JP3160543B2 - 制振板、この制振板を用いた制振装置、この制振装置を用いたスピーカキャビネットおよびオルゴール - Google Patents

制振板、この制振板を用いた制振装置、この制振装置を用いたスピーカキャビネットおよびオルゴール

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JP3160543B2
JP3160543B2 JP31506696A JP31506696A JP3160543B2 JP 3160543 B2 JP3160543 B2 JP 3160543B2 JP 31506696 A JP31506696 A JP 31506696A JP 31506696 A JP31506696 A JP 31506696A JP 3160543 B2 JP3160543 B2 JP 3160543B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばオーディオ
機器のスピーカキャビネットやオルゴール等の振動源が
駆動時発生する振動を抑制するための制振板、この制振
板を用いた制振装置の技術分野に属し、特に低振動数か
ら高振動数にわたる振動を効果的に抑制する制振板、こ
の制振板を用いた制振装置、および発生する音がその音
の共振音圧および/または駆動時の振動によって変調を
受けないようにしてクリヤーな音を発生させるようにす
るためのスピーカキャビネットおよびオルゴールの技術
分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、オーディオ機器におけるスピーカ
キャビネットは、図26に示すように再生音を発生する
スピーカ31が固定支持された表板32と、この表板3
2に対向するようには位置された裏板33と、これらの
表板32および裏板33を接続する、上方の天板34、
下方の底板35および左右の側板36とから箱状に形成
されている。これにより、図に示すようにスピーカ31
から発生される再生音がスピーカキャビネットの前方へ
放射されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
スピーカキャビネットにおいては、スピーカ31から放
射された音は、スピーカキャビネットの前方だけでな
く、スピーカ31の後方のスピーカキャビネット内に
も、前面からの音波とは逆位相の音波が放射される。こ
のため、スピーカキャビネット内部には、キャビネット
の固有振動による共振現象が生じるとともに、この共振
現象により、定在波が発生する。
【0004】そして、この定在波の音圧がスピーカコー
ンに後面から作用し、前面からの再生音を変調させるた
め、この再生音の音波波形は、スピーカ31に入力され
た信号波形と同一ではなく、歪んだ波形となる。その場
合、この定在波による再生音の変調は、キャビネットの
固有振動数と内部への放射音波の周波数が一致したと
き、最大となる。このとき、キャビネットを構成してい
る各板の振動が最大となり、特にスピーカ31に対向し
ている裏板33の振動が最大となって、音波がこの裏板
33から外部に放射するようになる。したがって、この
とき前面からの再生音を聴くと、再生音は箱鳴りといわ
れる音に感じ、本来の原音そのものの音を聴くことがで
きない。
【0005】そこで、従来は図26に示すようにスピー
カキャビネットの各板の板厚を約9mm以上に厚くして、
定在波の音圧によって各板ができるだけ振動しないよう
にして定在波の音をスピーカキャビネット内に封じ込め
るようにしている。しかしながら、このように単に板厚
を厚くしただけでは十分に各板の振動を十分に抑制する
ことはできないばかりでなく、各板に当たって反射する
音が増幅されるため、定在波がより強くなってしまう。
そのため、更に各板の内面に吸音材37を貼付して定在
波の音をできるだけ吸音したり、あるいは図示しない
が、キャビネット内に吸音のための紙風船を封入して定
在波の音をできるだけ吸音したりすることが行われてい
る。
【0006】しかしながら、これらの吸音材や紙風船で
も定在波の発生防止を効果的にかつ十分に行うことがで
きないばかりでなく、吸音材の貼付状態や風船の内部圧
力状態および封入状態が作業者によってばらついてしま
い、常に安定した吸音特性を得ることができないという
問題が依然として生じている。
【0007】また、各板厚を厚くすることでキャビネッ
トの重量が重くなるばかりでなく、吸音材の貼付作業や
風船の封入作業が煩雑であり、しかもコストが高いとい
う問題もある。
【0008】またオルゴールにおいても、音源ムーブメ
ントの振動や音源ムーブメントの発生する音によってオ
ルゴール箱の内部に、定在波が発生し、外部に放射され
る音が変調されてしまうという問題がある。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、振動源の振動をより一層
効果的に制振することができるとともに、安定した吸振
特性を有する構造が簡単でかつ安価な制振板および制振
装置を提供することである。
【0010】本発明の他の目的は、スピーカからの再生
音が変調を受けないようにして、原音そのものにできる
だけ近づけたクリヤーな音を出することのできるスピー
カキャビネットを提供することである。
【0011】本発明の更に他の目的は、音源ムーブメン
トの発生する音が変調を受けないようにして、音源ムー
ブメントの発生する音そのものにできるだけ近づけたク
リヤーな音を出すことのできるオルゴールを提供するこ
とである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明の制振板は、一端が固定端となっ
ている所定幅の腕部と、この腕部の他端に連結されてい
る質量部とからなり、前記腕部と前記質量部とはともに
平らな薄板から形成されている制振板であって、前記質
量部が、前記制振板の重心Gが前記腕部の一側に位置す
るようにして前記腕部に連結されており、前記質量部の
一部が前記腕部との連結部より前記腕部側に延設されて
いるとともに、前記質量部の一部と前記腕部との間に所
定幅で所定長さの間隙が形成されていて、所定の固有振
動数帯域を有していることを特徴としている。
【0013】また請求項2の発明は、前記間隙の先端で
ある、前記質量部の一部と前記腕部との連結部が、前記
制振板の前記重心より前記腕部側に位置しかつ前記重心
にきわめて接近されていることを特徴としている。
【0014】更に請求項3の発明は、前記腕部の厚みが
前記質量部の厚みより薄くされていることを特徴として
いる。更に請求項4の発明は、前記質量部の前記腕部と
反対側の周縁形状が多角形状または湾曲形状に形成され
ていることを特徴としている。更に請求項5の発明は、
前記制振板の表面に植毛が施されていることを特徴とし
ている。
【0015】更に請求項6の発明は、大きさが種々の異
なる相似形に形成された所定枚数の前記制振板からな
り、これらの制振板がそれぞれ異なる固有振動数帯域を
有しているとともに、1つの制振板の前記固有振動数帯
域の一部と次の大きさの制振板の前記固有振動数帯域の
一部とが互いに重なるように、前記各制振板の固有振動
数帯域がそれぞれ設定されていることを特徴としてい
る。
【0016】更に請求項7の発明の制振装置は、請求項
1ないし5のいずれか1記載の制振板と、振動源の振動
によって振動される振動板と、この振動板に固定され、
前記制振板の前記腕部を固定支持する固定支持台とを少
なくとも備えていることを特徴としている。
【0017】更に請求項8の発明は、請求項6記載の制
振板と、振動源の振動によって振動される振動板と、こ
の振動板に固定され、前記各制振板の前記各腕部を固定
支持する固定支持台とを少なくとも備えていることを特
徴とする制振装置。
【0018】更に請求項9の発明、前記制振板を種々の
枚数に分けて所定数の組に分割し、これらの制振板の組
を所定の間隔を置いて段重ねした状態で前記固定支持台
に固定支持されていることを特徴としている。更に請求
項10の発明は、前記制振板と前記固定支持台との間に
