JP4407173B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右輪の駆動を独立に制御可能な車両において、左右輪の駆動力を制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、左右前輪及び左右後輪のいずれか一方をエンジンにより駆動するとともに、他方を油圧式モータ又は電動式モータなどのエンジンとは別個の駆動装置により駆動する4輪駆動装置が知られている。また、そのような駆動装置の駆動力を制御して車両の走行状態を制御することが行われている。
【0003】
そのような車両の一例として、特許文献1には、前輪又は後輪を左右独立に油圧式モータにより駆動する構成とし、センサにより検出されたヨーレートが所定の目標ヨーレートと一致するように左右のモータを独立に制御するものが開示されている。
【0004】
また、特許文献2の車両では、モータなどの駆動装置の代わりに左右輪間の推進力調整機構を設けて左右輪の推進力を独立に制御可能としている。車両の制御としては、主として車両の操舵角速度に基づいて基本制御量を決定し、さらに路面μや車速により調整した制御量に基づいて推進力調整機構を制御して、左右輪の駆動力を制御している。
【0005】
なお、同様に左右輪を独立に制御可能な車両において、走行安定性を確保するために、旋回時に内外輪の接地荷重移動量に基づいて各車輪の駆動力を制御するものが知られている(例えば特許文献3及び4を参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−166345号公報
【特許文献2】
特開平10−16599号公報
【特許文献3】
特開平5−328542号公報
【特許文献4】
特許第2660992号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1の方法は、センサにより検出されたヨーレートのフィードバック制御を行うのみであるので、操舵に対する制御の追従性が低下する恐れがある。
【0008】
特許文献2の方法は、制御量を操舵角速度に基づいて決定しているが、操舵角を考慮していない。実際の走行時には同じ操舵角速度であっても、操舵域が異なれば必要とされるモーメントが異なり、必要な制御量も異なってくるはずである。例えば、同じ操舵角速度でも、大操舵角領域で追操舵を行った場合に前輪によって発生するモーメントと後輪によって発生するモーメントの差は、小操舵領域で追操舵を行った場合より大きくなるので、必要な制御量は異なるはずである。よって、特許文献2の方法では、目標とされる旋回性能を実現することは難しい。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、左右輪の駆動力を独立に制御可能な車両において、車両の運転状態に基づいて、操舵に対する追従性の高い駆動力制御を行うことが可能な車両の制御装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点では、動力源と、前記動力源からの駆動力を左右輪で独立に制御可能な駆動部とを備える車両の制御装置は、実ヨーレートが目標ヨーレートと一致するように前記左右輪の駆動力を制御する制御部を備え、前記制御部は制御量を前記車両の運動モデルに基づいて求めるフィードフォワード制御部を有し、前記駆動部は、前記左右輪に独立に設けられ、モータを有する左右の駆動ユニットであり、前記フィードフォワード制御部は、前記車両の運動状態に基づいて左右荷重変化量を求め、求めた左右荷重変化量に基づいて動的コーナリングパワーを求め、求めた動的コーナリングパワー及び前記目標ヨーレートの微分値に基づいて前記左右の駆動ユニットに与えられる目標トルク差を求め、前記目標トルク差を前記制御量とする。
【0011】
上記の車両においては、エンジンやモータなどの動力源からの駆動力を、左右輪で独立に制御することができる。左右輪のトルクを独立して制御することにより、車両に適切な旋回モーメントを発生し、車両の走行を制御することができる。制御部は、車両の運動モデルに基づいて、実ヨーレートが目標ヨーレートと一致するようなフィードフォワード制御を行う。これにより、運転者の操舵時などにおける車両の応答遅れを解消し、運転者の操作に対する車両動作の追従性を高めることができる。
具体的には、前記駆動部は、前記左右輪に独立に設けられ、モータを有する左右の駆動ユニットであり、前記フィードフォワード制御部は、前記車両の運動状態に基づいて左右荷重変化量を求め、求めた左右荷重変化量に基づいて動的コーナリングパワーを求め、求めた動的コーナリングパワー及び前記目標ヨーレートの微分値に基づいて前記左右の駆動ユニットに与えられる目標トルク差を求め、前記目標トルク差を前記制御量とする。これにより、車両の運動モデルに基づいて適切な制御が可能となる。具体的には、得られた制御量に基づいて左右の駆動ユニットのモータトルクを独立に制御することにより、操舵に対する車両の追従性を向上させることができる。
【0014】
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記フィードフォワード制御部は、前記左右の駆動ユニットの回生及び力行によるエネルギーの収支がゼロとなるように前記制御量を求める。これにより、エネルギーの持ち出しを生じることなく制御が可能となる。
