JP3892551B2 - 車両運動制御装置 - Google Patents

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G2800/00Indexing codes relating to the type of movement or to the condition of the vehicle and to the end result to be achieved by the control action
    • B60G2800/24Steering, cornering
    • B60G2800/242Obstacle avoidance manoeuvre
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G2800/00Indexing codes relating to the type of movement or to the condition of the vehicle and to the end result to be achieved by the control action
    • B60G2800/70Estimating or calculating vehicle parameters or state variables

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、障害物の回避を回避前から回避後までを考慮して適切に行わせる車両運動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の走行性能を向上させるために様々な車両の制御装置が開発・実用化されている。コーナリング等の際に車両にはたらく力の関係からコーナリング中に制動力を適切な車輪に加えて走行安定性を向上させる制動力制御装置、車両の走行状態に応じて後輪の操舵を制御する後輪操舵制御装置、車両の走行状態を基に左右輪間の差動制限力を制御する左右輪差動制限制御装置、車両の走行状態を基に前後輪間のセンターディファレンシャル装置の差動制限力を制御して前後輪間で所定にトルク配分を行う動力配分制御装置がその例である。
【0003】
例えば、特開平2−70561号公報に示される制動力制御装置では、目標ヨーレートと実際のヨーレート(実ヨーレート)とを比較し、車両の運動状態が目標ヨーレートに対しアンダーステアの傾向かオーバーステアの傾向かを求め、実ヨーレートと目標ヨーレートとが一致するように、アンダーステア傾向の場合には内側車輪に制動力を加え補正し、オーバーステア傾向の場合には外側車輪に制動力を加え補正して車両の走行安定性を向上させるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の各車両の制御装置では、現在の走行状態に基づく制御であるため、不安定な走行状態が発生したら、これを安定させようと制御するもので、不安定な走行の発生を予測するものではないため、その不安定な走行の発生を防止することは困難であった。
【0005】
例えば、従来の各車両の制御装置では、前方に障害物が存在する場合、この前方障害物に対応する運転は全てドライバに委ねられており、ドライバによる操作が不適切なまま、車両が障害物の回避走行に移行した場合は不安定な車両挙動が発生した際から上記各車両の制御装置が動作することになり、制御が遅れることになる。
【0006】
特に、障害物の回避走行においては、障害物を回避する際と障害物の回避後に元の車両姿勢に戻る操作が短時間に必要とされ、これら操作を容易に安定して自然に行えるようにする必要がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両に対する障害物を事前に判断し、今後の走行状態と現在の走行状態に応じて各車両の制御装置が適切に動作して、障害物の回避走行を適切に行うことができる車両運動制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の本発明による車両運動制御装置は、走行路前方の障害物を認識する障害物認識手段と、車両の前後輪間と左右輪間の少なくとも一つの差動制限力を制御する差動制限制御手段と、認識した前方障害物が自車両予め設定しておいた距離内にある際は上記差動制限制御手段を予め設定しておいた回頭性向上時の差動制限力に変更させるとともに、上記認識した前方障害物が上記自車両の上記設定距離内にない際は、前輪舵角と実際に発生しているヨーレートの少なくとも一方が所定に収束した場合には上記差動制限制御手段を予め設定しておいた安定性向上時の差動制限力に変更させる差動制限制御変更手段とを備えたものである。
【0014】
上記請求項記載の車両運動制御装置は、障害物認識手段で走行路前方の障害物を認識する。また、差動制限制御手段は車両の前後輪間と左右輪間の少なくとも一つの差動制限力を制御する。ここで、差動制限制御変更手段は、認識した前方障害物が自車両の予め設定しておいた距離内にある際は上記差動制限制御手段を予め設定しておいた回頭性向上時の差動制限力に変更させるとともに、上記認識した前方障害物が上記自車両の上記設定距離内にない際は、前輪舵角と実際に発生しているヨーレートの少なくとも一方が所定に収束した場合には上記差動制限制御手段を予め設定しておいた安定性向上時の差動制限力に変更させる。
【0015】
また、請求項記載の本発明による車両運動制御装置は、請求項記載の車両運動制御装置において、上記差動制限制御手段が上記車両の左右輪間の差動制限力を制御する左右輪差動制限制御手段の場合に上記差動制限制御手段を上記予め設定しておいた回頭性向上時の差動制限力に変更するには左右輪間の差動制限力を低下させることにより行うとともに、上記差動制限制御手段を上記予め設定しておいた安定性向上時の差動制限力に変更させるには左右輪間の差動制限力を強めることにより行う。
【0016】
さらに、請求項記載の本発明による車両運動制御装置は、請求項記載の車両運動制御装置において、上記差動制限制御手段が上記車両の前後輪間の差動制限力を制御する前後輪差動制限制御手段の場合に上記差動制限制御手段を上記予め設定しておいた回頭性向上時の差動制限力に変更するには前後輪間の動力配分が後輪側に偏重したトルク配分に差動制限力を制御する一方、上記差動制限制御手段を上記予め設定しておいた安定性向上時の差動制限力に変更させるには前後輪間の動力配分が等トルク配分側に差動制限力を制御する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図5は本発明の実施の第1形態を示し、図1は車両における車両運動制御装置全体の概略説明図、図2は制動力制御部の機能ブロック図、図3は横すべり角αに対応するヨーレート偏差補正値Δγ' の一例を示す説明図、図4は制動力制御による車両の動作の説明図、図5は車両挙動制御変更部における制御のフローチャートである。
【0018】
図1において、符号1はセンターディファレンシャル装置および自動変速装置を有する4輪駆動車を一例とする車両を示し、車両前部に配置されたエンジン2による駆動力は、このエンジン2後方の自動変速装置(トルクコンバータ等も含んで図示)3からトランスミッション出力軸3aを経てセンターディファレンシャル装置4に伝達され、このセンターディファレンシャル装置4から、リヤドライブ軸5、プロペラシャフト6、ドライブピニオン7を介して後輪終減速装置8に入力される一方、上記センターディファレンシャル装置4から、フロントドライブ軸9を介して前輪終減速装置10に入力されるように構成されている。ここで、上記自動変速装置3、センターディファレンシャル装置4および前輪終減速装置10等は、一体に図示しないケース内に設けられている。
【0019】
上記後輪終減速装置8に入力された駆動力は、後輪左ドライブ軸11rlを経て左後輪12rlに、後輪右ドライブ軸11rrを経て右後輪12rrに伝達される一方、上記前輪終減速装置10に入力された駆動力は、前輪左ドライブ軸11flを経て左前輪12flに、前輪右ドライブ軸11frを経て右前輪12frに伝達されるようになっている。
【0020】
一方、符号13は、車両1の後輪操舵部を示し、この後輪操舵部13には、後述する後輪操舵制御部40により制御されるモータ駆動部14で駆動される後輪操舵モータ15が設けられており、この後輪操舵モータ15による動力が、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して伝達され、上記左後輪12rl,右後輪12rrを転舵するようになっている。
【0021】
