JP3158860B2 - スフレ生地およびスフレ並びにその製造方法 - Google Patents

スフレ生地およびスフレ並びにその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スフレ生地およびスフ
レ並びにその製造方法に関し、詳細には特定材質から成
る容器に収容されているスフレ生地および当該容器で直
焼きされている容器入りスフレ、並びに特定材質から成
る容器を使用してスフレ生地を直焼きすることにより、
蒸し焼きで焼成したものと変わらない、高品質なスフレ
を安定的かつ短時間に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スフレとはフランス語で「膨らんだ」の
意味からきており卵白を泡立てたメレンゲを使用して作
る軟らかくふんわりと膨らんだ食品であって、魚のすり
身や野菜、ハムなどを使った料理とデザートとがある。
デザートとしてのスフレには、ミルク、砂糖、卵黄、小
麦粉などから調製したクリームをベースとしたものと、
果物を裏ごししてシロップを加えたものをベースにした
ものの2つに大別される。これらの料理およびデザート
いずれのスフレもそれぞれの材料に卵白をしっかりと泡
立てたメレンゲを加え、気泡がつぶれないないように混
ぜて生地を調製する。スフレは、以上のようにして調製
したスフレ生地を、型(容器)の内側にバターを塗った
スフレー型に入れ湯煎にして蒸し焼きで焼成することに
より製造される。このようなスフレー型に使用する容器
の材質としては、一般的に金属や陶器が使用される。
【0003】スフレは以上のように湯煎状態で蒸し焼き
されるが、湯煎を止めて直焼きで焼成すると、表面が割
れたり、側面がケーピングして安定した品質の製品を得
るのは極めて困難である。そのため、従来より専ら湯煎
にして蒸し焼き状態で製造されているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
蒸し焼き状態での製法では、スフレ生地の焼成時間が長
いという欠点があるため、従来より直焼きで時間短縮し
たいという要望が多かった。にもかかわらず、上記した
ようにスフレの品質が劣るためこれまでには実現出来な
かった。
【0005】本発明は、スフレ生地を直焼きしても、従
来の湯煎にして蒸焼き状態で焼成したスフレと同様に高
品質なスフレが短時間で安定的に得られる方法を提供す
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を
解決するため鋭意検討した結果、特定の材質から成る容
器を使用することにより解決し得るという知見を得た。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたもので
あって、160 ℃以上の耐熱性を有し、かつ、20℃におけ
る熱伝導率が 0.581 W/mK以下の材質から成る容器に収
容されているスフレ生地、および160 ℃以上の耐熱性を
有し、かつ、20℃における熱伝導率が 0.581 W/mK以下
の材質から成る容器で直焼きされたスフレ、並びに160
℃以上の耐熱性を有し、かつ、20℃における熱伝導率が
0.581 W/mK以下の材質から成る容器を使用してスフレ
生地を直焼きすることを特徴とするスフレの製造方法、
である。
【0007】本発明における、 0.581 W/mK以下なる熱
伝導率はJIS 規格A-1413で測定した値を 国際単位(S
I単位)に換算した値であり、本発明において熱伝導率
0.581 W/mKを超える材質から成る容器の使用は、金
属や陶器から成る容器での直焼きとほとんど変わらない
状態になるので好ましくない。
【0008】熱伝導率が 0.581 W/mK以下を満足する材
質としては、耐熱紙、耐熱性プラスチックが例示でき
る。耐熱性プラスチックとしては、TPX(ポリメチル
ペンテン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、
PI(ポリイミド)、ヒドロキシ安息香酸ポリエステ
ル、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート、液晶ポ
リエステル等が例示でき、紙ではパルプモールドが代表
的に例示できるが、上記プラスチックと紙との複合体で
ある紙/PET、紙/TPX、プラスチックフィラーな
ども利用可能である。これらの材質の厚さは0.1 〜3mm
であって、0.5 〜2mm程度のものを使用するのが好まし
い。