【0016】
上記の車両の制御装置の他の一態様は、運転者が操舵する操舵装置を備え、前記制御部は前記操舵装置の操作量に基づいて前記制御量を求める。例えば運転者がステアリングなどの操舵装置を操作すると、その操作により変化するハンドル角などの操作量に基づいて、制御量が決定される。よって、運転者による操舵に的確に応答して左右輪の駆動力を制御することができる。
【0017】
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記駆動部は、前記制御量に基づいて前記左右輪の駆動力を制御する。これにより、車両の運動モデルに基づいて求めた制御量により、左右輪をフィードフォワード制御することができる。
【0018】
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記制御部はさらにフィードバック制御部を備え、前記制御量は前記フィードフォワード制御部が出力する制御量と前記フィードバック制御部が出力する制御量の和である。この態様によれば、フィードバック制御とフィードフォワード制御とを同時に行うことにより、制御の安定性及び応答の迅速性を両立することができる。
本発明の他の観点では、動力源と、前記動力源からの駆動力を左右輪で独立に制御可能な駆動部とを備える車両の制御装置は、実ヨーレートが目標ヨーレートと一致するように前記左右輪の駆動力を制御する制御部を備え、前記制御部は制御量を前記車両の運動モデルに基づいて求めるフィードフォワード制御部を有し、前記駆動部は、単一の駆動力によるトルクの前記左右輪に対する配分を調整するトルク配分調整機構を備え、前記フィードフォワード制御部は、前記車両の運動状態に基づいて左右荷重変化量を求め、求めた左右荷重変化量に基づいて動的コーナリングパワーを求め、求めた動的コーナリングパワー及び前記目標ヨーレートの微分値に基づいて前記左右輪間に配分されるトルクの移動量及び移動方向を求め、前記トルクの移動量及び前記移動方向を前記制御量とする。この場合、電動モータなどの駆動手段を用いない場合でも、動力源からの駆動力を左右輪に配分することにより、左右独立に駆動力を調整して適切な走行制御が可能となる。
また、本発明の他の観点では、動力源と、前記動力源からの駆動力を左右輪で独立に制御可能な駆動部とを備える車両の制御装置は、実ヨーレートが目標ヨーレートと一致するように前記左右輪の駆動力を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記車両の旋回方向に対して付勢される制御量を、前記車両の運動モデルに基づいて求めるフィードフォワード制御部を有し、前記フィードフォワード制御部は、前記車両の運動状態に基づいて左右荷重変化量を求め、求めた左右荷重変化量に基づいて動的コーナリングパワーを求めて、前輪の前記動的コーナリングパワーが大きい場合には小さい場合に比して前記制御量を小さくし、後輪の前記動的コーナリングパワーが大きい場合には小さい場合に比して前記制御量を大きくする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0020】
[第1実施例]
まず、第1実施例に係る車両100の概略構成について説明する。なお、本実施例に係る車両100は、4WD(四輪駆動)仕様のFR車両(エンジン前置き後輪駆動方式)に本発明を適用したものである。但し、本発明の適用はこれに限られるものではなく、一般的なFR車両やFF車両(エンジン前置き前輪駆動方式)にも適用可能である。また、本車両は既知の4WD仕様のFR車両を前提とするため、4WDについての説明は省略する。
【0021】
図1に、本発明に係る車両100の概略構成を示す平面図を示す。車両100は、主として、エンジン1と、トルクコンバータ2と、トランスミッション3と、プロペラシャフト4と、ディファレンシャルギヤ5と、後輪用の左右のドライブシャフト6L及び6Rと、前輪用の左右のドライブシャフト9L及び9Rと、左右の後輪7L及び7Rと、左右の前輪10L及び10Rと、左右の駆動ユニット8L及び8Rと、を備える。なお、以下の説明では、左右対称に配置された構成要素については、左右の区別が必要な場合は符号に「L」、「R」を付し、左右の区別が不要な場合は符号を省略する。例えば、左右の駆動ユニットを指す場合は「駆動ユニット8」と記述し、左側の駆動ユニットを指す場合は「駆動ユニット8L」と記述する。
【0022】
エンジン1は、燃焼室内の混合気を爆発させて、動力を発生する内燃機関である。燃焼室内での混合気の燃焼によるピストンの往復運動は、コンロッド(図示略)を介してクランクシャフト(図示略)の回転運動に変換される。クランクシャフトは、トルクコンバータ2、トランスミッション3、プロペラシャフト4、ディファレンシャルギヤ5、及びドライブシャフト6を介して後輪7に動力を伝達する。
【0023】
トルクコンバータ2は、エンジン1とトランスミッション3との間に設けられる。トルクコンバータ2は、油などの作動流体を利用することにより、エンジン1から出力される回転トルクを断続的にトランスミッション3へ伝達するクラッチとしての機能と、その回転トルクを増大させてトランスミッション3へ伝達する機能とを有する。
