JP3162932B2 - 自動車用ウインドモールディング及びその製造方法 - Google Patents

自動車用ウインドモールディング及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のウインドガラ
ス周縁部に装着される自動車用モールディング及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車の車体パネルの窓開口部
に取り付けられたウインドガラスの周縁部には、シール
機能及び装飾機能を備えたウインドモールディングが装
着されている。すなわちウインドガラスの周縁部と車体
パネルの窓枠開口部との間に形成された連続細長状の隙
間内に、長尺状押出部材からなるウインドモールディン
グが嵌挿されている。このウインドモールディングは、
上記隙間を車外側から覆う装飾部と、この装飾部から隙
間内に延出する脚部とを有している。
【0003】このようなウインドモールディングにおい
て、本願発明者は、所定の部位で装飾部を車外側に膨出
厚肉化して堰を形成するとともに、その堰に導水溝を凹
設し、全長を一連一体に形成するように構成したウイン
ドモールディングを、特開平4ー365216号公報等
により既に提案している。この提案においては、堰部を
構成する厚肉部及び導水溝を、例えばウインドガラスの
サイド部に設けており、その導水溝によってウインドガ
ラス上の雨水等集めて所定の部位に導くように構成して
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このとき上記導水溝
は、最大の樋機能を得る大きな容量とするために、横断
面形状を矩形状に形成することが好ましいが、肉厚が減
じられている例えばコーナー部では、横断面形状を矩形
状としたままでは導水溝を設けることができないという
問題がある。
【0005】また押出形成ダイを用いてウインドモール
ディングを形成し導水溝を設ける場合には、例えば押出
成形口の導水溝に対応する部分にダイを進入させて押出
成形口の一部を遮蔽する等の手段があるが、この遮蔽用
のダイの大きさは、容量の大きい横断面矩形状の導水溝
の大きさに伴って大きくなってしまう。従ってウインド
モールディングの特定の部位から横断面矩形状の導水溝
を急激に成形し始めることとすると、遮蔽ダイの進入に
よって押出材の流動抵抗が急激に増大してしまい、その
部位の押出形成状態が悪化して断面形状が崩れる場合も
ある。
【0006】そこで本発明は、全長を一連一体に形成し
つつ導水溝を薄肉部に対しても良好に設けることができ
るようにした自動車用ウインドモールディング及びその
製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
第1発明にかかる自動車用ウインドモールディングは、
車体パネルの窓枠開口部に固着されたウインドガラスの
周縁に連続的に装着される一連一体の全長を有するもの
であって、上記ウインドガラスの周縁の所定の部位から
他の部位にかけて装着される第1モールディング部及び
第2モールディング部を備え、これらの各モールディン
グ部は、ウインドガラスの周縁部を車外側から覆う装飾
部と、少なくとも上記第2モールディング部から第1モ
ールディング部にかけての装飾部を車外方向に膨出厚肉
化してなる堰部と、その第2モールディング部から第1
モールディング部にかけての堰部に凹設された導水溝
と、を有する自動車用ウインドモールディングにおい
て、上記第2モールディング部の導水溝における開口部
分の車内外方向の溝幅及び溝幅方向と直交する方向の溝
深さが、前記第1モールディング部における導水溝の溝
及び溝深さから、前記装飾部の肉厚寸法に対応して連
続的に減少させられ、かつ上記導水溝は、第1モールデ
ィング部で略矩形状の横断面形状を備えているととも
に、第2モールディング部で、上記第1モールディング
部における略矩形状から連続的に変化した略三角形状の
横断面形状を備えた構成になされている。
【0008】また第2発明にかかる自動車用ウインドモ
ールディングの製造方法は、車体パネルの窓枠開口部に
固着されたウインドガラスの周縁に連続的に装着される
自動車用ウインドモールディングの全長を一連一体に押
出成形するものであって、上記ウインドガラスの周縁の
所定の部位から他の部位にかけて装着される第1モール