ダンパが設けられていることを特徴としている。
【0019】更に請求項11の発明のスピーカキャビネ
ットは、スピーカを支持する表板、裏板、天板、底板お
よび左右側板から箱状に形成されたスピーカキャビネッ
トにおいて、前記表板、裏板、天板、底板および左右両
側板の少なくとも1つの板は前記スピーカの発生する音
によって振動するような薄板で形成されて前記振動板が
構成され、前記振動板を構成する前記1つの板のスピー
カキャビネット内面側に前記請求項7ないし9のいずれ
か1記載の制振装置が固定支持されていることを特徴と
している。
【0020】更に請求項12の発明は、スピーカを支持
する表板、裏板、天板、底板および左右側板から箱状に
形成されたスピーカキャビネットにおいて、前記請求項
10記載の制振装置を、前記表板、裏板、天板、底板お
よび左右両側板の少なくとも1つの板のスピーカキャビ
ネット内面側に固定支持されていることを特徴としてい
る。
【0021】更に請求項13の発明のオルゴールは、駆
動時音を発生する音源ムーブメントと、この音源ムーブ
メントを固定支持する底板とを備えて、箱状に形成され
たオルゴールにおいて、前記底板が前記音源ムーブメン
トの駆動時にこの音源ムーブメント自体の振動および/
または前記音源ムーブメントからの音によって振動する
ような薄板で形成されて前記振動板を構成し、前記底板
の所定位置に前記請求項7ないし9のいずれか1記載の
制振装置が固定支持されていることを特徴としている。
【0022】更に請求項14の発明は、駆動時音を発生
する音源ムーブメントと、この音源ムーブメントを固定
支持する底板とを備えて、箱状に形成されたオルゴール
において、前記底板の所定位置に前記請求項10記載の
制振装置が固定支持されていることを特徴としている。
【0023】
【作用】このような構成をした本発明の制振板および制
振装置においては、間隙が設けられることにより、固有
振動数帯域の幅が効果的に広がるとともに、全体的に固
有振動数帯域が低振動数側にシフトするようになる。こ
れにより、制振板は幅のより広い周波数帯域の振動数に
対応して共振するとともに、この制振板の共振の板振動
により、振動源の振動の機械的エネルギが制振板の内部
摩擦で熱エネルギに変換されてることにより吸振される
ようになる。したがって制振板は振動数が広い周波数帯
域にわたるような振動も確実にかつ十分に吸振するよう
になる。
【0024】その場合、制振板の大きさ、形状、腕部の
厚み、質量部の質量により、その基本固有振動数が変化
するので、制振板のこれらの要素を適宜の値に設定する
ことにより、制振板の基本周波数を調節することができ
る。
【0025】また、大きさの異なる相似形状の制振板を
複数組み合わせることにより、それぞれの制振板が有す
る異なる固有振動数帯域が組み合わされるようになるの
で、総固有振動数帯域がきわめて大幅に広がるようにな
る。したがって、このような複数の制振板を用いて制振
装置を形成することにより、低振動数から高振動数まで
きわめて広い振動数帯域の振動が確実にかつ十分に吸振
されるようになる。
【0026】更に制振板に植毛を施すことにより、制振
板がその板振動により振動を吸収するばかりでなく、植
毛の多数のパイル間に空気層が形成され、この植毛が多
孔質の吸音材として機能し、約200Hz以上の中高周
波数域の音波を吸収するようになる。
【0027】更に制振板に所定の重さの重りを設けるこ
とにより、重心点の位置を調節し、制振板の、重りを設
けた部分を含む領域の固有振動数が変化するようにな
る。したがって、制振板の重りを設ける位置を適宜設定
することにより、制振板の固有振動数帯域を調整するこ
とができる。
【0028】更にスピーカキャビネットの裏板に制振板
を設けることにより、スピーカからの音によって裏板が
振動すると、制振板がその音の周波数に対応して共振す
るようになる。この制振板の共振により、裏板の振動の
エネルギが制振板の熱エネルギに変換されるので、裏板
の振動が吸収されるとともに、裏板からのキャビネット
内部への音波の反射が抑制され、キャビネット内部での
共振がなくなり、定在波の発生もなくなる。したがっ
て、スピーカから前方へ放射された再生音は、定在波に
よって変調されて歪むことはほとんどなく、メリハリの
利いたクリヤーな、原音そのものにきわめて近い音とな
る。
【0029】更にオルゴールの音源ムーブメントを固定
支持する底板を、音源ムーブメントの駆動時の振動およ
び/または音源ムーブメントの発する振動によって共振
するような薄板によって形成するとともに、この底板に
制振板を設けることにより、音源ムーブメントの駆動に
よって底板が振動すると、制振板が底板の振動数に対応
して共振するようになる。この制振板の共振により、前
述と同様にオルゴール箱内部の音を吸収して定在波の発
生を防止するので、音源ムーブメントから発した振動
は、オルゴール箱表面から、変調されて歪むことのない
クリヤーな音として、外部に放射される。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態を説明する。図1は、本発明による制振板の実施
の形態の一例を示し、(a)はその平面図、(b)はそ
の正面図、(c)はその右側面図である。
【0031】図1に示すように本例の制振板1は、一端
が固定端2aとなっている所定幅w1の腕部2と、この
腕部2の他端2bに連結されている質量部3とからな
り、腕部2と質量部3とはベークライト、アクリルある
いはビニール等の樹脂あるいは金属板の所定厚さ(例え
ば、2mm)の平板の単一部材から一体に形成されてい
る。
【0032】質量部3は、制振板1の重心Gが腕部2の
一側に位置するようにしてこの腕部2に連結されてい
る。また、質量部3は4つの角3a,3b,3c,3dを
有する多角形に形成されているとともに、その質量が腕
部2の延長線上にある角3a側よりも固定端2a側に偏
った形状すなわち角3a側が先細りにかつ固定端2a側
が幅広に形成されている。更に、質量部3の一部3eが
腕部2との連結部(腕部2の他端2bの位置)より腕部
2側に延設されている。
【0033】この質量部3において角3dを形成する部
分3eと腕部2との間にほぼ等しい所定幅w2で所定長
さLの間隙4が形成されている。すなわち、質量部3の
一部3eが腕部2の他端2bから固定端2a側に、この
腕部2との間に間隙4を形成するようにして突出してい
る。この間隙4は、腕部2と質量部3との一体の単一平
板に形成されるスリット、切り込み、あるいは狭幅の凹
嵌部により構成することができる。
【0034】制振板1の振動周波数帯域を可能な限り広
くするために、間隙の幅w2は可能な限り小さく設定す
ることが望ましいとともに、この間隙4の一端部4a
の、図1(a)において左右方向位置(すなわち腕部2
の他端2bの左右方向位置と同じ)が、重心Gの左右方
向位置G1を左側に超えない範囲でこの左右方向位置G1
にできるだけ接近して設定するのが望ましい。しかし、
間隙4は必ずしもこれに限定されなく制振板1の使用状
態に応じて適宜任意に設定することができる。
【0035】同様に制振板1の振動周波数帯域を可能な
限り広くするためには、腕部2の幅w1は可能な限り小
さく設定することが望ましいが、あまり幅w1を小さく
すると、腕部2の強度が得られなくなるので、制振板1
が振動抑止機能を発揮するために必要な強度が得られる
範囲で幅w1を小さく設定する必要がある。
【0036】このように構成された本例の制振板1は、
図2(a)および(b)に示すように腕部2の固定端2
aを例えば固定台5の上に載置するとともに、この固定
端2aを押さえ部材6により上から押さえかつ固定ボル
ト7を固定台5に締結して固定台5と押さえ部材6との
間に挟圧することにより、堅固に固定支持される。
【0037】ところで、このように制振板1が固定支持
された状態で、質量部3の周縁の1点を上から力Fで押
圧して下方に押し下げて弾くと、制振板1は振動するよ
うになる。このときの一次固有振動数(以下、単に固有
振動数と表記する)fは、質量部3の周縁の位置によっ