【0024】
トランスミッション3は、トルクコンバータ2とプロペラシャフト4との間に設けられ、前進4段(第1速〜第4速)、後進1段の各変速段に対応する複数のギヤ(プラネタリギヤ)などを有する。トランスミッション3は、ECUからの指令信号に基づき、図示しない油圧制御装置を作動させることにより、低速段から高速段への変速操作(シフトアップ)、或いは高速段から低速段への変速操作(シフトダウン)を行う。
【0025】
プロペラシャフト4は、トランスミッション3とディファレンシャルギヤ5との間に設けられ、エンジン1から得られる駆動力を後輪7側へ伝達する推進軸である。
【0026】
ディファレンシャルギヤ5は、複数の傘歯歯車を組み合わせたものから構成され、車両旋廻時に内側の車輪と外側の車輪との回転速度を調整するギヤである。具体的には、車両100が直線道路を走行するときは、ディファレンシャルギヤ5は、左右の後輪7を同一の速度で回転させる。一方、車両100が旋回運動をするときは左右の後輪7の回転速度差が生じるため、ディファレンシャルギヤ5はそれらの回転速度を調整して、スムーズな旋回運動を可能とする。
【0027】
ドライブシャフト6は、左右の後輪7と回転自在に連結される車軸である。ドライブシャフト6は、エンジン1からの駆動力によって回転し、後輪7へ動力を伝達する。
【0028】
駆動ユニット8は、例えば電気エネルギーを機械エネルギーに変換する永久磁石型同期式モータなどの電動式モータと、減速機とを備え、左右の前輪を駆動させる位置に夫々設けられる。ドライブシャフト9は左右独立にそれぞれ左右前輪10と回転自在に連結される車軸である。ドライブシャフト9は、それぞれ左右の駆動ユニット8の出力軸であり、各駆動ユニット8から独立に駆動力を与えられる。即ち、左右前輪10の駆動は左右の駆動ユニット8により独立に行われる。
【0029】
次に、駆動ユニットの制御装置について説明する。図2に、駆動ユニット8の制御装置の概略構成を示す。図示のように、駆動ユニット8が出力する駆動トルクは、主としてモータCPU200及びECU15により制御される。
【0030】
エンジン1内部及び近傍に設けられた各種のセンサ(車速センサ、後で例を入れる)の出力データD50は、ECU(Engine Control Unit)15に入力される。また、ステアリングセンサ11の出力信号D51及びヨーレートセンサ12が検出した実ヨーレートD22もECU15に入力される。ECU15は、それらの各センサの出力信号D50、D51及びD22に基づいて、車両スリップ角D1、車両スリップ角微分値D2、車速D3、目標ヨーレートD18、路面摩擦係数(μ)D20及び駆動/制動前後配分値D21を算出し、モータCPU200へ供給する。モータCPU200は、内部に車両の使用に関する車両仕様データを記憶する記憶部を備え、ECU15から供給される上記のデータ及び車両仕様データに基づいて、車両の運動モデルを算出し、それに基づいて左右の駆動ユニット8を駆動するためのトルクを示すトルク制御信号TCL及びTCRをそれぞれ左右の駆動ユニット8L及び8Rへ供給する。
【0031】
次に、モータCPU200の内部構成を説明する。図3は、モータCPU200の内部構成を示す機能ブロック図である。モータCPU200は、大別して、フィードフォワード制御部20と、フィードバック制御部30と、車両仕様データ記憶部40と、加算部50と、を有する。
【0032】
車両仕様データ記憶部40は、例えばROMなどの半導体メモリにより構成することができ、車両の基本的な仕様に関連する車両仕様データを記憶している。具体的には、車両仕様データは、車両質量D4、フロントトレッドD5、重心点/前軸後軸間距離D6、前後軸ロール剛性D7、ホイールベースD8、重心高D9、前後正規化コーナリングパワーD10、前後静的コーナリングパワーD11、前後静的コーナリングパワー増幅率D12、前輪動荷重半径D13、車両ヨーモーメントD14及びモータギヤ比D15などを含む。これらの値はいずれも定数であり、車両仕様データ記憶部40内に適宜読み出し可能に記憶されている。
【0033】
フィードフォワード制御部20は、前述のようにECU15から供給される各種データ及び車両仕様データ記憶部40から読み出した車両仕様データに基づいて、車両の運動モデルを決定し、左右各駆動ユニット8の目標トルク差Tdを算出する。
【0034】
一方、フィードバック制御部30は、ECU15から供給される目標ヨーレートD18及び実ヨーレートD22に基づいて、左右各駆動ユニット8の出力トルクに対するフィードバック制御量D24を算出する。具体的には、減算部32が目標ヨーレートD18と実ヨーレートD22との差を算出し、フィードバック量算出部31はその差に基づいてフィードバック量D24を算出する。
【0035】
実ヨーレートD22は、図2に示すヨーレートセンサ12が検出したデータであり、ECU15はヨーレートセンサ12から受け取った実ヨーレートD22をフィードバック制御部30へ供給することになる。また、目標ヨーレートD18は、例えば車速、ステアリング角、ホイールベース、スタビリティーファクター、ステアリングギヤ比などに基づいて、所定の演算式に従ってECU15が算出する。ここで、車速はエンジン1に設けられた車速センサにより検出され、センサ出力データD50の一部としてECU15に送られる。また、ステアリング角はステアリングセンサ11により検出され、検出データD51の一部としてECU15に送られている。また、ホイールベース、スタビリティーファクター、ステアリングギヤ比などは車両毎に異なる定数であり、予めECU15の内部又は外部の記憶部などに記憶されている。
