JP3161328B2 - 動力伝達装置およびこれを用いた四輪駆動車両並びに動力伝達方法および四輪駆動方法 - Google Patents

動力伝達装置およびこれを用いた四輪駆動車両並びに動力伝達方法および四輪駆動方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力伝達装置及び
これを用いた四輪駆動車輌ならびに動力伝達方法および
四輪駆動方法に関し、詳しくは原動機より得られる動力
を効率的に伝達または利用する動力伝達装置及びこれを
用いた四輪駆動車輌に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、原動機などの出力トルクを変換し
て動力を伝達するには、流体を利用したトルクコンバー
タが用いられていた。流体を用いたトルクコンバータで
は、入力軸と出力軸は完全にはロックされず、両軸間で
生じた滑りに応じたエネルギ損失が発生していた。この
エネルギ損失は、正確には、両軸の回転数差とその時の
伝達トルクとの積で表わされる。このエネルギ損失は、
熱となって消費されてしまう。従って、こうした動力伝
達装置を用いた車輌では、発進時などの過渡時の損失は
大きい。また定常走行時であっても動力伝達における効
率は100パーセントにならず、例えば手動式のトラン
スミッションと較べて、その燃費は低くならざるを得な
い。
【0003】こうした動力伝達装置のように流体を用い
るのではなく、機械−電気−機械変換により動力を伝達
しようとするものが提案されている(例えば特公昭51
−22132号公報に示された「回転電気機械の配列」
等)。この技術は、原動機の出力を電磁継手及び回転電
機からなる動力伝達手段に結合し、回転電機の極数P
1、電磁継手の極数P2により、1+P2/P1の減速
比(トルク変換比)を実現するものである。この構成に
よれば、流体によるエネルギ損失が存在しないので、電
磁継手と回転電機の効率を高めれば、動力伝達手段のエ
ネルギ損失を比較的小さくすることが可能と考えられ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、係る動
力伝達装置では、トルク変換比が固定であり、車輌など
のように変換比を広く変化させる必要のあるものには用
いることができなかった。また、車輌や原動機の運転状
態に応じて、所望の変換比を実現することも困難であっ
た。もとより、流体を用いたものでは、軸間の滑りに応
じたエネルギ損失を免れ得ないことは、上述した通りで
ある。また、こうした動力伝達装置は、一軸に動力を伝
達できるに過ぎず、四輪駆動車輌などに適用することは
できなかった。
【0005】本発明の動力伝達装置及びこれを用いた四
輪駆動車輌は、こうした問題を解決し、原動機より得ら
れた動力を高効率に伝達または利用して、原動機の出力
を2つの軸に適正に配分すること、更にはその動力伝達
装置を用いて全く新規な四輪駆動車輌の構成を提案する
ことを目的としてなされ、次の構成を採った。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の第1の動力伝達装置は、原動機の動力が伝達され
る回転軸を備え、該回転軸から入力される原動機からの
動力を、第1の出力軸と、該出力軸とは異なる第2の出
力軸とに伝達する動力伝達装置であって、前記回転軸の
回転に関連付けられた第1の電動機と、前記回転軸に入
力される動力と、前記第1の出力軸に機械的な形態で入
出力される動力と、前記第1の電動機に電気的な形態で
入出力される動力との配分を、入出力の総和がバランス
する条件の下で制御する分配手段と、前記第2の出力軸
に結合された第2の電動機と、前記第1の電動機に電気
的な形態で入出力される動力を制御して、前記第1の電
動機の運転状態を可変し、前記分配手段における前記動
力の配分を制御する第1の動力制御手段と、前記第1の
動力制御手段により前記第1の電動機に電気的な形態で
入出力される動力に基づき、前記第2の電動機の運転を
制御して、前記第2の出力軸に出力される動力を制御す
る第2の動力制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】かかる動力伝達装置では、原動機の動力が
伝達される回転軸の回転に関連付けられた第1の電動機
を備え、この第1の電動機に電気的な形態で入出力され
る動力を第1の動力制御手段により制御する。第1の電
動機に電気的な形態で入出力される動力が制御される
と、第1の電動機に電気的な形態で入出力される動力と
原動機の動力が伝達される回転軸に入力される動力と第
1の出力軸に機械的な形態で入出力される動力との配分
は、入出力の総和がバランスする条件の下で分配手段に
より制御されるから、第1の出力軸に入出力される動力
は決定される。他方、第1の動力制御手段により前記第
1の電動機に電気的な形態で入出力される動力に基づ
き、第2の動力制御手段により、第2の電動機の運転を
制御して、第2の出力軸に出力される動力を制御する。
この結果、原動機からの動力を、第1の出力軸と、該出
力軸とは異なる第2の出力軸とに伝達することができ
る。
【0008】この分配手段による動力分配の様子を、回
転数とトルクの関係として図46に示す。原動機がある
出力で運転されていると、その回転軸には、トルクT×
回転数Nのエネルギが出力されることになる。今、原動
機が回転数Ne,トルクTeの点P1で運転されている
とする。このとき、分配手段により第1の出力軸の回転
数がNdfであるとすると、分配手段は、図示領域G1
に相当するエネルギを電気的な形態で取り出し、これを
第2の出力軸側の出力とすることができる。第2の出力
軸が、第1の出力軸と同じ回転数Ndfで回転している
とし、かつ分配手段により電気的な形態で取り出された
エネルギが全て第2の出力軸に出力されるとすると、
(Ne−Ndf)×Te=Ndf×Tdrの関係が成り
立つトルクTdfが第2の出力軸に出力されることにな
る。第1の出力軸のトルクはTeであることから、第1
の出力軸が第2の出力軸と同じ対象を駆動しているとす
れば、総トルクは、Te+Tdrとなり、動力の伝達を
受ける対象は、回転数Ndf,トルクTe+Tdrの点
P2で駆動されることになる。したがって、本発明の動
力伝達装置は、これをトルクと回転数の観点からみれ
ば、トルク変換を行なう装置として把握することも可能
である。なお、トルク変換は、逆向き、即ち点P2から
点P1に向かって行なうこともできる。後述する四輪駆
動車輌の場合、第1,第2の車軸の回転数は、通常等し
いから、車軸に出力される動力をトルクと回転数の観点
から見れば、上記のトルク変換の議論はそのまま適用可
能である。
【0009】かかる動力伝達装置において、第1の出力
軸に結合された第3の電動機と、該第3の電動機の運転
を制御して、前記分配手段により機械的形態で動力が入
出力される前記第1の出力軸に、第3の電動機による動
力の入出力を加える第3の動力制御手段とを備えること
も可能である。
【0010】かかる構成によれば、第1の出力軸に入出
力される動力に、第3の電動機による動力の入出力を加
えることができ、第1の出力軸に最終的に入出力される
動力を、分配手段により機械的に入出力される動力の範
囲にとどまらず、広く可変することができる。
【0011】以上説明した本発明の動力伝達装置の分配
手段としては、いくつかの態様を考えることができる
が、その一つは、第1の電動機が、前記原動機の回転軸
に機械的に結合する第1のロータと、該第1のロータと
電磁的に結合し、該第1のロータに対して相対的に回転
し得る第2のロータとを有すると共に、該第2のロータ
が、前記第1の出力軸に機械的に結合したものであっ
て、これが分配手段を構成するものである。この動力伝
達装置は、更に、前記第1および第2の動力制御手段
は、多相交流によって前記第1の電動機における前記第
1及び第2のロータ間の電磁的な結合を制御して、前記
第1の電動機との間で少なくとも一方向の電力のやり取
りが可能な第1の電動機駆動回路と、前記第2の電動機
との間で少なくとも一方向の電力のやり取りが可能な第
2の電動機駆動回路と、前記第1および第2の電動機駆
動回路を制御して、前記第1および第2の出力軸に入出
力される動力の配分を制御する動力配分制御手段とを備
えたものとすることができる。
【0012】かかる動力伝達装置では、原動機の回転軸
に入力された動力の分配手段による分配は、次のように
行なわれる。第1及び第2のロータ間の電磁的な結合の
強さによって、機械的な形態で第1の出力軸に動力が入
出力され、第1及び第2のロータの回転数差に基づき、
電気的な形態で動力が入出力される。入出力されるこれ
らの動力の総和は、摩擦などによりロスを除きバランス
している。分配手段が、ある種のモータとして構成され
たこの形態を、以下、電気分配式と呼ぶ。電気分配式の
動力伝達装置では、第1および第2の電動機駆動回路
が、第1および第2の電動機との間で、少なくとも一方
向に電力のやり取りが可能なので、動力配分制御手段が
これらの電動機駆動回路を制御することにより、第1の
出力軸と第2の出力軸に出力する動力を自由に配分する
ことができる。
【0013】この電気分配式の動力伝達装置において、
前記第1または第2の電動機駆動回路が前記第1または
第2の電動機との間で回生した電力の少なくとも一部を
蓄積可能な二次電池を備え、前記動力配分制御手段は、
前記第1および第2の電動機駆動回路の制御による前記
第1および第2の電動機との間の電力のやり取りに加え
て、前記二次電池への電力の蓄積および該二次電池から
の電力の出力を制御して、前記第1および第2の出力軸
に入出力される動力の配分を制御する手段を備えること
も可能である。この場合には、一方から回生した電力で
そのまま他方を駆動するという制約、即ち第1の電動機
駆動回路および第2の電動機駆動回路の電力の収支を均
衡させる必要がないことから、両電動機を駆動(力行)
するなど、その制御の自由度が一層高くなると言う利点
が得られる。
【0014】こうした動力伝達装置において、更に、前
記動力配分制御手段は、前記第1の電動機駆動回路を制
御して、前記第1の電動機より前記第1のロータと第2
のロータとの間に生じる滑り回転に応じた電力を前記第
1の電動機駆動回路を介して回生する回生制御手段と、
該回生した電力の少なくとも一部を用いて前記第2の電
動機駆動回路により前記第2の電動機を力行する力行制
御手段とを備えることができる。この場合には、第1の
電動機から第1の電動機駆動回路を介して電力を回生
し、この電力の少なくとも一部を用いて第2の電動機を
力行し、第1および第2の出力軸に、原動機のトルクを
自由に配分することができる。
【0015】この動力伝達装置において、前記動力配分
制御手段は、前記二次電池に蓄積された電力を用い、前
記第1の電動機駆動回路を制御して、前記第1の電動機
を力行する第1の力行制御手段と、前記第2の電動機駆
動回路を制御して、前記第2の電動機を力行する第2の
力行制御手段とを備えることも可能である。この場合に
は、両電動機を力行でき、第1および第2の出力軸から
大きなトルクを出力することができる。
【0016】本発明の動力伝達装置の他の重要な態様
は、以下、機械分配式と呼ぶものであり、その分配手段
は、前記原動機の回転軸と前記第1の出力軸と前記第1
の電動機の回転軸とに各々結合される3軸を有し、該3
軸のうち前記原動機の回転軸に結合された軸と前記第1
の電動機の回転軸に結合された軸とに入出力される動力
が決定したとき、該決定された動力に基づいて、前記第
1の出力軸に結合された軸に入出力される動力が決定さ
れる3軸式動力入出力手段として実現することができ
る。この動力伝達装置では、更に、前記第1および第2
の動力制御手段は、前記第1の電動機との間で少なくと
も一方向の電力のやり取りが可能な第1の電動機駆動回
路と、前記第2の電動機との間で少なくとも一方向の電
力のやり取りが可能な第2の電動機駆動回路と、前記第
1および第2の電動機駆動回路を制御して、前記第1お
よび第2の出力軸に入出力する動力の配分を制御する動
力配分制御手段とを備えたものとすることができる。
【0017】かかる動力伝達装置では、原動機の回転軸
に入力された動力の分配手段による分配は、次のように
行なわれる。3軸式動力入出力手段は、3軸のうち前記
原動機の回転軸に結合された軸と前記第1の電動機の回
転軸に結合された軸とに入出力される動力が決定したと
き、該決定された動力に基づいて、前記第1の出力軸に
結合された軸に入出力される動力が決定され、第1の出
力軸への動力の入出力は機械的な形態により行なわれ
る。また、第1の電動機は、電気的な形態で動力の入出
力を行なう。機械分配式の動力伝達装置でも、第1およ
び第2の電動機駆動回路が、第1および第2の電動機と
の間で、少なくとも一方向に電力のやり取りが可能なの
で、動力配分制御手段がこれらの電動機駆動回路を制御
することにより、第1の出力軸と第2の出力軸に出力す
る動力を自由に配分することができる。
【0018】この機械分配式の動力伝達装置において、
電気分配式の動力伝達装置と同様、前記第1または第2
の電動機駆動回路が前記第1または第2の電動機との間
で回生した電力の少なくとも一部を蓄積可能な二次電池
を備え、前記動力配分制御手段を、前記第1および第2
の電動機駆動回路の制御による前記第1および第2の電
動機との間の電力のやり取りに加えて、前記二次電池へ
の電力の蓄積および該二次電池からの電力の出力を制御
して、前記第1および第2の出力軸に入出力する動力の
配分を制御する手段とすることができる。
【0019】更に、これらの機械分配式の動力伝達装置
において、電気分配式の動力伝達装置と同様、前記動力
配分制御手段を、前記第1の電動機駆動回路を制御し
て、前記原動機の回転軸に入出力される動力と前記第1
の出力軸に入出力される動力との差分に応じた電力を、
第1の電動機から前記第1の電動機駆動回路を介して回
生する回生制御手段と、該回生した電力の少なくとも一
部を用いて前記第2の電動機駆動回路により前記第2の
電動機を力行する力行制御手段とを備えるものとするこ
とができる。
【0020】また、機械分配式の動力伝達装置におい
て、電気分配式の動力伝達装置と同様、前記動力配分制
御手段として、前記二次電池に蓄積された電力を用い、
前記第1の電動機駆動回路を制御して、前記第1の電動
機を力行する第1の力行制御手段と、前記第2の電動機
駆動回路を制御して、前記第2の電動機を力行する第2
の力行制御手段とを備えるものとすることもできる。
【0021】本発明の第2の動力伝達装置は、原動機の
出力する機械的エネルギを回転軸を介して第1の電動機
に伝達し、該第1の電動機を利用して伝達された前記機
械的エネルギの一部を電気的エネルギに変換して取り出
し、残りの機械的エネルギを第1の出力軸に出力すると
共に、前記第1の電動機より取り出された前記電気的エ
ネルギの少なくとも一部を用いて第2の電動機を駆動し
て、前記第1の出力軸とは異なる第2の出力軸に出力
し、前記第1の電動機において伝達される前記機械的エ
ネルギと取り出される前記電気的エネルギとの配分を制
御して、前記第1および第2の出力軸に出力される動力
を所定の大きさに調整することを要旨とする。
【0022】この動力伝達装置は、第1の電動機を利用
して伝達される機械的エネルギと取り出される電気的エ
ネルギとの配分を制御し、この取り出された電気的エネ
ルギの少なくとも一部を用いて第2の電動機を駆動する
から、第1の出力軸および第2の出力軸に出力される動
力を所定の大きさに調整することができる。
【0023】上述した動力伝達装置において、前記第1
の出力軸に出力される動力と、前記第2の出力軸に出力
される動力との配分を決定する配分決定手段を備え、前
記第1,第2の動力制御手段は、該配分決定手段により
決定された動力配分を目標値として制御を行なう手段と
することができる。
【0024】この動力伝達装置は、先に第1の出力軸と
第2の出力軸とに分配される動力を配分決定手段により
決定する。第1,第2の動力制御手段は、この決定され
た動力配分を目標値として制御を行なう。この結果、第
1,第2の出力軸に入出力される動力の配分を優先して
制御が行なわれることになる。
【0025】更に、第3の電動機を備えた上記の動力伝
達装置において、前記第1の動力制御手段を介して前記
第1の電動機の動力を制御することにより、前記原動機
を所望の運転領域内で運転する原動機運転手段と、前記
第1の出力軸に出力される動力と前記第2の出力軸に出
力される動力との配分を決定する配分決定手段を備える
と共に、前記第3の動力制御手段を、該配分決定手段に
より前記第1の出力軸について決定された動力配分を目
標値として制御を行なう手段とし、前記第2の動力制御
手段を、該配分決定手段により前記第2の出力軸につい
て決定された動力配分を目標値として制御を行なう手段
とすることができる。この動力伝達装置では、原動機を
所望の運転条件、例えば燃料消費量が少なくなる運転条
件で運転しながら、第1,第2の出力軸に入出力される
動力の配分を自由に制御することができる。
【0026】この動力伝達装置において、前記第1の電
動機を、前記原動機の回転軸に機械的に結合する第1の
ロータと、該第1のロータと電磁的に結合し、該第1の
ロータに対して相対的に回転し得る第2のロータとを有
すると共に、該第2のロータが、前記第1の出力軸に機
械的に結合したものとし、この構成により分配手段を構
成することができる。即ち、電気分配式の動力伝達装置
により、上記の制御を実現することができる。
【0027】他方、この動力伝達装置において、前記分
配手段を、前記原動機の回転軸と前記第1の出力軸と前
記第1の電動機の回転軸とに各々結合される3軸を有
し、該3軸のうち前記原動機の回転軸に結合された軸と
前記第1の電動機の回転軸に結合された軸とに入出力さ
れる動力が決定したとき、該決定された動力に基づい
て、前記第1の出力軸に結合された軸に入出力される動
力が決定される3軸式動力入出力手段とすることができ
る。即ち、機械分配式の動力伝達装置により、上記の制
御を実現することができる。
【0028】なお、これらの動力伝達装置において、第
1または第2の電動機は(第3の電動機を有するもので
は第3の電動機も)、多相の交流により構成される回転
磁界と、永久磁石による磁界との相互作用により回転す
る同期電動機とすることができる。同期電動機は、小型
軽量な構成の割には大きな動力を取り出すことができ、
動力伝達装置を小型に構成することができる。
【0029】次に車輌の第1の車軸および第2の車軸に
独立に動力を伝達する本発明の四輪駆動車輌について説
明する。本発明の四輪駆動車輌は、動力が取り出される
回転軸を有し、該回転軸を回転させる原動機と、該回転
軸の回転に関連付けられた第1の電動機と、前記回転軸
に入力される動力と、前記第1の車軸に機械的な形態で
入出力される動力と、前記第1の電動機に電気的な形態
で入出力される動力との配分を、入出力の総和がバラン
スする条件の下で制御する分配手段と、前記第2の車軸
に結合された第2の電動機と、前記第1の電動機に電気
的な形態で入出力される動力を制御して、前記第1の電
動機の運転状態を可変し、前記分配手段における前記動
力の配分を制御する第1の動力制御手段と、前記第1の
動力制御手段により前記第1の電動機に電気的な形態で
入出力される動力に基づき、前記第2の電動機の運転を
制御して、前記第2の車軸に出力される動力を制御する
第2の動力制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0030】この四輪駆動車輌では、原動機の動力が伝
達される回転軸の回転に関連付けられた第1の電動機を
備え、この第1の電動機に電気的な形態で入出力される
動力を第1の動力制御手段により制御する。第1の電動
機に電気的な形態で入出力される動力が制御されると、
第1の電動機に電気的な形態で入出力される動力と原動
機の動力が伝達される回転軸に入力される動力と第1の
車軸に機械的な形態で入出力される動力との配分は、入
出力の総和がバランスする条件の下で分配手段により制
御されるから、第1の車軸に入出力される動力は決定さ
れる。他方、第1の動力制御手段により前記第1の電動
機に電気的な形態で入出力される動力に基づき、第2の
動力制御手段により、第2の電動機の運転を制御して、
第2の車軸に出力される動力を制御する。この結果、原
動機からの動力を、第1の車軸と、第2の車軸とに伝達
することができる。
【0031】この四輪駆動車輌において、前記第1の車
軸に結合された第3の電動機と、該第3の電動機の運転
を制御して、前記分配手段により機械的形態で動力が入
出力される前記第1の車軸に、第3の電動機による動力
の入出力を加える第3の動力制御手段とを備えることも
可能である。
【0032】かかる構成によれば、第1の車軸に入出力
される動力に、第3の電動機による動力の入出力を加え
ることができ、第1の車軸に最終的に入出力される動力
を、分配手段により機械的に入出力される動力の範囲に
とどまらず、広く可変することができる。
【0033】こうした四輪駆動車輌において、前記第1
の電動機は、前記原動機の出力軸に機械的に結合する第
1のロータと、該第1のロータと電磁的に結合し、該第
1のロータに対して相対的に回転し得る第2のロータと
を有すると共に、該第2のロータが、前記第1の車軸に
機械的に結合したものであって、前記分配手段を構成
し、前記第1および第2の動力制御手段は、多相交流に
よって前記第1の電動機における前記第1及び第2のロ
ータ間の電磁的な結合を制御して、前記第1の電動機と
の間で少なくとも一方向の電力のやり取りが可能な第1
の電動機駆動回路と、前記第2の電動機との間で少なく
とも一方向の電力のやり取りが可能な第2の電動機駆動
回路と、前記第1および第2の電動機駆動回路を制御し
て、前記原動機の動力を所定の配分で、前記第1および
第2の出力軸に出力する動力配分制御手段とを備えるこ
とも可能である。かかる構成は、分配手段を電気分配式
の構成としたものである。
【0034】電気分配式の四輪駆動車輌において、前記
第1または第2の電動機駆動回路が前記第1または第2