て変化する。実際に試験した結果、図3に示すように角
3aと角3bの間で角3bに近い質量部3の周縁位置3
fで固有振動数f3fが最も低く、以下角3a,3b,3
c,3dの順に各固有振動数f3a,f3b,f3c,f3dが高く
なる(つまり、f3f<f3a<f3b<f3c<f3d)ことが
分かった。なお、図3において縦軸は制振板3fの周縁
の各位置における大きな振幅で共振しやすいことを表
し、便宜上これを本発明では共振容易度(あるいは共振
鋭度)と呼ぶことにする。
【0038】このように制振板3fの周縁の各位置3
a,3b,3c,3d,3fにおける各固有振動数がそれぞ
れ異なるのは次のように考えられる。いま、質量部3の
周縁の各位置3a,3b,3c,3d,3fを下方に押し下
げたとき、図2(a)に示すように制振板1の上下動しな
い点を結んだ線(本発明では、便宜上振動軸と呼ぶ)が
各位置3a,3b,3c,3d,3fに対応してそれぞれ生
じる。その場合、各振動軸は必ず腕部2を横切るように
なるとともに、重心Gから各振動軸までの各距離をそれ
ぞれL3a,L3b,L3c,L3d,L3fとすると、各距離は、L
3f>L3a>L3b>L3c>L3dとなる。そして、重心Gか
ら振動軸までの距離が長くなるほど固有振動数fは低く
なると考えられるから、前述のように各固有振動数はf
3f<f3a<f3b<f3c<f3dとなると考えられる。
【0039】次に、図4に示すような間隙4がない制振
板1′を考える。この制振板1′は前述の図1に示す制
振板1において間隙4を削除した制振板1の外形形状と
全く同じ外形形状に形成されている。なお、便宜上制振
板1′の各部位の符号は、図1の制振板1と対応する部
分の符号に「′」を付して表記する。この制振板1′は
間隙4がないことから、実質的に図1に示す制振板1の
腕部2の機能を有さないとともに、突状の角3dに対応
する角3′dは突状とはなっていない。
【0040】この制振板1′を図2に示すと同様に固定
台5に堅固に固定支持して、それぞれの固有振動数を測
定すると、図3に間隙4のない制振板1′の固有振動数
帯域として示されている結果が得られた。この結果から
明らかなように、間隙4のない制振板1′では、共振容
易度が本発明の間隙4のある制振板1より小さい、すな
わち大きな振幅で共振し難いことがわかった。これは、
間隙4がないことにより振動抑止版1′の曲げおよびね
じりの全体的な剛性が間隙4のある制振板1より大きい
ことによるものと考えられる。
【0041】また間隙4のない制振板1′では、位置
3′dでの固有振動数f′はほとんど得られなかった。
これは、位置3′dが制振板1′の固定端2aすなわち
固定支持部にきわめて近く、しかも制振板1′に腕部が
実質的にないことから、この点3′dでの上下動がほと
んどないことによるものであると考えられる。
【0042】更に、間隙4のない制振板1′の固有振動
数f′の帯域は間隙4のある制振板1の固有振動数fの
帯域よりきわめて狭くなるとともに、全体的に制振板
1′の固有振動数f′は制振板1の固有振動数fより高
くなることが分かる。すなわち、間隙4を設けることに
より、制振板1の固有振動数fの帯域が大幅に広がると
ともに、全体的に固有振動数がかなり低くシフトするこ
とが分かる。
【0043】次に、このように構成された本例の制振板
1を用いた制振装置の一例について説明する。図5
(a)および(b)に示すように、この制振装置8は、
同形状で同寸法の4枚の制振板1と、固定台5と、押さ
え部材6と、固定ボルト7とを備えている。そして、固
定台5を図示しない振動源等によって振動される振動板
9に堅固に固定するとともに、各制振板1の各腕部2の
固定端2aを、それぞれ固定台5と押さえ部材6との間
で固定ボルト7により挟圧することにより堅固に固定支
持する。
【0044】このように構成された本例の制振装置8に
おいては、振動板9が振動すると、固定台5を介して制
振板1が振動するようになる。そして、振動板9の振動
の振動数が図3に示す制振板1の固有振動数帯域内にあ
るときは、振動板9の振動の振動数と同じ固有振動数f
を有する制振板1の周縁位置における振動軸に沿って、
制振板1が共振するようになる。その場合、振動源の振
動の機械エネルギが振動板9の振動の機械エネルギに変
換され、更にこの振動板9の機械エネルギは、制振板1
の板振動によって生じる制振板1の内部摩擦で熱エネル
ギに変換されて放散される。
【0045】このように、振動板9の振動の機械エネル
ギは制振板1の熱エネルギに変換されて放散されるの
で、振動板9の振動はこれらの制振板1が振動すること
によって効果的に抑制されるようになる。その場合、制
振板1による振動板9の吸振は制振板1の共振時に最大
となるので、制振板1が共振することにより、振動板9
の振動が大きく抑制される。そして、図3に示すように
制振板1の固有振動数fの帯域が比較的広い範囲にわた
っているので、振動板9の振動が振動数の比較的広い範
囲にわたって抑制されるようになる。
【0046】また、制振板1は従来普通にあるベークラ
イト、アクリルあるいはビニール等の樹脂板、薄鋼鉄板
あるいはリン青銅板の薄板を簡単な所定形状にかつ間隙
4を形成するように切断加工、打ち抜き加工あるいは射
出成形加工(樹脂の場合)するだけで済むので、簡単に
かつ安価にしかも大量に製造することができる。しか
も、この制振板1を単に所定枚数組み合わせ、ボルト等
の固着具で堅固に固定するだけでよいので、制振装置8
の構成および組立がきわめて簡単である。その場合、制
振板1の形状構造が簡単であることから、制振板1の振
動特性が制振板1の製造者によってほとんどばらつくこ
とはなく、制振板1は安定した振動特性を有するように
なる。したがって、制振装置8の吸振性能もばらつくこ
となく安定したものとなり、制振したい振動数の振動を
確実に吸振できる制振装置8を容易に設計することがで
きる。
【0047】なお、制振板1は4枚に限定されることな
く、例えば図6に示すように制振板1を5枚設けること
もできるのを始め、振動板9の状況に応じて1枚以上何
枚でも設けることができる。また、制振板1、固定台5
および押さえ部材6は、振動源によって振動される振動
板9に必ずしも設ける必要はなく、振動源それ自体に直
接設けるようにすることもできる。更に、制振板1を振
動源あるいは振動板9に直接固定することにより、固定
台5、押さえ部材6を省略することもできる。更に、制
振板1は必ずしも固定ボルト7によって固定支持する必
要はなく、ねじあるいはビス等の他の固着具を用いて固
定支持してもよいし、あるいはこれらの固着具を用いる
ことなく、接着剤等で直接固定支持することもできる。
【0048】図7(a)ないし(d)は、本発明の制振
装置の実施の形態の他の例を示す図である。図7(a)
ないし(d)に示すように、本例の制振装置8は、同形
状で異なる寸法の4枚の制振板1A,1B,1C,1Dを
備えているとともに、4枚の制振板1A,1B,1C,1
Dはこれらの順に小さくなっている。なお、図7には図
示しないが各制振板1A,1B,1C,1Dの各位置の符
号は図1に示す対応する位置の符号と同じ符号を付して
説明することにする。
【0049】図8に示すようにこれらの制振板1A,1
B,1C,1Dはそれぞれ異なる幅の固有振動数帯域を有
しているとともに、全体的には固有振動数はこれらの順
に高く、更に共振の容易度がこれらの順に小さくなって
いる。その場合、制振板1Aの固有振動数帯域の一部と
制振板1Bの固有振動数帯域の一部とが互いに重なるよ
うに、また制振板1Bの固有振動数帯域の他の一部と制
振板1Cの固有振動数帯域の一部とが互いに重なるよう
に、更に制振板1Cの固有振動数帯域の他の一部と制振
板1Dの固有振動数帯域の一部とが互いに重なるよう
に、各制振板1A,1B,1C,1Dの固有振動数帯域が
それぞれ設定されている。このように、制振板1A,1
B,1C,1Dの大きさによって固有振動数が異なること
から、制振板1A,1B,1C,1Dの大きさを適宜設定
することにより、固有振動数を調節することができる。
また、質量部の質量の大きさまたは腕部の厚みによって
