従来、半導体洗浄装置などの相対回転部在間において、液体や気体などの流体を連通させる場合、該装置が回転する際に配管が捩れたり、流体圧の供給不良を起こしたりするので、配管が周辺機器に干渉しないようにするために、該装置の回りに広い空間を設けなければならないなどの問題があり、かかる問題を解決するために、ロータリージョイントを経由して配管をしている。
例えば、特許文献1には、ロータリージョイントを構成する回転側ユニットと固定側ユニットとの間に設けた複数のシールと、回転側ユニット又は固定側ユニットに設けた溝部により形成されたリング状の流体通路を介し、回転側ユニットと固定側ユニットに設けた配管を連通してなるロータリージョイントが提案されている。
しかしながら、かかる提案のロータリージョイントでは、回転側ユニット又は固定側ユニットに設けた溝部により形成されたリング状の流体通路を流体通路毎に分割するために、流体通路間をシール部材によりシールすることで分割をしており、装置によっては、多くの配管を必要とするものもあり、それに伴い、流体通路も同じ本数必要になるために、数が多くなるほど、流体通路も多くなり、流体通路間をシールするためのシール部材も多くなるので、ロータリージョイントの全長の増加による大型化や、シール部材の増加による摺動抵抗の増加などの問題がある。
また、ロボットを用いた搬送工程や溶接工程などに用いられるロータリージョイントは、モーターを制御して作業を行う電動ハンドや、サーボガンなどのツールを使用している場合、該ツールを動かすためには、モーターや制御機器用の電力線と信号線などが必要となる。このため多関節ロボットのような自由度の高いロボットでは、ロボットの動きに追従して動力源や信号線が振り回されることになる。かかる自由度の高いロボットでは、他の機械と干渉しないようにロータリージョイントを経由して必要な配線が施されている。
例えば、特許文献2や特許文献3には、ロータリージョイントの構成として、回転側ユニットとロボットアームに対してフローティングして回り止めされた固定側ユニットと、回転側ユニット又は固定側ユニットに環状に設けられて、回転側ユニットと固定側ユニットとを連通する流体通路と、電力用スリップリングと電気信号用スリップリングとが回転軸に対して同心円状に配置とからなるものが示されている、かかる構成のロータリージョイントには、流体通路と電力用スリップリングと電気信号用スリップリングとが、固定側ボディと回転側ボディとの間で連通及び接触することにより、流体や電力や電気信号がロボット側とツール側の間で供給及び伝送されるものとして提案がされている。
しかしながら、かかるスリップリングの接触による電力と電気信号の伝送による方法では、ロータリージョイントの回転により、スリップリングの接点が磨耗することにより、電力と電気信号に対するノイズの発生や、定期的に磨耗粉の除去作業、各パーツの交換などのメンテナンスに多大な費用とメンテナンスを要するという問題がある。
また、電動ハンドのようにエンコーダなどの制御機器を内蔵されたツールを用いる場合、電気信号に多数の配線が必要となる。電気信号用配線の増加は、電気信号用スリップリングの回路数の増加を随伴する。かかる電気信号用スリップリングの回路数の増加は、ロータリージョイントの全長の増加による大型化が問題となる。
さらに、ロータリージョイントに取り付けるツールを交換することにより、使用する流体や電力や電気信号の本数が変化することで、回路の個数が多すぎる又は少なすぎるといったように、ロータリージョイントがツールの交換に対応することができないという問題がある。
本発明は、小型で、摺動抵抗が低く、固定側ユニットと回転側ユニット間において、伝送効率の低下を防ぎつつ、高い信頼性を持って電力と電気信号の伝送を可能にし、使用する流体や電力や電気信号が変化しても、共通で使用することができるロータリージョイントを提供することにある。
本発明のロータリージョイントの第一の態様は、固定側ユニットと該固定側ユニットに設けられる非接触ユニットAと、該固定側ユニットと相対的に回転可能に連結された回転側ユニットと該回転側ユニットに設けられる非接触ユニットBとからなるロータリージョイントにおいて、1本の配管を該固定側ユニットと該回転側ユニットに設けると共に回転自在に連通し、該非接触ユニットAと該非接触ユニットBとが相互に対向している状態で、該非接触ユニットAと該非接触ユニットBとの間で電磁誘導作用により電気信号の伝送し、該固定側ユニットに省配線システムを設け、且つ、該回転側ユニットに省配線システムとバルブを設けてなることを特徴とする。