の電動機との間で回生した電力の少なくとも一部を蓄積
可能な二次電池を備え、前記動力配分制御手段を、前記
第1および第2の電動機駆動回路の制御による前記第1
および第2の電動機との間の電力のやり取りに加えて、
前記二次電池への電力の蓄積および該二次電池からの電
力の出力を制御して、前記第1および第2の出力軸に出
力する動力の配分を制御する手段とすることができる。
この場合には、一方から回生した電力でそのまま他方を
駆動するという制約、即ち第1の電動機駆動回路および
第2の電動機駆動回路の電力の収支を均衡させる必要が
ないことから、両電動機を駆動(力行)するなど、その
制御の自由度が一層高くなると言う利点が得られる。
【0035】また、こうした四輪駆動車輌において、前
記動力配分制御手段を、前記第1の電動機駆動回路を制
御して、前記第1の電動機より前記第1のロータと第2
のロータとの間に生じる滑り回転に応じた電力を前記第
1の電動機駆動回路を介して回生する回生制御手段と、
該回生した電力の少なくとも一部を用いて前記第2の電
動機駆動回路により前記第2の電動機を力行する力行制
御手段とを備える構成とすることができる。 この場合
には、第1の電動機から第1の電動機駆動回路を介して
電力を回生し、この電力の少なくとも一部を用いて第2
の電動機を力行し、第1および第2の出力軸に、原動機
のトルクを自由に配分することができる。 こうしたト
ルクの配分により、全体として車輌の加速走行、フリー
ランが可能である。
【0036】これとは逆に、四輪駆動車輌において、前
記動力配分制御手段を、前記第2の電動機駆動回路を制
御して、前記第2の車軸の回転により回転される前記第
2の電動機から電力を回生する回生制御手段と、該回生
した電力の少なくとも一部を用いて前記第1の電動機駆
動回路により前記第1の電動機を力行する力行制御手段
とを備える構成とすることもできる。四輪駆動車輌の場
合には、路面を介して四輪は関係づけられているから、
第2の車軸の側で回生を行ない、第1の車軸の側で力行
を行なうことも可能である。こうしたトルクの配分によ
り、全体として車輌の加速走行、フリーラン、制動が可
能である。
【0037】更に、二次電池を有する四輪駆動車輌にお
いて、前記動力配分制御手段を、前記第1の電動機駆動
回路を制御して、前記第1の電動機より前記第1のロー
タと第2のロータとの間に生じる滑り回転に応じた電力
を前記第1の電動機駆動回路を介して回生する第1の回
生制御手段と、前記第2の電動機駆動回路を制御して、
前記第2の車軸の回転により回転される前記第2の電動
機から電力を回生する第2の回生制御手段とを備えるも
のとし、該回生された電力の少なくとも一部を前記二次
電池に蓄積する構成とすることもできる。この場合に
は、少なくとも第2の車軸に制動力を発生させ、両車軸
に結合された両電動機から電力を回収して二次電池の充
電に供することができる。第1の車軸には、駆動力を付
与することもできるし、制動力を付与することもでき
る。従って、全体としては、車輌をフリーランまたは制
動状態に置くことができる。
【0038】他方、二次電池を有する四輪駆動車輌にお
いて、前記動力配分制御手段を、前記二次電池に蓄積さ
れた電力を用い、前記第1の電動機駆動回路を制御し
て、前記第1の電動機を力行する第1の力行制御手段
と、前記第2の電動機駆動回路を制御して、前記第2の
電動機を力行する第2の力行制御手段とを備える構成と
することができる。この場合には、両軸に、二次電池の
電力を利用した動力を付与することができ、原動機によ
る駆動力とを併せて、車輌を、フリーランまたは加速状
態に置くことができる。加速状態に置く場合には、第1
の電動機に滑り回転を生じさせて電力を回生している場
合と比べて、より高い動力を車軸に出力することがで
き、高い加速を実現することができる。なお、原動機が
停止していても、第1,第2の車軸に駆動力を発生する
ことができる。
【0039】四輪駆動車輌として、前記分配手段を、前
記原動機の回転軸と前記第1の車軸と前記第1の電動機
の回転軸とに各々結合される3軸を有し、該3軸のうち
前記原動機の回転軸に結合された軸と前記第1の電動機
の回転軸に結合された軸とに入出力される動力が決定し
たとき、該決定された動力に基づいて、前記第1の車軸
に結合された軸に入出力される動力が決定される3軸式
動力入出力手段とし、前記第1および第2の動力制御手
段を、前記第1の電動機との間で少なくとも一方向の電
力のやり取りが可能な第1の電動機駆動回路と、前記第
2の電動機との間で少なくとも一方向の電力のやり取り
が可能な第2の電動機駆動回路と、前記第1および第2
の電動機駆動回路を制御して、前記第1および第2の車
軸に入出力する動力の配分を制御する動力配分制御手段
とを備えたものとすることができる。かかる構成は、分
配手段を機械分配式の構成としたものである。
【0040】かかる四輪駆動車輌では、原動機の回転軸
に入力された動力は分配手段により、次のように行なわ
れる。3軸式動力入出力手段は、3軸のうち前記原動機
の回転軸に結合された軸と前記第1の電動機の回転軸に
結合された軸とに入出力される動力が決定したとき、該
決定された動力に基づいて、前記第1の車軸に結合され
た軸に入出力される動力が決定され、第1の車軸への動
力の入出力は機械的な形態により行なわれる。また、第
1の電動機は、電気的な形態で動力の入出力を行なう。
機械分配式を採用した四輪駆動車輌でも、第1および第
2の電動機駆動回路が、第1および第2の電動機との間
で、少なくとも一方向に電力のやり取りが可能なので、
動力配分制御手段がこれらの電動機駆動回路を制御する
ことにより、第1の車軸と第2の車軸に出力する動力を
自由に配分することができる。
【0041】この機械分配式の構成を備えた四輪駆動車
輌において、電気分配式の構成と同様に、前記第1また
は第2の電動機駆動回路が前記第1または第2の電動機
との間で回生した電力の少なくとも一部を蓄積可能な二
次電池を備え、前記動力配分制御手段を、前記第1およ
び第2の電動機駆動回路の制御による前記第1および第
2の電動機との間の電力のやり取りに加えて、前記二次
電池への電力の蓄積および該二次電池からの電力の出力
を制御して、前記第1および第2の車軸に出力する動力
の配分を制御する手段とすることができる。
【0042】更にこうした機械分配式の構成を備えた四
輪駆動車輌において、電気分配式の構成と同様、前記動
力配分制御手段を、前記第1の電動機駆動回路を制御し
て、前記原動機の回転軸に入出力される動力と前記第1
の車軸に入出力される動力との差分に応じた電力を、第
1の電動機から前記第1の電動機駆動回路を介して回生
する回生制御手段と、該回生した電力の少なくとも一部
を用いて前記第2の電動機駆動回路により前記第2の電
動機を力行する力行制御手段とを備えたものとすること
ができる。
【0043】また、こうした機械分配式の構成を備えた
四輪駆動車輌において、電気分配式の構成と同様、前記
動力配分制御手段を、前記第2の電動機駆動回路を制御
して、前記第2の車軸の回転により回転される前記第2
の電動機から電力を回生する回生制御手段と、該回生し
た電力の少なくとも一部を用いて前記第1の電動機駆動
回路により前記第1の電動機を力行する力行制御手段と
を備えたものとすることができる。
【0044】機械分配式の四輪駆動車輌において、二次
電池を備えたものでは、電気分配式の構成と同様、前記
動力配分制御手段を、前記第1の電動機駆動回路を制御
して、前記原動機の回転軸に入出力される動力と前記第
1の車軸に入出力される動力との差分に応じた電力を、
第1の電動機から前記第1の電動機駆動回路を介して回
生する第1の回生制御手段と、前記第2の電動機駆動回
路を制御して、前記第2の車軸の回転により回転される
前記第2の電動機から電力を回生する第2の回生制御手
段とを備えた構成が可能であり、該回生された電力の少
なくとも一部を前記二次電池に蓄積するものとすること
ができる。
【0045】同様に、二次電池を備えた四輪駆動車輌に
おいて、前記動力配分制御手段を、前記二次電池に蓄積
された電力を用い、前記第1の電動機駆動回路を制御し
て、前記第1の電動機を力行する第1の力行制御手段
と、前記第2の電動機駆動回路を制御して、前記第2の
電動機を力行する第2の力行制御手段とを備えたものと
することができる。
【0046】本発明の第2の四輪駆動車輌は、原動機の
出力する機械的エネルギを回転軸を介して第1の電動機
に伝達し、該第1の電動機において、伝達された前記機
械的エネルギの一部を電気的エネルギに変換して取り出
し、残りの機械的エネルギを第1の車軸に出力すると共
に、前記第1の電動機より取り出された前記電気的エネ
ルギの少なくとも一部を用いて第2の電動機を駆動し
て、第2の車軸に出力し、前記第1の電動機を利用して
伝達される前記機械的エネルギと取り出される前記電気
的エネルギとの配分を制御して、前記第1および第2の
車軸に出力される動力を所定の大きさに調整することを
要旨としている。
【0047】この四輪駆動車輌は、第1の電動機を利用
して伝達される機械的エネルギと取り出される電気的エ
ネルギとの配分を制御し、この取り出された電気的エネ
ルギの少なくとも一部を用いて第2の電動機を駆動する
から、第1の車軸および第2の車軸に出力される動力を
所定の大きさに調整することができる。
【0048】上述した四輪駆動車輌において、前記第1
の車軸に出力される動力と、前記第2の車軸に出力され
る動力との配分を決定する配分決定手段を備え、前記第
1の動力制御手段を、該配分決定手段により決定された
動力配分を目標値として制御を行なう手段とすることが
できる。
【0049】この四輪駆動車輌は、先に第1の車軸と第
2の車軸とに分配される動力を配分決定手段により決定
する。第1,第2の動力制御手段は、この決定された動
力配分を目標値として制御を行なう。この結果、第1,
第2の車軸に入出力される動力の配分を優先して制御が
行なわれることになる。
【0050】更に第3の電動機を備えた上記の四輪駆動
車輌において、前記第1の動力制御手段を介して前記第
1の電動機の動力を制御することにより、前記原動機を
所望の運転領域内で運転する原動機運転手段と、前記第
1の車軸に出力される動力と、前記第2の車軸に出力さ
れる動力との配分を決定する配分決定手段を備えると共
に、前記第3の動力制御手段を、該配分決定手段により
前記第1の車軸について決定された動力配分を目標値と
して制御を行なう手段とし、前記第2の動力制御手段
を、該配分決定手段により前記第2の車軸について決定
された動力配分を目標値として制御を行なう手段でとす
ることができる。この四輪駆動車輌では、原動機を所望
の運転条件、例えば燃料消費量が少なくなる運転条件で
運転しながら、第1,第2の車軸に入出力される動力の
配分を自由に制御することができる。
【0051】この四輪駆動車輌において、前記第1の電
動機を、前記原動機の回転軸に機械的に結合する第1の
ロータと、該第1のロータと電磁的に結合し、該第1の
ロータに対して相対的に回転し得る第2のロータとを有
すると共に、該第2のロータが、前記第1の車軸に機械
的に結合したものとし、この構成により前記分配手段を
構成することができる。 即ち、電気分配式により、上
記の制御を実現することができる。
【0052】他方、この四輪駆動車輌において、前記分
配手段を、前記原動機の回転軸と前記第1の車軸と前記
第1の電動機の回転軸とに各々結合される3軸を有し、
該3軸のうち前記原動機の回転軸に結合された軸と前記
第1の電動機の回転軸に結合された軸とに入出力される
動力が決定したとき、該決定された動力に基づいて、前
記第1の車軸に結合された軸に入出力される動力が決定
される3軸式動力入出力手段とすることができる。即
ち、機械分配式により、上記の制御を実現することがで
きる。
【0053】更に、本発明の第3の四輪駆動車輌は、原
動機の動力を車輌の第1の車軸と該第1の車軸とは機械
的に直接は結合されていない第2の車軸に伝達する動力
伝達装置を備えた四輪駆動車輌であって、動力を出力す
る回転軸を有し、該回転軸を回転させる原動機と、該原
動機の回転軸に機械的に結合する第1のロータと、該第
1のロータと電磁的に結合し、該第1のロータに対して
相対的に回転し得る第2のロータとを有し、該第2のロ
ータに前記第1の車軸を機械的に結合した第1の電動機
と、多相交流によって前記第1の電動機における前記第
1及び第2のロータ間の電磁的な結合を制御して、前記
第1の電動機との間で少なくとも一方向の電力のやり取
りが可能な第1の電動機駆動回路と、前記原動機の他の
回転軸に機械的に結合する第3のロータと、該第3のロ
ータと電磁的に結合し、該第3のロータに対して相対的
に回転し得る第4のロータとを有し、該第4のロータに
前記第2の車軸を機械的に結合した第2の電動機と、多
相交流によって前記第1の電動機における前記第1及び
第2のロータ間の電磁的な結合を制御して、前記第2の
電動機との間で少なくとも一方向の電力のやり取りが可
能な第2の電動機駆動回路と、前記第1および第2の電
動機駆動回路を制御して、前記原動機の動力を所定の配
分で、前記第1および第2の車軸に出力する動力配分制
御手段とを備えたことを要旨とする。
【0054】この四輪駆動車輌は、原動機の出力軸の両
端から第1または第2の車軸に至る経路に、相対的に回
転し得るロータを備えた電動機という同一の構成を付加
したものであり、各軸に置かれた電動機とその電動機駆
動回路との間の電力のやり取りを制御することで、第1
および第2の車軸に出力される原動機の動力を自在に配
分することができる。
【0055】この四輪駆動車輌において、前記第1また
は第2の電動機駆動回路が前記第1または第2の電動機
との間で回生した電力の少なくとも一部を蓄積可能な二
次電池を備え、前記動力配分制御手段は、前記第1およ
び第2の電動機駆動回路の制御による電力の回生および
消費に加えて、前記二次電池への電力の蓄積および/ま
たは該二次電池からの電力の出力を制御する二次電池制
御手段を備えた構成とすることができる。この場合に
は、電動機間の電力の収支をバランスさせる必要はな
く、二次電池を含めた電力のやり取りにより、第1およ
び第2の車軸への動力の配分を一層自由に制御すること
ができる。
【0056】更に、本発明の第4の四輪駆動車輌は、原
動機の動力を車輌の第1の車軸および第2の車軸に伝達
する動力伝達装置を備えた四輪駆動車輌であって、動力
が出力される回転軸を有し、該回転軸を回転させる原動
機と、該原動機の回転軸に機械的に結合する第1のロー
タと、該第1のロータと電磁的に結合し、該第1のロー
タに対して相対的に回転し得る第2のロータとを有し、
該第2のロータに前記第1の車軸を機械的に結合した第
1の電動機と、多相交流によって前記第1の電動機にお
ける前記第1及び第2のロータ間の電磁的な結合を制御
して、前記第1の電動機との間で少なくとも一方向の電
力のやり取りが可能な第1の電動機駆動回路と、前記第
1の車軸とは機械的に直接は結合されていない第2の車
軸が結合された第2の電動機と、該第2の電動機との間
で少なくとも一方向の電力のやり取りが可能な第2の電
動機駆動回路と、前記第1および第2の電動機駆動回路
を制御して、前記第1および/または第2の車軸に制動
トルクを付与する制動力制御手段とを備えたことを要旨
とする。
【0057】この四輪駆動車輌は、第1および第2の電
動機駆動回路を制御することにより、第1および/また
は第2の車軸に制動力を付与して、四輪駆動車における
制動力を自在に制御することができる。また、制動時に
エネルギを第1または第2の電動機駆動回路を介して回
生することにより、車輌のエネルギ効率を一層高めるこ
ともできる。
【0058】本発明の動力伝達方法は、原動機の動力が
伝達される回転軸を備え、該回転軸から入力される原動
機からの動力を基準として、第1の原動機が結合された
第1の出力軸に入出力される動力と、第2の電動機が結
合され、該第1出力軸とは異なる第2の出力軸に入出力
される動力との配分を制御する方法であって、前記回転
軸に入力される動力と、前記第1の出力軸に機械的な形
態で入出力される動力と、前記第1の電動機に電気的な
形態で入出力される動力との配分を、入出力の総和がバ
ランスする条件の下で制御する分配手段を用意し、前記
第1の電動機に電気的な形態で入出力される動力を制御
して、前記第1の電動機の運転状態を可変し、前記分配
手段における前記動力の配分を制御し、前記分配手段の
動作に伴い前記第1の電動機に電気的な形態で入出力さ
れる動力に基づき、前記第2の電動機の運転を制御し
て、前記第2の出力軸に出力される動力を制御すること
を要旨とする。
【0059】また、本発明の四輪駆動方法は、原動機の
動力が伝達される回転軸を備え、該回転軸から入力され
る原動機からの動力を基準として、第1の原動機が結合
された第1の車軸に入出力される動力と、第2の電動機
が結合され、該第1車軸とは異なる第2の車軸に入出力
される動力との配分を制御する四輪駆動方法であって、
前記回転軸に入力される動力と、前記第1の車軸に機械
的な形態で入出力される動力と、前記第1の電動機に電
気的な形態で入出力される動力との配分を、入出力の総
和がバランスする条件の下で制御する分配手段を用意
し、前記第1の電動機に電気的な形態で入出力される動
力を制御して、前記第1の電動機の運転状態を可変し、
前記分配手段における前記動力の配分を制御し、前記分
配手段の動作に伴い前記第1の電動機に電気的な形態で
入出力される動力に基づき、前記第2の電動機の運転を
制御して、前記第2の車軸に入出力される動力を制御す
ることを要旨とする。
【0060】上記のいずれの構成においても、原動機と
しては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの
内燃機関の他、ロータリーエンジン、ガスタービン、ス
ターリングエンジンなど、いかなる原動機でも利用可能
である。これらの原動機は、定常運転状態で制御しても
良いし、オン・オフ的な制御としても良いし、アクセル
開度や要求トルクなどに応じて出力を制御しても良い。
また、二次電池を有する構成では、二次電池の充電状態
などに応じて制御するものとしても良い。車輌全体の総
合的な状態から制御するものとすることも自然である。
【0061】更に、第1および第2の電動機としては、
永久磁石型の同期モータの他にも、永久磁石型のDCモ
ータ、通常の直流モータ、誘導モータ、リラクタンス同
期モータ、永久磁石型またはリラクタンス型のバーニア
モータ、ステッピングモータ、超伝導モータなど、種々
のモータを用いることができる。これらの電動機を制御
する電動機駆動回路は、電動機のタイプに適したものを
採用すればよいが、例えば、IGBTインバータ、トラ
ンジスタを用いたインバータ、サイリスタインバータ、
電圧PWMインバータ、電流インバータ、共振インバー
タなど、様々なタイプの回路が知られている。また、二
次電池としては、鉛バッテリ、ニッケル水素(NiM
H)バッテリ、リチウムバッテリ、大型のキャパシタな
ど、実現可能な様々な構成が採用可能である。回生した
エネルギを蓄えることができれば良く、二次電池に蓄え
切れない電力が回生された場合には、例えばメタン改質
などに利用して水素ガスなどの形態で蓄えるものとして
も良い。
【0062】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施例と
しての動力伝達装置20を組み込んだ四輪駆動車輌15
の概略構成を示す構成図、図2はこの四輪駆動車輌15
について原動機50を含む概略構成を示す構成図、図3
は図1の構成を電気的に詳しく描いた構成図、である。
説明の都合上、まず図2を用いて、車輌全体の構成から
説明する。
【0063】図2に示すように、この車輌には、原動機
50としてガソリンにより運転されるガソリンエンジン
が備えられている。この原動機50は、吸気系からスロ
ットルバルブ66を介して吸入した空気と燃料噴射弁5
1から噴射されたガソリンとの混合気を燃焼室52に吸
入し、この混合気の爆発により押し下げられるピストン
54の運動をクランクシャフト56の回転運動に変換す
る。ここで、スロットルバルブ66はモータ66aによ
り開閉駆動される。点火プラグ62は、イグナイタ58
からディストリビュータ60を介して導かれた高電圧に
よって電気火花を形成し、混合気はその電気火花によっ
て点火されて爆発燃焼する。この爆発燃焼により取り出
されるエネルギが、この車輌を駆動する動力源となる。
【0064】この原動機50の運転は、電子制御ユニッ
ト(以下、EFIECUと呼ぶ)70により制御されて
いる。EFIECU70には、原動機50の運転状態を
示す種々のセンサが接続されている。例えば、スロット
ルバルブ66の開度を検出するスロットルポジションセ
ンサ67や、原動機の50の負荷を検出する吸気管負圧
センサ72、原動機50の水温を検出する水温センサ7
4、ディストリビュータ60に設けられクランクシャフ
ト56の回転数と回転角度を検出する回転数センサ76
及び回転角度センサ78などである。なお、EFIEC
U70には、この他、例えばイグニッションキーの状態
STを検出するスタータスイッチ79なども接続されて
いるが、その他のセンサ,スイッチなどの図示は省略し
た。
【0065】原動機50のクランクシャフト56は、ク
ラッチモータ30を介して駆動軸22Aに結合されてい
る。駆動軸22Aは、減速ギヤ23を介して前輪駆動用
のディファレンシャルギヤ24に結合されており、駆動
軸22Aから出力されるトルクは最終的に左右の前輪2
6,28に伝達される。他方、後輪27,29には、後
輪用のディファレンシャルギヤ25を介して、アシスト
モータ40が結合されている。即ち、この車輌15は、
前輪26,28は、原動機50およびクラッチモータ3
0により、他方後輪27,29はアシストモータ40に
より、各々駆動される四輪駆動車輌として構成されてい
る。
【0066】これらのクラッチモータ30及びアシスト
モータ40は、制御装置80により制御されている。制
御装置80の構成は後で詳述するが、内部には制御CP
Uが備えられており、シフトレバー82に設けられたシ
フトポジションセンサ84やアクセルペダル64に設け