も、固有振動数が異なり、したがって制振板1A,1B,
1C,1Dのこれらの値を適宜設定することにより、同
様に固有振動数を調節することができる(質量部の質量
の大きさまたは腕部の厚みによる固有振動数の相違の詳
細については、後述する)。
【0050】そして図9(a)および(b)に示すよう
に、これらの各制振板1A,1B,1C,1Dは、前述の
例の制振装置8と同様にそれらの腕部2の固定端2aが
それぞれ振動板9に固定された固定台5と押さえ部材6
との間で固定ボルト7により挟圧されることにより堅固
に固定支持されている。その場合、制振板1A,1B,1
C,1Dの順に反時計回りに配置されている。しかし、
これらの制振板1A,1B,1C,1Dの配置順はこれに
限定されることなく、任意に設定することができる。
【0051】このように構成された本例の制振装置8に
おいては、各制振板1A,1B,1C,1Dがそれぞれ図
8に示すような固有振動数帯域を有しているので、その
総固有振動数帯域は、制振板1Aの最小固有振動数3f
から制振板1Dの最大固有振動数3dまで一層大幅に広
い範囲となっている。したがって、この例の制振装置8
では、振動板9の振動が一層広い振動数範囲にわたっ
て、効果的に抑制されるようになる。
【0052】なお、本例の制振装置8においても、前述
の図6に示す制振装置8と同様に、例えば図10に示す
ように同形状で異なる大きさの制振板1A,1B,1C,
1D,1Eを5枚設けることもできるのを始め、振動板
9の状況に応じて2枚以上任意の枚数設けることができ
る。その他は、図5および図6の場合と同様である。
【0053】また図11に示すように、例えば6枚の制
振板1A,1B,1C,1D,1E,1Fを、押さえ部材6
a,6b,6cにより3段に所定間隔を置いて重ねて設け
るようにすることもできる。もちろん、制振板を2段以
上適宜の段数に重ねることができることおよび1段あた
りの制振板の枚数を1枚以上適宜の枚数設けることがで
きることは言うまでもない。このように制振板を段重ね
することは、平面的な設置スペースがあまりない場合に
特に好適である。
【0054】図12は、本発明の制振装置の実施の形態
の更に他の例について説明する。図12に示すように、
この例の制振装置8は、同形状で寸法の異なる8枚の制
振板1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1Hを備え
ている。これらの8枚の制振板1A,1B,1C,1D,1
E,1F,1G,1Hは、図8に示す固有振動数帯域と同
様にそれぞれそれらの固有振動数帯域の一部が重なるよ
うにして設定されている。そして、これらの制振板は4
枚ずつ1組として、それぞれ振動板9に堅固に固定され
た2つの固定台5a,5bに、前述と同様の固定方法で
堅固に固定支持されている。8枚の制振板1A,1B,1
C,1D,1E,1F,1G,1Hはすべて同方向に配置さ
れているが、各制振板の向きおよび配置の順番は任意に
設定することができる。
【0055】また、2組の制振板の固定台5a,5bは
ともに振動板9の所定位置に固定されている。その場
合、振動板9の最も大きな振幅の位置(例えば周辺固定
の振動板の場合はほぼ中央位置)に、最も大きな制振板
1Aを配置するようにすれば、振動板9の低い振動数の
振動をより効果的に抑制することができるようになる。
しかし、これに限定されることなく、2組の制振板は振
動板9の振動を低振動数から高振動数まで効果的に吸収
できるように配置すればよい。
【0056】このように構成された本例の制振装置8に
おいては、その総固有振動数帯域は、前述した8枚の制
振板1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1Hの異な
る固有振動帯域により、前述の例の制振装置8の図8に
示す総固有振動数帯域に比べて更に一層広くなってい
る。また、このように2つの固定台5a,5bに平面的
に分割して制振板を設けることは平面的な設置スペース
がある場合に特に好適である。
【0057】なお、この例の制振装置8において、更に
各組の固定台5a,5bに、図11に示すように制振板
1を2段以上、段重ねで設けることもできる。このよう
にすれば、制振装置8の総固有振動数帯域が更に一層広
範囲に設定される。
【0058】図13は、本発明の制振板1の実施の形態
の更に他の例を示す図である。図13に示すように、こ
の例の制振板1は角3bの位置に固定された重り10を
備えている。この重り10の質量は制振板1の質量に比
べて小さく設定されている。本例の制振板1の他の構成
は、前述の各例の制振板と同じである。
【0059】このように重り10が設けられることによ
り、制振板1の重心G′の位置が重り10のない制振板
1の重心Gの位置から重り10の方向すなわち角3bの
方向に若干シフトするようになる。この重心移動によ
り、重心G′から各振動軸までの距離のうち、角3b,
3cに対応する振動軸までの距離L3b,L3cが若干変化
し、角3a,3f,3dに対応する振動軸までの距離
3a,L3d,L3fがほとんど変化しない。すなわち、各位
置の固有振動数fのうち、角3b,3cにおける固有振
動数f3a,f3dが若干変化し、角3a,3d,3fにおけ
る固有振動数ff3a,f3d,f3fがほとんど変化しない。
このように、重り10を角3bに設けることにより、制
振板1のいくつかの固有振動数を、他の固有振動数をほ
とんど変化させることなく若干変化させることができる
ようになる。なお、重り10を設ける位置は、角3bに
限定されることなく、制振板1の任意の位置に設けるこ
とができる。
【0060】したがって、重り10の設置位置を適宜設
定することにより、例えばその制振板1の最小固有振動
数を若干小さくしたり、その制振板1の最大固有振動数
を若干大きくしたりするなど、制振板1の所定の固有振
動数を微調整することができるようになる。本例の制振
板1の他の作用効果は図1に示す作用効果とほぼ同じで
ある。
【0061】また、本例の制振板1を用いて、前述の各
例の制振装置8と同じように制振装置8を構成すること
ができ、しかもそのときの制振装置8の作用効果も前述
の各例の制振装置8の作用効果と同じである。
【0062】図14は、本発明の制振板1の実施の形態
の更に他の例を示す図である。前述の各例に示す制振板
1の質量部3の外形がいずれも多角形に形成されている
が、図14に示すようにこの例の制振板1は、その質量
部3の各位置3a,3f,3b,3c,3dを結ぶ周縁部が
湾曲形状に形成されている。したがって、突状の角は点
3a,3dで形成されるのみで、他の点3b,3c,3f
では角は形成されない。そして、前述の各例と同様に質
量部3の質量が腕部2の固定端側に偏った形状とされて
いる。本例の制振板1の他の構成は、前述の各例の制振
板と同じである。また、本例の制振板1の作用効果も図
1に示す作用効果とほぼ同じである。更に、本例の制振
板1を用いて、前述の各例の制振装置8と同じように制
振装置8を構成することができ、しかもそのときの制振
装置8の作用効果も前述の各例の制振装置8の作用効果
と同じである。
【0063】図15および図16は、それぞれ本発明の
制振装置8の実施の形態の他の例を示す図である。図1
5に示す制振装置8は、図1に示す周縁が多角形に形成
された制振板1と、図14に示す周縁が湾曲した弧状に
形成され、図1の制振板1とほぼ同じ大きさの制振板1
とを、2枚ずつ組み合わせて構成されている。本例の他
の構成は図5に示す制振装置8と同じであり、また本例
の制振装置8の作用効果も図5に示す制振装置8のそれ
と同じである。
【0064】また、図16に示す制振装置8は、図1に
示す周縁が多角形に形成された制振板1と、図14に示
す周縁が湾曲した弧状に形成された制振板1とを、互い
に異なる大きさのもの2枚ずつ組み合わせて構成されて
いる。本例の他の構成は図9に示す制振装置8と同じで
あり、また本例の制振装置8の作用効果も図9に示す制
振装置8のそれと同じである。
【0065】図15および図16に示す制振装置8は、
