm、厚さ2.
5mm、高さ70mmの底無し円筒とした。
【0035】こうして得られた両端開口円筒の強磁場シ
ールド特性を実施例3と同様な手法で評価した。その結
果軸中心,77.3Kにおいて、μ0take-offは11
00Gであった。室温〜77.3K間の熱サイクルを3
00回繰り返しても、上記シールド特性に全く変化は見
られなかった。
【0036】実施例5 厚さ10mmのAg板を用い、外形で厚さ75mm、幅
200mm、長さ200mm、深さ65mmの筐体を溶
接で作製した。その中に、Bi2 Sr2 Ca2Cu3z
酸化物超電導体の仮焼粉砕粉をシート状に成型したも
のと厚さ1mm、幅180mm、長さ180mmのAg
板を交互に積層充填した後、厚さ10mm、幅200m
m、長さ200mmのAg板で蓋をし、溶接によって密
封した。溶接は何れも真空中において電子ビーム加熱を
用いて行なった。
【0037】その後、冷間圧延によって厚さ3.5mm
のシートとした。冷間圧延の途中で、800〜900℃
において1〜300時間の熱処理を行なった。厚さ4.
5mmのシートから直径100mmの円板を切り抜き、
深絞り加工により、内径30mm、厚さ3.5mm、高
さ70mmの底つき円筒を得た。
【0038】続いて、得られた底つき円筒にスピニング
加工を施し、内径40mm、厚さ2.5mm、高さ90
mmの底つき円筒を得た。スピニングの途中で、800
〜900℃において1〜300時間の熱処理を行なっ
た。この底つき円筒の底を切断し、内径40mm、厚さ
2.5mm、高さ70mmの底無し円筒とした。
【0039】こうして得られた両端開口円筒の強磁場シ
ールド特性を実施例3と同様な手法で評価した。その結
果、軸中心,77.3Kにおいて、μ0take-offは1
200Gであった。室温〜77.3K間の熱サイクルを
300回繰り返しても、上記シールド特性に全く変化は
見られなかった。
【0040】比較例1 実施例5の工程のうち、深絞り加工前の熱処理とスピニ
ング途中の熱処理を省いたものも作製した。その強磁場
シールド特性を評価したところ、77.3Kにおいて、
μ0take-offは20Gであった。
【0041】実施例1、2のような弱磁場シールドの場
合さらにシールド特性を向上させるには、微弱磁場とし
たい空間である内側の金属層はノイズ源となるので、最
終形状の底つき円筒にした後、エッチング等によって金
属層を除去してもよい。その際、冷却は外側の金属層か
ら行い、内側の酸化物超電導体層は水滴等が冷却によっ
て着かないような措置、たとえば有機物保護膜で覆い真
空断熱槽内に酸化物超電導体層表面を置くなど、が採ら
れることが望ましい。
【0042】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではない。すなわち、上記実施例5では、底つき筒状
体に熱処理とそれに続く板厚を減じる加工を1回ないし
複数回施した後、切断して両端開口筒状体としたが、深
絞り加工後に切断して両端開口筒状体とし、得られた両
端開口筒状体に熱処理とそれに続く板厚を減じる加工を
1回ないし複数回施してもよい。また、超電導材料もB
i系酸化物超電導材料に限定されるものではない。
【0043】本発明によって得られる筒状体の用途は磁
気シールドに限定されるものではない。たとえば、着磁
して筒状体中空部内部および/または外部に磁界を発生
させるマグネットとして用いることも可能である。
【0044】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、弱磁
場シールドに適した、有効磁場侵入長が小さく、かつ、
耐熱サイクル性に優れたシールド体が容易に得られる。
また本発明によれば強磁場シールドに適した、臨界電流
密度が高く、かつ、磁気的安定性、耐熱サイクル性に優
れたシールド体が容易に得られる。したがって本発明に
よって極めて工業的効果の大きい、酸化物超電導体を用
いた磁気シールド体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化物超電導体層が一層である単層構造とした
場合の本発明の製造方法の説明図で、(a)〜(d)は
工程順を示す
【図2】酸化物超電導体層が複数層である多層構造とし
た場合の本発明の製造方法の説明図で、(a)〜(d)
は工程順を示し、(e)〜(h)はそれぞれ(a)〜
(d)のx部分の拡大図
【図3】超電導磁気シールド円筒の磁気シールド特性の
例を示したグラフ
【符号の説明】
1 金属 2 酸化物超電導体 11、11′ 平板状複合体 12、12′、13、13′ 底つき筒状複合体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−136400(JP,A) 特開 平3−217084(JP,A) 特開 平5−48290(JP,A) 特開 平4−276592(JP,A) 特開 昭63−272537(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G12B 1/00 - 17/08 H05K 9/00 B32B 15/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導体層と、銀、銅または銀も
    しくは銅の合金からなる金属の層が交互に少なくとも1
    回以上積層され、かつ表面層が前記金属である磁気シー
    ルド体の製造方法において、前記金属で形成された筐体
    状中空体中に、酸化物超電導体と前記金属からなる板を
    交互に充填積層し密封した平板状複合体に、圧延加工お
    よび/または鍛造加工ならびに熱処理を1回ないし複数
    回施し、次いでプレス加工および/またはスピニングに
    よって底つき筒状複合体とし、それに続く板厚を減じる
    加工を1回ないし複数回施すことを特徴とする磁気シー
    ルド体の製造方法。
  2. 【請求項2】 プレス加工および/またはスピニングに
    よって底つき筒状複合体とした後、前記底つき筒状複合
    体に熱処理とそれに続く板厚を減じる加工を1回ないし
    複数回施すことを特徴とする請求項1記載の磁気シール
    ド体の製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化物超電導体層と、銀、銅または銀も
    しくは銅の合金からなる金属の層が交互に少なくとも1
    回以上積層され、かつ表面層が前記金属である磁気シー
    ルド体の製造方法において、前記金属で形成された筐体
    状中空体中に、酸化物超電導体と前記金属からなる板を
    交互に充填積層し密封した平板状複合体に、圧延加工お
    よび/または鍛造加工を1回ないし複数回施し、次いで
    プレス加工および/またはスピニングによって底つき筒
    状複合体とし、前記底つき筒状複合体に熱処理とそれに
    続く板厚を減じる加工を1回ないし複数回施すことを特
    徴とする磁気シールド体の製造方法。
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