られその操作量を検出するアクセルペダルポジションセ
ンサ65、更にはブレーキペダル68の操作量を検出す
るブレーキペダルポジションセンサ69なども接続され
ている。また、制御装置80は、上述したEFIECU
70と通信により、種々の情報をやり取りしている。こ
れらの情報のやり取りを含む制御については、後述す
る。
【0067】動力伝達装置20の構成について説明す
る。図3に示すように、動力伝達装置20は、大きく
は、動力を発生する原動機50、この原動機50のクラ
ンクシャフト56の一端にアウタロータ32が機械的に
結合されたクラッチモータ30、このクラッチモータ3
0とは別体に設けられ後輪用の駆動軸22Bに結合され
たロータ42を有するアシストモータ40、及びクラッ
チモータ30とアシストモータ40を駆動・制御する制
御装置80から構成されている。
【0068】各モータの概略構成について、図3および
図4により説明する。クラッチモータ30は、図3およ
び図4に示すように、アウタロータ32の内周面に永久
磁石35を備え、インナロータ34に形成されたスロッ
トに三相のコイル36を巻回する同期電動機として構成
されている。この三相コイル36との電力のやり取り
は、回転トランス38を介して行なわれる。詳細は後述
するが、クラッチモータ30は、三相コイル36に電力
を供給して力行させる場合と、三相コイル36から電力
を取り出して回生させる場合とが存在する。インナロー
タ34において三相コイル36用のスロット及びティー
スを形成する部分は、無方向性電磁鋼板の薄板を積層す
ることで構成されている。インナロータ34は、駆動軸
22に結合されており、この駆動軸22を回転する力
が、減速ギヤ23の減速比(実施例では約1:4)によ
り増幅されて前輪26,28の駆動力となる。なお、ク
ランクシャフト56には、その回転角度θeを検出する
レゾルバ39Aが、他方、駆動軸22Aには、その回転
角度θfを検出するレゾルバ39Bが設けられている。
両レゾルバ39A,39Bが検出したクランクシャフト
56の回転角度θeと駆動軸22Aの回転角度θfとに
基づいて、制御装置80は、クラッチモータ30のアウ
タロータ32に対するインナロータ34の相対的な回転
角度(電気角)を知ることができる。
【0069】他方、クラッチモータ30とは別体に設け
られたアシストモータ40も、クラッチモータ30同
様、同期電動機として構成されているが、回転磁界を形
成する三相コイル44は、ケース45に固定されたステ
ータ43に巻回されている。このステータ43も、無方
向性電磁鋼板の薄板を積層することで形成されている。
ロータ42の外周面には、複数個の永久磁石46が設け
られている。アシストモータ40では、力行時には、こ
の永久磁石46により磁界と三相コイル44が形成する
磁界との相互作用により、ロータ42が回転する。回生
時には、このロータ42の回転により三相コイル44か
ら電力が取り出される。ロータ42が機械的に結合され
た軸は、後輪27,29の駆動軸22Bであり、この駆
動軸22Bには、その回転角度θrを検出するレゾルバ
48が設けられている。また、駆動軸22Bは、ケース
45に設けられたベアリング49により軸支されてい
る。
【0070】アシストモータ40は、通常の永久磁石型
三相同期モータとして構成されているが、クラッチモー
タ30は、永久磁石35を有するアウタロータ32も三
相コイル36を備えたインナロータ34も、共に回転す
るよう構成されている。そこで、クラッチモータ30の
構成の詳細について、図4を用いて補足する。クラッチ
モータ30のアウタロータ32は、クランクシャフト5
6に嵌合されたホイール57の外周端に圧入ピン59a
及びネジ59bにより取り付けられている。ホイール5
7の中心部は、軸形状に突設されており、ここにベアリ
ング37A,37Bを用いてインナロータ34が回転自
在に取り付けられている。また、インナロータ34に
は、駆動軸22Aの一端が固定されている。
【0071】アウタロータ32に永久磁石35が設けら
れていることは既に説明した。この永久磁石35は、実
施例では4個設けられており、アウタロータ32の内周
面に貼付されている。その磁化方向はクラッチモータ3
0の軸中心に向かう方向であり、一つおきに磁極の方向
は逆向きになっている。この永久磁石35と僅かなギャ
ップにより対向するインナロータ34の三相コイル36
は、インナロータ34に設けられた計24個のスロット
(図示せず)に巻回されており、各コイルに通電する
と、スロットを隔てるティースを通る磁束を形成する。
各コイルに三相交流を流すと、この磁界は回転する。三
相コイル36の各々は、回転トランス38から電力の供
給を受けるよう接続されている。この回転トランス38
は、ケース45に固定された一次巻線38Aとインナロ
ータ34に結合された駆動軸22Aに取り付けられた二
次巻線38Bとからなり、電磁誘導により、一次巻線3
8Aと二次巻線38Bとの間で、双方向に電力をやり取
りすることができる。なお、三相(U,V,W相)の電
流をやり取りするために、回転トランス38には三相分
の巻線が用意されている。
【0072】隣接する一組の永久磁石35が形成する磁
界と、インナロータ34に設けられた三相コイル36が
形成する回転磁界との相互作用により、アウタロータ3
2とインナロータ34とは種々の振る舞いを示す。通常
は、三相コイル36に流す三相交流の周波数は、クラン
クシャフト56に直結されたアウタロータ32の回転数
(1秒間の回転数)とインナロータ34の回転数との偏
差の周波数としている。この結果、両者の回転には滑り
を存在することになる。分配手段を構成し第1の電動機
に相当するクラッチモータ30と、第2の電動機に相当
するアシストモータ40の制御の詳細については、後で
フローチャートを用いて詳しく説明する。
【0073】次に、クラッチモータ30及びアシストモ
ータ40を駆動・制御する制御装置80について説明す
る。制御装置80は、図3に示すように、クラッチモー
タ30との間で電力を双方向にやり取り可能な第1の駆
動回路91、アシストモータ40との間で電力を双方向
にやり取り可能な第2の駆動回路92、両駆動回路9
1,92を制御する制御CPU90、二次電池であるバ
ッテリ94から構成されている。制御CPU90は、1
チップマイクロプロセッサであり、内部に、ワーク用の
RAM90a、処理プログラムを記憶したROM90
b、入出力ポート(図示せず)及びEFIECU70と
通信を行なうシリアル通信ポート(図示せず)を備え
る。この制御CPU90には、レゾルバ39Aからのエ
ンジン回転角度θe、レゾルバ39Bからの駆動軸22
Aの回転角度θf、レゾルバ48からの駆動軸22Bの
回転角度θr、アクセルペダルポジションセンサ65か
らのアクセルペダルポジション(アクセルペダルの踏込
量)AP、シフトポジションセンサ84からのシフトポ
ジションSP、ブレーキペダルポジションセンサ69か
らのブレーキポジションBP、第1の駆動回路91に設
けられた2つの電流検出器95,96からのクラッチ電
流値Iuc,Ivc、第2の駆動回路に設けられた2つ
の電流検出器97,98からのアシスト電流値Iua,
Iva、バッテリ94の残容量を検出する残容量検出器
99からの残容量BRMなどが、入力ポートを介して入力
されている。なお、残容量検出器99は、バッテリ94
の電解液の比重またはバッテリ94の全体の重量を測定
して残容量を検出するものや、充電・放電の電流値と時
間を演算して残容量を検出するものや、バッテリの端子
間を瞬間的にショートさせて電流を流し内部抵抗を測る
ことにより残容量を検出するものなどが知られている。
【0074】また、制御CPU90からは、第1の駆動
回路91に設けられたスイッチング素子である6個のト
ランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号SW
1と、第2の駆動回路92に設けられたスイッチング素
子としての6個のトランジスタTr11ないしTr16
を駆動する制御信号SW2とが出力されている。第1の
駆動回路91内の6個のトランジスタTr1ないしTr
6は、トランジスタインバータを構成しており、それぞ
れ、一対の電源ラインP1,P2に対してソース側とシ
ンク側となるよう2個ずつペアで配置され、その接続点
に、クラッチモータ30の三相コイル(UVW)36の
各々が、回転トランス38を介して接続されている。電
源ラインP1,P2は、バッテリ94のプラス側とマイ
ナス側に、それぞれ接続されているから、制御CPU9
0により対をなすトランジスタTr1ないしTr6のオ
ン時間の割合を制御信号SW1により順次制御し、各コ
イル36に流れる電流を、PWM制御によって擬似的な
正弦波にすると、三相コイル36により、回転磁界が形
成される。
【0075】他方、第2の駆動回路92の6個のトラン
ジスタTr11ないしTr16も、トランジスタインバ
ータを構成しており、それぞれ、第1の駆動回路91と
同様に配置されていて、対をなすトランジスタの接続点
は、アシストモータ40の三相コイル44の各々に接続
されている。従って、制御CPU90により対をなすト
ランジスタTr11ないしTr16のオン時間を制御信
号SW2により順次制御し、各コイル44に流れる電流
を、PWM制御によって擬似的な正弦波にすると、三相
コイル44により、回転磁界が形成される。
【0076】制御装置80と制御装置80により制御さ
れるこれらクラッチモータ30およびアシストモータ4
0とは、別体に配置されているが、四輪に動力を分配・
伝達することから、以下、動力伝達装置20と総称す
る。駆動力の分配・伝達を行なうための構成を模式的に
示したのが、図46である。原動機50から取り出され
たエネルギ(トルク×回転数)は、クラッチモータ30
を介して駆動軸22に伝達されるが、クラッチモータ3
0に滑り回転を生じさせた場合には、この回転数差×伝
達トルクに対応したエネルギが、クラッチモータ30の
三相コイル36から回生される。このエネルギは、回転
トランス38から第1の駆動回路91を介して回収さ
れ、バッテリ94に蓄えられる。他方、アシストモータ
40では、このクラッチモータ30を介して駆動軸22
Aに出力されたトルクと略等しいトルクが発生される。
このトルクは、バッテリ94に蓄えられたエネルギもし
くはクラッチモータ30により回生されたエネルギによ
り、アシストモータ40を力行することにより得られ
る。この結果、前輪26,28と後輪27,29とに
は、所定の分配比でトルクが付与される。各車輪に分配
されるトルクがおよそ等しければ、いわゆるフルタイム
4WDとほぼ同様な駆動力の配分となる。
【0077】以上構成を説明した動力伝達装置20は、
フルタイム4WDとしての動作以外にも種々の動作が可
能である。以下、動力伝達装置20の動作について説明
する。動力伝達装置20の動作原理、特にトルク変換の
原理は以下の通りである。原動機50がEFIECU7
0により運転され、所定の回転数N1で回転していると
する。このとき、制御装置80が回転トランス38を介
してクラッチモータ30の三相コイル36に何等電流を
流していないとすれば、即ち第1の駆動回路91のトラ
ンジスタTr1ないしTr6が常時オフ状態であれば、
三相コイル36には何等の電流も流れないから、クラッ
チモータ30のアウタロータ32とインナロータ34と
は電磁的に全く結合されていない状態となり、原動機5
0のクランクシャフト56は空回りしている状態とな
る。この状態では、トランジスタTr1ないしTr6が
オフとなっているから、三相コイル36からの回生も行
なわれない。即ち、原動機50はアイドル回転をしてい
ることになる。
【0078】制御装置80の制御CPU90が制御信号
SW1を出力してトランジスタをオンオフ制御すると、
原動機50のクランクシャフト56の回転数と駆動軸2
2Aの回転数との偏差(言い換えれば、クラッチモータ
30におけるアウタロータ32とインナロータ34の回
転数差)に応じて、クラッチモータ30の三相コイル3
6に一定の電流が流れる。即ち、クラッチモータ30は
発電機として機能し、電流が第1の駆動回路91を介し
て回生され、バッテリ94が充電される。この時、アウ
タロータ32とインナロータ34とは一定の滑りが存在
する結合状態となる。即ち、インナロータ34は、原動
機50のクランクシャフト56の回転数よりは低い回転
数で回転する。この状態で、回生された電気エネルギと
等しいエネルギがアシストモータ40で消費されるよう
に、制御CPU90が第2の駆動回路92を制御する
と、アシストモータ40の三相コイル44に電流が流
れ、アシストモータ40においてトルクが発生する。図
46に照らせば、原動機50がそのクランクシャフト5
6を回転数Ne,トルクTeで運転しており、クラッチ
モータ30の出力側である駆動軸22Aが回転数Ndf
で回転しているとき、クラッチモータ30の回転数差
(Ne−Ndf)×伝達トルクTeに相当する領域G1
のエネルギをクラッチモータ30から回生し、これをア
シストモータ40に付与することで、駆動軸22Bを回
転数Ndr(=Ndf),トルクTdrで回転するとい
うことになる。こうして、クラッチモータ30における
滑り(回転数差)に応じたエネルギがトルクTdfとし
て駆動軸22Bに付与され、四輪駆動車輌15は、原動
機50の出力トルクTeより大きなトルクTe+Tdr
で駆動されることになる。なお、直線路を定常走行して
いる時には、四輪駆動車輌15の前輪26と後輪27の
回転数(即ち前輪用の駆動軸22Aと後輪用の駆動軸2
2Bの回転数NdfおよびNdr)は等しいが、コーナ
ーリングの途中では両者は必ずしも一致しない。従っ
て、アシストモータ40から後輪27に伝達されるトル
クTdrは、効率を考慮しなければ、 Tdr=(Ne−Ndf)×Te/Ndr となる。
【0079】以下、制御装置80における制御について
詳しく説明する。図5は制御CPU90におけるトルク
制御の処理の概要を示すフローチャートである。図示す
るように、この処理ルーチンが起動されると、まず駆動
軸22Aの回転数Ndfを読み込む処理を行なう(ステ
ップS100)。駆動軸22Aの回転数Ndfは、レゾ
ルバ39Bから読み込んだ駆動軸22Aの回転角度θf
から求めることができる。次に、アクセルペダルポジシ
ョンセンサ65からのアクセルペダルポジションAPを
読み込む処理を行なう(ステップS101)。アクセル
ペダル64は運転者が出力トルクが足りないと感じたと
きに踏み込まれるものであり、従って、アクセルペダル
ポジションAPの値は運転者の欲している出力トルク
(すなわち、駆動軸22A,22Bの総合トルク)に対
応するものである。続いて、読み込まれたアクセルペダ
ルポジションAPに応じた出力トルク(車輌全体が必要
とするトルク)の目標値(以下、トルク指令値とも言
う)Td*を導出する処理を行なう(ステップS10
2)。すなわち、各アクセルペダルポジションAPに対
しては、それぞれ、予め出力トルク指令値Td*が設定
されており、アクセルペダルポジションAPが読み込ま
れると、そのアクセルペダルポジションAPに対応して
設定された出力トルク指令値Td*の値が導き出され
る。
【0080】次に、導き出された出力トルク指令Td*
と読み込まれた駆動軸22の回転数Ndfとから、駆動
軸22より出力すべきエネルギPdを計算(Pd=Td
*×Ndf)により求める処理を行なう(ステップS1
03)。そして、この求めた出力エネルギPdに基づい
て、目標とするエンジントルクTeとエンジン回転数N
eを設定する処理を行なう(ステップS104)。ここ
で、駆動軸22Aおよび駆動軸22Bより出力すべきエ
ネルギPdを全て原動機50によって供給するものとす
ると、原動機50の供給するエネルギはエンジントルク
Teとエンジン回転数Neとの積に等しいため、出力エ
ネルギPdとエンジントルクTe,エンジン回転数Ne
との関係はPd=Te×Neとなる。しかし、かかる関
係を満足するエンジントルクTe,エンジン回転数Ne
の組合せは無数に存在する。そこで、本実施例では、原
動機50ができる限り効率の高い状態で動作するよう
に、エンジントルクTe,エンジン回転数Neの組合せ
を設定する。即ち、本制御は、原動機50の運転効率を
優先した制御である。四輪駆動車輌15の場合には、4
輪のトルク配分が優先される必要のある場合が考えられ
る。トルク配分優先の制御については、第2実施例で説
明する。
【0081】次に、設定されたエンジントルクTeに基
づいて、クラッチモータ30のトルク指令値Tc*を設
定する処理を行なう(ステップS106)。原動機50
の回転数をほぼ一定となるようにするには、クラッチモ
ータ30のトルクを原動機50のトルクと等しくして釣
り合わせるようにすれば良い。そこで、ここではクラッ
チモータ30のトルク指令値Tc*をエンジントルクT
eと等しくなるように設定する。
【0082】こうして、クラッチモータトルク指令値T
cを設定した後(ステップS106)、クラッチモータ
30の制御(ステップS108)とアシストモータ40
の制御(ステップS110)と原動機50の制御(ステ
ップS111)を行なう。なお、図示の都合上、クラッ
チモータ30の制御とアシストモータ40の制御と原動
機50の制御は別々のステップとして記載したが、実際
には、これらの制御は総合的に行なわれる。例えば、制
御CPU90が割り込み処理を利用して、クラッチモー
タ30とアシストモータ40の制御を同時に実行すると
共に、通信によりEFIECU70に指示を送信して、
EFIECU70により原動機50の制御も同時に行な
わせる。
【0083】クラッチモータ30の制御処理(図5ステ
ップS108)では、図6に示したように、まず駆動軸
22の回転角度θfをレゾルバ39Bから読み込む処理
(ステップS112)が行なわれる。次に、レゾルバ3
9Aから原動機50のクランクシャフト56の回転角度
θeを入力し(ステップS114)、両軸の相対角度θ
cを求める処理を行なう(ステップS116)。即ち、
θc=θe−θdを演算するのである。
【0084】次に、電流検出器95,96により、クラ
ッチモータ30の三相コイル36のU相とV相に流れて
いる電流Iuc,Ivcを検出する処理を行なう(ステ
ップS118)。電流はU,V,Wの三相に流れている
が、その総和はゼロなので、二つの相に流れる電流を測
定すれば足りる。こうして得られた三相の電流を用いて
座標変換(三相−二相変換)を行なう(ステップS12
0)。座標変換は、永久磁石型の同期電動機のd軸,q
軸の電流値に変換することであり、次式(1)を演算す
ることにより行なわれる。
【0085】
【数1】
【0086】ここで座標変換を行なうのは、永久磁石型
の同期電動機においては、d軸及びq軸の電流が、トル
クを制御する上で本質的な量だからである。もとより、
三相のまま制御することも可能である。次に、2軸の電
流値に変換した後、クラッチモータ30におけるトルク
指令値Tc*から求められる各軸の電流指令値Idc
*,Iqc*と実際各軸に流れた電流Idc,Iqcと
偏差を求め、各軸の電圧指令値Vdc,Vqcを求める
処理を行なう(ステップS122)。即ち、まず以下の
式(2)の演算を行ない、次に次式(3)の演算を行な
うのである。
【0087】
【数2】
【0088】
【数3】
【0089】ここで、Kp1,2及びKi1,2は、各
々係数である。これらの係数は、適用するモータの特性
に適合するよう調整される
【0090】ここで、電圧指令値Vdc,Vqcは、電
流指令値I*との偏差△Iに比例する部分(上式(3)
右辺第1項)と偏差△Iのi回分の過去の累積分(右辺
第2項)とから求められる。その後、こうして求めた電
圧指令値をステップS120で行なった変換の逆変換に
相当する座標変換(二相−三相変換)を行ない(ステッ
プS124)、実際に三相コイル36に印加する電圧V
uc,Vvc,Vwcを求める処理を行なう。各電圧
は、次式(4)により求める。
【0091】
【数4】
【0092】実際の電圧制御は、第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6のオンオフ時間により
なされるから、式(4)によって求めた各電圧指令値と
なるよう各トランジスタTr1ないしTr6のオン時間
をPWM制御する(ステップS126)。以上の処理に
より、クラッチモータ30が機械的に駆動軸22Aに伝
達するトルクを目標トルクにする制御が行なわれること
になる。
【0093】次にアシストモータ40によるトルク制御
(図5ステップS110)の詳細について説明する。ア
シストモータ40の制御は、図7に示すように、まず前
輪26用の駆動軸22Aの回転数Ndfを読み込む処理
を行なう(ステップS131)。駆動軸22Aの回転数
は、レゾルバ39Bから読み込んだ駆動軸22Aの回転
角度θfから求めることができる。次に、原動機50の
回転数Neを読み込む処理を行なう(ステップS13
2)。原動機50の回転数Neは、レゾルバ39Aから
読み込んだクランクシャフト56の回転角度θeから求
めることもできるし、ディストリビュータ60に設けら
れた回転数センサ76によっても直接検出することもで
きる。回転数センサ76を用いる場合には、回転数セン
サ76に接続されたEFIECU70から通信により回
転数Neの情報を受け取ることになる。
【0094】その後、読み込んだ駆動軸22Aの回転数
Ndfと原動機50の回転数Neとから、両軸の回転数
差Ncを計算(Nc=Ne−Ndf)により求める処理
を行なう(ステップS133)。次に、クラッチモータ
30側で発電される電力を演算する処理を行なう(ステ
ップS134)。即ち、回生される電力(エネルギ)P
cを、 Pc=Ksc×Nc×Tc として演算するのである。ここで、Tcはクラッチモー
タ30における実際のトルクであり、Ncは回転数差で
あるから、Nc×Tcは、図46における領域G1に相
当するエネルギを求めることに相当する。Kscはクラ
ッチモータ30の発電(回生)の効率である。
【0095】続いてアシストモータ40により付与され
るトルク指令値Ta*を、 Ta*=ksa×Pc/Ndr として演算する(ステップS135)。尚、ksaは、