符号16は車両のブレーキ駆動部を示し、このブレーキ駆動部16には、ドライバにより操作されるブレーキペダル17と接続されたマスターシリンダ18が接続されており、ドライバが上記ブレーキペダル17を操作すると上記マスターシリンダ18により、上記ブレーキ駆動部16を通じて、4輪12fl,12fr,12rl,12rrの各ホイールシリンダ(左前輪ホイールシリンダ19fl,右前輪ホイールシリンダ19fr,左後輪ホイールシリンダ19rl,右後輪ホイールシリンダ19rr)にブレーキ圧が導入され、これにより4輪にブレーキがかかって制動されるように構成されている。
【0022】
上記ブレーキ駆動部16は、加圧源、減圧弁、増圧弁等を備えたハイドロリックユニットで、入力信号に応じて、上記各ホイールシリンダ19fl,19fr,19rl,19rrに対して、それぞれ独立にブレーキ圧を導入自在に形成されている。
【0023】
上記各車輪12fl,12fr,12rl,12rrは、それぞれの車輪速度が車輪速度センサ(左前輪速度センサ21fl,右前輪速度センサ21fr,左後輪速度センサ21rl,右後輪速度センサ21rr)により検出されるようになっており、これら車輪速度の信号は、車両の挙動を制御する車両挙動制御手段としての上記後輪操舵制御部40と制動力制御部50に入力されるようになっている。
【0024】
また、ハンドル角センサ22、ヨーレートセンサ23、横加速度センサ24、後輪舵角センサ25からの各信号が得られるようになっており、上記ハンドル角センサ22、ヨーレートセンサ23からの信号は共に上記後輪操舵制御部40と制動力制御部50に、上記横加速度センサ24からの信号は上記制動力制御部50に、上記後輪舵角センサ25からの信号は上記後輪操舵制御部40に入力されるようになっている。
【0025】
上記後輪操舵制御部40は、上述の如く、上記各車輪速度センサ21fl,21fr,21rl,21rr,ハンドル角センサ22,後輪舵角センサ25とヨーレートセンサ23の各センサ信号が入力されると共に、後述する車両挙動制御変更部70からの制御信号が入力され、これら各信号に基づき必要な後輪舵角を演算し、前記モータ駆動部14に対して駆動信号を出力するようになっている。
【0026】
上記後輪操舵制御部40では、例えば各車輪速度の値から車速Vを演算し、この車速Vと、ハンドル角θf、ヨーレートγとを用い予め所定の制御則に基づいて目標とする後輪舵角δr'を算出し、現在の後輪舵角δrと比較して必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部13のモータ駆動部14に出力し、前記後輪操舵モータ15を駆動させるようになっている。そして、上記車両挙動制御変更部70からの制御信号に応じ、所定に、前輪舵角とヨーレートに対する後輪舵角の同相操舵量を大きく設定する補正が行われるようになっている。
【0027】
上記後輪操舵制御部40で行われる制御をさらに詳述すると、この後輪操舵制御部40に設定されている制御則は、例えば本発明の実施の第1形態では周知の「ハンドル角逆相+ヨーレート同相制御則」を基本制御則とするもので以下の(1)式で与えられる。
δr'=−kδ0・f1・(θf/N)+kγ0・f2・γ …(1)
ここで、kδ0はハンドル角感応ゲイン、kγ0はヨーレート感応ゲイン、Nはステアリングギヤ比である。
【0028】
上記ヨーレート感応ゲインkγ0は、ヨーレートγを減少させるように後輪の操舵量を定める係数になっている。また、上記ハンドル角感応ゲインkδ0は、操舵回頭性を与えるように後輪の操舵量を定める係数になっている。
【0029】
すなわち、上記ヨーレート感応ゲインkγ0はヨーレートγに対して同相に後輪を操舵するよう与えられており、ヨーレート感応ゲインkγ0が大きいほど車両は旋回せずに斜めに進む傾向が強くなり、ヨーレートγの発生を防ぐことができる。換言すれば回頭性が減少し、安定性が向上した車両特性になる。このようにヨーレート感応ゲインkγ0は、発生したヨーレートγに対してどのくらい後輪に対して操舵量を与えてやれば、ヨーレートγの発生を防ぐことができるかの係数とみなすことができる。
【0030】
しかしながら、ヨーレート感応ゲインkγ0だけでは、旋回することのできない車両となってしまう。これを防止するためハンドル角感応ゲインkδ0が設定される。すなわちハンドル角θfに対して後輪を逆相に操舵させることで車両の回頭性を向上させるのである。ハンドル角θfに対してハンドル角感応ゲインkδ0の項の方が大きくなるよう設定することで車両は旋回する。但し、ステアリングをニュートラルの状態に戻すことで、制御則はヨーレート感応ゲインkγ0の項だけとなるため、旋回終了後はヨーレートγを無くす方向(車両のふらつきを無くす方向)に後輪が操舵される。
【0031】
また、ハンドル角感応ゲインkδ0は、前輪と後輪のコーナリングパワに基づき算出されるため、車速が一定値以上ではハンドル角感応ゲインkδ0の値は変化しない。但し、車速が0に近い状態では、後輪の据え切りを防止するため、ハンドル角感応ゲインkδ0は小さい値に設定されている。
【0032】
上述のように設定されているハンドル角感応ゲインkδ0とヨーレート感応ゲインkγ0に対し、本発明の実施の第1形態では、上記車両挙動制御変更部70からの制御信号の入力により、上記ハンドル角感応ゲインkδ0については後輪舵角補正値f1を乗じることで補正することが可能なように、上記ヨーレート感応ゲインkγ0については後輪舵角補正値f2を乗じることで補正することが可能なようになっている。
【0033】
すなわち、上記ハンドル角感応ゲインkδ0については、後輪舵角補正値f1を乗じることで、その絶対値が小さくなるように補正され、ハンドル角θfに対して通常より後輪が逆相に操舵されることを減少させて車両の回頭性が向上されることを抑制するようになっている。
【0034】
また、上記ヨーレート感応ゲインkγ0については、後輪舵角補正値f2を乗じることで、通常より大きくなるように補正され、ヨーレートγに対して後輪は同相に大きくされて車両の回頭性が向上されることを抑制するようになっている。
【0035】
尚、車両によってはハンドル角感応ゲインkδ0の補正とヨーレート感応ゲインkγ0の補正の一方のみを行うようにしても効果が得られることはいうまでもない。
【0036】
前記制動力制御部50は、車両の走行状態を基に制動力を所定の選択した車輪に加えて制御するもので、例えば、本出願人が特開平9−76894号公報で先に提案した制動力制御装置により形成されている。
【0037】
すなわち、この制動力制御部50は、図2に示すように、車速算出部51,操舵角算出部52,目標ヨーレート定常ゲイン算出部53,目標ヨーレート算出部54,予測ヨーレート定常ゲイン算出部55,予測ヨーレート算出部56,目標ヨーレート微分演算部57,予測ヨーレート微分演算部58,ヨーレート微分偏差算出部59,第1の目標制動力算出部60,ヨーレート偏差算出部61,第2の目標制動力算出部62,最終目標制動力算出部63,制動輪判別部64,出力判定部65および制動信号出力部66から主要に構成されている。
【0038】
上記車速算出部51は、前記各車輪速度センサ21fl,21fr,21rl,21rrからの車輪速度の信号が入力され、これらの信号を予め設定しておいた数式で演算して(例えば、上記各車輪速度センサ21fl,21fr,21rl,21rrからの速度信号の平均値を算出して)車速Vを求め、上記目標ヨーレート定常ゲイン算出部53,予測ヨーレート定常ゲイン算出部55および上記第2の目標制動力算出部62に出力するように形成されている。
【0039】
また、上記操舵角算出部52は、前記ハンドル角センサ22からの信号が入力され、ハンドル角θfをステアリングギア比Nで除して実舵角δf (=θf/N)を算出し、上記目標ヨーレート算出部54,予測ヨーレート算出部56および上記第2の目標制動力算出部62に出力するように形成されている。
【0040】
さらに、上記目標ヨーレート定常ゲイン算出部53は、予め設定しておいた式に基づき、車両の定常円旋回時の実舵角δf に対するヨーレートの値(目標ヨーレート定常ゲインGγδf(0))を求めるものであり、算出した目標ヨーレート定常ゲインGγδf(0)は、上記目標ヨーレート算出部54と上記第2の目標制動力算出部62に出力される。ここで、ホイールベースをL,車両の諸元で決まるスタビリティファクタをA0 とすると、目標ヨーレート定常ゲインGγδf(0)は以下の式で算出される。
Gγδf(0)=1/(1+A0 ・V2 )・V/L …(2)