本態様によれば、径方向に小型で、摺動抵抗が低く、前記固定側ユニットと前記回転側ユニット間において、伝送効率の低下を防ぎつつ、高い信頼性を持って電力と電気信号の伝送を可能とし、且つ、該回転側ユニットに取り付けられるツールの交換によって使用する流体や電気信号の数が変化しても、回路の個数に左右されることなく、どのようなツールにも対応することができる。
本発明のロータリージョイントの第二の態様は、前記第一の態様のロータリージョイントにおいて、前記非接触ユニットAが、電力の伝送を可能にする電力用コイルAと電気信号の伝送を可能にする電気信号用コイルAとを含んで構成され、且つ、前記非接触ユニットBに電力の伝送を可能にする電力用コイルBと電気信号の伝送を可能にする電気信号用コイルBとを含んで構成されておることを特徴とする。
本態様によれば、前記固定側ユニットと前記回転側ユニットとの間で、電気信号に加えて電力の伝送を行うことができる。これにより、例えば、モーターなどの電力で駆動する機器の駆動電力を供給することができ、ケーブルの本数を削減することができる。
また、流体の供給だけではなく、電力と電気信号の伝送を可能としているので、エアハンドなどの空圧機器と共にモーターハンドなどの電気機器を使用することができ、自動工具交換装置と組み合わせることで、ツールを交換させることにより、使用する流体や電力や電気信号の本数が変化しても、回路の個数に左右されることなく、どのようなツールにも対応することができる。
本発明のロータリージョイントの第三の態様は、前記第二の態様のロータリージョイントにおいて、前記電力用コイルAと前記電力用コイルBとの電磁誘導による発生電磁磁界と、前記電気信号用コイルAと前記電気信号用コイルBとの電磁誘導による発生電磁磁界とが90度ずれてなることを特徴とする。
本態様によれば、電力用コイルの発生電磁磁界と電気信号用コイルの発生電磁磁界との方向がずれていない並行に並んでいるものに比べて、電力用コイルの発生電磁磁界と電気信号用コイルの発生電磁磁界との方向が90度ずれることによって、電力用コイルと電気信号用コイルの間に、電磁遮蔽部材としてシールド効果を有する部材が必要でなくなるので、非接触ユニットの大きさを小型化、安価で製作することができる。
本発明のロータリージョイントの第四の態様は、前記第二又は第三の態様のロータリージョイントにおいて、前記非接触ユニットAと前記非接触ユニットBとの間で、非接触伝送により、前記固定側ユニットと前記回転側ユニットとの間で、電気的に非接触で電力と電気信号の伝送を行うにあたり、該電力の伝送に該電気信号の伝送を重畳させてなることを特徴とする。
本態様によれば、電力用コイルと電気信号用コイルの2種類が必要であったものが、電力用コイルの1種類だけでよくなることにより、非接触ユニットの小型化、重量軽減をすることができ、ロボットにかかる荷重や荷重モーメントが軽減されることで、ロボットの運搬速度を従来よりも早くさせることができる。さらに、コントローラとツールは、電力線でつながっており、電力線のある場所ならどこからでも電気信号を送受信できるため、コントローラは必ずしもロボットの近くにある必要はなく、任意の場所に設置でき、管理がしやすくなる。
本発明のロータリージョイントの第五の態様は、前記第二から第四の態様のロータリージョイントにおいて、前記非接触ユニットAと前記非接触ユニットBとの間で、非接触伝送により、前記固定側ユニットと前記回転側ユニットとの間で、電気的に非接触で電力の伝送を行うにあたり、電力を該固定側ユニットから該回転側ユニットへの伝送と、該回転側ユニットから該固定側ユニットへの伝送とを可能とする。該固定側ユニットと該回転側ユニットの電力変換部を双方向電力変換機とすることを特徴とする。
本態様によれば、前記回転側ユニットに取り付けるツールがブレーキなどにより減速することによって減少する運動エネルギーを電力に変換して回収することで、エネルギーの利用効率を向上させることができる。
上述したように、本発明のロータリージョイントによれば、ロボットのアーム先端部などに設けられ、流体や電気を固定側ユニットから回転側ユニットに連通する相対的に回転を行う二部材間に配設され、配管と電気配線をコンパクトにまとめたロータリージョイントにおいて、固定側ユニットと回転側ユニットとの間で、電気信号の伝送に非接触ユニットを使用することにより、従来のスリップリングでの伝送に比べて、ロータリージョイントの回転により、スリップリングの接点が磨耗することで、電力と電気信号に対するノイズの発生や、定期的に磨耗粉の除去、パーツの交換などのメンテナンスが不要になる。また、耐水性を持ち、外部からのノイズに対しても従来品よりも耐性を持つことができる。