アシストモータ40自身の効率である。求めたトルク指
令値Ta*がアシストモータ40によって付与し得る最
大トルクTamaxを越えているか否かの判断を行ない
(ステップS136)、越えている場合には、最大値に
制限する処理を行なう(ステップS138)。
【0096】次に、駆動軸22Bの角度θrをレゾルバ
48を用いて検出し(ステップS140)、更にアシス
トモータ40の各相電流を電流検出器97,98を用い
て検出する処理(ステップS142)を行なう。その
後、図7に示すように、クラッチモータ30と同様座標
変換(ステップS144)及び電圧指令値Vda,Vq
aの演算を行ない(ステップS146)、更に電圧指令
値の逆座標変換(ステップS148)を行なって、アシ
ストモータ40の第2の駆動回路92のトランジスタT
r11ないしTr16のオンオフ制御時間を求め、PW
M制御を行なう(ステップS150)。これらの処理
は、クラッチモータ30について行なったものと全く同
一である。
【0097】次に、原動機50の制御(ステップS11
1)について説明する。原動機50の制御は、図5のス
テップS104において、既に、目標とするエンジント
ルクTeとエンジン回転数Neが設定されているので、
原動機50のトルク及び回転数がその設定された値にな
るように、原動機50のトルク及び回転数を制御する。
実際には、制御CPU90から通信によりEFIECU
70に指示を送信し、燃料噴射量やスロットルバルブ開
度を増減して、原動機50のトルクがTeに、回転数が
Neになるように徐々に調整する。
【0098】以上の処理により、クラッチモータ30に
より所定の効率Kscで電力に変換されたトルク、即ち
原動機50のクランクシャフト56の回転数とクラッチ
モータ30のインナロータ34の回転数の偏差に比例し
てクラッチモータ30で回生された電力により、アシス
トモータ40において後輪用の駆動軸22Bにトルクと
して付与することができる。アシストモータ40が駆動
軸22Bに付与するトルクは、クラッチモータ30によ
り電力に変換されたトルクに一致している。この結果、
図46において、領域G1のエネルギを領域G2に移し
て、トルク変換を行なうことができる。
【0099】もとより、クラッチモータ30やアシスト
モータ40あるいは第1の駆動回路91,第2の駆動回
路92でも損失は幾らか存在するから、領域G1で示さ
れたエネルギと領域G2で示されたエネルギが完全に一
致することは現実には困難であるが、同期電動機自体は
効率が1に極めて近いものが得られているので、両モー
タにおける損失は比較的小さい。また、トランジスタT
r1ないしTr16のオン抵抗も、GTOなど極めて小
さいものが知られているから、第1の駆動回路91,第
2の駆動回路92での損失も十分に小さなものとし得
る。従って、クランクシャフト56と駆動軸22Aとの
回転数の偏差、即ちクラッチモータ30の回転の滑りの
大部分は、三相コイル36において発電のエネルギに変
換され、アシストモータ40により後輪用の駆動軸22
Bを駆動するトルクとして出力される。
【0100】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。なお、本実施例において、動力伝達装置20自体
の構成は前述した第1の実施例と同様である。第1実施
例の動力伝達装置20およびこれを用いた四輪駆動車輌
15では、後輪27,29がぬかるみにはまるなどして
空転状態になり、雪道などで後輪27,29がスリップ
した場合、前輪26,28はそのままトルクTcで駆動
されるから、車輌は、前輪26,28による駆動力によ
り脱出可能、安定走行可能である。他方、原動機50お
よびクラッチモータ30により駆動される前輪26,2
8がぬかるみにはまるなどの理由で前輪26,28によ
る駆動力が失われた場合、クラッチモータ30からの電
力の回生が不十分になる場合が考えられる。図46に示
したように、アシストモータ40により得られるトルク
Tdr(アシストモータ40の目標トルクTa*)は、
クラッチモータ30により回生されたエネルギ(領域G
1に相当するエネルギ)を駆動軸22Bの回転数Ndr
で除したものに相当する。前輪26,28がぬかるみに
はまったりして前輪26,28が空転すると、車輪が路
面をグリップすることによって原動機50の出力トルク
を受け止めることができなくなるから、その駆動軸22
Aの回転数Ndfおよび原動機50自体の回転数Neは
増大し、回転数差Ncは小さくなる。この結果、クラッ
チモータ30によって十分な電力の回生ができなくな
り、アシストモータ40による出力トルクも低下するこ
とが考えられる。また、登坂路のように、原動機50の
エネルギを配分するだけではトルクが不十分になる場合
も考えられる。
【0101】そこで、第2実施例では、第1の実施例に
代えて、アシストモータ40により後輪用の駆動軸22
Bに付与されるトルクを、クラッチモータ30による回
生電力に無関係に制御する。この実施例のメインルーチ
ンを図9に示す。図9は、第1実施例の図5に対応して
おり、対応する処理は下2桁を同一とし、その説明は省
略する。図9に示すように、アクセルペダルポジション
APから車輌が必要とするトルクTd*を求めた上で
(ステップS202)、前輪26,28側と後輪27,
29側に配分するトルク比RTを運転状態に基づいて求
め(ステップS213)、このトルク比RTからそれぞ
れの駆動軸22A,22Bの目標トルクTc*およびT
a*を求める処理を行なう(ステップS214,21
6)。クラッチモータ制御(ステップS208、図6)
では、この目標トルクTc*を用いて第1実施例と同一
の処理を行なうが、アシストモータ制御(ステップS2
10)では、図7のステップS131ないしS135の
処理は必要なく、目標トルクTa*が既に求められてい
るものとして、ステップS136から処理を開始する。
また、エンジン制御(ステップS211)では、原動機
50のトルクTe=クラッチモータ30のトルクTcで
あることから、必要なエネルギが確保できるように、 トルクTe=Tc 回転数Ne=(Tc×(Ndf−Ne)+Ta×Nd
r)/Tc という運転状態で原動機50を運転する。
【0102】かかる制御によれば、原動機50からの回
生エネルギに関係なく、前輪26,28と後輪27,2
9に付与し得るトルクが確保でき、登坂路などで原動機
50の出力以上のトルクを確保することができる。した
がって登坂路等を登坂する十分なトルクを得ることがで
きる。また、前輪26,28が空転した場合でも、後輪
27,29のトルクを確保することができるので、ぬか
るみなどに前輪26,28を取られた場合でも、容易に
脱出することができる。雪道などで前輪が滑った場合で
も同様である。
【0103】こうした場合には、バッテリ94に蓄えた
電力を利用してトルクが確保する制御(いわゆるパワー
アシスト制御)を行なうのである。上記実施例では、常
時アシストモータ40のトルクを所定のトルク比RTで
確保し、かつバッテリ94の充放電状態を考慮していな
いが、図10に示すように、パワーアシスト制御を行な
う条件として、アクセルペダルポジションセンサ65か
らのアクセルペダルポジションAPが閾値APmaxを
越えているか否かの判断(ステップS232)を行な
い、越えている場合には、残容量検出器99により検出
されたバッテリ94の残容量BRMが所定値Brefより大
きいか否かを判断し(ステップS234)、残容量BRM
が十分にある場合には、このバッテリ94の残容量BRM
に応じた目標トルクTamaxを設定する(ステップS
236)ものとしても良い。アシストモータ40は、こ
うして求めた目標トルクTamaxにより制御される
(ステップS238)。なお、アシストモータ40の制
御(ステップS238)は、図7及び図8に示した制御
と同一である。
【0104】パワーアシスト制御を行なうと、原動機5
0の出力から取り出せる以上のエネルギで駆動軸22A
および駆動軸22Bを駆動することができる。しかも、
バッテリ94の残容量BRMに応じたトルクを付与するの
で、バッテリ94の残容量が十分にある場合には、十分
なトルクアップを行なうことができ、他方バッテリ94
の残容量が小さくなった場合には過度にバッテリ94を
消費することがない。
【0105】次に、本発明の第3の実施例について説明
する。なお、本実施例においても、動力伝達装置20自
体の構成は前述した第1の実施例と同様である。さて、
上記した第2の実施例では、クラッチモータ30から回
生した電力だけではトルクが不足する場合に、バッテリ
94に蓄えた電力を利用して、不足したトルクを補うパ
ワーアシスト制御を行なっていた。しかし、このような
パワーアシスト制御を続けると、バッテリ94に蓄えら
れた電力は減る一方であり、やがてはバッテリ94の残
容量BRMが底をついてしまう。そのため、バッテリ94
の残容量BRMが予め設定された許容最小値を超えた場合
や、超えていなくても運転者が希望する場合には、バッ
テリ94を充電できるようにする必要がある。バッテリ
94を充電するための電力は、モータによって回生され
る電力を用いる。第1の実施例において述べたように、
アシスト制御では、クラッチモータ30は発電機として
機能し、電力が第1の駆動回路91を介して回生される
ため、その電力の一部(すなわち、アシストモータ40
でのトルクアシストに使用されない部分)をバッテリ9
4の充電のために回すことは可能である。しかし、急速
に充電を行ないたい場合には、このようなクラッチモー
タ30による回生電力だけは不足である。そこで、本実
施例では、四輪駆動車輌15において、アシストモータ
40によっても電力を回生して、クラッチモータ30に
よる回生電力だけでなく、アシストモータ40による回
生電力も利用して、バッテリ94を充電するようにして
いる。
【0106】図11は本発明の第3の実施例としての動
力伝達装置の制御の概要を示すフローチャートである。
図11に示すように、この処理ルーチンが起動される
と、前述の第1の実施例の場合と同様に、まず前輪2
6,28用の駆動軸22Aの回転数Ndfを読み込む処
理を行ない(ステップS300)、次に、アクセルペダ
ルポジションセンサ65からのアクセルペダルポジショ
ンAPを読み込む処理を行なう(ステップS302)。
そして、読み込まれたアクセルペダルポジションAPに
応じた出力トルク(駆動軸22のトルク)指令Td*を
導出する処理を行なう(ステップS304)。
【0107】次に、導き出された出力トルク(駆動軸2
2Aのトルク)指令Td*と読み込まれた駆動軸22A
の回転数Ndfとから、原動機50の出力するエネルギ
(Td*×Ndf)から見て充電可能領域内にあるかど
うかを判定する処理を行なう(ステップS306)。す
なわち、出力トルク指令値Td*と駆動軸22の回転数
Ndを図12に示すような充電可能領域マップに当ては
めて、出力トルク指令値Td*と駆動軸22の回転数N
dfによって定められる座標点が、充電可能領域内に位
置するかどうかで判定する。図12において、縦軸は駆
動軸22Aのトルクであり、横軸は駆動軸22Aの回転
数である。ここで、充電可能領域PEとは、原動機50
によって供給されるエネルギを電力として回生すること
ができる領域を表しており、原動機50が運転可能な領
域に対応している。また、パワーアシスト領域PAと
は、前述したパワーアシスト制御、すなわち、バッテリ
94に蓄えた電力を利用して不足したトルクを補う制御
が行なわれる領域を表している。つまり、パワーアシス
ト領域PAでは、バッテリ94に蓄えられている電力が
消費されてしまうので、当然、充電不可能な領域とな
る。
【0108】ステップS306で充電可能領域内でない
と判定された場合には、充電不可として(ステップS3
30)処理を終了する。逆に、充電可能領域内であると
判定された場合には、残容量検出器99により検出され
たバッテリ94の残容量BRMが適正量Bprより少ないか
どうかを判定する処理を行なう(ステップS308)。
すなわち、バッテリ94の残容量BRMが予め定められた
適正量Bprよりも少ない場合には、バッテリ94を充電
する必要があるので、ステップS310に進むが、適正
量Bpr以上の場合には、もはやバッテリ94を充電する
必要はないので、充電不可として(ステップS330)
処理を終了する。
【0109】続いて、クラッチモータ30及びアシスト
モータ40で回生することのできる電力W1を下記の計
算により求める処理を行なう(ステップS310)。 W1=P−(Td*×Ndf)
【0110】ここで、Pは或る状態において原動機50
が供給することのできる最大のエネルギである。すなわ
ち、クラッチモータ30及びアシストモータ40で回生
することのできる電力W1は、原動機50が供給し得る
最大のエネルギPから、駆動軸22より出力されるエネ
ルギ、すなわちTd*×Ndfを差し引いた残りのエネ
ルギに相当する。
【0111】次に、残容量検出器99により検出された
バッテリ94の残容量BRMに基づいて、バッテリ94の
充電することのできる電力W2を導き出す(ステップS
312)。図13は第3の実施例においてバッテリ94
の残容量に対する充電可能電力を示す説明図である。図
13において、縦軸はバッテリ94に充電することので
きる電力W2〔w〕であり、横軸はバッテリ94の残容
量BRM〔%〕である。図11に示すように、バッテリ9
4の残容量BRMが多くなるに従って、バッテリ94に充
電することできる電力W2は低くなる。
【0112】こうして、モータ30,40で回生するこ
とのできる電力W1とバッテリ94の充電することので
きる電力W2とを求めたら、その両者を比較して何れが
低いかを判定し、低い方の電力を、実際に充電する電力
Wとして決定する。すなわち、ステップS314におい
て、回生可能電力W1の方が充電可能電力W2よりも低
いかどうかを判定し、回生可能電力W1の方が低けれ
ば、実際に充電する電力WをW1に決定し(ステップS
316)、充電可能電力W2の方が低ければ、W2に決
定する(ステップS318)。
【0113】次に、決定された電力Wをクラッチモータ
30とアシストモータ40とにどのような割り振りで回
生させるかを決定する。すなわち、電力Wをクラッチモ
ータ30の回生電力Wcとアシストモータ40の回生電
力Waとに、W=Wc+Waを満たすように割り振り
(ステップS320)、クラッチモータ30の回生電力
Wcとアシストモータ40の回生電力Waをそれぞれ決
定する(ステップS322)。この際、クラッチモータ
30とアシストモータ40への割り振りは、各モータの
発電能力や発電効率、或いは、各モータの許容最大温度
までの温度差(すなわち、許容最大温度−現在温度)な
どを考慮して決定する。
【0114】こうして、クラッチモータ30,アシスト
モータ40の回生電力をそれぞれ決定した後(ステップ
S322)、アシストモータ40の制御(ステップS3
24)とクラッチモータ30の制御(ステップS32
6)と原動機50の制御(ステップS328)を行な
う。なお、図11においても、図5と同様に、図示の都
合上、クラッチモータ30の制御とアシストモータ40
の制御と原動機50の制御は別々のステップとして記載
したが、実際には、これらの制御は総合的に行なわれ
る。例えば、制御CPU90が割り込み処理を利用して
同時に実行するようにする。
【0115】アシストモータ40の制御処理(図11の
ステップS324)では、特に図示しないが、まずアシ
ストモータトルク指令値Ta*を下記の計算により求め
る処理を行なう。 Ta*=−{Wa/(Ksc×Ndr)}
【0116】アシストモータ40で回生すべき電力はW
aであるので、このWaをアシストモータ40での発電
(回生)効率Ksaと後輪27,29用の駆動軸22B
の回転数Ndrとの積で除算することにより、アシスト
モータ40で得るべきトルク目標値(トルク指令値)T
a*を求めることができる。但し、アシストモータ40
では、第1または第2の実施例の場合と異なり、力行動
作ではなく回生動作が行なわれるので、アシストモータ
40で生じるトルクは第1または第2の実施例の場合と
逆向きのトルク、すなわち、駆動軸22Bの回転方向と
は反対向きのトルクとなる。そのため、右辺の項には負
の符号が付してある。
【0117】その後、このトルク指令値Ta*を用い
て、アシストモータ40を制御する。その制御内容は、
第1の実施例における図7及び図8のステップS140
〜ステップS150と同じである。但し、上記のよう
に、アシストモータ40で生じるトルクの向きは第1の
実施例の場合と逆向きであって、トルク指令値Ta*は
符号が逆になっている(負の符号が付されている)点を
考慮して制御する必要がある。
【0118】次に、クラッチモータ30に対する制御処
理(図9のステップS326)について説明する。クラ
ッチモータ30に対する制御は、まずクラッチモータト
ルク指令値Tc*を下記の計算により求める処理を行な
う。 Tc*=Td*−Ta*
【0119】前述したように、出力トルク(四輪駆動車
輌15全体のトルク)は、クラッチモータ30のトルク
とアシストモータ40のトルクとの和によって表される
ため、クラッチモータ30のトルク指令値Tc*は、出
力トルク指令値Td*とアシストモータ40のトルク指
令値Ta*との差として求めることができる。但し、前
述したように、アシストモータ40でのトルクは駆動軸
22の回転方向とは逆向きであり、アシストモータトル
ク指令値Ta*の符号は負となっている点に注意する必
要がある。
【0120】その後、このトルク指令値Tc*を用い
て、クラッチモータ30を制御するが、その制御内容
は、第1の実施例における図6のステップS112〜ス
テップS126と同じである。
【0121】次に、原動機50の制御(ステップS32
8)について説明する。原動機50の制御は、まず、ク
ラッチモータ30のトルク指令値Tc*に基づいて、原
動機50のトルク指令値Te*を設定する処理を行な
う。原動機50の回転数をほぼ一定に保つようにするに
は、クラッチモータ30のトルクと原動機50のトルク
を等しくして釣り合わせるようにすれば良い。従って、
ここでは、原動機50のトルク指令値Te*をクラッチ
モータ30のトルク指令値Tc*と等しくなるように設
定する。
【0122】次に、原動機50の回転数指令値Ne*を
下記の計算により求める処理を行なう。 Ne*=Wc/(Ksc×Tc*)+Ndf … (5)
【0123】クラッチモータ30における回転数は、原
動機50の回転数(クランクシャフト56の回転数)と
前輪26,28用の駆動軸22Aの回転数との差で表さ
れる。一方、クラッチモータ30における回転数は、ク
ラッチモータ30において回生すべき電力Wcを、クラ
ッチモータ30での発電(回生)効率Kscとクラッチ
モータ30のトルク目標値(トルク指令値)Tc*との
積で除算することにより求められる。従って、原動機5
0の回転数目標値(回転数指令値)Ne*は、上記式
(5)のごとく導き出される。
【0124】こうして、原動機50のトルク指令値Te
*と回転数指令値Ne*が設定されたら、原動機50の
トルク及び回転数がその設定された値になるように、原
動機50のトルク及び回転数を制御する。実際には、制
御CPU90から通信によりEFIECU70に指示を
送信し、燃料噴射量やスロットルバルブ開度を増減し
て、原動機50のトルクがTe*に、回転数がNe*に
なるように徐々に調整する。
【0125】図14は第3の実施例において原動機50
より供給されるエネルギの利用配分を示す説明図であ
る。図14において、Tcは出力トルク(前輪用の駆動
軸22Aのトルク)、Ndfは前輪用の駆動軸22のA
回転数、Teは原動機50のトルク(エンジントル
ク)、Neは原動機50の回転数(エンジン回転数)、
Tcはクラッチモータ30のトルク、Taはアシストモ
ータ40のトルクである。原動機50より供給されるエ
ネルギはTe×Neであり、このエネルギが、前輪用の
駆動軸22Aより出力される出力エネルギPdと、クラ
ッチモータ30で回生されてバッテリ94に充電される
電力Wcと、アシストモータ40で回生されてバッテリ
94に充電される電力Waと、に分配される。アシスト
モータ40で回生されてバッテリ94に充電される電力
Wcは、本来クラッチモータ30側とは軸が異なるの
で、図示Wa′のように独立の領域として考えても良い
が、四輪駆動車輌15全体で考える場合には、原動機5
0から出力されるエネルギからクラッチモータ30を介
して出力されたエネルギおよびクラッチモータ30によ
り回生されたエネルギを差し引きしたものと考えられる
ので、図示領域Waのように考えて差し支えない。
【0126】以上の処理により、図1に示した四輪駆動
の構成において、クラッチモータ30だけでなく、アシ
ストモータ40においても電力を回生して、クラッチモ
ータ30での回生電力Wcとアシストモータ40での回
生電力Waとを合わせてバッテリ94に充電することが
できるため、クラッチモータ30の発電能力以上の充電
を行なうことができる。なお、アシストモータ40側で
回生したエネルギを用いて、あるいはバッテリ94に蓄
えられたエネルギも利用して、クラッチモータ30を原
動機50の回転方向に力行することも可能である。この
場合には、前輪26,28用の駆動軸22Aは、原動機
50の回転数Neより高い回転数で回転することにな
り、いわゆるオーバードライブ状態となる。
【0127】後輪27,29に結合されたアシストモー
タ40により電流の回生を行なっている場合には、路面
によって回転される後輪27,29には、いわば制動力
が働いていることになる。したがって、ブレーキペダル
68が踏まれた場合に、クラッチモータ30側の第1の
駆動回路91をオフ状態として前輪26,28の駆動力
を0とし、後輪27,29側の回生制動力によって車輌
を制動することができる。この場合には、原動機50は
フューエルカットすれば、原動機50が吹き上がること
はない。こうしたアシストモータ40による制動は、電
気自動車では、従来から行なわれているものと原理的に
は同一であり、制動時のエネルギを回収して、バッテリ
94を充電することにより、車輌全体のエネルギ効率を
一層高めることができる。