また、上記スタビリティファクタA0 は、車両質量をm,前軸と重心間の距離をLf ,後軸と重心間の距離をLr ,フロント等価コーナリングパワーをCPf ,リア等価コーナリングパワーをCPr とすると次式で求められる。
Figure 0003892551
また、上記目標ヨーレート算出部54は、上記操舵角算出部52からの実舵角δf と、上記目標ヨーレート定常ゲイン算出部53からの目標ヨーレート定常ゲインGγδf(0)を基に、車両の応答遅れを考慮して目標ヨーレートγ' を算出し、この目標ヨーレートγ' を上記目標ヨーレート微分演算部57と上記ヨーレート偏差算出部61に出力するように形成されている。
目標ヨーレートγ' の算出は、時定数をT,ラプラス演算子をsとして、
γ' =1/(1+T・s)・Gγδf(0)・δf …(4)
で得られる。尚、上記(4)式は、2次系で表現される車両の応答遅れを1次系に近似した式であり、またTは時定数で、例えば下式で得られる。
T=m・Lf ・V/2・L・CPr …(5)
さらに、上記予測ヨーレート定常ゲイン算出部55は、予め設定しておいた式に基づき、低μ路走行での予測される車両の定常円旋回時の実舵角δf に対するヨーレートの値(予測ヨーレート定常ゲインGγδf(0)LOW )を求めるようになっており、算出した予測ヨーレート定常ゲインGγδf(0)LOW は、上記予測ヨーレート算出部56に出力される。ここで、車両の諸元で決まる低μ路走行でのスタビリティファクタをA0LOWとすると、予測ヨーレート定常ゲインGγδf(0)LOW は以下の式で算出される。
Gγδf(0)LOW =1/(1+A0LOW・V2 )・V/L …(6)
また、上記低μ路スタビリティファクタA0LOWは、低μ路でのフロント等価コーナリングパワーをCPfLOW,低μ路でのリア等価コーナリングパワーをCPrLOWとすると次式で求められる。
Figure 0003892551
また、上記予測ヨーレート算出部56は、上記操舵角算出部52からの実舵角δf と、上記予測ヨーレート定常ゲイン算出部55からの予測ヨーレート定常ゲインGγδf(0)LOW を基に、車両の応答遅れを考慮して低μ路での予測ヨーレートγ'LOWを算出し、この予測ヨーレートγ'LOWを上記予測ヨーレート微分演算部58に出力するように形成されている。低μ路における予測ヨーレートγ'LOWの算出は、時定数をTLOW として、
γ'LOW=1/(1+TLOW ・s)・Gγδf(0)LOW ・δf …(8)
で得られる。尚、上記(8)式は、2次系で表現される車両の応答遅れを1次系に近似した式であり、時定数TLOW は、例えば下式で得られる。
TLOW =m・Lf ・V/2・L・CPrLOW …(9)
さらに、上記目標ヨーレート微分演算部57は、上記目標ヨーレート算出部54で算出した目標ヨーレートγ' の微分値(目標ヨーレート微分値)Sγ' を算出するもので、また、上記予測ヨーレート微分演算部58は、上記予測ヨーレート算出部56で算出した予測ヨーレートγ'LOWの微分値(予測ヨーレート微分値)Sγ'LOWを算出するように形成されている。
【0041】
上記目標ヨーレート微分演算部57で算出される目標ヨーレート微分値Sγ' と、上記予測ヨーレート微分演算部58で算出される予測ヨーレート微分値Sγ'LOWは、上記ヨーレート微分偏差算出部59に入力され、このヨーレート微分偏差算出部59で、上記目標ヨーレート微分値Sγ' と上記予測ヨーレート微分値Sγ'LOWとの偏差dΔγが算出される。
dΔγ=Sγ'LOW−Sγ' …(10)
また、上記第1の目標制動力算出部60は、上記ヨーレート微分偏差算出部59から、ヨーレート微分偏差dΔγが入力され、このヨーレート微分偏差dΔγを基に車両諸元を考慮して、前輪と後輪の目標制動力(第1の前輪目標液圧BF1f,第1の後輪目標液圧BF1r)を算出するようになっており、算出した第1の目標液圧BF1f,BF1rは、上記最終目標制動力算出部63に出力される。上記第1の目標液圧BF1f,BF1rは、次式により算出する。
BF1f=G1・dΔγ・Iz /(df/2) …(11)
BF1r=G1 ・G2 ・dΔγ・Iz /(dr/2) …(12)
ここで、G1 (例えば、0.05)およびG2 (例えば、0.15)はゲイン、Iz は車両のヨー慣性モーメント、dfはフロントトレッド、drはリアトレッドを示す。上記(11)式において、G1は、第1の大きいゲインであり、dΔγ・Iz /(df/2)は、第1の前輪の理論制動力としての部分を示している。また、上記(12)式において、G1 ・G2 は、第1の小さいゲインであり、dΔγ・Iz /(dr/2)は、第1の後輪の理論制動力としての部分を示している。特に低μ路等において後輪の制動力によって後輪が横すべりを起こし安定性を失うことを防止するため、あるいは、後輪に制動力が加えられる場合、運転者の意思に反して回頭モーメントが強く不安定に感じることを防止するため、上記第1の後輪目標液圧BF1rは、第1の後輪の理論制動力に第1の小さいゲインを乗算して、より小さな値としているのである。
【0042】
上述のように、ヨーレート微分偏差dΔγを基に算出される第1の目標液圧BF1f,BF1rは、低μ路を走行していると仮想して得られる値となっている。ここで、低μ路走行条件を仮想したのは、低μ路走行になるほど制動力制御が必要とされるためである。尚、上記各式で用いる低μ路における各定数は、車両モデルによる実験データ、あるいは周知の理論計算等により、予め求めたものである。
【0043】
また、上記ヨーレート偏差算出部61では、前記ヨーレートセンサ23で検出した実ヨーレートγから、上記目標ヨーレート算出部54で算出した目標ヨーレートγ' を減算し、ヨーレート偏差Δγ(=γ−γ' )を求め、このヨーレート偏差Δγを上記第2の目標制動力算出部62,制動輪判別部64および上記出力判定部65に出力するようになっている。
【0044】
上記第2の目標制動力算出部62は、車両諸元を考慮して、車両の運動状態とヨーレート偏差とを基に前輪と後輪の目標制動力(第2の前輪目標液圧BF2f,第2の後輪目標液圧BF2r)を算出するもので、算出した第2の目標液圧BF2f,BF2rは、上記最終目標制動力算出部63に出力される。上記第2の目標液圧BF2f,BF2rは、次式により算出する。
Figure 0003892551
ここで、G3 (例えば、8.0)およびG4 (例えば、0.15)はゲインを示し、ΔAは、
Figure 0003892551
である。
【0045】
尚、上記(15)式のΔγは、さらに車両の進行方向と前後方向のなす角である横すべり角αを考慮して補正したものを用いても良い。この横すべり角による補正は、具体的には、図中、破線で示す横すべり角算出部67で横すべり角αを算出し、上記第2の目標制動力算出部62で、この横すべり角αに対応したヨーレート偏差補正値Δγ' に変換して、上記(15)式中のΔγをΔγ+Δγ' として扱うことにより行う。すなわち、上記(15)式は、
Figure 0003892551
で算出されることになる。
【0046】
上記横すべり角算出部67では、例えば、横加速度Gy,車速V,ヨーレートγを基に横すべり角微分値dβを算出し、この横すべり角微分値dβを積分することにより(積分値β)、上記横すべり角αを求めるようになっている。
【0047】
また、上記横すべり角αに対応するヨーレート偏差補正値Δγ' は、図3に示すように与えられ、例えば横すべり角αが−1〜+1までの範囲にヨーレート偏差補正値Δγ' =0となる不感帯が設定されている。
【0048】
そして、上記第2の目標制動力算出部62には、前記車両挙動制御変更部70からの信号が入力されるようになっており、車両挙動制御変更部100からの指令により上述の横すべり角αの不感帯が狭まる方向に制御されて、制動力制御が敏感に行われる方向に変更可能になっている。
【0049】
上記ゲインG3 ,G4 は、前記ゲインG1 ,G2 と同じ理由で設定されているもので、上記(13)式において、G3 は、第2の大きいゲインであり、他の部分は、第2の前輪の理論制動力としての部分を示している。また、上記(14)式において、G3 ・G4 は、第2の小さいゲインであり、他の部分は、第2の後輪の理論制動力としての部分を示している。すなわち、上記(13),(14)式によっても、後輪に与える制動力の大きさが抑制されている。このため、後輪の制動力の抑制は、G1 〜G4 の各ゲインの設定により細かに行なわれ、車両の自然な挙動の実現と走行安定性の向上が図られる。
【0050】
上記最終目標制動力算出部63は、入力された第1の目標液圧BF1f,BF1rと、第2の目標液圧BF2f,BF2rとを加算して最終目標制動力(最終目標液圧)BFf,BFrを算出するもので、算出した最終目標液圧BFf,BFrは、上記制動信号出力部66に出力される。