【0036】
加算部50は、フィードフォワード制御部20から出力されるフィードフォワード制御量である目標トルク差Tdと、フィードバック制御部30から出力されるフィードバック制御量D24を加算し、駆動ユニット8に対するトルク制御量TCを算出する。
【0037】
次に、フィードフォワード制御部20による制御について詳しく説明する。図3に示すように、フィードフォワード制御部20は、左右荷重移動量算出部21と、動的コーナリングパワー算出部22と、目標ヨーレート微分値算出部23と、目標左右モータ出力差算出部24とを有する。
【0038】
左右荷重移動量算出部21は、ECU15から供給されるデータ及び車両仕様データに基づいて、内輪と外輪とにかかる車両の荷重の差を示す荷重移動量D16(荷重変化量)を算出し、動的コーナリングパワー算出部22へ供給する。動的コーナリングパワー算出部22は、ECU15から供給されるデータ、車両仕様データ及び左右荷重移動量D16に基づいて、動的コーナリングパワーD17を算出し、目標左右モータ出力差算出部24へ供給する。静的コーナリングパワーは車輪の単位スリップ角に対するコーナリングフォースを示し、動的コーナリングパワーは車両走行中のコーナリングフォースを示す。車両の走行中には、サスペンションによる吸収などにより、操舵に対してギヤ比分だけ車輪が動かないことがあり、その分を考慮して車両走行中のコーナリングパワーを求めたものが動的コーナリングパワーである。
【0039】
一方、ECU15は前述のように所定の演算式に従って目標ヨーレートD18を算出しており、それが目標ヨーレート微分値算出部23へ供給される。目標ヨーレート微分値算出部23は、ECU15から供給された目標ヨーレートD18を微分演算し、その目標ヨーレート微分値D19を目標左右モータ出力値算出部24へ供給する。目標ヨーレート微分値D19は、目標ヨーレートの変化分を示している。目標左右モータ出力差算出部24は、車両仕様データと、目標ヨーレートD19と、動的コーナリングパワーD17とに基づいて左右の駆動ユニット8に対する目標トルク差Tdを算出し、加算部50へ出力する。
【0040】
次に、上記の各部における演算について詳しく説明する。
【0041】
(左右荷重移動量算出部)
左右荷重移動量算出部21は、車両の運動状態を示す値として左右荷重移動量D16を算出する。左右荷重移動量D16の算出において使用される値を図4(a)に示す。なお、各値の括弧内は図3におけるデータに対応している。
【0042】
図4(a)に示す各値のうち、車速v及び車両スリップ角の微分値β’はECU15から入力され、いずれも車両の運動状態に応じて変化する変数である。一方、前後ロール剛性Kφf及びKφr、車両質量m、重心前後間距離Lf及びLr、ホイールベースL、フロントトレッドD、重心点よりロール軸までの距離hsは、それぞれ車両仕様データ記憶部40から読み出される。
【0043】
以下、演算方法について説明する。まず、車両のロール方向の運動方程式として下記の式1が得られる。なお、車両の前後方向をX軸、車幅方向をY軸、路面に対する鉛直方向をZ軸とすると、ロールは車両のX軸方向の中心軸廻りの回転を示す。
【0044】
【数1】
【0045】
ここで、式1の左辺は車両をロールさせるのに必要な力を示し、ロール剛性とロール角との積で与えられる。式1の右辺は車両質量に基づいて得られる力であって、ロール力と釣り合う力を示す。式1をロール角φについて解くと、式2が得られる。
【0046】
【数2】
【0047】
車両がロールした際には、前後輪の左右間に荷重移動が生じる。前輪側の量を前軸上左右荷重移動量Δmfとした場合、X−Z平面内のモーメントの釣り合いにより式3が得られる。
【0048】
【数3】
【0049】
式3を前軸上荷重移動量Δmfについて解くと式4が得られる。
【0050】
【数4】
【0051】
式2を式4に代入してロール角φを消去することにより、前軸上荷重移動量Δmfが以下のように得られる。
【0052】
【数5】
【0053】
ここで、前述のように車両スリップ角の微分値β’及び車速vは車両の運動状態によって時々刻々と変化する変数であるので、前軸上荷重移動量Δmfも車両の運動状態に応じて変化する。また、同様に後軸上荷重移動量Δmrも算出される。
【0054】
(動的コーナリングパワー)
次に、動的コーナリングパワー算出部22について説明する。動的コーナリングパワー算出部22は、車両の前後左右の4輪各々についての動的コーナリングパワーを算出する。前述のように、コーナリングパワーとは単位スリップ角当りのコーナリングフォースであり、動的コーナリングパワーは車両の走行時のコーナリングパワーである。
【0055】