【0128】次に、本発明の第4の実施例として、四輪
駆動車輌15におけるクラッチモータ30を用いた制動
について説明する。クラッチモータ30による制動は、
前輪26,28に結合された駆動軸22Aの回転方向と
逆向きのトルクをクラッチモータ30により作用させる
ものである。いま、駆動軸22Aが車輌を前進させる方
向(正方向)に回転しており、この駆動軸22Aにその
回転方向と逆向き(負方向)のトルクTcをクラッチモ
ータ30により作用させたとする。すると、駆動軸22
Aへ作用させたトルクTcと同じ大きさで向きが逆の正
方向のトルクTcがアウタロータ32を介してクランク
シャフト56に作用し、原動機50が噴き上がろうとす
る。原動機50は、こうした正方向の外力(トルクT
c)に対し、燃料噴射を停止すれば、ピストンの摩擦や
圧縮等に要する力が外力(トルクTc)と釣り合う回転
数で回転する。例えば、燃料噴射を停止した際の外力
(トルクTc)と原動機50の回転数Neとの関係を例
示した図15に照らせば、原動機50は、外力としての
トルクTcが値Tc(A)のときには回転数Ne(A)
で回転し、トルクTcが値Tc(B)のときには回転数
Ne(B)で回転する。
【0129】クラッチモータ30は、原動機50の回転
数Neで回転するクランクシャフト56に接続されてい
るアウタロータ32に対して駆動軸22Aに接続されて
いるインナロータ34を相対的に回転駆動させるもので
あるから、その回転数は、原動機50の回転数Neと駆
動軸22の回転数Ndfとの回転数差Nc(Ne−Nd
f)となる。ここで、アウタロータ32に対してインナ
ロータ34が相対的に正方向(駆動軸22Aの正転方
向)に回転しているとき、即ち原動機50の回転数Ne
より駆動軸22の回転数Ndfの方が大きいとき(回転
数差Ncは負)をクラッチモータ30の正方向の回転と
すれば、正方向に回転しているクラッチモータ30によ
る負方向のトルクTcの駆動軸22Aへの作用は、クラ
ッチモータ30の相対的な正方向の回転数を減少させる
運動となるから、クラッチモータ30は回生制御される
ことになる(以下、この制動を「クラッチモータ30の
回生制御による制動」という。)。
【0130】一方、クラッチモータ30が負方向に回転
しているとき、即ち原動機50の回転数Neが駆動軸2
2Aの回転数Ndfより大きいときには、クラッチモー
タ30による負方向のトルクTcの駆動軸22への作用
は、クラッチモータ30の相対的な負方向の回転数を増
加させる運動となるから、クラッチモータ30は力行制
御されることになる(この制動を「クラッチモータ30
の力行制御による制動」という。)。
【0131】クラッチモータ30に負方向のトルクTc
として値Tc(A)が設定された際の駆動軸22Aの回
転数Ndfと時間tとの関係(直線A)およびこの間の
クラッチモータ30の状態を図16に示す。図中直線A
は、クラッチモータ30により負方向のトルクTc(値
Tc(A))を駆動軸22に作用させたときの駆動軸2
2の回転数Ndfの変化を表わすものである。クラッチ
モータ30に負方向のトルクTc(値Tc(A))を設
定すると、原動機50の回転数Neは、図15を用いて
説明したように、このトルクTc(外力)に見合う回転
数Ne(A)となる。したがって、クラッチモータ30
による負方向のトルクTcの駆動軸22Aへの作用は、
直線Aと破線Ndf=Ne(A)との交点であるポイン
トPNeより左上方の範囲(時間t2より左側の範囲)で
は、クラッチモータ30は正方向に回転しているから、
クラッチモータ30の回生制御による制動となり、ポイ
ントPNeより右下方の範囲(時間t2より右側の範囲)
では、クラッチモータ30は負方向に回転しているか
ら、クラッチモータ30の力行制御による制動となる。
【0132】ここで、クラッチモータ30の回生制御お
よび力行制御は、共にアウタロータ32に取り付けられ
た永久磁石35と、インナロータ34の三相コイル36
に流れる電流により生じる回転磁界とにより負方向のト
ルクTcが常に発生するよう第1の駆動回路91のトラ
ンジスタTr1ないしTr6を制御するものであるか
ら、同一のスイッチング制御となる。したがって、クラ
ッチモータ30から駆動軸22Aに作用させる負方向の
トルクTcの値が変わらなければ、クラッチモータ30
の制御が回生制御から力行制御に変化しても、第1の駆
動回路91のトランジスタTr1ないしTr6のスイッ
チング制御は変わらない。
【0133】以上の説明により、駆動軸22Aの回転数
Ndfが値Ne(A)より大きな値Ndf1のときや
(時間t1(1)のとき)、値Ndf2のときに(時間
t1(2)のとき)、ブレーキペダル68が踏み込まれ
てクラッチモータ30のトルクTcに負の値Tc(A)
が設定されれば、クラッチモータ30は、まず発電機と
して機能するよう回生制御がなされ、駆動軸22Aの回
転数Ndfが値Ne(A)に一致した以降(ポイントP
Ne以降)は力行制御がなされることが解る。また、駆動
軸22Aの回転数Ndfが値Ne(A)より小さな値N
df3のときに(時間t1(3)のとき)、ブレーキペ
ダル68が踏み込まれてクラッチモータ30のトルクT
cに負の値Tc(A)が設定されれば、制動開始位置が
時間t2より後となるから、クラッチモータ30の回生
制御はなされず直ちに力行制御がなされることが解る。
【0134】こうした制動時のクラッチモータ30の制
御は、図6に示した制御と何等変わるところはない。原
動機50の回転数Neと前輪26,28に結合された駆
動軸22Aの回転数Ndfとの大小関係に基づいて、ク
ラッチモータ30を力行または回生して制動すればよ
い。いずれの制動を採用するかは、両回転数の大小関係
によって定まるが、更に原動機50の燃料噴射量を制御
すれば、原動機50の回転数Neはある程度自由に調整
できるから、バッテリ94の残容量に基づいて、いずれ
かの制動を行なうものとすることができる。クラッチモ
ータ30とアシストモータ40とを用いた動力伝達装置
20を備えた四輪駆動車輌15では、無駄なエネルギの
使用を極力避けて、かつ駆動力を自在に制御することが
できるから、バッテリ94の充放電を効率よく行なうこ
とも極めて重要である。従って、バッテリ94の充放電
を優先して、原動機50を制御することも実用的であ
る。この場合の制動時処理ルーチンの一例を図17に示
す。
【0135】図17に示したルーチンが実行されると、
制御装置80の制御CPU90は、まず、ブレーキペダ
ル68に設けられたブレーキペダルポジションセンサ6
9により検出されるブレーキペダルポジションBPを読
み込み(ステップS330)、読み込まれたブレーキペ
ダルポジションBPに応じた制動力を発生するクラッチ
モータ30のトルク指令値Tc*を導出する処理を行な
う(ステップS332)。トルク指令値Tc*は、各ブ
レーキペダルポジションBPに対して予め各々設定され
てROM90bに記憶されており、ブレーキペダルポジ
ションBPが読み込まれると、そのブレーキペダルポジ
ションBPに対応したトルク指令値Tc*が読み出され
るようになっている。
【0136】次に、残容量検出器99により検出される
バッテリ94の残容量BRMを読み込み(ステップS33
6)、読み込んだ残容量BRMを閾値B1と比較する(ス
テップS338)。ここで、閾値B1は、これ以上の充
電はバッテリ94にとって不要であると判断される満充
電に近い値として設定されるものであり、バッテリ94
の種類や特性などによって定められるものである。
【0137】バッテリ94の残容量BRMが閾値B1以上
のときには、充電は不要と判断して、クラッチモータ3
0の力行制御による制動を行ない(ステップS34
0)、バッテリ94の残容量BRMが閾値B1未満のとき
には、充電が必要と判断して、クラッチモータ30の回
生制御による制動を行なう(ステップS342)。クラ
ッチモータ30の力行制御による制動は、具体的には、
上述したように、原動機50の回転数Neを駆動軸22
Aの回転数Ndfより大きくなるよう制御することによ
って行ない、クラッチモータ30の回生制御による制動
は、原動機50の回転数Neを駆動軸22Aの回転数N
dfより小さくなるよう制御することによって行なう。
なお、いずれの制御でも、制御の間、原動機50の回転
数Neを一定値に保つものとしてもよく、または原動機
50の回転数Neと駆動軸22Aの回転数Ndfとの偏
差を一定に保つものとしてもよい。或いは原動機50の
回転数Neと駆動軸22Aの回転数Ndfとの偏差を順
次変更させるものとしてもよい。
【0138】以上説明した制動時処理によれば、四輪駆
動車輌15において、バッテリ94の状態に応じてクラ
ッチモータ30の力行制御による制動と回生制御による
制動とを行なうことができる。この結果、制動時にエネ
ルギをバッテリ94に回収できるだけでなく、エネルギ
を使用しつつ制動することも可能となる。したがって、
バッテリ94を過充電したり、或いは完全放電したりす
るのを防止することができる。もとより、クラッチモー
タ30における電流の消費もしくは回生を伴う制動とア
シストモータ40における電流の消費もしくは回生を伴
う制動とを併せ行なうものとしても差し支えない。両制
動を組み合わせ、制動力を四輪に適宜配分することも好
適である。
【0139】以上、2つの出力軸(駆動軸22Aと駆動
軸22B)を有する動力伝達装置20とこれを用いた四
輪駆動車輌15において、両軸からトルクを所定の割合
で出力する制御、前輪26,28側をオーバードライブ
する制御、回生および力行により制動を行なう制御など
について説明したが、本発明の動力伝達装置を用いた四
輪駆動車輌の制御をこれらの制御に限定されるものでは
なく、この他、後退時制御や始動時制御なども行なうこ
とが可能である。
【0140】車輌を後退させる場合には、次の3つの方
法がある。 (1)原動機50に対する燃料噴射をカットし、クラッ
チモータ30に対して一切電流を流さない状態とする。
この場合、クラッチモータ30の出力トルクは0とな
り、駆動軸22Aはフリーの状態となる。この状態で、
バッテリ94に蓄えられた電力を用いてアシストモータ
40を走行時とは逆方向に回転し、駆動軸22Bを逆転
させ、車輌を後退させる。 (2)原動機50をアイドルもしくは低速運転し、クラ
ッチモータ30によりそのエネルギをほとんどを回収す
る。他方、回収したエネルギおよびバッテリ94に蓄え
られたエネルギを利用してアシストモータ40を逆転さ
せ、車輌を後退させる。この場合、駆動軸22Aは、後
輪27,29の逆転により強制的に逆方向に回転させる
ことになるが、車輌を後退させること自体は可能であ
る。 (3)原動機50に対する燃料噴射をカットし、クラン
クシャフト56が静止している状態とする。この状態
で、バッテリ94に蓄えられた電力を用い、クラッチモ
ータ30を逆方向に回転する。この場合、クラッチモー
タ30のトルクは、クランクシャフト56から見た原動
機50の静止摩擦による静止トルク以下に制御する。し
たがって、クラッチモータ30から見れば原動機50側
が固定壁とみなされ、反対側の駆動軸22Aが回転し、
車輌は後退する。
【0141】また、車輌を始動する場合には、バッテリ
94の電力を用いてアシストモータ40をサーボロック
し、駆動軸22Bが回転しないよう制御し、他方クラッ
チモータ30を運転してクランクシャフト56を回し、
クランキングを行なえば良い。この場合、車輌の前輪2
6,28には駆動力が伝達されるが、後輪27,29に
直結されたアシストモータ40をサーボロックしておけ
ば、四輪駆動車輌15の移動は原則として生じない。も
とより、駆動軸22Aと減速ギヤ23との間にクラッチ
を設け、始動時には駆動軸22Aを固定する構成とすれ
ば、駆動力が前輪26,28に伝達されることはない。
【0142】次に、本発明の第5実施例について、説明
する。以下の実施例では、分配手段は、クラッチモータ
30ではなく、プラネタリアギヤを用いて構成される。
まず図18によって、全体構成について説明する。分配
手段を除く他のハードウェア構成は、第1実施例とほぼ
同一であり、例えばアクセルペダルなどの図示は省略し
た。
【0143】(1)ハードウェア構成 図18に示したように、この四輪駆動車輌は、原動機と
してのガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)
150と、このエンジン150のクランクシャフト15
6に連結されたプラネタリギヤ120と、このプラネタ
リギヤ120のサンギヤ軸125に連結された第1の電
動機としてのモータMG1と、プラネタリギヤ120の
リングギヤ軸126の動力がチェーンベルト129など
を介して伝達される前輪用のディファレンシャルギヤ1
14、後輪用のディファレンシャルギヤ115内に組み
込まれたモータMG2から構成されている。これらの構
成について、動力の伝達を中心に更に説明する。
【0144】エンジン150のクランクシャフト156
は、プラネタリギヤ120を介して、駆動軸112を回
転軸とする動力伝達ギヤ111にチェーンベルト129
により機械的に結合されており、この動力伝達ギヤ11
1はディファレンシャルギヤ114にギヤ結合されてい
る。したがって、動力出力装置110から出力された動
力は、最終的に前輪左右の駆動輪116,118に伝達
される。他方、モータMG2の動力により後輪左右の駆
動輪117,119は駆動される。モータMG1および
モータMG2は、制御装置180に電気的に接続されて
おり、この制御装置180によって制御される。制御装
置180の構成は第1実施例の制御装置80と同一であ
る。なお、この制御装置180には、シフトレバーに設
けられたシフトポジションセンサなど、第1実施例と同
様、各種のセンサ等が接続されているが、その図示は省
略した。また、制御装置180は、エンジン150の運
転を制御するEFIECU170と通信により、種々の
情報をやり取りしている。EFIECU170も、第1
実施例のEFIECU70と同様の構成を有する。
【0145】プラネタリギヤ120およびモータMG1
の構成について、図19により説明する。プラネタリギ
ヤ120は、クランクシャフト156に軸中心を貫通さ
れた中空のサンギヤ軸125に結合されたサンギヤ12
1と、クランクシャフト156と同軸のリングギヤ軸1
26に結合されたリングギヤ122と、サンギヤ121
とリングギヤ122との間に配置されサンギヤ121の
外周を自転しながら公転する複数のプラネタリピニオン
ギヤ123と、クランクシャフト156の端部に結合さ
れ各プラネタリピニオンギヤ123の回転軸を軸支する
プラネタリキャリア124とから構成されている。この
プラネタリギヤ120では、サンギヤ121,リングギ
ヤ122およびプラネタリキャリア124にそれぞれ結
合されたサンギヤ軸125,リングギヤ軸126および
クランクシャフト156の3軸が動力の入出力軸とさ
れ、3軸のうちいずれか2軸へ入出力される動力が決定
されると、残余の1軸に入出力される動力は、先に決定
された2軸へ入出力される動力に基づいて定まる。な
お、このプラネタリギヤ120の3軸への動力の入出力
についての詳細は後述する。
【0146】リングギヤ122は、モータMG1の側に
延長され、その一端には、動力の取り出し用の動力取出
ギヤ128が設けられている。この動力取出ギヤ128
は、チェーンベルト129により動力伝達ギヤ111に
接続されており、動力取出ギヤ128と動力伝達ギヤ1
11との間で動力の伝達がなされる構成となっている。
【0147】モータMG1は、第1実施例のアシストモ
ータ40などと同様、同期電動発電機として構成され、
外周面に複数個の永久磁石135を有するロータ132
と、回転磁界を形成する三相コイル134が巻回された
ステータ133とを備える。ロータ132は、プラネタ
リギヤ120のサンギヤ121に結合されたサンギヤ軸
125に結合されている。ステータ133は、無方向性
電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、ケース11
9に固定されている。このモータMG1は、永久磁石1
35による磁界と三相コイル134によって形成される
磁界との相互作用によりロータ132を回転駆動する電
動機として動作し、永久磁石135による磁界とロータ
132の回転との相互作用により三相コイル134の両
端に起電力を生じさせる発電機として動作する。なお、
サンギヤ軸125には、その回転角度θsを検出するレ
ゾルバ139Sが設けられており、クランクシャフト1
56には、その回転角度θeを検出するレゾルバ139
Eが設けられている。
【0148】モータMG2も、モータMG1と同様に同
期電動発電機として構成され、図20に示すように、外
周面に複数個の永久磁石145を有するロータ142
と、回転磁界を形成する三相コイル144が巻回された
ステータ143とを備える。ロータ142は、ディファ
レンシャルギヤ115の車軸147に結合されており、
ステータ143はケース148に固定されている。モー
タMG2のステータ143も無方向性電磁鋼板の薄板を
積層して形成されている。このモータMG2もモータM
G1と同様に、電動機あるいは発電機として動作する。
なお、車軸147には、その回転角度θrを検出するレ
ゾルバ149が設けられている。
【0149】次に、モータMG1,MG2を駆動制御す
る制御装置180について説明する。図20に示すよう
に、制御装置180は、モータMG1を駆動する第1の
駆動回路191、モータMG2を駆動する第2の駆動回
路192、両駆動回路191,192を制御する制御C
PU190、二次電池であるバッテリ194から構成さ
れている。これらの構成は、第1実施例と同一なので、
図示するに留め、詳細な説明は省略する。なお、図20
に示した制御装置180の内部構成については、その図
示符号を、図2に示した各部材の番号と下2桁を同一と
した。
【0150】(2)動作原理 以上構成を説明した四輪駆動車輌の動作について説明す
る。この四輪駆動車輌の動作原理、特にトルク変換の原
理は以下の通りである。エンジン150を回転数Ne,
トルクTeの運転ポイントP1で運転し、このエンジン
150から出力されるエネルギPeと同一のエネルギで
あるが異なる回転数Nr,トルクTrの運転ポイントP
2でリングギヤ軸126を運転する場合、すなわち、エ
ンジン150から出力される動力をトルク変換してリン
グギヤ軸126に作用させる場合について考える。この
時のエンジン150とリングギヤ軸126の回転数およ
びトルクの関係を図21に示す。
【0151】プラネタリギヤ120の3軸(サンギヤ軸
125,リングギヤ軸126およびプラネタリキャリア
124)における回転数やトルクの関係は、機構学の教
えるところによれば、図22に例示する共線図と呼ばれ
る図として表わすことができ、幾何学的に解くことがで
きる。なお、プラネタリギヤ120における3軸の回転
数やトルクの関係は、上述の共線図を用いなくても各軸
のエネルギを計算することなどにより数式的に解析する
こともできる。本実施例では説明の容易のため共線図を
用いて説明する。
【0152】図22における縦軸は3軸の回転数を示
す、横軸は3軸の座標軸上の位置の比を表わす。すなわ
ち、サンギヤ軸125とリングギヤ軸126の位置S,
Rを両端にとったとき、プラネタリキャリア124の位
置Cは、位置Sと位置Rを1:ρに内分する位置として
定められる。ここで、ρは、リングギヤ122の歯数に
対するサンギヤ121の歯数の比であり、次式(5)で
表わされる。
【0153】
【数5】
【0154】今、エンジン150が回転数Neで運転さ
れており、リングギヤ軸126が回転数Nrで運転され
ている場合を考える。このとき、エンジン150のクラ
ンクシャフト156が結合されているプラネタリキャリ
ア124の位置Cにエンジン150の回転数Neを、リ
ングギヤ軸126の位置Rに回転数Nrをプロットする
ことができる。この両点を通る直線(以下、動作共線と
呼ぶ)を描けば、この動作共線の位置Sでの値が、サン
ギヤ軸125の回転数Nsとなる。即ち、動作供線は、
回転数については、比例計算用の直線として扱うことが
できる。なお、回転数Nsは、回転数Neと回転数Nr
とを用いて比例計算式(次式(6))により求めること
ができる。このようにプラネタリギヤ120では、サン
ギヤ121,リングギヤ122およびプラネタリキャリ
ア124のうちいずれか2つの回転を決定すると、残余
の1つの回転は、決定した2つの回転に基づいて決定さ
れる。
【0155】
【数6】
【0156】次に、図22の共線図に描かれた動作共線
に対して、プラネタリキャリア124の位置Cにおい
て、エンジン150のトルクTeを、図中下から上に作
用するものとして記入する。このとき動作共線は、トル
クについては、各点に作用する力をベクトルとして受け
る剛体として取り扱うことができる。従って、1点に作
用する力を2点に作用する力に分離することは容易であ
り、位置Cにおいて上向きに作用するものとしたトルク
Teを、位置S上のトルクTesと位置R上のトルクT
erとに分離することができる。このときトルクTes
およびTerの大きさは、次式(7)によって表わされ
る。
【0157】
【数7】
【0158】プラネタリキャリア124の位置を示す位
置Cにおいて作用するエンジン150のトルクTeを動
作共線の両端の位置S及び位置Rにおけるトルクとして
把握すると、この両端の位置S及びRに外から作用する
トルクの大きさを知れば、動作供線に対してどのように
力が生じるかを知ることができる。具体的には、サンギ
ヤ軸125に対応する位置Sでは、モータMG1のトル
クを作用させることができ、位置Rでは、リングギヤ軸
126をその回転数Nrで駆動する際のトルクTerに
等しい反力トルクを受けることになる。この反力トルク
Trが、その車速で車輌を走行させるのに必要なトルク
と等しければ、車輌はその軸回転数Nrに相当する速度
で走行を継続する。もとより、本実施例は、四輪駆動車
輌であり、モータMG2を駆動することによっても車輌
を走行させようとする動力を得ることができる。路面の
摩擦係数を理想的な状態と考えると、モータMG2によ
る走行用のトルクTm2は、位置Rにおいて、車輌の走