BFf=BF1f+BF2f …(16)
BFr=BF1r+BF2r …(17)
すなわち、本発明の実施の第1形態では、制御を行なう際の走行条件を低μ路での走行の場合と予想し、補償することにより制御遅れを無くし、追従性と応答性の向上を図るものである。ここで、補償の際に用いる微分計算は、実際のヨーレート信号を利用することなく、予め設定しておいた車両モデルの値を用いて行なうため、十分な大きさで精度良く補償することが可能になっている。
【0051】
また、上記制動輪判別部64は、実ヨーレートγとヨーレート偏差Δγの符号の組み合わせから車両の制動輪を選択する部分で、以下の組み合わせが設定されている。尚、実ヨーレートγと目標ヨーレートγ' の符号は共に、車両の左旋回方向を+、右旋回方向を−で与えられる。また、車両の直進状態を判定するため、εを予め実験あるいは計算等から求めた略0に近い正の数として設定し、車両が目標ヨーレートγ' に対し略ニュートラルステアの状態を判定するため、εΔγを予め実験あるいは計算等から求めた略0に近い正の数として設定し、
(ケース1).γ>ε,Δγ<−εΔγ…左旋回状態で目標ヨーレートγ' に対しアンダーステア傾向のとき…左後輪制動
(ケース2).γ>ε,Δγ>εΔγ…左旋回状態で目標ヨーレートγ' に対しオーバーステア傾向のとき…右前輪制動
(ケース3).γ<ε,Δγ<−εΔγ…右旋回状態で目標ヨーレートγ' に対しオーバーステア傾向のとき…左前輪制動
(ケース4).γ<ε,Δγ>εΔγ…右旋回状態で目標ヨーレートγ' に対しアンダーステア傾向のとき…右後輪制動
(ケース5).|γ|<|ε|…略直進状態、あるいは、|Δγ|=|εΔγ|…目標ヨーレートγ' に対し略ニュートラルステアの状態のとき、制動輪の選択はせず非制動とする(図4)。
【0052】
すなわち、(ケース5)の|γ|<|ε|で判定される略直進状態のときと、|Δγ|=|εΔγ|で判定される目標ヨーレートγ' に対し略ニュートラルステアの状態のとき以外の実ヨーレートγとヨーレート偏差Δγの範囲において、実ヨーレートγとヨーレート偏差Δγの符号が異なる場合は内側後輪を制動輪として選択するとともに、実ヨーレートγとヨーレート偏差Δγの符号が同じ場合は外側前輪を制動輪として選択するようになっている。そして、この制動輪判別部64での結果は、上記制動信号出力部66に出力される。
【0053】
また、上記出力判定部65は、ヨーレート偏差Δγが制御領域にあるか否かを判定する、制御の不感帯である判定閾値εΔを後述の如く設定し、上記判定閾値εΔとヨーレート偏差Δγとを比較し制御領域にあるか否か判定し上記制動信号出力部66に出力するように形成されている。
【0054】
上記判定閾値εΔには、通常は第一の閾値εΔM が設定されており、車両の挙動がアンダーステア傾向からオーバーステア傾向に移行してからは設定時間(予めタイマにセットしておいた時間)、或いは、この時間以内であってもオーバーステア傾向になってから、ヨーレート偏差または実ヨーレートのどちらかの値が略ゼロになるまで、第二の閾値εΔS を上記判定閾値εΔとして設定するものである。ここで、上記第一の閾値εΔM 、上記第二の閾値εΔS は、共に、予め実験あるいは計算等から求めた正の数であり、ヨーレート偏差Δγを判定する各閾値の大きさは、|εΔM |>|εΔS |≧|εΔγ|である。
【0055】
尚、上記第一の閾値εΔM 、上記第二の閾値εΔS は、少なくともどちらかの値を車速に応じてメモリテーブル等に可変に設定しておけば、車速に応じてより適切な値を上記判定閾値εΔとして設定することが可能となる。すなわち、車速が小さい場合は、大きい場合に比較して、車両の挙動が不安定となっても運転者が簡単に修正することができ制御の必要がないため、非制御領域を大きな範囲に設定できる。
【0056】
また、上記出力判定部65には、前記車両挙動制御変更部70から信号が入力されるようになっており、上記車両挙動制御変更部70からの指令により、この出力判定部65で設定する閾値の大きさが小さく設定されて、制動力制御の感度が高くなる方向に変更可能になっている。
【0057】
上記制動信号出力部66は、上記出力判定部65で制御領域であるとの判定信号で、前記ブレーキ駆動部16に対して、上記制動輪判別部64で選択した制動輪へ、上記最終目標制動力算出部63で算出された前輪最終目標液圧BFfあるいは後輪最終目標液圧BFrを加えるようになっている。
【0058】
一方、車両1にはステレオ光学系が配設されており、このステレオ光学系は、例えば電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた1組のCCDカメラ(左側カメラ26l,右側カメラ26r)からなり、これら左右のCCDカメラ26l,26rが、それぞれ車室内の天井前方に一定の間隔をもって取り付けられ、車外の対象を異なる視点からステレオ撮像するようになっている。
【0059】
上記CCDカメラ26l,26rは、同一物体に対する視差から三角測量の原理によって画像全体に渡る3次元の距離分布を算出し、この距離分布データを処理して道路形状や複数の立体物を認識して走行路前方の障害物を検出する障害物検出部30に接続されている。
【0060】
すなわち、本発明の実施の第1形態では、上記CCDカメラ26l,26rおよび上記障害物検出部30により走行路前方の障害物を認識する障害物認識手段が形成されている。
【0061】
上記障害物検出部30は、上記CCDカメラ26l,26rで撮像した2枚のステレオ画像に対して微小領域毎に同一の物体が写っている部分を探索し、対応する位置のずれ量を求めて物体までの距離を算出して、画像のような形態をした距離分布データ(距離画像)を記憶し、この距離分布データを処理して道路形状や複数の立体物を認識することにより前方障害物を検出するように構成されている。
【0062】
上記障害物検出部30における道路検出処理では、記憶された距離画像による3次元的な位置情報を利用して実際の道路上の白線だけを分離して抽出し、内蔵した道路モデルのパラメータを実際の道路形状と合致するよう修正・変更することで、道路形状、自車の走行レーンを認識する。
【0063】
また、上記障害物検出部30における前方障害となる物体検出処理では、距離画像を格子状に所定の間隔で区分し、各領域毎に、走行の障害となる可能性のある立体物のデータのみを選別して、その検出距離を算出する。そして、隣接する領域において物体までの検出距離の差異が設定値以下の場合は同一の物体と見なし、一方、設定値以上の場合は別々の物体と見なし、検出した物体(障害物)の輪郭像を抽出する。
【0064】
尚、以上の距離画像の生成、距離画像から道路形状や物体を検出する処理については、本出願人によって先に提出された特開平5−265547号公報や特開平6−177236号公報等に詳述されている。
【0065】
そして上記障害物検出部30で検出された前方障害物に関するデータ(障害物との距離データ、障害物の速度データ等)は、上記車両挙動制御変更部70に入力されるようになっている。
【0066】
上記車両挙動制御変更部70は、車両挙動制御変更手段としてのもので、上記障害物検出部30からの上記前方障害物に関するデータが入力され、前方障害物と自車両との位置関係、また、回避後の障害物と自車両との位置関係により上記後輪操舵制御部40および上記制動力制御部50に所定に出力して、これら各制御部40,50による制御を変更させるようになっている。
【0067】
すなわち、認識した前方障害物が自車両1から予め設定しておいた距離Lc1内にある場合や、前回の障害物の認識から予め設定する時間Tc1内での障害物認識の場合は(障害物回避後所定時間を経るまでは)、上記各制御部40,50を旋回に対応する車両挙動傾向に変更するようになっている。
【0068】
尚、上記設定距離Lc1は、一定値であっても良く、また、自車両の速度、あるいは、自車両と障害物との相対速度によって可変に設定するものであっても良い。
【0069】
さらに、上記設定時間Tc1は、一定値であっても良く、また、自車両の速度、あるいは、自車両と障害物との相対速度によって可変に設定するものであっても良い。
【0070】
以下に上記構成による作用を説明する。
まず、後輪操舵制御部40には、車輪速度センサ21fl,21fr,21rl,21rr,ハンドル角センサ22,後輪舵角センサ25とヨーレートセンサ23の各センサ信号が入力されると共に、車両挙動制御変更部70からの制御信号が入力され、これら各信号に基づき必要な後輪舵角を演算し、モータ駆動部14に対して駆動信号を出力する。
【0071】