いずれも異なる形状の制振板を2枚ずつ組み合わせてい
るが、異なる形状の制振板を他の枚数組み合わせること
もできるし、それぞれ異なる枚数組み合わせることもで
きる。
【0066】図17(a)ないし(d)は、本発明の制
振板1の実施の形態の更に他の例を示す図である。図1
7(a)ないし(d)に示すように、本例の制振板1は
その腕部2および質量部3の全面に植毛11が施されて
いる。この植毛11の処理は、例えば約2万Vの静電気
を用いて、制振板1の面に対して垂直に約数mm程度の樹
脂の多数のパイルを電着植毛することにより行われる。
この植毛11は多数のパイル間に空気層が形成されて多
孔質の吸音材として機能し、約200Hz以上の中高周
波数域の音波を吸収するようになる。
【0067】したがって、このような植毛11を施され
た制振板1においては、例えば後述するようにこの制振
板1を音響装置に用いた場合、約200Hz以上の中高
周波数領域の音波が主にこの植毛11によって吸収され
るとともに、約200Hzより小さい低周波数領域の音
波が主に制振板1の板振動によって吸収されるようにな
る。本例の制振板1の他の構成は図1に示す制振板1の
それと同じである。また、本例の制振板1の作用効果お
よび本例の制振板1を使用した制振装置8も図1に示す
制振板1による制振装置8と同じである。
【0068】次に、このような制振板1を用いた制振装
置の具体的な応用例のいくつかを説明する。図18は、
本発明の制振装置をオーディオ機器におけるスピーカキ
ャビネットに適用した場合の一例について説明する図で
ある。
【0069】図18に示すようにスピーカキャビネット
12は、ウーファー等のスピーカ13が取り付けられる
表板12a、天板12bおよび底板12cが、ともに従
来と同じ材料で同様にスピーカ11の発する音の音圧に
よってはほとんど振動しないように形成されているが、
裏板12dが比較的薄い厚さ(例えば、約2.3mm)の
板材で形成されていてスピーカ11の音の音圧によって
振動するようになっている。
【0070】本例の制振装置8は、裏板12dを前述の
振動板9として利用し、この裏板12dに、例えば図1
1および図14に示すと同様に同形状で異なる大きさで
植毛11が施された所定枚数(図18に示す例では6
枚)の制振板1A,1B,1C,1D,1E,1Fを振動し
た場合にも互いに接触することなく所定段数(図18に
示す例では3段)に重ねて構成されている。その場合、
各制振板を裏板12dの適宜任意の位置に設ければよい
が、特に裏板12dの振動を効果的に抑制するために
は、裏板12dの振動の振幅が最も大きな位置すなわち
裏板12dの中心位置に制振板を設けることが望まし
い。
【0071】そして、この制振装置8の図8に示す総固
有振動数帯域が、箱鳴り現象の原因となる約20Hzか
ら約200Hzまでの周波数帯域をカバーする大きさと
なるように、各制振板の大きさ、厚み、形状および材質
が設定されている。更に、裏板12dのキャビネット内
側の部分にも、植毛11が施されている。
【0072】このように構成された本例のスピーカキャ
ビネット12においては、振動板9として機能する裏板
12dがスピーカ13から発せられた音の音圧によって
振動するとともに、この裏板12dの振動が各制振板1
A,1B,1C,1D,1E,1Fに伝達され、これらの制
振板も振動する。このとき、裏板12dの振動の振動数
はスピーカ13から発せられた音の周波数によって決定
され、したがって各制振板のうち、その音の周波数と等
しい固有振動数を含む固有振動数帯域を有する制振板が
その固有振動数部分で共振するようになる。これによ
り、裏板12dの振動が吸収、抑制される。特に、約2
00Hzより低い低周波数の音波が主に制振板1A〜1F
の板振動により効果的に吸収されるとともに、約200
Hz以上の中高周波数の音波が、主に制振板1A〜1Fお
よび裏板12dにそれぞれ施された植毛11によって効
果的に吸収される。これにより、スピーカ13から発せ
られた音がスピーカキャビネット12の内部に放射され
ても、反射音がなくなり、したがって定在波の発生もな
くなるので、スピーカキャビネット12の箱鳴りが効果
的に抑制されるようになる。その結果、スピーカ13か
ら前方に発せられる再生音はほとんど変調されなく、従
来のスピーカキャビネットのような定在波によって変調
された再生音より、過度特性が良好になり、実際に聞い
た感じの音の音域(以下、本発明では聴感音域ともい
う)が広がりかつ区切りがよくなって、クリヤーな音に
聞こえるようになる。
【0073】したがって、従来のスピーカキャビネット
に比べて、本例のスピーカキャビネット12からは、生
の音により一層近いクリアな再生音が前方へ発せられる
ようになり、ユーザーは生演奏に近い音楽を楽しめるよ
うになる。
【0074】図19に示すように、従来のスピーカキャ
ビネットにおいては、キャビネットの固有振動数f0
り高い周波数の高音領域で、従来のスピーカキャビネッ
トからの再生音の周波数f1′,f2′が、原音(発振器
の周波数)の周波数f1,f2より低く実際には聞こえる
感じがするとともに、キャビネットの固有振動数f0
り低い周波数の低音領域で、従来のスピーカキャビネッ
トからの再生音の周波数f3′,f4′が、原音(発振器
の周波数)の周波数f3,f4より高く実際には聞こえる
感じがする。すなわち、従来のスピーカ13からの再生
音はスピーカキャビネット内部に発生するキャビネット
の固有振動数f0の定在波によって変調されて聴感音域
が圧縮されるので、固有振動数f0より上下の音がこの
固有振動数f0に収れんした音に聞こえる。これが、い
わゆるキャビネットの箱鳴りと称される現象である。こ
れに対して、本発明のスピーカキャビネット12では、
定在波が制振装置8によって吸収されるので、再生音が
ほとんど変調されなく、スピーカ13から発生された再
生音は原音に近いものとなり、箱鳴り現象は生じない。
この箱鳴り現象とは次のような現象をいう。すなわち、
図19から明かなように、裏板12dが厚板である従来
のキャビネットでは、スピーカ再生音の聴感音域が圧縮
されるとともに、多くの変調歪みを含んでいる。このよ
うにスピーカ再生音の聴感音域が圧縮されることを、一
般にキャビネットの箱鳴りと称されている。
【0075】更に、このようにスピーカキャビネット1
2内の定在波が制振装置8によって吸収されることか
ら、従来一般的なスピーカ装置に用いられている図27
に示すようなスピーカの背面を覆うバックチャンバが不
要となる。
【0076】なお本例では、制振板1および裏板12d
に植毛11を施しているが、植毛11は必ずしも必要で
はなく、植毛11を省略しても、十分に吸音効果を得る
ことができる。もちろん、植毛11は裏板12dについ
ては省略し、制振板1のみに設けてもよい。
【0077】また、スピーカ13からの音の音圧による
スピーカキャビネット12内の定在波発生を更に一層効
果的に抑制するために、制振装置8および植毛11を天
板12b、底板12c、および側板12eの少なくとも
1つにも設けるようにすることもできる。更に、植毛1
1の代わりに、従来と同様に吸音材12をキャビネット
の内面側に設けるようにしてもよい。更に、射出成形機
により、複数枚の制振板と固定台とを一体に製造しても
よい。
【0078】図20は、本発明の制振装置をオーディオ
機器におけるスピーカキャビネットに適用した場合の他
の例について説明する図である。なお、前述の例と同じ
構成要素には同じ符号を付すことによりその詳細な説明
は省略する。
【0079】図18に示す例のスピーカキャビネット1
2では、裏板12dを薄板から振動板9として形成して
いるが、図20に示すように本例のスピーカキャビネッ
ト12は、図26に示すスピーカキャビネットのような
従来の一般に市販されているスピーカキャビネット12
がそのまま用いられている。したがって、裏板12dは
きわめて厚く、キャビネット12内に放射される音波に
よって発生する振動がある程度は抑制されている。そし
て、この裏板12dに制振装置8が取り付けられてい