行のためのトルクとして作用しているとみなすことがで
きる。他方、位置Sでは、モータMG1によるトルクT
m1を受けることになる。そこで、車輌を所望の状態で
運転しようとすれば、結局モータMG1,MG2の運転
を制御して、そのトルクTm1,Tm2を調整すれば良
いことになる。図22に示した状態でトルクが釣り合う
とすれば、モータMG1によるトルクTm1を、エンジ
ントルクTeが配分されたトルクTesと等しくし、モ
ータMG2によるトルクTm2を、車輌をその車速(回
転数Nrに対応する車速)で走行させ続けるのに必要な
トルク(これが反力トルクTrと等しくなっている)に
対してエンジントルクTeの配分トルクTerでは不足
するトルク(=Tr−Ter)と等しく制御されている
ことになる。
【0159】このとき、モータMG1では回転の方向と
逆向きにトルクを作用させることになるから、モータM
G1は発電機として動作することになり、トルクTm1
と回転数Nsとの積で表わされる電気エネルギPm1を
サンギヤ軸125から回生する。モータMG2では、回
転の方向とトルクの方向とが同じであるから、モータM
G2は電動機として動作し、トルクTm2と回転数Nr
との積で表わされる電気エネルギPm2を動力として後
輪車軸に出力する。
【0160】ここで、電気エネルギPm1と電気エネル
ギPm2とを等しくすれば、モータMG2で消費する電
力のすべてをモータMG1により回生して賄うことがで
きる。このためには、入力されたエネルギのすべてを出
力するものとすればよいから、エンジン150から出力
されるエネルギPeを、サンギヤ軸125に出力される
エネルギPfとモータMG2により後輪車軸に出力され
るエネルギPmとの和に等しくすればよい。図21に照
らせば、運転ポイントP1で運転されているエンジン1
50から出力されるトルクTeと回転数Neとで表わさ
れる動力を、トルク変換して、前輪の車軸にはトルクT
rと回転数Nrとの積により表わされる動力としてリン
グギヤ軸126を介して出力し、後輪の車軸には、トル
クTm2と回転数Nrとの積により表わされる動力とし
て出力するのである。
【0161】次に、このハードウェア構成を有する四輪
駆動車輌におけるトルク配分の制御について説明する。
制御装置180は、図23に示す四輪処理ルーチンを繰
り返し実行しており、制御が開始されると、まずアクセ
ル開度APと車速(車軸回転数na)とを読み込む処理
を行なう(ステップS400)。アクセル開度αは、ア
クセルペダルポジションセンサ164aから読み込むこ
とができる。また、車速は、レゾルバ149から読み込
んだ後輪の車軸の回転数として知ることができるが、プ
ロペラシャフトに設けられた図示しない車速センサから
読み込むものとしても良い。
【0162】アクセル開度APと車速(回転数na)と
から、車輌に要求されるトルク指令値Taと車輌出力P
aを演算する処理を行なう(ステップS410)。車輌
に要求されるトルク指令値Taは、例えば図24に示し
たグラフから求めることができる。また、車輌の出力P
aは、図25に示したように、車輌のトルクTaと車速
(回転数na)とから定まる運転ポイントに相当する。
車輌の出力Paを全てエンジン150から得るものとし
て、次にエンジン150の出力Peを決定し(Pe←P
a)、スロットル開度θthを決定する(ステップS4
20)。次に、このエンジン150の出力Paにおける
トルクTaを、エンジン150の受持トルクTaeとモ
ータMG2の受持トルクTamに配分する処理を行なう
(ステップS430)。この処理により前輪と後輪に配
分されるトルク比が決定される。
【0163】続いて、エンジン150の受持トルクTa
eとプラネタリギヤ120のギヤ比とからエンジン15
0の要求トルクTe*を決定する処理を行ない(ステッ
プS440)、更にこのときのエンジン150の出力P
eと要求トルクTe*とから、エンジン150の目標回
転数ne*を決定する処理を行なう(ステップS45
0)。これらを決定を受けて、実際にエンジン150の
運転状態を変えるのは、モータMG1の仕事である。図
22の共線図に示したように、動作共線は、両端に作用
するトルクにより変更されるから、車輌が定速走行して
おり、動作共線右端(リングギヤ軸の位置R)が固定さ
れていれば、動作共線左端のトルクバランスを調整する
ことにより、エンジン150の回転数は可変し得る。そ
こで、エンジン150の回転数がne*となるモータM
G1の回転数ngを決定するのである(ステップS46
0)。更に、モータMG2の受持トルクTamから、モ
ータMG2の要求トルクTm*を決定する処理を行なう
(ステップS470)。
【0164】以上の処理により、制御装置180の制御
対象であるエンジン150,モータMG1,MG2の動
作点は全て決定されたから、次にEFIECU170に
指令を出力し、第1の駆動回路191などを制御して、
エンジン150,モータMG1,MG2などを実際に制
御する処理を行ない(ステップS480)、その後、
「NEXT」に抜けて、本処理ルーチンを一旦終了す
る。
【0165】以上説明した第5実施例によれば、分配手
段として、プラネタリギヤ120とモータMG1とを
い、いわゆる機械分配式の構成を用いて、エンジン15
0の動力を前輪の車軸および後輪の車軸に自由に分配す
ることができる。エンジン150が高回転かつ低トルク
で運転されている場合に、その動力の一部をプラネタリ
ギヤ120からリングギヤ軸126を介し、更にチェー
ンベルト129を経て、前輪に出力すると共に、残余の
動力をモータMG1から第1の駆動回路191を介して
回生電流として取り出し、これを第2の駆動回路192
からモータMG2にその力行電流として供給することに
より、車輌を全体として高いトルクで運転することがで
きる。もとよりエンジン150が低回転・高トルクで運
転されている場合に、後輪側のモータMG2から電流を
回生し、前輪側のモータMG1を力行し、高回転・低ト
ルクにトルク変換を行なっても良い(いわゆるオーバー
ドライブ制御)。これらの制御は、第1実施例ないし第
4実施例として説明した電気分配式の四輪駆動車輌とほ
ぼ同様である。
【0166】そこで、第5実施例の四輪駆動車輌で実現
可能な運転制御について、図26に例示する運転制御ル
ーチンに基づき説明する。この運転制御ルーチンが実行
されると、制御装置180の制御CPU190は、車輌
のアクセルペダルポジションAPなどの運転状態に基づ
いて、車輌に必要な出力エネルギを計算する処理を行な
うステップS500)。その後、残容量検出器199に
より検出されるバッテリ194の残容量BRMを読み込む
処理を行なって、運転モードの判定処理を行なう(ステ
ップS510)。この運転モードの判定処理は、図27
に例示する運転モード判定処理ルーチンにより処理され
る。運転モード判定処理ルーチンでは、運転制御ルーチ
ンのステップS500およびS508で読み込んだデー
タや計算したデータなどを用いて、そのときの動力出力
装置110にとって適切な運転モードを判定する。ここ
で、一旦図26の運転制御ルーチンの説明を中断し、先
に図27の運転モード判定処理ルーチンに基づき運転モ
ードの判定処理について説明する。
【0167】運転モード判定処理ルーチンが実行される
と、制御装置180の制御CPU190は、バッテリ1
94の残容量BRMが閾値BLと閾値BHとにより表わさ
れる範囲内にあるかを判定し(ステップS530)、こ
の範囲内にないときには、バッテリ194の充放電が必
要であると判断して、動力出力装置110の運転モード
として充放電モードを設定する(ステップS532)。
ここで、閾値BLと閾値BHは、バッテリ194の残容
量BRMの下限値と上限値を示すものであり、実施例で
は、閾値BLは、後述のモータ駆動モードによるモータ
MG2のみによる駆動やパワーアシストモードによるバ
ッテリ194からの放電電力による動力の付加などを所
定時間継続して行なうのに必要な電力量以上の値として
設定される。また、閾値BHは、バッテリ194の満充
電時の残容量BRMから通常走行状態にある車両を停止す
る際にモータMG1やモータMG2により回生される電
力量を減じた値以下に設定されている。
【0168】ステップS530でバッテリ194の残容
量BRMが閾値BLと閾値BHとにより表わされる範囲内
にあるときには、車輌全体の駆動力として出力すべきエ
ネルギPrがエンジン150から出力可能な最大エネル
ギPemaxを越えているか否かを判定する(ステップ
S534)。最大エネルギPemaxを越えているとき
には、エンジン150から出力される最大エネルギPe
maxでは不足するエネルギをバッテリ194に蓄えら
れたエネルギで賄う必要があると判断し、動力出力装置
110の運転モードとしてパワーアシストモードを設定
する(ステップS536)。
【0169】一方、リングギヤ軸126に出力すべきエ
ネルギPrがエンジン150から出力可能な最大エネル
ギPemax以下のときには、前後輪のトルク指令値の
総和Tr*と軸回転数Nrとが所定の範囲内にあるかを
判定し(ステップS538)、所定の範囲内のときに
は、運転モードとしてサンギヤ軸125の回転を停止し
た状態のロックアップモードを設定する(ステップS5
40)。ここで、所定の範囲とは、サンギヤ121の回
転を停止した状態でエンジン150を効率よく運転でき
る範囲である。具体的には、サンギヤ121を停止した
状態でエンジン150を効率よく運転できる範囲内の各
運転ポイントでエンジン150を運転したときに、リン
グギヤ軸126に出力されるそれぞれのトルクと回転数
とをマップとして予めROM190bに記憶しておき、
トルク指令値Tr*と回転数Nrで表わされる運転ポイ
ントがこのマップの範囲内にあるかを判定するのであ
る。エンジン150を効率よく運転できる範囲の一例を
図21に一点鎖線の領域QWとして示した。図中、領域
QEの内側はエンジン150の運転が可能な領域であ
り、領域QWはエンジン150を効率よく運転できる範
囲である。なお、この範囲QWは、エンジン150の運
転効率のほかエミッション等により定められるものであ
り、予め実験などにより設定できる。
【0170】ステップS538でトルク指令値の総和T
r*と軸回転数Nrとが所定の範囲内にないときには、
出力すべきエネルギPrが所定エネルギPMLより小さ
く、かつ、軸回転数Nrが所定回転数NMLより小さい
か否かを判定し(ステップS542)、共に小さいとき
には、運転モードとしてモータMG2のみによる駆動の
モータ駆動モードを設定する(ステップS544)。所
定エネルギPMLや所定回転数NMLは、エンジン15
0が低回転数で低トルクでは効率が低下することに基づ
きその範囲を設定するものであり、エンジン150の運
転領域として所定の効率未満の領域となるエネルギPr
および回転数Nrとして設定される。なお、具体的な値
は、エンジン150の特性やプラネタリギヤ120のギ
ヤ比などにより定められる。ステップS542で、エネ
ルギPrが所定エネルギPML以上であったり回転数N
rが所定回転数NML以上のときには、通常の運転を行
なうものと判断し、運転モードとして通常運転モードを
設定する(ステップS546)。
【0171】こうして運転モードの判定が行なわれた
後、各モードでの運転に切り替えられ、必要なトルク制
御が行なわれる(ステップS512ないしS520)。
これらのトルク制御は、電気分配式の四輪駆動車輌の場
合と変わるところはないので、説明は省略するが、いく
つかの制御モードでの動力の流れを図28ないし図33
に示した。これらの図は、上記の運転モードに必ずしも
対応している訳ではないが、トルク制御の違いによる動
力伝達のルートの違いを知ることができる。各図2おい
て、矢印はエネルギの流れを示し、ハッチを付した矢印
は、その運転モードで実際にエネルギがやり取りされる
経路を示す。白抜き矢印の場合は、その運転モードでは
エネルギのやり取りはなされていない。図28は、通常
運転の場合のエネルギの流れを示し、プラネタリギヤ1
20により分配された動力は、前輪と後輪とに分配され
る。また、図29は、オーバードライブ制御の状態を示
す。前輪の駆動力により結果的に同じ回転数で回転する
後輪からエネルギを回収し、これをモータMG2より回
生してモータMG1を駆動し、プラネタリギヤ120を
介して、前輪の回転数をエンジン150の回転数より高
くするのである。
【0172】また、図30,図31は、いずれもエンジ
ン150の出力が、前輪または後輪にのみ出力される運
転モードを示している。図30は、エンジン150の全
エネルギが前輪にのみ出力されている状態を示す。図3
1は、エンジン150の全エネルギが後輪にのみ出力さ
れている状態を示す。なお、この場合には、前輪側は、
リングギヤ軸126をロックし、かつ前輪116,11
8はニュートラルな状態にしておく必要がある。更に、
図32は、エンジン150の全エネルギが、モータMG
1により回生電流の形態で回収され、これがバッテリ1
94に一旦蓄えられた後、後輪にのみ出力されている状
態を示す。なお、バッテリ194に一旦蓄えられるの
は、車輌の駆動に必要なエネルギが低く、エンジン15
0を間欠運転するからである。図33の場合にはバッテ
リ194との間の電力のやり取りに加えて、モータMG
2による回生も行なわれている。
【0173】次に、本発明の第6の実施例について説明
する。第6実施例の四輪駆動車輌は、図34に示す構成
を有する。この四輪駆動車輌は、第5実施例と、第3の
電動機に相当するモータMG3を、リングギヤ軸126
に結合して備える点を除き同一である。モータMG3の
構造は、モータMG1と同様である。また、この実施例
では、制御装置180内に第3の駆動回路193を備え
るが、その構成は第1の駆動回路191と同一である。
かかる構成を有する四輪駆動車輌の制御について、図3
5のフローチャートを参照して説明する。
【0174】制御装置180は、図35に示す四輪処理
ルーチンを開始すると、まずアクセル開度APと車速
(車軸回転数na)とを読み込む処理を行なう(ステッ
プS600)。アクセル開度APは、アクセルペダルポ
ジションセンサ164aから読み込むことができる。ま
た、車速は、レゾルバ149から読み込んだ後輪の車軸
の回転数として知ることができるが、プロペラシャフト
に設けられた図示しない車速センサから読み込むものと
しても良い。
【0175】アクセル開度APと車速(回転数na)と
から、車輌に要求されるトルク指令値Taと車輌出力P
aを演算する処理を行なう(ステップS610)。車輌
に要求されるトルク指令値Taは、例えば第5実施例で
説明した図24のグラフから求めることができる。ま
た、車輌の出力Paは、図25に示したように、車輌の
トルクTaと車速(回転数na)とから定まる運転ポイ
ントに相当する。車輌の出力Paを全てエンジン150
から得るものとして、次にエンジン150の出力Peを
決定し(Pe←Pa)、スロットル開度θthを決定す
る(ステップS620)。次に、このエンジン150の
出力PaにおけるトルクTaを、前輪の受持トルクTf
と後輪の受持トルクTrに配分する処理を行なう(ステ
ップS630)。この処理により前輪と後輪に配分され
るトルク比が決定される。
【0176】続いて、前輪の受持トルクTfとプラネタ
リギヤ120のギヤ比とからエンジン150の要求トル
クTe*を決定する処理を行ない(ステップS64
0)、更にこのときのエンジン150の出力Peと要求
トルクTe*とから、エンジン150の目標回転数ne
*を決定する処理を行なう(ステップS650)。これ
らの決定を受けて、実際にエンジン150の運転状態を
変えるのは、モータMG1の仕事である。そこで、エン
ジン150の回転数がne*となるモータMG1の回転
数ngを決定するのである(ステップS660)。更
に、後輪の受持トルクTrから、後輪に直結されたモー
タMG2の出力トルクTmを決定し、モータMG2を制
御する処理を行なう(ステップS670)。
【0177】以上の処理により、制御装置180の制御
対象であるエンジン150,モータMG1,MG2の動
作点は全て決定されたから、次にEFIECU170に
指令を出力し、第1の駆動回路191などを制御して、
エンジン150,モータMG1,MG2などを実際に制
御する処理を行ない(ステップS680)、その後、
「NEXT」に抜けて、本処理ルーチンを一旦終了す
る。
【0178】以上説明した第6実施例の四輪駆動車輌
は、第5実施例の構成と比べて、その動力伝達の経路
に、第3の電動機であるモータMG3を有する。この結
果、前輪である駆動輪116,118の車軸に出力し得
る駆動トルクの最大値は、図36に示すように、エンジ
ン150からのトルクにモータMG3のトルクを加えた
ものになる。他方、後輪である駆動輪117,119の
車軸に出力し得る駆動トルクはモータMG2のトルクに
より定まる。したがって、モータMG3がない場合(図
37に例示した)と比べた場合、前輪側の駆動トルクの
最大値を大きく取ることができ、前後輪のトルク配分の
自由度が極めて大きいという利点が得られる。第5実施
例では、前輪側の駆動トルクの最大値は、その時点のエ
ンジン150の駆動トルクの最大値に制限されてしまう
から、両者の配分比Ya:Ybの範囲は制限されるのに
対して、本実施例では、両者の配分比(Xa+Xb):
Xcは、エンジン150の出力トルクに制限されること
がなく、駆動力配分の自由度は大きい。
【0179】次に本発明の第7の実施例について説明す
る。第7実施例の四輪駆動車輌およびその内部に組み込
まれた動力伝達装置は、第6実施例と同一ハードウェア
を備え、その制御のみが異なる。第7実施例の制御を図
38に示した。この処理ルーチンが開始されると、まず
アクセル開度APと車速(車軸回転数Na)とを読み込
む処理を行なう(ステップS700)。
【0180】アクセル開度APと車速(回転数Na)と
から、車輌に要求されるトルク指令値Taと車輌出力P
Pを演算する処理を行なう(ステップS710)。車輌
の出力PPを全てエンジン150から得るものとして、
次にエンジン150の出力Peを決定し(Pe←P
P)、この出力が得られるようにスロットル開度θth
を決定し、更にエンジン150の目標回転数Ne*を決
定する処理を行なう(ステップS720)。ステップS
720で、先にエンジン150の出力のみならず、目標
回転数Na*を定めるのは、エンジン150の運転状態
を燃費が最低もしくはエミッションが最良となる状態に
するためである。この点について説明する。
【0181】図39は、エンジン150の運転ポイント
とエンジン150の効率との関係を示すグラフである。
図中曲線Bはエンジン150の運転可能な領域の境界を
示す。エンジン150の運転可能な領域には、その特性
に応じて効率が同一の運転ポイントを示す曲線α1ない
しα6のような等効率線を描くことができる。また、エ
ンジン150の運転可能な領域には、トルクTeと回転
数Neとの積で表わされるエネルギ一定の曲線、例えば
曲線C1−C1ないしC3−C3を描くことができる。
こうして描いたエネルギ一定の曲線C1−C1ないしC
3−C3に沿って各運転ポイントの効率をエンジン15
0の回転数Neを横軸として表わすと図40のグラフの
ようになる。
【0182】図示するように、出力するエネルギが同じ
でも、どの運転ポイントで運転するかによってエンジン
150の効率は大きく異なる。例えばエネルギ一定の曲
線C1−C1上では、エンジン150を運転ポイントA
1(トルクTe1,回転数Ne1)で運転することによ
り、その効率を最も高くすることができる。このような
効率が最も高い運転ポイントは、出力エネルギ一定の曲
線C2−C2およびC3−C3ではそれぞれ運転ポイン
トA2およびA3が相当するように、各エネルギ一定の
曲線上に存在する。図39中の曲線Aは、これらのこと
に基づき各エネルギPrに対してエンジン150の効率
ができる限り高くなる運転ポイントを連続する線で結ん
だものである。この実施例では、この曲線A上の各運転
ポイント(トルクTe,回転数Ne)とエネルギPrと
の関係をマップとしたものを用いて、エンジン150の
目標トルクTe*および目標回転数Ne*を設定した。
なお、ここで、曲線Aを連続する曲線で結ぶのは、エネ
ルギPrの不連続な急変を避けるためである。
【0183】こうしてまずエンジン150の運転状態と
して、要求されている出力PPが得られる運転状態とし
て最適の条件を求めた後、エンジン150の回転数がこ
の目標回転数Ne*となるようモータMG1を制御する
処理を行なう(ステップS730)。即ち、モータMG
1により、エンジン150の運転状態を、図39に示し
た曲線Aに沿って、燃費最適な点へと遷移させるのであ
る。次に、このモータMG1が運転されることにより、
このモータMG1の出力がペラ軸に寄与するトルク分t
gを求める処理を行なう(ステップS740)。モータ
MG1はプラネタリギヤ120に結合されているので、
モータMG1の運転は、車軸に付与されるトルクに寄与
するからである。
【0184】続いて、前後輪に配分する駆動力の割合を
決定する処理を行なう(ステップS750)。駆動力の
配分比をβとすると、前輪:後輪の駆動力の配分を、
β:(1−β)として決定するのである(但し0≦β≦
1)。その後、この配分比βを用いて、前輪の受持トル
クTfと後輪の受持トルクTrを決定する処理を行なう
(ステップS760)。前輪の受持トルクTfと後輪の
受持トルクTrとは、車輌全体で必要とされるトルクT
p、モータMG1による寄与分tg、配分比βを用い
て、次式(8)により与えられる。
【0185】
【数8】
【0186】その後、前後輪にそれぞれの受持トルクが
得られるよう、モータMG2,モータMG3を制御し
(ステップS770)、その後「NEXT」に抜けて本
ルーチンを終了する。
【0187】かかる実施例によれば、配分比βを0から
1まで自由に調整することができるので、エンジン15
0の運転状態の制御を優先しながら、前後輪の駆動力の
配分を極めて広い範囲で自由に制御することができる。
配分比βは、運転モードや路面の状態などから設定する
ことが考えられる。したがって、エンジン150の燃費
やエミッションを十分に確保しながら、かつ駆動力の自