上記後輪操舵制御部40では、例えば各車輪速度の値から車速Vを演算し、この車速Vと、ハンドル角θf、ヨーレートγとを用い予め所定の制御則に基づいて目標とする後輪舵角δr'を算出し、現在の後輪舵角δrと比較して必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部13のモータ駆動部14に出力し、前記後輪操舵モータ15を駆動させる。そして、上記車両挙動制御変更部70からの制御信号に応じ、所定に、前輪舵角とヨーレートに対する後輪舵角の同相操舵量を大きく設定する補正が行われる。
【0072】
また、制動力制御部50には、左前輪速度センサ21fl,右前輪速度センサ21fr,左後輪速度センサ21rl,右後輪速度センサ21rrから各車輪速度、ハンドル角センサ22からハンドル角θf、ヨーレートセンサ23から実際のヨーレートγ、横加速度センサ24から横加速度Gy(横すべり角αに対応するヨーレート偏差補正値Δγ' で補正を行う場合)の各信号が入力され、車両の走行状態、車両諸元を基に目標ヨーレートγ' の微分値Sγ' 、低μ路走行の予測ヨーレートγ'LOWの微分値Sγ'LOWおよび両微分値の偏差dΔγを算出し、また実ヨーレートγと目標ヨーレートγ' との偏差Δγを算出し、これらの値に基づいて、車両のアンダーステア傾向、あるいは、オーバーステア傾向を修正する目標制動力BFf,BFrを算出する。ここで、この目標制動力は横すべり角αに対応するヨーレート偏差補正値Δγ' で補正して算出しても良い。
【0073】
そして車両のアンダーステア傾向を修正するためには旋回方向内側後輪を、オーバーステア傾向を修正するためには旋回方向外側前輪を制動力を加える制動輪として選択し、予め設定する制御の不感帯であってヨーレート偏差Δγが制御領域にあるか否かを判定する判定閾値εΔとヨーレート偏差Δγとを比較し制御領域にある際(不感帯からヨーレート偏差Δγが外れる際)には上記ブレーキ駆動部16に制御信号を出力して上記選択車輪に目標制動力を付加して制動力制御する。
【0074】
また、障害物検出部30は、上記CCDカメラ26l,26rで撮像した2枚のステレオ画像に対して微小領域毎に同一の物体が写っている部分を探索し、対応する位置のずれ量を求めて物体までの距離を算出して、画像のような形態をした距離分布データ(距離画像)を記憶し、この距離分布データを処理して道路形状や複数の立体物を認識することにより前方障害物を検出する。
【0075】
上記車両挙動制御変更部70では、図5に示すフローチャートに示すように、制御が実行される。
【0076】
まず、ステップ(以下「S」と略称)101で、上記障害物検出部30から走行路の前方障害物についてのデータ(障害物との距離データ、障害物の速度データ等)の読み込みが行われる。
【0077】
次いで、S102に進み上記前方障害物まで設定距離Lc1内になったか否か判定する。尚、この設定距離Lc1は、一定値、あるいは、自車両の速度、あるいは、自車両と障害物との相対速度によって予め可変に設定しておいたものである。
【0078】
上記S102で自車両が前方障害物まで設定距離Lc1内になった場合はS103に進み、上記前方障害物を回避するため、後輪操舵制御部40には前輪舵角に対する後輪舵角の同相操舵量を大きくするとともに、ヨーレートに対する後輪舵角の同相操舵量を大きく制御変更する信号を出力させ、車両の安定性と横方向の回避性能を向上させる。具体的には、前記(1)式中の後輪舵角補正値f1,f2により目標後輪舵角δr'を補正することにより行う。
【0079】
さらに、制動力制御部50に対しては制御の不感帯(ヨーレート偏差Δγとの比較で設定する判定閾値εΔ、あるいは、横すべり角αが−1〜+1までの範囲にヨーレート偏差補正値Δγ' =0として設定した不感帯)を狭めて制御の感度を高めて操舵性に対する応答性を向上させるように制御変更させてプログラムを抜ける。
【0080】
一方、上記S102で自車両が前方障害物まで設定距離Lc1内にない場合はS104に進み、前回に障害物を検出してから設定時間Tc1内か否か、すなわち、障害物を回避してから、まだ間もないのか否か判定する。尚、この設定時間Tc1は、一定値、あるいは、自車両の速度、あるいは、自車両と障害物との相対速度によって予め可変に設定しておいたものである。
【0081】
そして、上記S104で前回に障害物を検出してから設定時間Tc1内の場合(障害物を回避してから、まだ間もない場合)は上記S103へと進んで制御変更を続行させる一方、前回に障害物を検出してから設定時間Tc1を超える場合は制御変更をせずプログラムを抜ける。
【0082】
このように、本発明の実施の第1形態では、車両に対する障害物を事前に判断し、今後の走行状態と現在の走行状態に応じて後輪操舵制御と制動力制御を適切に可変させ、障害物の回避走行を容易に安定して自然に行うことができるようになっている。
【0083】
尚、本発明の実施の第1形態では、車両挙動制御手段として、後輪操舵制御部と制動力制御部を有する車両で説明したが、どちらか一つのみの車両においても適応できる。
【0084】
また、後輪操舵制御部での制御則は、「ハンドル角逆相+ヨーレート同相制御則」を基本制御則とするものに限るものではなく、例えば周知の「ヨーレートフィードバック方式の制御則」や「前輪舵角比例方式の制御則」等であっても良い。
【0085】
さらに、後輪の操舵はモータによるものに限らず、油圧システム等で操舵するものであっても良い。
【0086】
また、制動力制御部における制動力制御は、本発明の実施の第1形態で例示したもの以外であっても良い。
【0087】
次に、図6〜図8は本発明の実施の第2形態を示し、図6は車両における車両運動制御装置全体の概略説明図、図7はセンターディファレンシャル装置の差動制限トルクの特性の一例を示す説明図、図8は差動制限制御変更部における制御のフローチャートである。
【0088】
尚、本発明の実施の第2形態は、走行路前方の障害物を認識し、今後の走行状態と現在の走行状態に応じて前後輪間と左右輪間の差動制限制御を可変させ、障害物の回避走行を行うものであるため、前記発明の実施の第1形態とは別車両として説明をする。
【0089】
図6において、符号100は複合プラネタリギヤ式のセンターディファレンシャル装置および自動変速装置を有する4輪駆動車を一例とする車両を示し、この車両100の前部に配置されたエンジン101による駆動力は、このエンジン101後方の自動変速装置(トルクコンバータ等も含んで図示)102からトランスミッション出力軸102aを経てセンターディファレンシャル装置103に伝達され、このセンターディファレンシャル装置103から、リヤドライブ軸104、プロペラシャフト105、ドライブピニオン106を介して後輪終減速装置107に入力される一方、トランスファドライブギヤ108、トランスファドリブンギヤ109、ドライブピニオン軸部となっているフロントドライブ軸110を介して前輪終減速装置111に入力されるように構成されている。ここで、上記自動変速装置102、センターディファレンシャル装置103および前輪終減速装置111等は、一体にケース112内に設けられている。
【0090】
上記後輪終減速装置107に入力された駆動力は、後輪左ドライブ軸113rlを経て左後輪114rlに、後輪右ドライブ軸113rrを経て右後輪114rrに伝達される一方、上記前輪終減速装置111に入力された駆動力は、前輪左ドライブ軸113flを経て左前輪114flに、前輪右ドライブ軸113frを経て右前輪114frに伝達されるようになっている。
【0091】
上記センターディファレンシャル装置103は、入力側の上記トランスミッション出力軸102aに大径の第1のサンギヤ115が形成されており、この第1のサンギヤ115が小径の第1のピニオン116と噛合して第1の歯車列が形成されている。
【0092】
また、後輪への出力を行う上記リヤドライブ軸104には、小径の第2のサンギヤ117が形成されており、この第2のサンギヤ117が大径の第2のピニオン118と噛合して第2の歯車列が形成されている。
【0093】
上記第1のピニオン116と上記第2のピニオン118はピニオン部材119に一体に形成されており、複数(例えば3個)の上記ピニオン部材119が、キャリア120に設けた固定軸に回転自在に軸支されている。
【0094】
上記キャリア120の前端には、上記トランスファドライブギヤ108が連結され、前輪への出力が行われるようになっている。
【0095】