る。この制振装置8は、ダンパ18と、4つの制振板組
立体19A,19B,19C,19Dと、ねじ棒20と、
ちょうナット21とから、ユニットとして構成されてい
る。
【0080】ダンパ18は、図21に示すように薄い帯
板からなる上下2枚の緩衝板22,23を備えており、
これらの緩衝板22,23は、制振板1Aと同厚の同じ
板材から形成されているとともに、それらの両端に接着
剤で接着された間隔材24,25により所定間隔に保持
されている。なお、緩衝板22,23は、制振板1Aの
材質と異なる材質の他の薄板から形成することもできる
し、また制振板1Aの厚さと異なる厚さに形成すること
もできる。
【0081】上側の緩衝板22の中央部には、ねじ棒2
0の一端が螺合、固定される雌ねじ26aが切られた正
方形の厚板からなる雌ねじ部材26が接着されていると
ともに、下側の緩衝板22の中央部には、固定台5が接
着剤により接着されている。その場合、緩衝板22の幅
は固定台5の幅よりも大きく設定することにより、より
大きな吸振効果が得られる。要は、固定台5の長さ方向
および幅方向の寸法を緩衝板22の寸法に比べてできる
だけ小さくすることが望ましい。しかし、これに限定さ
れるものではない。
【0082】更に、図21(c)に示すように上側の緩
衝板22の左右両脇には、比較的大径の貫通孔22a,
22bが穿設されているとともに、下側の緩衝板23お
よび固定台5には、貫通孔22a,22bより小径の貫
通孔23a,23b;5a,5bが貫通孔22a,22b
と同軸上に穿設されている。小径の貫通孔23a,23
b;5a,5bの径は、制振装置8を裏板12dの取り
付けるための取付ねじ27(後述の図24(b)に図示)
が貫通可能な大きさに設定されているとともに、大径の
貫通孔22a,22bの径は、取付ねじ27を裏板12
dに締め付けるためのドライバ等の工具が貫通しかつこ
の工具による締付作業を可能にする大きさに設定されて
いる。なお、図21(a)に二点鎖線αで示すように、
上下の緩衝板22,23の4角およびこの二点鎖線αに
対応する間隔材24,25の部分をそれぞれ切り欠くよ
うにすることもできる。このように切り欠くことによ
り、スピーカキャビネット12の狭い空間内で、制振装
置8を他のスピーカ部品や他の制振装置8と干渉しない
ように適宜傾けることにより取り付けることが可能とな
り、取付自由度が大きくなる。
【0083】制振板組立体19Aは、図22(a)に示
すように最も大きい4枚の制振板1Aを備えているとと
もに、それらの腕部2が、図22(b)に示すように上
下一対の正方形の間隔材28,29の間に挟持されて接
着剤により接着されることにより、形成されている。そ
の場合、図22(c)に明瞭に示すように、腕部2は切
削により除肉部2cが形成されていて、質量部3より所
定厚だけ薄くされている。このように腕部2を薄くする
ことにより、制振板1Aの固有振動数を低くすることが
でき、低周波数領域での吸音効果がより大きくなる。ま
た、間隔材28,29の中央部には、上下方向に貫通す
る貫通孔30が穿設されている。この貫通孔30がねじ
棒20が貫通可能な大きさに設定されている。更に、図
22(a)から明らかなように左上の制振板1Aと右下
の制振板1Aとは、除肉部2cが上向きにされていると
ともに、左下の制振板1Aと右上の制振板1Aとは、除
肉部2cが下向きにされている。
【0084】なお、制振板1Aとして左右対称のものを
作製し、4枚の制振板1Aをすべて除肉部2cが上向き
にまたは下向きに設定することができることは言うまで
もない。また、腕部2を薄くする方法として、前述のよ
うに切削による方法以外に、例えばエッチング等の化学
的方法、あるいはきわめて薄い平板から1枚の薄い制振
板を形成するとともに、同じ薄い平板からこの薄い制振
板の質量部(すなわち腕部2を除く)と同形状の同寸法
の質量部を作製して、これらの質量部を接着剤によって
接着する薄板接合法等の他の方法があることも言うまで
もない。
【0085】また、4枚の制振板1Bを有する制振板組
立体19B、4枚の制振板1Cを有する制振板組立体1
9C、および4枚の制振板1Dを有する制振板組立体1
9Dも、同様にそれぞれ各制振板の腕部が上下一対の間
隔材28,29の間に挟持され、かつ接着剤により接着
されて形成されている。
【0086】各制振板1A〜1Dの大きさは、制振板1
Aが最も大きく、以下、制振板1B、制振板1C、制振
板1Dの順に小さくなっている。本例の制振装置8にお
いては、これらの制振板1A〜1Dは次のようにして形
成されている。すなわち、まず図23(a)に示すよう
に、制振板の材料の比較的大きな正方形の薄板を用意
し、この正方形薄板を対角線に沿って2枚の直角二等辺
三角形板に切断する。次に、図23(b)に示すように
一方の直角二等辺三角形板を用いて、二等辺の1辺から
斜辺βに沿って切り欠いて所定の間隙4を形成する。そ
の場合、間隙4の一端部4aは、直角二等辺三角形の頂
点γから斜辺βに下ろした垂線δの位置に設定されてい
る。そして、辺εと辺ζとが等しくなるように、切り欠
いた二等辺の1辺側の部分を切除するとともに、腕部2
の長さを所定の長さに切断する。最後に、腕部2を質量
部3より薄くするとともに、この薄板前面にわたって植
毛(不図示)することにより、制振板1Aを形成する。
【0087】次に、図23(c)に示すように図23
(a)の他方の直角二等辺三角形板をその頂点から斜辺
に下ろした垂線に沿って切断し、再び2枚の直角二等辺
三角形板を形成する。そして、前述と同様に2枚の直角
二等辺三角形板の一方を用いて、図23(b)に示す制
振板1Aと同様の方法で図23(d)に示す制振板1B
を形成する。以下、図23(e)および(g)に示すよ
うに同様の方法で、図23(f)および(h)に示す制
振板1C,1Dを形成する。
【0088】このように形成された制振装置8を組み立
てるには、図24(b)に示すように、まずダンパ18
の雌ねじ部材26の雌ねじ26aに、ねじ棒20の一端
を螺合しかつ固定する。そして、このねじ棒20に、ま
ず一番大きな制振板組立体19Aを、その間隔材28,
29の孔30にねじ棒20が貫通するように、このねじ
棒20に嵌合する。次いで、他の制振板組立体19B,
19C,19Dも、同様に大きい順にねじ棒20に嵌合
する。そして、ワッシャを介してちょうナット21をね
じ棒20に螺合し、かつ緊締することにより、各制振板
組立体19A,19B,19C,19Dを雌ねじ部材26
とちょうナット21との間に挟圧する。こうして、制振
装置8がユニットとして組み立てられる。このように組
み立てられた制振装置8においては、各制振板1A,1
B,1C,1Dは間隔材28,29によって互いに干渉し
ないようになる。なお、本発明では、制振板組立体19
A,19B,19C,19Dをねじ棒20に嵌合させる順
は、必ずしも大きい順である必要はなく、適宜の順番で
よい。また、図24(a)および(c)に示すように、
最上部に保護板30を取り付けることにより、取付時等
において制振板が折損するのを防止することができる。
【0089】このように組み立てられた制振装置8は、
スピーカキャビネット12の裏板12dの所定位置にね
じ27によって取り付けられる。この取付にあたって
は、制振装置8の固定台5を、裏板12dの内側面の所
定位置にあてがった状態で、ワッシャを介してねじ27
をダンパ18の貫通孔22a,22b;23a,23bお
よび固定台5の貫通孔5a,5bを貫通させるととも
に、ドライバ等の適宜の工具で裏板12dにねじ込み、
制振装置8を裏板12dに固定する。その場合、制振装
置8がキャビネット12内のスピーカ装置の構成部品お
よびキャビネット12の側板12e等の他の板に、それ
ぞれ干渉しないように取り付けるようにする。
【0090】また、制振装置8の裏板12dへの取付位
置は、吸音効果上、スピーカ13の対向位置が望ましい
が、これに限定されるものではなく、所望の位置に設定
することができる。更に、制振装置8は裏板12d以外
の、天板12bや側板12e等のキャビネット12を構
成する他の板の所望の板に取り付けることもできるし、