由な配分が可能となる。更に、この実施例の構成によれ
ば、回生による制動力も前後輪で自由に分担することが
できるので、アンチブレーキシステムや駆動力制御など
も実現することができる。
【0188】本実施例では、前輪側の駆動軸にエンジン
150からの出力が結合される構成としたが、エンジン
150からの出力を後輪側に結合する構成とすることも
できる。この場合には、前後輪のトルク配分は、配分比
をβとして、次式(9)により決定することができる。
【0189】
【数9】
【0190】以上、本発明の多数の実施例について説明
したが、本発明は上記した実施例や実施形態に限られる
ものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々
の態様にて実施することが可能である。例えば、クラッ
チモータ30,アシストモータ40の配置と前後輪の関
係、あるいはモータMG1ないしMG3の配置と前後輪
の関係は、逆にしても差し支えない。また、図41に示
したように、プラネタリギヤ120から前輪の車軸に動
力を取り出す部位にチェーンベルト129に代えて、バ
ック機構を備えた複式ギヤ機構200を用いることがで
きる。この複式ギヤ機構は、リングギヤ122に結合さ
れた第1の連結ギヤ221に噛合する第1ギヤ231
と、リングギヤに122に結合された第2の連結ギヤ2
22に逆転用ギヤ232を介して噛合する第2ギヤ23
2とを備える。ギヤ切換手段210が作動することによ
り、動力伝達ギヤ111の駆動軸242は、第1ギヤ2
31もしくは第2ギヤ232に係合するよう切り替えら
れるから、プラネタリギヤ120からの出力の回転方向
を、正逆いずれの方法にも切り替えることができる。し
たがって、一方向に回転するエンジン150を用いて、
車輌を後退させることができる。
【0191】また、第6実施例の前輪側の動力伝達の経
路の構成には、様々なバリエーションが考えられる。例
えば、図42に示すように、モータMG1とモータMG
3とでエンジン150を挟持する配置としてもよい。ま
た、上記実施例では、リングギヤ軸126に出力された
動力をリングギヤ122に結合された動力取出ギヤ12
8を介してモータMG1とモータMG3との間から取り
出したが、図43に示すように、リングギヤ軸126E
を延出してケース119から取り出すものとしてもよ
い。
【0192】更に、電気分配式の第1ないし第4実施例
の変形例としては、第5,第6実施例と同様、前輪側の
車軸にクラッチモータ30のみならず、図44に示すよ
うに、第3の電動機に相当するモータ300を配置し、
前輪の車軸をクラッチモータ30により分配された動力
とモータ300による動力により駆動し、後輪の車軸を
アシストモータ40により駆動する構成とすることもで
きる。また、第1実施例等では図1に示したように、ア
シストモータ40は原動機50の出力軸とは全く分離す
るものとしたが、図45に示すように、原動機50のク
ランクシャフト56の両方の軸端にクラッチモータ30
Aおよびクラッチモータ30Bを設ける構成を考えるこ
ともできる。更に、その一方のクラッチモータ30Bの
出力軸である駆動軸22Bに、アシストモータ40を設
けるものとしても良い。この場合、クラッチモータ30
Bとアシストモータ40の位置関係を逆にすることもで
きる。即ち、アシストモータ40をクランクシャフト5
6に直結し、その出力軸にクラッチモータ30Bを設け
ることもできる。
【0193】上述した各実施例においては、原動機50
としてガソリンにより運転されるガソリンエンジンを用
いていたが、その他にも、ディーゼルエンジン等のレシ
プロエンジンの他、タービンエンジンや、ジェットエン
ジン、ロータリエンジンなど各種内燃或いは外燃機関を
用いることができる。
【0194】また、クラッチモータ30及びアシストモ
ータ40としては、PM形(永久磁石形;Permanent Ma
gnet type)同期電動機を用いたが、回生動作及び力行
動作を行なわせるのであれば、その他にも、VR形(可
変リラクタンス形;VariableReluctance type)同期電
動機や、バーニアモータや、直流電動機や、誘導電動機
や、超電導モータなどを用いることができる。また、力
行動作のみ行なわせるのであれば、ステップモータなど
を用いることができる。
【0195】また、クラッチモータ30では、アウタロ
ータ32はクランクシャフト56に、インナロータ34
は駆動軸22Aにそれぞれ結合していたが、アウタロー
タ32を駆動軸22Aに、インナロータ34をクランク
シャフト56にそれぞれ結合するようにしても良い。ま
た、アウタロータ32とインナロータ34の代わりに、
互いに対向する円盤状のロータを用いるようにしても良
い。
【0196】また、クラッチモータ30に対する電力の
伝達手段としては回転トランス38を用いていたが、そ
の他、スリップリング−ブラシ接触、スリップリング−
水銀接触、或いは磁気エネルギの半導体カップリング等
を用いることも可能である。
【0197】また、第1及び第2の駆動回路91,92
としては、トランジスタインバータを用いていたが、そ
の他にも、IGBT(絶縁ゲートバイポーラモードトラ
ンジスタ;Insulated Gate Bipolar mode Transistor)
インバータや、サイリスタインバータや、電圧PWM
(パルス幅変調;Pulse Width Modulation)インバータ
や、方形波インバータ(電圧形インバータ,電流形イン
バータ)や、共振インバータなどが用いることができ
る。
【0198】二次電池であるバッテリ94としてはPb
バッテリ,NiMHバッテリ,Liバッテリなどを用い
ることができるが、バッテリ94に代えてキャパシタを
用いることもできる。
【0199】なお、以上の説明では、特に断わらない限
り、クラッチモータ30,プラネタリギヤ120やモー
タMG1ないしMG3,トランジスタTr1ないしTr
16などの変換効率を値1(100%)として説明し
た。実際には、変換効率は値1未満であるから、最終的
なトルク配分を得るには、エンジン150から出力され
るエネルギPeをリングギヤ軸126に出力するエネル
ギPrより若干大きな値とするか、逆にリングギヤ軸1
26に出力するエネルギPrをエンジン150から出力
されるエネルギPeより若干小さな値とする必要があ
る。例えば、エンジン150から出力されるエネルギP
eは、リングギヤ軸126に出力されるエネルギPrに
変換効率の逆数を乗じて求めればよい。また、アシスト
モータ40やプラネタリギヤ120では機械摩擦などに
より熱としてエネルギを損失するが、その損失量は全体
量からみれば極めて少なく、モータMG1,MG2に用
いた同期電動機の効率は値1に極めて近い。また、トラ
ンジスタTr1ないしTr16のオン抵抗もGTOなど
極めて小さいものが知られている。したがって、動力の
変換効率は値1に近いものとなるから、便宜上値1(1
00%)として扱った。
【0200】以上の各実施例では、動力伝達装置を車輌
に搭載する場合について説明したが、本発明はこれに限
定されるものではなく、2つの出力軸を有するものであ
れば、船舶,航空機などの交通手段や、その他各種産業
機械などに搭載することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての四輪駆動車輌1
5の概略構成を示す構成図である。
【図2】図1の車輌の概略構成を示す構成図である。
【図3】図1の四輪駆動車輌15における動力伝達装置
20を電気的な接続を含めて示す概略構成図である。
【図4】実施例のクラッチモータ30の構造を示す断面
図である。
【図5】制御CPU90におけるトルク制御の処理の概
要を示すフローチャートである。
【図6】クラッチモータ30の制御の基本的な処理を示
すフローチャートである。
【図7】アシストモータ40の制御の基本的な処理の前
半部分を示すフローチャートである。
【図8】アシストモータ40の制御の基本的な処理の後
半部分を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施例として、駆動力の固定的
な配分を行なう制御ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図10】第2実施例の変形例としてのパワーアシスト
制御の概要を示すフローチャートである。
【図11】アシスト制御の他の実施例の詳細を示すフロ
ーチャートである。
【図12】第3の実施例において用いる充電可能領域マ
ップを示す説明図である。
【図13】第3の実施例においてバッテリ94の残容量
に対する充電可能電力を示す説明図である。
【図14】第3の実施例において原動機50より供給さ
れるエネルギの利用配分を示す説明図である。
【図15】燃料噴射を停止した際の外力(トルクTc)
と原動機50の回転数Neとの関係を例示するグラフで
ある。
【図16】クラッチモータ30に負方向のトルクTcが
設定された際の駆動軸22Aの回転数Ndfと時間tと
の関係およびこの間のクラッチモータ30の状態を例示
する説明図である。
【図17】制御装置80により実行される制動時処理ル
ーチンを例示するフローチャートである。
【図18】本発明の第5実施例の全体構成を示す概略構
成図である。
【図19】第5実施例におけるモータMG1とプラネタ
リギヤ120との構成を示す説明図である。
【図20】制御装置180の構成を中心に示す四輪駆動
車輌の動力系の概略構成図である。
【図21】エンジン150の運転可能領域QEとエンジ
ン150の運転ポイントについて示す説明図である。
【図22】プラネタリギヤ120の動作原理を説明する
動作共線を示す説明図である。
【図23】第5実施例の制御装置180が実行する四輪
処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図24】車速とアクセルペダルポジションAPからト
ルク指令値Taを求めるためのグラフである。
【図25】車速と車輌トルクからエンジン150の運転
ポイントを定めるためのグラフである。
【図26】機械分配式の四輪駆動車輌の運転制御ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図27】同じく運転モード判定処理ルーチンを示すフ
ローチャートである。
【図28】エンジン150の動力が前後輪に配分される
様子を示す説明図である。
【図29】エンジン150の動力が前輪から後輪に伝達
され、後輪側で回収される様子を示す説明図である。
【図30】エンジン150の動力がすべて前輪に出力さ
れる様子を示す説明図である。
【図31】エンジン150の動力がすべて後輪に出力さ
れる様子を示す説明図である。
【図32】エンジン150の動力が一旦電気エネルギに
変換されてバッテリ194に蓄えられてから後輪に出力
される様子を示す説明図である。
【図33】エンジン150の動力が前輪から後輪に伝達
され、後輪側で回収されてバッテリ194に蓄積される
様子を示す説明図である。
【図34】本発明の第6実施例のハードウェア構成を示
す概略構成図である。
【図35】第6実施例における四輪処理ルーチンを示す
フローチャートである。
【図36】第6実施例における動力配分の範囲を示す説
明図である。
【図37】第5実施例における動力配分の範囲を示す説
明図である。
【図38】第7実施例における四輪処理ルーチンを示す
フローチャートである。
【図39】エンジン150の運転ポイントと効率の関係
を例示するグラフである。
【図40】エネルギ一定の曲線に沿ったエンジン150
の運転ポイントの効率とエンジン150の回転数Neと
の関係を例示するグラフである。
【図41】機械分配式の実施例の変形例の構成を示す概
略構成図である。
【図42】第5実施例等の変形例の構成の概略を例示す
る構成図である。
【図43】第5実施例等の変形例の構成の概略を例示す
る構成図である。
【図44】電気分配式の実施例に、第6実施例の構成を
適用した場合の構成例を示す概略構成図である。
【図45】電気分配式の他の構成例を示す概略構成図で
ある。
【図46】本発明の原理を解説するためのグラフであ
る。
【符号の説明】
15…四輪駆動車輌 20…動力伝達装置 22…駆動軸 22A,22B…駆動軸 23…減速ギヤ 24…ディファレンシャルギヤ 25…ディファレンシャルギヤ 26,28…前輪 27,29…後輪 30…クラッチモータ 30A…クラッチモータ 30B…クラッチモータ 32…アウタロータ 34…インナロータ 35…永久磁石 36…コイル 36…三相コイル 37A,37B…ベアリング 38…回転トランス 38A…一次巻線 38B…二次巻線 39A,39B…レゾルバ 40…アシストモータ 42…ロータ 43…ステータ 44…三相コイル 45…ケース 46…永久磁石 48…レゾルバ 49…ベアリング 50…エンジン 50…原動機 51…燃料噴射弁 52…燃焼室 54…ピストン 56…クランクシャフト 57…ホイール 58…イグナイタ 59a…圧入ピン 59b…ネジ 60…ディストリビュータ 62…点火プラグ 64…アクセルペダル 65…アクセルペダルポジションセンサ 66…スロットルバルブ 67…スロットルポジションセンサ 68…ブレーキペダル 69…ブレーキペダルポジションセンサ 70…EFIECU 72…吸気管負圧センサ 74…水温センサ 76…回転数センサ 78…回転角度センサ 79…スタータスイッチ 80…制御装置 82…シフトレバー 84…シフトポジションセンサ 90…制御CPU 90a…RAM 90b…ROM 91…第1の駆動回路 92…第2の駆動回路 94…バッテリ 95,96…電流検出器 97,98…電流検出器 99…残容量検出器 110…動力出力装置 111…動力伝達ギヤ 112…駆動軸 114…ディファレンシャルギヤ 115…ディファレンシャルギヤ 116,118…駆動輪 117,119…駆動輪 119…ケース 120…プラネタリギヤ 121…サンギヤ 122…リングギヤ 123…プラネタリピニオンギヤ 124…プラネタリキャリア 125…サンギヤ軸 126…リングギヤ軸 128…動力取出ギヤ 129…チェーンベルト 132…ロータ 133…ステータ 134…三相コイル 135…永久磁石 139E…レゾルバ 139S…レゾルバ 142…ロータ 143…ステータ 144…三相コイル 145…永久磁石 147…車軸 148…ケース 149…レゾルバ 150…エンジン 156…クランクシャフト 164…アクセルペダル 164a…アクセルペダルポジションセンサ 170…EFIECU 180…制御装置 190…制御CPU 190b…ROM 191…第1の駆動回路 192…第2の駆動回路 194…バッテリ 199…残容量検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜田 英嗣 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 山田 英治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 宮谷 孝夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 川端 康己 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 水谷 良治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 塩見 正直 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 松橋 繁 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭50−30223(JP,A) 特開 昭49−12518(JP,A) 特開 平2−101903(JP,A) 特開 平5−8639(JP,A) 特開 平6−225403(JP,A) 特開 平7−15805(JP,A) 特開 昭50−85019(JP,A) 特開 昭50−20410(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 9/00,17/34 B60L 11/02 H02K 7/11 B60K 17/356

Claims (42)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原動機の動力が伝達される回転軸を備
    え、該回転軸から入力される原動機からの動力を、第1
    の出力軸と、該出力軸とは異なる第2の出力軸とに伝達
    する動力伝達装置であって、前記第1の出力軸および第2の出力軸に出力すべき要求
    動力に基づいて前記原動機を運転する原動機運転制御手
    段と、 前記回転軸の回転に関連付けられた第1の電動機を有
    し、 前記回転軸に入力される動力と、前記第1の出力軸
    に機械的な形態で入出力される動力との配分を、前記第
    1の電動機により電気的な形態で回生される電力も含め
    入出力の総和がバランスする条件の下で制御する分配
    手段と、 前記第2の出力軸に結合された第2の電動機と、前記第1の電動機を制御して、前記原動機から出力され
    た動力を前記分配手段において前記第1の出力軸に出力
    する動力と前記第1の電動機により回生される電力とに
    配分するとともに、前記第1の電動機により回生される
    電力の少なくとも一部を用いて、前記要求動力を実現す
    るように前記第2の電動機の運転を制御する動力制御手
    段と を備えた動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の動力伝達装置であって、 前記第1の出力軸に結合された第3の電動機と、 前記要求動力を所定の配分比で配分して前記第1の出力
    軸に出力される動力と、前記第2の出力軸に出力される
    動力との配分を設定する動力設定手段とを備え、 前記動力制御手段は、 前記第2の出力軸に出力される動力を実現するように前
    記第2の電動機の運転を制御し、さらに、 該第3の電動
    機の運転を制御して、前記分配手段により機械的形態で
    動力が入出力される前記第1の出力軸に、第3の電動機
    による動力の入出力を加える手段である動力伝達装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の動力伝達
    装置であって、 前記分配手段は、第1の電動機を、 前記原動機の回転軸に機械的に結合する第1のロータ
    と、該第1のロータと電磁的に結合し、該第1のロータ
    に対して相対的に回転し得る第2のロータとを有すると
    共に、該第2のロータが、前記第1の出力軸に機械的に
    結合したものとすることによって構成された手段である
    動力伝達装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の動力伝達装置であって、前記第1の電動機および第2の電動機に接続された 二次
    電池を備え、前記動力制御手段は、前記原動機からの出力が前記要求
    動力に不足する場合において、 第1および第2の電動機
    との間の電力のやり取りに加えて、前記二次電池からの
    電力を利用して、前記要求動力を実現する手段である動
    力伝達装置。
  5. 【請求項5】 請求項3または請求項4記載の動力伝達
    装置であって、 前記動力制御手段は、 前記第1の電動機より前記第1のロータと第2のロータ
    との間に生じる滑り回転に応じた電力を回生する 回生制
    御手段と、 該回生した電力の少なくとも一部を用いて前記第2の電
    動機を力行する力行制御手段とを備える動力伝達装置。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の動力伝達装置であって、 前記動力制御手段は、所定の運転モードでは、前記制御
    に代えて、前記二次電池に蓄積された電力を用いて前記
    第1の電動機および前記第2の電動機を力行する手段で
    ある動力伝達装置。
  7. 【請求項7】 請求項1または請求項2記載の動力伝達
    装置であって、 前記分配手段は、前記原動機の回転軸と前記第1の出力
    軸と前記第1の電動機の回転軸とに各々結合される3軸
    を有し、該3軸のうち前記原動機の回転軸に結合された
    軸と前記第1の電動機の回転軸に結合された軸とに入出
    力される動力が決定したとき、該決定された動力に基づ
    いて、前記第1の出力軸に結合された軸に入出力される
    動力が決定される3軸式動力入出力手段と、該3軸式動
    力入出力手段に結合された前記第1の電動機とを備える
    手段である動力伝達装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の動力伝達装置であって、前記第1の電動機および第2の電動機に接続された 二次
    電池を備え、前記動力制御手段は、前記原動機からの出力が前記要求
    動力に不足する場合において、 第1および第2の電動機
    との間の電力のやり取りに加えて、前記二次電池からの
    電力を利用して、前記要求動力を実現する手段である動
    力伝達装置。
  9. 【請求項9】 請求項7または請求項8記載の動力伝達
    装置であって、 前記動力制御手段は、前記原動機の回転軸に入出力される動力と前記第1の出
    力軸に入出力される動力との差分に応じた電力を、第1
    の電動機から回生する 回生制御手段と、 該回生した電力の少なくとも一部を用いて前記第2の電
    動機を力行する力行制御手段とを備える動力伝達装置。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の動力伝達装置であっ
    て、 前記動力制御手段は、所定の運転モードでは、前記制御
    に代えて、前記二次電池に蓄積された電力を用いて前記
    第1の電動機および前記第2の電動機を力行する手段で