また、上記キャリア120には、前方から上記トランスミッション出力軸102aが回転自在に挿入される一方、後方からは上記リヤドライブ軸104が回転自在に挿入されて、空間中央に上記第1のサンギヤ115と上記第2のサンギヤ117を格納する。そして、上記複数のピニオン部材119の上記各第1のピニオン116が上記第1のサンギヤ115に、上記各第2のピニオン118が上記第2のサンギヤ117に、共に噛合されている。
【0096】
こうして、入力側の上記第1のサンギヤ115に対し、上記第1,第2のピニオン116,118および上記第2のサンギヤ117を介して一方の出力側に、上記第1,第2のピニオン116,118の上記キャリア120を介して他方の出力側に噛み合い構成され、リングギヤの無い複合プラネタリギヤを成している。
【0097】
そしてかかる複合プラネタリギヤ式センターディファレンシャル装置103は、上記第1,第2のサンギヤ115,117、および、これらサンギヤ115,117の周囲に複数個配置される上記第1,第2のピニオン116,118の歯数を適切に設定することで差動機能を有する。
【0098】
また、上記第1,第2のピニオン116,118と上記第1,第2のサンギヤ115,117との噛み合いピッチ半径を適切に設定することで、基準トルク配分を所望の配分(例えば、後輪偏重にした不等トルク配分)にすることができるようになっているのである。
【0099】
さらに、上記センターディファレンシャル装置103は、上記第1,第2のサンギヤ115,117と上記第1,第2のピニオン116,118とを例えばはすば歯車にし、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のねじれ角を異にしてスラスト荷重を相殺させることなくスラスト荷重を残留させ上記ピニオン部材119の両端で発生する摩擦トルクを、上記第1,第2のピニオン116,118と上記キャリア120に設けた固定軸の表面に噛み合いによる分離、接線荷重の合成力が作用し、摩擦トルクが生じるように設定して、入力トルクに比例した差動制限トルクを得られるようにすることで、このセンターディファレンシャル装置103自体によっても差動制限機能が得られるようになっている。
【0100】
上記センターディファレンシャル装置103の2つの出力部材、すなわち上記キャリア120と上記第2のサンギヤ117との間には、動力配分制御部150により制御される可変容量伝達クラッチとしての油圧多板クラッチ(トランスファクラッチ)121が形成されている。
【0101】
上記トランスファクラッチ121は、上記第2のサンギヤ117と一体のリヤドライブ軸104側に複数のドリブンプレート121aが設けられ、上記キャリア120側に複数のドライブプレート121bが交互に重ねて設けられている。そして、上記ケース112側に配設されたピストン,押圧プレート等により、上記動力配分制御部150で制御される油圧装置と連結された油圧室(以上、トランスファクラッチ121の押圧部品関連図示せず)の油圧で押圧され動作させられるようになっている。
【0102】
このため、上記トランスファクラッチ121が開放された状態では、上記センターディファレンシャル装置103によるトルク配分がそのまま出力されるが、上記トランスファクラッチ121が完全に圧着すると上記センターディファレンシャル装置103の差動が制限され、トルク配分が停止され、前後直結状態となる。
【0103】
上記トランスファクラッチ121の圧着力(トランスファトルク)は、上記動力配分制御部150で制御され、例えば基準トルク配分が後輪偏重の、前後35:65とすると、前後35:65から前後直結状態で得られるトルク配分比、例えば50:50の間でトルク配分制御(動力配分制御)されるようになっている。
【0104】
また、上記後輪終減速装置107も、本発明の実施の第2形態では、上述のセンターディファレンシャル装置103と同様の複合プラネタリギヤ式に構成されている。すなわち、回転自在に保持されたディファレンシャルケース131の外周にはクラウンギヤ132が設けられ、上記ドライブピニオン106による駆動力は、このクラウンギヤ132を介して上記ディファレンシャルケース131に伝達されるようになっている。
【0105】
上記ディファレンシャルケース131内には、左側部分がクラッチドラム133aとして円筒状に形成されたキャリヤ134が回転自在に配設されており、このキャリヤ134内に上記後輪右ドライブ軸113rrが挿通されて上記キャリヤ134と結合されている。
【0106】
また、上記ディファレンシャルケース131内には、上記ディファレンシャルケース131に結合された大径の第1のサンギヤ135が設けられ、小径の第1のピニオン136と噛合して第1の歯車列が形成されている。
【0107】
さらに、上記ディファレンシャルケース131内には、上記後輪左ドライブ軸113rlが挿通され、この後輪左ドライブ軸113rlの先端には小径の第2のサンギヤ137が形成されており、この第2のサンギヤ137が大径の第2のピニオン138と噛合して第2の歯車列が形成されている。
【0108】
上記第1のピニオン136と上記第2のピニオン138はピニオン部材139に一体に形成されており、複数(例えば3個)の上記ピニオン部材139が、キャリア134に設けた固定軸に回転自在に軸支されている。
【0109】
また、上記後輪左ドライブ軸113rlの上記キャリヤ134のクラッチドラム133aに対向する位置にはクラッチハブ133bが設けられ、これらクラッチドラム133a、クラッチハブ133bにそれぞれドライブプレート、ドリブンプレートが複数交互に設けられて油圧多板クラッチ133が形成されている。
【0110】
この油圧多板クラッチ133は、図示しないピストン,押圧プレート等により、左右輪差動制限制御部160で制御される油圧装置と連結された油圧室の油圧で押圧され動作させられるようになっている。
【0111】
すなわち、上記後輪終減速装置107は、上記ドライブピニオン106からの駆動力を、クラウンギヤ132、ディファレンシャルケース131を介して第1のサンギヤ135に伝達し、上記第2のサンギヤ137から上記後輪左ドライブ軸113rlへ出力する一方、上記キャリヤ134から上記後輪右ドライブ軸113rrへ出力する複合プラネタリ式の差動制限制御装置で構成するとともに、一方の出力側である後輪左ドライブ軸113rlと他方の出力側であるキャリヤ134との間に摩擦力が可変制御される油圧多板クラッチ133を介装させた構造となっている。そして、複合プラネタリ式の差動制限制御装置部分で発生される入力トルクに比例した差動制限トルクに加え、必要に応じて油圧多板クラッチが差動制限トルクを加えて最適な差動制限トルクが発生されるようになっている。
【0112】
上記複合プラネタリ式の差動制限制御装置の部分は、上記第1,第2のサンギヤ135,137およびこれらサンギヤ135,137の周囲に複数個配置される上記第1,第2のピニオン136,138の歯数を適切に設定することで、差動機能を有する。
【0113】
また、上記第1,第2のサンギヤ135,137と上記第1,第2のピニオン136,138との噛み合いピッチ円半径を適切に設定することで、基準トルク配分が左右50:50の等トルク配分の機能を有する。
【0114】
さらに、上記第1,第2のサンギヤ135,137と上記第1,第2のピニオン136,138とを例えばはすば歯車にし、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のねじれ角を異にしてスラスト荷重を相殺させることなくスラスト荷重を残留させ上記ピニオン部材139の両端で発生する摩擦トルクを、上記第1,第2のピニオン136,138と上記キャリア134に設けた固定軸の表面に噛み合いによる分離、接線荷重の合成力が作用し、摩擦トルクが生じるように設定して、入力トルクに比例した差動制限トルクを得られるようにすることで、入力トルクに比例した差動制限トルクを得られるようにすることで、この差動制限装置自体によっても差動制限機能が得られるようになっている。
【0115】
このため、上記左右輪差動制限制御部160により上記油圧多板クラッチ133が開放された状態では、基準トルク配分、すなわち左右50:50の等トルク配分で滑らかに差動が行われる一方、上記油圧多板クラッチ133が連結されると、左右輪間の差動が制限され、スリップが防止されて安定した傾向の走行になる。
【0116】
上記各車輪114fl,114fr,114rl,114rrは、それぞれの車輪速度が車輪速度センサ(左前輪速度センサ141fl,右前輪速度センサ141fr,左後輪速度センサ141rl,右後輪速度センサ141rr)により検出されるようになっており、これら車輪速度の信号は、車両100の前後輪間の差動制限力を制御する差動制限制御手段としての上記動力配分制御部150と車両100の左右輪間の差動制限力を制御する差動制限制御手段としての上記左右輪差動制限制御部160に入力されるようになっている。