複数の板に取り付けることもできる。
【0091】この例のスピーカキャビネットによれば、
制振板1A,1B,1C,1Dがダンパ18を介して取り
付けられるので、スピーカ13からキャビネット12内
に放射される音の音圧による衝撃が効果的に吸収するよ
うになる。これにより、制振板1A,1B,1C,1Dの
吸音効果を更に向上させることができ、ユーザは、スピ
ーカ13から前方に放射される再生音をより一層原音に
近い音として聴くことができるようになる。
【0092】また、この例のスピーカキャビネットによ
れば、従来の既存のスピーカキャビネットをそのまま用
いて、本発明の制振装置8のみを、この既存のスピーカ
キャビネット内面に取り付けるだけでよいので、制振装
置8のための専用のスピーカキャビネットを作製する必
要はない。また、その取付はドライバ等の適宜の工具で
ねじ27をキャビネット12の板にねじ込むだけでよい
ので、素人でも簡単に取り付けられる。したがって、誰
でもが制振装置8をスピーカキャビネットに安価にかつ
簡単に取り付けることができるようになる。しかも、制
振装置8を一端とキャビネット12に取り付ければ、ね
じ27が弛むことはほとんどないので、とりつけごのメ
ンテナンスもほとんど不要となる。
【0093】なお、この制振装置8は裏板12d以外に
も、表板12a、天板12b、底板12c、および左右
両側板12eの任意の板の所望の位置に適宜取り付ける
ことができる。また、制振装置8を裏板12d等の全面
にわたって敷き詰めるようにして配設することもでき
る。この場合は、より一層の良好な吸音効果が得られ
る。更に、制振装置8は接着剤や両面テープ等による接
着によって取り付けることもできる。これによれば、制
振装置8の取付が更に簡単になる。本例のスピーカ装置
の他の作用効果は、前述の図18に示すスピーカ装置と
同じである。
【0094】図25は、本発明の制振装置の実施の形態
の一例をオルゴールに適用した場合について説明する図
である。図25に示すように本例のオルゴール14は、
その音源ムーブメント15が載置固定される底板16が
比較的薄い板材で形成されていて、音源ムーブメント1
5の駆動時すなわち音発生時に発生する音源ムーブメン
ト15自体の振動および音源ムーブメント15からの音
の音圧によって振動するようになっている。
【0095】本例の制振装置8は、この底板16を前述
の振動板9として利用し、この底板16に、例えば図9
および図17に示すと同様に植毛11が施されかつ同形
状で異なる大きさの4枚の制振板(図25では2枚だけ
図示)を固定して構成されている。その場合、制振板を
底板16の適宜任意の位置に設ければよいが、特に制振
を効果的に行うために、小物入れ17の真下の中心位置
に制振板を設けることが望ましい。
【0096】そして、この制振装置8の図8に示す総固
有振動数帯域が、前述と同様に音源ムーブメント15が
発すると考えられる低音から高音までの領域をカバーす
る大きさとなるように、制振板の大きさ、形状および材
質が設定されている。
【0097】これにより、音源ムーブメント15の駆動
時、底板16が振動すると、前述と同様に制振装置8に
よってオルゴール箱の内部に放射された音波を効果的に
吸収し、定在波の発生を防止するので、音源ムーブメン
ト15から発せられる音はほとんど変調されずにオルゴ
ール箱の外部表面から放射され、クリヤーの音を楽しむ
ことができる。
【0098】なお、本発明の制振板および制振装置は、
前述のスピーカキャビネットおよびオルゴールに限定さ
れるものではなく、例えば高層建造物の免振装置等の振
動を抑制する必要があるものあるいは機械の騒音防止等
の音波を吸収する必要があるものであれば、どのような
ものにも適用することができることは言うまでもない。
【0099】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の制振板および制振装置によれば、制振板の固有振動数
帯域の幅を効果的に広げることができる。したがって、
本発明の制振板により、振動数が広い周波数帯域にわた
るような振動も確実にかつ十分に吸振することができ
る。
【0100】特に、大きさの異なる相似形状の制振板を
複数組み合わせることにより、、総固有振動数帯域をき
わめて大幅に広げることができる。したがって、低振動
数から高振動数まできわめて広い振動数帯域の振動を確
実にかつ十分に吸振することができる。
【0101】また、従来普通にあるベークライト、アク
リルあるいはビニール等の樹脂板、薄鋼鉄板あるいはリ
ン青銅板の薄板を簡単な切断加工、打ち抜き加工あるい
は樹脂の場合は射出成形加工をするだけで済むので、制
振板を簡単にかつ安価にしかも大量に製造することがで
きる。しかも、この制振板を単に所定枚数組み合わせ、
ボルト等の固着具で堅固に固定するだけでよいので、制
振装置の構成および組立もきわめて簡単になる。そのう
え、制振板の形状構造が簡単であることから、制振板の
振動特性を安定したものにすることができる。したがっ
て、制振装置の吸振性能もばらつくことなく安定したも
のとなり、制振したい振動数の振動を確実に吸振できる
制振装置を容易に設計することができる。
【0102】更に制振板に植毛を施すことにより、制振
板がその板振動により振動を吸収するばかりでなく、こ
の植毛により、約200Hz以上の中高周波数域の音波
を吸収することができるようになる。
【0103】更にスピーカキャビネットの裏板に本発明
の制振装置を適用することにより、裏板の振動を吸収で
きるとともに、裏板からのキャビネット外部への音波の
放射を抑制できる。したがって、スピーカから前方へ放
射された再生音は、変調されて歪むことはほとんどな
く、メリハリの利いたクリヤーな、原音そのものにきわ
めて近い音にすることができる。その場合、キャビネッ
トが密閉型およびバスレフ型のいずれであっても、同じ
効果が得られる。
【0104】更にオルゴールの音源ムーブメントを固定
支持する底板に本発明の制振装置を適用することによ
り、オルゴール箱内部での定在波の発生を防止し、音源
ムーブメントから発せられる音をほとんど歪ませること
なく、クリヤーな音にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による制振板の実施の形態の一例を示
し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図
である。
【図2】 図1に制振板の振動特性を説明し、(a)は
平面図、(b)は部分的に断面をとった正面図である。
【図3】 図1に示す制振板および図4に示す制振板の
固有振動数帯域を説明する図である。
【図4】 図1に示す制振板の間隙を有さない場合の制
振板を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)
は側面図である。
【図5】 本発明の制振装置の実施の形態の一例を示
し、(a)は平面図、(b)は(a)におけるVB−VB線
に沿う断面図である。
【図6】 本発明の制振装置の実施の形態の他の例を示
す平面図である。
【図7】 図1に示す制振板の大きさの種々異なる相似
形状の制振板を説明する図である。
【図8】 図7に示す各制振板における各固有振動数帯
域の設定を説明する図である。
【図9】 図7に示す制振板を用いて構成した制振装置
の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)におけ
るIXB−IXB線に沿う断面図である。
【図10】本発明の制振装置の実施の形態の更に他の例
を示す平面図である。
【図11】本発明の制振装置の実施の形態の更に他の例
を部分的に示す、部分断面図である。
【図12】本発明の制振装置の実施の形態の更に他の例
を部分的に示し、(a)は平面図、(b)は(a)にお
けるXIIB−XIIB線に沿う断面図である。
【図13】本発明の制振板の実施の形態の更に他の例を
示す平面図である。
【図14】本発明の制振板の実施の形態の更に他の例を