従来、回転側ユニット又は固定側ユニットに設けた溝部により形成されたリング状の流体通路を流体通路毎に分割するために、流体通路間をシール部材によりシールすることで分割をしていたことによるロータリージョイントの全長の増加による大型化と、シール部材の増加による摺動抵抗の増加や、エンコーダなどの制御機器を使うものになると電気信号用に多くの配線を必要とするものもあり、それに伴い、電気信号用スリップリングも同じ本数の回路が必要になるために、数が多くなるほど、スリップリングの回路の数も多くなり、ロータリージョイントの全長の増加による大型化などの問題があった。本発明では、固定側ユニットに省配線システムを設け、且つ、回転側ユニットに省配線システムとバルブとを設けることにより、ロータリージョイントの流体通路と電気信号の配線を1本ずつにすることができるので、ロータリージョイントの小型化をすることができ、シール部材を最小限に抑えることができるので、摺動抵抗を従来品よりも軽減することができる。また、従来、ロータリージョイントに取り付けるツールを交換することにより、使用する流体や電気信号が変化することで、さらに多い回路が必要になった場合などに対応することができなかった。しかし、本発明では、使用する流体や電気信号が変化したとしても、省配線システムのプログラムとバルブの数を変化させることによって、柔軟に対応することができる。
さらに、本発明のロータリージョイントは、非接触ユニットAと非接触ユニットBとが相互に対向することにより、ロータリージョイントの径方向の大きさを小型化できる。
さらに、本発明のロータリージョイントは、非接触ユニットが、電力の伝送を可能にする電力用コイルと電気信号の伝送を可能にする電気信号用コイルとを含んで構成されることにより、モーターなどの電力で駆動する機器の駆動電力を供給することができ、ケーブルの本数を削減することができる。
さらに、本発明のロータリージョイントは、電力用コイルの発生電磁磁界と電気信号用コイルの発生電磁磁界との方向が90度ずれることにより、電力用コイルの発生電磁磁界と電気信号用コイルの発生電磁磁界との方向がずれていない並行に並べているものに比べて、電力用コイルと電気信号用コイルの間に、電磁遮蔽部材としてシールド効果を有する部材が必要なくなるので、非接触ユニットの小型化、安価で製作することができる。
さらに、本発明のロータリージョイントは、固定側ユニットと回転側ユニットとの間で、電気的に非接触で電力と電気信号の伝送を行うにあたり、電気信号の伝送を電力の伝送に重畳させることにより、電力用コイルと電気信号用コイルの2種類が必要だったものが、電力用コイルの1種類だけでよくなることにより、非接触ユニットの小型化、重量軽減をすることができ、ロボットにかかる荷重や荷重モーメントが軽減されることにより、ロボットの運搬速度を従来よりも早くすることができる。さらに、コントローラとツールは、電力線でつながっており、電力線のある場所ならどこからでも電気信号を送受信できるため、コントローラは必ずしもロボットの近くにある必要はなく、任意の場所に設置できるので管理がしやすくなる。
さらに、本発明のロータリージョイントは、固定側ユニットと回転側ユニットとの間で、電気的に非接触で電力の伝送を行うにあたり、電力を該固定側ユニットから該回転側ユニットへの伝送と、該回転側ユニットから該固定側ユニットへの伝送とを可能とする。該固定側ユニットと該回転側ユニットの電力変換部を双方向電力変換機とすることにより、該回転側ユニットに取り付けるツールがブレーキなどにより減速することによって減少する運動エネルギーを電力に変換して回収することで、エネルギーの利用効率を向上することができる。
以下、本発明のロータリージョイントの形態を図1から図9に基づいて説明する。
図1において、本実施形態に係るロータリージョイント(1)(カッコ内の数字は、図面の符号、以下同様とする。)を備えた回転装置(2)の構成を示す。回転装置(2)は、架台(3)に連結された回転機構(4)と、回転機構(4)により回転するテーブル(5)が設けられ、テーブル(5)上には、ツールが少なくとも1つ設置されている構成をしている。かかる構成において、ツールとしては、エアシリンダを使ったハンドや、モーターを制御して作業を行う電動ハンド、サーボガンなどが用いられる。
図1において、ロータリージョイント(1)は、架台(3)に若干フローティングして回り止めされている固定側ユニット(6)と、回転機構(4)の回転軸に取り付けられ、固定側ユニット(6)と相対的に回転可能に連結された回転側ユニット(7)により構成されている。