ディング部及び第2モールディング部を形成するにあた
って、ウインドガラスの周縁部を車外側から覆う装飾部
を形成するとともに、少なくとも上記第2モールディン
グ部から第1モールディング部にかけての装飾部を車外
方向に膨出厚肉化して堰部を形成し、かつその第2モー
ルディング部から第1モールディング部にかけての堰部
に導水溝を凹設するようにした自動車用ウインドモール
ディングの製造方法において、上記第2モールディング
部の導水溝における開口部分の車内外方向の溝幅及び溝
幅方向と直交する方向の溝深さを、前記第1モールディ
ング部における導水溝の溝幅及び溝深さから、前記装飾
部の肉厚寸法に対応して連続的に減少させつつ、上記導
水溝を、第1モールディング部で略矩形状の横断面形状
に形成するとともに、第2モールディング部で、上記第
1モールディング部における略矩形状から連続的に変化
した略三角形状の横断面形状に形成するようにした構成
になされている。
【0009】さらに第3発明にかかる自動車用ウインド
モールディングの製造方法は、車体パネルの窓枠開口部
に固着されたウインドガラスの周縁に連続的に装着され
る自動車用ウインドモールディングの全長を、押出成形
装置のダイに設けられた押出成形口を通して一連一体に
押出成形するものであって、上記ウインドガラスの周縁
の所定の部位から他の部位にかけて装着される第1モー
ルディング部及び第2モールディング部を形成するにあ
たって、ウインドガラスの周縁部を車外側から覆う装飾
部を形成するとともに、前記ダイの押出成形口を拡張す
ることによって、少なくとも上記第2モールディング部
から第1モールディング部にかけての装飾部を車外方向
に膨出厚肉化して堰部を形成し、かつ上記押出成形口に
相当する部位に他のダイの押出形成辺を進入させること
によって、前記第2モールディング部から第1モールデ
ィング部にかけての堰部に導水溝を凹設するようにした
自動車用ウインドモールディングの製造方法において、
上記他のダイの押出形成辺を回転移動させることによっ
て、上記第2モールディング部の導水溝における開口部
分の車内外方向の溝幅及び溝幅方向と直交する方向の溝
深さを、前記第1モールディング部における導水溝の溝
及び溝深さから、前記装飾部の肉厚寸法に対応して連
続的に減少させつつ、前記他のダイの押出形成辺の上記
回転移動方向における後方側断面一定部を略矩形状とす
ることによって、上記第1モールディング部の導水溝を
略矩形状の横断面形状に形成するとともに、前記他のダ
イの押出形成辺の上記回転移動方向における前方側断面
変化部上記略矩形状から連続的に変化した略三角形状
とすることによって、上記第2モールディング部の導水
溝を、上記第1モールディング部における略矩形状から
連続的に変化した略三角形状の横断面形状に形成するよ
うにした構成になされている。
【0010】
【作用】このような構成を有する第1発明にかかる手段
によれば、堰を有する厚肉部では、横断面矩形状の導水
溝によって最大の樋機能を得るとともに、肉厚が減じら
れている他の部位では、薄肉部に対して横断面三角形状
の導水溝が良好に形成されるようになっている。
【0011】また第2発明にかかる手段によれば、上記
第1発明にかかるウインドモールディングの全長が、連
続的に一連一体に成形され、さらに、第3発明にかかる
手段によれば、上記第1発明にかかるウインドモールデ
ィングの全長が、ダイ形状を変化させることによって連
続的に一連一体に成形されるようになっている。
【0012】特に、導水溝を特定の部位から形成し始め
る場合には、まず横断面積の小さい三角形状の導水溝か
ら形成され始め、次第に横断面積が増大して容量の大き
な矩形状の横断面になされていくこととなり、従って導
水溝形成部位の押出工程が極めて円滑に行われるように
なっている。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。まず図14に表わされているように、自動
車のフロント側のウインドガラス1の周縁部には、長尺
帯状の押出樹脂部材からなるウインドモールディング2
が装着されている。このウインドモールディング2は、
前記ウインドガラス1の上縁部とルーフパネル3との間
の隙間に装着されたアッパーモールディング部2Uと、
ウインドガラス1の両側縁部とピラーパネル4との間の
隙間に装着されたサイドモールディング部2Sと、これ