動的コーナリングパワーの算出において使用される値を図4(b)に示す。なお、各値の括弧内は図3におけるデータに対応している。ECU15から動的コーナリングパワー算出部22へは、路面摩擦係数μ、制動駆動前後配分比α、及び、前後加速度gxが入力される。また、左右荷重移動量算出部21からは前軸荷重移動量Δmf及び後軸荷重移動量Δmrが入力される。さらに、車両使用データ記憶部40からは、正規化コーナリングパワー、前後静的コーナリングパワー、重心前軸間距離Lf、重心後軸間距離Lr、ホイールベースL、前輪コーナリングパワー増幅率e1、後輪コーナリングパワー増幅率e2、重心高h、及び前輪動荷重半径が入力される。
【0056】
次に、動的コーナリングパワーの演算方法について説明する。前輪左右の動的コーナリングパワーをK'f1及びK'f2とし、後輪左右の動的コーナリングパワーをK'r1及びK'r2とすると、それらは式6〜式9により得られる。
【0057】
【数6】
【0058】
前左輪の動的コーナリングパワーK'f1を与える式6において、中括弧{}内の第1項は正規化コーナリングパワーと前軸荷重移動量Δmfとの積であり、前軸の左右方向の荷重移動により生じるコーナリングパワー成分を示す。第2項は、正規化コーナリングパワーと前後荷重移動量の積の1/2であり、前軸の前後方向の荷重移動により生じるコーナリングパワー成分を示す。なお、1/2を乗算しているのは、左右輪に均等に配分されると仮定しているからである。また、第3項は路面摩擦係数による制動駆動力を示す項であり、1/2を乗算しているのは左右輪に均等に配分するためである。よって、式6において、Kf1と中括弧内の式との乗算によりコーナリングパワーが算出され、それに前輪コーナリングパワー増幅率e1を乗算することにより、左前輪の動的コーナリングパワーK'f1が算出される。なお、コーナリングパワー増幅率は、サスペンションによる吸収などを考慮した場合の、静的コーナリングパワーから動的コーナリングパワーへの変換係数に相当する。
【0059】
ここで、式6〜式9に含まれる値のうち、静的前軸重mf、静的後軸重mr、前輪制動駆動力Xf、後輪制動駆動力Xr及び前後荷重移動量Δmはそれぞれ以下の式10〜式14により与えられる。
【0060】
【数7】
【0061】
静的前軸重mf及び静的後軸重mrは、それぞれ車両の前輪及び後輪に対する荷重バランスを示し、車両質量mを前軸及び後軸と重心との軸間距離で比例配分して得ている。前輪制動駆動力Xf及び後輪制動駆動力Xrはそれぞれ前輪及び後輪の制動駆動力を示し、車両質量mと前後加速度gxの積を制動駆動前後配分比αにより配分して得ている。なお、制動駆動前後配分比αは、例えば車両の制動中はエンジン回転数、トルク、ギヤ比などに基づいて演算により求めることができ、制動中以外は所定の制動力配分比のマップなどを参照して求めることができる。また、前後荷重移動量Δmは、重心高hと車両質量mと前後加速度gxとの積により得られる。
【0062】
こうして、式10〜式14で与えられる各値を式6〜式9に代入することにより、前後左右4輪についての動的コーナリングパワーが以下のように得られる。
【0063】
【数8】
【0064】
これら動的コーナリングパワーの値は、図3におけるデータD17として、目標左右モータ出力差算出部24へ入力される。
【0065】
(目標左右モータ出力差)
次に、目標左右モータ出力差算出部24について説明する。目標左右モータ出力差とは、左右の駆動ユニット8内の電動モータに要求されるトルク差を示す。目標左右モータ出力差の算出において使用される値を図5(a)に示す。なお、各値の括弧内は図3におけるデータに対応している。図3及び5(a)に示すように、目標左右モータ出力差算出部24へは、目標ヨーレート微分値算出部23から目標ヨーレートの微分値Yr_st’が入力され、車両仕様データ記憶部40からはフロントトレッドD、重心前後軸間距離Lf及びLrなどが入力され、ECU15からは実ヨーレートD22、車両スリップ角D1などが入力される。
【0066】
次に、算出方法について説明する。車両のヨー方向のモーメントの釣り合いにより、式19が得られる。
【0067】
【数9】
【0068】
ここで、右辺第1項は、前輪の動的コーナリングパワーKf'に基づいて求めた前輪のコーナリングフォースによるモーメントである。同様に、右辺第2項は後輪の動的コーナリングパワーKr'に基づいて求めた後輪のコーナリングフォースによるモーメントである。また、右辺第3項は、駆動ユニット8により発生するモーメントであり、左右の前輪の必要駆動力Flx及びFrxによるモーメントについて車輪の操舵分を示している。
【0069】
ここで、前輪の動的コーナリングパワーKf'及び後輪の動的コーナリングパワーKr'は、それぞれ前述の動的コーナリングパワー算出部22により得た4輪の動的コーナリングパワーの前輪側及び後輪側の和であり、式20及び式21により与えられる。
【0070】
【数10】
【0071】
また、式19における前輪スリップ角βf及び後輪スリップ各βrは、それぞれ式22及び式23により与えられる。
【0072】
【数11】
【0073】
ここで、前輪スリップ角βfは、車両スリップ角βと実ヨーレートによるスリップ角の前輪側成分の和から、操舵分を減算したものである。なお、操舵分は、運転者のステアリング操作に応じたハンドル角θをステアリングギア比nで除算することにより得られる。後輪スリップ角βrは、車両スリップ角βと、実ヨーレートによるスリップ角の後輪側成分との差である。式20〜式23を式19に代入し、整理すると、式24が得られる。式24より、目標ヨーレートはハンドル角θの関数となることがわかる。