【0117】
また、スロットル開度センサ142、ギヤ位置センサ143、ハンドル角センサ144、ヨーレートセンサ145、前後加速度センサ146からの各信号が得られるようになっており、スロットル開度センサ142、ギヤ位置センサ143からの信号は共に上記動力配分制御部150と上記左右輪差動制限制御部160に、ハンドル角センサ144からの信号は上記左右輪差動制限制御部160と差動制限制御変更部170に、ヨーレートセンサ145からの信号は上記差動制限制御変更部170に、前後加速度センサ146からの信号は上記左右輪差動制限制御部160に入力されるようになっている。
【0118】
上記動力配分制御部150は、上述のトランスファクラッチ121に対する制御を行うもので、例えば、上記センタディファレンシャル装置103に対する差動制限力を、図7に示すように、スロットル開度θthと速度Vをパラメータとして予め設定されたデューティ比のテーブルマップを検索し制御することを基本とし、通常制御、発進制御、転舵制御、スリップ制御等で実行するようになっている。
【0119】
主として、上記通常制御では、上記テーブルマップを通常制御用として、1速から4速及び後退の各変速段ごとに合計5面持ち、スロットル開度θthが低開度及び高車速領域ほど差動制限トルクを低めの値に制御して旋回性能の向上や燃費向上を図っている。
【0120】
上記発進制御では、低μ路における容易かつスムーズな発進性能を確保するため、車速0km/hかつ車両が直進状態と判断される場合、スロットル開度θthに比例した値に差動制限トルクを制御する。
【0121】
上記転舵制御では、低車速域での操舵感を向上させるため、設定車速領域で通常制御に対して前後輪回転比NR/NF(NR:後輪回転数,NF:前輪回転数)に応じ差動制限トルクを低減する制御を行っている。
【0122】
上記スリップ制御では、最大駆動力の確保や走行安定性の向上を図るため、後輪または前輪が設定値以上にスリップした場合、通常制御に対して差動制限トルクを高い値に制御する。
【0123】
また、上記動力配分制御部150には、上記差動制限制御変更部170からの制御信号が入力されるようになっており、上記差動制限制御変更部170からの指令で上記センタディファレンシャル装置103に対する差動制限力の増減制御が実行されるようになっている。
【0124】
上記左右輪差動制限制御部160は、上述の油圧多板クラッチ133に対する制御を行うもので、例えば、左後輪回転数と右後輪回転数から後輪の回転速度差を算出し、後輪回転速度差が予め設定しておいた基準値以上の場合は左右後輪がスリップ状態と判定し、後輪回転速度差が予め設定しておいた基準値より小さい場合は非スリップ状態と判定する。
【0125】
そして、スリップ状態の場合、実験、理論計算等により予め設定しておいたマップからハンドル角θfを基にクラッチ油圧を設定して制御する。
【0126】
また、非スリップ状態の場合、非スリップ状態におけるクラッチ油圧を設定して制御する。ここで、この非スリップ状態におけるクラッチ油圧は、車速V(例えば、4つの車輪速度の平均)とスロットル開度θthによるマップ(予め実験、理論計算等により設定しておいたもので、高速、高負荷側が増大するような特性になっている)を検索して定めた油圧を、さらにギヤ位置iが低速段側で補正し、前後加速度Gxで補正して設定される。
【0127】
これら上記左右輪差動制限制御部160にて設定されたスリップ状態の場合、あるいは、非スリップ状態の場合のクラッチ油圧で上記図示しない油圧装置が動作して上記油圧多板クラッチ133が動作させられるようになっている。
【0128】
また、上記左右輪差動制限制御部160には、上記差動制限制御変更部170からの制御信号が入力されるようになっており、上記差動制限制御変更部170による制御で上記油圧多板クラッチ133に対する制御が実行されるようになっている。
【0129】
一方、車両100には、前記発明の実施の第1形態と同様、走行路前方の障害物を認識する障害物認識手段としてCCDカメラ26l,26rおよび障害物検出部30が搭載されている。これらCCDカメラ26l,26rおよび障害物検出部30については前記発明の実施の第1形態と同様であるため説明は省略する。
【0130】
上記障害物検出部30で検出された前方障害物に関するデータ(障害物との距離データ、障害物の速度データ等)は、上記差動制限制御変更部170に入力されるようになっている。
【0131】
上記差動制限制御変更部170は、差動制限制御御変更手段としてのもので、上記障害物検出部30からの上記前方障害物に関するデータが入力され、また、ハンドル角センサ144およびヨーレートセンサ145からの信号が入力され、前方障害物と自車両との位置関係、また、回避後の障害物と自車両との位置関係、運転状態により、上記動力配分制御部150および上記左右輪差動制限制御部160に所定に出力して、これら各制御部150,160による制御を変更させるようになっている。
【0132】
すなわち、認識した前方障害物が自車両100から予め設定しておいた距離Lc2内にある際は上記各制御部150,160を旋回に対応する差動制限力に変更させる。
【0133】
一方、上記認識した前方障害物が自車両100の上記設定距離Lc2内にない際は、前回前方障害物を認識してから予め設定する時間内Tc2の場合と前輪舵角と実際に発生しているヨーレートの少なくとも一方が所定に収束した場合の少なくとも一方の場合に上記各制御部150,160を車両姿勢の安定に対応する差動制限力に変更させるようになっている。
【0134】
尚、上記設定距離Lc2は、一定値であっても良く、また、自車両の速度、あるいは、自車両と障害物との相対速度によって可変に設定するものであっても良い。
【0135】
さらに、上記設定時間Tc2は、一定値であっても良く、また、自車両の速度、あるいは、自車両と障害物との相対速度によって可変に設定するものであっても良い。
【0136】
上記構成による作用と、上記差動制限制御変更部170による制御を図8のフローチャートで説明する。
【0137】
まず、動力配分制御部150では、左前輪速度センサ141fl,右前輪速度センサ141fr,左後輪速度センサ141rl,右後輪速度センサ141rrから各車輪速度、スロットル開度センサ142からスロットル開度θth、ギヤ位置センサ143からギヤ位置の各信号が入力され、センタディファレンシャル装置103に対する差動制限力、すなわちトランスファクラッチ121のトランスファトルクを、走行状態から、例えば図7に示す、スロットル開度θthと速度Vをパラメータとしたデューティ比のテーブルマップで検索して、通常制御、発進制御、転舵制御、スリップ制御等で実行する。このため、走行状態により、例えば基準トルク配分が後輪偏重の、前後35:65とすると、前後35:65から前後直結状態で得られるトルク配分比、例えば50:50の間でトルク配分制御(動力配分制御)される。
【0138】
また、左右輪差動制限制御部160には、左前輪速度センサ141fl,右前輪速度センサ141fr,左後輪速度センサ141rl,右後輪速度センサ141rrから各車輪速度、スロットル開度センサ142からスロットル開度θth、ギヤ位置センサ143からギヤ位置、ハンドル角センサ144からハンドル角θf、前後加速度センサ146から前後加速度Gxの各信号が入力され、走行状態に応じて後輪終減速装置107の油圧多板クラッチ133が制御されて左右後輪の差動制限制御が行われる。
【0139】
具体的には、上述したように、左右後輪のスリップ状態が判定され、スリップ状態の場合、実験、理論計算等により、予め設定しておいたマップを、ハンドル角θfを基に検索して補正するクラッチ油圧を設定して制御する。
【0140】
また、非スリップ状態の場合、非スリップ状態における補正するクラッチ油圧を設定して制御する。ここで、この非スリップ状態におけるクラッチ油圧は、車速V(例えば、4つの車輪速度の平均)とスロットル開度θthによるマップ(予め実験、理論計算等により設定しておいたもので、高速、高負荷側が増大するような特性になっている)を検索して定めた油圧を、さらにギヤ位置iが低速段側で補正し、前後加速度Gxで補正して設定し制御する。
【0141】
また、障害物検出部30は、上記CCDカメラ26l,26rで撮像した2枚のステレオ画像に対して微小領域毎に同一の物体が写っている部分を探索し、対応する位置のずれ量を求めて物体までの距離を算出して、画像のような形態をした距離分布データ(距離画像)を記憶し、この距離分布データを処理して道路形状や複数の立体物を認識することにより前方障害物を検出する。