図1において、例えば、ツールA(8)に、エアシリンダを使ったハンドなどの複数本の流体を必要とするものを用いる場合、テーブル(5)上にバルブ(9)を取り付けることで、流体を複数本に分岐することができ、バルブ(9)の本数を変えることで、流体の本数が変化しても対応することができる。このとき、バルブ(9)の制御を行うために、コントローラ(10)からバルブ(9)制御用の複数本の電気信号を省配線システムA(11)によって、1本の電気信号に統合して、テーブル(5)上の省配線システムB(12)により、統合されている電気信号を各々の電気信号に再変換することで、バルブ(9)の制御を行う。そして、ロータリージョイント(1)を介すことで、電源(13)をバルブ(9)につなぐことでバルブ(9)が駆動する。
図1において、モーターを制御して作業を行う電動ハンドなどの電気信号の送受信をする必要のあるツールB(14)を用いる場合、コントローラ(10)からツールB(14)への複数本の電気信号を省配線システムA(11)によって、1本の電気信号に統合して、ツールB(14)に内蔵している省配線システムC(15)により、統合されている電気信号を各々の電気信号に再変換することで、ツールB(14)とコントローラ(10)間の電気信号の送受信を行う。そして、ロータリージョイント(1)を介すことで、電源(13)をツールB(14)につなぐことでツールB(14)が駆動する。
以下に説明する図2から図9において、図2は図1のロータリージョイント(1)をさらに詳しく説明するものである。また、図3は本実施例の非接触ユニットを説明するものであり、図4と図5は従来例の非接触ユニットを説明するものである。また、図6から図9は本実施例の各種の配線を説明するものである。
図2は、ロータリージョイント(1)の説明図であり、図3は、本実施例のロータリージョイント(1)内部の非接触ユニットの説明図であり、図4と図5は、ロータリージョイント(1)内部の従来の非接触ユニットの説明図であり、図6は、ロータリージョイント(1)を介して、テーブル(5)上にツールA(8)を取り付けたときの配線図であり、図7は、ロータリージョイント(1)を介して、テーブル(5)上にツールB(14)を取り付けたときの配線図であり、図8は、ロータリージョイント(1)を介して、テーブル(5)上にツールA(8)を取り付けたときの重畳・分離回路を組み込んだときの配線図であり、図9は、ロータリージョイント(1)を介して、テーブル(5)上にツールA(8)を取り付けたときの電力変換部を双方向電力変換機に置き換えたときの配線図である。
図2は本実施形態の図1に記載のロータリージョイント(1)の構造の断面図を示す。図2が示すように、図1に記載の固定側ユニット(6)は、中空の穴が開いている円柱部を持つ固定側ボディ(100)と非接触ユニットA(101)によって構成されており、図1に記載の回転側ユニット(7)は、中心に円形溝部のある中空の穴が設けられている取付フランジ(102)と中空の穴が設けられているベアリング押さえ(103)と非接触ユニットB(104)によって構成されている。
図2において、図1に記載のロータリージョイント(1)は、取付フランジ(102)の円形溝部にシール部材(105)を取り付け、固定側ボディ(100)の円柱部にベアリングA(106)を取り付けて、取付フランジ(102)にもベアリングB(107)を取り付けて、固定側ボディ(100)の円柱部を取付フランジ(102)と、ベアリング押さえ(103)に挿し込むことにより、各中空の穴が連通し、流体通路(108)が設けられ、流体通路(108)を介し、図1に記載の固定側ユニット(6)と回転側ユニット(7)の配管が連通している。
図2において、非接触ユニットA(101)と非接触ユニットB(104)は、相互に対抗する状態になるように、図1に記載の固定側ユニット(6)と回転側ユニット(7)にそれぞれ設けられている。
図3は本実施例のロータリージョイント(1)の内部の非接触ユニットの構造を示す。図3に示すように、非接触ユニットA(109)は、電力の伝送を可能にする電力用コイルA(110)と電気信号の伝送を可能にする電気信号用コイルA(111)と電力用コイルA(110)と電気信号用コイルA(111)を覆うフェライトコアA(112)と、電力用コイルA(110)と電気信号用コイルA(111)とフェライトコアA(112)とを含む全体を覆うケースA(113)により構成され、且つ、非接触ユニットB(114)は、電力の伝送を可能にする電力用コイルB(115)と電気信号の伝送を可能にする電気信号用コイルB(116)と電力用コイルB(115)と電気信号用コイルB(116)を覆うフェライトコアB(117)と、電力用コイルB(115)と電気信号用コイルB(116)とフェライトコアB(117)とを含む全体を覆うケースB(118)により構成される。