【0074】
【数12】
【0075】
本実施例の車両では、旋回時に電動式モータを備える駆動ユニット8を利用して、旋回内輪でブレーキ、即ち回生を行い、旋回外輪で駆動、即ち力行を行う。この際、エネルギーの持ち出しを行わないよう、回生エネルギーで力行を行うためには、回生と力行の収支を0とすることが必要となる。そこで、左前輪必要駆動力Flxと右前輪必要駆動力Frxとの間には、式25が成立することとなる。
【0076】
【数13】
【0077】
式24と式25から左前輪必要駆動力Flx及び右前輪必要駆動力Frxを求めると、式26及び式27が得られる。
【0078】
【数14】
【0079】
ここで、モータギヤ比をnmo、前輪動荷重半径をrfとし、左右の前輪必要駆動力Flx及びFrxから必要左モータトルクTq_mo_rq_l及び必要右モータトルクTq_mo_rq_rを算出すると、式28及び式29が得られる。よって、目標左右モータ出力算出部24から出力される左右モータの目標トルク差Tdは式30で与えられる。
【0080】
【数15】
【0081】
こうして得られた左右モータの目標トルク差Tdは、図3に示す加算部50へ入力され、フィードバック量算出部31から出力されたフィードバック制御量D24と加算されて、トルク制御量TCが算出される。そして、図2に示すように、モータCPU200は、トルク制御量TCL及びTCRの一方として「+TC」を、他方として「−TC」を左右の駆動ユニット8へ供給し、駆動ユニット8のトルク制御を行う。式26乃至式30から理解されるように、左右の駆動ユニット8へ供給されるトルク制御量はハンドル角θを含むので、運転者のステアリング操舵に応じた的確なトルク制御量が算出され、それにより左右の駆動ユニットのトルク制御が行われることになる。
【0082】
次に、図6を参照して、上述の本実施例による駆動ユニットの制御の流れを説明する。図6は、上述のモータCPU200による駆動ユニットの制御フローチャートである。なお、この制御は、車両の走行中に、上述のモータCPU200により繰り返し実行される。
【0083】
図6において、まず、モータCPU200はECU15から車両の運動モデルに関するデータ、具体的には車両スリップ角D1、車両スリップ角の微分値D2、目標ヨーレートD18などを読み込む(ステップS1)。次に、モータCPU200内の目標ヨーレート微分値算出部23は、目標ヨーレートの微分値D19を算出する(ステップS2)。
【0084】
次に、モータCPU200内の左右荷重移動量算出部21は、ECU15から得たデータ及び車両仕様データ記憶部40から得たデータを使用して、前述の左右加重移動量を算出する(ステップS3)。次に、モータCPU200内の動的コーナリングパワー算出部22は、同様にECU15から得たデータ、車両仕様データ記憶部40から得たデータ及び左右加重移動量算出部21から得た左右荷重移動量に基づいて、動的コーナリングパワーを算出する(ステップS4)。そして、モータCPU200内の目標左右モータ出力算出部24は、動的コーナリングパワー及び必要な車両仕様データに基づいて、左右モータの目標トルク差を算出する(ステップS5)。
【0085】
一方、モータCPU200内のフィードバック制御部30では、フィードバック制御量が算出されているので、モータCPU200は、フィードフォワード制御量である左右モータ出力差Tdとフィードバック制御量D24とを加算し、各駆動ユニット8のトルク制御量TCL及びTCRを算出して、各駆動ユニット8へ供給する(ステップS6)。
【0086】
車両の走行中に以上の制御を繰り返し実行することにより、車両の運動状態に応じたトルク制御量を駆動ユニットに与えることができ、電気モータなどを搭載する駆動ユニットにより走行中、特に旋回時などの走行安定性を確保することができる。
【0087】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について説明する。上記の第1実施例では、本発明による制御を左右前輪に独立な駆動ユニットを備える車両に適用した。この駆動ユニットは例えば電動モータなどを備え、左右輪に独立に駆動力を与えるものであった。しかし、本発明による制御の適用は必ずしも駆動ユニットの制御には限定されず、左右輪に対して与えられるトルクを独立に制御できる構成であれば、電動モータなどのように独立に駆動力を発生することは必須ではない。よって、例えば単一動力源からの左右輪へのトルク配分を制御可能なトルク配分調整機構などを備える車両に本発明を適用することも可能である。
【0088】
図7に、第2実施例に係るトルク配分調整機構を備える車両の概略構成を示す。図7に示す車両500は、フルタイムの4WD車両であり、エンジン51の出力はトランスミッション53を介してセンタデフ54Cに伝達される。センタデフ54Cからは、図示しないサイドギヤを介して動力がフロントデフ54Fへ伝達されるとともに、別のサイドギヤからプロペラシャフト4などを介して動力がリアデフ54Rへ伝達される。リアデフ54Rは、左右輪用クラッチ62L及び62Rを備え、これらのクラッチ62L及び62Rを制御することにより、リアデフ54Rへ入力された動力の左右輪57L及び57Rへのトルク配分を調整することができる。