示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面
図である。
【図15】本発明の制振装置の実施の形態の更に他の例
を示す平面図である。
【図16】本発明の制振装置の実施の形態の更に他の例
を示す平面図である。
【図17】本発明の制振板の実施の形態の更に他の例を
示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面
図である。
【図18】本発明のスピーカキャビネットの実施の形態
の一例を模式的に示す断面図である。
【図19】本発明のスピーカキャビネットと従来のスピ
ーカキャビネットとの比較を行うための試験装置および
その結果を示す図である。
【図20】本発明の制振装置をオーディオ機器における
スピーカキャビネットに適用した場合の他の例について
説明する図である。
【図21】図20に示す制振装置の構成要素であるダン
パを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は
(a)におけるXXICーXXIC線に沿う断面図である。
【図22】図20に示す制振装置の構成要素である各制
振板組立体を示し、(a)は平面図、(b)は(a)に
おけるXXIIBーXXIIB線に沿う断面図、(c)は(a)に
おけるXXIICーXXIIC線に沿う断面図、(d)〜(f)は
それぞれ他の制振板組立体を示す平面図である。
【図23】図20に示す制振装置に用いられる各制振板
の作製方法を説明する図である。
【図24】図20に示す制振装置を示し、(a)は平面
図、(b)は(a)におけるXXIVBーXXIVB線に沿う断面
図である。
【図25】本発明のオルゴールの実施の形態の一例を模
式的に示す断面図である。
【図26】従来のスピーカキャビネットの一例を模式的
に示す断面図である。
【図27】従来のスピーカキャビネットの他の例を模式
的に示す断面図である。
【符号の説明】
1…制振板、2…腕部、2a…固定端、3…質量部、3
a,3b,3c,3d,3f…質量部3の周縁位置、3e…
質量部3の腕部2側の延設部、4…間隙、4a…間隙4
の一端部、5…固定台、6…押さえ部材、7…固定ボル
ト、8…制振装置、9…振動板、10…重り、11…植
毛、12…スピーカキャビネット、12a…表板、12
b…天板、12c…底板、12d…裏板、12e…側
板、13…スピーカ、14…オルゴール、15…音源ム
ーブメント、16…底板、18…ダンパ、19A,19
B,19C,19D…制振板組立体、20…ねじ棒、21
…ちょうナット、22,23…緩衝板、24,25…間隔
材、26…雌ねじ部材、27…取付ねじ、28,29…
間隔材

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端が固定端となっている所定幅の腕部
    と、この腕部の他端に連結されている質量部とからな
    り、前記腕部と前記質量部とはともに平らな薄板から形
    成されている制振板であって、前記質量部が、前記制振
    板の重心Gが前記腕部の一側に位置するようにして前記
    腕部に連結されており、前記質量部の一部が前記腕部と
    の連結部より前記腕部側に延設されているとともに、前
    記質量部の一部と前記腕部との間に所定幅で所定長さの
    間隙が形成されていて、所定の固有振動数帯域を有して
    いることを特徴とする制振板。
  2. 【請求項2】 前記間隙の先端である、前記質量部の一
    部と前記腕部との連結部が、前記制振板の前記重心より
    前記腕部側に位置しかつ前記重心にきわめて接近されて
    いることを特徴とする請求項1記載の制振板。
  3. 【請求項3】 前記腕部の厚みは前記質量部の厚みより
    薄くされていることを特徴とする請求項1または2記載
    の制振板。
  4. 【請求項4】 前記質量部の前記腕部と反対側の周縁形
    状が多角形状または湾曲形状に形成されていることを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載の制振板。
  5. 【請求項5】 前記制振板の表面に植毛が施されている
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1記載の
    制振板。
  6. 【請求項6】 大きさが種々の異なる相似形に形成され
    た所定枚数の前記制振板からなり、これらの制振板がそ
    れぞれ異なる固有振動数帯域を有しているとともに、1
    つの制振板の前記固有振動数帯域の一部と次の大きさの
    制振板の前記固有振動数帯域の一部とが互いに重なるよ
    うに、前記各制振板の固有振動数帯域がそれぞれ設定さ
    れていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか
    1記載の制振板。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれか1記載の制
    振板と、振動源の振動によって振動される振動板と、こ
    の振動板に固定され、前記制振板の前記腕部を固定支持
    する固定支持台とを少なくとも備えていることを特徴と
    する制振装置。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の制振板と、振動源の振動
    によって振動される振動板と、この振動板に固定され、
    前記各制振板の前記各腕部を固定支持する固定支持台と
    を少なくとも備えていることを特徴とする制振装置。
  9. 【請求項9】 前記制振板を種々の枚数に分けて所定数
    の組に分割し、これらの制振板の組を所定の間隔を置い
    て段重ねした状態で前記固定支持台に固定支持されてい
    ることを特徴とする請求項8記載の制振装置。
  10. 【請求項10】前記制振板と前記固定支持台との間にダ
    ンパが設けられていることを特徴とする請求項9記載の
    制振装置。
  11. 【請求項11】スピーカを支持する表板、裏板、天板、
    底板および左右側板から箱状に形成されたスピーカキャ
    ビネットにおいて、 前記表板、裏板、天板、底板および左右両側板の少なく
    とも1つの板は前記スピーカの発生する音によって振動
    するような薄板で形成されて前記振動板が構成され、前
    記振動板を構成する前記1つの板のスピーカキャビネッ
    ト内面側に前記請求項7ないし9のいずれか1記載の制
    振装置が固定支持されていることを特徴とするスピーカ
    キャビネット。
  12. 【請求項12】スピーカを支持する表板、裏板、天板、
    底板および左右側板から箱状に形成されたスピーカキャ
    ビネットにおいて、 前記請求項10記載の制振装置を、前記表板、裏板、天
    板、底板および左右両側板の少なくとも1つの板のスピ
    ーカキャビネット内面側に固定支持されていることを特
    徴とするスピーカキャビネット。
  13. 【請求項13】駆動時音を発生する音源ムーブメント
    と、この音源ムーブメントを固定支持する底板とを備え
    て、箱状に形成されたオルゴールにおいて、 前記底板は前記音源ムーブメントの駆動時にこの音源ム
    ーブメント自体の振動および/または前記音源ムーブメ
    ントからの音によって振動するような薄板で形成されて
    前記振動板を構成し、前記底板の所定位置に前記請求項
    7ないし9のいずれか1記載の制振装置が固定支持され
    ていることを特徴とするオルゴール。
  14. 【請求項14】駆動時音を発生する音源ムーブメント
    と、この音源ムーブメントを固定支持する底板とを備え
    て、箱状に形成されたオルゴールにおいて、 前記底板の所定位置に前記請求項10記載の制振装置が
    固定支持されていることを特徴とするオルゴール。
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