図4と図5は従来例の非接触ユニットの構造を示す。図4と図5に示すように、従来の非接触ユニットa(200)は、電力の伝送を可能にする電力用コイルa(201)と電気信号の伝送を可能にする電気信号用コイルa(202)と電力用コイルa(201)と電気信号用コイルa(202)を覆うフェライトコアa(203)と電力用コイルa(201)と電気信号用コイルa(202)の干渉を防ぐための電磁遮蔽部材a(204)と、電力用コイルa(201)と電気信号用コイルa(202)とフェライトコアa(203)と電磁遮蔽部材a(204)とを含む全体を覆うケースa(205)により構成され、且つ、従来の非接触ユニットb(206)は、電力の伝送を可能にする電力用コイルb(207)と電気信号の伝送を可能にする電気信号用コイルb(208)と電力用コイルb(207)と電気信号用コイルb(208)を覆うフェライトコアb(209)と電力用コイルb(207)と電気信号用コイルb(208)の干渉を防ぐための電磁遮蔽部材b(210)と、電力用コイルb(207)と電気信号用コイルb(208)とフェライトコアb(209)と電磁遮蔽部材b(210)とを含む全体を覆うケースb(211)により構成される。
本実施例の非接触ユニットの構造を説明する図3と、従来例の非接触ユニットの構造を説明する図4と図5とを比較すると、電力用コイルA(110)と電力用コイルB(115)の電磁誘導により発生する電磁磁界の方向と電気信号用コイルA(111)と電気信号用コイルB(116)の電磁誘導により発生する電磁磁界の方向とが90度ずれるように配置されることにより、電力の伝送と電気信号の伝送の相互干渉を軽減し、且つ、従来では必要であった電磁遮蔽物a(204)と電磁遮蔽物b(210)が必要なくなるので、小型で安価に製作することができる。
次に図6を説明する。図6は本実施例であるエアシリンダを使ったハンドなどの複数本の流体を必要とする図1に記載のツールA(8)を用いる場合の配線を説明する説明図を示す。図6において、図1に記載の固定側ユニット(6)に設けられる非接触ユニットA(300)と図1に記載の回転側ユニット(7)に設けられる非接触ユニットB(301)は、相互に対向している状態である。
図6において、電気信号の伝送は、コントローラ(302)から送信する複数本の電気信号を、コントローラ(302)に内蔵されている省配線システムA(303)により、1本の電気信号に統合し、非接触ユニットA(300)に電気信号を伝送し、非接触ユニットA(300)から非接触ユニットB(301)に電磁誘導を用いて、非接触伝送が行われる。
図6において、電気信号の伝送は、非接触ユニットB(301)から省配線システムB(304)に電気信号が伝わり、1本に統合されていた電気信号を、各々の電気信号に再変換して、テーブル上に取り付けられているバルブ(305)に電気信号が受信されて、ツールが動く。
図6において、ツールが動くことにより、センサー(306)によるエアハンドの開閉確認の信号は、省配線システムB(304)に伝送され、受信時とは反対の順番で、非接触ユニットB(301)に送信され、非接触ユニットA(300)に非接触伝送されて、省配線システムA(303)に伝送され、コントローラ(302)にエアハンドの開閉確認の信号が受信されることで、電気信号の送受信が行われて、制御を行うことができることになる。
図6において、ツールに外部センサーなどの外付け周辺I/O(307)を取り付けている場合でも、周辺I/O(307)からの信号は、省配線システムB(304)に接続することにより、ロボットとツール間の電気信号の送受信を可能にする。
図6において、電力の伝送は、電源のオン/オフの信号をコントローラ(302)に送り、インバータ(308)を用いて、直流電流から交流電流に変換し、非接触ユニットA(300)から非接触ユニットB(301)に電磁誘導を用いて、非接触伝送が行われる。
図6において、電力の伝送は、非接触ユニットB(301)からコンバータ(309)に電力を伝送し、交流電流から直流電流に変換して、バルブ(305)に電力の伝送が行われる。