【0009】これらの材質の中でも、スフレ生地を直火
で焼成するためには、特に発泡したプラスチックが好ま
しく、このような材質を満足する代表的なものとしては
発泡PETがあげられる
【0010】これらの材質から成る容器は、いずれも16
0 ℃以上、好ましくは180 ℃以上の耐熱性を有するのが
よい。即ち、焼成温度を180 ℃未満で実施すると時間短
縮効果が少なく、160 ℃未満では、従来の湯煎にして蒸
焼き状態で焼成したときの時間と殆ど変わらなくなる。
例えば、180 ℃で直焼きすると20分で終了するのに、16
0 ℃では35分かかり、同じ160 ℃で従来の湯煎にして蒸
焼き状態で焼成すると40分で終了するので、160 ℃未満
では両者の方法による時間的な効果は得られない。
【0011】本発明におけるスフレとは、メレンゲの気
泡を利用して焼いたものであればいずれでもよく、例え
ばチーズやクリーム、或いはミルク、砂糖、卵、小麦粉
のようなカスタードクリーム成分の他に、マーガリンや
バターなどの乳化油脂、ココアパウダー、チョコレート
などから調製したクリームをベースとしたもの、および
果物を裏ごししてシロップを加えたものをベースにし
た、いわゆるデザートスフレに限定されるものではな
く、一般的に料理の本などで紹介されている各種のスフ
レ料理、即ち魚のすり身、野菜、ハムなどを使った料理
など、これら全ての卵白もしくは卵白を泡立てたメレン
ゲを利用して製造する食品を包含するものである。
【0012】スフレ生地は予め卵白を泡立ててメレンゲ
を調製しておき、これと他の原材料とを混合する別立て
法や、メレンゲを調製することなく卵白を全ての原材料
と一度に混合するオールインミックス法のいずれも採用
できる。しかし、オールインミックス法は別立て法で製
造するよりも製品の品質が劣るため、別立て法がより好
ましい。
【0013】次いで、スフレ生地を型の内側にバターや
マーガリンあるいはショートニング等の離型油を塗布し
た本発明に規定する材質から成る容器に充填する。この
状態で凍結保存しておき、必要時に解凍し、焼成しても
よい。かくして、本発明によればスフレ生地を直火で焼
成することが可能であり、本発明により従来の蒸し焼き
と同等の品質のものを短時間で製造することが出来るよ
うになった。なお、本発明におけるスフレ生地または当
該生地を直焼きして得られるスフレの商品形態として
は、スフレ生地が容器入りの状態でもよいし、これが凍
結保存された状態であってもよく、また焼成品スフレが
容器入りの状態でもよいし、容器から取り出した焼成品
またはそれらに適宜加工を施したものであってもよい。
【0014】
【実施例】以下に実施例および比較例を例示して本発明
の効果をより一層明瞭にする。なお、例中に示す%およ
び部はいずれも重量基準を意味する。
【0015】実施例1〜6及び比較例1〜3 以下の配合及び工程でスフレを製造した。 ○配合 市販ナチュラルクリームチーズ 200(部) 牛乳 300 薄力粉 75 砂糖 25 卵黄 130 バター 80 卵白 300 砂糖 140 レモン果汁 3 ──────────────────────────────
【0016】○工程 卵黄と砂糖、薄力粉をボールに入れ、ホイッパーで攪拌
してクリーム状とした。別に、鍋に市販ナチュラルクリ
ームチーズと牛乳を入れ、軽く一度沸騰させた後、直ち
に先のクリーム状とした生地と素早くホイッパーで混合
し、カスタークリーム状にした後、これに溶かしたバタ
ーを加えた。一方、砂糖と卵白をボールに入れ、ミキサ
ーで最終比重0.22までホイップしてから最後にレモン果
汁を加えて、メレンゲを作成し、先に調製したカスタ─
クリーム状物に2回に分けて加えた(最終比重0.47)。
出来上がった生地は、側面にショートニングを塗った直
径9cm×高さ4cmの、以下に示す各々の材質から成る容
器に約70g充填し、焼成した。
【0017】○焼成 実験番号 焼成条件 蒸し焼き 直焼き 熱伝導度 ─────────────────────────────────── 上下火 160 ℃ 180 ℃ (W/mK) 時間 40 min 20 min 各種型の材質 ───────────────────────────── 1) 金属型(アルミ) ◎ × 23.24 〜116.2 2) 陶器(ココット皿) ◎ △ 1.162 〜3.486 3) 紙 ○ ○ 0.081 4) 厚紙 ◎ ○ 0.047 5) 紙+樹脂コ−ト ◎ ○ 0.070 6) 結晶化PET ◎ ○ 0.232 7) 発泡PET ◎ ◎ 0.035 8) 耐熱性プラスチック ◎ ○ 0.232 9) 非耐熱性プラスチック 使用不可 使用不可0.349 ─────────────────────────────────── 注) ×: 不良 △: やや不良 ○: やや良好 ◎: 良好