【0089】
ECU15は、モータCPU200aに接続されている。ECU15は前述の実施例と同様に構成することができる。また、モータCPU200aは、油圧ユニット70に接続されており、油圧ユニット70には方向弁71と比例弁72が設けられる。モータCPU200aは、以下に説明する手法により、車両の運動モデルに基づいて、トルク移動量x及びトルク移動方向xDを算出し、油圧ユニット70へ供給する。油圧ユニット70では、モータCPU200aから与えられたトルク移動量xに基づいて比例弁72を制御するとともに、トルク移動方向xDに基づいて方向弁71を制御し、トルク配分調整機構54R内のクラッチ62L及び62Rを油圧制御する。これにより、車両の運動モデルに基づいて、エンジン1から左右後輪57L及び57Rに伝達されるトルクを左右独立に制御することができる。
【0090】
次に、第2実施例においてモータCPU200aが実行するトルク移動量及びトルク移動方向の算出方法について説明する。第2実施例でモータCPU200aが実行する演算は、上記の第1実施例においてモータCPU200が実行する演算と類似しており、その内部構成は基本的に図3に示すモータCPU200と同様である。但し、図3における目標左右モータ出力差算出部24の代わりに、トルク移動量及びトルク移動方向の算出部が設けられる。
【0091】
具体的には、まず左右荷重移動量算出部21が前述と同様の方法により、前輪及び後輪について左右荷重移動量を算出する。また、その左右荷重移動量に基づいて、動的コーナリングパワー算出部22が動的コーナリングパワーを算出する。さらに、目標ヨーレート微分値算出部23も同様に目標ヨーレートの微分値を算出する。ここまでの処理は、第1実施例と同様である。
【0092】
次に、トルク移動量及びトルク移動方向の算出部が以下のようにして、トルク移動量x及びトルク移動方向xDを算出する。なお、トルク移動量及び移動方向の算出部が演算に使用する値を図5(b)に示している。
【0093】
まず、車両のヨー方向のモーメントの釣り合いにより、式31が得られる。
【0094】
【数16】
【0095】
ここで、右辺第1項は、前輪の動的コーナリングパワーKf'に基づいて求めた前輪のコーナリングフォースによるモーメントであり、右辺第2項は後輪の動的コーナリングパワーKr'に基づいて求めた後輪のコーナリングフォースによるモーメントである。また、右辺第3項は、後輪の駆動力により発生するモーメントであり、左右の後輪の必要駆動力Flx及びFrxによるモーメントについて車輪の操舵分を示している。
【0096】
ここで、前輪の動的コーナリングパワーKf'及び後輪の動的コーナリングパワーKr'は、それぞれ前述の動的コーナリングパワー算出部22により得た4輪の動的コーナリングパワーの前輪側及び後輪側の和であり、式32及び式33により与えられる。
【0097】
【数17】
【0098】
また、式31における前輪スリップ角βf及び後輪スリップ各βrは、それぞれ式34及び式35により与えられる。
【0099】
【数18】
【0100】
式32〜式35を式31に代入し、整理すると式36が得られる。
【0101】
【数19】
【0102】
ここまでの演算は基本的に第1実施例の場合と同様である。
【0103】
本実施例では、車両はフルタイム4WDであるので、後輪での駆動力を有する。リアデフ54Rへの入力トルクをTinとすると、必要左右後輪駆動力の和との関係が式37で与えられる。なお、この式37は、第1実施例において回生/力行の収支を規定した式25の代わりとなるものである。
【0104】
【数20】
【0105】
式36と式37をFrx及びFlxについて解き、必要後輪左右駆動力を算出すると、式38及び式39を得る。
【0106】
【数21】
【0107】
今、リアデフ54Rの出力側の左右トルクをそれぞれTl、Trとし、左右のトルク移動量をxとすると、式40〜42が得られる。
【0108】
【数22】
【0109】
そこで、式40及び式41をxについて解くと式43が得られ、Tl及びTrを消去して整理すると、トルク移動量xは式44として得られる。
【0110】
【数23】
【0111】
こうして、左右のトルク移動量が得られる。また、トルク移動方向xDについては、x>0であれば左旋回、x<0であれば右旋回となる。
【0112】
モータCPU200aは、こうして得られたトルク移動量x及びトルク移動方向xDを油圧ユニット70へ入力する。油圧ユニット70は、トルク移動量xに基づいて比例弁72を制御し、トルク移動方向xDに基づいて方向弁71を制御することにより、リアデフ54のトルク配分調整を行う。
【0113】