次に図7を説明する。図7は本実施例であるモーターを制御して作業を行う電動ハンドなどの電気信号の送受信をする必要のある図1に記載のツールB(14)を用いる場合の配線の構成図を示す。図7において、図1に記載の固定側ユニット(6)に設けられる非接触ユニットA(300)と回転側ユニット(7)に設けられる非接触ユニットB(301)は、相互に対向している状態である。
図7において、電気信号の伝送は、コントローラ(302)から送信する複数本の電気信号を、コントローラ(302)に内蔵されている省配線システムA(303)により、1本の電気信号に統合し、非接触ユニットA(300)に電気信号を伝送し、非接触ユニットA(300)から非接触ユニットB(301)に電磁誘導を用いて、非接触伝送が行われる。
図7において、電気信号の伝送は、非接触ユニットB(301)からサーボドライブ(310)に内蔵してある省配線システムC(311)に電気信号が伝わり、1本に統合されていた電気信号が各々の電気信号に再変換されて、電動ハンドに内蔵されているモーター(312)に電気信号が受信されて、ツールが動く。
図7において、ツールが動くことにより、回転方向、回転位置、回転速度などの情報が、エンコーダ(313)から省配線システムC(311)に伝送され、受信時とは反対の順番で、非接触ユニットB(301)に送信され、非接触ユニットA(300)に非接触伝送されて、省配線システムA(303)に伝送され、コントローラ(302)に該情報が受信されることで、電気信号の送受信が行われて、フィードバック制御を行うことができるようになる。
図7において、ツールに外部センサーなどの外付け周辺I/O(307)を取り付けている場合でも、周辺I/O(307)からの信号は、省配線システムC(311)に接続することにより、ロボットとツール間の電気信号の送受信が可能となる。
図7において、電力の伝送は、電源のオン/オフの信号をコントローラ(302)に送り、インバータ(308)を用いて、直流電流から交流電流に変換し、非接触ユニットA(300)から非接触ユニットB(301)に電磁誘導を用いて、非接触伝送が行われる。
図7において、電力の伝送は、非接触ユニットB(301)から、コンバータ(309)に電力を伝送し、交流電流から直流電流に変換して、サーボドライブ(310)に電力が伝送され、モーター(312)に電力の伝送が行われる。
次に図8を説明する。図8は本実施例である電気信号の伝送を電力の伝送に重畳させた場合の配線を説明する説明図を示す。図8において、電気信号の伝送は、コントローラ(302)から重畳・分離回路A(314)に伝送され、電気信号の伝送を電力の伝送に重畳させることによって、非接触ユニットA(300)に伝送されるものが1本になり、非接触ユニットB(301)に非接触伝送されるものも1本になる。
図8において、電気信号の伝送は、非接触ユニットB(301)に重畳されて伝送されたものが、重畳・分離回路B(315)により、電気信号の伝送と電力の伝送に分離され、それぞれ、前述した経路に沿って送信が行われる。
図8において、センサー(305)による電気信号の伝送は、コントローラ(302)からの送信と同様に、省配線システムB(304)に伝送され、重畳・分離回路B(315)により、電気信号の伝送を電力の伝送に重畳させ、非接触ユニットB(301)から非接触ユニットA(300)に非接触伝送された後、重畳・分離回路A(314)により、電気信号の伝送と電力の伝送に分離されて、送受信されることになる。
図8において、非接触ユニットA(300)と非接触ユニットB(301)は、非接触伝送に必要なコイルが1種類になることにより、ユニット自体の小型化、軽量化を行うことができる。
次に図9を説明する。図9は本実施例である電力変換部を整流回路から双方向電力変換機に変えた場合の配線を説明する説明図を示す。図9において、基本的な仕組みは、前述の電動ハンドを用いたとき(図7参照)と同様で、電力変換機であるインバータ(308)とコンバータ(309)の内部回路を変えることによって、双方向回生インバータ(316)と、双方向回生コンバータ(317)に変更することで、電力を固定側ユニットから回転側ユニットに力行させていただけのものが、回転側ユニットから固定側ユニットに回生することができるようになる。
図9において、例えば、電力の伝送が回生をすることができることにより、回転側ユニットに取り付けるツールに搭載されているモーターがブレーキなどで減速することによって減少する運動エネルギーを電力に変換して回収することができる。よって、モーターを発電機として動作させることができるので、エネルギー利用効率を向上させることができる。