    ある動力伝達装置。
  11. 【請求項11】 原動機の出力する機械的エネルギを第
    1の電動機を利用して電気的エネルギと第1の出力軸に
    出力する機械的エネルギとに分配すると共に、前記第1
    の電動機より取り出された前記電気的エネルギの少なく
    とも一部を用いて第2の電動機を駆動して、前記第1の
    出力軸とは異なる第2の出力軸に出力し、 前記第1の電動機において伝達される前記機械的エネル
    ギと取り出される前記電気的エネルギとの配分を制御し
    て、前記第1および第2の出力軸に出力される動力を所
    定の大きさに調整する動力伝達装置。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし請求項3および請求項
    いずれか記載の動力伝達装置であって、 前記第1の出力軸に出力される動力と、前記第2の出力
    軸に出力される動力との配分を決定する配分決定手段を
    備え、 前記動力制御手段は、該配分決定手段により決定された
    動力配分を目標値として前記第1および第2の電動機の
    運転を制御する手段である動力伝達装置。
  13. 【請求項13】 請求項2記載の動力伝達装置であっ
    て、 前記第1の出力軸に出力される動力と、前記第2の出力
    軸に出力される動力との配分を決定する配分決定手段を
    え、 前記原動機運転制御手段は、前記要求動力に基づいて前
    記原動機の目標運転状態を設定した上で前記原動機を運
    転する手段であり、 前記動力制御手段は、前記原動機の運転状態が前記目標運転状態となるよう前
    記前記第1の電動機の動力を制御し、 前記 配分決定手段により前記第1の出力軸について決定
    された動力配分を実現するよう前記第3の電動機の運転
    を制御し、 前記 配分決定手段により前記第2の出力軸について決定
    された動力配分を実現するよう前記第2の電動機の運転
    を制御する手段である動力伝達装置。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の動力伝達装置であっ
    て、 前記分配手段は、第1の電動機を、 前記原動機の回転軸に機械的に結合する第1のロータ
    と、該第1のロータと電磁的に結合し、該第1のロータ
    に対して相対的に回転し得る第2のロータとを有すると
    共に、該第2のロータが、前記第1の出力軸に機械的に
    結合したものとすることによって構成される動力伝達装
    置。
  15. 【請求項15】 請求項13記載の動力伝達装置であっ
    て、 前記分配手段は、前記原動機の回転軸と前記第1の出力
    軸と前記第1の電動機の回転軸とに各々結合される3軸
    を有し、該3軸のうち前記原動機の回転軸に結合された
    軸と前記第1の電動機の回転軸に結合された軸とに入出
    力される動力が決定したとき、該決定された動力に基づ
    いて、前記第1の出力軸に結合された軸に入出力される
    動力が決定される3軸式動力入出力手段と、該3軸式動
    力入出力手段に結合された前記第1の電動機とを備える
    手段である動力伝達装置。
  16. 【請求項16】 請求項1ないし請求項3および請求項
    いずれか記載の動力伝達装置であって、 前記電動機は、多相の交流により構成される回転磁界
    と、永久磁石による磁界との相互作用により回転する同
    期電動機である動力伝達装置。
  17. 【請求項17】 車輌の第1の車軸および第2の車軸に
    独立に動力を伝達する四輪駆動車輌であって、 動力が取り出される回転軸を有し、該回転軸を回転させ
    る原動機と、前記第1の車軸および第2の車軸に出力すべき要求動力
    に基づいて前記原動機を運転する原動機運転制御手段
    と、 該回転軸の回転に関連付けられた第1の電動機を有し、
    前記回転軸に入力される動力と、前記第1の車軸に機械
    的な形態で入出力される動力との配分を、前記第1の電
    動機に電気的な形態で入出力される動力も含めた入出力
    の総和がバランスする条件の下で制御する分配手段と、 前記第2の車軸に結合された第2の電動機と、前記第1の電動機を制御して、前記原動機から出力され
    た動力を前記分配手段において前記第1の車軸に出力す
    る動力と前記第1の電動機により回生される電力との
    分を制御するとともに、前記第1の電動機により回生さ
    れる電力の少なくとも一部を用いて、前記要求動力を実
    現するように前記第2の電動機の運転を制御する動力制
    御手段とを備えた四輪駆動車輌。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の四輪駆動車輌であっ
    て、 前記第1の車軸に結合された第3の電動機を備え、 前記要求動力を所定の配分比で配分して前記第1の車軸
    に出力される動力と、前記第2の車軸に出力される動力
    との配分を設定する動力設定手段とを備え、 前記動力制御手段は、 前記第2の車軸に出力される動力を実現するように前記
    第2の電動機の運転を制御し、さらに、 該第3の電動機
    の運転を制御して、前記分配手段により機械的形態で動
    力が入出力される前記第1の車軸に、第3の電動機によ
    る動力の入出力を加える手段である四輪駆動車輌。
  19. 【請求項19】 請求項17または請求項18記載の四
    輪駆動車輌であって、 前記分配手段は、第1の電動機を、 前記原動機の出力軸に機械的に結合する第1のロータ
    と、該第1のロータと電磁的に結合し、該第1のロータ
    に対して相対的に回転し得る第2のロータとを有すると
    共に、該第2のロータが、前記第1の車軸に機械的に結
    合したものとすることによって構成された手段である四
    輪駆動車輌。
  20. 【請求項20】 請求項19記載の四輪駆動車輌であっ
    て、前記第1の電動機および第2の電動機に接続された 二次
    電池を備え、前記動力制御手段は、前記原動機からの出力が前記要求
    動力に不足する場合において、 第1および第2の電動機
    との間の電力のやり取りに加えて、前記二次電池からの
    電力を利用して、前記要求動力を実現する手段である四
    輪駆動車輌。
  21. 【請求項21】 請求項19または請求項20記載の四
    輪駆動車輌であって、前記動力制御手段 は、前記第1の電動機より前記第1のロータと第2のロータ
    との間に生じる滑り回転に応じた電力を回生する 回生制
    御手段と、 該回生した電力の少なくとも一部を用いて前記第2の電
    動機を力行する力行制御手段とを備える四輪駆動車輌。
  22. 【請求項22】 原動機の動力が伝達される回転軸を備
    え、該回転軸から入力される原動機からの動力を、第1
    の出力軸と、該出力軸とは異なる第2の出力軸とに伝達
    する四輪駆動車輌であって、 前記原動機の出力軸に機械的に結合する第1のロータ
    と、該第1のロータと電磁的に結合し、該第1のロータ
    に対して相対的に回転し得る第2のロータとを有すると
    共に、該第2のロータが、前記第1の車軸に機械的に結
    合した第1の電動機と、 前記第2の出力軸に結合された第2の電動機と、 前記第2の車軸の回転により回転される前記第2の電動
    機から電力を回生する 回生制御手段と、 該回生した電力の少なくとも一部を用いて前記第1の電
    動機を力行する力行制御手段とを備える四輪駆動車輌。
  23. 【請求項23】 請求項20記載の四輪駆動車輌であっ
    て、 前記動力制御手段は、所定の運転モードでは、前記制御
    に代えて、 前記第1の電動機より前記第1のロータと第2のロータ
    との間に生じる滑り回転に応じた電力を回生するととも
    に、 前記第2の車軸の回転により回転される前記第2の電動
    機から電力を回生し、 該回生された電力の少なくとも一部を前記二次電池に蓄
    積する手段である四輪駆動車輌。
  24. 【請求項24】 請求項20記載の四輪駆動車輌であっ
    て、 前記動力制御手段は、所定の運転モードでは、前記制御
    に代えて、前記二次電池に蓄積された電力を用いて前記
    第1の電動機および前記第2の電動機を力行する手段で
    ある四輪駆動車輌。
  25. 【請求項25】 請求項17または請求項18記載の四
    輪駆動車輌であって、 前記分配手段は、前記原動機の回転軸と前記第1の車軸
    と前記第1の電動機の回転軸とに各々結合される3軸を
    有し、該3軸のうち前記原動機の回転軸に結合された軸
    と前記第1の電動機の回転軸に結合された軸とに入出力
    される動力が決定したとき、該決定された動力に基づい
    て、前記第1の車軸に結合された軸に入出力される動力
    が決定される3軸式動力入出力手段と、該3軸式動力入
    出力手段に結合された前記第1の電動機とを備える手段
    である四輪駆動車輌。
  26. 【請求項26】 請求項25記載の四輪駆動車輌であっ
    て、前記第1の電動機および第2の電動機に接続された 二次
    電池を備え、前記動力制御手段は、前記原動機からの出力が前記要求
    動力に不足する場合において、 第1および第2の電動機
    との間の電力のやり取りに加えて、前記二次電池からの
    電力を利用して、前記要求動力を実現する手段である四
    輪駆動車輌。
  27. 【請求項27】 請求項25または請求項26記載の四
    輪駆動車輌であって、 前記動力制御手段は、前記原動機の回転軸に入出力される動力と前記第1の車
    軸に入出力される動力との差分に応じた電力を、第1の
    電動機から回生する 回生制御手段と、 該回生した電力の少なくとも一部を用いて前記第2の電
    動機を力行する力行制御手段とを備える四輪駆動車輌。
  28. 【請求項28】 原動機の動力が伝達される回転軸を備
    え、該回転軸から入力される原動機からの動力を、第1
    の出力軸と、該出力軸とは異なる第2の出力軸とに伝達
    する動力伝達装置であって、 回転軸を有する第1の電動機と、 前記原動機の回転軸と前記第1の車軸と前記第1の電動
    機の回転軸とに各々結合される3軸を有し、該3軸のう
    ち前記原動機の回転軸に結合された軸と前記第1の電動
    機の回転軸に結合された軸とに入出力される動力が決定
    したとき、該決定された動力に基づいて、前記第1の車
    軸に結合された軸に入出力される動力が決定される3軸
    式動力入出力手段と、 前記第2の出力軸に結合された第2の電動機と、 前記第2の車軸の回転により回転される前記第2の電動
    から電力を回生する回生制御手段と、 該回生した電力の少なくとも一部を用いて前記第1の電
    動機を力行する力行制御手段とを備える四輪駆動車輌。
  29. 【請求項29】 請求項26記載の四輪駆動車輌であっ
    て、 前記動力制御手段は、所定の運転モードでは、前記制御
    に代えて、 前記第1の電動機より前記原動機の回転軸に入出力され
    る動力と前記第1の車軸に入出力される動力との差分に
    応じた電力を回生するとともに、 前記第2の車軸の回転により回転される前記第2の電動
    機から電力を回生し、 該回生された電力の少なくとも一部を前記二次電池に蓄
    積する手段である四輪駆動車輌。
  30. 【請求項30】 請求項26記載の四輪駆動車輌であっ
    て、 前記動力制御手段は、所定の運転モードでは、前記制御
    に代えて、少なくとも前記二次電池に蓄積された電力を
    用いて前記第1の電動機および前記第2の電動機を力行
    する手段である四輪駆動車輌。
  31. 【請求項31】 原動機の出力する機械的エネルギを第
    1の電動機を利用して電気的エネルギと第1の出力軸に
    出力する機械的エネルギとに分配すると共に、前記第1
    の電動機より取り出された前記電気的エネルギの少なく
    とも一部を用いて第2の電動機を駆動して、第2の車軸
    に出力し、 前記第1の電動機において伝達される前記機械的エネル
    ギと取り出される前記電気的エネルギとの配分を制御し
    て、前記第1および第2の車軸に出力される動力を所定
    の大きさに調整する四輪駆動車輌。
  32. 【請求項32】 請求項17ないし請求項19および請
    求項25いずれか記載の四輪駆動車輌であって、 前記第1の車軸に出力される動力と、前記第2の車軸に
    出力される動力との配分を決定する配分決定手段を備
    え、 前記動力制御手段は、該配分決定手段により決定された
    動力配分を目標値として前記第1および第2の電動機の
    運転を制御する手段である四輪駆動車輌。
  33. 【請求項33】 請求項18記載の四輪駆動車輌であっ
    て、 前記第1の車軸に出力される動力と、前記第2の車軸に
    出力される動力との配分を決定する配分決定手段を備
    え、 前記原動機運転制御手段は、前記要求動力に基づいて前
    記原動機の目標運転状態を設定した上で前記原動機を運
    転する手段であり、 前記動力制御手段は、前記原動機の運転状態が前記目標運転状態となるよう前
    記前記第1の電動機の動力を制御し、 前記 配分決定手段により前記第1の車軸について決定さ
    れた動力配分を実現するよう前記第3の電動機の運転を
    制御し、 前記 配分決定手段により前記第2の車軸について決定さ
    れた動力配分を実現するよう前記第2の電動機の運転を
    制御する手段である四輪駆動車輌。
  34. 【請求項34】 請求項33記載の四輪駆動車輌であっ
    て、 前記分配手段は、第1の電動機を、 前記原動機の回転軸に機械的に結合する第1のロータ
    と、該第1のロータと電磁的に結合し、該第1のロータ
    に対して相対的に回転し得る第2のロータとを有すると
    共に、該第2のロータが、前記第1の車軸に機械的に結
    合したものとすることによって構成される四輪駆動車
    輌。
  35. 【請求項35】 請求項33記載の四輪駆動車輌であっ
    て、 前記分配手段は、前記原動機の回転軸と前記第1の車軸
    と前記第1の電動機の回転軸とに各々結合される3軸を
    有し、該3軸のうち前記原動機の回転軸に結合された軸
    と前記第1の電動機の回転軸に結合された軸とに入出力
    される動力が決定したとき、該決定された動力に基づい
    て、前記第1の車軸に結合された軸に入出力される動力
    が決定される3軸式動力入出力手段と、該3軸式動力入
    出力手段に結合された前記第1の電動機とを備える手段
    である四輪駆動車輌。
  36. 【請求項36】 原動機の動力を車輌の第1の車軸と該
    第1の車軸とは機械的に直接は結合されていない第2の
    車軸に伝達する動力伝達装置を備えた四輪駆動車輌であ
    って、 動力を出力する回転軸を有し、該回転軸を回転させる原
    動機と、 該原動機の回転軸に機械的に結合する第1のロータと、
    該第1のロータと電磁的に結合し、該第1のロータに対
    して相対的に回転し得る第2のロータとを有し、該第2
    のロータに前記第1の車軸を機械的に結合した第1の電
    動機と、 多相交流によって前記第1の電動機における前記第1及
    び第2のロータ間の電磁的な結合を制御して、前記第1
    の電動機との間で少なくとも一方向の電力のやり取りが
    可能な第1の電動機駆動回路と、 前記原動機の他の回転軸に機械的に結合する第3のロー
    タと、該第3のロータと電磁的に結合し、該第3のロー
    タに対して相対的に回転し得る第4のロータとを有し、
    該第4のロータに前記第2の車軸を機械的に結合した第
    2の電動機と、 多相交流によって前記第1の電動機における前記第1及
    び第2のロータ間の電磁的な結合を制御して、前記第2
    の電動機との間で少なくとも一方向の電力のやり取りが
    可能な第2の電動機駆動回路と、 前記第1および第2の電動機駆動回路を制御して、前記
    原動機の動力を所定の配分で、前記第1および第2の車
    軸に出力する動力配分制御手段とを備えた四輪駆動車
    輌。
  37. 【請求項37】 請求項36記載の四輪駆動車輌であっ
    て、 前記第1または第2の電動機駆動回路が前記第1または
    第2の電動機との間で回生した電力の少なくとも一部を
    蓄積可能な二次電池を備え、 前記動力配分制御手段は、前記第1および第2の電動機
    駆動回路の制御による電力の回生および消費に加えて、
    前記二次電池への電力の蓄積および該二次電池からの電
    力の出力の少なくとも一方を制御する二次電池制御手段
    を備えた四輪駆動車輌。
  38. 【請求項38】 請求項19記載の四輪駆動車輌であっ
    て、さらに制動時において前記第1および第2の電動機
    制御して、前記第1および第2の車軸の少なくとも一方
    制動トルクを付与する制動力制御手段とを備えた四輪
    駆動車輌。
  39. 【請求項39】 原動機の動力が伝達される回転軸を備
    え、該回転軸から入力される原動機からの動力を基準と
    して、第1の原動機が結合された第1の出力軸に入出力
    される動力と、第2の電動機が結合され、該第1出力軸
    とは異なる第2の出力軸に入出力される動力との配分を
    制御する方法であって、 前記回転軸の回転に関連付けられた第1の電動機を有
    し、前記回転軸に入力される動力と、前記第1の出力軸
    に機械的な形態で入出力される動力との配分を、前記第
    1の電動機に電気的な形態で入出力される動力も含めた
    入出力の総和がバランスする条件の下で制御する分配手
    段を用意し、前記第1の出力軸および第2の出力軸に出力すべき要求
    動力に基づいて前記原動機を運転し、 前記第1の電動機を制御して、前記原動機から出力され
    た動力を前記分配手段において前記第1の出力軸に出力
    する動力と前記第1の電動機により回生される電力とに
    配分し、 前記分配手段の動作に伴い前記第1の電動機により回生
    される電力の少なくとも一部を用いて、前記要求動力を
    実現するように前記第2の電動機の運転を制御する動力
    配分方法。
  40. 【請求項40】 原動機の動力が伝達される回転軸を備
    え、該回転軸から入力される原動機からの動力を基準と
    して、第1の原動機が結合された第1の車軸に入出力さ
    れる動力と、第2の電動機が結合され、該第1車軸とは
    異なる第2の車軸に入出力される動力との配分を制御す
    る四輪駆動方法であって、前記回転軸の回転に関連付けられた第1の電動機を有
    し、 前記回転軸に入力される動力と、前記第1の車軸に
    機械的な形態で入出力される動力との配分を、前記第1
    の電動機に電気的な形態で入出力される動力も含めた
    出力の総和がバランスする条件の下で制御する分配手段
    を用意し、前記第1の車軸および第2の車軸に出力すべき要求動力
    に基づいて前記原動機を運転し、 記第1の電動機を制御して、前記原動機から出力された
    動力を前記分配手段において前記第1の車軸に出力する
    動力と前記第1の電動機により回生される電力とに配分
    し、 前記分配手段の動作に伴い前記第1の電動機により回生
    される電力の少なくとも一部を用いて、前記要求動力を
    実現するように前記第2の電動機の運転を制御する 四輪
    駆動方法。
  41. 【請求項41】 原動機の動力が伝達される回転軸を備
    え、該回転軸から入力される原動機からの動力を、第1
    の出力軸と、該出力軸とは異なる第2の出力軸とに伝達
    する動力伝達装置であって、 前記第1の出力軸および第2の出力軸に出力すべきエネ
    ルギを供給するよう前記原動機を運転する原動機運転制
    御手段と、 前記回転軸の回転に関連付けられた第1の電動機を有
    し、前記回転軸に入力される動力と、前記第1の出力軸
    に機械的な形態で入出力される動力との配分を、前記第
    1の電動機により電気的な形態で回生される電力も含め
    た入出力の総和がバランスする条件の下で制御する分配
    手段と、 前記第2の出力軸に結合された第2の電動機と、 前記第1の電動機を制御して、前記原動機から出力され
    た動力を前記分配手段 において前記第1の出力軸に出力
    する動力と前記第1の電動機により回生される電力とに
    配分するとともに、前記第1の電動機により回生される
    電力の少なくとも一部を用いて、前記要求動力を実現す
    るように前記第2の電動機の運転を制御する動力制御手
    段と前記第1の電動機に電気的な形態で入出力される動
    力を制御して、前記第1の電動機の運転状態を可変し、
    前記分配手段において前記動力の前記原動機の回転軸に
    入出力される動力と前記第1の出力軸に入出力される動
    力との差分に応じた電力を、第1の電動機から回生する
    第1の動力制御手段と、 前記回生した電力に相当するエネルギを出力するように
    前記第2の電動機の運転を制御して、前記第2の出力軸
    に出力される動力を制御する第2の動力制御手段とを備
    えた動力伝達装置。
  42. 【請求項42】 車輌の第1の車軸および第2の車軸に
    独立に動力を伝達する四輪駆動車輌であって、 該第1の車軸に第1の出力軸を結合し、前記第2の車軸
    に第2の出力軸を結合して請求項41記載の動力伝達装
    置を搭載した四輪駆動車輌。
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