らアッパーモールディング部2Uとサイドモールディン
グ部2Sとを湾曲状に連結しているコーナーモールディ
ング部2Cとを有している。これら各モールディング部
2U,2C,2Sは、後述するようにして全長が一連一
体に連続的に押出成形される。
【0014】すなわち上記ウインドモールディング2
は、ゴム、合成樹脂等の弾性材料を後述する成形装置に
よって一連に押出成形してなるものであって、図1ない
し図3に示されているように、ウインドガラス1の周縁
部とルーフパネル3及びピラーパネル4との間隙に介挿
される脚部21と、ウインドガラス1の表面を車外側
(図示上側)から覆う装飾部22とを備えている。
【0015】このうち上記脚部21は、モールディング
の長手方向に沿って一定の形状を有する柱状の部材から
なり、当該脚部21の車内側端縁(図示下端縁)に、ウ
インドガラス1の車内側面(図示下面部)に当接するガ
ラス係合片23がモールディングの全長にわたって一定
形状にて設けられている。そしてこのガラス係合片23
は、前記装飾部22及び脚部21とともに長手方向に直
交する横断面が略コ字状をなすガラス嵌合溝を画成して
おり、この全長にわたって一定形状のガラス嵌合溝内に
上記ウインドガラス1の周端縁部が嵌着されている。
【0016】また上記脚部21(アッパー部)または装
飾部22(サイド・コーナー部)の外周側(図1左側及
び図2,図3の右側)壁面には、上記車体パネル3,4
の折曲壁3a,4aに向かって突出する弾性リップ片2
4が突設されている。さらに上記装飾部22の内部に
は、芯材としてのインサートワイヤー25が全長にわた
って埋設されている。
【0017】一方、上記装飾部22は、脚部21の車外
側端(図示上端)から、内周側に折れ曲がるようにして
延びるリップ状部材からなり、ウインドガラス1の車外
側表面における周縁部を覆っている。この装飾部22の
車外側表面は、モールディングの全長にわたって均一な
形状に形成されているが、当該装飾部22の肉厚及び横
断面形状はモールディングの各部で異ならされている。
【0018】すなわち上記装飾部22の車内外方向(図
示上下方向)における肉厚寸法は、ウインドガラス1の
車外側表面と、車体パネル3,4の車外側表面との間に
形成されている段差の大きさに対応して変化している。
具体的には、まずアッパーモールディング部2Uにおけ
る装飾部22は、図1に示されているように最小の肉厚
寸法に設定されており、このアッパーモールディング部
2Uにおける装飾部22の最小肉厚寸法は、当該アッパ
ーモールディング部2Uの全長にわたって一定に維持さ
れている。
【0019】またコーナーモールディング部2Cの装飾
部22においては、図2に示されているように、コーナ
ー途中部分からサイド側に向かって肉厚寸法が徐々に増
大されており、サイドモールディング部2Sの上端にお
いて最大の肉厚寸法となるように膨出されている。この
ようなサイドモールディング部2Sにおける装飾部22
の最大肉厚寸法は、サイド上端部分からサイド中央部分
及びサイド下部側に向かって一定に維持されている。
【0020】一方、上記コーナーモールディング部2C
及びサイドモールディング部2Sにおける車外側への膨
出厚肉部分には、所定の横断面形状を有する導水溝26
C及び26Sが連続的に凹設されている。そしてこれら
の導水溝26C及び26Sによって、上記装飾部22
は、外側装飾部22aと奥側装飾部22bとに分離され
ており、このうち外側装飾部22aは、車外側に露出す
る装飾的機能を果たし、奥側装飾部22bは、ウインド
ガラス1の表面上に連続的に当接して装飾部22を保持
する機能を果たす。
【0021】このとき図2に示されているコーナーモー
ルディング部2Cの導水溝26Cは、略三角形の横断面
形状に形成されているとともに、図3に示されているサ
イドモールディング部2Sにおける導水溝26Sは略矩
形の横断面形状に形成されている。すなわち最大肉厚に
なされたサイド部においては、導水溝26Sの樋機能を
最大とし得る大きな容量とするために導水溝26Sの横
断面形状が矩形状に形成されている。一方、肉厚が減じ
られているコーナー部では、肉厚不足のために矩形状横
断面の導水溝26Sは形成不可能となるため、導水溝2
6Cの横断面形状を三角形状として溝形成可能としてい
る。
【0022】サイドモールディング部2Sにおける横断
面矩形状の導水溝26Sは、図3左右方向の溝深さ及び