【0018】実験番号3),4),5),6),7)および8)は、
それぞれ実施例1,2,3,4,5および6である。ま
た、実験番号1),2)および9)は、それぞれ比較例1,2
および3である。
【0019】実施例1〜6は直焼き、蒸し焼き共に問題
なく焼く事が出来たが、比較例1〜3はいずれも直焼き
が出来なかった。特に、実施例5(実験番号7))は実施
例1〜6のなかでも、特に良好であった。なお、各実施
例で使用の容器の材質の厚さは0.1 〜2mmであった。
【0020】実施例7〜8 以下の配合及び工程でスフレケーキを作成した。 ○配合 配合 実施例7 実施例8 ────────────────────────────── バニラの カシスの スフレ スフレ (クリーム) バター 50 30 カシスの果肉 0 150 バニラのさや 1/2本 0 薄力粉 55 40 砂糖 0 120 卵黄 80 0 牛乳 250 200 卵白 40 0 全卵 0 180 (メレンゲ) 卵白 160 100 砂糖 70 0 ──────────────────────────────
【0021】実施例7は、バニラのさやを牛乳に入れて
火にかけたものにバターと薄力粉を練り合わせた物を混
合し、沸騰させてとろみをつけた後に火から下ろして、
卵白、卵黄の順番に添加して柔らかくのばしてカスター
状にした。メレンゲは、卵白と砂糖でしっかりとしたメ
レンゲを作り、カスター状のクリームと合わせた。内面
に薄くバターを塗った直径9cm×高さ4cm、材質の厚さ
1.2 mmの発泡PETから成る容器にスフレ生地を70g入
れて、180 ℃で20分直焼きを行った。
【0022】実施例8は、全卵と砂糖を入れ軽く混ぜ合
わせた後にバターと裏ごししたカシスを加えた物を、薄
力粉と牛乳で溶いた物に加えて火にかけ、沸騰させてと
ろみをつけカスター状にした。これに、十分に泡立てた
卵白を加え、内面に薄くバターを塗った直径9cm×高さ
4cm、材質の厚さ1.7 mmの発泡PETから成る容器に生
地を80g入れて、180 ℃で20分直焼きを行った。
【0023】実施例7〜8は、いずれも、直焼きで側面
のケーピングもなく良好な物性を示した。
【0024】
【発明の効果】本発明によりスフレ生地を直焼きをして
も、安定的に従来の高品質な蒸焼きと同様なスフレが短
時間で得られるため、業界の要望であったスフレの作業
効率の向上が可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A21B 3/13 A21D 6/00 A21D 10/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】160 ℃以上の耐熱性を有し、かつ、20℃に
    おける熱伝導率が 0.581W/mK以下の材質から成る容器に
    収容されている、 直焼き用のスフレ生地。
  2. 【請求項2】容器の材質が発泡したプラスチックであ
    る、請求項1記載のスフレ生地。
  3. 【請求項3】容器入りスフレ生地が凍結保存されてい
    る、請求項1または2に記載のスフレ生地。
  4. 【請求項4】160 ℃以上の耐熱性を有し、かつ、20℃に
    おける熱伝導率が 0.581W/mK以下の材質から成る容器で
    直焼きされた、スフレ。
  5. 【請求項5】直焼きされたスフレが容器入りの状態にあ
    る、請求項4記載のスフレ。
  6. 【請求項6】容器の材質が発泡したプラスチックであ
    る、請求項4または5に記載のスフレ。
  7. 【請求項7】160 ℃以上の耐熱性を有し、かつ、20℃に
    おける熱伝導率が 0.581W/mK以下の材質から成る容器を
    使用してスフレ生地を直焼きすることを特徴とする、ス
    フレの製造方法。
  8. 【請求項8】容器の材質が発泡したプラスチックであ
    る、請求項7記載のスフレの製造方法。
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JP4978510B2 (ja) * 2008-02-26 2012-07-18 不二製油株式会社 スフレ様菓子

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