以上のように、第2実施例によれば、車両の前輪又は後輪に電動モータなどの駆動ユニットが設けられていない場合でも、トルク配分を調整する機構が設けられている車両の場合は、本発明を同様に適用し、車両の運動モデルに基づいて車両の走行を制御することができる。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、車両の運動モデルに基づいて、左右輪のトルクを独立に制御するので、運転者の操舵に対する車両の応答遅れを少なくし、舵の操作に対する車両の追従性を向上させることができる。即ち、トルクの制御量を予め用意したマップなどを利用して算出する制御方法と比較して、制御の実行に要する時間を短くすることができる。例えば、操舵初期時にはサスペンションのブッシュなどのたわみによりタイヤが横力を発生させるまで無駄な時間が生じ、操舵に対する車両の応答は遅れる傾向にあるが、本発明によりそのような遅れを解消することが可能である。また、雪道など、タイヤが横力を発生させにくい状況下で操舵を行った場合車両はアンダーステア状態となりやすいが、本発明によりアンダーステア状態を解消し、運転者の意図通り車両を旋回させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る車両の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す車両の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図3】モータCPUの内部構成を示すブロック図である。
【図4】左右荷重移動量及び動的コーナリングパワーの算出に使用される値を示す。
【図5】目標左右モータ出力差及びトルク移動量の算出に使用される値を示す。
【図6】第1実施例による駆動ユニットの制御フローチャートである。
【図7】第2実施例に係る車両の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
3 トランスミッション
7 後輪
8 駆動ユニット
10 前輪
15 ECU
20 フィードフォワード制御部
30 フィードバック制御部
40 車両仕様データ記憶部
100、500 車両
200 モータCPU
Claims (7)
- 動力源と、前記動力源からの駆動力を左右輪で独立に制御可能な駆動部とを備える車両の制御装置において、
実ヨーレートが目標ヨーレートと一致するように前記左右輪の駆動力を制御する制御部を備え、前記制御部は制御量を前記車両の運動モデルに基づいて求めるフィードフォワード制御部を有し、
前記駆動部は、前記左右輪に独立に設けられ、モータを有する左右の駆動ユニットであり、
前記フィードフォワード制御部は、前記車両の運動状態に基づいて左右荷重変化量を求め、求めた左右荷重変化量に基づいて動的コーナリングパワーを求め、求めた動的コーナリングパワー及び前記目標ヨーレートの微分値に基づいて前記左右の駆動ユニットに与えられる目標トルク差を求め、前記目標トルク差を前記制御量とすることを特徴とする車両の制御装置。 - 前記フィードフォワード制御部は、前記左右の駆動ユニットの回生及び力行によるエネルギーの収支がゼロとなるように前記制御量を求めることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
- 運転者が操舵する操舵装置を備え、前記制御部は前記操舵装置の操作量に基づいて前記制御量を求めることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記駆動部は、前記制御量に基づいて前記左右輪の駆動力を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記制御部はさらにフィードバック制御部を備え、前記制御量は前記フィードフォワード制御部が出力する制御量と前記フィードバック制御部が出力する制御量の和であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
- 動力源と、前記動力源からの駆動力を左右輪で独立に制御可能な駆動部とを備える車両の制御装置において、
実ヨーレートが目標ヨーレートと一致するように前記左右輪の駆動力を制御する制御部を備え、前記制御部は制御量を前記車両の運動モデルに基づいて求めるフィードフォワード制御部を有し、
前記駆動部は、単一の駆動力によるトルクの前記左右輪に対する配分を調整するトルク配分調整機構を備え、
前記フィードフォワード制御部は、前記車両の運動状態に基づいて左右荷重変化量を求め、求めた左右荷重変化量に基づいて動的コーナリングパワーを求め、求めた動的コーナリングパワー及び前記目標ヨーレートの微分値に基づいて前記左右輪間に配分されるトルクの移動量及び移動方向を求め、前記トルクの移動量及び前記移動方向を前記制御量とすることを特徴とする車両の制御装置。 - 動力源と、前記動力源からの駆動力を左右輪で独立に制御可能な駆動部とを備える車両の制御装置において、
実ヨーレートが目標ヨーレートと一致するように前記左右輪の駆動力を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記車両の旋回方向に対して付勢される制御量を、前記車両の運動モデルに基づいて求めるフィードフォワード制御部を有し、
前記フィードフォワード制御部は、前記車両の運動状態に基づいて左右荷重変化量を求め、求めた左右荷重変化量に基づいて動的コーナリングパワーを求めて、前輪の前記動的コーナリングパワーが大きい場合には小さい場合に比して前記制御量を小さくし、後輪の前記動的コーナリングパワーが大きい場合には小さい場合に比して前記制御量を大きくすることを特徴とする車両の制御装置。
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