図3上下方向の溝幅が一定に維持されているとともに、
コーナーモールディング部2Cにおける横断面三角状の
導水溝26Cは、溝深さ及び溝幅が肉厚の減少に伴い減
少しており、アッパーモールディング部2U寄りの途中
部分で消失している。コーナーモールディング部2Cの
肉厚は、導水溝26Cの消失後もさらに減少しており、
アッパーモールディング部2Uに至る部分において最小
肉厚となっている。
【0023】このようなウインドモールディング2の車
体取付構造を次に説明する。前記ルーフパネル3及びピ
ラーパネル4に設けられたガラス取付用窓開口部の内周
縁部は、ウインドガラス1を受け入れるように室内側に
向かって階段状に折り曲げられており、その折曲壁3
a,4aを介してフランジ部3b,4bが設けられてい
る。このときアッパー部の折曲壁3aの立ち上がり高さ
は均一になされているが、サイド部の折曲壁4aの立ち
上がり高さは、コーナー部の途中から次第に高められて
いる。
【0024】そしてウインドモールディング2は、ウイ
ンドガラス1に装着した状態で窓枠側に挿入されるか、
あるいは予めウインドガラス1を窓枠側に設置しておい
た上で、ウインドガラス1の周端縁と車体パネル3,4
との間の隙間内に挿入される。ウインドガラス1を装着
するにあたっては、当該ウインドガラス1の周縁部分あ
るいは車体パネル3,4側のフランジ部3b,4b上に
帯状のダムラバー5が固着されるとともに、このダムラ
バー5の外周側に接着剤6が押出によって充填され、ウ
インドガラス1の車内側面(図示下面)が、上記ダムラ
バー5上に当接され押圧される。これによってウインド
ガラス1は、車体パネル3,4側のフランジ部3,4上
に全周略均一の高さに固着される。このとき上記ウイン
ドガラス1の車外側表面と、車体パネル3,4の表面と
の間には、折曲壁3a,4aの立ち上がり高さに対応し
た段差が形成されることとなり、装飾部22における車
内外方向の肉厚寸法が上記段差の大きさに対応して変化
している。
【0025】すなわちアッパーモールディング部2Uに
おいては(図1参照)、全長にわたって上記段差が最小
かつ均一に構成されており、それに対応して装飾部22
の肉厚寸法も最小かつ均一に設定されている。またコー
ナーモールディング部2Cにおいては(図1及び図2参
照)、上記段差及がサイド部側に向かって徐々に拡大さ
れており、それに対応して装飾部22の肉厚寸法が増大
されている。
【0026】さらにサイドモールディング部2Sにおい
ては(図1及び図3参照)、サイド上端で最大になされ
た段差が、サイド下部側に向かって一定に維持されてお
り、それに対応して装飾部22の肉厚寸法がサイド上端
で最大になされているとともに、その最大肉厚寸法はサ
イド下部側に向かって一定に維持されている。
【0027】このようにしてウインドモールディング2
が、ウインドガラス1の周縁部と車体パネル3,4との
間の隙間内に嵌挿された状態では、ガラス係合片23と
装飾部22との間に画成されているガラス嵌合溝が、ウ
インドガラス1の周縁部全長にわたって嵌着されてい
る。また弾性リップ片24は、車体パネル3,4の壁面
に対して屈曲状態にて弾接されており、この弾性リップ
片24の屈曲弾性反発力及び上記ガラス嵌合溝のガラス
嵌合力は、接着剤が固化するまでの仮固定力及び姿勢保
持力として作用する。
【0028】上述のようにウインドガラス1と車体パネ
ル3,4との間に形成された段差の大きさの変動に対応
して、ウインドモールディング2の装飾部22の横断面
形状が連続的に変化しているため、ウインドモールディ
ング2の装着にあたっては、いずれの部位においても良
好な取付が行われる。
【0029】そしてウインドモールディング2を装着し
た状態において、ウインドガラス1上に滴下した雨水等
は、ウインドモールディング2の内周壁部に導かれるよ
うにして所定の部位に排出されていき、サイド部に集め
られた雨水等は、装飾部22の膨出肉厚部分に設けられ
た導水溝26を通って誘導されていく。
【0030】次に、上述したウインドモールディング2
を成形する装置を説明する。図示を省略したコイラーか
ら巻き出されたインサートワイヤー25は、位置検出装
置を通して押出成形金型(ダイス)に供給され、樹脂と
一体にて上述した横断面形状に押出成形される。押し出
されたモールディング素材は、冷却槽を通して引取機を
通って切断装置に送り込まれ、そこで所定長さに切断が