【0142】
上記差動制限制御変更部170では、図8に示すフローチャートに示すように、制御が実行される。
【0143】
まず、S201で、上記障害物検出部30から走行路の前方障害物についてのデータ(障害物との距離データ、障害物の速度データ等)の読み込みが行われる。
【0144】
次いで、S202に進み上記前方障害物まで設定距離Lc2内になったか否か判定する。尚、この設定距離Lc2は、一定値、あるいは、自車両の速度、あるいは、自車両と障害物との相対速度によって予め可変に設定しておいたものである。
【0145】
上記S202で自車両が前方障害物まで設定距離Lc2内になった場合はS203に進み、上記前方障害物を回避するため車両の回頭性を向上すべく、左右輪差動制限制御部160に対しては左右輪間の差動制限力を低下させる(後輪終減速装置107の油圧多板クラッチ133の圧着力を弱める)ように、上記動力配分制御部150に対してはトランスファトルクを低下させる(センターディファレンシャル装置103が後輪偏重の基本トルク配分になる)ように信号を出力してプログラムを抜ける。
【0146】
一方、上記S202で自車両が前方障害物まで設定距離Lc2内にない場合はS204に進み、前回に障害物を検出してから設定時間Tc2内か否か、すなわち、障害物を回避してから、まだ間もないのか否か判定する。尚、この設定時間Tc2は、一定値、あるいは、自車両の速度、あるいは、自車両と障害物との相対速度によって予め可変に設定しておいたものである。
【0147】
上記S204で前回に障害物を検出してから設定時間Tc2内の場合(障害物を回避してから、まだ間もない場合)は上記S205へと進んで、障害物回避後の車両姿勢を安定させるべく、上記左右輪差動制限制御部160に対しては左右輪間の差動制限力を増加させる(上記後輪終減速装置107の上記油圧多板クラッチ133の圧着力を強める)ように、上記動力配分制御部150に対してはトランスファトルクを増加させる(上記センターディファレンシャル装置103が前後輪等トルク配分になる)ように信号を出力してプログラムを抜ける。
【0148】
一方、上記S204で前回に障害物を検出してから設定時間Tc2を超える場合はS206に進み、ハンドル角,ヨーレートが共に設定値内に収束しているか否か判定する。
【0149】
そして、上記S206でハンドル角,ヨーレートが共に設定値内に収束していると判定した場合には上記S205へと進み、障害物回避後の車両姿勢を安定させるべく、上記左右輪差動制限制御部160、動力配分制御部150に対して信号出力する。
【0150】
一方、上記S206でハンドル角,ヨーレートのどちらかが設定値内に収束していない場合は、前方障害物まで距離があり(S202)、前回障害物回避してから時間も経ち(S204)、車両挙動も旋回状態ではない(S206)のでそのままプログラムを抜ける。
【0151】
このように、本発明の実施の第2形態では、車両に対する障害物を事前に判断し、今後の走行状態と現在の走行状態に応じて左右輪差動制限制御と動力配分制御を適切に可変させ、障害物の回避走行を容易に安定して自然に行うことができるようになっている。
【0152】
尚、本発明の実施の形態では、差動制限制御手段として、動力配分制御部と左右輪差動制限制御部を有する車両で説明したが、どちらか一つのみの車両においても適応できる。
【0153】
また、左右輪差動制限制御部は後輪に設けられているものを例に説明したが前輪に設けられているものを同様に制御しても良い。
【0154】
さらに、動力配分制御部は後輪偏重のもので説明しているが、前輪偏重のものであっても良い。
【0155】
また、センターディファレンシャル装置および後輪終減速装置の差動機構は複合プラネタリギヤ式のもので説明したが、べベルギヤ式のものや、リングギヤを有するプラネタリギヤ式のもの等であっても良い。
【0156】
さらに、本発明の実施の第1形態、第2形態では、前方障害物の検出に、一対のCCDカメラによって捉えた画像を処理して行う例を示したが、これに限定することなく、例えば超音波レーダ、レーザ等の装置を用いて障害物を検出するようにしても良い。
【0157】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、車両に対する障害物を事前に判断し、今後の走行状態と現在の走行状態に応じて各車両の制御装置が適切に動作して、障害物の回避走行を適切に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態による車両における車両運動制御装置全体の概略説明図
【図2】本発明の実施の第1形態による制動力制御部の機能ブロック図
【図3】本発明の実施の第1形態による横すべり角αに対応するヨーレート偏差補正値Δγ' の一例を示す説明図
【図4】本発明の実施の第1形態による制動力制御による車両の動作の説明図
【図5】本発明の実施の第1形態による車両挙動制御変更部における制御のフローチャート
【図6】本発明の実施の第2形態による車両における車両運動制御装置全体の概略説明図
【図7】本発明の実施の第2形態によるセンターディファレンシャル装置の差動制限トルクの特性の一例を示す説明図
【図8】本発明の実施の第2形態による差動制限制御変更部における制御のフローチャート
【符号の説明】
1 車両
2 エンジン
4 センターディファレンシャル装置
8 後輪終減速装置
10 前輪終減速装置
12fl、12fr 前輪
12rl、12rr 後輪
13 後輪操舵部
14 モータ駆動部
15 後輪操舵モータ
16 ブレーキ駆動部
19fl、19fr 前輪側ホイールシリンダ
19rl、19rr 後輪側ホイールシリンダ
21fl、21fr 前輪側車輪速度センサ
21rl、21rr 後輪側車輪速度センサ
22 ハンドル角センサ
23 ヨーレートセンサ
24 横加速度センサ
25 後輪舵角センサ
26l,26r CCDカメラ(障害物認識手段)
30 障害物検出部(障害物認識手段)
40 後輪操舵制御部(車両挙動制御手段)
50 制動力制御部(車両挙動制御手段)
70 車両挙動制御変更部(車両挙動制御変更手段)
100 車両
101 エンジン
103 センターディファレンシャル装置
107 後輪終減速装置
111 前輪終減速装置
114fl、114fr 前輪
114rl、114rr 後輪
121 トランスファクラッチ
133 油圧多板クラッチ
141fl、141fr 前輪側車輪速度センサ
141rl、141rr 後輪側車輪速度センサ
142 スロットル開度センサ
143 ギヤ位置センサ
144 ハンドル角センサ
145 ヨーレートセンサ
146 前後加速度センサ
150 動力配分制御部(差動制限制御手段)
160 左右輪差動制限制御部(差動制限制御手段)
170 差動制限制御変更部(差動制限制御御変更手段)

Claims (3)

  1. 走行路前方の障害物を認識する障害物認識手段と、車両の前後輪間と左右輪間の少なくとも一つの差動制限力を制御する差動制限制御手段と、認識した前方障害物が自車両予め設定しておいた距離内にある際は上記差動制限制御手段を予め設定しておいた回頭性向上時の差動制限力に変更させるとともに、上記認識した前方障害物が上記自車両の上記設定距離内にない際は、前輪舵角と実際に発生しているヨーレートの少なくとも一方が所定に収束した場合には上記差動制限制御手段を予め設定しておいた安定性向上時の差動制限力に変更させる差動制限制御変更手段とを備えたことを特徴とする車両運動制御装置。
  2. 上記差動制限制御手段が上記車両の左右輪間の差動制限力を制御する左右輪差動制限制御手段の場合に上記差動制限制御手段を上記予め設定しておいた回頭性向上時の差動制限力に変更するには左右輪間の差動制限力を低下させることにより行うとともに、上記差動制限制御手段を上記予め設定しておいた安定性向上時の差動制限力に変更させるには左右輪間の差動制限力を強めることにより行うことを特徴とする請求項1記載の車両運動制御装置。
  3. 上記差動制限制御手段が上記車両の前後輪間の差動制限力を制御する前後輪差動制限制御手段の場合に上記差動制限制御手段を上記予め設定しておいた回頭性向上時の差動制限力に変更するには前後輪間の動力配分が後輪側に偏重したトルク配分に差動制限力を制御する一方、上記差動制限制御手段を上記予め設定しておいた安定性向上時の差動制限力に変更させるには前後輪間の動力配分が等トルク配分側に差動制限力を制御することを特徴とする請求項記載の車両運動制御装置。
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