行われる。このとき上記位置検出装置で検出されたイン
サートワイヤー25の送り量は、制御装置に印加されて
おり、その入力信号に基づいて、上記押出成形金型、
出形成機及び切断装置の動作タイミングが決定され、制
御装置から各装置に動作信号が出力されている。
【0031】この場合押出形成機に対しては、押出量を
調整する駆動モータの回転数が制御されており、押出成
形金型における押出成形口の開口面積に対応して押出形
成機の押出量が調整されるように構成されている。なお
この押出形成機に対する駆動モータの回転数制御は、当
該駆動モータの回転数変化から実際に押出量の変化が行
われるまでの遅延時間を見込んで、押出成形口の開口面
積の変化より所定時間だけ早めのタイミングで実行され
ている。なお駆動モータの回転制御を行うことなく一定
の押出量で成形を行う場合には、断面変化によって余剰
の押出材料を生じることとなるが、その場合の余剰材料
は、図示を省略した排出口を通して外部に廃棄される。
【0032】また上述した位置検出装置の配設位置は、
モールディング素材の進行量あるいは移動量を検知する
ことができる位置であればどこでも良く、例えば引取機
の前後いずれであっても配置することができる。
【0033】上記押出成形金型に設けられたダイは、図
4ないし図6に示されているような合成樹脂押出用の3
つのダイを備えている。これらの各ダイは、モールディ
ングの押出方向(紙面垂直方向)に並設された第1のダ
イ7と、第2のダイ8と、第3のダイ9とから構成され
ており、これら3体のダイ7,8,9に設けられた押出
形成辺で取り囲まれるようにして所定形状の押出形成口
が画成されている。
【0034】すなわち上記第1のダイ7は固定状態に設
置されており、ウインドモールディング2の車外側表面
及び外周側表面に対応した輪郭形状を有する押出形成辺
71を備えている。この押出成形辺71は、装飾部22
に対応する形成辺71aと、脚部21に対応する形成辺
71bと、弾性リップ片24に対応する形成辺71cと
を有している。またウインドモールディング2の内周側
表面に対応した部分は、装飾部22の一部に対応する形
成辺71を除いて、ウインドモールディング2の横断
面形状全体を包含する大型の開口を形成するように設け
られている。
【0035】一方、第2のダイ8は板状部材から形成さ
れており、前記第1のダイ7の前面上に一対のガイド8
1,81によって平行移動可能に支持されている。この
第2のダイ8の図示上縁部に形成された押出形成辺82
は、ウインドモールディング2の内周側表面に対応した
輪郭形状になされており、前記第1のダイ7の押出成形
辺71に対して、ウインドモールディング2の内周側壁
面を構成するように重ね合わせられている。この第2の
ダイ8の図示下縁部には、連接棒83が設けられてお
り、この連接棒83が、回転運動を直線運動に変換する
図示を省略した変換器を介して駆動モータに連結されて
いる。そしてこの駆動モータからの駆動力によって上記
第2のダイ8は、図4に示されたサイドモールデイング
形成位置と、図7に示されたコーナーモールディング形
成位置と、図11に示されたアッパーモールディング形
成位置との間において図示上下方向に往復移動されるよ
うになっている。
【0036】また上記第3のダイ9は、半円筒状体の一
部を切り欠いてなる円筒ダイ91とこの円筒ダイ91を
回転させるように配置された円柱ダイ92とを有してお
り、このうち上記円柱ダイ92は、前記第1のダイ7の
前面に設けられたガイド93によって回転自在に支承さ
れているとともに、円筒ダイ91は、上記円柱ダイ92
の先端部(図示下端部)に一体的に回転するように略水
平に取り付けられている。
【0037】このとき上記円筒ダイ91の切欠形成部分
は、前記第1のダイ7と第2のダイ8とによって形成さ
れる押出形成口内に進入・退避される遮蔽突片を構成し
ている。すなわちこの円筒ダイ91の遮蔽突片は、前述
したコーナーモールディング部2Cの導水溝26Cに対
応する三角横断面形状を備えるように切欠形成された前
方側断面変化部91aと、サイドモールディング部2S
の導水溝26Sに対応する矩形横断面形状を備えた後方
側断面一定部91bとを有している。
【0038】より具体的には、上記前方側断面変化部9
1aの前端部は、前述したコーナーモールディング部2
Cにおける導水溝26Cの最小部分に対応した最小の三
角形状に形成されているとともに、その前端部から周方
向後方側に向かう途中部分は、サイド側に向かって拡大
している導水溝26Cに対応した徐々に拡大する三角横
断面形状に形成されている。また上記前端部から周方向
に約90°だけ後方側以降に設けられた後方側断面一定
部91bは、サイドモールディング部2Sの上端部以降
における導水溝26Sに対応した矩形横断面形状に形成
されている。そしてこのような円筒ダイ91は、図4に
示されたサイドモールデイング形成位置(矩形状断面位
置)と、図7に示されたコーナーモールディング形成位
置(三角形状断面位置)と、図11に示されたアッパー
モールディング形成位置(退避位置)との間で、約半回
転にわたって回動するように構成されている。
【0039】また上記円柱ダイ92の上端部は、連接棒
93を介して駆動モータに連結されており、前記第2の
ダイ8の往復移動に連動して回動され、前記第1のダイ
7と第2のダイ8とによって形成される押出形成口内へ
の進入・退避が行われるようになっている。
【0040】このようなモールデイング成形装置による
ウインドモールディング2の成形方法を説明する。ウイ
ンドモールディング2を成形するにあたっては、アッパ
ーモールディング部2U、コーナーモールディング部2
C、サイドモールディング部2Sが一連一体に押出成形
されるが、そのときの成形順序は、一方のサイドモール
ディング部2S、一方のコーナーモールディング部2
C、アッパーモールディング部2U、そして他方のコー
ナーモールディング部2C、他方のサイドモールディン
グ部2Cの順である。
【0041】そしてまずサイドモールディング部2Sを
押出成形する場合には、第1のダイ7に対して、第2の
ダイ8及び第3のダイ9が、図4ないし図6に示された
位置関係に維持される。この状態においては、第2のダ
イ8が最下位置に引き込まれており、押出形成口が最大
の開口面積に拡張されているとともに、第3のダイ9に
おける円筒ダイ91の後方側断面一定部91bが押出形
成口内に進入されている。これにより図3に示された横
断面形状をなすサイドモールディング部2Sの下端部分
(図3右端部分)から押出が開始される。このサイドモ
ールディング部2Sにおいては、装飾部22の肉厚寸法
が最大状態にて成形されるとともに、導水溝26Sが最
大容量を有するように矩形状の断面にて成形される。な
お上記押出形成口に対してインサートワイヤー25が連
続的に供給される。
【0042】サイドモールディング部2Sが一定横断面
形状の状態で所定長にわたって押出成形されると、当該
サイドモールディング部2Sの上端部分で、まず第3の
ダイ9の円筒ダイ91が後退し始めた後に、第2のダイ
8が図示上方向に押し上がり始め、このときからコーナ
ーモールディング部2Cの成形が開始される。
【0043】コーナーモールディング部2Cでは、図7
ないし図10に示されているように、第2のダイ8が図
示上側方向に押し上げ移動されるとともに、第3のダイ
円筒ダイ91が後退しつつ押出成形が行われる。こ
れにより装飾部22の肉厚寸法が徐々に縮小していくと
ともに、導水溝の横断面形状が矩形状(26S)から三
角形状(26C)に変化して徐々に横断面積が減少して
いく。これら装飾部22の肉厚寸法の徐減と導水溝26
の横断面積の除減とは、所定のタイミング関係を有する
ように実行される。
【0044】そしてコーナーモールディング部2Cの途
中部分で、第3のダイ9の円筒ダイ91が押出形成口か
ら完全に離脱され、これによって導水溝26Cが消失す
る。さらにこの導水溝26Cが消失した後も上記第2の
ダイ8は図示上側方向に押し上げ移動されていき、装飾
部22の肉厚寸法が最小状態となったときからアッパー
モールディング部2Uの形成に移行していく。
【0045】すなわちコーナーモールディング部2Cの
押出成形が終了した時点で、上記第2のダイ8及び第3
のダイ9は、図11ないし図13に示されている位置に
至り、押出形成口の全体がアッパーモールディング部2
Uの横断面形状に対応する形状に画成される。そしてこ
のときからアッパーモールディング部2Uが一定の横断
面形状にて押出成形されていく。アッパーモールディン
グ部2Uが一定長にわたって押出成形されると、上述し
た手順とは逆にして、コーナーモールディング部2C及
びサイドモールディング部2Sの成形が行われ、一連の
ウインドウモールディング2が一連に得られる。
【0046】以上本発明者によってなされた発明を実施
例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で
種々変形可能であるというのはいうまでもない。例え
ば、導水溝はサイドモールディング部の内周側に設ける
ものに限定されるものではなく、アッパーモールディン
グ部の外周側等に設けるように構成することも当然可能
である。
【0047】また導水溝の断面変化並びに消失・現出の
タイミング(位置)は、モールディングの厚肉変化と独
立して適宜選択することができ、それらを適宜組み合わ
せて種々の形状を形成することが可能である。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように本発明にかかる自動車
用ウインドモールディングは、装飾部の肉厚に対応して
導水溝の横断面形状を変えたものであって、装飾部の最
大肉厚部分に対しては最大容量の矩形状断面の導水溝を
設けるとともに、装飾部が薄肉となっている部分に対し
ては、その薄肉に対応して横断面積を減じた三角形状の
導水溝を形成したものであるから、導水溝を薄肉部にも
良好に設けることができ、導水溝の機能を向上させるこ
とができる。
【0049】また本発明にかかる自動車用ウインドモー
ルディングの製造方法によれば、上記自動車用ウインド
モールディングの全長を一連一体に連続的に押出成形す
ることができる。さらに導水溝を形成するにあたって導
水溝の横断面形状を徐々に変化させることにより、導水
溝形成部位における押出材の流動状態を円滑にすること
ができ、良好な外観を有するウインドモールディングを
高能率で生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における自動車用ウインドモ
ールディングの構造を表わした図14におけるI−I線
に沿う横断面図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う横断面図である。
【図3】図1中のIII−III線に沿う横断面図であ
る。
【図4】図1ないし図3に表わされたモールディングを
成形するための押出成形装置の一例を表わした正面説明
図である。
【図5】図4中のV−V線に沿う横断面図である。
【図6】図4及び図5中のVI−VI線に沿う横断面図
である。
【図7】図4に表わされた押出成形装置の移動状態を表
わした正面説明図である。
【図8】図7中のVIII−VIII線に沿う横断面図
である。
【図9】図7及び図8中のIX−IX線に沿う横断面図
である。
【図10】図8中のX−X線に沿う横断面図である。
【図11】図4に表わされた押出成形装置のさらに移動
状態を表わした正面説明図である。
【図12】図11中のXII−XII線に沿う横断面図
である。
【図13】図11中のXIII−XIII線に沿う横断
面図である。
【図14】本発明のウインドモールディングを装着した
自動車の前部側を表した外観斜視説明図である。
【符号の説明】
1 ウインドガラス 3,4 車体パネル 2 ウインドモールディング 2U アッパーモールディング部 2C コーナーモールディング部 2S サイドモールディング部 21 脚部 22 装飾部 7 第1のダイ 8 第2のダイ 9 第3のダイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60J 1/02 111 B29C 47/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体パネルの窓枠開口部に固着されたウ
    インドガラスの周縁に連続的に装着される一連一体の全
    長を有するものであって、 上記ウインドガラスの周縁の所定の部位から他の部位に
    かけて装着される第1モールディング部及び第2モール
    ディング部を備え、 これらの各モールディング部は、ウインドガラスの周縁
    部を車外側から覆う装飾部と、 少なくとも上記第2モールディング部から第1モールデ
    ィング部にかけての装飾部を車外方向に膨出厚肉化して
    なる堰部と、 その第2モールディング部から第1モールディング部に
    かけての堰部に凹設された導水溝と、を有する自動車用
    ウインドモールディングにおいて、 上記第2モールディング部の導水溝における開口部分の
    車内外方向の溝幅及び該溝幅方向と直交する方向の溝深
    が、前記第1モールディング部における導水溝の溝幅
    及び溝深さから、前記装飾部の肉厚寸法に対応して連続
    的に減少させられ、かつ上記導水溝は、第1モールディ
    ング部で略矩形状の横断面形状を備えているとともに、
    第2モールディング部で、上記第1モールディング部に
    おける略矩形状から連続的に変化した略三角形状の横断
    面形状を備えていることを特徴とする自動車用ウインド
    モールディング。
  2. 【請求項2】 車体パネルの窓枠開口部に固着されたウ
    インドガラスの周縁に連続的に装着される自動車用ウイ
    ンドモールディングの全長を一連一体に押出成形するも
    のであって、 上記ウインドガラスの周縁の所定の部位から他の部位に
    かけて装着される第1モールディング部及び第2モール
    ディング部を形成するにあたって、ウインドガラスの周
    縁部を車外側から覆う装飾部を形成するとともに、 少なくとも上記第2モールディング部から第1モールデ
    ィング部にかけての装飾部を車外方向に膨出厚肉化して
    堰部を形成し、 かつその第2モールディング部から第1モールディング
    部にかけての堰部に導水溝を凹設するようにした自動車
    用ウインドモールディングの製造方法において、 上記第2モールディング部の導水溝における開口部分の
    車内外方向の溝幅及び該溝幅方向と直交する方向の溝深
    を、前記第1モールディング部における導水溝の溝幅
    及び溝深さから、前記装飾部の肉厚寸法に対応して連続
    的に減少させつつ、 上記導水溝を、第1モールディング部で略矩形状の横断
    面形状に形成するとともに、第2モールディング部で
    上記第1モールディング部における略矩形状から連続的
    に変化させた略三角形状の横断面形状に形成するように
    したことを特徴とする自動車用ウインドモールディング
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 車体パネルの窓枠開口部に固着されたウ
    インドガラスの周縁に連続的に装着される自動車用ウイ
    ンドモールディングの全長を、押出成形装置のダイに設
    けられた押出成形口を通して一連一体に押出成形するも
    のであって、 上記ウインドガラスの周縁の所定の部位から他の部位に
    かけて装着される第1モールディング部及び第2モール
    ディング部を形成するにあたって、ウインドガラスの周
    縁部を車外側から覆う装飾部を形成するとともに、 前記ダイの押出成形口を拡張することによって、少なく
    とも上記第2モールディング部から第1モールディング
    部にかけての装飾部を車外方向に膨出厚肉化して堰部を
    形成し、 かつ上記押出成形口に相当する部位に他のダイの押出形
    成辺を進入させることによって、前記第2モールディン
    グ部から第1モールディング部にかけての堰部に導水溝
    を凹設するようにした自動車用ウインドモールディング
    の製造方法において、 上記他のダイの押出形成辺を回転移動させることによっ
    て、上記第2モールディング部の導水溝における開口部
    分の車内外方向の溝幅及び該溝幅方向と直交する方向の
    溝深さを、前記第1モールディング部における導水溝の
    溝幅及び溝深さから、前記装飾部の肉厚寸法に対応して
    連続的に減少させつつ、 前記他のダイの押出形成辺の上記回転移動方向における
    後方側断面一定部を略矩形状とすることによって、上記
    第1モールディング部の導水溝を略矩形状の横断面形状
    に形成するとともに、前記他のダイの押出形成辺の上記
    回転移動方向に おける前方側断面変化部上記略矩形状
    から連続的に変化した略三角形状とすることによって、
    上記第2モールディング部の導水溝を、上記第1モール
    ディング部における略矩形状から連続的に変化した略三
    角形状の横断面形状に形成するようにしたことを特徴と
    する自動車用ウインドモールディングの製造方法。
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